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F.O.E."Nosferatu"

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F.O.E."Nosferatu" ◆L62I.UGyuw



ノイズの乗った銃声。
女の言葉が不自然に途切れ、後には静寂だけが残った。
異常事態。
人智を超えた力を持つ『神』の陣営。そこに入った僅かな亀裂。
これを好機と捉えるか、さらなる困難と捉えるかは人それぞれだが――彼ら二人にはその事態は大した影響を及ぼさなかった。
理由は至極簡単。直前に、そんなことを気にする余裕は二人から失われていたからだ。



「麦ちゃん達が、死ィんだですって? ジョ~ダンじゃなーいわよーう……」

実感など湧かない。湧く訳がない。
笑い飛ばそうとして、しかしその語尾が力無く消えた。

忘れるはずもない。麦わら海賊団。その船長とコック。
彼らとは、国を二分する内乱で、敵同士として死闘を演じたのだ。
そして紆余曲折の末――何の因果か友情を育んだ。
共に戦った時間はほんの僅かではあるが、彼にとってそんなことは些細なことだった。
正しく彼らは彼――Mr.2の親友だったのだから。

その彼らが――死んだ?



「新八君……」

実感など湧かない。湧く訳がない。
知らず半開きとなっていた形のいい唇から、既に意味を失った名が零れ出た。

忘れるはずもない。妙の唯一の弟。志村新八
彼とは、柳生家での騒動で、妙を巡って死闘を演じたのだ。
そして紆余曲折の末――何の因果か友情を育んだ。
深く関わったのはたった数度ではあったが、彼女にとってそんなことは些細なことだった。
正しく彼は彼女――柳生九兵衛の親友だったのだから。

その彼が――死んだ?



二人は工場を目前とした森の中で、地図と名簿を手に呆然と立ち尽くしていた。
目に沁みる空の白。木々のざわめきと朝を告げる鳥の声だけが森に響いている。

「……ボケっとしてる場合じゃ……ナッスィンッッ!」

沈黙を破ったのはMr.2。
ギュンと音を立ててその場で回転。
そして、がっしりと、まだ放心したように空を見上げている九兵衛の両肩を掴んで告げる。

「いいこと? よく聞きなサイ。たったの六時間で十六人よ? ジュ~~ウロク人。
 事故や自殺なんかで死ぬ人数じゃな~いわ。皆を殺して回ってる連中がいるのよう。
 つーーまり、こんなトコでの~~んびりしてる間にも、ドンドンこの数は増えていくっっっってことよーう。
 妙ちゃんを護るんでしょーう? だったらこんなところで落ち込んでるヒマなんて無いんじゃナ~イ?
 後悔なら後でいくらでも出来るわよう。だから、今は前を見なきゃダ~~メよーう」

励ます彼の目にこそ、光るものが浮かんでいるように見えるのは気のせいだろうか。
しかし実際、彼の言は正しい。もしかしたら九兵衛がここで呆けている間にも、大切な人が危険に晒されているかもしれない。
事態は刻一刻と動いているのだ。
九兵衛の、どこか気の抜けていた瞳に、すっと意志が戻る。

「ああ……すまない。その通りだ。ボンちゃんだって辛いのに、な。
 ありがとう。目が覚めたよ。
 妙ちゃんを絶対に救い出す。それが――僕の出来る新八君への最大の弔いだ」

彼女らしく、素直に感謝の言葉と決意を述べる。

「ようし! それでこそあちしのダチだわ。
 でも焦るのもダ~~メよーう。こういうときこそ冷静にねい」

Mr.2の提案で、二人は改めて名簿を確認する。
知った名があれば今後の方針もいくらか変わってくるというものだろう。

「ふ~ん。変な名前が多いわねい」

名簿に目を落としてすぐ、自分を棚に上げた発言をするMr.2。
事実奇妙な名は多いし、一般的な日本人の名は彼から見れば珍妙に映るのだが――Mr.2自身、彼の世界の基準ですら『変な名前』である。

「あ、九ちゃん、ニコ・ロビンって女には注意した方がいいわよーう。
 バロック・ワークス社が滅んだ今、この女がナ~~ニを企んでるか分かったもんじゃないわ。
 他には……うーん、あちしの知ってるヤツはいないみたいねい」
「妙ちゃんと新八君の他に僕が知っている人は……坂田銀時沖田総悟の二人だな。
 この二人は信用出来る。二人とも仲間のために柳生家に正面から乗り込んできた真の侍だ。
 彼らなら、他人を蹴落として一人だけ生き残ろうなんて汚い真似は絶対にしない。
 それで、ボンちゃん。……さっきの爆発の原因を調べたら、僕は妙ちゃんとこの二人を捜そうと思う。
 これは僕の我侭だから、ボンちゃんは――」

九兵衛の言葉を遮り、Mr.2が大きく口を開いた。

「ガッハッハッハ! 今更な~に水臭いこと言ってんのよう。
 ダチのダチはやっぱりダチに決まってんでしょ。
 あちしもモチロン協力するわよう」
「……かたじけない。それじゃあ――」



ふ、と。
二人の周りが翳った。

「上だ! ボンちゃん!」
「分~~かってるわよう!」

鋭く叫ぶと同時に、互いに正反対の向きに飛び退く二人。
地響き。
森が揺らぎ、鳥が一斉に羽ばたいて逃げる。
上空から高速で落下してきた影が、一瞬前まで二人のいた地点に小さなクレーターを作った。
立ち込める土煙。

「いい反応だ……。こうも次々に強者と巡り会えるとは、今日はなんと良き日か。嬉しいぞ」

クレーターの中心で、蹲ったままの黒い獣が静かな、それでいて暴力的な声を発する。

「不意打ちとは穏やかではないな」
「いきなりな~~んのつもり?」

獣を挟む形で、険しい表情の二人が向かい合う。
揺さぶられた木々から、はらはらと幾千枚もの葉が降り注ぐ。
葉の雨の中で、九兵衛は片手で羽を模した剣を構え、Mr.2は片足を上げたバレエダンサーのような奇妙なポーズを取っていた。

ゆっくりと立ち上がる巨獣の右腕には斬撃、左腕には打撃の痕。
交錯の瞬間に放たれた二人の攻撃を腕で受けたのだ。

土煙が晴れていく。
闇を纏った分厚い巨体。鋭い爪。赤く濡れた牙。そして天を衝く一本角。
重機を思わせる両の腕には、業物の刀と槍とがそれぞれ握られている。

「何のつもり、だと? 知れたこと! 闘争こそ我らが掟! 死こそ我らが糧!
 強者が弱者を屠るに理由など要らぬ!
 さあ、人間共よ。死を逃れたくば――見事このオレを倒してみせよ!」

人間のゆうに数倍はあろうかという巨大な悪魔が、蝙蝠のそれに似た巨大な翼を広げて叫んだ。
大気が戦慄く。地が震える。氷点を遥か下回る敵意が暗黒の渦を成し押し寄せる。

『不死のゾッド

歴戦の勇士をも震え上がらせるその堂々たる威容を仰ぎ、しかし二人は冷静だった。

「ボンちゃん、これも――この姿も、悪魔の実の能力、なのか?」

もしMr.2の知っている能力ならば、少しは戦い易くなるだろう。
そう期待して九兵衛は声を掛ける。しかし、

「こいつは……動物系の悪魔の実の能力かしらねい? でもあちしはこんなの聞いたコトなーいわよう。
 もしかして……これが古代種――それか幻獣種ってヤツなの?」

どうやら――ゾッドは悪魔の実の能力者ではないのだから当然ではあるが――Mr.2は知らないらしい。
だが、場の全てを圧倒する異質な存在感。嬉々として闘争を望む好戦的な姿勢。
そして何よりも、対峙しているだけで全身の肌が粟立つ絶対的な殺意。
その能力の詳細がどうあれ――強敵であることだけは間違いない。

じり、と慎重に間合いを測る二人。

一陣の風が二人と一体の間を奔り抜け、地に落ちた葉が舞い上がった。

二人を睥睨していたゾッドが焦れたように動き、

「どうした。来ないのか? ならば――オレから行くぞ!」

地を蹴った。
島を震わす咆哮を上げ、Mr.2を轢き殺さんばかりの勢いで迫る。

「アァンタ! ナ~~メンじゃな――――いわよ――――――う!!」

迎え撃つMr.2。
黒い暴風と化したゾッドの動きを見据え、

「アァン!」

腹を狙った槍の一撃を、身体を捻り回避。

「ドゥ!」

その勢いを利用して正面からゾッドの顔面に回し蹴りを叩き込んだ。だが、

「クルァッ?!」

突進の勢いは殺せたものの、反動で軽々と吹き飛ばされて木に激突。
人の胴ほどもある幹がメキメキと音を立てて折れていく。

「ボンちゃん!」

風を纏い駆ける九兵衛が、ゾッドの背後――遥か射程外から剣を振るった。
その途端、剣から幾筋もの風の刃が生まれ、舞い散る葉を次々と斬り裂きながらゾッドに襲い掛かる。

「フン。下らぬ!」

だが風の刃はゾッドの振り向き様の一閃で消滅。

「死ねぇい!」

返す刀で間近に迫った九兵衛の無防備な胴を薙ぐ。
間合いが近過ぎるため刀は当たらない。それでも破城鎚の如き腕が胴に直撃すれば内臓という内臓が全て砕けることは確実。
だが凶器が九兵衛の身体を捉える寸前――彼女の姿がゾッドの視界から掻き消えた。

「ハァッ!!」

裂帛。
ゾッドの右脚から鮮血が噴き出す。

「ヌゥ!?」

片膝を突くゾッド。九兵衛はいつの間にかゾッドの背後へと抜けている。

ゾッドの反撃を予期していた九兵衛は、ゾッドの前で止まるのではなく、重力に任せて身体ごと沈み込み加速。
そのままゾッドの股を潜り抜けつつ脚を斬りつけたのだ。

「ボンちゃん、大丈夫か!?」

折れた木の横に倒れるMr.2に駆け寄る九兵衛。
Mr.2は痛みを堪えながら無理矢理笑顔を作って脚に力を込める。

「だ、だ~いじょうぶよう、これくらい……。ちょ~~っと、背中が痛いけどねい。
 ……それにしてもアイツ、とんでもない馬鹿力じゃな~~~~いかしら? このあちしが力負けするなんてねい。
 九ちゃん、アンタは絶っっっ対にアイツの攻撃を受けちゃだめよう?」
「ああ、分かっている。僕の力じゃあの攻撃は止められない。
 一撃でもまともに食らったら――僕の命は無いだろうな」

Mr.2の無事を確かめると、九兵衛はゾッドに向き直った。

「それにあのデタラメな頑丈さ……。今のは脚を斬り落とすつもりで剣を振り抜いたというのに……」

至近距離からの風の刃を集中させた斬撃でも、脚の肉を抉った程度に留まっている。
そしてその裂傷すら特に気にならぬと言わんばかりに平然と体勢を立て直し、巨獣は二人をねめつけた。
Mr.2の額に脂汗が一筋。

「ショージキ、分が悪そうだわねい……だけど」
「フ、フハハハハハ。よもやオレに膝を突かせるとは、な。
 素晴らしい、実に素晴らしいぞ!」

仕切り直しとばかりに、再び漆黒の翼を大きく広げるゾッド。
その顔は歓喜に満ち満ちている。

「……逃がしてくれそうもな~~いわねい。
 しゃーないわ。腹括るわよう! オカマの意地、見せたらァ!」
「どの道、こんな化け物を放置しておく訳にはいかないな。こいつは――ここで倒す!
 ――行くぞ、ボンちゃん!」
「おうよ、九ちゃん!」

地を踏み締め、九兵衛とMr.2が本気の構えを取る。
理不尽なまでの暴力、『恐怖』そのものともいうべき魔獣を前に、二人はまるで臆さない。
彼らの双眸に不退転の決意を秘めた力強い光が宿る。

「そうだ! うぬらの活路は背後に在らず! 我が屍の先に在ると知れ!!」

魔獣は吼え――――、そして三つの影が同時に地を蹴った。



「「「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!」」」



【E-6/工場付近/1日目 朝】


【ゾッド@ベルセルク】
[状態]:疲労(中)、悪魔風脚による内臓へのダメージ(中・再生中)、右脚に裂傷(中、再生中)、使徒化
[服装]:
[装備]:穿心角@うしおととら、秋水@ONE PIECE
[道具]:支給品一式、手榴弾x3@現実、未確認支給品(0~1個)
[思考]
基本:強者との戦いを楽しむ。
0:九兵衛、Mr.2との戦いを楽しむ。
1:出会った者全てに戦いを挑み、強者ならばその者との戦いを楽しむ。
2:グリフィスが再び覇王の卵を手にしたら……
[備考]
※未知の異能に対し、警戒と期待をしています。

Mr.2 ボン・クレー@ONE PIECE】
[状態]:背中打撲
[服装]:アラバスタ編の服、森あいの眼鏡@うえきの法則
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、スズメバチの靴@魔王JUVENILE REMIX、コインケース@トライガン・マキシマム
[思考]
基本:友達を見捨てるようなマネはしない。脱出する。
0:ゾッドを倒す。
1:九ちゃんの人探しを手伝う。
2:殺し合いなんてどうでも良いけど自分の邪魔する奴や友達を襲う奴は許さない
3:霧の向こう側が気になる
[備考]
※アラバスタ脱出直後からの参戦。
※グランドラインのどこかの島に連れて来られたと思っており、脱出しようと考えています。
※ニコ・ロビンを警戒。
※マネマネの実の能力の制限
 メモリーが消去されています。現状変身できるのは消されていない
 麦わら一味(アラバスタ編まで)+BWのオフィサーエージェントと、
 直接顔を触れた人物→西沢歩、柳生九兵衛
 その他の制限はまだ不明。

【柳生九兵衛@銀魂】
[状態]:健康
[服装]:
[装備]:シルフェの剣@ベルセルク、シルフェのフード@ベルセルク
[道具]:支給品一式、改造トゲバット@金剛番長
[思考]
基本:殺し合いにはのらない。大切な人の志まで含めて護る。
0:ゾッドを倒す。
1:爆音のした方向へと向かう。
2:神社で浅月と合流する。
3:妙ちゃんを最優先で探す。銀時と沖田も探す。
4:卑怯な手を使う者は許さない
5:あの霧はいったい?
[備考]
※参戦時期は柳生編以降。


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