武装神姫SSまとめ@wiki内検索 / 「ワタナベ3号」で検索した結果
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ワタナベ3号
9匹目 『ワタナベ3号』 「なにするにゃー!? 狙いが違うにゃー!」 頭を抱えた疫病猫の絶叫が響く。 ノートパソコンの画面を砕いたワタナベ3号のロケットパンチ 『遺憾の意』 は見事、表示されっぱなしだったカシヨのプライバシーを隠すことに成功した。 ……モニター叩き割るってどんだけ威力があるのよ。 あれが私に向けられていたらと思うと、ゾッとする。 神姫があんなものを食らったらひとたまりもないじゃない、なんてものを持ち出してくるのよ、あの疫病猫。 せめてちゃんと手懐けてから出しなさいよ。 いや、手懐けていたら今頃粉々になってたのは私だけど。 「どうしてくれるのにゃ! パソコンがにゃいとワガハイの計画が頓挫してしまうのにゃ! 言う事を聞くにゃワタナベ3号、オマエが狙う的はあっちにゃ!」 そう言って、疫病猫は私を指差した。 「ちょっ!? あんなの当たったらひとたま... -
ワタナベ3号 vs キャッツアイ
10匹目 『ワタナベ3号 vs キャッツアイ』 ゲイルスケイグルの名を改めた(だけの)矛、アメノヌボコを下方に向けて構え、重力を付加してワタナベ3号の頭部めがけて急降下する。 武装が身体から剥がれそうになるほどの、際限のない加速。 「『サガタガヘヤサカ!』」 この技は気持ち悪くなるし少し怖いからあんまり好きじゃないけど、私が持つ技の中で一番威力が高くて速い。 あと50センチというところでワタナベ3号に気づかれたけど、もう遅い。 「次は絶対外さない!」 あと10センチ――そこで唐突に、貫くべき頭を見失った。 「うええっ!?」 ギインッ! 直前まで頭部があった場所、固くて平な板に矛が突き立った。 ちゃんと着地できたけど、今の私だと地力以上の速度が出るから着地の衝撃も過度なものになって、脚が痺れて立ち上がれない。 人間大のワタナベ3号の、無駄に広い肩の上に跪いて... -
良きかな
...猫に分解調査されたりワタナベ3号に踏み潰されるよりはマシです」 「テンションアゲアゲだったもんにゃ、オマエ。 そんにゃことじゃ長生きできにゃいにゃよ」 「だから誰のせいだと……もういいです。 疲れました。 一歩も動けないです。 二人とも私を家まで運んでください」 「ワガハイここんとこ徹夜続きだったからにゃ、あんまり充電できにゃいで今日のこれにゃから、もう動けないのにゃ」 「俺もだ」 「どうするんですか、このままだと――ほらもう、日が昇っちゃったじゃないですか」 「眩しいにゃあ……」 「ああ……」 「心が洗われるようにゃあ……」 「ああ……」 「二人とも、そのまま天に召されて下さい」 「召されるのにゃらヴァルハラに行きたいにゃ。 一度でいいからヴァルハラ温泉に入ってみたいのにゃが、おお、丁度ここに戦乙女がいたにゃ。 格安バスツアーとかやってにゃいのにゃ?」 「温... -
15cm程度の死闘
...M.』 9匹目 『ワタナベ3号』 10匹目 『ワタナベ3号 vs キャッツアイ』 11匹目 『良きかな』 < 与太話 > 与太話1 : 再販 与太話2 : スマブラ 与太話3 : 第一次戦乙女戦争 与太話4 : 偽りの装甲 与太話5 : 参上! 正義の戦乙女!! 与太話6 : 第二次戦乙女戦争 与太話7 : 週刊少年ジャンプのように 与太話8 : ロストデイズゲーム 与太話9 : トントン 与太話10 : TVアニメ化に喜ぶ戦乙女 与太話11 : 祝! アニメ第一話放送開始! 与太話12 : 人間になるには 与太話13 : あぶないマシロ刑事 与太話14 : 能力って何かね 与太話15 : 小ネタ二つ < コラボ > 消えた犬とカツカレー これは明石食堂がテレビで紹介された、少し後の話。 最強って何かね (... -
『猫戦乙女の憂鬱』登場キャラ達
...ゲージ使用) 『ワタナベ3号「遺憾の意」』 641236 + D (LP30%未満、5ゲージ使用) ●性能 移動回避技の『ねこまっしぐら』とゲージ技『自作パッチ強制インストール』を除くすべてのコマンド技でストライカーを呼び出す、他力本願もとい設置系キャラ。 呼び出すストライカーにも当たり判定が存在し、攻撃を受けると同キャラを呼び出す技はしばらくの間使えなくなる。 ストライカーは異なるキャラであれば一度に複数呼び出すことが可能であり(例えばホムラを呼び出した直後にアマティを呼び出してもホムラの行動がキャンセルされることはない)、カグラ本体の貧弱な性能をカバーできる壁を作れるかが重要になる。 ストライカーの攻撃は癖が強いものの総じて強めで、『ワタナベ3号「遺憾の意」』に至っては発生は遅いものの一撃必殺であり、相手だけでなくこちらにも攻撃が当たるため呼び出すと同時... -
G.P.M.
...トプチマスィーン 『ワタナベ3号』 の恐ろしさを身を持って知ることができる初の神姫とにゃるのだからにゃあ!」 「もうプチマスィーンでも何でもないわよこれ! どのへんがプチなのよ!」 思わず取り乱してしまうくらい、私の前に仁王立ちするヒトの形をしたロボットはデカい。 とにかくデカい。 想像の斜め上とかじゃなくて、私の想像の上限を突き破るくらいデカい。 大人の人間くらいあるんじゃないの、これ。 人間大と言うと見慣れているように思うけど、子供向け戦隊もののロボットのような外見のせいで特撮の世界に紛れ込んでしまったように感じて、必要以上に大きく見えてしまっている。 そしてそれだけデカいのに、肩の上の首にあたる部分にちょこんと乗ってるプチマスィーンの頭部は普通サイズときた。 アンバランスを通り越して、首なしロボットにしか見えない。 驚くほどデカくて、それ以上にキモい。 『ね... -
『十五セn(ry』登場キャラ達
...かってきたが、今回はワタナベ3号をけしかけてくる。負けるとゲームオーバーになる点は変わらないため注意。 ★背比 弧域 / セクラベ コイキ 所持神姫 / エル ●付加効果 『主人公補正(Ⅰ)』 『ラストブレイブ』 『装備購入資金 -80%』 ★エル / 戦乙女型アルトレーネ 称号 / もうイロモノなんて言わせません! ●技一覧 『デーモンロードクロウ』 236 + B or C 『ブレードジェット』 623 + B or C (入力後キー方向へ移動、大剣一本以上装備時) 『エインヘリヤルの弓』 214 + B or C 『ワルキューレの呼び声』 412 + B or C 『武装切り替え』 22 + B or C 『ゲイルスケイグル』 41236 + C (1ゲー... -
アマティ、キレる
...の壁》―― ワタナベ3号 ――《ギガントプチマスィーン》―― オスカル、アマティ(MOA) ――《無双の壁》―― レミリア、フランドール、カシヨ ――《歴戦の強者の壁》―― エル、ニーキ(イルミ)、メル、ホムラ ――《エース級の壁》―― カグラ、オネ、グランティス、ヴェルカ、ストレルカ ――《凡百の壁》―― アマティ(通常) ――《武装と非武装の壁》―― ミサキ 次ページ『不思議の国の姫乃』 15cm程度の死闘トップへ -
第二十五話 俺がメリーで私がアキラさんで 中編 ~女神様の憂鬱~
第二十五話 「俺がメリーで私がアキラさんで 中編 ―女神様の憂鬱―」 ※※※ 城ヶ崎玲子の仕事場兼住居は、横浜市内の小さなマンションの一室にある。 六畳間ほどの部屋には、ベッド、パソコンラックと小さなテーブル、それから床中に散乱した電子機器のコードや、片づけられていない衣服。かなり雑多な印象を受ける。 「ふーふーふーん♪ ふぅーふぅーふーん♪」 玲子は回転いすに座って、何やら上機嫌でキーボードを叩いていた。服装は薄い紫色のキャミソールにショーツという、少々刺激的というかだらしない恰好。パソコンにつながったクレイドルが時折赤く発光し、扇情的な陰影を浮かび上がらせる。 「……玲子、少しうるさいわ。静かにして頂戴」 玲子の右手、ベッドの頭の方から声がかけられた。アテナが、玲子に図書館から借りてこさせた本の上にまたがって読んでいるのだった。彼女の周囲だ... -
水那岐のファースト・コンタクト
「…どうしましょう…」 斗小野水那岐は悩んでいた 手にしているのは桃色の箱とラベンダー色の箱 このたび発売された新型MMS「ジルダリア」と「ジュビジー」である 発表されて以来惚れ込んでいて、最初に来て貰うのはこの子達にしようと心に決めていたのである 桃色の箱をじっと見つめる 「…ジルダリア…可愛い…」 ラベンダー色の箱をじっと見る 「…ジュビジーも…可愛い…」 一見すると、女子高生がバイト代を貯めてようやく買えるようになって悩んでる様だが、彼女の財力をもってすればこの店にある全てのMMS関連商品、いや店ごとを買い占める事も容易である だったら二つとも買えばいいじゃんと思うかも知れないが 『部長、いきなり2体も買うのは無茶ですよ。どちらかにしてくださいね』 と、香田瀬に釘を刺されてしまったのである 「…どっちも可愛い…でも選べるのは一人…香田瀬君のいぢわる…」 も... -
3rd
同日同所 「軍曹?」 格納庫の前に腰を下ろして二体に簡単なメンテナンスを施していると、テキサスが俺を見上げて 何か聞きたそうに口を開く。 「軍曹とか少将って皆、なんで名前の後に別の名前を持ってるの?」 「円滑な命令系統を運営する為って座学で習ったじゃない……」 無垢な目で先日教えたばかりのことを聞いてくるテキサスに、手の中でメンテナンス中のモンタナがため息をつきながら答えた。 「んー、じゃあボク達は?」 「兵器に階級はないよ」 モンタナの股関節の間に挟まった砂を綿棒で掻きだしながら答えてやると、テキサスが不満そうな声をあげた。(それとほぼ同時にモンタナが艶かしい声を上げた。) 「ボクもそういうのが欲しいなぁ」 物欲しげにこちらを見上げてくるテキサスの目線の先にあるのは、胸元のマジックテープに貼り付... -
7th
同日 20:30 アフガニスタン南部 パキスタン国境付近 ポイント216 “テキサス『特技兵』” 「モンタナちゃんが!?」 軍曹がモンタナちゃんにトラブルが起きたのを教えてくれたのは、銃声から数分後のことだった。 《通信が途絶えたが上空から確認できる限りIRビーコンは途絶えていないし、武装勢力の連中も気がついてない。恐らく何かの隙間に飛ばされたんだろう》 「だったら早く助けに!」 上空のシャドーは位置を教えてくれるだけで、相棒の状態はわからない。 《いや、モンタナの状況が把握できない以上『全損』の可能性も視野に入れる。 モンタナの任務を引き継げ。今ならまだ警戒が強化された様子もない》 「でも!」 《これ以上の議論の余地はない。 夜明けにパキスタンに逃げられたら手が出せなくなる。 急げ》 ボクは唇をぎゅっとかみ締めると次... -
5th
同日 20:00 アフガニスタン南部 パキスタン国境付近 ポイント216 “テキサス『特技兵』” 《合流はせずに、予定通り建物の中を確認しろ》 モンタナちゃんがチラッとこちらに視線を向けると手を振ってきたので、思いっきり振りかえしてあげる。 《テキサスちゃん……もしかして、わざとやってる?》 もう一度、振り返ったモンタナちゃんが一瞬驚いたような顔をしたあと。なんだろう、とってもげんなりした感じ。 「えっ、何?」 《もういいよ。とにかく、そっちの明かりが漏れてる建物から順に調べてね》 そういうとモンタナちゃんは崩れた土壁の隙間に体を滑り込ませる。 「変なモンタナちゃん」 相棒がどこか変なのはいつものことだし。とりあえず土壁をよじ登り、明り取りの窓から中を覗くと…… 「ハイヤー! フナドゥカスーヤ」 ... -
4th
2035/12/14 19:50 アフガニスタン南部 パキスタン国境付近 “合衆国陸軍デルタ作戦分遣隊 ジョシア・ラミレスニ等軍曹” 「付近に動きなし、観測を開始します」 護衛が周囲に展開したのを確認してから、先に侵入しているモンタナとテキサスとのシステムリンクを開始する。 「ビックダディーよりモンタナ エンド テキサス 通信状況を確認する 状況を報告せよ 送れ」 《モンタナ異常ありません》《テキサスもテキサスも!》 二体は武装組織の幹部連中が数十年近く根城にしているといわれている廃村に単独潜入している。 この作戦がうまくいけばこの長い派遣にも終止符が打てるかもしれない。 そういった類の作戦で、ブルー・ウイング作戦と呼称されている。 「Five by fiveだ。 落ち着いて作戦に集中しろテキサス、モンタナは現状を監... -
第4話 リスタート・デイズ
「……なんか、改めて向き合うと緊張するもんだな」 「そうですわね」 家に着き、俺とヒルダは自室で向かい合っていた。何故か正座で。 ヒルダは居間に置かれている座卓の上に座りながらこちらを見上げていた。 バイザー越しなので視線は感じ取れないが……ちょっとおびえているようにも見える。……無理もないか。自身の中の別人格を意識的に呼ぼうとしているんだから。 しかしまあ、あれだ。こうやってにらめっこを続けていても埒が明かない。 「……ヒルダ、頼む」 「はい、ですわ」 ヒルダがルナピエナガレットに手をかけ、ゆっくりと外す。 こちらを見据えた蒼い目は瞬きをした瞬間に紫水晶へとその色を変えた。 「……あら。ワタクシを貴方自ら呼びだすなんて、めずらしいですわね」 あきらかに居丈高な口調。そして高圧的な態度。 間違いなく、「裏」のヒルダだ。 ... -
第4話 ショーテンズ・レイン
「……なんか、改めて向き合うと緊張するもんだな」 「そうですわね」 家に着き、俺とヒルダは自室で向かい合っていた。何故か正座で。 ヒルダは居間に置かれている座卓の上に座りながらこちらを見上げていた。 バイザー越しなので視線は感じ取れないが……ちょっとおびえているようにも見える。……無理もないか。自身の中の別人格を意識的に呼ぼうとしているんだから。 しかしまあ、あれだ。こうやってにらめっこを続けていても埒が明かない。 「……ヒルダ、頼む」 「はい、ですわ」 ヒルダがルナピエナガレットに手をかけ、ゆっくりと外す。 こちらを見据えた蒼い目は瞬きをした瞬間に紫水晶へとその色を変えた。 「……あら。ワタクシを貴方自ら呼びだすなんて、めずらしいですわね」 あきらかに居丈高な口調。そして高圧的な態度。 間違いなく、「裏」のヒルダだ。 ... -
長屋の住人:神姫サイド
登場人物 神姫サイド 名前:ジュリ(ジュリエット) タイプ:侍型 種別:ガラ悪い 備考: 慎之介に拾われた神姫1号。真っ赤なタテガミの様な髪が特徴。 マスターである慎之介とタメを貼るほど口が悪い。 態度もそれなりにでかいが、感受性が強く意外に繊細。 一切の武器管制能力がないため、バトルには出られない。 数年前はファーストランクにいた。 名前:ノゾミ/カナエ/タマエ タイプ:猫型 種別:にゃーにゃーにゃー 備考: 慎之介に拾われた神姫2号/3号/4号。 悪質な改造により言語中枢に障害があるため「にゃー」としか言えない。 よって、コミュニケーションは筆談中心(当人達は会話できる)。 頭の回転がよく、機転も利くがその分肉体面はトロい。 しかもあくまで3人セットでないと全力が出せないので、バトルは苦手。 不良の原因調査のため、とある研究所に行って以来... -
Gene14おまけ
Gene14の暗黒非合法軍団パート1(パート2と合体だ!) ルカ:イルカ型ヴァッフェドルフィン 装備:キナに貰ったなんか劣化ウラン弾頭っぽい(マジ!?)スナイパーライフル それと邪っぽいものに当たるっぽいビミョーな狙撃術 キナの妹分というだけでも危険な香りMAXなのに、全くの無自覚で行く先々に大混乱を引き起こす人呼んで人間・・・もとい神姫台風さん。1話中に爆発オチ2回ってありえないし!しかも良く見てみると、ホントに彼女悪い事はしてないからタチ悪い!! なお、「ちゃうねん」で気付いた人もいるかもだけど、今回のモチーフさんは「あ○ま○が大王」のあのひと(笑)。それから「うちき」というヘンな1人称は、作者が以前「アニキとかアネキとか言うよね? じゃあ自分を指すときは・・・うちきとか?」というアホな思い付きが由来(え~) ヒメガミちゃん:19歳ヒノカミコーポレーション社長... -
花乃二重奏
花乃二重奏 『それでは、予選Iグループの第三回戦を行います!』 ワアアァ! という程では無いが、それなりの歓声が起こる 『今回が初の公式戦でありながら、一回戦、二回戦を鮮やかに勝利した可憐な妖精、花乃!」 試合開始の合図を受け、花乃をヴァーチャルポッドにエントリーする 『対するは、蓄積された経験とスキルで試合をコントロールしてきた苦労人、カオリ!」 相手の兎型神姫もポッドにエントリーされる 「…あれ…あの人…」 対戦相手のマスターをじーっと見る水那岐 「…あ…遊園地で…」 「あ、あの時はとんだ御迷惑を…」 ペコリと謝る相手 彼こそは以前、香田瀬と水那岐が某巨大遊園地で遊んでいた時に水那岐をナンパしようとしてSPにボコられた男Bこと喜田川(きたがわ)であった 「…いえ…お怪我は…」 「ああ、それは大丈夫です」 「なに、あの時の怪我はナンパしてお仕置きされ... -
2nd
2035/11/23 17:42 アフガニスタン南部 合衆国陸軍104前線基地 “合衆国陸軍デルタ作戦分遣隊 ジョシア・ラミレスニ等軍曹” 上官。いや、上官も上官。 目の前に座っているのはアフガン派遣軍の最高指揮官であるマイケル・D・E少将、そしてここは彼のオフィス。 俺は緊張で押し黙り、少将がゆっくりと書類に目を通すのを見つめていた。 「画像の精度が粗いな……航空映像はプレデター2で充分だろう」 あれから約一ヶ月。天使型がモンタナ、悪魔型のテキサスと命名された二体の玩具はキルハウスでの演習で、民需用の玩具のプロトタイプとは思えないほど優秀な成果を上げている。 問題は…… 「サイズ的にプレデター2ほどの超望遠高精度カメラは搭載できませんからね、やはり地上での運用を前提に使用した方がいいと思います」 そう、モンタナの飛行機能が軍の要求水準に満たないのだ。... -
「はるか遠くの始まり」
第2幕「はるか遠くの始まり」 神姫には三つの心がある。そしてその心とは別に頭脳がある。心と頭脳を繋ぐのは、それらに情報を与える肉体である。 神姫にとってボディー、コアパーツ、そして三つのCSCは不可分であり、その三種のユニットが分断される事は機能停止を伴う。 そして一度停止に至った神姫は記憶、経験等が全てリセットされ、再びその個性を取り戻す事は無い。 たとえ全て同じパーツを使用したとしても。 ――心を司るCSC。 過去に記録を宿していながらも真っ白になったその心を、新たな肉体に埋め込まれた神姫は一体何を思うのだろうか。 結城セツナの新たな武装神姫、焔はそういう境遇にいる神姫である。 焔がセツナの元で目を覚ましてから約3週間が過ぎた。 例の事件の際にセツナを救ったとある少女からの連絡を受け、晴れてセツナは自由を再び満喫できるようになっていた... -
第6話 デュエル・プリンセス
「――思っていたよりもはるかに早く見つかったものですわね」 ヒルデガルドはトライクをバトルモードへと展開。両足で大地に立ち、副腕のコントローラを握りしめる。 「貴女、索敵能力に優れた装備でも持ってらっしゃいますの? どうやってワタクシを見つけられたのか聞きたいものですわ」 「まさか。私がヒルダちゃんに会えたのは流石に偶然なのですよー。もっとも、ある程度のアタリはつけてましたけどねー」 地面に降りるリーヴェ。そしてにっこりと笑う。 「ヒルダちゃんが家出したとなると、理由は明白。最近の負け越ししか考えられないのですよー。となると、ヒルダちゃんは勝つために幸人ちゃんの元から離れたことになります。ですが、ここの辺りではヒルダちゃんは有名すぎますからねー、いろんな意味で。なので少なくともこの街から出なければ神姫バトルなどできようはずもないのですよー。この街のどこ... -
アクシデント
アクシデント 「しっかりしろひじりん!」 「ケンちゃん…なんとかならない…?」 俺の呼びかけに嘆きの声を上げるひじりん 事の発端は、鳳凰カップにどうしても出たいとひじりんが言い出した どうにか部長を説得し、鳳条院の爺様の計らいで許可を貰った(部長は関係者なので通常は出場出来ない)のだが… 「申し訳ありません、水那岐様、健四郎様。私がついていながら…」 「いや、花乃ちゃんのせいじゃないよ」 もっと特訓がしたいと、ヴァーチャルシステムから抜け出して勝手に第二実験場の検証施設に侵入し、手近にあった試作品をダミーに持たせ、レベルも適当に設定して対戦してしまったのだ その結果、LV80の超硬合金製の長刀を持ったダミーの猛攻を受け、キュベレーアフェクションはボロボロ、ひじりん本人も右腕及び右大腿切断の重症を負ってしまったのだ 「…ひじりん…無茶をいっては…いけません…元々…自... -
Gene22 田ミ屋
それは、ハコニワの中の闘争。タイトな戦場でせめぎ合う、ブレーキを知らないマシン達。 『さあっ! 今日もレースの時間がやってまいりましたーなーのだー! 今日は前代未聞の大戦カード、なんと神姫VS神姫のタッグマッチなーのだー!! おまけに複勝馬券はレート2倍なーのだー!』 コンパクトなボディ、張り詰めたスリックタイヤ。情熱の、甲高いモーターノイズ。 『赤ぁ~コーナぁー!! 本店の名物コンビ、爆走姉妹レム&ポー!!! マシンはお馴染みマグ○ムセイバー、ソニッ○セイバーなーのだー!』 「ポー、調子に乗って突っ走るなよ」 「わかってるぜレム姉貴! 俺達なら楽勝だぜ!」 『対する青コーナー、白馬でダークホースな白黒コンビ、トゥールー&飛蘭コンビ! なんと今日が正真正銘初レースなーのだー!! マシンはキャノ○ボール&シャイ○ングスコーピ○ン!!』 「初レースって、今日初め... -
第1話 ヴァイザード・リリィ
剣と剣がぶつかり合う音が、廃墟に響き渡る。 片刃の長剣、エアロヴァジュラでと長槍の破邪顕正をはじきあげ、HMT型イーダ・ストラダーレ――個体名ヒルデガルドは距離をとった。 対する侍型紅緒――個体名藤代は地面を蹴り、こちらに一気に距離を詰め、長槍を突き出してくる。体勢を立て直す暇を与えないつもりのようだ。 『エアロチャクラムで受け流せ』 「はいですわ!」 マスターからの指示を受け、ヒルデガルドは左側のエアロチャクラムを瞬時に操作する。 パンチを打つように突き出したエアロチャクラムの表面装甲を破邪顕正が薄く削りながら流れていった。 ――西暦2036年。 第三次世界大戦もなく、宇宙人の襲来もなかった、現在からつながる当たり前の未来。 その世界ではロボットが日常的に存在し、様々な場面で活躍していた。 「そこっ!」 藤代... -
ねここの飼い方、そのじゅういち
「随分と貫禄と重厚さがありますね」 聳え立つ新居、それはヨーロッパ調の豪華なホテルのようで 「当然よ。本場モノだし、アンティークだしね」 「でもユーレイとか出そうなの☆」 「そうねぇ、出たら凄いわねぇ」 縁起でもない事言わないで下さい二人とも…… ねここの飼い方、そのじゅういち 「ね、二人とも自分のお部屋欲しくない?」 そう姉さんが言ってきたのはまだ寒い冬の日でした。 「と、言われますが既にお部屋を頂いているのですが……」 私は炬燵に入りながら、ねここにみかんをあーんと食べさせてあげながらそう返答する。 そうなのだ、私とねここは姉さんの部屋の一角に家具などを持ち込み部屋に仕立て上げて使っている。。 「いやいや、まぁあのお部屋には違いないんだけどね。色々と神姫用のサイズじゃないと何かと不便かな、と」 「そう仰られればそ... -
6th
同日 20:15 アフガニスタン南部 パキスタン国境付近 ポイント216 “モンタナ『特技兵』” 「嘘でしょ?」 迂闊だったとしかいいようがない。 まぶしい光に光学補正をかけると、数人の男がアサルトライフルでこちらを狙っているのがわかりました。 「小人?」 私が混乱している以上に彼らも混乱しているようで、撃つか撃たないかの判断に給しているようです。 《大丈夫か?》 「問題ありません、ラミレスさん。些細なトラブルです」 無人機越しに、この状況を見ているのであろうラミレスさんにそう答えながらも、私は少々あせっていました。 私くらいのサイズなら、動き回ればまず当てられない。そう思考回路は判断すれども体が動きません。これがいわゆる恐怖で、硬直という状態なのでしょうか? 「妖精なら撃つわけには……」 「しかし、もしも... -
ねここの飼い方、そのよん
『さて今宵始まります!本センター大晦日年越し企画、特別リーグトーナメントぉ!サードリーグの部ぅ、開幕だぁ! 』 「…ぅーん」 『初戦はなんとぉ!あの鶴畑3兄弟の末娘、鶴畑和美嬢がなんと~っ、特別参戦! 同じく特別参戦、来期発売の当社新製品でもある騎士型MSSのジャンヌと共に、その華麗な血筋の力をみせつけてくれるのかぁっ!』 「…ぅにゅう、なんかうるさいの」 軽快なアナウンサーの実況が無理やりにでも場を盛り立てようとしているようで。 『その対戦相手はぁ!今年デビューしたての新人、風見美砂嬢~! そして猫型は標準装備が一番愛らしい!ねここのポテンシャルはどこまで発揮されるのか!』 「そうねぇ、年末の思い出作りのつもりが何でこんな事になっちゃったのかしら……」 何故か私たちは広い会場のど真ん中にある特設ステージの舞台に立つ羽目になっ... -
激突!女の子?
激突!女の子? 鳳凰カップ決勝一回戦第五試合 鳳凰カップ第五試合 基本装備のジルダリア『花乃』と近接特化装備の『弁慶』の対戦は、誰もが花乃が優勢だと思っていた 空中から狙撃、それで終わる。みんなそう考えていた だが現実には─ 「おらおらっ!」 パンパン 「くっ…」 キィン 空中へと跳躍した弁慶が花乃へ向けハンドガンを放つ その弾丸をかろうじてモルートブレイドで弾く花乃 落下を始める弁慶。だがアーミーブレードを箪笥へと投郭して足場を作り再び花乃へ向け跳躍、その際に首輪型アンカーで刺さったを回収し、再び攻撃を仕掛ける 既にハイパーモードへのモードチェンジを可能にするだけのエネルギーはチャージされているが、弁慶の絶え間ない攻撃を避けるのに精一杯でチェンジする余裕など与えては貰えなかった 「もう少しがフィールドが広ければ…」 「…嘆いても…フィールドは…広が... -
激突!女の子?(凪版)
凪さん家の弁慶ちゃん 激突!女の子?(凪版) 鳳凰カップ決勝一回戦第五試合 ________________________________________ 鳳凰カップ第五試合 基本装備のジルダリア『花乃』と近接特化装備の『弁慶』の対戦は、誰もが花乃が優勢だと思っていた 空中から狙撃、それで終わる。みんなそう考えていた だが現実には─ 「堕ちろ…」 パンパン 「くっ…」 キィン 空中へと跳躍した弁慶が花乃へ向けハンドガンを放つ その弾丸をかろうじてモルートブレイドで弾く花乃 落下を始める弁慶。だがアーミーブレードを箪笥へと投郭して足場を作り再び花乃へ向け跳躍、その際に首輪型アンカーで刺さったを回収し、再び攻撃を仕掛ける 既にハイパーモードへのモードチェンジを可能にするだけのエネルギーはチャージされているが、弁慶の絶え間な... -
第九話 「鶴畑の末姫、登場!」
初めまして! 私は天使型MMSのビアンカと申します。 マスターの持つMMSの中では一番新しく入った、5番目の神姫です! 今日は、マスターが私の服を買ってくださるそうです。とても嬉しいです! 「あ~あ、かったりいかったりい…かったりいなぁ!何でアタイがたかだか服選びなんざに一緒に 付き合わなきゃなんねーんだよ!」 コニーお姉さまは、煙草(偽物です。自分で作ったんですって)を銜えながら文句を言ってます。 「コニー!文句言わないの!お姉さんになったんでしょ!」 「へいへい…。」 ヴェルお姉さまに怒られちゃってます…。 12月、もうすぐ来年がやって来ます。街もクリスマスの装飾で一杯です。 お姉さま達も、冬の装いです。 ヴェルお姉さまは、デニムのジーンズに白のダッフルコート、コニーお姉さまは黒のニット帽に 黒のタートルネックの上にミトンの付いたコート、ニーソ... -
「心の指し示す場所」
第5幕「心の指し示す場所」 焔は自問自答を繰り返す。 ワタシはご主人の意に適っているのか? と。 出る答えは決まっていた。 海神の代わりたる自身はその代理としての役目を果たさなくてはならない。 以前であれば、そこで思考は終わっていた。 だが、 はたしてそのワタシの思いは、ご主人の求めるものと同じであるのか? それこそ以前であったなら、その答えを「是である」と言えただろう。 しかしそこで焔は思う。 ならばなぜワタシはフブキではないのか? 普通の感覚で答えれば「フブキは限定品だから」で片付く問題である。が、結城セツナという少女は、自身が自室から一歩も外出する事なく、現在発表されている全てのMMSを手に入れるだけの環境を持っているのだ。 そんな、ある種の特権を持つ彼女に、「限定品だから」というだけの理由でフブキを入手できないはずがあるのだろうか?... -
アスカ・シンカロン12
夢現で思うのは幼馴染の少年の事。 何故だろうか、食い違ってしまったのは。 (こんな筈じゃ無かったのにな) 多分、“私”はあの悪魔と契約をしたのだ。 覚めて行くまどろみの中で飛鳥はそう思う。 バッテリーの充填率は3割。 充分だ。 飛鳥の巡航速度は人が走るより速い。 今から出てもまだ間に合う。 まだ、北斗を守れる。 「きっとその為に、私が此処に居るんだ」 本来ならばバッテリーのチャージが終わるまで、決して起きるはずの無い武装神姫が目を覚ます。 それは別段超常的な事ではなく、万に一で起こりうるただのバグ。 ただ、それがココで起きた事はほんの微かな奇跡。 飛鳥は未修復の千切れた右腕を押さえながら、夜の空に翼を広げる。 「行かなくちゃ!!」 私が待ってる。 アスカ・シンカロン12 ~賑禍~ ... -
第5話 ラン・アウェイ
裏のヒルダはすさまじいまでのストレスを抱えていた。 「――っ!!」 PCの中にあてがわれた仮想空間の中で手近にあったゴミデータを蹴飛ばす。それは他のデータやパーテーションにぶつかりながらもゴミ箱の領域へと飛び込んで行った。 「――ふーっ! ふーっ!」 肩で息をして、己の中にたまる内圧を下げようとするが、到底下がる気配はない。 その原因は当然、彼女のマスターにあった。 「あの男――ッ! ワタクシの戦いを邪魔するなんて、どういう了見ですのッ!?」 この一週間、戦った回数は二〇を超えたが、そのうち勝ったのはわずか三度。あとは全て彼女のマスターである幸人によるサレンダーで黒星となっている。 しかもそのうち二度は勝ったのは表のヒルダであるため、彼女はバトルに参加すらしていなかった。 実質、自身の手で勝ったのはたったの一度である。 ... -
「意思の同調状態」
第7幕「意思の同調状態」 TEPY SAMURAIのボディーを使用してはいるが、コアパーツにはTEPY DOGの物を取り付けている。ならばTEPYで呼称するのであればその神姫はハウリンであろう。 例えその殆どを紅緒のもので武装したとしても、やはり顔がハウリンならばそう呼ぶのが妥当ではないか。 大本がどうであれ、判別する為の材料としてまずコアパーツを見るのであれば、いくらその個体の大部分がTEPY SAMURAI 紅緒だとしてもそれは紅緒になりえない。 結城セツナの所有する武装神姫、焔はそういう位置に立つ神姫である。 そのバトロイは、圧倒的で劇的な、そんな結果を伴って終了に向かっていた。 戦いには相性というものが少なからず存在する。簡単に言ってしまえばジャンケンの様なもの。 グーはチョキに勝てるが、パーには勝てない。 実際はそこまで単純な話ではない... -
シィル雪姫
シィル雪姫 ぶっちゃけ序盤はさっくり削除してシィル雪姫は「3度の食事を作りどこもかしこも綺麗にする」という条件で 7人(?)のプチマスィーンズの家に匿って貰える事になりました。 「端折りすぎな気もするけど、まぁいいや」 今日もシィル雪姫はプチマスィーンズの部屋の片づけです。 「え~と、これはここで、こっちはこうで、この子の秘蔵本は隠し場所に戻して……」 等と甲斐甲斐しくも働いていると 「ひひひ、誰かいますかな?」 ドアを叩く音と一緒にしわがれた声がしました。 ドアの外にいたのは老婆、ま、言わずと知れているとおりシィル雪姫の義母である兎子女王の変装した姿なのです、彼女は手にした毒リンゴでシィル雪姫を抹殺して世界で一番可愛い神姫になろうと…… 「……ナレーションによる悪事の暴露は結構です、元ネタはオチまで誰でも知ってるんだから」 ほんのちょっぴり、ナレーターに向けて毒吐いてから、兎子女王は... -
ある日のミッシェル
ある日のミッシェル D「説明乙」 場所:ミッシェル二階、一般開放スペース「ふれあいルーム(笑)」 少佐:……なんだ、この壮絶な「やっちまった感」は? 大尉:気にしたら負けです 曹長:あれ? いつもと文体が違う気がするでありますが? 一等:活動記録に手抜きが生じているみたいです、そのせいで会話ログだけみたいです…というか、わたしの名前が「一等」って…兵はどこへ? B:それこそ気にしたら負けよ……さぁ、大人しく日常を過ごす作業に戻るんだ 千尋:……どこかに出かけたいな…… 一等「抹茶ヂェリー?」 場所:特殊部隊自室 D:和風好みの私としては、逃せない一品だ 一等:……それと、わたしが拉致されたのは何の関係が? D:私達の中で一番の機動力を持っているのは一等兵のみだ……わかるな? 一等:わかりません。わかりますが、わかりたくありません ... -
第8話 狐は夢幻に消ゆ
家の机の前で、俺はある奇妙な残骸を見つめていた。 「まだその残骸に執着してますのね。いい加減見苦しいのではなくて?」 「うっさいな。そもそもお前これのおかげでどんだけ勝ち星挙げれたと思ってんだよ」 俺が見つめていたのは、二ヶ月前、リーヴェに完敗を喫したヒルデが最期に破壊された武装――両手首に装着されていた、やや大型の袖状パーツである。 素体の前腕をすっぽりと覆うデザインのそれは、それぞれ展開することで右腕のそれで電力を吸収、左腕のそれで放出できるという代物だった。 ヒルデが脱走騒ぎの際、自身のバッテリー事情を鑑みなかった理由がこの装備にある。これさえあれば、コンセントの無いような超ド田舎まで逃走するか、自身のバッテリーの寿命が尽きるまで行動できるのである。 また、バトルの際はヒルデが相手を手篭めにするときに相手の電力と力を奪うのに使用していた。 実際は... -
「其の求める名は」
最終幕「其の求める名は」 起動直後の神姫は、最低限のパーソナリティーを有しながらもまっさらな状態で目を覚ます。 それはコミュニケーションをも目的とした玩具、道具であるからである。 余談ではあるがそれは、十数年前まで流行していた育成シミュレーションゲームに取って代わる原因でもあった。 たとえ一度起動したものだとしても、原則的に別のオーナーの所有物になった時点で全ての蓄積されたデータは消去される。新たなオーナーと、新たな関係を作り出すために。 では、この何も加えられてはいない記憶領域に、過去に蓄積された別の神姫の記録をコピーされるとどうなるのだろう。 もちろん、その過去の記録の所有者になるはずは無い。 最低限の個性が、初期段階で生まれているのだから。 しかしそれは、本当の意味で初期状態の個性から派生する人格と言えるのだろうか。 結城セツナの友人となった武装神... -
第十話 やって来た小町娘
第十話 「やって来た小町娘」 キーンコーン、と規則正しいチャイムと共に、みんなが起立した。 「起立、礼」 「よし、じゃあ今日やった分はちゃんと復習しておくようにな」 数学の先生が教室を出て行った後、帰る準備を整えていると、 「おい水野。これからみんなでサッカーやるんだけどさ、一緒に来ないか?」 と、戸川君が声をかけて来た。 「あ、えと、今日はいいよ」 「えー、なんだよ、また塾か?」 「うん。ごめんね」 「まあいいや。次は来いよな」 そう残して戸川君が離れていく。戸川君はスポーツが得意で、気さくな性格もあって女子から人気だ。そして、バトロンもけっこう出来る。 せっかく誘ってくれるのに悪いなあ、と思いながら教室の出口まで歩いて行く。 すると。 「水野君」 後ろからだれかが呼んだ。 「あ、璃子ちゃん」 そこにいたのは... -
第八話 ボヌールからの挑戦状 前編
第八話 「ボヌールからの挑戦状 前編」 テレビで紹介されてからというもの、ちょくちょく遠方からのお客が増えてうれしい反面、前よりも少し忙しい。 まったく忙しいったらない。だが休んでいてはいかん。お客のニーズに合わせたものを作る精神が必要だ。 「で、これは何よ?」 「あ? ネバネバ丼だよ。ちょっと作ってみた」 オクラと納豆などをご飯にのせたもの。それがネバネバ丼だ。ヘルシーで健康にいい。 「そんなの知ってるわよ。なんでこんなの作ったのよ」 「人の心を読むんじゃない。ってのは置いといて、まあ何だ、新しいメニューでも考えてみようかと……このオクラ、とろろ、納豆の絶妙なコンボが」 そう言ったら、雅がしゃもじでどんぶりをひとすくいして、そいつを俺の口めがけて投げ込んできやがった。 「もがっ!?」 「余計なことすんじゃないわよ! 材料の無駄でしょう... -
日記その二 〈後編) それぞれの恐怖
「……無残だな…」 「……無残だねぇ~」 イベント会場であるバトルシステムがある中央ホールではなにやらバトルがおこなわれていた 片方は俺と同じく臨時神姫バトルレクチャー教室の先生役をしている雄也である となれば相手は生徒だよな? でもどう見たって… 「おされてるよなぁ~」 「おされてるよねぇ~」 そうなのだ、俺の目から見ずとも明らかに裕也のほうが劣勢なんだわ 「……手加減してんのか?」 ほんとにそうならレクチャー教室の先生役としては尊敬物だな ………俺は嫌だけど 「どうやらそうじゃないらしいよ?」 そういいながら俺たちの後ろにやってきたのはユーナだった 「あれ? ユーナ、久しぶり! どこいってたの?」 「ほんと久しぶりだぜアネキ、今回も外で客の呼び込みかとヒヤヒヤもんで…」 「なにいってんだ... -
「視線を移した先」
第4幕「視線を移した先」 友人、結城セツナとその新しい神姫、焔がお互いにうなだれ、そして気まずそうな雰囲気を醸しているのを見た式部敦詞は、それでもその二人に声をかける事をためらった。 そこには自分が立ち入っちゃいけない何かがあると、直感したのだ。 だがさりとて、友人をそのまま放っておける性格でもない敦詞は、少し思案した後に携帯を取り出した。 一番最初に焔と交わした約束を、セツナはとうとう守る事ができなかった。 いや、それこそ初めから無理難題ではあったのだから、それを遂行できなかったセツナに落ち度があったわけではない。 年が明けて最初の登校日を迎えた朝も、焔は未だサード・ランクに名を留めたままであった。 あの日、敦詞ときらりに負けてから、セツナと焔の関係はギクシャクとしたままで、無論そんなコンディションでは勝てる戦いも逃してしまう。 勝率は一気に下... -
閑話休題:其の8、後日譚
<閑話休題:其の8、後日譚> 頭からデビルバニーの最期の表情が離れない。 自我など無い筈なのに、どうして別れの言葉を自分に向けて放ったのか。 そう聞かされたから信じていたけど、本当に自我の無い神姫だったの? 「アナタガ ワタシヲ コロシタ」 違う、暴走を止めただけだ。 「アナタハ ジブンノチカラヲ タメシタカッタダケ」 あの戦闘を心地よく感じていたのは事実。 ならば私は自分の愉しみの為に、バニーに自我がある事実に気付かないフリをして、力を振るって満足感に包まれていただけなのか。 『何してる馬鹿、避けろ!』 私の心を削るかのように、相手のガトリングより放たれる弾丸が、手を足を削り取っていく。 そうだった、確か今は試合の最中だったんだ… 薄れ行く意識の中、大きな光が迫ってくるのが見えた。 当然の如く試合に負けた訳だけども、私を諌めるどころか、師匠は... -
番外その一 ヂェリー・パニック・アンド・ラブ
番外その一 「ヂェリー・パニック・アンド・ラブ」 大都会、東京の銀座。 欲望渦巻くこの街の片隅で、恐るべき計画が進行しているのであった……。 「ぬふふ~、やっと届いたですう。このヂェリーさえあれば、愛しのメリーさんはわたしのものに……!」 茶色いダンボール箱を開け、毒々しい色のヂェリカンを取り出したのは、そう、恋するラブリーテンタクルスことノワールですう。皆さんお元気してるですか? え? このヂェリカンは何かって? よくぞ聞いてくれたですう。 これはその名もズバリ、『気になるあの子を一発キャッチ! ハート・イグニッション・ヂェリー』なるものなのです。つまりは人間の言うほれ薬ってところですかね。インターネットを見ていたら、面白そうだったからつい買ってしまったのです。てへ。 使い方は簡単、何と対象となる神姫に飲ませるだけ、十秒ほどで気... -
チェイング!
「チェイング!」 「マスター、新しい戦法を取得しました!」 「ん?何だ?青鳥子」 「敵を驚かせ、的確に撃破する戦法です」 「?…やってみろ」 「はい!」 「レインボーフラッシュ!」 「は!?」 閃光に包まれる青鳥子 「チェイング!」 閃光が晴れるとそこには武装状態の青鳥子がいた 「一つヒーロー数ある中で! 名乗り始めた… 「二つ富士山ひとっとび!」 「三つマスt「あーっ!ずるいーっ!」 振り向くとさっきまで居なかった赤鳥子と黄鳥子がいた 「そのセリフはワタシが言うの!」 「黄色は3分経たないと出て来ないでしょ!」 「ここは『悪裂!』でやらないと!」 「アニメじゃほとんど使ってないでしょ!」 そう、こいつらは『ウイングマン』の大ファンだ。 具体的には青がアニメ『夢戦士ウイングマン』の、赤が原作、黄がどっちでもない、だ。 ... -
ねここの飼い方・光と影 ~エピローグ~
『……それでは次のニュース。昨夜S市運動公園において発生しました、謎の爆発についての続報です』 『どうなんでしょうね北川さん。一説には核融合レベルの熱量が観測されたとの報道もありますが』 『この事故に於ける被害は現在の所……』 『いやぁ、そんな事はないでしょう。しかし周辺のケーブルが全て断線している所を見ますと、落雷など何らかの高電圧による負荷が……』 『はい、此方現場です! 見てくださいこの惨状を!?』 病院のロビーに設置された大型の立体TVが、往来の人々に対して延々とニュースを流し続けている。 ねここの飼い方・光と影 ~エピローグ~ 一瞬とも永遠とも思える時の流れ。 私の意識はまるでカンナで薄く削り取られるように、ゆっくりと徐々に拡散していく。 人間は死ぬと魂が抜け出し、その魂は天に召され輪廻を繰り返すという。ならば神姫は……?... -
戦うことを忘れた武装神姫-43
戦うことを忘れた武装神姫 その43 ・・・朝。 目覚ましの音に、久遠はけだるそうに体を起こした。 珍しく、神姫たちの助けを借りずともおきられたな・・・そんなことを考えながら立ち上がり、机上のクレイドルで寝ているエルガを突付いて起こす。 「おはよう、エルガ。」 ゆっくりと起き上がったエルガは、ごしごしと大きな瞳をこすりながら久遠を見上げると。 「・・・ごしじんさまのことは、にゃんとおよびすればいいでしょうか?」 着替えようとシャツを脱ぎかけていた久遠の動きが止まった。 「ちょ・・・え・・・エルガ・・・?」 「ごしじんさまのことは、にゃんとおよびすればいいのでしょうか」 セットアップの時の、まさに機械的な音声で応える・・・いや、反応するエルガに、久遠の顔色が変わった。 強制リセットがかかったのか、はたまた何かのエラーが... -
第九話 ボヌールからの挑戦状 後編
第九話 「ボヌールからの挑戦状 後編」 高速道路を二体の神姫が駆け抜ける。 「ハハハ! 無駄だよお嬢さん!」 片や車の上を飛び移り、片や車の間を縫って走る。 「くっ……!」 車の屋根から屋根へ飛び移る雅の後を、ソレイユの放ったボウガンの弾痕が追ってゆく。 「しつこい……!」 「落ち着け!」 雅をオペレートしている間にも、 「きゃあっ!」 「それそれです~」 川岸で戦っているメリーを見るのも手一杯になってしまう。 やはり、二体の神姫を同時に指揮するのは無理がある。だが、アンリは全くタイプの違う神姫を使っているのだ。もしや、本当に……。 「……メリー! 一旦離脱だ!」 「ダメですっ! 追いつかれる!」 通常のマリーセレスの武装に加え、アルトアイネスのレッグパーツを装備したノワールは、機動力が上がっていた。 それに加え... -
Gene7 とうふ屋
「マスター、このおとうふ屋さんが“面白い事”なんですの? でも、わたくしはとうふなら杏仁豆腐のほうが好きですの」 「違うよトゥールー、用があるのはここの店主。おじさ~ん! 藤原のおじさ~ん!! 居るんでしょ?」 「・・何だ? 喧しいと思ったらお前か。何丁要るんだ?」 「・・相っ変わらず気が利かないなあ。こんな寂れた店の豆腐買いに群馬くんだりまで来る訳無いでしょ? 用があるのはあっち。乗せてよ。腕は落ちてないんでしょ?」 「・・俺は今乗っていない。配達も他の奴にやらせている」 「Really!? 私が唯一尊敬する男であるおじさんが、遂に弟子を取ったの!? 信じられない!! その甲斐性を最初から見せれば、奥さんに逃げられる事も無かったんじゃない?」 「・・尊敬してる割には容赦が無いよな、お前は。まあいい、乗りたいんならそいつを呼んでやる。おいっ! パンダっ!! お前に客だ!」 「... - @wiki全体から「ワタナベ3号」で調べる