The Destinies mend rifts in time as Man etches fate anew ◆JvezCBil8U
どこでもない虚空を見つめたまま、カノン・ヒルベルトは頭を抱えて震えている。
「……今。僕は、何を……して、いた?」
途切れ途切れに、口を動かすことすら覚束ず。
まるで冷たいプールに放り込まれた時のように、ガタガタと歯の根がぶつかり合って落ち着いてはくれない。
まるで冷たいプールに放り込まれた時のように、ガタガタと歯の根がぶつかり合って落ち着いてはくれない。
誰が信じられることだろうか。
こんな捨て猫のような表情でうずくまっているのが、翼ある銃と呼ばれ、全てのブレード・チルドレンの中でも最強と謳われた男だと。
こんな捨て猫のような表情でうずくまっているのが、翼ある銃と呼ばれ、全てのブレード・チルドレンの中でも最強と謳われた男だと。
カノンの精神はもはや崖っぷちに立たされている。
……いや、そんな余裕のある状況じゃない。
崖の端っこに手をかけて、どうにか腕一本で奈落に落ちないよう踏ん張っているというべきか。
……いや、そんな余裕のある状況じゃない。
崖の端っこに手をかけて、どうにか腕一本で奈落に落ちないよう踏ん張っているというべきか。
なにもしてないのに、と、あの女の子は呟いた。
そのおかげで正気に立ち返ることができたのに、自分の行動が原因で怯えた彼女は、文字通りの地雷原に突っ込んでいってしまった。
自分はその間ただ呆けていただけで――、結果起こったのは身も蓋もない爆発だ。
自分が殺したのだ。
殺したのだ。
殺したのと同じ事だ。
そのおかげで正気に立ち返ることができたのに、自分の行動が原因で怯えた彼女は、文字通りの地雷原に突っ込んでいってしまった。
自分はその間ただ呆けていただけで――、結果起こったのは身も蓋もない爆発だ。
自分が殺したのだ。
殺したのだ。
殺したのと同じ事だ。
助かった見込みは、極めて低い。
だって、今も隣に転がっているカラクリ人形を破壊できるほどの威力なのだ、あのトラップは。
爆発音や目に見えた爆炎、火薬の臭いから、カノンの戦場での経験はまず助かるまいと断言している。
だって、今も隣に転がっているカラクリ人形を破壊できるほどの威力なのだ、あのトラップは。
爆発音や目に見えた爆炎、火薬の臭いから、カノンの戦場での経験はまず助かるまいと断言している。
いやいや待て待て。
彼女は、ブレード・チルドレンの可能性が存在した。
だから彼女が死んでも、自分の“ルール”には抵触しない。
彼女は、ブレード・チルドレンの可能性が存在した。
だから彼女が死んでも、自分の“ルール”には抵触しない。
そうだ、そうだ!
失礼ながら女の子とはいえ触診させてもらった時、肋骨が一本足りなかったじゃあないか!
失礼ながら女の子とはいえ触診させてもらった時、肋骨が一本足りなかったじゃあないか!
「……そうだ、ブレード・チルドレンだ。あの子はブレード・チルドレンなんだ」
何度も何度も、誰かに言い聞かせるように穏やかな口調で繰り返す。
……誰に?
そんな事は言うまでもない。
けれどもカノンは、そうせずにはいられない。
……誰に?
そんな事は言うまでもない。
けれどもカノンは、そうせずにはいられない。
だって、彼女の名前も容姿も、カノンの知る如何なるブレード・チルドレンにも該当しないのだから。
彼女を調べた時に制服から零れ落ちた生徒手帳に記された名は――西沢歩。
何にも知らない、巻き込まれただけの、ごくごく普通に幸せな人生を送るべき少女にしか見えなかった。
何にも知らない、巻き込まれただけの、ごくごく普通に幸せな人生を送るべき少女にしか見えなかった。
分かっている、彼女がブレード・チルドレンである可能性が極めて低い事なんて。
自分たちと同年代で、肋骨の感触が一本足りなかった。
疑う理由はそれだけで、難癖と言っても過言ではない。
でも、そんな理由だけで今の自分を殺人衝動に駆らせるには十分すぎた。
自分たちと同年代で、肋骨の感触が一本足りなかった。
疑う理由はそれだけで、難癖と言っても過言ではない。
でも、そんな理由だけで今の自分を殺人衝動に駆らせるには十分すぎた。
薄っぺらい思い込みと理解していてそれに縋るのは、予感がするからだ。
もし自分が“ルール”を破っていたのなら、蜘蛛の糸が千切れるのにかかる時間はあまりに若い――と。
きっとそのままあたまのなかのたいせつななにかが弾け飛んで、自分が最も忌み嫌い恐れる殺戮者に堕ちてしまう。
もし自分が“ルール”を破っていたのなら、蜘蛛の糸が千切れるのにかかる時間はあまりに若い――と。
きっとそのままあたまのなかのたいせつななにかが弾け飛んで、自分が最も忌み嫌い恐れる殺戮者に堕ちてしまう。
ぼう、と少女の落としていったデイパック、その脇に落ちた名簿に目を落とす。
いくつかの名前が真っ赤に染まっており、カノンが手に取った瞬間新たな彩が花開く。
西沢歩、と、その名前が血の同盟へと仲間入り。
いくつかの名前が真っ赤に染まっており、カノンが手に取った瞬間新たな彩が花開く。
西沢歩、と、その名前が血の同盟へと仲間入り。
「……っ!」
赤い色の名前の意味は、何となくだがわかってしまう。
もう、限界だった。
彼女がブレード・チルドレンである保証が欲しい。
ブレード・チルドレンの中でも年長であるこの自分にも知らないブレード・チルドレン。
そんな都合のいい可能性が存在するのだろうか?
彼女がブレード・チルドレンである保証が欲しい。
ブレード・チルドレンの中でも年長であるこの自分にも知らないブレード・チルドレン。
そんな都合のいい可能性が存在するのだろうか?
存在する。
カノンは、その可能性を知っている。
名簿の片隅に、その可能性はしっかりと鎮座していらっしゃる。
「“ミカナギファイル”だ……」
セイバー・ハンター・ウォッチャーのいずれの勢力にも所在不明となった13名のブレード・チルドレン。
その行方や個人情報を記し、『オルゴール連続殺人事件』の発端となった禁断の果実“ミカナギファイル”。
その“ミカナギファイル”を受け継いだ所持者が、この殺し合いにも招かれている。
その行方や個人情報を記し、『オルゴール連続殺人事件』の発端となった禁断の果実“ミカナギファイル”。
その“ミカナギファイル”を受け継いだ所持者が、この殺し合いにも招かれている。
浅月香介。
彼こそが、雨苗雪音より託された“ミカナギファイル”の後継者。
もし“ミカナギファイル”の中に西沢歩の名前がなければ、その時は――、
「浅月に僕を殺してもらおう」
ルールを破ったことを理解してからスイッチが入るまでのわずかな猶予。
だが、浅月ならばその刹那とも呼べる隙に自分を仕留めることは不可能じゃないだろう。
亮子には申し訳ないが、彼女にはできないことでもある。
だが、浅月ならばその刹那とも呼べる隙に自分を仕留めることは不可能じゃないだろう。
亮子には申し訳ないが、彼女にはできないことでもある。
ブレード・チルドレンの皆殺しを宣言しておいて、ブレード・チルドレンに引導を渡してもらう、なんて虫のいい考えだ。
けれどもうそれしか頼れるものはない。
目標を全く達成できてないのは心苦しいが、それでもただの血に飢えた獣と化すよりは――、
けれどもうそれしか頼れるものはない。
目標を全く達成できてないのは心苦しいが、それでもただの血に飢えた獣と化すよりは――、
「人間として、兄弟の手で死にたいんだ」
それはきっと、誰にも看取られない獣の死よりもずっとしあわせなこと。
運命はそこまで優しくなんてないけれど。
【H-5/山道入り口/1日目/午前】
【カノン・ヒルベルト@スパイラル?推理の絆?】
[状態]:潜在的混乱(大)、精神的動揺、疲労(小)、全身にかすり傷、手首に青痣と創傷、“スイッチ”入りかけ
[装備]:理緒手製麻酔銃@スパイラル〜推理の絆〜、麻酔弾×16、パールの盾@ワンピース、五光石@封神演義
[道具]:支給品一式×3、不明支給品×1、大量の森あいの眼鏡@うえきの法則、研究所の研究棟のカードキー
[思考]
基本:ブレード・チルドレンは殺すが、それ以外の人は決して殺さない……?
0:浅月を、探そう。
1:浅月香介から“ミカナギファイル”を訊き出し、西沢歩の名と照会する。
2:歩を捜す為に、神社に向かう。(山道は使わない)
3:ブレード・チルドレンが参加しているなら殺す?
4:本当に死んだ人間が生き返るなんてあるのか―――?
5:マシン番長の残骸から使えそうなパーツを回収したい。
[備考]
※剛力番長から死者蘇生の話を聞きました。内容自体には半信半疑です。
※思考の切り替えで戦闘に関係ない情報を意識外に置いている為混乱は収まっていますが、きっかけがあれば膨れ上がります。
※みねねのトラップフィールドの存在を把握しました。(竹内理緒によるものと推測、根拠はなし)
戦術を考慮する際に利用する可能性があります。
[状態]:潜在的混乱(大)、精神的動揺、疲労(小)、全身にかすり傷、手首に青痣と創傷、“スイッチ”入りかけ
[装備]:理緒手製麻酔銃@スパイラル〜推理の絆〜、麻酔弾×16、パールの盾@ワンピース、五光石@封神演義
[道具]:支給品一式×3、不明支給品×1、大量の森あいの眼鏡@うえきの法則、研究所の研究棟のカードキー
[思考]
基本:ブレード・チルドレンは殺すが、それ以外の人は決して殺さない……?
0:浅月を、探そう。
1:浅月香介から“ミカナギファイル”を訊き出し、西沢歩の名と照会する。
2:歩を捜す為に、神社に向かう。(山道は使わない)
3:ブレード・チルドレンが参加しているなら殺す?
4:本当に死んだ人間が生き返るなんてあるのか―――?
5:マシン番長の残骸から使えそうなパーツを回収したい。
[備考]
※剛力番長から死者蘇生の話を聞きました。内容自体には半信半疑です。
※思考の切り替えで戦闘に関係ない情報を意識外に置いている為混乱は収まっていますが、きっかけがあれば膨れ上がります。
※みねねのトラップフィールドの存在を把握しました。(竹内理緒によるものと推測、根拠はなし)
戦術を考慮する際に利用する可能性があります。
*****
どこでもない虚空を見つめたまま、ミリオンズ・ナイブズは腕を組んでただ静かに息を吐き出す。
「俺は、何をしている……?」
……自分の行動が理解できない。
わざわざ死にかけた人間一匹の為に、時間を無駄に使ったなどと。
放っておけば勝手に死ぬだろうに、わざわざ手を煩わせたとはどういう了見なのだろうか。
単なる気まぐれと片付けるにはいささか干渉しすぎた。
それも、残り少ないプラントの力を用いてやる――など、自分のことながら正気の沙汰とは思えない。
わざわざ死にかけた人間一匹の為に、時間を無駄に使ったなどと。
放っておけば勝手に死ぬだろうに、わざわざ手を煩わせたとはどういう了見なのだろうか。
単なる気まぐれと片付けるにはいささか干渉しすぎた。
それも、残り少ないプラントの力を用いてやる――など、自分のことながら正気の沙汰とは思えない。
……這いつくばって苦しんでいたから楽にしてやろうとでも考えたのだろうか?
人間相手にそんな慈悲が浮かんだとは、全く、弟に毒されすぎている。
人間相手にそんな慈悲が浮かんだとは、全く、弟に毒されすぎている。
『私ノ『正義日記』ノ告ゲル未来ニ間違イハナイ!
今カラ貴様ヲ倒ス我々コソガ勝者デアリ、正義ナラバ。
我々ニ倒サレル敗北者ノ貴様は間違イナク、悪ッ!
引導ヲ渡シテクレルッ!』
今カラ貴様ヲ倒ス我々コソガ勝者デアリ、正義ナラバ。
我々ニ倒サレル敗北者ノ貴様は間違イナク、悪ッ!
引導ヲ渡シテクレルッ!』
『私ガ倒スノハ悪ダケダ! 私ノ未来日記『正義日記』ニAM2:43ヲ持ッテ貴様ガ悪トナルト予知ガデタノダ。
ダカラ、ソノ前ニ貴様ヲ倒ス!』
ダカラ、ソノ前ニ貴様ヲ倒ス!』
ああ、成程と嫌々ながら納得する。
道化者のほざいた通り敗北者が悪というならば、まさしくあの時、AM2:43を以って自分は悪となったのだ。
ヴァッシュ・ザ・スタンピードがこの場に招かれていると確信したその時に。
道化者のほざいた通り敗北者が悪というならば、まさしくあの時、AM2:43を以って自分は悪となったのだ。
ヴァッシュ・ザ・スタンピードがこの場に招かれていると確信したその時に。
「なんで……私、生きてるの?」
――ほんの少しだけ馬鹿な戯言につきあってやるなどと考えてしまう程度に。
弟に負けたことを、あらためて認めてしまった。
弟に負けたことを、あらためて認めてしまった。
傷一つないからだでこちらの方を唖然と見ている少女を完全に無視して、ナイブズはそれでもやはり眉をしかめる。
LOVE & PEACEを唱える気は更々ないが、ヴァッシュならばあの場面で少女を放っておくことはしないだろう。
そんな事を思ってしまい、魔が差したのだ。
最後の戦いでヴァッシュの胸を貫いた、即死確定の致命傷を塞いだ時のように――、
そんな事を思ってしまい、魔が差したのだ。
最後の戦いでヴァッシュの胸を貫いた、即死確定の致命傷を塞いだ時のように――、
プラントの力を用いて、傷を癒した。
あるいは少女の独りは嫌だという嘆きが、またも誰かの言葉と重なったのが原因だろうか。
あるいは少女の独りは嫌だという嘆きが、またも誰かの言葉と重なったのが原因だろうか。
ナイブズを……、孤独(ひとり)にしないで。
そんな台詞を聞いた事などなかったのに、あたかも耳元に語りかけられたかのよう。
確かに“彼女”はそう誰かに託したのだと、生々しく“彼女”の声で再生された。
確かに“彼女”はそう誰かに託したのだと、生々しく“彼女”の声で再生された。
気まぐれはそこまでだ。
後の事は知ったことではない。
後の事は知ったことではない。
戸惑いと混乱を含んだ目で、ボロボロの服―服の体はもはや整っていないが―を着た少女はナイブズの方を向き続けている。
何を尋ねればいいのか、そもそも尋ねるという行為すら許されるのかも分からず、意味もなく手を上げては下げての繰り返し。
何を尋ねればいいのか、そもそも尋ねるという行為すら許されるのかも分からず、意味もなく手を上げては下げての繰り返し。
これ以上付き合っても時間の無駄だ。
そう判断して背を翻すナイブズに、慌てた様子で少女は声をかけることにした。
内容は何でもよかった、そう、例えば姿の見えない同行者について。
そう判断して背を翻すナイブズに、慌てた様子で少女は声をかけることにした。
内容は何でもよかった、そう、例えば姿の見えない同行者について。
「平坂さんは、どうしたんですか?」
「始末した」
「……っ」
びくりと怯えを露わにし、少女はそのまま動きを止める。
だけど疑問は尽きないようで、目をつぶったまま何事か口にしようとして……呑み込んだ。
なぜ自分を生かしたのか、聞きたくて踏みとどまったといったところだろうか。
だけど疑問は尽きないようで、目をつぶったまま何事か口にしようとして……呑み込んだ。
なぜ自分を生かしたのか、聞きたくて踏みとどまったといったところだろうか。
まあ、それを聞かれてもナイブズ自身にもよく分からないのは確かだ。
いちいち返事をする義理もないし、無駄口を叩くつもりもない。
いちいち返事をする義理もないし、無駄口を叩くつもりもない。
少なくとも言えることは、今回の事はこの少女の為にやった事などでは決してない。
ヴァッシュという存在と彼に敗北したこと。その2つに対しての何がしかの想いが引き起こした奇行なのだろう。
ヴァッシュという存在と彼に敗北したこと。その2つに対しての何がしかの想いが引き起こした奇行なのだろう。
少女は明らかに自分に恐怖している。
その事に何の感慨もなく、ナイブズは早々に立ち去ることを決めた。
この後少女が生き恥を曝そうが垂れ死のうが、それはナイブズとは無縁の話なのだ。
……だと、言うのに。
その事に何の感慨もなく、ナイブズは早々に立ち去ることを決めた。
この後少女が生き恥を曝そうが垂れ死のうが、それはナイブズとは無縁の話なのだ。
……だと、言うのに。
「ブランドンさん。恩返し……させてください」
少女ははだけかけた服を抑えて、とことことハムスターのように後ろをついてくる。
その表情には確かに理解できない存在への畏れと不信が渦巻いているのに、だ。
その表情には確かに理解できない存在への畏れと不信が渦巻いているのに、だ。
「私、死にたくないだけだけど。もう生きる目的なんてなくなっちゃったけど。
それでも命を助けられたのは、事実だから……」
それでも命を助けられたのは、事実だから……」
嘘ではないのだろうが、上っ面の体のいい綺麗事だ。
ナイブズはその眼の奥に存在するのが、
『単にこれからどうすればいいのか分からないから、とりあえずついていく――』
なんて雛鳥のような未熟な思考でしかないことを見通している。
少女の目は、それだけ空虚な代物だった。
ナイブズはその眼の奥に存在するのが、
『単にこれからどうすればいいのか分からないから、とりあえずついていく――』
なんて雛鳥のような未熟な思考でしかないことを見通している。
少女の目は、それだけ空虚な代物だった。
返答はここにきて出会ったときとまったく同じだ。
「好きにしろ」
どうせ自分の周りにいれば戦いに巻き込まれる。
死に場所がそこでいいというのなら、自分が口を出してやることもない。
死に場所がそこでいいというのなら、自分が口を出してやることもない。
その時だった。
『Tough Boy! Tough Boy! Tough Boy! Tough Boy!』
女のがなり立てる騒音が、二人の耳に届いてきたのは。
はっとして少女がそちらの方を振り向いてみれば、目に届くのは信じられないほどに大きい誰かとバケモノの姿。
はっとして少女がそちらの方を振り向いてみれば、目に届くのは信じられないほどに大きい誰かとバケモノの姿。
「……え? あの人、なんで、あんな……」
一瞬全ての状況を忘れてきょとんとするも、訳のわからない馬鹿をやらかす一人と一匹がどれだけ危険な事をしているのかをすぐに悟る。
少女の脳裏に浮かぶのは、失ってしまった平穏という名の夢幻。
少女の脳裏に浮かぶのは、失ってしまった平穏という名の夢幻。
「ナギちゃんと、カラオケ一緒にしたこともあったよね」
能天気に陽気に騒ぐその姿に、むかしのじぶんを垣間見た。
そう昔の話でもないのにどうしてか涙が零れてしまう。
そう昔の話でもないのにどうしてか涙が零れてしまう。
だから、もしあの宴が凄惨な処刑場となってしまえば、そんな思い出が泡と消えてしまう気がして。
今もまだ人生を楽しんでいる一人と一匹を、辛くて寂しい世界に踏み込ませたくなくて。
今もまだ人生を楽しんでいる一人と一匹を、辛くて寂しい世界に踏み込ませたくなくて。
まだ生きているはずの恋敵(ライバル)が、もしかしたら同じ事を考えているんじゃないかって、会いに行けないかって思ってしまって。
自分でもそんな事言える立場でも状況でもないってわかってるけど、それでもいてもたってもいられなくなった。
だから少女は、ナイブズの方に一歩踏み出す。
だから少女は、ナイブズの方に一歩踏み出す。
「……あの、ブランドンさん」
「ナイブズだ」
え? と聞きなれない単語を耳にして立ちつくす事数秒。
ようやくそれが彼の名前なのだと気づく。
ようやくそれが彼の名前なのだと気づく。
「勘違いするな、別に貴様の為ではない」
そう呟いたナイブズは少女の方を見ようともせず、すでに天をも覆う人影の方に歩み出していた。
「お人好しの弟がまた進んで馬鹿を見ようとはしていないか、確かめてくるだけだ」
【H-6西端/森林/1日目/午前】
【ミリオンズ・ナイブズ@トライガン・マキシマム】
[状態]:黒髪化進行
[服装]:普段着にマント
[装備]:金糸雀@金剛番長
[道具]:支給品一式×2、エレザールの鎌(量産品)@うしおととら、正義日記@未来日記、
秋葉流のモンタージュ入りファックス、携帯電話(研究所にて調達)
[思考]
基本:神を名乗る道化どもを嬲り殺す。その為に邪魔な者は排除。そうでない者は――?
0:……俺は何をしている?
1:騒いでいる馬鹿2人にヴァッシュが引き寄せられる可能性があるため、デパート方面に向かう。
2:デパートに向かったという妲己とやらを見極め、ヴァッシュを利用しかねないと判断したら殺す。
3:首輪の解除を進める。
4:搾取されている同胞を解放する。
5:エンジェル・アームの使用を可能な限り抑えつつ、厄介な相手は殺す。
6:レガートに対して――?
7:ヴァッシュを探し出す。が、今更弟の前に出ていくべきかどうか自問。
8:ヴァッシュを利用する人間は確実に殺す。
[備考]
※原作の最終登場シーン直後の参戦です。
※会場内の何処かにいる、あるいは支給品扱いのプラントの存在を感じ取っています。
※黒髪化が進行している為、エンジェル・アームの使用はラスト・ラン(最後の大生産)を除き約5回(残り約4回)が限界です。
出力次第で回数は更に減少しますが、身体を再生させるアイテムや能力の効果、またはプラントとの融合で回数を増加させられる可能性があります。
※錬金術についての一定の知識を得ました。
※朝時点での探偵日記及び螺旋楽譜に書かれた情報を得ました。
※“神”が並行世界移動か蘇生、あるいは両方の力を持っていると考えています。
[状態]:黒髪化進行
[服装]:普段着にマント
[装備]:金糸雀@金剛番長
[道具]:支給品一式×2、エレザールの鎌(量産品)@うしおととら、正義日記@未来日記、
秋葉流のモンタージュ入りファックス、携帯電話(研究所にて調達)
[思考]
基本:神を名乗る道化どもを嬲り殺す。その為に邪魔な者は排除。そうでない者は――?
0:……俺は何をしている?
1:騒いでいる馬鹿2人にヴァッシュが引き寄せられる可能性があるため、デパート方面に向かう。
2:デパートに向かったという妲己とやらを見極め、ヴァッシュを利用しかねないと判断したら殺す。
3:首輪の解除を進める。
4:搾取されている同胞を解放する。
5:エンジェル・アームの使用を可能な限り抑えつつ、厄介な相手は殺す。
6:レガートに対して――?
7:ヴァッシュを探し出す。が、今更弟の前に出ていくべきかどうか自問。
8:ヴァッシュを利用する人間は確実に殺す。
[備考]
※原作の最終登場シーン直後の参戦です。
※会場内の何処かにいる、あるいは支給品扱いのプラントの存在を感じ取っています。
※黒髪化が進行している為、エンジェル・アームの使用はラスト・ラン(最後の大生産)を除き約5回(残り約4回)が限界です。
出力次第で回数は更に減少しますが、身体を再生させるアイテムや能力の効果、またはプラントとの融合で回数を増加させられる可能性があります。
※錬金術についての一定の知識を得ました。
※朝時点での探偵日記及び螺旋楽譜に書かれた情報を得ました。
※“神”が並行世界移動か蘇生、あるいは両方の力を持っていると考えています。
【西沢歩@ハヤテのごとく】
[状態]:健康、無気力
[服装]:焼け焦げた制服の残骸、血塗れ、ストレートの髪型
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
基本:死にたくないけど、生きる目的もない。一人でいたくない。
0:ハヤテくん、まだ死にたくないよ……。
1:ナイブズとその力への恐怖と恩義。
2:デパート方面に向かって、カラオケをしている人たちを止めたい。ナギがいるなら合流したい。
3:孤独でいるのが怖い。
4:恥ずかしいので、できれば着替えたい。
[備考]:
※明確な参戦時期は不明。ただし、ナギと知り合いカラオケ対決した後のどこか。
[状態]:健康、無気力
[服装]:焼け焦げた制服の残骸、血塗れ、ストレートの髪型
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
基本:死にたくないけど、生きる目的もない。一人でいたくない。
0:ハヤテくん、まだ死にたくないよ……。
1:ナイブズとその力への恐怖と恩義。
2:デパート方面に向かって、カラオケをしている人たちを止めたい。ナギがいるなら合流したい。
3:孤独でいるのが怖い。
4:恥ずかしいので、できれば着替えたい。
[備考]:
※明確な参戦時期は不明。ただし、ナギと知り合いカラオケ対決した後のどこか。
*****
1:【生きている人】尋ね人・待ち合わせ総合スレ【いますか】(Res:5?)
1 名前:Madoka★ 投稿日:1日目・早朝 ID:vIpdeYArE
スレタイ通り、人探しや待ち合わせの呼びかけをするためのスレです。
どこで敵の目が光っているか分からないので、利用する際にはくれぐれも気をつけて!
1 名前:Madoka★ 投稿日:1日目・早朝 ID:vIpdeYArE
スレタイ通り、人探しや待ち合わせの呼びかけをするためのスレです。
どこで敵の目が光っているか分からないので、利用する際にはくれぐれも気をつけて!
2 名前:厨二病な名無しさん 投稿日:1日目・朝 ID:NaiToYshR
書き込みの確認を行う。
書き込みの確認を行う。
3 名前:ブレードハッピーな名無しさん 投稿日:1日目・朝 ID:NaiToYshR
かつて道を別った俺の片割れに聞く。あの砂漠の星を離れ、お前は今、何処にいる?
かつて道を別った俺の片割れに聞く。あの砂漠の星を離れ、お前は今、何処にいる?
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
4? 名前:ゲンスルーな名無しさん 投稿日:1日目・午前 ID:NaiToYshR
妲己って女が腕に自信のある奴を集めてる。あんたらの探し人もあいつに近づくかもしれねえ。
だが、あいつは厄介だ。警戒しとけ。
妲己って女が腕に自信のある奴を集めてる。あんたらの探し人もあいつに近づくかもしれねえ。
だが、あいつは厄介だ。警戒しとけ。
5? 名前:Legato Bluesummers 投稿日:1日目・午前 ID:NaiToYshR
ナイブズ様がつい先ほどまでここにいらっしゃったことをこの肌で感じています……!
僕に忠誠を示す機会をお与え下さい。
すぐにでもナイブズ様の下へ馳せ参じ、ヴァッシュ・ザ・スタンピードをはじめとする御身の敵を必ずや葬って御覧にいれます。
ナイブズ様がつい先ほどまでここにいらっしゃったことをこの肌で感じています……!
僕に忠誠を示す機会をお与え下さい。
すぐにでもナイブズ様の下へ馳せ参じ、ヴァッシュ・ザ・スタンピードをはじめとする御身の敵を必ずや葬って御覧にいれます。
2:気のいい兄ちゃんに協力求めたら肺をブチ抜かれたんだけど(Res:3?)
1 名前:Madoka★ 投稿日:1日目・早朝 ID:vIpdeYArE
殺し合いのゲームに巻き込まれたのなら、危険な人に襲われたり、裏切られたりすることも多々あります。
ここはそんな危険人物に関することを書き込み、注意を促すためのスレです。
もちろん、扱う話題が話題なので、書き込まれたこと全てを鵜呑みにせず、
詳しいことを質問するなどして、特に慎重に真偽を判断するようにしてくださいね。
1 名前:Madoka★ 投稿日:1日目・早朝 ID:vIpdeYArE
殺し合いのゲームに巻き込まれたのなら、危険な人に襲われたり、裏切られたりすることも多々あります。
ここはそんな危険人物に関することを書き込み、注意を促すためのスレです。
もちろん、扱う話題が話題なので、書き込まれたこと全てを鵜呑みにせず、
詳しいことを質問するなどして、特に慎重に真偽を判断するようにしてくださいね。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
2? 名前:キラークイーンな名無しさん 投稿日:1日目・午前 ID:NaiToYshR
妲己には注意しろ。隙を見せたら平気で人質やモノ質を取ってくるぜ。
単純な戦闘能力も多分ヤバい。始末できる実力者なら早々に始末しといた方がいい。
妲己には注意しろ。隙を見せたら平気で人質やモノ質を取ってくるぜ。
単純な戦闘能力も多分ヤバい。始末できる実力者なら早々に始末しといた方がいい。
3? 名前:ニアデスハピネスな名無しさん 投稿日:1日目・午前 ID:NaiToYshR
ふざけるなよ畜生畜生ちくしょぷなんだよなんあんだよこいつはかrらだだが勝手にうgおいてきnkにくがねじmがあっr1stこんおレgアーtってきtガイニハ気をちゅk
ふざけるなよ畜生畜生ちくしょぷなんだよなんあんだよこいつはかrらだだが勝手にうgおいてきnkにくがねじmがあっr1stこんおレgアーtってきtガイニハ気をちゅk
*****
しとしと、ぽたぽた。
しとしと、ぽたぽた。
しとしと、ぽたぽた。
しとしと、ぽたぽた。
しとしと、ぽたぽた。
リノリウムに紅の雫が僅か一瞬の王冠を作り出す。
壁にはおおきなおおきなあかいはな。
真っ赤な花が、咲いていた。
真っ赤な花が、咲いていた。
ううん、咲いているんじゃない。
実に見事な大輪の押し花が作られているのだ。
実に見事な大輪の押し花が作られているのだ。
原形を留めないほどに叩き潰され広がった命の残骸は、かつて2本の根っこと2本の枝と一つの果実と、
それらをつなぐ幹に分かれていたとは俄かには信じられないだろう。
それだけ細かく薄皮の裏側から何もかもがミンチになっていた。
べっとりとへばりついたそれは、人間一人分の重さがあるのに一向にずり落ちる様子を見せない。
信じられない力でぎゅうぎゅうに叩きつけられたのだろう。
未だに電源が付いたまんまのPCの画面、その向こうの『探偵日記』とメールソフトは黄色とピンクの何かと赤い汁にお隠れ遊ばされている。
それらをつなぐ幹に分かれていたとは俄かには信じられないだろう。
それだけ細かく薄皮の裏側から何もかもがミンチになっていた。
べっとりとへばりついたそれは、人間一人分の重さがあるのに一向にずり落ちる様子を見せない。
信じられない力でぎゅうぎゅうに叩きつけられたのだろう。
未だに電源が付いたまんまのPCの画面、その向こうの『探偵日記』とメールソフトは黄色とピンクの何かと赤い汁にお隠れ遊ばされている。
「あの方が貴様のような人間と――虫ケラと“取り引き”をしただって?」
圧倒的なまでの、暴力。
絶対的なまでの、狂信。
絶対的なまでの、狂信。
「口を慎め。小人如きがあの方と対等であるような戯言をさえずるだなんてね。
生かしておくにはどうにも許しがたい……否。万死億死兆死――京死を以っても償えない重罪だ」
生かしておくにはどうにも許しがたい……否。万死億死兆死――京死を以っても償えない重罪だ」
戦場を潜り抜けて得た経験も、一夜漬けで得た人外の力も。
口にするのもおぞましいなにかの前では、日の目を見ることさえ認められなかった。
口にするのもおぞましいなにかの前では、日の目を見ることさえ認められなかった。
その男は、自らの両手を眺めながらぶつぶつと独り言をつぶやいている。
僕ですら、あの方に認めてもらえた事などないというのに。
絶大なる忠誠を持ちながらも、一度として顧みて貰えてすらいないのに。
絶大なる忠誠を持ちながらも、一度として顧みて貰えてすらいないのに。
「もしあの方が僕以外の人間を認めることがあるとしたら。
僕は、それを見て僕でいる自信がない」
僕は、それを見て僕でいる自信がない」
先刻ようやく拾った己の得物を両の指で弄ぶ。
数はこれで計五本。
ただ、自分に課された制限により、同時に4人も操れば精度も持続時間も本来のそれに比してみすぼらしいことこの上ないだろう。
せいぜい数秒足を止める程度だろうか。
数はこれで計五本。
ただ、自分に課された制限により、同時に4人も操れば精度も持続時間も本来のそれに比してみすぼらしいことこの上ないだろう。
せいぜい数秒足を止める程度だろうか。
だが、それで充分だ。
己の忠誠こそが、何人たりとも防ぐ事叶わない唯一無二の鉄槌となるのだから。
己の忠誠こそが、何人たりとも防ぐ事叶わない唯一無二の鉄槌となるのだから。
レガート・ブルーサマーズは誰にも知られることなく恍惚を得て――、
ただ、嗤った。
【雨流みねね@未来日記 死亡】
【F-05地下/研究棟/1日目/午前】
【レガート・ブルーサマーズ@トライガン・マキシマム】
[状態]:全身にダメージ(小)、左拳骨折(応急処置済み、能力で動かせる)、異能の者たちへの興味と失望
[服装]:
[装備]:単分子鎖ナノ鋼糸×5@トライガン・マキシマム FN P90(50/50) パニッシャー(機関銃 100% ロケットランチャー 1/1)(外装剥離) @トライガン・マキシマム
[道具]:支給品一式×3、FN P90の予備弾倉×1、メモ爆弾、不明支給品1(武器ではないようです)
拡声器、各種医療品 機関銃弾倉×2 ロケットランチャー予備弾×1、研究所のカードキー(研究棟)×2
[思考]
基本:ナイブズの敵を皆殺しにし、ナイブズに自分の忠誠の強さを知ってもらう。
1:ヴァッシュ・ザ・スタンピードを探して殺す。
2:ナイブズを探し、合流する。
3:未知の異能を警戒。
[備考]
※11巻2話頃からの参戦です
※自分に使用している単分鎖子ナノ鋼糸が外れると、身動き一つできなくなります
※単分子鎖ナノ鋼糸の相手へ使用する際の最大射程は、後続の書き手さんにお任せします
※自分の技能の制限内容に気付きました。精度や効果時間は操る人数に反比例します。
[状態]:全身にダメージ(小)、左拳骨折(応急処置済み、能力で動かせる)、異能の者たちへの興味と失望
[服装]:
[装備]:単分子鎖ナノ鋼糸×5@トライガン・マキシマム FN P90(50/50) パニッシャー(機関銃 100% ロケットランチャー 1/1)(外装剥離) @トライガン・マキシマム
[道具]:支給品一式×3、FN P90の予備弾倉×1、メモ爆弾、不明支給品1(武器ではないようです)
拡声器、各種医療品 機関銃弾倉×2 ロケットランチャー予備弾×1、研究所のカードキー(研究棟)×2
[思考]
基本:ナイブズの敵を皆殺しにし、ナイブズに自分の忠誠の強さを知ってもらう。
1:ヴァッシュ・ザ・スタンピードを探して殺す。
2:ナイブズを探し、合流する。
3:未知の異能を警戒。
[備考]
※11巻2話頃からの参戦です
※自分に使用している単分鎖子ナノ鋼糸が外れると、身動き一つできなくなります
※単分子鎖ナノ鋼糸の相手へ使用する際の最大射程は、後続の書き手さんにお任せします
※自分の技能の制限内容に気付きました。精度や効果時間は操る人数に反比例します。
※みねねが朝に『探偵日記』の管理人に向けてメールを送った痕跡がありますが、その内容は不明です。
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102:Should Deny The Divine Destiny of The Destinies | 雨流みねね | GAME OVER |
102:Should Deny The Divine Destiny of The Destinies | カノン・ヒルベルト | 125:「あの未来に続く為」だけ、の戦いだった |
102:Should Deny The Divine Destiny of The Destinies | 西沢歩 | 130:運命よそこを退け、俺が通る |
102:Should Deny The Divine Destiny of The Destinies | ミリオンズ・ナイブズ | 130:運命よそこを退け、俺が通る |
084:ナイブズ様がみてる | レガート・ブルーサマーズ | 122:この世の果てで恋を唄う少女YU-NO(中) |