妄想日記2nd ◆RLphhZZi3Y
名前が、呼ばれた。
喜媚の名前が呼ばれた。
喜媚の名前が呼ばれた。
この放送の者は何をぬかしているのか。
なぜこんなに淡々と流れていくのか。
なぜこんなに淡々と流れていくのか。
――大切な人を失ったことがないからだ。
なんと浅はかで愚かなのか。
――半身を失って、ごく小さいながらも幸せだった世界は破滅した。
他人にはわからない……
絆を蔑ろにした罪は重い!
――そうだ。ろくろく理由も問わずさせる殺し合いが、神が憎い!
なんと浅はかで愚かなのか。
――半身を失って、ごく小さいながらも幸せだった世界は破滅した。
他人にはわからない……
絆を蔑ろにした罪は重い!
――そうだ。ろくろく理由も問わずさせる殺し合いが、神が憎い!
放送の、喜媚が呼ばれた声を聴いてから、意識が混濁する。
誰の記憶が誰のものがよく覚えていない。自我を保つ芯を突然見失った。
そもそも芯自体が消え去ってしまったと考えたほうがよさそうだ。
魂同士がこすれ合い、互いをすり減らしている。
その都度相手に魂の欠片が付着し、また破片が舞い散る。
一度染み付いた魂の情報は上書きされ、元には戻らない。
存在が内側から破壊されていく。
己を保つ、そんな簡単なことができなかった。
水を瓶に入れずに瓶の形にとどめておくような、不可能極まることだった。
誰の記憶が誰のものがよく覚えていない。自我を保つ芯を突然見失った。
そもそも芯自体が消え去ってしまったと考えたほうがよさそうだ。
魂同士がこすれ合い、互いをすり減らしている。
その都度相手に魂の欠片が付着し、また破片が舞い散る。
一度染み付いた魂の情報は上書きされ、元には戻らない。
存在が内側から破壊されていく。
己を保つ、そんな簡単なことができなかった。
水を瓶に入れずに瓶の形にとどめておくような、不可能極まることだった。
自分はどんなカタチだったか、どんな生きざまだったか……
どんなものを食べていたか、どんな暮らしをしていたかすら曖昧だ……
考えるでもなく簡単に描けていたはずのイメージが淀み、歪んでいく。
徐々に目の前が暗くなっていく。
同時に濃く黒い霧が、頭の冴えていた部分を滔々と埋め尽くしていく。
浮遊してはまた霧の海へ引きずり戻されるのを繰り返す。
霧に力を吸い取られ、浮かんでいられる時間がどんどん削られていく。
目蓋を閉じずとも、窓の外に目をやらずとも、暗闇に浸ってしまう。
一足先に永遠の夜を向かえるらしい。
どんなものを食べていたか、どんな暮らしをしていたかすら曖昧だ……
考えるでもなく簡単に描けていたはずのイメージが淀み、歪んでいく。
徐々に目の前が暗くなっていく。
同時に濃く黒い霧が、頭の冴えていた部分を滔々と埋め尽くしていく。
浮遊してはまた霧の海へ引きずり戻されるのを繰り返す。
霧に力を吸い取られ、浮かんでいられる時間がどんどん削られていく。
目蓋を閉じずとも、窓の外に目をやらずとも、暗闇に浸ってしまう。
一足先に永遠の夜を向かえるらしい。
自分が自分でない何かになろうとしている。
死ぬ訳ではない。だが跡形もなく消滅する不安と恐怖を、永い年月生きてきて初めて思い知った。
妲己が引き金を引いて起こした殺戮、そこで観てきた"死"とは明らかに違う。
肉体は他の者へ循環せず、魂の行くあてもない。
現在過去未来を幻想として全否定されるのだ。
死ぬ訳ではない。だが跡形もなく消滅する不安と恐怖を、永い年月生きてきて初めて思い知った。
妲己が引き金を引いて起こした殺戮、そこで観てきた"死"とは明らかに違う。
肉体は他の者へ循環せず、魂の行くあてもない。
現在過去未来を幻想として全否定されるのだ。
……不様だ。わななく。
混ぜ物の身体は、封神台へ集まる者の末路とは別の歩みを辿るだろう。
築き上げてきた妲己という存在が不規則に雪崩れ、侵食され、壊れていく。
魂魄がほぐれて、ちりぢりになっていく。
微塵に砕け、この身体【器】の収まるところへ収まろうとしている。
もはや別物となった肉体は残るであろう。元々の魂は消滅するのだろう。
では精神はどこへ流れようとしている?
これは何かに似ている?
混ぜ物の身体は、封神台へ集まる者の末路とは別の歩みを辿るだろう。
築き上げてきた妲己という存在が不規則に雪崩れ、侵食され、壊れていく。
魂魄がほぐれて、ちりぢりになっていく。
微塵に砕け、この身体【器】の収まるところへ収まろうとしている。
もはや別物となった肉体は残るであろう。元々の魂は消滅するのだろう。
では精神はどこへ流れようとしている?
これは何かに似ている?
(……あぁん、これはぁ……)
思い当たった。
羽化前のさなぎのようだ。
芋虫だった中身が茶色く薄い殻の下で溶け混じる。
肉は種族に刻まれた命令にしたがって、体液と共にどろどろと流れて形を変える。
脚へ、目へ、腹へ、羽へ、蝶になるべく再構築される。
葉に這いつくばっていた姿と決別し、輪廻を一度挟んで別の種になるような変身を遂げる。
己を失っているのではなかった。
この身体は"成長""適合""適応""進化"の途中だ。
かつては潤也であり、獣となり、そして妲己の魂を宿した中身が、
完全なる字伏――白面――として生まれ変わろうとしているのだ。
今までの姿を脱ぎ捨て、見たこともない皮を被り、どことも知れない空へと羽ばたく段階へ入っている。
融合の流れを決めるのは、蝶のように自己が自己であり続けるよう刻まれた遺伝子ではなかった。
あえて名を乗せるなら……運命に定められた流れとしかいえない。
刻々と変化していく。
羽化前のさなぎのようだ。
芋虫だった中身が茶色く薄い殻の下で溶け混じる。
肉は種族に刻まれた命令にしたがって、体液と共にどろどろと流れて形を変える。
脚へ、目へ、腹へ、羽へ、蝶になるべく再構築される。
葉に這いつくばっていた姿と決別し、輪廻を一度挟んで別の種になるような変身を遂げる。
己を失っているのではなかった。
この身体は"成長""適合""適応""進化"の途中だ。
かつては潤也であり、獣となり、そして妲己の魂を宿した中身が、
完全なる字伏――白面――として生まれ変わろうとしているのだ。
今までの姿を脱ぎ捨て、見たこともない皮を被り、どことも知れない空へと羽ばたく段階へ入っている。
融合の流れを決めるのは、蝶のように自己が自己であり続けるよう刻まれた遺伝子ではなかった。
あえて名を乗せるなら……運命に定められた流れとしかいえない。
刻々と変化していく。
(わらわは、なにになるのかしらぁん……)
妲己は意識の海をたゆたっていた。
星と融合するはずだった。万物の真の支配者になろうと思い焦がれた。
全ての存在となり、永遠の時を自分のものにするはずだった。
森羅万象、有象無象に宿る、グレート・マザーになりたかった。
全ての存在となり、永遠の時を自分のものにするはずだった。
森羅万象、有象無象に宿る、グレート・マザーになりたかった。
だが、今はどうだ。
どうしてこんなに小さいのだろう。
どうしてうまくいかないのだろう。
どうして運命に抗えないのだろう。
どうしてこんなに小さいのだろう。
どうしてうまくいかないのだろう。
どうして運命に抗えないのだろう。
こんな卑小な混ぜ物になるなんて望んでいない。
大切なひとを奪った世界は、こんなにも大きい。
この強大な力を、なにを犠牲にしてでも手にいれるべきなのだ!
大切なひとを奪った世界は、こんなにも大きい。
この強大な力を、なにを犠牲にしてでも手にいれるべきなのだ!
自失しつつある中、かすかに残る心の拠り所を探す。
真っ赤な装飾品を掴んでいる手が、わずかだが安心感を与えてくれた。
タマゴの眼球がくるりと動いた。唇がむず痒く結ばれる。
こんな手のひらに収まる小物に惹かれてしまう。
初めて見たはずなのに、欠けていた身体の一部に巡り会えたような懐かしさを感じる。
真っ赤な装飾品を掴んでいる手が、わずかだが安心感を与えてくれた。
タマゴの眼球がくるりと動いた。唇がむず痒く結ばれる。
こんな手のひらに収まる小物に惹かれてしまう。
初めて見たはずなのに、欠けていた身体の一部に巡り会えたような懐かしさを感じる。
――宿主を亡くしたベヘリットに、運命は静かに畳み掛ける。
この者が生贄を納めてくれる。
そして新しい××××××が生まれると――
この者が生贄を納めてくれる。
そして新しい××××××が生まれると――
タマゴと視線が重なると、数時間前の白昼夢が広がった。
キレイになりたかった。
光ある、輝ける姿が憎い……
濁った邪な『気』が我を作った……
憧れ、妬み、憎み遠ざけた輝ける全てを膝下に敷き、滅ぼさなければならない……
濁った邪な『気』が我を作った……
憧れ、妬み、憎み遠ざけた輝ける全てを膝下に敷き、滅ぼさなければならない……
この心は潤うことなく干からびるというのか!?
君がいない絶望が満ちているこの世界では、
何も届かない、何も叶わない、何も手に入れられない!
君がいない絶望が満ちているこの世界では、
何も届かない、何も叶わない、何も手に入れられない!
力が妬ましい。
セカイが憎い。
力が、欲しい!
セカイが憎い。
力が、欲しい!
人類を、妖怪を、大地を、宇宙を捉えられる力があれば!!
――さぁ、運命に選ばれた!
こんなところで、とろけていてはいけない。
世界を配下に収める力を! 融合を! 発動させるのだ!
涙を、血を、肉を、さらけ出せ!!――
こんなところで、とろけていてはいけない。
世界を配下に収める力を! 融合を! 発動させるのだ!
涙を、血を、肉を、さらけ出せ!!――
だが、全てを失った我々には天秤の片方に乗せられるものは残っていない。
大切な者はみんな死んだ。
ジエメイ/兄貴/喜媚は死んだ。殺された。
死んだのだ
死んだんだ
死んじゃったぁん
死んだ……?
本当に?
いや、いるじゃないか、この島に。
名簿がなんだ。放送がなんだ。
直感が示しているではないか。
直感が示しているではないか。
まだ生きてるはずだ。
最親愛的、
一番大切な、
とってもたぁいせつな、
兄弟が。
最親愛的、
一番大切な、
とってもたぁいせつな、
兄弟が。
生贄、そのひとがいれば、
我/俺/わらわは、
なれるのか?
キレイなものに
望んだ姿に
グ……マザ……に
ゴッ……ンドに……
「「「あっははははははははははははははははははは
はははははははははははははははははははははははは
はははははははははははははははははははははははは
はははははははははははははははははははははははは
はははははははははははははははははははは!」」」
はははははははははははははははははははははははは
はははははははははははははははははははははははは
はははははははははははははははははははははははは
はははははははははははははははははははは!」」」
口が勝手に、狂人のごとく笑い出す。
甲高いソプラノに紛れて、男の低い声が幾重にも響く。
最初で最後の三重唱だった。
甲高いソプラノに紛れて、男の低い声が幾重にも響く。
最初で最後の三重唱だった。
紆余曲折し、数多の世界が融合した蝶が誕生した。
新たな身体は後悔と絶望と憎悪と嫉妬を温床に育った。
世代交代だ。芋虫の名残は大人しく退場しよう。
新たな身体は後悔と絶望と憎悪と嫉妬を温床に育った。
世代交代だ。芋虫の名残は大人しく退場しよう。
このまま我らから生まれた者が望む姿になってくれると思うと、この哄笑が最期の力を絞り出した滑稽なものであっても悔いはなかった。
どこか愉快な満足感で溢れた。
どこか愉快な満足感で溢れた。
もう自由にならない身体で、似合いもしない涙を流した。
辛うじて残る妲己の欠片は、どこか遠くへ連れて行かれようとしていた。
雲の上のようであり、大地に吸われるようでもあった。
水と一緒に流れるようでもあり、山を転がる石のようでもあった。
辛うじて残る妲己の欠片は、どこか遠くへ連れて行かれようとしていた。
雲の上のようであり、大地に吸われるようでもあった。
水と一緒に流れるようでもあり、山を転がる石のようでもあった。
これが夢にまで見た、グレート・マザーの支配……
全ての流れのうちのひとつになれた。
この美しさはきっと"死ぬ"前の幻だ。
幻に時を感じ、生を感じ、死を感じる。
望んでいたものは、こんなに近くにあった。
自然のなかに、確かに我等は存在していたのだ!
これこそが真理なのか……
全ての流れのうちのひとつになれた。
この美しさはきっと"死ぬ"前の幻だ。
幻に時を感じ、生を感じ、死を感じる。
望んでいたものは、こんなに近くにあった。
自然のなかに、確かに我等は存在していたのだ!
これこそが真理なのか……
今まで殺してきた者たちとは違うところへ行くに違いない。
新しく進化すべく選ばれた存在なのだから!
こんな矮小な身体【器】になぜ執着していたのだろう?
消えることを恐れる必要なかったのだ!
これから、『神』を超える力を持つというのに!
新しく進化すべく選ばれた存在なのだから!
こんな矮小な身体【器】になぜ執着していたのだろう?
消えることを恐れる必要なかったのだ!
これから、『神』を超える力を持つというのに!
新しくなろう、大きくなろう、転生してやろう、ひとつになろうじゃないか!
意識が明朗だった最後の箇所に、ゆったりと暗黒が充満した。暗黒の霧に、全身が沈む。
足先から順に、感覚を失った。膝、腹、胸、首が浸っていく。
残すところ顔だけとなったとたん、いきなり目の奥に光が射したかと思うと、霧が一気に晴れた。
病院の真っ白い壁だったかもしれないが、それが夜空に浮かぶ、
大きな大きな満月の表面のように見えた。
足先から順に、感覚を失った。膝、腹、胸、首が浸っていく。
残すところ顔だけとなったとたん、いきなり目の奥に光が射したかと思うと、霧が一気に晴れた。
病院の真っ白い壁だったかもしれないが、それが夜空に浮かぶ、
大きな大きな満月の表面のように見えた。
この星と対をなす月が、自然の流れになったことを歓迎してくれている。
これが一体に
なるという
ことだと
いうの
だろ
う
?
なるという
ことだと
いうの
だろ
う
?
(あらぁん、わらわはどうして、このたまごのつかいみちをしっているのかしらぁん)
それきり、妲己の時は動かない。
【妲己@封神演義 自我消滅】
ズン
身体を揺らす程度の衝撃を男は背中から受けた。
ゆるゆると視線を衝撃の原因になった場所へ向ける。
美しく磨かれた刀身が、男の腹を後ろから貫いていた。英字プリントのシャツが湿っぽくなる。
赤いぬめりが鏡のような刃をくすませる。鈍く光沢を放つぬめりは、床にも可憐な花を咲かせていた。
滴り落ちる雫が王冠を形づくったのち、だらしなく広がる。
身体の穴から刃を抜き、そのまま男の背中へ斜めに斬撃をいれた。
カードを読取機にスラッシュさせる、そんな無機質で無感動な動作だった。
血が吹き飛び、由乃の服も点々と濡らす。汚いと、本心で思った。
ゆるゆると視線を衝撃の原因になった場所へ向ける。
美しく磨かれた刀身が、男の腹を後ろから貫いていた。英字プリントのシャツが湿っぽくなる。
赤いぬめりが鏡のような刃をくすませる。鈍く光沢を放つぬめりは、床にも可憐な花を咲かせていた。
滴り落ちる雫が王冠を形づくったのち、だらしなく広がる。
身体の穴から刃を抜き、そのまま男の背中へ斜めに斬撃をいれた。
カードを読取機にスラッシュさせる、そんな無機質で無感動な動作だった。
血が吹き飛び、由乃の服も点々と濡らす。汚いと、本心で思った。
「安藤潤也は死んでる。死んでるなら、大人しく死んでてくれない」
人質の利用価値はなくなった。処分するのは当然だった。
あいうえお順で呼ばれた最初の犠牲者はうっかり聞き逃したが、安藤潤也との名前はしっかり流れていた。
当の安藤潤也は、放送の名で胡喜媚が呼ばれた途端、なぜか突然笑い出した。
由乃に気を止めてもいないようだったから斬った。それだけだ。
あいうえお順で呼ばれた最初の犠牲者はうっかり聞き逃したが、安藤潤也との名前はしっかり流れていた。
当の安藤潤也は、放送の名で胡喜媚が呼ばれた途端、なぜか突然笑い出した。
由乃に気を止めてもいないようだったから斬った。それだけだ。
幻を見た、長い夢から覚めたような目をして、安藤潤也と名乗った男は振り返った。
一筋の綺麗な涙を流していた。
一筋の綺麗な涙を流していた。
#####
由乃の握る、ただの刀のフリをしていた飛刀が、いち早く異常に気づいていた。
数刻ほど前、飛刀は由乃にも由乃の犠牲になった男にも幻を見せた。
由乃は都合よく記憶を改竄して幻を歯牙にもかけず、男は男で幻をありえないことだとして気づいていた。
結果はどうであろうと、この二人の心は読み取れていた。だがこの"男"はどうだ?
目まぐるしい勢いで、一切つながりのない記憶同士がかきまざっている。
吸い寄せられた記憶の粒が新たな形を作るほんの直前、この男が望む未来だけが見えた。
だから幻を作ってやった。
あまりにも穏やかで和やかな景色だった。幻を作った本人ですら、現実味の無さに驚く。
だが、唐突にバチンとこの"男"の中身が弾けた。
弾けたというよりは、互いに寄り集まった欠片に、必要な最後の一ピースが嵌まったといった方が的確かもしれない。
幻が通用しなくなった。
赤子のようだ。全く新しい者が、身体に刺さった一瞬のうちに誕生したらしい。
数刻ほど前、飛刀は由乃にも由乃の犠牲になった男にも幻を見せた。
由乃は都合よく記憶を改竄して幻を歯牙にもかけず、男は男で幻をありえないことだとして気づいていた。
結果はどうであろうと、この二人の心は読み取れていた。だがこの"男"はどうだ?
目まぐるしい勢いで、一切つながりのない記憶同士がかきまざっている。
吸い寄せられた記憶の粒が新たな形を作るほんの直前、この男が望む未来だけが見えた。
だから幻を作ってやった。
あまりにも穏やかで和やかな景色だった。幻を作った本人ですら、現実味の無さに驚く。
だが、唐突にバチンとこの"男"の中身が弾けた。
弾けたというよりは、互いに寄り集まった欠片に、必要な最後の一ピースが嵌まったといった方が的確かもしれない。
幻が通用しなくなった。
赤子のようだ。全く新しい者が、身体に刺さった一瞬のうちに誕生したらしい。
#####
飛刀の推測通り、妲己はキメラに錬成されたように中身が切り替わった。
消滅を恐れ、新たな生物の誕生に喜んでいたのはただの一瞬。
諸行無情の虚しさを感じてくれる者は、もうどこにもいない。
消滅を恐れ、新たな生物の誕生に喜んでいたのはただの一瞬。
諸行無情の虚しさを感じてくれる者は、もうどこにもいない。
#####
苦しさと痛みで歪めた顔を見せるであろう他人に興味はなかった。
血振いして見下す。
血振いして見下す。
そんな些細なことより、一刻も早くユッキーと合流したかった。
ユッキーの生存が第一。
ユッキーの五体満足は大前提。
自身の生存は、場合によっては度外視。
なら、とる行動は決まっている。
時間の無駄を省いたまでだ。
ユッキーの生存が第一。
ユッキーの五体満足は大前提。
自身の生存は、場合によっては度外視。
なら、とる行動は決まっている。
時間の無駄を省いたまでだ。
そう考える時間を考慮しても、普通の人間なら観察もできない他人の内面の変化に、由乃は飛刀よりほんの少し遅れて気づいた。
遅れたというより、光のような速度で追いついたというべきか。
驚異的な勘の鋭さを現し、また超人的な洞察力をフル活動させた。
"安藤潤也"に刀を刺す前と後では、雰囲気がまるで違う。
ぐずぐずのおから状態だったさっきとはうってかわって、今はどうだ。
ぴんしゃんした、ひとつの固まりになっていた。
しかし振り向いたこの瞳に住み着いているのは、人とは到底思えなかった。
遅れたというより、光のような速度で追いついたというべきか。
驚異的な勘の鋭さを現し、また超人的な洞察力をフル活動させた。
"安藤潤也"に刀を刺す前と後では、雰囲気がまるで違う。
ぐずぐずのおから状態だったさっきとはうってかわって、今はどうだ。
ぴんしゃんした、ひとつの固まりになっていた。
しかし振り向いたこの瞳に住み着いているのは、人とは到底思えなかった。
「……いってぇ……なあ……」
腹に手をやり、ちょっとしたかすり傷だったように撫でる。
由乃が中学校で刺した男と同じように刃を立てたのに、倒れる気配がない。
斬撃痕はじゅくじゅくと、ごくゆっくり回復していく。
由乃が中学校で刺した男と同じように刃を立てたのに、倒れる気配がない。
斬撃痕はじゅくじゅくと、ごくゆっくり回復していく。
"安藤潤也"はまた笑った。
口が裂けるほど吊り上げて笑った。
実際、裂けていた。
口が裂けるほど吊り上げて笑った。
実際、裂けていた。
背筋を曲げ、腕を脚を大きくひらく。
獣とひとが混じった咆哮をあげる。
勇みたち、背震いをする。肉を裂く爪が伸びる。
人間にあるまじき牙が生える。
長い長い体毛が増える。
餓えた眼球が据わった目を向ける。
瞳の奥に、憎しみと絶望のどす黒い焔がたぎっていた。
獣とひとが混じった咆哮をあげる。
勇みたち、背震いをする。肉を裂く爪が伸びる。
人間にあるまじき牙が生える。
長い長い体毛が増える。
餓えた眼球が据わった目を向ける。
瞳の奥に、憎しみと絶望のどす黒い焔がたぎっていた。
由乃が寝ている間、雪輝と戦っていた獣によく似た者へ変貌した。
奇妙な柄をしている。
ライオンと熊を足して割ったような、立派な"字伏"が立っている。
奇妙な柄をしている。
ライオンと熊を足して割ったような、立派な"字伏"が立っている。
ありえない変身に気をとられかけたが、すぐに由乃は切り替える。
常人からしてみれば充分化け物といえる由乃だ。
それ以上の化け物が出現したところで、指針が揺らぐ訳がない。
常人からしてみれば充分化け物といえる由乃だ。
それ以上の化け物が出現したところで、指針が揺らぐ訳がない。
由乃は飛刀を納め、ロケットランチャーを構える。
不死身の獣であるはずがない。
不死身なら、そもそもこの殺し合いに参加させられはしない。
致命傷を与えれば死ぬに決まっている。
ここにユッキーがいるのなら、この獣を殺しておくほうが先決だ。
不死身なら、そもそもこの殺し合いに参加させられはしない。
致命傷を与えれば死ぬに決まっている。
ここにユッキーがいるのなら、この獣を殺しておくほうが先決だ。
ユッキー待っててね。
こんなケダモノ、すぐ殺してあげるから。
ユッキーユッキーユッキーユッキーユッキー
ユッキーユッキーユッキーユッキーユッキー
ユッキーユッキーユッキーユッキーユッキー
ユッキーユッキーユッキーユッキーユッキー
こんなケダモノ、すぐ殺してあげるから。
ユッキーユッキーユッキーユッキーユッキー
ユッキーユッキーユッキーユッキーユッキー
ユッキーユッキーユッキーユッキーユッキー
ユッキーユッキーユッキーユッキーユッキー
ジジ……とかすかなノイズが走る。
無差別日記の改変か、と耳をすます前に、愛しの王子様が助けに来てくれた。
無差別日記の改変か、と耳をすます前に、愛しの王子様が助けに来てくれた。
『こ、この虎模様のバカばけものっ。ぼ、僕が怖くて逃げ回ってるなっ!
4階のナースセンターで待ってるぞっ。ここまで来てみろよ、こここ腰抜けっ!』
4階のナースセンターで待ってるぞっ。ここまで来てみろよ、こここ腰抜けっ!』
「ユッキー!」
声のする上階へ二人して顔を向けた。
「あ……?誰が逃げてるだぁ?
首洗って待ってやがれ!!」
首洗って待ってやがれ!!」
一陣の風が由乃を掠めて過ぎていった。
廊下に残るのは由乃ただ一人。
そして病院に残る"人間"も、由乃ただ一人。
廊下に残るのは由乃ただ一人。
そして病院に残る"人間"も、由乃ただ一人。
(アハハハ……
ユッキーはそんなところにいないわ)
ユッキーはそんなところにいないわ)
奇妙なノイズは、きっと声を発する機械を通したものだ。
絶対にユッキー本人じゃない。確信できる。別物だ。
絶対にユッキー本人じゃない。確信できる。別物だ。
(ユッキーが仕掛けをして、助けてくれたんだね。
ほら、やっぱりユッキーは死んでない。
ありがとうユッキー♪)
ほら、やっぱりユッキーは死んでない。
ありがとうユッキー♪)
大切な無差別日記を撫で、猛烈なスピードでボタンを連打する。
眉毛一本動かさず、まばたきすらしない。その無表情さは画面からの光が更に不気味に引き立てた。
呼吸すら忘れているように、無心で親指を上下させる。
画面を見ながらも足は右へ左へ、異常な勘の下記憶をたどり、病院を抜け出した。
眉毛一本動かさず、まばたきすらしない。その無表情さは画面からの光が更に不気味に引き立てた。
呼吸すら忘れているように、無心で親指を上下させる。
画面を見ながらも足は右へ左へ、異常な勘の下記憶をたどり、病院を抜け出した。
夜がそろそろ始まる時間だ。晴れていれば空に夕陽が染み付いているはずだが、あいにくのみぞれである。
世界を赤く染める、太陽の悲しい色に出会えはしない。
世界を赤く染める、太陽の悲しい色に出会えはしない。
病院から50メートルほど離れた場所で、由乃はまぶたをかっ開き、首を後ろへガクンと倒した。
可愛らしい桃色の髪が動きに合わせてゆらめく。
やじろべぇのようにふらふらと頭を回し、唐突に止まる。
ぐっと上がったときには、憑き物が落ちてきょとんとした、年相応の困り顔をしていた。
可愛らしい桃色の髪が動きに合わせてゆらめく。
やじろべぇのようにふらふらと頭を回し、唐突に止まる。
ぐっと上がったときには、憑き物が落ちてきょとんとした、年相応の困り顔をしていた。
(あれ、どうしてこんなところにいるの?)
無差別日記を覗くと、由乃の頬は真っ赤っ赤になった。
赤面した頬の火照りを押さえようと両手を添える。
そうでもしないと胸が高鳴って、火花が散りそうだった。
携帯を閉じて、雪輝の格好よさに身をよじる。
無差別日記には、拡声器が響くこと、獣を見て茫然自失になった由乃が誰かに抱えられて外へ連れ出されたことが記されていた。
赤面した頬の火照りを押さえようと両手を添える。
そうでもしないと胸が高鳴って、火花が散りそうだった。
携帯を閉じて、雪輝の格好よさに身をよじる。
無差別日記には、拡声器が響くこと、獣を見て茫然自失になった由乃が誰かに抱えられて外へ連れ出されたことが記されていた。
雪輝自身を写せないなら、この誰かとは雪輝以外にはいない。
辺り一帯に花を撒き散らしそうな破顔一笑だ。
由乃の天真爛漫さは、能面以上に無表情だった数分前までとは別人だった。
ふくろうのようにくるくると首を回して呼び掛ける。
由乃の天真爛漫さは、能面以上に無表情だった数分前までとは別人だった。
ふくろうのようにくるくると首を回して呼び掛ける。
「ユッキー、どこにいるの?」
空はどんどん暗くなる。
「私を助けて疲れちゃったの?」
次々と電灯に光が灯る。
「わかった、さっきキスしたから照れちゃったんだね?」
みぞれはいよいよ強くなる。
「ちょっと待ってよ、ユッキー♪」
ほの暗くなっていく市街地に、答える声はなかった。
勝手に作りだした幻想を追いかけ、スキップを踏み、雪混じりの水溜まりを蹴立てて走り去っていった。
現実はどうであれ、雪輝が最期に遺した勇気の証は由乃の元へ届いた。
幸せだったとはいいがたいが、雪輝が生前に使いきれなかった幸運が、ささやかに由乃を守った。
それだけでも少しは報われるものである。
幸せだったとはいいがたいが、雪輝が生前に使いきれなかった幸運が、ささやかに由乃を守った。
それだけでも少しは報われるものである。
対して、運と確率の申し子と、おぞましい栄華を誇った女狐は、決して報われはしない。
たとえ魂が美しく消える夢を見ていても現実は変わらない。
生前の償いつくせない深い罪と業の罰として、醜い姿でさ迷い続ける。
たとえ魂が美しく消える夢を見ていても現実は変わらない。
生前の償いつくせない深い罪と業の罰として、醜い姿でさ迷い続ける。
地獄へ導く役割を終えるまで……
【D-02/病院階段/夕方(放送前後)】
【字伏@封神演義&うしおととら&魔王 JUVENILE REMIX】
[状態]:字伏の肉体(白面化60%)
[服装]:ボロボロの英字プリントTシャツ
[装備]:首輪@銀魂(鎖は途中で切れている)、エンフィールドNO.2(1/6)@現実
[道具]:支給品一式×3(メモを一部消費、名簿+1)、趙公明の映像宝貝、大量の酒、工具類、真紅のベヘリット
[思考]
0:……大切な者を……
1:競技場へ向かう。
2:獣の槍に恐怖感。
[備考]
※妲己・潤也の自我はほとんど残っていません。
ただしそれぞれの記憶の切れ端は残留しているので、
生前の目的や恐怖・怨恨は多少引きずっています。
※潤也の能力が使用できるかどうかは不明です。
[状態]:字伏の肉体(白面化60%)
[服装]:ボロボロの英字プリントTシャツ
[装備]:首輪@銀魂(鎖は途中で切れている)、エンフィールドNO.2(1/6)@現実
[道具]:支給品一式×3(メモを一部消費、名簿+1)、趙公明の映像宝貝、大量の酒、工具類、真紅のベヘリット
[思考]
0:……大切な者を……
1:競技場へ向かう。
2:獣の槍に恐怖感。
[備考]
※妲己・潤也の自我はほとんど残っていません。
ただしそれぞれの記憶の切れ端は残留しているので、
生前の目的や恐怖・怨恨は多少引きずっています。
※潤也の能力が使用できるかどうかは不明です。
【D-01東/市街地/夕方(放送前後)】
【我妻由乃@未来日記】
[状態]:健康
[服装]:やまぶき高校女子制服@ひだまりスケッチ 点々と血の飛沫
[装備]:飛刀@封神演義
[道具]:支給品一式×8、パニッシャー(機関銃 100% ロケットランチャー 1/1)(外装剥離) @トライガン・マキシマム、
機関銃弾倉×1、
無差別日記@未来日記、ダブルファング(残弾0%・0%、0%・0%)@トライガン・マキシマム
ダブルファングのマガジン×8(全て残弾100%)、首輪に関するレポート、
違法改造エアガン@スパイラル~推理の絆~、鉛弾0発、ハリセン、
研究所のカードキー(研究棟)×2、鳴海歩のピアノ曲の楽譜@スパイラル~推理の絆~、
閃光弾×2・発煙弾×3・手榴弾×3@鋼の錬金術師、不明支給品×3(一つはグリード=リンが確認済み、一つは武器ではない)
[思考]
基本:天野雪輝を生き残らせる。
0:天野雪輝を捜す。神社か灯台に行ってみたい。
1:雪輝日記を取り返すため鳴海歩の関係者に接触し、弱点を握りたい。
人質とする、あるいは場合によっては殺害。
2:雪輝日記を取り返したら、鳴海歩は隙を見て殺す。
3:ユッキーの生存を最優先に考える。役に立たない人間と馴れ合うつもりはない。
4:邪魔な人間は機会を見て排除。『ユッキーを守れるのは自分だけ』という意識が根底にある。
5:『まだ』積極的に他人と殺し合うつもりはないが、当然殺人に抵抗はない。
[備考]
※原作6巻26話「増殖倶楽部」終了後より参戦。
※安藤(兄)と潤也との血縁関係を兄弟だとほぼ断定しました。
※秋瀬或と鳴海歩の繋がりに気付いています。
※飛刀は普通の剣のふりをしています。
※病院の天野雪輝の死体を雪輝ではないと判断しました。
本物の天野雪輝が『どこか』にいると考えています。
※無差別日記は由乃自身が入力していますが、
本人は気づいていません(記憶の改竄)
[状態]:健康
[服装]:やまぶき高校女子制服@ひだまりスケッチ 点々と血の飛沫
[装備]:飛刀@封神演義
[道具]:支給品一式×8、パニッシャー(機関銃 100% ロケットランチャー 1/1)(外装剥離) @トライガン・マキシマム、
機関銃弾倉×1、
無差別日記@未来日記、ダブルファング(残弾0%・0%、0%・0%)@トライガン・マキシマム
ダブルファングのマガジン×8(全て残弾100%)、首輪に関するレポート、
違法改造エアガン@スパイラル~推理の絆~、鉛弾0発、ハリセン、
研究所のカードキー(研究棟)×2、鳴海歩のピアノ曲の楽譜@スパイラル~推理の絆~、
閃光弾×2・発煙弾×3・手榴弾×3@鋼の錬金術師、不明支給品×3(一つはグリード=リンが確認済み、一つは武器ではない)
[思考]
基本:天野雪輝を生き残らせる。
0:天野雪輝を捜す。神社か灯台に行ってみたい。
1:雪輝日記を取り返すため鳴海歩の関係者に接触し、弱点を握りたい。
人質とする、あるいは場合によっては殺害。
2:雪輝日記を取り返したら、鳴海歩は隙を見て殺す。
3:ユッキーの生存を最優先に考える。役に立たない人間と馴れ合うつもりはない。
4:邪魔な人間は機会を見て排除。『ユッキーを守れるのは自分だけ』という意識が根底にある。
5:『まだ』積極的に他人と殺し合うつもりはないが、当然殺人に抵抗はない。
[備考]
※原作6巻26話「増殖倶楽部」終了後より参戦。
※安藤(兄)と潤也との血縁関係を兄弟だとほぼ断定しました。
※秋瀬或と鳴海歩の繋がりに気付いています。
※飛刀は普通の剣のふりをしています。
※病院の天野雪輝の死体を雪輝ではないと判断しました。
本物の天野雪輝が『どこか』にいると考えています。
※無差別日記は由乃自身が入力していますが、
本人は気づいていません(記憶の改竄)
今は放送が終わったすぐあとぐらいだろう。
防音設備のせいで放送がろくろく聞こえず、聞仲が外に出て聞く役をかっていた。
そのかわりに潮が聞仲にとっては未知の機器で電話をすることになった。
体外式ナントカが病院にも連絡を送っていないか確かめるためだった。
キンブリーが怪我をしていないので、病院側を混乱させる誤報になってしまうからだ。
防音設備のせいで放送がろくろく聞こえず、聞仲が外に出て聞く役をかっていた。
そのかわりに潮が聞仲にとっては未知の機器で電話をすることになった。
体外式ナントカが病院にも連絡を送っていないか確かめるためだった。
キンブリーが怪我をしていないので、病院側を混乱させる誤報になってしまうからだ。
――実際は病院が半壊した巻き添えで通信機器が壊れていたのでつながらなかったのだが。
そんな中、変な録音メッセージが突然始まった。
『こ、この虎模様のバカばけものっ。ぼ、僕が怖くて逃げ回ってるなっ!
4階のナースセンターで待ってるぞっ。ここまで来てみろよ、こここ腰抜けっ!』
「な、なんだよ、この留守電?」
4階のナースセンターで待ってるぞっ。ここまで来てみろよ、こここ腰抜けっ!』
「な、なんだよ、この留守電?」
やけにつながらないと思った矢先に、同い年ぐらいの男の声が流れてきた。
こらえられない胴震いを必死でこらえ、誰かを挑発している。
留守電を聴いた潮に、この少年の恐怖がダイレクトに伝わった。
冷蔵庫に閉じ込められたような寒気が、おぞましく肝を冷やす。
ありったけの勇気をぶつけて戦っているひとがいる。
しかも大して年は違わない。
どこかで今も誰かが窮地にいる。こんな馬鹿げた茶番ゲームのせいで!
こらえられない胴震いを必死でこらえ、誰かを挑発している。
留守電を聴いた潮に、この少年の恐怖がダイレクトに伝わった。
冷蔵庫に閉じ込められたような寒気が、おぞましく肝を冷やす。
ありったけの勇気をぶつけて戦っているひとがいる。
しかも大して年は違わない。
どこかで今も誰かが窮地にいる。こんな馬鹿げた茶番ゲームのせいで!
「が、頑張れっ! 絶対に死ぬなよっ!?」
無意識に叫んだが、録音にはきっちり記録されてしまったらしい。
普通病院は留守電なんて使わない。異常なのは目に見えていた。
何より一番気になるのは、『虎模様のバケモノ』だ。
真っ先に浮かぶのは、生死を共にした相棒だった。
紅煉はすでに死に、知っている限りとらしか残っていない。
普通病院は留守電なんて使わない。異常なのは目に見えていた。
何より一番気になるのは、『虎模様のバケモノ』だ。
真っ先に浮かぶのは、生死を共にした相棒だった。
紅煉はすでに死に、知っている限りとらしか残っていない。
とらが人を襲って……?
バケモノはさっきの魑魅魍魎の仲間に違いないだろうけど……
人は食うなとさんざん言ってきたが、まさか、まさか、まさか!?
バケモノはさっきの魑魅魍魎の仲間に違いないだろうけど……
人は食うなとさんざん言ってきたが、まさか、まさか、まさか!?
「聞仲さんっ!!」
診療所のドアを蹴破る勢いで開けた。
名簿を握りしめ、聞仲は潮に問い掛ける。
名簿を握りしめ、聞仲は潮に問い掛ける。
「……ひょう、という者が呼ばれた」
「今はっ!!」
「今はっ!!」
ドカァッ!!
獣の槍柄で地面を思いっきり叩く。その反動と寒さで、指がじんじんする。
何も変えられない自分が悔しい。
聞きたくない現実に、耳を塞ぎたくなる。
下を向いたが、聞仲が訝しげに見ているのがわかる。
何も変えられない自分が悔しい。
聞きたくない現実に、耳を塞ぎたくなる。
下を向いたが、聞仲が訝しげに見ているのがわかる。
鼻と目が熱くなる。
でも、俯いてちゃ何も見えないから。
逃げてばっかりじゃどこにもいけないから。
足踏みしてちゃ前なんて進めないから。
一番恥ずかしいのは、傍観者に徹すること。
でも、俯いてちゃ何も見えないから。
逃げてばっかりじゃどこにもいけないから。
足踏みしてちゃ前なんて進めないから。
一番恥ずかしいのは、傍観者に徹すること。
『うしお、自分を信じて、対決していけ』
槍を持つ腕には、無骨でふてぶてしくて、素直じゃない人だったけど、
気高くて最期まで励ましてくれた蝉兄ちゃんがいる。
気高くて最期まで励ましてくれた蝉兄ちゃんがいる。
『甘えんな! 逃げてんじゃないわよ』
背中には、ちょっとの付き合いだったしどうしようもなく駄目な大人だったけど、
親しみやすくて、勇気の炎を点火してくれた桂先生がいる。
親しみやすくて、勇気の炎を点火してくれた桂先生がいる。
二人だけじゃない、聞仲さんだっている!
例え一人になっても、一人で生き抜いてきたんじゃないから。
今なら言える。助けてくれた、全部の人達へ。
今なら言える。助けてくれた、全部の人達へ。
あ り が と う
「今はっ……!なんもできないけどよぉっ、
どーしよーもなく無力だけどよお、
やらなきゃならないいけねぇことがあるんだ!
泣いてるだけじゃなんもできねんだ……」
どーしよーもなく無力だけどよお、
やらなきゃならないいけねぇことがあるんだ!
泣いてるだけじゃなんもできねんだ……」
袖でこぼれそうになっている鼻水を拭う。
「進むんだ! それが今できる絶対間違ってないことだ!!」
聞仲は黙って聞いてくれていた。
あまりにもまっすぐで、熱くて、眩しい潮を、目を逸らさず見てくれていた。
あまりにもまっすぐで、熱くて、眩しい潮を、目を逸らさず見てくれていた。
「そうだな……危険のない前進などあり得ない。
うしお、涙よりも見せなければならないものがある」
「なんだい?」
「底力、だ。自信を持つといい」
うしお、涙よりも見せなければならないものがある」
「なんだい?」
「底力、だ。自信を持つといい」
潮は無言で大きく頷いた。
槍を掲げ、向き直る。
槍を掲げ、向き直る。
「これから病院へ行きたい。
とらがいたらしいんだけど、なんかの事情でおれと同じくらいのヤツと戦ってる。
納めにいかなきゃいけないんだ。」
「……わかった、行こう。陽がわずかでも残っているうちに」
とらがいたらしいんだけど、なんかの事情でおれと同じくらいのヤツと戦ってる。
納めにいかなきゃいけないんだ。」
「……わかった、行こう。陽がわずかでも残っているうちに」
【I-09/診療所/夕方(放送前後)】
【蒼月潮@うしおととら】
[状態]:精神的疲労(中)、左肋骨1本骨折
[服装]:上半身裸
[装備]:獣の槍@うしおととら
[道具]:エドの練成した槍@鋼の錬金術師
[思考]
基本: 殺し合いをぶち壊して主催を倒し、みんなで元の世界に帰る。
0:とらが人を襲う?
1:殺し合いを行う参加者がいたら、ぶん殴ってでも止める。
2:仲間を集める。
3:とらと合流したい。とにかく速攻で病院へ行く
4:蝉の『自分を信じて、対決する』という言葉を忘れない。
5:流を止める。
6:聞仲に尊敬の念。
7:金光聖母を探す。
8:字伏(潤也)の存在にショック。止めたいが……。
9:白面を倒す。
10:キンブリーに留意。いい人でもなければ悪い人でもないっぽいけど……
11:余裕があるのなら小学校に行ってもいい。
[備考]
※参戦時期は31巻で獣の槍破壊された後~32巻で獣の槍が復活する前です。とらや獣の槍に見放されたと思っています。
とらの過去を知っているかどうかは後の方にお任せします。
※黒幕が白面であるという流の言動を信じ込んでいます。
[状態]:精神的疲労(中)、左肋骨1本骨折
[服装]:上半身裸
[装備]:獣の槍@うしおととら
[道具]:エドの練成した槍@鋼の錬金術師
[思考]
基本: 殺し合いをぶち壊して主催を倒し、みんなで元の世界に帰る。
0:とらが人を襲う?
1:殺し合いを行う参加者がいたら、ぶん殴ってでも止める。
2:仲間を集める。
3:とらと合流したい。とにかく速攻で病院へ行く
4:蝉の『自分を信じて、対決する』という言葉を忘れない。
5:流を止める。
6:聞仲に尊敬の念。
7:金光聖母を探す。
8:字伏(潤也)の存在にショック。止めたいが……。
9:白面を倒す。
10:キンブリーに留意。いい人でもなければ悪い人でもないっぽいけど……
11:余裕があるのなら小学校に行ってもいい。
[備考]
※参戦時期は31巻で獣の槍破壊された後~32巻で獣の槍が復活する前です。とらや獣の槍に見放されたと思っています。
とらの過去を知っているかどうかは後の方にお任せします。
※黒幕が白面であるという流の言動を信じ込んでいます。
【聞仲@封神演義】
[状態]:右肋骨2本骨折(回復中)、背に火傷(小)
[服装]:仙界大戦時の服
[装備]:ニセ禁鞭@封神演義、花狐貂(耐久力40%低下)@封神演義
[道具]:支給品一式(メモを大量消費)、不明支給品×1、首輪×4(ブラックジャック、妙、妲己、雪路)、
胡喜媚の羽、診療所の集合写真
[思考]
基本:うしおの理想を実現する。ただし、手段は聞仲自身の判断による。
1:妲己の不在を危険視。何処にいるかを探す。
2:金光聖母を探して可能ならば説得する。
3:2のために趙公明を探す。見つからなかったら競技場へ行く。
4:うしおの仲間を集める。特にエドと合流したい。
5:流を自分が倒す。
6:エドの術に興味。
7:流に強い共感。
8:幽世の存在に疑問。封神台があると仮定し、その存在意義について考える。
9:獣の槍を危険視。
10:診療所の地下を調べたい。
11:キンブリーを警戒。
[備考]
※黒麒麟死亡と太公望戦との間からの参戦です
※亮子とエドの世界や人間関係の情報を得ました。
※会場の何処かに金光聖母が潜んでいると考えています。
※妲己から下記の情報を得ました。
爆薬(プラスチック爆薬)についての情報。
首輪は宝貝合金製だが未来の技術も使われており、獣の槍や太極図が解除に使える可能性があること。
※幽世の存在を認識しました。幽世の住人は参加者や支給品に付帯していた魂魄の成れの果てと推測しています。
また、強者の魂は封神台に向かったのではないかと考えました。
※うしおがキンブリーと電話している間に診療所の地下を調べているかは不明です。
[状態]:右肋骨2本骨折(回復中)、背に火傷(小)
[服装]:仙界大戦時の服
[装備]:ニセ禁鞭@封神演義、花狐貂(耐久力40%低下)@封神演義
[道具]:支給品一式(メモを大量消費)、不明支給品×1、首輪×4(ブラックジャック、妙、妲己、雪路)、
胡喜媚の羽、診療所の集合写真
[思考]
基本:うしおの理想を実現する。ただし、手段は聞仲自身の判断による。
1:妲己の不在を危険視。何処にいるかを探す。
2:金光聖母を探して可能ならば説得する。
3:2のために趙公明を探す。見つからなかったら競技場へ行く。
4:うしおの仲間を集める。特にエドと合流したい。
5:流を自分が倒す。
6:エドの術に興味。
7:流に強い共感。
8:幽世の存在に疑問。封神台があると仮定し、その存在意義について考える。
9:獣の槍を危険視。
10:診療所の地下を調べたい。
11:キンブリーを警戒。
[備考]
※黒麒麟死亡と太公望戦との間からの参戦です
※亮子とエドの世界や人間関係の情報を得ました。
※会場の何処かに金光聖母が潜んでいると考えています。
※妲己から下記の情報を得ました。
爆薬(プラスチック爆薬)についての情報。
首輪は宝貝合金製だが未来の技術も使われており、獣の槍や太極図が解除に使える可能性があること。
※幽世の存在を認識しました。幽世の住人は参加者や支給品に付帯していた魂魄の成れの果てと推測しています。
また、強者の魂は封神台に向かったのではないかと考えました。
※うしおがキンブリーと電話している間に診療所の地下を調べているかは不明です。
天候情報
00:00~02:00 皆既月食
00:00~02:00 皆既月食
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| 156:AGITATOR/FOLLOWER | 蒼月潮 | 166:An Embryo In The Abyss |
| 156:AGITATOR/FOLLOWER | 我妻由乃 | 165:私の救世主さま |
| 156:AGITATOR/FOLLOWER | 妲己 | 167:喪失花《ワスレバナ》 (上) |
| 156:AGITATOR/FOLLOWER | 聞仲 | 166:An Embryo In The Abyss |