Mißgestalt ◆L62I.UGyuw
まばらに商店が立ち並ぶ道を、場違いな鉄の戦車が進攻していた。
日は既に高く、遠くの空にはこれからの運命を予感させるように厚い雲が顔を出している。
そして戦車の行く手には、延々馬鹿騒ぎを続ける妖怪と人間の姿が空に大写しになっていた。
日は既に高く、遠くの空にはこれからの運命を予感させるように厚い雲が顔を出している。
そして戦車の行く手には、延々馬鹿騒ぎを続ける妖怪と人間の姿が空に大写しになっていた。
「ぅふん♪ 楽しみねぇん……♪」
むっとする血の臭いが充満する戦車の中。
赤く染まった操縦席に座る妲己は、恍惚とした表情でハンドルを操作していた。
彼女の顔色は青白く、額には玉の汗が浮いている。
それも当然だ。
何しろ彼女は『獣の槍』で――妖怪を殺すためだけに造られた兵器で、腹を貫かれたのだから。
如何な大妖と言えども死は免れないだろう。
はみ出した腸を腹腔に押し戻しながら、しかしそれでもなお妲己は不敵な笑みを絶やさない。
赤く染まった操縦席に座る妲己は、恍惚とした表情でハンドルを操作していた。
彼女の顔色は青白く、額には玉の汗が浮いている。
それも当然だ。
何しろ彼女は『獣の槍』で――妖怪を殺すためだけに造られた兵器で、腹を貫かれたのだから。
如何な大妖と言えども死は免れないだろう。
はみ出した腸を腹腔に押し戻しながら、しかしそれでもなお妲己は不敵な笑みを絶やさない。
彼女が騒ぐ二人の元へと向かう理由。
それは『借体形成の術』を用いて、かの金毛の妖怪の肉体を奪うため。
借体形成の術は自らの魂魄を他者の肉体に移し替える術だ。
この術を使うために必要な条件は大まかに分けて四つある。
それは『借体形成の術』を用いて、かの金毛の妖怪の肉体を奪うため。
借体形成の術は自らの魂魄を他者の肉体に移し替える術だ。
この術を使うために必要な条件は大まかに分けて四つある。
一つは、魂魄のみで行動する術を身に付けていること。
一つは、対象が近くにいること。
一つは、対象が適合する肉体を持っていること。
一つは、対象の意識が失われていること。
一つは、対象が近くにいること。
一つは、対象が適合する肉体を持っていること。
一つは、対象の意識が失われていること。
今の場合、前の三つの条件は問題無い。
どうやら魂魄のみでの行動は大幅に制限されているようだが、極短時間ならば可能であることは確認している。
二つ目の条件についても、このまま進めば妲己の命が尽きるよりも早く騒ぐ二人に接触出来ることは確実だ。
三つ目は本来最も難儀する条件なのだが、幸いなことに巨大な映像を通してがなりたてているあの妖怪は、妲己の本性に近しい性質を持っている。
器としては最高の素材だろう。
ここで障害となるのは最後の条件だ。
意識を失わせる――口で言うのは簡単だが、実行するのは難しい。
殺しても構わないというのならともかく、生け捕りにせねばならないのだから。
更に欲を言えばなるべく傷を付けずに捕獲したいところだ。
どうやら魂魄のみでの行動は大幅に制限されているようだが、極短時間ならば可能であることは確認している。
二つ目の条件についても、このまま進めば妲己の命が尽きるよりも早く騒ぐ二人に接触出来ることは確実だ。
三つ目は本来最も難儀する条件なのだが、幸いなことに巨大な映像を通してがなりたてているあの妖怪は、妲己の本性に近しい性質を持っている。
器としては最高の素材だろう。
ここで障害となるのは最後の条件だ。
意識を失わせる――口で言うのは簡単だが、実行するのは難しい。
殺しても構わないというのならともかく、生け捕りにせねばならないのだから。
更に欲を言えばなるべく傷を付けずに捕獲したいところだ。
万全の状態ならば、策を巡らし絡め取って肉体を奪うところなのだが……残念ながら下腹部に大穴が開いた状態でそんな悠長なことをしている時間は無い。
ならばどうするか。
簡単だ。
ならばどうするか。
簡単だ。
戦車を停める。
今や馬鹿騒ぎの映像は山と見紛う程に大きく見えている。
その映像の下にある、昭和の香り漂う赤提灯に、主砲の照準を合わせ、
今や馬鹿騒ぎの映像は山と見紛う程に大きく見えている。
その映像の下にある、昭和の香り漂う赤提灯に、主砲の照準を合わせ、
「ハデにいっくわよ~ん♪」
そして躊躇い無く発射。
着弾。
次の瞬間、映像宝貝を通して、太陽が爆発したかのような閃光と大爆音が島を支配した。
*****
濛々と立ち込める黒煙と粉塵。
木材の焼ける臭いが鼻を突く。
数十秒前まで居酒屋だった場所は、今やただの瓦礫の山と化していた。
木材の焼ける臭いが鼻を突く。
数十秒前まで居酒屋だった場所は、今やただの瓦礫の山と化していた。
「こんちきしょ~~。せっかくヒトがキモチ良く歌ってたってのに、いきなり何しやがんだよ~~」
ゲホゴホと咳をしながら、粉塵の中からとらが現れた。
小脇には気を失っている雪路が抱えられている。
ちなみにその雪路はマイクと映像宝貝をしっかと抱え込んでいる。流石といったところか。
小脇には気を失っている雪路が抱えられている。
ちなみにその雪路はマイクと映像宝貝をしっかと抱え込んでいる。流石といったところか。
とらは抱えた雪路を見て、隈取を歪ませ少し不本意そうな調子で口を尖らせた。
「ったく。人間なんぞを助けてやるつもりは無かったんだがよ……」
ブツブツと文句を言いながら、雪路を無造作に歩道に転がす。
弾みで映像宝貝がゴトリと音を立てて彼女の腕から離れた。
爆発の影響で映像宝貝のスイッチが切れたらしく、青い空にはもう何の映像も映っていない。
とらは何が起こったのかと改めてキョロキョロ辺りを見回していたが、あるものを見留めて動きを止める。
弾みで映像宝貝がゴトリと音を立てて彼女の腕から離れた。
爆発の影響で映像宝貝のスイッチが切れたらしく、青い空にはもう何の映像も映っていない。
とらは何が起こったのかと改めてキョロキョロ辺りを見回していたが、あるものを見留めて動きを止める。
「……あん?」
徐々に晴れていく煙の向こうに、やたらと威圧感のある鋼の城塞があった。
それが何なのかを認識した直後、城塞に備え付けられた長い砲身がギコンと動いてとらを捉える。
それが何なのかを認識した直後、城塞に備え付けられた長い砲身がギコンと動いてとらを捉える。
砲撃。
同時にとらはバネのように跳躍。
砲弾はとらのいた空間を貫いて背後の民家に着弾。一瞬遅れて爆音が轟いた。
砲弾はとらのいた空間を貫いて背後の民家に着弾。一瞬遅れて爆音が轟いた。
「ひえ~~~~。ありゃ『せんしゃ』とかいうニンゲンの道具じゃねェか」
とらは空高く上昇しながら、崩れ行く家をちらりと見た。
まともに食らえば、とらと言えどもタダでは済みそうもない。
戦車の上空で腕組みしながら、フンと鼻から息を吐き出す。
まともに食らえば、とらと言えどもタダでは済みそうもない。
戦車の上空で腕組みしながら、フンと鼻から息を吐き出す。
「さて、どうすっかね…………ん?」
そこで気付く。
とらが上空に上がってから、戦車は何故か沈黙していた。
首を傾げる。
とらが上空に上がってから、戦車は何故か沈黙していた。
首を傾げる。
「んん? なんだよおい、もう撃って来ねェのかよ。もしかして『たまぎれ』ってヤツか?」
とらは知る由も無いことだが、戦車は空に向かって攻撃することを想定して設計されてはいない。
偶然ではあるが、戦車の上を取ったとらは絶対的な優位を確保しているのだ。
偶然ではあるが、戦車の上を取ったとらは絶対的な優位を確保しているのだ。
動こうとしない戦車に向かって、とらは獰猛な笑みを見せる。
「へッ。じゃあ次はわしの番だなァ。
ドコのマヌケか知らんが、このわしにケンカ売って、生きていられるだなんて思うんじゃねェぞ」
ドコのマヌケか知らんが、このわしにケンカ売って、生きていられるだなんて思うんじゃねェぞ」
パキパキと。
乾いた音を立てて、とらの長い金色の体毛の間に、雷が走り始める。
乾いた音を立てて、とらの長い金色の体毛の間に、雷が走り始める。
「けえええええええええ!!」
咆哮と共に、帯電したとらの体毛から空気の絶縁を破って雷が放たれた。
無数に枝分かれした雷光が戦車を直撃して、巨大な風船が連続して破裂したかのような音が辺りに響き渡る。
そして静寂。
とらの雷を受けても、戦車は薄く煙を立てるだけで相変わらず動く素振りさえ見せない。
無数に枝分かれした雷光が戦車を直撃して、巨大な風船が連続して破裂したかのような音が辺りに響き渡る。
そして静寂。
とらの雷を受けても、戦車は薄く煙を立てるだけで相変わらず動く素振りさえ見せない。
「あんだよ。もう死んじまったのか?」
とらはポリポリと頭を掻きながら、上空から戦車にゆっくりと近付いて行く。
それでもやはり戦車は動かず、とらは首を傾げつつ戦車の横に降り立った。
それでもやはり戦車は動かず、とらは首を傾げつつ戦車の横に降り立った。
「お~~~~い」
ゴンゴンと、車体をノックするとら。
するとそれに応えるように、上部のハッチが勢い良く開いた。
ハッチから飛び出して来たのは弓型の宝貝を構えた妲己。
そして間髪入れずに光を固形化したような矢を放った。
それも一本ではない。十を軽く超える光の矢が、とらに一斉に襲い掛かる。
するとそれに応えるように、上部のハッチが勢い良く開いた。
ハッチから飛び出して来たのは弓型の宝貝を構えた妲己。
そして間髪入れずに光を固形化したような矢を放った。
それも一本ではない。十を軽く超える光の矢が、とらに一斉に襲い掛かる。
「ぬぅゥゥ!」
とっさに腕を体の前で交差して防御したものの、とらはほとんど全ての矢をまともに食らって、背から地に叩き付けられた。
その隙に妲己は戦車の上から飛び降りて距離を取り、次なる光の矢を番えた。
その隙に妲己は戦車の上から飛び降りて距離を取り、次なる光の矢を番えた。
「おバカさんねぇん♪ 金属で囲まれた空間に電気は通らないのよぉん♪
ここ、テストに出るからメモっておきなさぃん♪」
ここ、テストに出るからメモっておきなさぃん♪」
とらは舌打ちをして、獣独特のしなやかな動きで仰向けの状態から一気に立ち上がった。
そして大きな白い眼で妲己を睨み付ける。
そして大きな白い眼で妲己を睨み付ける。
「あらん。全然へっちゃらみたいねぇん♪
ますます気に入っちゃったわぁん♪」
ますます気に入っちゃったわぁん♪」
妲己の言葉の通り、とらの体にはいくつもの穴が穿たれてはいるが、どれも致命傷には程遠い。
「ふん、ぬかせ。こんなもんでわしを殺せると思ったかよ。
……んで、てめー、ナニモンだ? イヤなニオイをプンプン漂わせやがって」
「わらわは究極にして永遠不滅のジャンプヒロイン、妲己ちゃんよん♪」
……んで、てめー、ナニモンだ? イヤなニオイをプンプン漂わせやがって」
「わらわは究極にして永遠不滅のジャンプヒロイン、妲己ちゃんよん♪」
腹の穴から夥しい出血を見せながら、それでも妲己の余裕は揺るがない。
いや――実際は彼女自身が直接戦闘せざるを得ない程に切羽詰まった状況なのだが、その態度には些かの焦燥も感じられないのだ。
とらもその異常性を感じ取ったのか、ワケワカんねーよと短く言い捨てて殺気を剥き出しにする。
いや――実際は彼女自身が直接戦闘せざるを得ない程に切羽詰まった状況なのだが、その態度には些かの焦燥も感じられないのだ。
とらもその異常性を感じ取ったのか、ワケワカんねーよと短く言い捨てて殺気を剥き出しにする。
完全に臨戦態勢に入ったとらを妲己は面白そうに見遣り、いやん、とふざけた声を発して矢を放った。
今度は先程の倍以上、五十に届かんばかりの光の矢がとらに降り注ぐ。
だが、
今度は先程の倍以上、五十に届かんばかりの光の矢がとらに降り注ぐ。
だが、
「しゃらくせええェェェ!」
放電。
光の矢はとらの放った雷の投網に飲み込まれ次々と相殺されていく。
視界一杯に広がる稲妻を眺めて、しかし妲己は満足げな様子で目を細めた。
雷で編まれた網の一部が蛇のようにのたくり、妲己のすぐ横のアスファルトを砕く。
光の矢はとらの放った雷の投網に飲み込まれ次々と相殺されていく。
視界一杯に広がる稲妻を眺めて、しかし妲己は満足げな様子で目を細めた。
雷で編まれた網の一部が蛇のようにのたくり、妲己のすぐ横のアスファルトを砕く。
「ぅふん……ゾクゾクするわぁん♪」
間髪入れず正面から突っ込んで来るとらを見据えて、妲己は愉しそうに口の端を吊り上げた。
*****
じりじりと照り付ける太陽の下。
寂れた商店街の一角が、散発的に破壊音と閃光に包まれる。
それらを生み出しているのは二体の妖怪、とらと妲己。
とらは雷と炎を放ちながら接近を試み、妲己は距離を取って光の矢を撃つ。
幾度となく繰り返される内に、オゾン臭と融けたアスファルト独特の臭いが混ざって、辺り一面に立ち込めて行く。
寂れた商店街の一角が、散発的に破壊音と閃光に包まれる。
それらを生み出しているのは二体の妖怪、とらと妲己。
とらは雷と炎を放ちながら接近を試み、妲己は距離を取って光の矢を撃つ。
幾度となく繰り返される内に、オゾン臭と融けたアスファルト独特の臭いが混ざって、辺り一面に立ち込めて行く。
戦いは終始妲己が有利を取って進めていた。
何度も肉薄するとらを巧みにいなし続ける妲己。
一方のとらの体には、少しずつではあるが確実に矢傷が増えていく。
このまま戦い続ければ、いずれ妲己に勝利の女神が微笑むように思える。
だがそれは腹の傷というハンディキャップが無ければの話だ。
一方のとらの体には、少しずつではあるが確実に矢傷が増えていく。
このまま戦い続ければ、いずれ妲己に勝利の女神が微笑むように思える。
だがそれは腹の傷というハンディキャップが無ければの話だ。
妲己とて不死身ではない。
いくら余裕綽々の振舞いを見せていても、限界というものは確かに存在するのだ。
そして――ついにそのときが来た。
いくら余裕綽々の振舞いを見せていても、限界というものは確かに存在するのだ。
そして――ついにそのときが来た。
矢を番えること実に十五度目。
地を踏み締めていた妲己の脚から力が抜け、肩ががくりと下がった。
光の矢が消滅し、弓を取り落とす。
同時に、ごぼりと大量の血液が口から零れ出た。
地を踏み締めていた妲己の脚から力が抜け、肩ががくりと下がった。
光の矢が消滅し、弓を取り落とす。
同時に、ごぼりと大量の血液が口から零れ出た。
それを見たとらは勝機ばかりに全力で地を蹴る。
苦し紛れに、妲己は右腿に吊っていた細身の女性には不釣合いな大型の自動拳銃――デザートイーグルを抜いて発砲。
銃弾は見事にとらの腹に命中する。人間ならば致命傷は確実。
だがとらは怯まない。
銃弾は見事にとらの腹に命中する。人間ならば致命傷は確実。
だがとらは怯まない。
「アホウが! そんな豆鉄砲が効くかよォ!」
まるで意に介さず、稲妻の如く迫り来る。
更にもう一発。これはとらのこめかみを掠める。
更に――、
更にもう一発。これはとらのこめかみを掠める。
更に――、
「遅ェよ」
三発目を撃つことは出来なかった。
とらの振るった爪が、妲己の右手首から先を斬り飛ばしたのだ。
丸腰となった妲己に、容赦無く止めの一撃が放たれる。
唸りを上げるとらの右腕。
鋭い爪が妲己の心臓を貫き――、
とらの振るった爪が、妲己の右手首から先を斬り飛ばしたのだ。
丸腰となった妲己に、容赦無く止めの一撃が放たれる。
唸りを上げるとらの右腕。
鋭い爪が妲己の心臓を貫き――、
「――ぁはん♪」
その瞬間、妲己はひび割れた凄惨な笑みを浮かべた。
妲己が全ての攻撃を遠距離から行っていた理由。
それは、自分の弱点は近接戦であるととらに思わせるため。
とらが自ら妲己に近付き、止めを刺しに来るように誘導するため。
すなわち、とらを自然な形で懐に招き入れるため。
それは、自分の弱点は近接戦であるととらに思わせるため。
とらが自ら妲己に近付き、止めを刺しに来るように誘導するため。
すなわち、とらを自然な形で懐に招き入れるため。
全ては、この一瞬の隙を作り出すため――!
仙狐の双眸が妖しく輝く。
心臓に爪が食い込んだ瞬間、妲己は懐に隠し持っていた注射器を左手に握り込んだ。中身は即効性の筋弛緩毒。
狙うは自らの心臓を貫いた腕の、その付け根――肩に注射器を突き立てる――、
心臓に爪が食い込んだ瞬間、妲己は懐に隠し持っていた注射器を左手に握り込んだ。中身は即効性の筋弛緩毒。
狙うは自らの心臓を貫いた腕の、その付け根――肩に注射器を突き立てる――、
「バァカめ。テメーが何か企んでたことくれェ、こちとらお見通しよ」
その寸前。
とらの首が伸びて曲がり、妲己の腕を半ばからぶちりと食い千切った。
注射器が落ちて砕ける無情な音が妲己の耳に届き、彼女は自らの敗北を悟る。
とらの首が伸びて曲がり、妲己の腕を半ばからぶちりと食い千切った。
注射器が落ちて砕ける無情な音が妲己の耳に届き、彼女は自らの敗北を悟る。
「残念――だわん……」
その言葉が終わるか終わらないかといった刹那――金色の雷光が、稀代の悪女の肉体を内から焼き滅ぼした。
【妲己@封神演義 死亡】
*****
二体の大妖の戦いが決着した直後。
少し離れた路上で、一つの影がもぞもぞと動き出していた。
少し離れた路上で、一つの影がもぞもぞと動き出していた。
「ぅ……った~~……何よ、もぉ……」
頭を押さえながらきょろきょろと辺りを見回す雪路。
視界に入るものは瓦礫と化した居酒屋、そこら中に穴の開いた道路、何故か道の真ん中に置いてある戦車、そしてのっそりとこちらへ向かって来る着ぐるみ。
どこを取っても実に現実離れした光景だ。
視界に入るものは瓦礫と化した居酒屋、そこら中に穴の開いた道路、何故か道の真ん中に置いてある戦車、そしてのっそりとこちらへ向かって来る着ぐるみ。
どこを取っても実に現実離れした光景だ。
「…………飲み過ぎたわね……もっかい寝よ」
雪路の思考回路は今の状況を全て夢だと結論付けたらしい。
天頂に鎮座する太陽に喧嘩を売るように、アスファルトの上に寝転がる。
そしてそのまま幸せな夢の世界へと……。
天頂に鎮座する太陽に喧嘩を売るように、アスファルトの上に寝転がる。
そしてそのまま幸せな夢の世界へと……。
ふ、と。雪路の顔に影が射した。
瞼に降り注ぐ光量の変化を敏感に感じ取り、彼女はゆるゆると目を開ける。
瞼に降り注ぐ光量の変化を敏感に感じ取り、彼女はゆるゆると目を開ける。
「やいやい。おめーはホンットにノンキだなっ」
視界に入るものは獣のシルエット。
何かクドクドと文句が聞こえてくるが、今の彼女には暖簾に腕押し、糠に釘。
とらの言葉は何一つ引っ掛かることなく、心太のように入った分だけ右から左へと抜けて行く。
何かクドクドと文句が聞こえてくるが、今の彼女には暖簾に腕押し、糠に釘。
とらの言葉は何一つ引っ掛かることなく、心太のように入った分だけ右から左へと抜けて行く。
「だから何よもぉ……。今日は休みなの。私は寝るの。貝になるの。ほっといてよ……」
説教を完全に無視して、またしても目を閉じる雪路。
「いーから起きんかい!」
堪りかねたとらが手に持った弓でゴインと彼女の頭を殴った。
「あだ――!? 何すんのよ、このバカ!」
流石に目が覚めたのか、涙目で抗議する雪路。
何をどう考えてもバカは彼女の方なのだが、酔っ払いに理屈は通じない。
何をどう考えてもバカは彼女の方なのだが、酔っ払いに理屈は通じない。
「何すんだじゃねーだろが、おめーは。ンなとこで寝てっとおっ死ぬぞ?」
「……もー、うるさいわねー。……じゃー次の飲み屋まで連れてってちょ~だい。そこで寝るから」
「……もー、うるさいわねー。……じゃー次の飲み屋まで連れてってちょ~だい。そこで寝るから」
一度寝ると決めた酔っ払いのテンションは極小点まで落ち切っているのだ。
怒鳴られても殴られてもそうは簡単に動く気にはならない。
どこまでもやる気無く、それでもよいしょと気合を入れて、一応立ち上がる。
と思いきや、雪路はとらの腕を掴んでその体にもたれかかった。
その様子を見て、流石のとらも処置無しといった様子でがっくりと肩を落として一言。
怒鳴られても殴られてもそうは簡単に動く気にはならない。
どこまでもやる気無く、それでもよいしょと気合を入れて、一応立ち上がる。
と思いきや、雪路はとらの腕を掴んでその体にもたれかかった。
その様子を見て、流石のとらも処置無しといった様子でがっくりと肩を落として一言。
「あ~、もう。どうすりゃいーんだよ、このニンゲンはよ……」
*****
あの妲己とかいう妖からは白面の臭いがしやがったな。
こんな殺し合いなんぞどうでもいいけどよ。白面が絡んでるっつうんなら話は別だ。
徹底的にブチ壊してやろうじゃねェか。
こんな殺し合いなんぞどうでもいいけどよ。白面が絡んでるっつうんなら話は別だ。
徹底的にブチ壊してやろうじゃねェか。
……そういや傷の治りがやけに遅ェんだよな。
結界の類か?
けっ、つくづく気に入らねェ。
あァ、何か段々ハラ立ってきたぜ。
結界の類か?
けっ、つくづく気に入らねェ。
あァ、何か段々ハラ立ってきたぜ。
……うしおのヤローはどうしてんのかね。
いや別に心配って訳じゃねェんだけどよ。あいつはわしがいねェと全然ダメだからな。
まァ、どうせメソメソ泣いてやがるんだろーし、そろそろ捜してやろーかね。
いや別に心配って訳じゃねェんだけどよ。あいつはわしがいねェと全然ダメだからな。
まァ、どうせメソメソ泣いてやがるんだろーし、そろそろ捜してやろーかね。
【J-8/路上/1日目 昼】
【桂雪路@ハヤテのごとく!】
[状態]:酩酊
[服装]:
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、大量の酒
[思考]
基本:寝る。寝たい。寝かせろ。
1:眠い……。
2:あんにゃろ(卑怯番長)、次出くわしたらブッチめてやる。
3:???
[備考]
※殺し合いを本気にしてません。酒に酔ったせいだと思っています。
※映像宝貝をカラオケの装置のようなものだと思っています。
[状態]:酩酊
[服装]:
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、大量の酒
[思考]
基本:寝る。寝たい。寝かせろ。
1:眠い……。
2:あんにゃろ(卑怯番長)、次出くわしたらブッチめてやる。
3:???
[備考]
※殺し合いを本気にしてません。酒に酔ったせいだと思っています。
※映像宝貝をカラオケの装置のようなものだと思っています。
【とら@うしおととら】
[状態]:ダメージ(中、回復中)
[服装]:
[装備]:万里起雲煙@封神演義
[道具]:支給品一式×7、再会の才@うえきの法則、砂虫の筋弛緩毒(注射器×1)@トライガン・マキシマム、逃亡日記@未来日記、
マスター・Cの銃(残弾数50%・銃身射出済)@トライガン・マキシマム、デザートイーグル(残弾数5/12)@現実
マスター・Cの銃の予備弾丸3セット、不明支給品×3(一つは卑怯番長に使えないと判断されたもの)、詳細不明衣服×?
[思考]
基本:白面をぶっちめる。
1:うしおを捜す。
2:雪路は……どうすっかね。
[備考]
※再生能力が弱まっています。
[状態]:ダメージ(中、回復中)
[服装]:
[装備]:万里起雲煙@封神演義
[道具]:支給品一式×7、再会の才@うえきの法則、砂虫の筋弛緩毒(注射器×1)@トライガン・マキシマム、逃亡日記@未来日記、
マスター・Cの銃(残弾数50%・銃身射出済)@トライガン・マキシマム、デザートイーグル(残弾数5/12)@現実
マスター・Cの銃の予備弾丸3セット、不明支給品×3(一つは卑怯番長に使えないと判断されたもの)、詳細不明衣服×?
[思考]
基本:白面をぶっちめる。
1:うしおを捜す。
2:雪路は……どうすっかね。
[備考]
※再生能力が弱まっています。
※ブリッグズ製戦車(主砲15/30・機関銃残弾数60%)と趙公明の映像宝貝がJ-8の路上に放置されています。
【万里起雲煙@封神演義】
弓の形をした宝貝。複数の光の矢を同時に放つことが出来る。
弓の形をした宝貝。複数の光の矢を同時に放つことが出来る。
*****
ところで、あの狡猾な妲己が、とらとの戦闘において雪路を利用しようとしなかったのは何故だったのだろうか。
それは――――、
それは――――、
(残念――だわん……。保険を使うことになっちゃうなんて……。しばらくはこの子の中で我慢するしかなさそうねぇん♪)
時系列順で読む
Back:トラワレビト Next:まっすぐに立っているか
投下順で読む
Back:黄色い猿より鯨の方がかわいいよね! Next:まっすぐに立っているか
| 089:TOUGH BOY | 桂雪路 | 121:まっすぐに立っているか |
| 115:燃えよ剣(下) | 妲己 | GAME OVER? |
| 089:TOUGH BOY | とら | 121:まっすぐに立っているか |