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作曲 魔礼海

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『戦おうじゃないかっ、趙公明1番!!』作詞 C.公明 / 作曲 魔礼海 ◆JvezCBil8U

















趙公明は自重しない。















1:【生きている人】尋ね人・待ち合わせ総合スレ【いますか】(Res:11)

11(?):麗しき貴族“C”からの招待状 投稿日:1日目・午後 ID:7thmaRCoI
諸君! 僕が麗しき貴族C.公明である!
僕の伝説は紀元前から始まった!
僕の武勇伝が聞きたいかい?
そう、あれは千五百年前の事だった……!
あの時僕は、通天教主さまに崑崙との宝貝試合をもちかけたのさ。
しかしそれは叶わなかった。だから僕は一人で崑崙山に乗り込んで、原始天尊くんと思う存分戦いに興じたのさ!
その結果、仙人界は暴力が支配する恐怖と混乱の時代となったんだ!
僕の伝説は紀元前から始まった!
僕の朝は一杯のコーヒーで始まる。
僕の午後は一杯のアフタヌーンティーにて始まる。
そして僕の夜は豪華に優雅にモンラッシェで終るのさ!
さて、僕の雄姿が知りたい君!
僕の華麗なる立ち振る舞いを目にしたい君には、次の動画を一日5時間視聴してもらいたい。
きっと貴族というものがどういうものか理解できるはずだ!
ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm2508500
僕の伝説は紀元前から始まった!
僕の伝説は終わらない。これからも明けの明星のように輝き続ける……!
まだまだ僕の一端でも紹介するには語り足りない。
しかし紙面が足りない以上、名残惜しいが本題に入るとしよう!
そこの君! そう、ウィンドウの奥のトランペットを眺めるようにこの書き込みを見つめている君!
お察しの通り僕は“神”の手の者、この遊戯盤における鬼札さ。
そんな薔薇の運命に生まれた気高き騎士たる僕と、是非とも手合わせしてみたい君たち!
あるいは“神”たる彼に挑もうと虎視眈々と付け入る隙を狙っている君たちに朗報だ!
そろそろこの殺し合いも円熟し、この“ネット”を知るものも十分増えた。
だから僕は考えた!
そうだ、武道会を開こうと。
それもただの武道会ではない、華やかに、美しく、麗しき武道会を開こうと思う!
ルールはバーリ・トゥードのバトルロワイヤル!
その場に集まった者たちで好き勝手に闘り合おう!
もちろん命と命のぶつかり合いだ、そこに容赦と手加減などの一切はなく、死人が出るのも致し方ないだろう。
戦場という名のこの世で最も高貴な舞台となるのは競技場だ。
既に君たちのうち何名かにはその旨を伝えてあるけれど、せっかくならば盛大にと思ってね。
楽しみを皆で別てるよう気を使うのも貴族の嗜みなのさ。
そこに僕の趣向がいくらかないかといえば、確かに否定はできないけどね!
ちなみに出席者は今は内緒にしておこう、誰が招かれているのか秘密にしておくのも花というものさ。
もしかしたら君たちの良く知る誰かも何らかの理由で参加するかもしれない。
彼か彼女を慮るならば、是非とも心当たりのある者も来てくれたまえ!
そうそう、戦いは本来それだけでこの身を掛けるに値する代物だが、しかし中にはそこに意味を見いだせない可哀想なお友達もいる。
悲しい事だね……!
だが、そんな友人たちにも是非とも己の意思で参加してもらいたいと、僕は考える。
故に――賞品を設けようと思う!
武道会を戦い抜き、僕に勝利したならば君は栄光、名誉と共に実利まで手に入れられるのさ。
それはこの遊戯と、主催者たる“神”の情報だ!
僕はこれらについて、君たちからの質問に答える事を確約しよう!
この会場の中で、彼と直接面識があるのは僕だけだ。
いや、主催陣の中でさえ彼の顔を知っているのは片手で数えられるかどうか。
そんな数少ない面子の一人である僕からの、この招待状を見た者はとても幸運だろう。
そして急ぎ決断したまえ。
彼との唯一の窓口たる僕が万に億に一つ敗北してしまった場合、その場に立ち会う事の出来なかった君は、
一生“神”の情報を手に入れる事が叶わなくなるのだから!
それだけじゃあ物足りないという強欲な君!
無論僕は他にも商品を用意しておくよ、楽しみにしていたまえ!
集合は午前0時、第4回放送の頃だ。シンデレラの魔法が解けるのと引き換えに、素晴らしき戦いの時間が始まるのさ!
オー・ルヴォワール、願わくばまた会おう! また会おう……!
そしてトレビアーンに戦おうじゃないかっ!

P.S.不幸にもネット環境を得られずこの招待状を見る事の出来ない人々にも、是非ともこの催しを知らせてくれたまえっ!


*****


西の方に走り去っていく重なり合った二つの影。
その背が木立の向こう側に消えたと同時、辺りに全く配慮なしに豪勢な音楽が響き渡る。

優美に建物の上から降り立った金髪の美青年――趙公明。
パチン、と手にした携帯電話を閉じて、彼はブワリと涙で頬を濡らす。

「素晴らしい……! 素晴らしい!
 いや全く、文明の進歩というのは実に素晴らしい!
 僕たちの時代にもこういうものがあれば、と思わずにはいられないね!」

クルクルと舞う趙公明の周りには、薔薇の花弁が幾重もの螺旋を作り出している。
音源の見当たらない曲といいこれだけ大量の花といい、一体何処から持ち出したのか。

「ノンノンノン! 無粋な突っ込みはよしたまえよ地の文くん!
 それよりもさっさと今の僕の状況を説明したまえ!」

メタ発言は止めなさいと。
世界観を崩すつもりか。

「ふむ……それもそうだね。僕とした事が迂闊だった。
 このお話もせっかくいい具合に進行してきたというのに、これでは物語として美しくない!
 では、読者の諸君! これまでのやりとりは存在しなかったという事で一つ頼むよ!
 リテイクだ!」


   |                       /::::::::::::/ _ ,.- ―――- - 、_  `ヾヽ 
   |                       /::::::::::::ムi刈/,.イノi ノ ./.: ,イ、.ノ i`ヽ、 ヾ.i
   |      しばらくお待ちください        / :::::::::::::ヾiハ.i/i/、_'´ ノイ / '´ .|....i ヽ ',.
   |                       / :::: :r_ヽミ i'  、_、_` ー-‐    i::::ハ:、 ...ヽi゙|
   |                       /::: :  .i .入     〃,Cヾヽ     jノ i!i::: :::ヽ|
   |                     ./:::: ::::: ..| レ.}    `; 弋;ソ '      .ヽ、.j }::::::::: |
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   |                      ./::::::::::::::::::::::ヽ`   ///     | .{シ∂ .ト ./::イ:: ,|
   |                  、_,.イ.ノi::::::::::::::::::::| |               ! ヾニ 、、./:ノj_ノ
 た  |                 ̄ノ:::::::::::::::::::::,:! '.      ,、  ヾ> // /
 だ. |              `、-.-.-ゥ: ̄ ̄ヽ‐-、::|i!  '.      .ハ_`ヽ、     /
 今..|               `>:/:::/_,_: : : : ヾi!  ヽ    .i: : ヾ/   ノ
 の . |              ,イ/:/: :イ /  ヾi: : : :',  : :ヽ   ヽ ´   ,.イ::|
 放 .|             i/:i: i: ェ、i/ ,-ュiイ: : :、:i  : :|::ヽ、_ ,. . ィ'´:::::i::::i.
 送..|             |/Vイ '@  '@ヽ`i: : i,ヾ、  : i::::、:::::::::i::::::::::iヾ::::::::ヽ、.
 に..|               ヾi,`ン  `、´、.iハ::i:',    ハiヾ、::::|、:::::::i ヾ::::iヾ:i_ 
 不..|                ト、 、=ヲ , i'i: :i、'、  i    ヾ:i ヾiヾ、_ ヾi
 適..|                _iヽ _ ィ´  ヾiハi―、_ 
 切 . |              ,.ィ ´ ヾi::i    _ノ ハ     冫- 、 
 な..|           _,ィ´ | /.  jノニ二 ノ        i   ``ヽ、__ 
 表..|        ,、‐'´ 、  i_ , ィ´ヽ、       (ヽ. |    i    `i、 
 現 .|      _/´ ̄  ̄ ̄   .、ヽ、冫        '. .|  , / /  / ̄`ヽ、
 が..|     /         、 ヽ_ン'´           ヽ '.ノ  ./ /       ,)
 ご..|     /      /一´i`´            ヾーi―/       / 
 ざ..|     ヽ、_,. -‐ ' ´    |            ___.!ノ        /
 い..|                   '.        / /              _/
 ま..|         __         '.    / // / / ,    __. -‐' ´
 し..|    ィ ´ <:::::::`:::..、    !    / /   `i__/ ./ ノ-'´i 
 た..| ,.イ:フ''     __ヾ:_:_:_:_::iヽ、__.|ヽ         `´ー'   冫
 こ....|,イ::::::こくりつ. /      `Y ヽ、/ .r-、'´ ̄  ̄`Y´  ̄`、  .r-、
 と....|::::::| ̄ ̄|-'^-|       /  ヽ |  |       l、   .| /  | 
 .を.....|` |.[ ̄].|_―_' ー-r-、7  .|ヽ、  ',/  i`ー―― '  ̄| .! /  /  がくえん
 お..|::::|.[_ .d.|、V /  / r'  .| i::ヽ、_ノ  | y'    __/ //  /く>くY >|  ̄ ̄ l
 詫..|、: :| L..コ.|-' '┐ / .|   / .i:::::::/  /_i__(     .7   i | _  ̄_`l ヒ コ |.
 び. ..|::..└‐‐.┴.‐.┘ /  ハ、_ノ   i:::/  /      `i――/   .| L|  ̄ i-l l__l |
 致. ..|、::::::::i  , --、__/  /   __/   ハ.____ノ ./     i┌テ .'-| { = }..|
 .し . | ヾ、:::ヽ.i     /__ l´     ./ </  /  `―´  ./|  i .L_ __」 [, <>.|
 .ま  |   ヾ、.ヽ、__ノ::::::::::::ヽ、_/  /    !       / .|   |  | ̄ / .| ´ ` |
  す . |                    /     `ー‐‐'´   ヽノ
  ...|                  /        ム_ ヽ_A 
   |                     /         /   ̄  i


*****


西の方に走り去っていく重なり合った二つの影。
その背が木立の向こう側に消えたと同時、辺りに全く配慮なしに豪勢な音楽が響き渡る。

優美に建物の上から降り立った金髪の美青年――趙公明。
パチン、と携帯電話を閉じて、趙公明はブワリと涙で頬を濡らす。

「素晴らしい……! 素晴らしい!
 いや全く、文明の進歩というのは実に素晴らしい!
 僕たちの時代にもこういうものがあれば、と思わずにはいられないね!」

クルクルと舞う趙公明の周りには、薔薇の花弁が幾重もの螺旋を作り出している。
まったく脈絡もなしに唐突に思い付いた武道会のアイデア。
彼はその、自身のアイデアの素晴らしさに打ち震えているのだ。
そしてだからこそ――ミリオンズ・ナイブズと今戦う事を選ばず、見送ったのである。

ヴァッシュ・ザ・スタンピードとミリオンズ・ナイブズ。
太公望という好敵手を失った今、彼が最も闘いたいと願うプラントの兄弟。
だが、趙公明は普通に戦うだけでは物足りない。
華やかに、麗しく。即ち華麗なる戦いでこそ、彼のその欲求は満たされる。

その為の手段として思い付いたのが、競技場を舞台とした件の武道会。
やるならば盛大に、それこそ会場の他の参加者すべてを相手取って戦ってみたいとさえ彼は思う。

この無謀なようで実に彼らしい考えに辿り着いたのは、デパートで狂戦士の甲冑を掘り起こした直後の事。
視線を感じ、それとなく辺りを探ってみれば、間違えようのないナイブズの気配がそこにあった。
喜び勇んでその挑戦状を受け取ろうと思ったのは一瞬、しかし彼の感性がそれを否定する。
決着をつけるならばもっと相応しい舞台で――と。

タイミング良く闖入者が現れ、ナイブズの意識を逸らしてくれたのは幸運だった。
あのままでは間違いなくナイブズから仕掛けてきていただろう。
……本当は、闖入者である黒い剣士――間違いなく“ガッツ”であろうと趙公明は確信しているが――とも、手合わせしたかった。
心の底から戦いたくて、しかしどうにか震える手で駆け込もうとする体を自制。
溜めて溜めて溜め込んで、それを一気に解放した時に感じるエクスタシーこそ至高であると、趙公明は知っている。

歩く。貴族衣装を靡かせて。
歩く。出どころの知れないワイングラスを傾けて。
歩く。無駄に丁寧なクラシックを伴って。

歩きながら――考える。

既に招待状の発送は終えている。
ネットという自分の世界にはない技術に目を付けて、誰の眼にも止まるよう武道会の開催をアピールした。
だが――どうせならばお楽しみを大量に用意したい。
せっかくだから、様々な趣向を今から考えておこうと考える。
たとえば、パーティーにはサプライズが付き物だ、とか。
主役は遅れて登場するものだ、とか。

その中の一つとして思い浮かんだアイデアが――これだ。

「初めましてゾッドくん! 僕は薔薇の貴公子、趙公明!
 突然だが、君には僕の馬車となってもらいたい!」

趙公明の視線の先には、巨躯の益荒男が珍しくも呆気に取られた顔を見せていた。


*****


ゾッドにはどう応対すればいいのか分からない。
目の前の珍妙な男がどんな存在なのか、まったく掴めない。
故に沈黙で返し、その剛腕を振りかぶるも――、趙公明とやらは全く無視してぺちゃくちゃ囀り続けるのみだった。

「……というわけで、やはりパーティーにはサプライズゲストが必要だと僕は思う。
 その意味で言えば、一度退場したはずの君以上の人選はないと言えるだろう。
 宴も最高潮に達したその時に、君の背に乗り僕は空からエレガントに舞い降りるのさ!」

喧しい。
力ずくで黙らせる。

轟、という音と共に右の拳を突き込む。
その一撃は岩をも砕き、生む風は容易く肉を切り裂く。

……が。

「ふむ、闘る気満々のようだね。
 願ってもない、僕も話に聞く君の強さを一度味わってみたかったのさ!」

――趙公明と名乗った男は、無事だった。
傷一つすら負わず、それどころかゾッドの拳の上に飛び乗ってさえいたのだ。

「……その巫山戯た格好、伊達ではないという事か」

ニィ、と趙公明の笑みが深くなる。
……ゾッドは、理解した。
表面上は自分とまったく相容れないように思えるこの男。
しかし、更に奥の奥の何処かで、非常に良く似た性質を共有しているのだ、と。

「アン」

腕の上を伝い、趙公明が踏み込む。
いつの間にやら手にしていた剣による高速連続刺突。

「ドゥ」

冷静に振り払おうとするも、どういうバランス感覚をしているのかぴたりと張り付き剥がれ落ちない。
故に、左手を肉の壁に。
無数の穴が掌に穿たれるも気にせず、そのまま張り手をブチ込んだ。
当たる。
しかし、効果は薄い。

「トロワ!」

最後の一突きを弾き飛ばされる直前に放った趙公明は、空中でムーンサルト。
ひらりと彼が着地したと同時、ゾッドの左頬から血が噴き出した。
趙公明の剣は、左手を犠牲にしてもなお突き刺さったのだ。
ジュウ、という音と共に左の手と頬が再生を始める中、ゾッドは一瞬の攻防で生じた疑問を叩き付ける。

「……何を悩む。戦うならば迷いを捨て全力で来るがいい。
 叶わぬならば、貴様はここで潰れるぞ」

……趙公明の剣には、そのキレの割にほんの少しだけ鈍るものがあった。
それが何かは分からないが、ゾッドは手を抜かれたようで不快を感じている。
やはり彼も趙公明に劣らぬ戦闘狂。
故に彼は、相手が本気を出す事を望む。

それが何をもたらすか知る事はなく。

「……ふむ、バレてしまったならしょうがないね。流石は百戦錬磨の不死のゾッドだ!
 なに、話は簡単さ。僕は君相手に宝貝を使うかどうか迷っていたんだよ」

心の底から申し訳なさそうな顔をして、趙公明は真摯にゾッドに向き合う。

「――宝貝を使うなら、宝貝を持つ相手かヴァッシュくんやナイブズくんのように特殊な力を持つ者に僕は限りたい。
 それが僕の信条だからね!
 しかし、君のような頑強な肉体と再生能力に特化した相手というのはその判断基準に照らすのは実に難しい……!」

宝貝とは何か、ゾッドにはその言葉の意味は分からなかったが――、しかし、出し惜しみをするなとの苛立ちを得る。
自ら望んで死に臨もうとするその姿勢に、趙公明は太陽にも似た笑みを浮かべる。
この選択は間違っていないだろうと、それを確信して。

そして。

「ここで盤古幡を手にするのは簡単だ。けれど、やはり僕は自分の信条は貫きたい!
 だから――、」

趙公明がその言葉を口にすると同時に、ゾッドは趙公明の姿がゆっくりと解れていくのをその眼に、脳に、心に刻み込む事になる。
まるで――自分たち“使徒”がその本性を露わにするときのようで。
しかし趙公明の体から発される圧は、大帝ガニシュカすら上回りかねない代物だった。

「だから僕は、同じ鬼札たる君にだけ、僕の“とっておき”を見せてあげる事に決めたよ!」

ゾッドはそこで、初めて気づく。
……この男もまた自分と同じく、“神”の陣営に送り込まれた存在であるのだと。

「どうだい? ある意味で君と僕の在り方は――良く似ているだろう?」

ああ、本当に良く似ている。
それを認めたと同時、ゾッドの体もまた蠢き始めた。
歓びの叫びをあげながら、黒い獣が翼を広げる。


咆哮。


*****




戦いは僅かに42秒で終結した。



しかし、その42秒で周囲数百メートルの森は、悉く消え失せた。
まるで旱魃でも訪れたかのように――草は枯れ、木は崩れ、無数の罅割れが大地に走っていた。
それはあたかも核戦争後の世界であるかのような光景だった。

その爆心地、エリアの三分の一近くを占める巨大なミステリーサークルの中央にて、傷だらけのゾッドは沈黙する。
情けを掛けられた屈辱が、彼の心を支配する。
その口から恨み節を漏らす事を、避けられない。

「……それ程の力を持ちながら、何故決着を渋る。
 貴様ならば、今すぐにでもこの島を文字通り支配し埋め尽くす事も可能だろうに」

独り言だったはずのそれに、いらえが返る。
勝者が元通りの姿となって地にその影を映し出していた。
その体からは一切の傷が消え去っている。『とっておき』を経由した影響だろうか。
ただ、ほんの僅かの開放にもかかわらず――疲労の色がその顔には微かに表れている。

「ノンノンノン、そんな単調で面白みのないゲームなんてやる価値はないだろう。
 勝てばいいという血生臭い戦いの時代は終わったのさ、如何に彩るかこそ戦いの醍醐味だよ!」

一々鬱陶しく感じるその所作に噛み付く気も湧いてこない。
完膚なきまでに敗北した。
ならば、出来る事など決まっている。

「……それで、返事はどうかな?
 僕の力を認め、今夜の宴の招待状を受け取ってくれたなら幸いなのだけどね」

「是非もない。……ただ、時間まで如何にして過ごせばいい。
 無為に過ごせというならば、今から貴様の首を捩じ切るぞ。たとえ届かなくともな」

それだけは譲る事が出来ないと、誇り高き戦士は猛る。
だが、無用な心配だ。
趙公明もまた同類。ならばそこを慮るのは当然の事。

「はーっははははは! 僕の器はそこまで小さくはないさ。
 ――好きに闘いたまえ、君の心の命ずるままに。
 ただ、ね」

「……何だ?」

「できれば、キンブリーくんに合流してもらいたい。
 彼は僕との連絡手段を持っていてね、パーティーの直前に再開する事も容易くなるだろう。
 まだここから東、そう遠くない所にいるはずだ、空から探せば見つけるのは簡単なはずさ。
 特徴は――、」

付けられた条件を耳に入れながら、ゾッドは子供のように心臓の鼓動が大きくなっていることを実感する。
この男の巻き起こす戦乱とやらがどれほどのものか、いつしかそれを楽しみにしている自分がいた。

「……宴の直前、貴様の連絡が入るまでにその男と合流していればいいのか」

「その通りさ! キンブリーくんは僕や君の同類だ、きっと仲良くなれると思う。
 一応キンブリーくんにも、見つけやすい屋外にいてくれるよう連絡を入れておくよ。
 では――グッドラック! この素晴らしき闘争の場を君も大いに楽しんでくれたまえ!」

返事はしない。
この戦場で最後まで生き抜ける見通しの少なさなど、とうに把握している。
だから、趙公明の思惑など夢物語だ。第4回放送までに自分が死んだらどうするというのだ。

しかし、それでも――、

「…………」

口の端が吊り上がっていることを、不死のゾッドは自覚する。


【H-06北西/森/1日目/午後】

【ゾッド@ベルセルク】
[状態]:疲労(中)、全身に火傷などのダメージ(大)、左頬に軽微な裂傷、左手に無数の裂傷(小)(全て回復中)
[服装]: 人間形態、全裸
[装備]:
[道具]:
[思考]
基本:例え『何か』の掌の上だとしても、強者との戦いを楽しむ。
0:しばらく体を休め、傷を癒す。
1:出会った者全てに戦いを挑み、強者ならばその者との戦いを楽しむ。
2:金色の獣(とら)と決着をつける。
3:趙公明の頼みを聞く気はないでもない。武道会に興味。
4:キンブリーとやらを探す。
[備考]
※未知の異能に対し、警戒と期待をしています。
※趙公明に感嘆。


*****


鼻歌を奏でながら何処かへ歩み去ろうとする趙公明。
不意に、そのポケットから誰もが一度は聞いた事があるであろう音楽が流れ始めた。

曲名は――ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲 第三番交響曲“英雄”。
フランス革命後の麒麟児ナポレオン・ボナパルトに捧げられながら、ナポレオンの戴冠に際してその意義を剥奪された逸話を持つ曲だ。

その由来を知っているのか知らないのか、趙公明は羽ばたくが如き所作で携帯電話を取り出し耳に当てる。

「やあ、セリムくん! どうしたのかな、そんなに慌てて。
 もっとエレガントな立ち振る舞いというものを学びたまえよ!
 君は見た目も中身も――まだまだ若いのだからね!」

『どうしたもこうしたもありません、あなたは何を考えているのですか!?
 これだけの独断専行……、“彼”の情報を賞品にするなど、いくらあなたが“ハンター”とはいえカバーしきれませんよ。
 “彼”直々の介入ですら――、』

その言葉を耳に入れた瞬間、趙公明の上機嫌は更に更に際限なく高まっていく。

「トレビアーン……! “彼”をゲストに招く事が出来たなら、きっとパーティーは盛り上がるに違いない。
 どうだい、セリムくん。君もそんな所で“セイバー”に徹していないで、たまには一緒に楽しもうじゃないかっ!」

『……戯れもいい加減にしてください。
 今の私は“セイバー”。参加者がこちらに踏み込まぬよう間接的に制御し、“彼”の目的達成をサポートするのが役割です。
 逆に言えば、それ以外の存在意義はない。……エドワード・エルリックに滅ぼされたこの身を再生してくれたことに報いねばなりません。
 ガニシュカといいあなたといい、“ハンター”はやり過ぎです。
 参加者に直接介入し殺し合いを促進するというその一点だけに専心していただかねば」

一笑に伏す。
趙公明は人生の先達として、子供のままの精神の存在を親切心から侮辱する。

「やれやれ、君は本当に幼い。青さには時として狂おしいほどに憧れるものだが、今の君は全く魅力がない。
 もう少し自我というのを強く持ち、己の欲のままに行動したまえ!
 そうでなくてはこのパラダイスを存分に楽しむ事など出来ないよ!」

電話の向こうは憮然とした態度を崩すことなく――、

『……警告はしましたよ。
 ガニシュカの勝手な行動が彼自身を破滅に誘ったのは“ウォッチャー”から聞いていると思います。
 その意味をしっかり覚えておくことですね』

吐き捨てるような言葉と共に、ブツリと通話がそこで途切れる。
ツー、ツー、ツーと単調に響く音をボタンひと押しで消して、趙公明は朗らかに笑った。

「……さて。キンブリーくんにも連絡しておかないとね。
 僕がゾッドくんに接触した事を教えたら、彼は移り気な僕に嫉妬してくれるだろうか?
 そうあってくれたらとても嬉しい!」




趙公明は自重しない。




【H-06北西/森/1日目/午後】

【趙公明@封神演義】
[状態]:疲労(小)
[服装]:貴族風の服
[装備]:オームの剣@ONE PIECE、交換日記“マルコ”(現所有者名:趙公明)@未来日記
[道具]:支給品一式、ティーセット、盤古幡@封神演義、狂戦士の甲冑@ベルセルク、橘文の単行本、小説と漫画多数
[思考]
基本:闘いを楽しむ、ジョーカーとしての役割を果たす。
0:キンブリーにゾッドの事を伝える。
1:闘う相手を捜す。
2:競技場に向かいつつ、パーティーの趣向を考える。
3:カノンやガッツと戦いたい。
4:ヴァッシュ、ナイブズに非常に強い興味。
5:特殊な力のない人間には宝貝を使わない。
6:宝貝持ちの仙人や、特殊な能力を持った存在には全力で相手をする。
7:キンブリーが決闘を申し込んできたら、喜んで応じる。
8:ネットを通じて更に遊べないか考える。
9:狂戦士の甲冑で遊ぶ。
10:プライドに哀れみの感情。
[備考]
※今ロワにはジョーカーとして参戦しています。主催について口を開くつもりはしばらくはありません。
※参加者の戦闘に関わらないプロフィールを知っているようです。
※会場の隠し施設や支給品についても「ある程度」知識があるようです。


※ポータルサイトの機能の一つに動画共有があります。
※H-06北西部を中心として、直径300メートルほどの森林が枯死しています。


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