猛り狂いし、地を灼く竜(前編)
その日、私・槇野晶は神姫達が目覚める前から大忙しであった。何しろ、
彼女らが重量級ランクに挑む日なのだ。リサーチしたデータと自己鍛錬の
経験……そして私自身と彼女らの“技術”が、勝敗の全てを握っている。
ノウハウなど存在しないも同義。正直、全員未知の荒野へ旅立つ気分だ。
ならば、出来る準備を可能な限り行うしかない。それが明暗を分けるッ!
彼女らが重量級ランクに挑む日なのだ。リサーチしたデータと自己鍛錬の
経験……そして私自身と彼女らの“技術”が、勝敗の全てを握っている。
ノウハウなど存在しないも同義。正直、全員未知の荒野へ旅立つ気分だ。
ならば、出来る準備を可能な限り行うしかない。それが明暗を分けるッ!
「充電完了、システム起動──ふぁ……おはようございますですの~♪」
「む、起きたかロッテ。アルマとクララも、起こしてやってくれんか?」
「はいですの!マイスター、寝ないでずっと準備していましたの……?」
「……仮眠は少々取ったが、結構ギリギリだな。しかし頑張らねばッ!」
「む、起きたかロッテ。アルマとクララも、起こしてやってくれんか?」
「はいですの!マイスター、寝ないでずっと準備していましたの……?」
「……仮眠は少々取ったが、結構ギリギリだな。しかし頑張らねばッ!」
そして朝日を迎える内に、前日まで練習尽くしだった“妹”達も次々と
目覚めてくる。それと前後して、“プルマージュ”の最終調整も完了。
本来は“アルファル”も同時使用出来るのだが、今日は敢えて使わぬ。
“プルマージュ”に皆が慣れているか、その力を引き出せるかが肝要。
それを見極めてからでも、決して遅くはないはずだ……という訳でッ!
目覚めてくる。それと前後して、“プルマージュ”の最終調整も完了。
本来は“アルファル”も同時使用出来るのだが、今日は敢えて使わぬ。
“プルマージュ”に皆が慣れているか、その力を引き出せるかが肝要。
それを見極めてからでも、決して遅くはないはずだ……という訳でッ!
「よし、皆着替えと洗浄は終わったな?忘れ物も……有無、無しッ!」
「“プルマージュ”達も、コンテナでちゃんと寝てるから大丈夫だよ」
「それじゃ皆、行きましょう?……あたし達の、新しいステージにっ」
「はいですの~♪どんな姉妹達がいるのか、今から楽しみですの~♪」
「“プルマージュ”達も、コンテナでちゃんと寝てるから大丈夫だよ」
「それじゃ皆、行きましょう?……あたし達の、新しいステージにっ」
「はいですの~♪どんな姉妹達がいるのか、今から楽しみですの~♪」
コンテナの増加で更に巨大化した、キャリアを引っ張りつつ店を出る。
旅行鞄風のコレに、神姫達の武装パーツは無論の事……着替えや相棒の
“アルファル”と“プルマージュ”が、更には各種電装機器や充電用の
小型バッテリーまでも搭載されている訳で……流石にデカくて重いッ!
旅行鞄風のコレに、神姫達の武装パーツは無論の事……着替えや相棒の
“アルファル”と“プルマージュ”が、更には各種電装機器や充電用の
小型バッテリーまでも搭載されている訳で……流石にデカくて重いッ!
「ふぃぃ……流石に私の背丈に迫る勢いの荷物、骨が折れるな……」
「どうせなら駆動系付けて、マイスターが乗っちゃえばいいんだよ」
「それも手だが、アキバの雑踏では些か危険だろう……だが、ふむ」
「乗れないにしても、モーターで車輪の動きを支えられませんか?」
「電気自転車みたいな感じですの。あ、付きましたのマイスター!」
「どうせなら駆動系付けて、マイスターが乗っちゃえばいいんだよ」
「それも手だが、アキバの雑踏では些か危険だろう……だが、ふむ」
「乗れないにしても、モーターで車輪の動きを支えられませんか?」
「電気自転車みたいな感じですの。あ、付きましたのマイスター!」
そんな他愛もない雑談で辛さを紛らわせつつ、神姫センターへ入店する。
流石にこの時期ともなれば、空調は暖房か……快適だな。私はマフラーを
外し、“妹”達のコートも脱がせる。その下にあるのは、“フィオラ”。
あくまでもエントリーは“可憐・華麗”に。その拘りは貫きたいのでな!
流石にこの時期ともなれば、空調は暖房か……快適だな。私はマフラーを
外し、“妹”達のコートも脱がせる。その下にあるのは、“フィオラ”。
あくまでもエントリーは“可憐・華麗”に。その拘りは貫きたいのでな!
「バトルの申し込みは先程終わらせた。誰が一番に来るかは分からぬ」
「い、一番にあたしが来る可能性もあるんですね?……緊張しますっ」
「確率三分の一だから、そこまで気張らなくてもいいと思うんだよ?」
「そうですの~♪対戦相手が何時見つかるかの方が、心配ですの……」
『槇野晶さん、アルマの対戦相手が見つかりました。オーナー席へ~』
「ひゃいっ!?あぅぅ……やっぱり一番でした。気合、入れないとっ」
「い、一番にあたしが来る可能性もあるんですね?……緊張しますっ」
「確率三分の一だから、そこまで気張らなくてもいいと思うんだよ?」
「そうですの~♪対戦相手が何時見つかるかの方が、心配ですの……」
『槇野晶さん、アルマの対戦相手が見つかりました。オーナー席へ~』
「ひゃいっ!?あぅぅ……やっぱり一番でした。気合、入れないとっ」
なんだかんだでアルマは緊張しているのだろう。私は彼女を抱き上げて、
優しくエントリーゲートに降ろし、アルマの武装ケースをサイドボードに
差し込む。リサーチした寸法通りに、箱はピッタリと収まった。完璧だ!
優しくエントリーゲートに降ろし、アルマの武装ケースをサイドボードに
差し込む。リサーチした寸法通りに、箱はピッタリと収まった。完璧だ!
「大丈夫だ。私達が見守っている……存分に、蹴散らしてこいよっ!!」
「は、はいッ!恥じない戦いを、してきます……じゃ、行ってきます!」
「は、はいッ!恥じない戦いを、してきます……じゃ、行ってきます!」
私達三人の笑顔に見送られて、アルマはゲートの奥へと降りていった。
彼女の意識は、ヴァーチャルフィールドへと遷移し……戦いが始まる!
しかし、見守っていた私は……重要な事実を告げなかったのだ。迂闊!
彼女の意識は、ヴァーチャルフィールドへと遷移し……戦いが始まる!
しかし、見守っていた私は……重要な事実を告げなかったのだ。迂闊!
『アルマvsガルラ、本日の重量級リーグ第4戦闘、開始します!』
「で、出番ですね……」
『なお、ゲートより神姫は高速射出されます。衝撃に備えてください』
「──────へ?」
「そう言えば……アルマ、開始と同時にファフナーを呼ぶのだ!」
「は、はいぃぃっ!?」
『3……2……1……GO!!』
「きゃ、ああぁぁぁぁ~っ……!?」
「で、出番ですね……」
『なお、ゲートより神姫は高速射出されます。衝撃に備えてください』
「──────へ?」
「そう言えば……アルマ、開始と同時にファフナーを呼ぶのだ!」
「は、はいぃぃっ!?」
『3……2……1……GO!!』
「きゃ、ああぁぁぁぁ~っ……!?」
そう、重量級ランクでは目方のバラツキが大きくなりがちである。故に、
神姫達はリニア射出により、ゲートから一定速度で強制排出されるのだ。
開始時の相対距離をある程度一定に保つ事で封殺を防ぐ、等の名目でな。
だが生身でそれを受ければ、障害物や床に激突してしまうのだ……むう。
神姫達はリニア射出により、ゲートから一定速度で強制排出されるのだ。
開始時の相対距離をある程度一定に保つ事で封殺を防ぐ、等の名目でな。
だが生身でそれを受ければ、障害物や床に激突してしまうのだ……むう。
「ひゃあぁ……ファフナーッ!?」
『グルル……グルォォォオンッ!!』
「きゃっ!?ふぅ、た……助かりました」
『グルル……グルォォォオンッ!!』
「きゃっ!?ふぅ、た……助かりました」
しかし気の利く様になった“相棒”が、即座に彼女をピックアップする!
そこへ、近くの岩山から対戦相手となる神姫の声が響いた。今回は誰だ?
そこへ、近くの岩山から対戦相手となる神姫の声が響いた。今回は誰だ?
「無様ね。貴女、この戦場は初めてなのかしら?」
「ッ!?貴女が対戦相手のガルラさん、ですね?」
「そう、苛烈なる鳥の女帝……それが私、ガルラ!」
「ッ!?貴女が対戦相手のガルラさん、ですね?」
「そう、苛烈なる鳥の女帝……それが私、ガルラ!」
少々ナルシストの入ったその神姫は、“神姫パーツ流用組”らしかった。
来年発売の限定バージョン・エウクランテ及びイーアネイラを意識した、
黒と紅に彩られた第五弾のリペイントパーツ。更に、それを覆う様にして
全身に纏ったティグリースとウィルトゥースの装備……頭部は、禍々しい
アレンジのバイザーに覆われており、口と金のポニーしか見えぬ作りだ。
だが改造パーツとは言え、その娘は紛れもなく公式パーツを用いていた!
来年発売の限定バージョン・エウクランテ及びイーアネイラを意識した、
黒と紅に彩られた第五弾のリペイントパーツ。更に、それを覆う様にして
全身に纏ったティグリースとウィルトゥースの装備……頭部は、禍々しい
アレンジのバイザーに覆われており、口と金のポニーしか見えぬ作りだ。
だが改造パーツとは言え、その娘は紛れもなく公式パーツを用いていた!
「ふぅん。通常ランクでは一応セカンドなのね、貴女……?」
「お陰様で……でも、そんな“常識”が通用しない事は弁えてます」
「そう。なら話が早いわ……ここでの流儀、見せてあげましょうッ!」
「手合わせ、願います……行きましょう、ファフナー!」
『“W.I.N.G.S.”……Execution!』
『グルォォォォォォンッ!!!』
「お陰様で……でも、そんな“常識”が通用しない事は弁えてます」
「そう。なら話が早いわ……ここでの流儀、見せてあげましょうッ!」
「手合わせ、願います……行きましょう、ファフナー!」
『“W.I.N.G.S.”……Execution!』
『グルォォォォォォンッ!!!』
“朱天”由来の大剣を振るう鳥の女王を目の前に、アルマは怯まない。
“フィオラ”から追加パーツ付きの“シルフィード”に姿を変えた上、
ファフナーの背中に己の太腿から下を“合体”させた。これが、第一の
戦闘形態。竜騎士の型……“ドラグーン・シルエット”である!付属の
“センチュリオン”と“ティンクルスター”を携えて、彼女が構えた。
“フィオラ”から追加パーツ付きの“シルフィード”に姿を変えた上、
ファフナーの背中に己の太腿から下を“合体”させた。これが、第一の
戦闘形態。竜騎士の型……“ドラグーン・シルエット”である!付属の
“センチュリオン”と“ティンクルスター”を携えて、彼女が構えた。
「なるほど、騎乗型なのね……しかし、その程度見飽きたわ!」
「あたし達を、普通に見ない方が良いですよ……参りますッ!!」
『グルォォォオンッ!!』
「あたし達を、普通に見ない方が良いですよ……参りますッ!!」
『グルォォォオンッ!!』
──────竜の騎士として、誇り高くあろうね。