「も――――もう、でま……せん……」
「私も……もうお腹一杯で……無理です……うぷ」
作業台の上にぐったりと倒れこみ、もう起き上がる所か指一本動かす気力さえない、私とココさん。
私が吐き出した大量の精液で2人とも全身精液まみれになっている。真っ黒だった私のビスチェもココさんのメイド服も多量の精液がこびり付いてしまい、特に黒い部分はまるで白黒の迷彩のようなみっともない姿になってしまっている。
あれから何時間経過したのだろうか。快楽という名の荒々しい濁流に押し流されてしまった気分だ。
本来女性型である神姫に男性器を取り付けた為か、それともトロイとバグの結果によるものか、本来は『存在しない』器官からの未知の快感によって私のAIは混乱を極め、オーバーフロー寸前にまでなっていた。
「ふふ、2人とも素敵よ。この姿を写真に収めて、永久保存しちゃいたいくらい」
「か……勘弁してください。そんな事されたら発狂しそうです……恥かしすぎて」
そんな中、直接参加していなかった事もあってか、1人とても元気な静香さん。
心なしか、最初の時よりも肌つやが良くなっているのは、気のせいだろうか。
「あら、半分は冗談よ。それよりもちゃんと取れたみたいで、良かったわね」
「あ、はい……お世話になりました……」
半分の所はもう聞き流す事にして、私は謝意を表す。
倒れこんだ私の傍には、先程やっとずるりと膣内から抜けた『あなたも狼に変わりますか』が白濁液にまみれた状態で転がっている。愛液と精液でべとべとになっていて本来のラインは判りづらくなっているが、最初に見た時よりもかなり縮んでいるような気がする。
「ああそれ? 多分使いすぎで人工筋肉が少しへたっちゃっただけじゃないかしら。また装着すれば本体からの供給を受けて元に戻る筈だから心配いらないわよ」
……また顔に出ていたのだろうか。そもそも此処まで酷い目にあっておいて、次があるかどうかすら疑わしい。
確かに男性の感覚は気持ちよかったが……
「あら、アキラちゃんは女の子なんだし、貴方が男の子役をする機会だって結構あるんじゃないかしら?」
「で……ですから、人の心を読むような事はやめて頂きたいのですが」
……彼女は読心術者か、さもなくば超能力者だ。そうに違いない。
「私も……もうお腹一杯で……無理です……うぷ」
作業台の上にぐったりと倒れこみ、もう起き上がる所か指一本動かす気力さえない、私とココさん。
私が吐き出した大量の精液で2人とも全身精液まみれになっている。真っ黒だった私のビスチェもココさんのメイド服も多量の精液がこびり付いてしまい、特に黒い部分はまるで白黒の迷彩のようなみっともない姿になってしまっている。
あれから何時間経過したのだろうか。快楽という名の荒々しい濁流に押し流されてしまった気分だ。
本来女性型である神姫に男性器を取り付けた為か、それともトロイとバグの結果によるものか、本来は『存在しない』器官からの未知の快感によって私のAIは混乱を極め、オーバーフロー寸前にまでなっていた。
「ふふ、2人とも素敵よ。この姿を写真に収めて、永久保存しちゃいたいくらい」
「か……勘弁してください。そんな事されたら発狂しそうです……恥かしすぎて」
そんな中、直接参加していなかった事もあってか、1人とても元気な静香さん。
心なしか、最初の時よりも肌つやが良くなっているのは、気のせいだろうか。
「あら、半分は冗談よ。それよりもちゃんと取れたみたいで、良かったわね」
「あ、はい……お世話になりました……」
半分の所はもう聞き流す事にして、私は謝意を表す。
倒れこんだ私の傍には、先程やっとずるりと膣内から抜けた『あなたも狼に変わりますか』が白濁液にまみれた状態で転がっている。愛液と精液でべとべとになっていて本来のラインは判りづらくなっているが、最初に見た時よりもかなり縮んでいるような気がする。
「ああそれ? 多分使いすぎで人工筋肉が少しへたっちゃっただけじゃないかしら。また装着すれば本体からの供給を受けて元に戻る筈だから心配いらないわよ」
……また顔に出ていたのだろうか。そもそも此処まで酷い目にあっておいて、次があるかどうかすら疑わしい。
確かに男性の感覚は気持ちよかったが……
「あら、アキラちゃんは女の子なんだし、貴方が男の子役をする機会だって結構あるんじゃないかしら?」
「で……ですから、人の心を読むような事はやめて頂きたいのですが」
……彼女は読心術者か、さもなくば超能力者だ。そうに違いない。
~ネメシスの憂鬱・ファイルⅩⅡ~
「ぁぅー…………」
男性器がくっついたままという最悪の状態こそ脱したものの、その代償と言うべきか、全身を襲う激しい倦怠感により何も行動を起こす気が全く起きない。全身が汚れてしまっている為に出来れば早く服を着替えなくてはいけないのだが、それすら億劫になってしまっている。
今出来る事は、放心状態のまま天井を見上げるだけ。
「……?」
放心状態だからこそ聞こえたのだろうか。部屋の片隅に設置されている吊り棚の方から、カタンと、普段であれば気にしない程度のごく小さな音が私の聴音センサーに入ってくる。そして呆けた思考のまま、理由などなく吊り棚へとその視線を向ける。
「…………ん?」
そこは部屋の隅の為に殆ど光源が届かず、かなり薄暗い空間になっている。普段なら気にも留めないような場所だろう。
だが次の瞬間、吊り棚の上に置かれている雑多な箱や工具の中で、何かが小さく光った。
「………………んん??」
ちょっとした物に何らかの光が反射したのだろうが、反射的につい気になってしまい、半ば無意識に暗視対応に切り替えつつ、じっと目を凝らす。
「……………………んんん???」
何か丸い、ガラス質のようなてかりを持つ物が見える。……いや、丸ガラスというよりも、あれはレンズだろうか。
そして、そのレンズの後ろには、人間の顔らしきモノが薄暗闇のなかぼんやりと浮かび上がって……って、レンズを持った……人!?
「…………ぁ゛」
その何かと、目線が合う。
「――――っ!?」
その瞬間ゾワリと、髪の毛が逆立ち全身の肌が逆立つような怖気ましさを、激しく覚える。
男性器がくっついたままという最悪の状態こそ脱したものの、その代償と言うべきか、全身を襲う激しい倦怠感により何も行動を起こす気が全く起きない。全身が汚れてしまっている為に出来れば早く服を着替えなくてはいけないのだが、それすら億劫になってしまっている。
今出来る事は、放心状態のまま天井を見上げるだけ。
「……?」
放心状態だからこそ聞こえたのだろうか。部屋の片隅に設置されている吊り棚の方から、カタンと、普段であれば気にしない程度のごく小さな音が私の聴音センサーに入ってくる。そして呆けた思考のまま、理由などなく吊り棚へとその視線を向ける。
「…………ん?」
そこは部屋の隅の為に殆ど光源が届かず、かなり薄暗い空間になっている。普段なら気にも留めないような場所だろう。
だが次の瞬間、吊り棚の上に置かれている雑多な箱や工具の中で、何かが小さく光った。
「………………んん??」
ちょっとした物に何らかの光が反射したのだろうが、反射的につい気になってしまい、半ば無意識に暗視対応に切り替えつつ、じっと目を凝らす。
「……………………んんん???」
何か丸い、ガラス質のようなてかりを持つ物が見える。……いや、丸ガラスというよりも、あれはレンズだろうか。
そして、そのレンズの後ろには、人間の顔らしきモノが薄暗闇のなかぼんやりと浮かび上がって……って、レンズを持った……人!?
「…………ぁ゛」
その何かと、目線が合う。
「――――っ!?」
その瞬間ゾワリと、髪の毛が逆立ち全身の肌が逆立つような怖気ましさを、激しく覚える。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああ!!!」
自分でも何処にそんな力が残っていたんだろうと思うくらいの、サイレンみたいに強烈な悲鳴。
「しまっ!? 離脱ッ!」
そして私が叫ぶのとほぼ同時に、箱の隙間から多量のホコリと共にその何かが勢いよく飛び出し、私の上空を物凄い速度で出入り口方向へ突き抜けて行く。
「なっ!? ケホケホっ……」
悲鳴の後はホコリで咳き込みつつも、今の状況で飛び出していったモノが何かを確信できた。
「――――ったく、今の子は一体。店内を猛スピードで飛ぶなんて危ないなあ。
嗚呼、静香ちゃんこっちに居たのか。何故かレジに十貴君が座ってるから何事かと思った……ん……だが……」
それは入れ替わるように入ってきた店長のセリフからも、明らかだろう。
「――――フ、フフフフフフフ」
それは、神姫だ。
吊り棚のような小さな所に隠れられる自律する小さな人型の何か。そして店長が違和感無く受け止められる存在。それは神姫しかありえない。
……そして、もっと重要なことが1つ。
あの神姫は、隠れて何かをしていた。そして、その手にはレンズらしきものを所持していた。レンズのついたものと言えば、各種カメラ関係くらいしか、ない。そして見つかった途端に逃げ出した。……つまり、
「しまっ!? 離脱ッ!」
そして私が叫ぶのとほぼ同時に、箱の隙間から多量のホコリと共にその何かが勢いよく飛び出し、私の上空を物凄い速度で出入り口方向へ突き抜けて行く。
「なっ!? ケホケホっ……」
悲鳴の後はホコリで咳き込みつつも、今の状況で飛び出していったモノが何かを確信できた。
「――――ったく、今の子は一体。店内を猛スピードで飛ぶなんて危ないなあ。
嗚呼、静香ちゃんこっちに居たのか。何故かレジに十貴君が座ってるから何事かと思った……ん……だが……」
それは入れ替わるように入ってきた店長のセリフからも、明らかだろう。
「――――フ、フフフフフフフ」
それは、神姫だ。
吊り棚のような小さな所に隠れられる自律する小さな人型の何か。そして店長が違和感無く受け止められる存在。それは神姫しかありえない。
……そして、もっと重要なことが1つ。
あの神姫は、隠れて何かをしていた。そして、その手にはレンズらしきものを所持していた。レンズのついたものと言えば、各種カメラ関係くらいしか、ない。そして見つかった途端に逃げ出した。……つまり、
「人の痴態をずっと……カメラに――――――よくも、あの……盗撮魔ぁッ!!!!!」
ワナワナと心の底から湧き上がってきた怒りを抑えきれずに、いや抑える必要など認めずに、激しく絶叫する。
久しぶりに感じる、忘れかけていた……いや忘れようとしていた、心の底から煮えくり返るような怒りと、暴力への渇望。
「店長! 私の新装備出来てますよね!」
「………ぁ……ぇ……」
「店長ッ!!!」
「――――あ、嗚呼出来てる。ああ、ウン」
呼んでも何故かその場で石のように固まって立ち尽くしていた店長だったが、放心状態から戻ったようにポツリと返事をする。こんな状況なのにっ!
「持ってきます! それと今の神姫はどっちへ!」
「あ……た、多分東の方じゃないか……な」
「わかりました!」
たどたどしく応じる店長。急いでいるのだから早くして欲しい。
「――――来いッ!!!!!」
念じる事により『ソレ』と周波数を合わせて、無線で同期接続を行う。そして次の瞬間、レジ棚の方からボン!と何かを突き破るような音がして、怒号のようなジェット音と共に黒い鉄の塊が此方へ飛び込んでくる。
「いくよ、『レネット』!」
勢いよく飛び上がり、背中の電磁ジョイントを起動させて空中でドッキング。そのまま最大加速で部屋を突き抜けるように突破し、出入り口の閉まりかけた自動ドアの隙間を縫う様にして、外に飛び出す。そして悪魔の翼のように禍々しく広がったシルエットを持つ4枚の漆黒の翼を力強く羽ばたかせ、東へとその機先を向ける。
久しぶりに感じる、忘れかけていた……いや忘れようとしていた、心の底から煮えくり返るような怒りと、暴力への渇望。
「店長! 私の新装備出来てますよね!」
「………ぁ……ぇ……」
「店長ッ!!!」
「――――あ、嗚呼出来てる。ああ、ウン」
呼んでも何故かその場で石のように固まって立ち尽くしていた店長だったが、放心状態から戻ったようにポツリと返事をする。こんな状況なのにっ!
「持ってきます! それと今の神姫はどっちへ!」
「あ……た、多分東の方じゃないか……な」
「わかりました!」
たどたどしく応じる店長。急いでいるのだから早くして欲しい。
「――――来いッ!!!!!」
念じる事により『ソレ』と周波数を合わせて、無線で同期接続を行う。そして次の瞬間、レジ棚の方からボン!と何かを突き破るような音がして、怒号のようなジェット音と共に黒い鉄の塊が此方へ飛び込んでくる。
「いくよ、『レネット』!」
勢いよく飛び上がり、背中の電磁ジョイントを起動させて空中でドッキング。そのまま最大加速で部屋を突き抜けるように突破し、出入り口の閉まりかけた自動ドアの隙間を縫う様にして、外に飛び出す。そして悪魔の翼のように禍々しく広がったシルエットを持つ4枚の漆黒の翼を力強く羽ばたかせ、東へとその機先を向ける。
「きゃっ!?」
「なっ!?」
「ちょwまwww」
何か色々と悲鳴のようなものが聞こえてくるが、気にする暇など今の私にはなく、商店街大通りを駆け抜けてゆく。更にヘッドセンサ・アネーロの対空レーダーを少しでも有効に生かす為、相手の神姫を相対的に高高度に置いて補足するべく、低空を人波をすり抜けるようにして飛行する。」
「……――――反応無し。高高度には……いないのか」
アネーロに追加設置してある透過式バイザーにレーダーを始めとする各種情報が表示されていくが、少なくとも上空にはその神姫は存在しないようだ。
「ならばっ!」
レネットの背中に設置された2基のエクステンドブースターを最大出力で噴射させ、一気に高高度へ上昇をかける。
「障害物が多いが……これくらいっ」
私の得意分野は空対地戦闘だ。そしてその為に更に強化された対地レーダーとセンサーをフル稼働させ、対象の補足に全力をあげる。相手は飛行しているだろうが、応用すれば補足出来る筈……いや、絶対に補足してみせる。
「走査対象を小型に限定した上で、高速移動している物体に絞れば――――」
神姫程度のサイズで街中をわざわざ高速移動するような物体など、早々無い筈だ。だから障害物や対象物が多い繁華街でも絞りこめば……
「――――見つけたぁっ!!!」
およそ200m先、大通りに沿うように走っている裏通りを疾走している機体が1機。店内で逃げ去るときに一瞬見えた、巨大な尻尾が生えているようなシルエットは見間違えようがない。
『そこの飛鳥型ッ!止まれ、止まらないと撃つ!』
神姫間無線で呼びかけるが、相手側……飛鳥からの応答はない。
「ターゲット・ロック……証拠隠滅ッ!!!」
『ちょ、ちょっと! にゃあ゛っ!?』
これある事を予期していた私は説得を早々に放棄し、『レネット』の両脇から馬上槍の様に突出した、2丁のLC3レーザーライフルを、地表へ向けて最大出力で一斉射。そして地表はたちまち粉砕されたコンクリートの欠片と埃の噴煙に包まれる。
「――――チッ」
だが命中の手応えはない。その証拠に、すぐに噴煙の中から脱出してくる飛鳥の姿があった。
「あ、貴方こんな街中でBモードで使用するなんて、何考えてますのっ!?」
回避行動の結果速度を落とした飛鳥へとダイブして、一気に急接近しその前に回りこむ。
「それはこっちのセリフだッ!今すぐカメラを渡してもらおう、さもないと……!」
進路を塞がれ急停止した飛鳥を思い切り睨みつけるが、相手は飄々とした表情のまま此方に対峙してくる。
「それって、コレの事かしら?」
そう言うと彼女はハンディカム型のカメラを取り出し、持っている手をひらひらと振ってこれみよがしに見せ付けてくる。
「そうだ、今すぐソレを寄こせ。貴様に後ろめたい所が無ければ何も問題なく見せられる筈だ!」
「あら、いいですわよ?」
「そうだ、最初からそういえば。……って、え?」
てっきり拒否されるものと思って身構えていたのだが、以外にもアッサリと認めた事にいささか拍子抜けしてしまう。
「少々お待ち下さい。……完了。どうぞ、カメラですわ」
彼女はカメラのパネルを開けて中から何かチップのような物を取り出し、チップを抜いたカメラを此方へポイと捨てるように放り投げてきた。
「――――今、何をした?」
コツンと私の脛に当たり、そのまま地上へ落下していくカメラ。……自分の頬がビキビキと引きつるのがよく判る。
「ちゃんと『カメラ』を渡して差し上げたのですわ。中身に関しては何も伺っておりませんから、コレはどう処理しようとわたくしの自由の筈でしてよ?」
そう微笑むと彼女はちろりと出した舌に輝くチップをのせ、見せ付けるようにゆっくりとした動きで舌を口の中に収め、ニヤリと口の端で薄く笑う。その人の神経を逆撫でするような、挑発的で人を蔑む様な瞳を見た瞬間、私の理性はプツリと限界を超えた。
「なっ!?」
「ちょwまwww」
何か色々と悲鳴のようなものが聞こえてくるが、気にする暇など今の私にはなく、商店街大通りを駆け抜けてゆく。更にヘッドセンサ・アネーロの対空レーダーを少しでも有効に生かす為、相手の神姫を相対的に高高度に置いて補足するべく、低空を人波をすり抜けるようにして飛行する。」
「……――――反応無し。高高度には……いないのか」
アネーロに追加設置してある透過式バイザーにレーダーを始めとする各種情報が表示されていくが、少なくとも上空にはその神姫は存在しないようだ。
「ならばっ!」
レネットの背中に設置された2基のエクステンドブースターを最大出力で噴射させ、一気に高高度へ上昇をかける。
「障害物が多いが……これくらいっ」
私の得意分野は空対地戦闘だ。そしてその為に更に強化された対地レーダーとセンサーをフル稼働させ、対象の補足に全力をあげる。相手は飛行しているだろうが、応用すれば補足出来る筈……いや、絶対に補足してみせる。
「走査対象を小型に限定した上で、高速移動している物体に絞れば――――」
神姫程度のサイズで街中をわざわざ高速移動するような物体など、早々無い筈だ。だから障害物や対象物が多い繁華街でも絞りこめば……
「――――見つけたぁっ!!!」
およそ200m先、大通りに沿うように走っている裏通りを疾走している機体が1機。店内で逃げ去るときに一瞬見えた、巨大な尻尾が生えているようなシルエットは見間違えようがない。
『そこの飛鳥型ッ!止まれ、止まらないと撃つ!』
神姫間無線で呼びかけるが、相手側……飛鳥からの応答はない。
「ターゲット・ロック……証拠隠滅ッ!!!」
『ちょ、ちょっと! にゃあ゛っ!?』
これある事を予期していた私は説得を早々に放棄し、『レネット』の両脇から馬上槍の様に突出した、2丁のLC3レーザーライフルを、地表へ向けて最大出力で一斉射。そして地表はたちまち粉砕されたコンクリートの欠片と埃の噴煙に包まれる。
「――――チッ」
だが命中の手応えはない。その証拠に、すぐに噴煙の中から脱出してくる飛鳥の姿があった。
「あ、貴方こんな街中でBモードで使用するなんて、何考えてますのっ!?」
回避行動の結果速度を落とした飛鳥へとダイブして、一気に急接近しその前に回りこむ。
「それはこっちのセリフだッ!今すぐカメラを渡してもらおう、さもないと……!」
進路を塞がれ急停止した飛鳥を思い切り睨みつけるが、相手は飄々とした表情のまま此方に対峙してくる。
「それって、コレの事かしら?」
そう言うと彼女はハンディカム型のカメラを取り出し、持っている手をひらひらと振ってこれみよがしに見せ付けてくる。
「そうだ、今すぐソレを寄こせ。貴様に後ろめたい所が無ければ何も問題なく見せられる筈だ!」
「あら、いいですわよ?」
「そうだ、最初からそういえば。……って、え?」
てっきり拒否されるものと思って身構えていたのだが、以外にもアッサリと認めた事にいささか拍子抜けしてしまう。
「少々お待ち下さい。……完了。どうぞ、カメラですわ」
彼女はカメラのパネルを開けて中から何かチップのような物を取り出し、チップを抜いたカメラを此方へポイと捨てるように放り投げてきた。
「――――今、何をした?」
コツンと私の脛に当たり、そのまま地上へ落下していくカメラ。……自分の頬がビキビキと引きつるのがよく判る。
「ちゃんと『カメラ』を渡して差し上げたのですわ。中身に関しては何も伺っておりませんから、コレはどう処理しようとわたくしの自由の筈でしてよ?」
そう微笑むと彼女はちろりと出した舌に輝くチップをのせ、見せ付けるようにゆっくりとした動きで舌を口の中に収め、ニヤリと口の端で薄く笑う。その人の神経を逆撫でするような、挑発的で人を蔑む様な瞳を見た瞬間、私の理性はプツリと限界を超えた。
「――――人を……無礼るなあああああ!!!!!」
ブチッ!!!とあまりのショックに、頭の回路が何本かショートしたような気がする程の怒りの感情が、火山の大噴火のように一瞬で大爆発を起こす。
「ブラッディ…………ブレイクッ!!!!!」
「ちょっ!?――ッ」
そして怒りに身を任せたまま、背中のユニットに収納されていたパイルバンカーを手に、全ての推力を全開にして、あの飛鳥の澄まし顔目掛けて突き抜ける!
「ブラッディ…………ブレイクッ!!!!!」
「ちょっ!?――ッ」
そして怒りに身を任せたまま、背中のユニットに収納されていたパイルバンカーを手に、全ての推力を全開にして、あの飛鳥の澄まし顔目掛けて突き抜ける!
……そして強烈な落雷のように鋭く重い破砕音が周囲の空間を切り裂き、周囲は白煙に包まれた。