武装神姫SSまとめ@wiki内検索 / 「戦うことを忘れた武装神姫-5」で検索した結果
-
戦うことを忘れた武装神姫
...日常 第05話 戦うことを忘れた武装神姫-5 〜脅迫プレイ 第29話 戦うことを忘れた武装神姫-29 〜バイクのある日常 第39話 戦うことを忘れた武装神姫-39 〜春の使者 第2部・What s Battle style? -It s my Life style. (第06-20話・計15話) 第06話 戦うことを忘れた武装神姫-6 〜Dr.CTaと神姫たち 第07話 戦うことを忘れた武装神姫-7 〜What s Battle style?(前編) 第08話 戦うことを忘れた武装神姫-8 〜What s Battle style?(中編) 第09話 戦うことを忘れた武装神姫-9 〜What s Battle style?(後編) 第10話 戦うことを忘れた武装神姫-10 〜It s my Life Style!(その1 - 台所... -
戦うことを忘れた武装神姫-5
戦うことを忘れた武装神姫 その5 「えーっと、デザインナイフ、デザインナイフ・・・あ、あれ?どこだ?」 デカールの切り出しをしたいのだが、どこを探してもが見当たらない。 ふと、手元に殺気が。。。 横を見ると、すごい形相で俺をにらみつけるシンメイが。 そして、その手には・・・刃を替えたばかりのデザインナイフ。 「・・・。」 「・・・。」 無言の数秒。 「覚悟はできていますか。」 「あの・・・状況が掴めないんですが・・・もしかして俺、脅迫されてます?」 「脅迫ではありません。これは尋問です。」 「じゃあ始めの『覚悟できていますか』ってどういう意味を持つんだよっ!」 「気にしないで下さい。 いいですか、正直に答えて下さい。」 すっとデザインナイフの先端を俺に向ける犬子のシンメイ。 「あなたは・・・私が隠していた最後のエンゼルパイを... -
戦うことを忘れた武装神姫-4 後日談
戦うことを忘れた武装神姫 その4 後日談 第04話・戦うことを忘れた武装神姫-4 の続き。 その日、久遠が帰宅した後の話であります。。。 お土産のプリンを賞味ながら、食後のひととき。昨夜の件を 他の神姫達に話すと、皆一様に驚いた。 「へー、リゼって歌が上手かったんですね。」 とシンメイ。 「もう、別にそんなに上手いわけじゃないんだから・・・。」 照れながらも嬉しそうなリゼ。 「ねえねぇ、なにか歌ってよ。」 エルガがリゼの腕を掴んで懇願する。 「え、えー、じゃぁ・・・マスター、あのCDまだあったよね? いいかなぁ。。。」 「ほいきた。」 さっとCDを用意し、さくっと再生。 3曲程をさっくりと歌う。 ・・・上手い。 ・・・こりゃぁ・・・デビューできるんでない? ・・・ってくらいに上手い。 拍手喝采。赤面し、照れに... -
戦うことを忘れた武装神姫-2
戦うことを忘れた武装神姫 その2 焼きそばの調理にかかる。 具は冷蔵庫にあったキャベツとニンジン、魚肉ソーセージであっさり済ませることにした。 「んじゃ、野菜をよろしく。」 でんとキャベツを乗せたまな板の前に武装状態で構えるは、猫爪型のエルガ。 「千切り?みじんぎり?それとも、つま切り?」 「・・・角切りでいいってば。」 「にゃっはー、冗談ですよー。」 冗談でも勘弁して貰いたい。まぁ、そこがかわいいところなのだが。 「せぇの・・・」 小さい躰でありながら、軽々とキャベツ1/4を持ち上げ・・・ 「にゃっ! にゃっ! にゃっ! にゃっ〜!」 ざらららっ。 研爪で、あっという間に角切り完了。 「ほい!」 中華鍋を引っぱり出しつつ、片手で俺はニンジンをポンとエルガに投げる。 「うにゃぁっ!」 飛びかるや否や、... -
戦うことを忘れた武装神姫-1
戦うことを忘れた武装神姫 その1 ある日曜の昼下がり。昼飯に焼きそばを作ろうかと台所で準備をしていると。 かさっ 背後から何やら質量の小さい物が移動する音が。 と、 「・・・侵入者感知。レベル2に移行しますがよろしいですか?」 俺が振り向くより先に、テーブルに座る神姫が反応していた。 音の発生源を凝視するは、ウチが飼っている神姫の一体、吼凛型のシンメイ。 「レベル3まで許可する。 つーか、処理任せてもいい?」 「了解しました。」 俺がそう言うと、さくっと武装を装備し、蓬莱壱式を持ち出す。 シンメイが模擬弾を部屋の隅へと打ち込んだ。侵入者をおびき出すためだ。 弾を打ち込むや否や、黒い影が飛び出した。 「目標、確認しました。」 侵入者は慌てふためき、逃げようとする。相当足が速い。しかし。 「ターゲット、ロックオン・・... -
戦うことを忘れた武装神姫-3
戦うことを忘れた武装神姫 その3 珍しく早く帰宅できたので、玄関先でバイクの点検整備。 ワイヤ、オイル類のチェック、グリス塗り込み等々・・・うむうむ、良い良い。 「・・・何をされているんですか?」 工具箱の上に、アーンヴァル型のイオがいつの間にか腰掛けていた。 「見ての通りだよ。俺の愛車の整備。」 「マスターはマメですね。」 「マメっつーか・・・しばらくほっらたかしだったからね。いい加減可哀想で。」 「この子も、マスターに愛情を存分に注がれているんですね・・・。」 「愛情・・・でいいのかなぁ、この場合も。」 「いいんです、きっと。」 そう言いながら、そっと月明かりにイオの笑顔が浮かぶ。 柔らかな笑顔に、俺もほっと一息。 「うーん、イオもずいぶんと成長したねぇ・・・。来た頃なんて、まずひとりで 外に出て来ることなんか無かったのに... -
戦うことを忘れた武装神姫-4
戦うことを忘れた武装神姫 その4 時刻は午前2時を廻った。・・・寝付けない。 仕事のプロジェクトが行き詰まりかけたところへ、顧客からのクレーム・・・ 追い打ちをかけるように、猫子のエルガが自損事故(包丁で左腕切り落とし)で知人の修理工、ちっちゃいもの研のDr.CTaの所へ明日まで入院。。。 考えれば考えるほど目がさえる。 明日も仕事がある、何とかして、少しだけでも眠りたい・・・。手を伸ばして酒を探る。うん、これでいいかな・・・。 ぐはっ!! 喉が熱い! 慌てて灯りを付けてラベルを見れば・・・USSRウォッカ・・・っ! と、すっと水入りのカップが出てきた。 「・・・何やってるんだよ。ほれ、飲みな。」 つい最近、世話になっているDr.CTaの紹介で転がり込んできた黒子のリゼが、あの背中の「腕」を器用に使いこなし、運んできてくれたのだ。 「あ、ありがとう... -
戦うことを忘れた武装神姫-30
戦うことを忘れた武装神姫 その30 とある街の片隅。 集合住宅の一階テナントにちょこんと入っている、ごく ごく小さなバイク屋。。。 店内には1990年代のロックが響く。 整備台 には、ハイブリッドバイクの先駆けとも言われる大型のアメリカンバイクが。 ツナギを着た、この店唯一の「ニンゲン」がセルスイッチを押す。 キュキュキュ・・・ キュキュキュ・・・ どぅん! どどどどど・・・ ・・・ぼすっ 「あ。」 マフラーから黒煙を軽く吐き出し、エンジン停止。 「ほら、止まった。 言ったとおりだろ?」 かのメカニックが呟くように言った。 すると、シートを外したあたりで何 やら部品がモゾモゾ動いた。 そこから出てきたのは・・・ 「やはりセンサーの不調でしたねー。あたしもまだまだ・・・ ドクターの 目... -
戦うことを忘れた武装神姫-40
戦うことを忘れた武装神姫 その40 時間はそろそろ18時を廻ろうとする頃。 紫色の初秋の夕暮れを背景に、色とりどりの灯りで飾られ浮かび上がる街。 行き交う人々も、クルマも、すべてが迫る夕闇の街に溶け込み、今日もまたあたりまえの景色を作り出していた。 そんな景色を切り抜く大きなキャンバスのようなショーウインドゥに・・・黒いバイクが風の如く映り込んだ。 今ではすっかり旧式となり、見ることも少なくなった久遠のバイク。 独特のメカノイズに振り返る人はいるものの、やはり都心とあってかさして珍しがって足を止める人もいない。 きれいに整備さた久遠のバイクは、シュラウドにも街の表情を映しこみながら、混みあう国道を軽やかに駆け抜けてゆく。 今宵の久遠は出張帰りであろうか・・・。 ジャケットの胸ポケットからは、マオチャオのエルガがぴょこんと顔を出し、夜風に緑色の髪をなび... -
戦うことを忘れた武装神姫-6
戦うことを忘れた武装神姫 その6 ・・・Dr.CTa。久遠とは大学の同期であり、両人とも腐れ縁を認めている。 Dr.と付くだけあって、所属する会社に於いてはそれなりの地位にあり、特にロボット工学では相当の研究成果を出してはいる才女・・・なのだが、その実は「腐女子」だと陰で囁かれている。 そんな彼女の手元には、サイフォス型の「ヴェルナ」と紅緒型の「沙羅」の、2体の神姫が住み着いている。しかしこの2体、顔が・・・明らかに通常のタイプと違う。 「雨、降ってきたっすね・・・。」 デスクで打ち出されたデータとにらめっこするCTaの脇で、コーヒーの缶に腰掛けた沙羅が、窓の外を見ながら呟いた。 「うむ。確か今朝の予報では、降水確率は70%だったな。」 ちらりと目を窓に向け、再びデータの山に向かうCTa・・・と、彼女の袖をヴェルナが引っ張っていた。 「マスター、そろそろ休憩の... -
戦うことを忘れた武装神姫-26
戦うことを忘れた武装神姫 その26 ・・・その25の続き・・・ 再び、久遠のグラスの氷がカランと鳴った。 「・・・すまないね、『ゼリス』のことを答えるはずが僕の昔話で終わってしまったようだ・・・。」 「いえ・・・それで十分です。」 すっかり氷も解け、なかば水割りになろうとしているグラスを久遠はすっと飲み干した。 ヒトと対等に意思疎通ができる、ちっちゃいけれど頼もしい存在。 「死」すらも、恐れることなく正面から向きあえる程の強い存在。 ヒトに愛され、ヒトを愛することができる、優しく、温かな存在。 - ヒトは何故、「心」を持つこの「存在」を造り出したのか - うつむいたまま、ドツボにはまったかの如く黙り込んでしまった久遠。と、彼の目の前に新しいグラスが差し出された。 「・・・。」 はっとした久遠、見ればグラスを差し出... -
戦うことを忘れた武装神姫-39
戦うことを忘れた武装神姫 その39 暖かな夜。 持ち帰った仕事が終わり、ふと見回せば・・・先ほどまでちょろちょろと走り回っていた神姫たちはもうお休みの時間。イオとリゼは仲良くひとつのクレイドルで、エルガは相変わらずのぬくぬくこたつで、シンメイは俺のベッド上に置いた試作の布団型クレイドルでニヤニヤとした笑みを浮かべて・・・。 机周りをざらざらと片付けてコップ2つ分のスペースを開けて。 静かに置くは、親父が旅行の土産で買ってきてくれた余市のシングルカスク20年の小瓶と、昨夏に俺が小樽で買ったショットグラス。 工作加工用具・資材に仕事の資料と、散らかりきった机の片隅。 蒼色のグラスに琥珀色の液体を注ぐと、ほのかな香りが嗅覚を刺激した。 そっと傾けて、口の中に広がる香りと、時を含んだ味を、ひとり静かに愉しむ。 もうひとくち飲んだところで椅子をリクライニングさ... -
戦うことを忘れた武装神姫-8
戦うことを忘れた武装神姫 その8 ・・・その7の続き・・・ 「・・・ロクな武装神姫にならないとは聞き捨てならないなぁ。」 振り向いた久遠は、M町センターのトップランカーに言った。 「別にこいつらは戦わせるだけが全てじゃないんだし。俺に言わせりゃ、あんな戦い方をする神姫こそロクでもない育ちをしている思うんだけどな。」 「言いたい事いってくれるっすねぇ、オッサン。」 と、言われたときだった。 「ヌシさんをオッサンと呼ぶなー!! このクサレ神姫使いがー!!!」 久遠の肩の上でリゼが叫んだ。あまりの声の大きさに周囲の目が一瞬にして彼ら に集まる。 側ではかえでがどうして良いのかオロオロ・・・。 「り、リゼ・・・肩の上では大声出すんじゃない・・・。」 片耳を押さえもだえる久遠。元々、耳が良い久遠にとってはかなりのダメージのようで、しきりに頭を振っている。一方... -
戦うことを忘れた武装神姫-28
戦うことを忘れた武装神姫 その28 ・・・鳳凰カップ初日。 大勢の人でにぎわう企業ブースの一角に、久遠と彼の神姫たちが居た。 バトルにあまり熱心でない彼らにとっては、むしろこちらの物販だの展示だのがメイン・・・。 やがて彼らは東杜田技研のブース前へ到着。物販コーナーではどこかで見た顔・・・ 「あれ? かえでちゃん。 何してるの?」 久遠のポケットから、リゼが声をかける。 「ふ、ふええぇ~! 久遠さん、助けてくださぁ~い!!」 商品の補充をしながら半泣き顔のかえで。 聞けば、はじめは試合に出るつもりでいたのが、いつの間にか東杜田技研のアルバイトとしての参加になり・・・ 「私たちもこの有様です。」 これまたげっそりした顔で、かえでの肩に乗るフィーナ。技研の名の入った神姫サイズのジャケットを着用し、手には「先行販売・受付」と書かれたプラカード。 「にゃーん、エル... -
戦うことを忘れた武装神姫-32
戦うことを忘れた武装神姫 その32 <<その31から。。。<< 久遠の前で、神姫サイズの椅子に腰掛けて向かい合うあずさとリゼ。 「・・・私の型番は型式無しの『Type-91』。 武装タイプとクラリネットタイプの合いの子、とでも言ったところでしょうか。」 「え、き、91型?!」 リゼの目が驚きで丸くなった。 「あら、ご存知でしたか。」 「ヌシさんから聞いた事があるんです。 はっ! もしかして・・・あずささんが、ヌシさんが話していた・・・」 「そういうこと。 今日、お前だけを連れてきたのも、あずささんに会わせるためだったんだよ。」 手元のチェイサー(水のこと)を含んだ久遠が口を挟んだ。 「すみませんね、あずささん。 ちょいとリゼの反応を見てみたかったというのもあって。 リゼも予想通りの反応で安心しましたよ。」 久遠の言葉にちょっぴりむくれるリゼ。 「そ... -
戦うことを忘れた武装神姫-42
戦うことを忘れた武装神姫 その42 ・・・初雪が噂される、12月24日の神姫センターで開かれた、公式のクリスマスイベント戦で、鬼神の如く、次々と勝利を収めるツガルの姿があった。 1戦終えるごとに、ツガルのマスターは装備のメンテナンス・調整を短時間で行い、すぐさま次の試合に送り出す。 フィールドに戻ったツガルは、再びツガルらしからぬ荒々しい、しかし華麗なバトルを展開し、わずかな時間でまた1勝を上げていた。 数年前のある日。 レンガ造りを模した建物にテナントで入る神姫ショップのショーウインドウに、武装神姫のディスプレイとして、ツガルが仮起動状態でそっと置かれた。 どうやら昨年は、アーンヴァルが同じ場所に置かれ、仲間の道しるべとなるべくこの任務をこなしていたらしい・・・。AIは起動しているツガルは、準備する店員の会話を聴きながら、初めて見る外の世界にワ... -
戦うことを忘れた武装神姫-20
戦うことを忘れた武装神姫 その20 ・・・その19の続き・・・ フィーナの次のオーナーは・・・なんとティナのオーナーの、かえで。 CTaにティナのメンテナンスを頼んだ際に、フィーナの話を聞いたかえでは、 その場でフィーナを迎え入れたいと申し出たとか。 もっとも、この流れは CTaの計らいも少なからずあったようだが、リーダーの希望もあったらしい。 そして、リーダーは本名の「フィーナ」として、かえでの元で新たな生活を 始めていた。 「あーっ! リーダー! 元気してた?」 かえでの肩の上の「リーダー」に、リゼは久遠のポケットから顔を出し手を 振って応える。 「もう、リーダーじゃないですっ。 フィーナと呼びなさい!」 と、叱るフィーナの顔は、大変に穏やかな・・・笑顔だった。 その様子に、雑誌社の一人が気づき、カメラマンを含めた数人がやってきた。 ... -
戦うことを忘れた武装神姫-43
戦うことを忘れた武装神姫 その43 ・・・朝。 目覚ましの音に、久遠はけだるそうに体を起こした。 珍しく、神姫たちの助けを借りずともおきられたな・・・そんなことを考えながら立ち上がり、机上のクレイドルで寝ているエルガを突付いて起こす。 「おはよう、エルガ。」 ゆっくりと起き上がったエルガは、ごしごしと大きな瞳をこすりながら久遠を見上げると。 「・・・ごしじんさまのことは、にゃんとおよびすればいいでしょうか?」 着替えようとシャツを脱ぎかけていた久遠の動きが止まった。 「ちょ・・・え・・・エルガ・・・?」 「ごしじんさまのことは、にゃんとおよびすればいいのでしょうか」 セットアップの時の、まさに機械的な音声で応える・・・いや、反応するエルガに、久遠の顔色が変わった。 強制リセットがかかったのか、はたまた何かのエラーが... -
戦うことを忘れた武装神姫-9
戦うことを忘れた武装神姫 その9 ・・・その8の続き・・・ 「ずいぶんと集まってるなぁ。」 CTaとの会合から数日後。久遠は、M町のセンターに居た。 「ネット上でもずいぶんと話題になっていましたし・・・」 久遠のバッグから顔を出したリゼが言うと、同じく顔を出していたシンメイが、 「さっきその辺で、ここ始まって以来の人の入りだ、とかいってましたね。」 と付け加えた。 「・・・。でもまぁ、いい舞台が出来ていると思えばいいんじゃないかな?」 ちょっぴり緊張した面持ちながらも、いつもの口調で受付へと進む久遠・・・。 あの翌日、仕事から帰った久遠はCTaのアドバイス -といっても酔っぱらいのつぶやきレベルだが- を伝えた。 すでに対戦をすることについては皆了承していたものの、久遠同様どうすればよいか、悩んでいた。 だが。 CTaの言葉の意味は、どうやら... -
戦うことを忘れた武装神姫-35
戦うことを忘れた武装神姫 その35 とある休日。 僕はツガルのマーヤと共に昼飯がてら近場の公園を散策していた。 穏やかな天気の午後とあって、公園内は家族連れも多い。 「そろそろ紅葉の季節だね・・・」 僕が言うと、 「・・・朝晩が涼しくなりましたから・・・。」 ポケットに収まるマーヤも木立を吹き抜ける風を感じていた。 ・・・と、突如子供の泣き声が側から響いてきた。・・・やべっ、転ばせたか?立ち止まって振り返る。 なんだ、別に転ばせたりしたわけでは無さそうだ。単に駄々をこねているだけかな。 「あの、おにいさま・・・あれ・・・っ!」 再び歩き出そうとしたとき、マーヤが僕を呼び止めた。 マーヤの視線の先には、ジュビジーが風船にくくりつけられフワフワと上昇しているではないか。 その下では子供が泣き叫び、おそらく母親と思しき女性がうろたえていた。 ・・・おいお... -
戦うことを忘れた武装神姫-25
戦うことを忘れた武装神姫 その25 H市の中心駅から程近い路地裏のとあるショットバー。 久遠は猫子のエルガを傍らに座らせ、ちびちびと酒を呑んでいた。 カウンターと2組のテーブル席しかないこの店の今宵の客は・・・久遠たちだけ。マスターのCDコレクションのジャズが静かな店内を支配する。 エルガはこの店自慢の鳥のから揚げをおいしそうに食している。 「・・・今宵はエルガさんと二人きりですか。」 顔なじみとなっているマスターが聞いてきた。 今日はたまたま、3人ともそれぞれにメンテナンスや泊りの予定が入り、久遠のところにはエルガしかいなかった。 「そうなの! 今夜はにゃーさんと二人っきりなの!」 「おやおや、ずいぶんとうれしそうですね。」 「だってだって、にゃーさんの愛情を独り占めできるんだよ?!」 「やめれって、こっ恥ずかしい。」 「ははは、久遠さんも大変ですね、こんな... -
戦うことを忘れた武装神姫-7
戦うことを忘れた武装神姫 その7 ・・・その6の続き・・・ 神姫オーナーがよく来ることで名のしれた、T市のとある居酒屋。 情報交換の場でもあり、久遠もちょくちょく訪れている。 「・・・で。今日の相談なんだけど。」 カウンター席で、イオの手にしたぐい飲みに自らのコップから酒を分け注ぎながら、久遠が話を切りだした。 「実は神姫バトルする事になっちゃってね・・・」 「なんだ、そんな事か。やっちゃえばいいじゃないか。 あ、オヤジさん、唐揚げ一皿追加ね。」 と、バリバリ食べ物を注文してはモリモリ消費するDr.CTa。 彼女の神姫、沙羅とヴェルナも同様に、どんどん食べている。 「いやー、それがさぁ。M町のセンターのトップとやるんだよ。」 「ふーん。それで? ・・・おねーさーん、生中一杯追加おねがいしまーす。」 「それでって・・・。」 ため息ひとつ、久遠は手元... -
戦うことを忘れた武装神姫-41
戦うことを忘れた武装神姫 その41 係長という肩書きにより、取引先からいただく事が出来た高級ビールが、いくら探しても見当たらない。昨晩まで、たしかにこのテーブルの上にあったのに。 諦めて、麦茶にしようと冷蔵庫へ向かったそのときだった。 がたん、どす! 中身の入った飲料缶が落ちる音がした。 振り返ると、そこには小さなロボットがビールの缶に半ば押しつぶされるかのごとく倒れている。 「・・・ディーニャ・・・ お前、何してたんだ?」 マオチャオ型をベースに東杜田技研で試作されたMMS、type T-TAK「ディーニャ」。 白色に緑色のペイントが施された素体、髪はロングのアップポニー。アタマには大型のはんぺんネコミミを装着し、手にはにくきゅうグローブを装着しつつも、目と口元にはマオチャオの面影が色濃く残る。 ビールの缶をのけて、まだ目を廻しているディ... -
戦うことを忘れた武装神姫 - type_S -07 楽屋
戦うことを忘れた武装神姫 - type_S -07 楽屋 リゼ「どーもー。主演のリゼだよーん。」 イオ「監督のイオです。」 リゼ「この話、細かい設定一切なしなのねん。 皆様で、どういう場面かをどうぞ考えてくださいって方向で。」 イオ「それから・・・マスターが勢いで作ったということなので、お見苦しいこと、どうかご容赦を。」 リゼ「そろそろ本編も進めてもらわないとね。ねぇ、ヌシさ・・・あれ?」 イオ「ふとんの中はマオチャオのぬくもりとか言いながら寝てしまいましたよ・・・」 リゼ「まぁ、いっか。 あたしもヌシさんと寝るー!」 イオ「あ、こら! 監督の私をさしおいて・・・」 かくして、夜は更けてゆく。 <<トップ へ戻る<< -
戦うことを忘れた武装神姫 - type_S -08 楽屋
戦うことを忘れた武装神姫 - type_S -08 楽屋 イオ「こんばんは。今回のお話ではリペイント版として登場いたしました、イオです。あ、塗色ですか?これ、絵の具なんです。」 リゼ「マスターに恋する神姫ってのはよくいるけれどねー。ここまで歪んだ愛を『求める』神姫はそうそういないだろうねぇ。」 イオ「さすがの私も、今回の役は・・・もう二度とやりたくないですよ(苦笑」 リゼ「あはは、そういうと思ったよ。さすがはイオだ。」 イオ「・・・。何か引っかかりますが・・・」 リゼ(汗) イオ「まぁ、いいでしょう・・・ささ、夜も更けてまいりました。それでは・・・」 リゼ「おやすみ~。」 <<トップ へ戻る<< -
戦うことを忘れた武装神姫-31
戦うことを忘れた武装神姫 その31 H市の駅から近い裏通り。 アクリル製の電飾看板に明かりが灯った。 だが、中の蛍光灯が切れかけているのか、なかなかきちんと点灯しない。 ・・・カウンター席が5つとテーブルが2つだけの小さなショットバー。壁一面には沢山のボトルが並べられ、それぞれの存在を示すかのように、電球の明かりに琥珀色の輝きを静かに、しかし美しく放っていた。 本日の選曲は、マスターの趣味で集められたCDコレクションからの80年代のジャズ。。。 と、ジャズのリズムに併せるかのように軽やかな炒め物の音が混ざる。カウンターの片隅でマスターが調理を始めていた。 今日の突き出しは・・・ナッツの炒め物。 カウンター上では、ひとりの神姫が伝票の整理を行っていた。白いボディはアーンヴァルと同じ塗り分けだが配色が空色と藤色。 そして・・・顔はストラーフ。 暗がりで見れば... -
戦うことを忘れた武装神姫-27
戦うことを忘れた武装神姫 その27 ・・・T市のとある居酒屋。 カウンターで兎子を前に酒を飲んでいた男に、隣に座るストラーフを連れた男 が話しかけてきた。。。 ・ ・ ・ -おや、あなたも神姫をもっているのですか。 珍しい配色ですね、なんとも 美しい空色で・・・特殊強化塗装でン万・・・? いやはや、その愛情に脱帽 ですわ。 今日がここは初めて・・・そりゃどうも、どうぞよろしく。 -はぁ、ここには神姫愛好者が多く集まるから情報を集めるにはいいと言われ た・・・ なるなる、そうですか。 ほぉ、K屋のリーグで5位に入賞したの ですか・・・それはおめでとうございます。あの店は強豪が集いますからねー。 -え? ウチ? いえいえ、ウチらはバトルはしないんですよ。造った装備の 試験とかで、草リーグに遊びに出ることはありますけどねー。 ... -
戦うことを忘れた武装神姫-17
戦うことを忘れた武装神姫 その17 ・・・その16の続き・・・ ・・・リゼは、始めから劣勢だった。 気持ちの整理が付かぬまま、サイトウに威嚇されるかの如く急かされて、 ひとまずの武装とその他の袋を持たせただけで試合開始となってしまったの だ。徐々に防戦一方となるリゼを、久遠は腕を組んだまま、黙ってモニター 席で見ていた。 リゼの戦い方に、久遠は勘づいていた。 リゼが、本気で戦えない理由に。 -リーダー、なぜそんな姿で戦うのですか? ・・・相手は、リゼのかつての仲間、リーダーであったストラーフ・・・。 しかし、そこにはリゼの知るリーダーの姿は無かった。アームどころか搭載 できる限界をはるかに超えているであろう様々な武装から、雨あられの如く 繰り出される、力任せとも取れる技と砲撃。地に足を着ければ、建物に仕掛 けられた爆薬... -
戦うことを忘れた武装神姫-36
戦うことを忘れた武装神姫 その36 日付も変わった深夜。 久遠は、自宅から少しはなれたところでバイクのエンジンを切り、押して駐車場へ。静かにバイクを止め、階段をコソコソと昇り、そっと鍵を開けて部屋に入る。 「ただいまー。」 小さく呟くながらキッチンの明かりだけをつけ、ホッと一息をつく。すでに夕食はコンビニで済ませている。 歯を磨きながらシャワーを浴び、着替えを済ませて静かに自室へと入った。 薄暗い部屋の中、それぞれにクレイドルをおいて眠る神姫たち。イオは机の上で標準型に腰掛けて。リゼは和壱型で布団を蹴飛ばし大の字になり、エルガはぬくぬくこたつから頭だけを出して。 だがー。 シンメイが、いない。いつもはこの辺で寝ているはずなのに・・・。 久遠は音を立てぬように、シンメイを捜索する・・・と。 「なんだ、こんなところにいたのか。」 積み上げられた... -
戦うことを忘れた武装神姫-32.5
戦うことを忘れた武装神姫 その32.5 <<その32から。。。<< 「なるほどねー。」 あれから、からくり時計の列車を何度見のだろう。 すでに深夜バスもなく、自宅まで歩いて帰ることにした久遠。 「時を紡ぐ神姫とマスター、と。。。」 星空の下、堤防を歩く久遠の肩では、リゼがあずさから教わった歌 -Cradle of Time- を何度も口ずさみ、美しい歌声が星空へと吸い込まれていく。 ・・・相当の額を呑んだ気がするし、事実久遠の財布は薄くなっていた。 だが、今宵すごしたあの時間は・・・と、リゼの歌が止まった。 「ねぇヌシさん。 あたしも、あずささんみたいなカッコイイ神姫になれるかなぁ。」 呟くリゼの耳には紅色のピアスが輝いていた。 先のヌレヌレのお詫びもあったのだろう、あずさは自らが付けていたガーネットのピアスを、帰り際にリゼに付けたのだ。 「・・... -
戦うことを忘れた武装神姫-16
戦うことを忘れた武装神姫 その16 ・・・その15の続き・・・ 何年前になろうか。 ・・・武装神姫、一般発売。 その翌年、バトルサービス開始。 各地で繰り広げられる熱い戦い、築かれてゆくつながり。ペアが生まれ、 チームが編成され・・・ 楽しむために戦う、仲間と集うために戦う。 そして・・・ 名誉と、賞金のために-。 スポンサーが付き、賞金のかかる試合もぼちぼち増えてきた頃。 とある町の、小さなチーム。彼らもまた、神姫バトルで賞金を稼ぐ者たち のあつまりであった。 彼らは、全員がストラーフのみを所有し、「黒い嵐」とも呼ばれた強豪で あった。 その中で、試合へ出向く神姫たちの、トレーニングをする際の 相手だけを務めるストラーフが居た。 特定のオーナーを持たず、 名前も与えられず。 表舞台へと向かう仲間... -
戦うことを忘れた武装神姫-37
戦うことを忘れた武装神姫 その37 <<その36から。。。<< 外で新聞屋のバッテリーバイクが走り廻る頃。 イオの膝の上で、シンメイは指をしゃぶりながら小さな寝息を立てていた。 「こいぬがえり、と呼ばれている症状のようですね。」 シンメイの頭をやさしく撫でながらイオが続けた。 「極希に、特にマスターを心から慕うハウリンやマオチャオに出現する症状ようです。以前、技研に来たケモテックの技術者の方が言っておりました・・・。」 CTaの所へ遊びに行った際にでも聞いたのだろうか。 「元々ハウリン・マオチャオは寂しがりやなんです。 特にシンメイのような性格だと、寂しさを内にこめてしまう傾向もありますし・・・。」 思い返せば・・・前兆は、確かにあった。 数日前の朝。 普段は食事中にちょっかいを出してくる事がないシンメイが、エルガと一緒に。。。 それだけではな... -
戦うことを忘れた武装神姫-19
戦うことを忘れた武装神姫 その19 ・・・その18の続き・・・ 名無しとリゼの「勝負」は、開始早々から大変な迫力になった。 リゼがポイントへ近づくや否や、トラップが作動。巨大な落とし穴と、左右 の建物の崩壊。加えて何の為なのか疑いたくなるほどの大量の爆発物。 しかし、リゼはパワーユニットを過負荷使用させ、さらには強化されている ボディを駆使し、回避に回避を重ね、砂埃が収まったときには、名無しの前 に無傷のリゼが立っていた。 「・・・流石ですね。 ならば・・・っ!」 トラップがダメと解ると、今度は3次元の移動 -すなわち立体的な移動- を 伴った スタイルで、ランチャーを打ち出す。しかしこれらも優々と回避され てしまう。 次々に隠し武器を掘り出しては撃ち、砲撃し、斬りかかる名無し。 対して、パワーユニットを背負った鈍重なスタイルで、たった一... -
戦うことを忘れた武装神姫-10
戦うことを忘れた武装神姫 その10 ・・・その9の続き・・・ 「両者、神姫をフィールドにセットして下さい。」 ジャッジマシンの音声に従い、久遠はフィールドに歩み寄る。 M町の筐体は、立体フィールドが実際に構築される最新型のCMU-381型。広がるは・・・人間サイズのキッチン。にやり口元に笑みを浮かべる久遠。 「こりゃ初戦は・・・エルガで決まりだな。」 神姫達も異論なし。 「じゃぁ、頼むぞ。」 「にゃーん! まーかせてー!!」 エルガと、各種装備・得物のつまった箱をフィールドの指定箇所にセット。対するサイトウは、2体分の装備を組み合わせた白子をセット。 「両者、準備はよろしいですか? では、フィールドを閉じます。」 フィールドバリアがおろされる。 久遠たちは、モニター席に移動。ここからは指示を出すことも可能で、待機神姫用のクレイドルもある。。。 「... -
戦うことを忘れた武装神姫-23
戦うことを忘れた武装神姫 その23 とある強雨の深夜。 本業の資料作成の締切が間近に迫り、久々の徹夜残業。 打ち出した配布用 資料の最終チェックを・・・と思い目を通していた、その時だった。 「ぅ・・・うわあぁああぁぁぁっっ!!!」 悲鳴を上げて、傍らの和-2型の試作クレイドルで寝ていた沙羅が、叫びと共 に飛び起きた。 あたしも驚き、イスからずり落ちてしまった。 「あ、すんませんマスター・・・。」 「・・・。 どうした、お前がそんなに叫ぶなんて珍しいじゃないか。」 体を起こしクレイドルを見ると、震えながら、まるで雨に打たれて飛べなく なった雛鳥のような目の沙羅があたしを見つめていた。 「今・・・またあの夢を見たっす・・・」 そっと沙羅を抱き上げ、手の上に載せた。 「そうか・・・。」 あたしの手のひらの上でも、こいつのふるえは止まらなかった。 ... -
戦うことを忘れた武装神姫-22
戦うことを忘れた武装神姫 その22 ・・・その21の続き・・・ 「なぁ・・・お前らは、本当におっきくなっちゃっていいのか?」 「?」 久遠の問いかけに、怪訝な表情の久遠の神姫たち。 「ちっちゃいからこそ、出来ることがあると思うんだけど。なぁ、CTa。」 そのとき久遠に振られて、はっと気が付いた。 -なんで、あたしはちっちゃいもの研に入ったんだろう-。 「そう言われてみれば。」 シンメイが腕組みをして考える。 「うにゃー、にゃーは、やっぱりちっちゃいまんまでいいよー。」 と、ぐい飲みの日本酒を飲み干したエルガが言った。 「にゃーは、ちっちゃいからマスターとラヴーなの。 おっきくなったら、 マスターといっしょに出かけられない。 そうすると、マスターのお仕事の お手伝いができなくなっちゃうのダ。」 そういやエルガは最近、久遠の... -
戦うことを忘れた武装神姫-24
戦うことを忘れた武装神姫 その24 最近、正式に「ムサコ神姫センター」との名称になった、M町のセンターの 3階にある大型筐体・CMU-381-M2。 いわゆる草リーグではあるが、中では2vs2の激しい戦闘が繰り広げられて いた。真夏のような草原フィールド、宙を飛び回るダブルツガルに対するは、 ストラーフと猫爪の組み合わせ・・・そう、かえでの神姫。。。 手が加えられ、より軽量となっている装備を活かし、速度で勝負を仕掛けて くるダブルツガル。 対するは、戦略のティナと経験のフィーナ・・・。 開始時は圧倒的な速度に押されていたかえでの2人だったが、やがてティナ が相手の弱点 -装甲の薄さ- に気づき、情報を受けたフィーナはアームの指 先を外して待機。ティナが囮になっている間に、フィーナは草原フィールド の起伏により死角になる位置へと移動した。 「-Tへ。セ... -
戦うことを忘れた武装神姫 - type_S -07
戦うことを忘れた武装神姫 - type_S -07 註:このSSは、完全に勢いだけで出来ています。 「Bring Me to Life」(Evanessence)をイメージ曲としています。 お手元にありましたらBGMとでもしていただければと存じます。 双腕の悪魔と言われたこのあたしも・・・ 今や、迫る闇を恐れる小さな存在・・・ 遠くに聞こえるのは・・・誰の声? あの声は、私のマスターの声ではない・・・ 確かめたいけれど、身体はもはや動かない。 私をこのままに、骸のままにしないで・・・ 暗い・・・怖い・・・ 私を、私を・・・闇が迫るここに置いていかないで!! このまま私は消えてしまうの? 二度と目を覚ますことなく・・・ お願い・・・ もう一度、私の名前を呼んで・・・ マスター... -
戦うことを忘れた武装神姫-15
戦うことを忘れた武装神姫 その15 ・・・その14の続き・・・ 今までにない、変則的なスタイルで勝ちを収める久遠の神姫たち。 そして久遠の付近へ群がるギャラリー。シンメイを迎えに行こうにも、 近づくことが出来ず、店員の手を借りてなんとかフィールドへ到達。 「モードB・レベルF+、解除。および、モードBに音声ロックを。」 セットポイントへ戻ったシンメイに久遠が命じると、右目の色が元に戻り、 動作音も収まった。全能力を対戦闘に投じるモードを解除したシンメイは ふっと一息つくと、 「・・・所要時間6分55秒でした。 目標達成です。」 と言いながら、久遠の手の上へ。 「その計算能力には毎度毎度助けられるよ。 本当にありがとう。」 「べ、別にどうって事はないです。私の出来ることを、いつも通りにこな しただけですから。。。」 ちょっと顔を赤らめるシンメイ... -
戦うことを忘れた武装神姫-38
戦うことを忘れた武装神姫 その38 ・・・昼下がりの会議。 実にだるい。 なんでも、新製品の受注数がさっぱり伸びないんだとか。 あたしは設計側の人間として同席するハメになってしまったのだが、一部の連中がヒートアップしてマーケティングと企画とで水掛け論状態。 新製品は、多機能健康コタツだとか。 全く・・・あたしがあれだけ忠告したのに。こんな無駄な機能満載の製品にしやがって・・・。 本当に売る気があるのかよ・・・。 「だから、より機能を充実させ、付加価値を高めて幅広い層に受け入れられるようにするべきなんだ!」 「違う! もっと調査サンプル数を増やし、厳選した機能にするべきなんですよ!」 それさっきも言ってたよお前ら。。。 あぁもう、アタマ痒くなってきたぞ! あたしのイライラがピークに達したその時。 「多機能高品質が今は求められているんだ!」 「... -
戦うことを忘れた武装神姫 - type_S -01 楽屋
戦うことを忘れた武装神姫 - type_S -01 楽屋 フィーナ「お疲れ様でしたー。」 イオ 「さてtype_S 第一回は、いきなり実験風味だったわけですが。」 リゼ 「な? あたしたちカッコイイだろっ!!」 マーヤ 「あ、あの・・・やられる側の身にもなってくださいよぉ~(半泣」 ヴェルナ「もう。 もっと手加減して下さいっ!! それに最後のLC3!! 私たちの髪までもが焦げましたよっ!!」 イオ 「あら、まぁ・・・ごめんなさいね。」 リゼ 「あとでヌシさんに頼んでケアしてもらおう。久々のバトルシーンだったから、ついつい力が入っちゃってさぁ。」 エルガ 「え・・・にゃーたち、死んでるの?」 イオ 「そういう設定ですね。 マスターの女の子は、ある日のバトルでマオチャオとハウリンをコアまで破壊されt・・・あ。」 シンメイ「いいんだいいんだ、ど... -
戦うことを忘れた武装神姫-12
戦うことを忘れた武装神姫 その12 ・・・その11の続き・・・ 「在庫じゃないんだからああぁあぁぁ!!!」 ひときわ大きく絶叫すると、イオはLC3とツガル装備のHEMLを取り出した。 さらには妙なコードを取り出すと、背中の翼に載る推進器と、LC3・HEMLを接続。右手にはLC3、左手にはHEML・・・それぞれを片手で軽々と扱うその姿は、もはや武装神姫ではなく、武装鬼神・・・!!! 「な、ななな・・・そんなこけおどしが通用すると思っているのか!」 大型の射出型パイルバンカーを取り出し、すぐさま一発打ち出すディサ。だが、撃ち出されたされたパイルは、イオまで到達することはなく「消滅」した。 先端が真っ赤になっているLC3・・・そう、推進器のエネルギーの大半を、両手に持つ得物へそそぎ込み、機材の限界をはるかに越える弾を撃ちだしているのだ。そして、エネルギーの... -
戦うことを忘れた武装神姫-34.5
戦うことを忘れた武装神姫 その34.5 <<その34から。。。<< 「いってーーー!!!」 CTaの計らいで、処置のためアンテナショップの控え室へ引っ込んだ久遠の第一声。 右手、なんとか出血は止まったものの、容赦ないほどに腫れ上がっていた。 「これ、どうするんですか? マスター・・・。」 消毒液を持ってきたイオも、びっくりして目を丸くしている。 「こんなに腫れちゃって・・・痛くないんすか?」 「ドゥルシラ触るな! 痛いって言ってるだろっ!!」 苦笑いしつつ左手でドゥルシラを引き離す久遠は右利き。利き手がダメになっているわけで・・・と。 「マスター、腫れが退くまで、私たちがマスターの右手になりますよ。」 イオが、まだ涙顔のエルガを慰めながら声をかけてきた。 「にゃーもお手伝い・・・ひっく・・・するの・・・えぐっ・・・」 「だー!泣くなー!! ... -
戦うことを忘れた武装神姫-18
戦うことを忘れた武装神姫 その18 ・・・その17の続き・・・ 「ぬっふっふ・・・」 装着した機械のスイッチを入れるリゼ。 キュイイィィィ・・・ サイズに似合わない、妙に迫力のある動作音がフィールドに響いた。 「あーっ! リゼ、いつの間にぃ?!」 謎の機械を搭載したリゼの姿に、エルガが声をあげた。 「なんだ、あれは。」 「あれー? にゃーさん知らないの? リゼとにゃーで作った、サブパワーユニットにゃの。 CTaねーさまに持って行かれちゃったと思っていたんだけど、予備も作ってたみたいにゃのだ。」 「あぁ、この前発売延期になった、アレの原型かぁ。」 CTaに振る久遠。 「そうそう。ま、形かえて出すつもりだけどね。 さーて、リミッター無しのプロトタイプ、どれだけの能力があるか、見せてもらおうかねぇ。」 腕組みをしながら、いつの間にかモニター... -
戦うことを忘れた武装神姫-13
戦うことを忘れた武装神姫 その13 ・・・その12の続き・・・ 「おつかれー! いやー、お見事!」 シールドが解除され、久遠がイオに手をさしのべる。イオは酒瓶を片手に持った まま恥ずかしがりながら駆け寄ろうとするが、瓦礫に足を取られ見事転倒。さら には、手にした酒瓶の栓が開いてしまい、頭から酒をかぶってしまう。 「ふえぇ・・・やってしまいました〜。」 半泣きで酒臭いイオの姿に、わき上がる笑い。と、かえでが、ギャラリーをかき 分けて近づいてきた。その姿に先に気づいたイオが、 「はじめまして、かえでちゃん。 お話はリゼから聞いています。ちょっと変な 形にはなっちゃったけど、敵はとったつもりです。」 酒臭いまま久遠につまみ上げられ、かえでにご挨拶。かえでは目を輝かせていた。 「すごかったです、イオ・・・さん! あんな技、見たことも聞いたことも無い で... -
戦うことを忘れた武装神姫-21
戦うことを忘れた武装神姫 その21 珍しく悩んだ数日だった。 そして、あたし自身にとっても、大きな数日となった。 ・・・事の起こりは、朝の来客だった。 「はぁ・・・時間はありますが・・・?」 久遠以外では、久しぶりのアポ無しの訪問客。 なにやら神姫絡みのハナシ だという。 大方、修理依頼かデータ解析とか、そんなモノだろう・・・と 考えていたのだが。 応接室で待っていたのは・・・ 「お忙しい中時間を割いていただき、誠にありがとうございます。」 明らかに日本人ではない、しかし顔を知っている人間・・・ 「フェレンツェ・カークランド博士?!」 「おお、どうも。私の名前をご存じでしたか。 貴女がCTa博士ですね?」 と、差し出す名刺。紛れもなく、本物のフェレンツェ・カークランド。。。 「は、博士のような御方が、なぜここへ?」 「いえいえ、そうかしこま... -
戦うことを忘れた武装神姫-11
戦うことを忘れた武装神姫 その11 ・・・その10の続き・・・ 「『おめざめはおたま』、かぁ。。。ありゃ俺でも痛いし。神姫だったら下手すりゃ致命傷になるぞ。」 苦笑いをしながら、イオを肩に乗せてフィールドに歩み寄る久遠。 「・・・そういえば、ヌシさんが朝起きないときはエルガがいっつもアレをやってたっけ。 あの間合いと速度は・・・流石だわ。」 「ええ、その後毎回のたくってましたよね、マスター・・・。」 モニタ席に残ったリゼとシンメイが、フィールド上で誇らしげにおたまを かざすエルガを見ながら言っていた。 シールドが解除され、エルガは久遠の姿に気づいた。 「おー、よしよし。良くやったぞー。えらいえらい。」 「にゃーさーん! たっだいま〜! 勝ったよー!」 久遠に飛びつくエルガ。だが、右手のヤンチャオを装備したままだった為、ヤンチャオが久遠の腕にざっくり刺... -
戦うことを忘れた武装神姫 - type_S・各種設定
戦うことを忘れた武装神姫 - type_S・各種設定 註:本編とはほとんど関係ない時系列で、本編の登場神姫を借りて いろいろ実験SSをやってみようというトコロであります。 主に↓をベースに、演劇させたりするわけでして。 「実験」なので読みにくい部分等あるかと思いますが、どうか その旨ご承知おきいただければ、と思います m_O_m ここは東杜田の、とある工場の敷地の片隅。 ちっちゃいカラダを持ったちっちゃいメカたちが、日々鍛錬をするための 学校があった。 そこは・・・ 〜私立東杜田武装神姫学園〜 〜登場人物〜 校長:Dr.CTa E組の先生たち 教科担当:フィーナ(ストラーフ) 実技担当:コリン(ヴァッフェバニー) 給食の人:アスタ(アーンヴァル) E組の生徒たち ヴェ... -
戦うことを忘れた武装神姫-29
戦うことを忘れた武装神姫 その29 これは、リゼがウチに来て間もない頃のお話- 。 ・ ・ ・ ・ ・ 「よっこいしょっと。」 大きい方のバイクのタンクを外す。満タンにしていたため、重い・・・。 あっ、しまった! 置き場を考えていなかった! ・・・と。 「ここの傘立てが丁度いいのではないですか?」 足元から声が響いた。 シンメイである。 「あらら、いつの間に。」 「マスターが外に出られたときからずっとここにいますよ。」 シンメイが指す方向には、傘立て代わりにしているビールケース。 「そうか、これを使えば良かったんだな。 ありがと、助かったよ。」 タンクを置いて工具をごそごそと漁っていると、傍らのシンメイがじーっ と俺の手元を見ている。。。 ふむ。 「おいでよ。エンジンまだかけてないから、火傷する心配も無いだろう。」 プラグレンチを引っぱり出... -
戦うことを忘れた武装神姫-14
戦うことを忘れた武装神姫 その14 ・・・その13の続き・・・ ジャッジマシンが、フィールドの準備が出来たことを知らせる。 「両者、神姫をフィールドにセットして下さい。」 久遠は、狐スタイルのシンメイを静かに置いた。 プラントフィールド、神姫 サイズの工場が次の舞台。相手は、軽装にバックパックのみの兎子。一見すると 普通の「中装備兎子」なのだが。。。 「むむ、あの兎子の装備・・・」 「ええ、本気ですね。 全く無駄がありません。」 ぼそっと呟くように答えるシンメイ。 「おそらく、このフィールド自体にも相当慣れているのでしょう。」 しばしフィールドを眺め、なにやら考えるシンメイ。 「そうだ。マスター、私の背中のハコを、緑の大きいモノに換えていただいても いいですか? ついでに、ぷちの弐号も載せて下さい。」 と、久遠を見るシンメイの顔は、普段は滅... - @wiki全体から「戦うことを忘れた武装神姫-5」で調べる