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運命の螺旋乗り越えて(後編)

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運命の螺旋乗り越えて(後編) ◆UjRqenNurc



変身した喜媚ちゃんは速かった。
翼もないというのに、その身体は風を切り宙を舞う。
あたしたちは、あっというまに市街地に入ると病院を目指して突き進む。
あまり高く飛ぶと発見されてしまうかもしれなかったので、高度は5M程度に抑え
民家の隙間を縫うように飛んでいた。

ここに来て、初めて見る競技場以外の世界。
夜のうちにどれだけの戦いが起きたのだろう。
街のあちこちに残された戦いの爪痕が、戦いの激しさを物語る。

やはり、あそこにいたのは正解だった。
受動的ではあったが、何の脅威もなくこの夜を過ごせた事がどれだけ幸運な事だったか。
亮子ちゃんは、どんな夜を超えてきたんだろう。
あの亮子ちゃんがこんなに消耗して、こんな姿になって。

「絶対、守るから」

あたしは亮子ちゃんの湿った髪の毛を撫でる。
そう、あたしたちは同じ血を分けた姉妹。
運命を共にするもの。
こんなところで死なせないよ。
絶対、みんな揃って未来を掴むんだ。

ビルを、商店街を、民家を飛び越える。
そして遠くに見えるのは病院の赤十字。
でもそのとき、あたしの視界の端に黒い影が映った。


振り向く。
あたしたちを追走するように、屋根の上を走る黒い影。
その手にあるのは冗談じみた大きな剣。
喜媚ちゃんは、ソレに気付く様子もなく楽しげに飛んでいる。

「喜媚ちゃん、避けてぇ〜〜〜〜!!!」

失礼を承知で、スープーちゃんに変身した彼女の角を握りしめ、飛行機を操縦するように
大きく捻りこむ。
急速旋回。
だが、そうはさせじとばかりに黒い影も宙を駆ける。
振り下ろされる大剣。

間に合えっ!

「ガッツ!!」

誰かの叫び声。
剣の勢いが緩む。
これならっ!

避け……きれたっ!

でも、その代償は地面との熱いキス。
目前に迫る大地、あたしは意識のない亮子ちゃんを庇うように抱きしめる。
無茶な回避の結果、すっかり体勢を崩し切ったあたしたちは地面に叩きつけ

ボヨン

られなかった。

一瞬早く、地面に投げつけられたクッションが、あたしたちを救ってくれたのだ。
それは子供が使うような、ビニール製のプール。
十分に空気の入ったそれがあたしたちの身体を柔らかく受け止める。

「あなたたち、怪我はなかった? ごめんなさいね。あの人、あの放送で少し気が立っているみたいなの」
「いえ、大丈夫です……このプールはあなたが?」
「ええ、支給品の中にあったから、咄嗟にね。間に合ってよかったわ」

声をかけてきたのは優しそうな着物の女性。
さっきの黒い影……黒い鎧の男の人は、同じく黒いコートを着た男の人と激しく言い争っている。
使徒がどうとか、グリフィスがどうとか言ってるけど、どうやらすぐ襲われる事はなさそうだ。
あたしは現状確認に努めることにする。

まず喜媚ちゃんに、人前で変身をしないよう耳打ちしようとしたが、それは遅かった。
彼女は既に元のロリータな姿に戻り、プールをトランポリンのように使って遊んでいた。

着物の女性は少し驚いているようだったが、おびえる様子は特にない。
彼女もまた、こういう不可思議な体験になれているのだろうか。
どこか憂いを秘めた笑顔で、遊ぶ喜媚ちゃんを眺めている。

男の人たちが戻ってくる。
どうやら話し合いは終わった様子。

鎧の人が凄い眼で喜媚ちゃんを睨んでいるけど、喜媚ちゃんは素知らぬ様子だ。
思わず笑いがこみ上げるが我慢。
コートの人があたしに話しかけてきた。

「突然すまなかったな。
 私はブラック・ジャックという。あの男はガッツ、彼女は志村妙さんだ。」

向こうの自己紹介に対し、話を受け入れるという意思を示すように軽く頷いておく。
とりあえず、先方の話を聞いてみよう。

「突然襲いかかった非礼は詫びるが、我々も先ほど空を飛ぶ化け物の襲撃で仲間を一人失ったところでね。
 彼も気が立っていたのだ。
 君たちのような少女が乗っていることは知らなかったしな」

そこで言葉を切ると、ブラック・ジャックさんは喜媚ちゃんをちらりと見る。

「もっとも、彼女の能力を見るに、君らも普通の人間かどうか私にはうかがい知れんが……」

やっぱり、あれは見逃しては貰えなかったか。
どうしよう、この状況で戦闘になるのは回避したい。
さっきの男の剣は凄かった。
この間合いで次は避けられないだろう。

「だが、君たちに特殊な力があるとしても、それだけの事で殺し合いに乗っているとは私は思わない。
 もし殺し合いに乗っているのであれば、そのように動けない仲間をかばったりはしないだろう。
 だから、君たちが殺し合いに乗っていないのであれば、この手を握り返して欲しい。
 私たちは仲間を欲している。
 このふざけた殺し合いを企画した、あの主催に反旗を翻す仲間をな」

あたしに向かってさし出される右手。
……これは同盟の申し出と受け取っていいのかな?
どうしよう。
確かに突然襲われはしたけど、この人の制止の声と、あの女性の助け船に救われたのは事実だ。
ガッツと呼ばれた男の人もどうやらブラック・ジャックさんたちの制止を押し切ってまで戦う気は
ないみたいだし、信用してもいいかもしれない。

もちろん、この一連の流れが彼らの仕組んだ狂言ということも考えられる。
簡単に気を許す事は出来ないが、すぐに襲ってこないなら仲間に入って様子を伺うのも得策だろう。
何しろこちらには自力で動けない病人がいるのだから。
あたしが握り返した手は清隆様みたいに大きくて、温かかった。

「ところでそちらの女の子は大丈夫かね?
 よければ、少し診せてくれ。これでも医者のはしくれでね」



       ◇       ◇       ◇


ブラック・ジャック先生の指示で亮子ちゃんの濡れた服を脱がして、近所の家から持ってきた毛布で包む。
先生の診断は軽度の低体温症と細菌性肺炎との事だった。
とりあえずの応急処置を済ませると、再び喜媚ちゃんがスープーちゃんに変身して亮子ちゃんを乗せてくれる。

「……首の太さの変化に応じて、首輪も大きさを変えているな。
 継ぎ目がない事といい、私たちの知る金属物質とは違うようだ」

「たぶん、いったん輪を広げて頭を通して首に掛けたんでしょうね。
 その制御用の信号が判れば、首輪も外せるんでしょうが……」

先生たちが仲間の犠牲の上、手に入れたという首輪を見せて貰いあたしも自分の知る情報を提供する。
先生は病院でこれをX線にかけたり、聴診器で調べてみるという。
いいアイディアだと思う。
解体が出来ない以上、信管を抜くなどの手段は取れないと思うが内部の様子を
調べておくのは無駄ではないだろう。

「でも一体どんな素材で出来てるんでしょうね……」

誰に問うでもなく発せられたあたしの独り言に、意外な人物が解をくれる。

「そんなの、宝貝合金に決まってりっ☆」

スープーちゃんに変化した喜媚ちゃんが、当然のように答えたのだ。

「!?
 宝貝合金って、この首輪もあの宝貝っていうものの一種なんですか!?
 じゃあ、喜媚ちゃんはこれをなんとか出来るの?」

思いもかけぬところから判明した首輪の情報に色めき立つ面々。
喜媚ちゃんに7つの視線が集中する。
だが、そんな視線をものともしない満面の笑み。
元の姿であれば可愛らしかったであろうそれも、珍獣の顔ではただただ間抜けなだけで……

「喜媚、わかんないっ☆」

この瞬間、皆が一斉に心中で「駄目な子……」と呟いた。


       ◇       ◇       ◇


辿り着いた病院もまた、酷い有り様だった。
赤十字。
非戦闘区域として有名な聖域も、このゲームの中にあってはたった数時間でこのありさま。
だが見回りの結果、とりあえずここには誰もいない事がわかりあたしたちは一時の安息を得る。

だがここで一つの別れがあった。
ガッツさんがここでの別れを宣言したのだ。

「やはり行くのか、ガッツ……」

「ま、元々病院までって約束だったしな。後は勝手にやりな。
 俺は俺で好きにやらせてもらうぜ」

「復讐か……」

「……」

「復讐を否定はせんよ。そうしなければ、前に進めないという事もある。
 だが、それ以外の方法でも過去は精算出来る。
 おまえさんの目の前には、常に別の道もあるということだけは忘れずにいてくれ」

「……」

黒い医師の言葉をどう受け止めたのか。
黒い剣士は外套を翻し、あたしたちの元を去る。

だけど、すれ違いざまに彼が呟いた一言は、

「おい、あの化け物女とは早いとこ別れといたほうがいいぜ。
 人間と、化け物じゃ所詮生きる世界が違うんだからな」

あたしの心に呪いじみた楔を打ち込んだのだった……



       ◇       ◇       ◇


仲間たちと別れ、黒い剣士は一人仇敵を探す。
名簿を見た瞬間、ガッツの心を満たした感情。
それは歓喜。
状況を正しく把握してみれば、これはチャンス以外の何物でもなかった。
忌々しくも鷹の団を名乗る新たなるグリフィスの軍団も、この地ではゾッドを始め数人いるかどうか。
そして主催の言葉を信じるのであれば、強者の力には制限がかかっているという。
更には守らなければならない女もこの地にはおらず、後顧の憂いもない。

これ以上は考えられないほどの好条件。
この機を見過ごす手はなかった。

病院に残してきたつかの間の仲間たちの事を、最後に少しだけ思う。
どこか自分と同じ匂いがした黒い医師。
連れを亡くしても毅然としていた女。
そして新たに仲間となった三人の少女たち。
らしくもなく忠告などとは、少しだけ仲間というものに慣れすぎたか。
だがここから先にそんな甘さは必要ない。
結局のところ、極限の場では自分の事は自分でやってもらうしかないのだ。
力が足りなければ、望みを果たす事も出来ずに死ぬしかない。
それがガッツの経験から得られた人生観であった。


まぁ、せいぜい上手くやるんだな。
あばよ。

病院に残してきた仲間に手を振ると、黒い剣士は街角に消えていった。


【E-2/道路/1日目 朝】

【ガッツ@ベルセルク】
[状態]:健康
[装備]:キリバチ@ワンピース
[道具]:基本支給品一式、不明支給品1個(未確認)
[思考]
基本:グリフィスに鉄塊をぶち込む
0:グリフィスを殺す
1:グリフィスの部下の使徒どもも殺す
[備考]
※原作32巻、ゾッドと共にガニシュカを撃退した後からの参戦です。
※左手の義手に仕込まれた火砲と矢、身に着けていた狂戦士の甲冑は没収されています。
※紅煉を使徒ではないかと思っています。
※妙と、簡単な情報交換をしました。


       ◇       ◇       ◇


ガッツさんを見送った後、病院の一室で亮子ちゃんの治療を施すと、あたしとブラック・ジャック先生、妙さんは首輪の解析を試みるべくレントゲン室へと赴く。

ナース役を買って出た喜媚ちゃんだけを亮子ちゃんの傍に残していくのは少し不安だったが、この期に及んで
喜媚ちゃんを疑うのは、あたしの臆病な心の発露でしかないだろう。
状況的に考えて、喜媚ちゃんが亮子ちゃんを手に掛ける必要性など微塵もないのだ。
むしろ爆発物を扱う現場に連れて来て、彼女の持ち前の無遠慮さでデリケートな作業を邪魔される可能性のほうが
ずっと高かった。

宝貝合金についてのノウハウも聞き出したかったが、本当に知らないみたいで彼女にとっては身近な金属であるという事だけしかわからなかった。
彼女の姉である妲己さんと接触出来たら、この事もわかるのだろうか?


そういうわけでしばらく三人であーでもない、こーでもないと首輪をいじってみたのだが……
医療機材による測定は全滅。
あとはブラック・ジャック先生の聴診器での調査を残すのみとなったが、その前に腹ごしらえをすることを
先生が提案する。

なにせ、根のいる作業だから作業中に腹の虫がならないように……
とのことだった。
確かにここに来てから何も食べておらず、もしおなかが鳴ったりすると非常に恥ずかしい。

というわけで支給された食糧を取りだすが出てきた物は三者三様。
あたしの支給された食糧はすぐに食べられるサンドイッチ
妙さんのはおむすび。
だが、ブラック・ジャック先生の食糧だけは、なぜかレトルトのボン・カレーだった。

ボン・カレーはどう食べてもうまいのだと言いながら、温めもせずに食べようとする先生を
妙さんが止め、温めに厨房に行く。

その隙にあたしは少しデリケートな問題をブラック・ジャック先生に相談することにした。
亮子ちゃんの身体の問題である。

「ふむ、若返りの奇病……か」

「はい……そんな事が本当にあるんでしょうか……」

「ない……とは言い切れん、私は何十年も老化しなかったクランケを知っている。
 もっとも、失っていた意識を取り戻した瞬間、それまで止まっていた老化現象が一気に襲ってきて亡くなられたが」

「じゃあ、亮子ちゃんも意識を取り戻せば元に戻る可能性が……」

「どうかな、私が診た所、意識を失ったのは肺炎と疲労が原因だ。
 若返り現象との間に因果関係はないように思えるが……
 まぁ、気長に見てみようじゃないか。
 命にかかわる奇病というほどのものでもあるまい」

「はぁ……まぁそれもそうかもしれませんが……」

先生はどうやら頭の柔らかいお医者のようで、あたしの荒唐無稽な相談を笑いもせずに聞いてくれた。
でも老化しない病気だなんて、そんな症例も世の中にはあったんだ。
あたしをあんまり心配させないためのジョークかもしれないけど。

「……でも、妙さん遅いですね。あたし、少し見てきましょうか?」

レトルトカレーを温めるにしては、少し遅い。
ちょっと神経質になっているのかもしれないけど、こんな場所ではふとしたことで不安の種が育つものだ。
椅子から腰を浮かすあたしを、先生は止める。

「いや、もう少し、一人にしておいてあげよう。
 ……さっきの放送で、彼女の弟さんの名が呼ばれているのだ」


       ◇       ◇       ◇


コトコトと、沸き立つ鍋の音だけが厨房を支配する。
湯せんすればいいだけのレトルトカレーを直接火にかけているため、あたりにはカレーの香りが漂っていた。
ゆらめくガスの炎を、椅子に座った妙が呆と見つめている。

一人になれば思いっきり泣けるかと思ったが、長年培ったこの鉄面皮は存外に剥がれないものだ。
ほろりと、申し訳程度に流れる一粒の涙が精いっぱいだった。

「新ちゃん……」

放送で呼ばれた、たった一人の家族。
増田さんの名前も同じ放送で呼ばれた為、信憑性は高いだろう。

侍が不要とされる時代。
それでも侍を志し、真の侍と見込んだ銀さんの元で真の侍道を模索していた自慢の弟。
どんな苦労を買ってでも一人前の侍にしてあげたかった。

その彼が、こんな場所で自分より先に死んだ。
じゃあ、自分はこれからどうすればいい?
復讐?
婿を取り、道場を再興する?

だが、何をどうしたところでこの空白はもはや埋まる事はないだろう。
それが死というものがもたらす永別。
あの優しい弟は……新八は、もういないのだ。

「あなたは……あなたの思う道を貫けましたか……?」

虚空に呟いた声は誰に聞かれることもなく立ち消えた。


       ◇       ◇       ◇


それからしばらくして、妙さんがカレー皿を持って戻ってきた。
その表情は笑顔だが、目の周りが少し赤い。
……同情はしない。
この環境では、いつだれが同じ境遇に置かれるかわからないのだ。

「ほう、スープカレーにしてくれたのか。妙さんは料理が上手いんだな。
 ピノコの奴もこれくらいできるようになってくれればいいんだが……」

――もし、妙の知り合いがこの料理を見たら驚愕するだろう。
いつもの彼女であれば、作る料理全てはブラック・マターと呼ばれる暗黒物質と化すのだが
何の奇跡か、机に置かれた皿からは食欲をそそる香りが漂っている。

「まぁ、先生ったら、お上手なんですから。厨房にあったお野菜も入れてみたんですよ。
 ピノコさんって先生の恋人さん? もしかしたら奥様かしら?」

「とんでもない、まぁ娘みたいなものかな。こまっしゃくれた娘だが、いないと妙にさびしくてね……
 天涯孤独の私だが、それでも支えてくれるような人間はどこかにいるものさ」

「先生……」

「そんな人たちのためにも、私たちはこんなところで死ぬわけにはいかんのだ。
 この首輪を我々に残してくれた、あの勇敢な青年に報いるためにもな……
 さぁ、飯を食ったら首輪の解析を続けよう。」

「……はいっ!」

ブラック・ジャック先生の不器用な励ましに、少しだけ妙さんの顔に生気が戻る。
妙さんにもまだいるのだろう。
支えになってくれるような誰かが。

やっぱりお医者さんって凄いな。
心身共に傷付いた人を救う事の出来る癒し手たる職業。
あたしも、あたしに出来る事でそんなお仕事が出来たなら……


ドッ! ガシャッッアアアアアアッ!!


それまでの平穏をぶち壊すような、金属のひしゃげる轟音。
音の出所は、レントゲン室の重い金属扉。
その扉が、まるで事故にあった自動車のようにひしゃげていた。

それをしたのは一目瞭然。
扉の前に立つ男が握るもの。
それは剣というにはあまりにも大きすぎた。
大きく、ぶ厚く、重く、そして大雑把すぎた。
それはまさに鉄塊だった。

隻眼の黒い剣士。
さきほど別れたガッツさんがそこにいた。


       ◇       ◇       ◇


声をかける暇もなかった。
竜巻のように振るわれたガッツさんの大剣が、扉の一番近くにいた妙さんの頭に撃ち込まれる。

爆ぜた。

仲間を、弟を失いながらも、尚強くあろうとした女性の綺麗なかんばせが西瓜のように砕かれる。
ピンク色の綺麗な何かが、カレー皿の中にポチャポチャと落ちる。

わぁ、おいしそう。

場違いな感想が頭を埋め尽くす。
でも半生を危機とともに生きてきたあたしの身体は、脳が命じなくても適切な行動をしてくれた。

機械の隙間に身を隠し、ベレッタを抜く。
だが、撃つところがない。
異常に巨大な大剣は、盾のように身体を隠す。

「ガッツ!」

それでも牽制するように先生はナイフをガッツさんに投げつける。
キィンと、金属同士が弾きあう音。
翻る黒い外套。
横薙ぎに振るわれる鉄の塊。
室内に破壊の騒音が響きわたる。
バラバラに打ち砕かれる医療機械。
あぶり出されるあたしたち。

騒音をかき消すように狂戦士が叫ぶ。

「LOOOoooッッッ!! ッliイイイイイ!!!!」

振り回す。
ブラック・ジャック先生を刀身で貫いたまま。
室内にあった機材を力任せに鉄の塊が叩き壊す。

部品が飛び散る。
それと引き換えのように、むき出しの機械の破片に肉の破片がコーティングされる。
室内は、一瞬にして地獄絵図。
酷すぎる。
狂気のような光景と、悪臭で思わず吐きそうになるのをあたしは必死にこらえる。


身体のあちこちを削り取られた先生は、まだ息があった。
ぴくぴくと痙攣する肉体が最後に机に置かれていた首輪に叩きつけられる。

目と耳を塞ぐ。
爆発。

時計の秒針がわずか一回りする間の出来ごと。
あたしが眼を開けると、そこにはもう誰もいなかった……


       ◇       ◇       ◇


あたしは廊下を走る。
なぜ、あたしを見逃したのかわからないが、亮子ちゃんや喜媚ちゃんも彼が見逃すかはわからない。

ボテっと転ぶ。
演技ではない。

まるで悪夢の中を走っているかのように、身体が上手く動かないのだ。


這うように、病室の前までたどり着く。

祈るように扉を開けると、そこには平穏があった。
薬が効いたのか、健やかな寝息を立てる亮子ちゃん。
そして、その布団にもたれかかるように眠る喜媚ちゃん。



なぜか、涙腺が緩んであたしは泣いていた。









【ブラック・ジャック@ブラック・ジャック 死亡】
【志村妙@銀魂 死亡】

【D-2/病院/一日目 午前】

竹内理緒@スパイラル 〜推理の絆〜】
[状態]:健康 精神的にかなりの疲弊
[服装]:月臣学園女子制服
[装備]:ベレッタM92F(15/15)@ゴルゴ13、携帯電話(競技場で調達)
[道具]:デイパック、基本支給品、ベレッタM92Fのマガジン(9mmパラベラム弾)x3
[思考]
基本方針:生存を第一に考え、仲間との合流を果たす。
1:ガッツに対し恐怖
2:異能力に恐怖。
3:恐怖に負けず喜媚を信じてみる。
4:申公豹の名前を餌に、“探偵日記”を通じて妲己を捜索。
5:“螺旋楽譜”の管理人が電話連絡してくるのを待ち、直接会話してみる。
[備考]
※原作7巻36話「闇よ落ちるなかれ」、対カノン戦開始直後。
※首輪の特異性を知りました。
※早朝時点での探偵日記と螺旋楽譜の内容を確認しました。
※螺旋楽譜の管理人は、鳴海歩結崎ひよのカノン・ヒルベルトの誰かが有力と考えています。
 ただし、鳴海歩だと仮定した場合、言動の違和感とそこから来る不信感を抱えています。

胡喜媚@封神演義】
[状態]:疲労(中)、いねむり
[服装]:ナース服
[装備]:如意羽衣@封神演義
[道具]:デイパック、基本支給品
[思考]
基本方針:???
1:妲己姉様やスープーちゃん達、ついでにたいこーぼーを探しに行きっ☆
2:理緒ちゃんと亮子ちゃんは喜媚が守りっ☆
[備考]
※原作21巻、完全版17巻、184話「歴史の道標 十三-マジカル変身美少女胡喜媚七変化☆-」より参戦。
※首輪の特異性については気づいてません。
※或のFAXの内容を見ました。
※如意羽衣の素粒子や風など物や人物以外(首輪として拘束出来ないもの)への変化の制限に関しては不明です。
※『弟さん』を理緒自身の弟だと思っています。
※第一回放送をまったく聞いていませんでした。


【高町亮子@スパイラル 〜推理の絆〜】
[状態]:疲労(特大)、打撲&背中に打ち身(処置済み)、肺炎(処置済み)、睡眠中、若返り
[服装]:裸
[装備]:毛布
[道具]:月臣学園女子制服 (乾かし中)
[思考]
基本:この殺し合いを止め、主催者達をぶっ飛ばす。
0:…………。
1:なんで子供に……
2:理緒や喜媚と協力してこの殺し合いを止める
3:ヒズミ(=火澄)って誰だ? 鳴海の弟とカノンは、あたし達に何を隠しているんだ?
4:できれば香介は巻き込まれていないといいんだけど……
5:あのおさげの娘(結崎ひよの)なら、パソコンから情報を引き出せるかも。
6:そういや、傷が治ってる……?
7:勝手に身体が動いた?
8:エドの力に興味。
9:エドや流、うしお、知らない女の子(咲夜)は助かったのだろうか。
10:流の行動に疑問。
[備考]
※第57話から第64話の間のどこかからの参戦です。身体の傷は完治しています。
※火澄のことは、ブレード・チルドレンの1人だと思っています。
 また、火澄が死んだ時の状況から、歩とカノンが参加していることに気付いています。
※秋瀬 或の残したメモを見つけました。4thとは秋瀬とその関係者にしか分からない暗号と推測しています。
※聞仲とエドの世界や人間関係の情報を得ました。半信半疑ですが、どちらかと言えば信じる方向性です。
※竹内理緒より若干小さくなっています。中1くらい? 元に戻るかどうかは後続の書き手さんに任せます。


※ブラック・ジャックと妙の荷物がレントゲンルームに放置されています。

【ビニールプール@ひだまりスケッチ】
宮子の持っていたビニールプール。
お風呂にも使える?


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