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真贋バトルロワイヤル

innocent starter

最終更新:2025年01月18日 20:52

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「とんでもないことに巻き込まれちゃったわね……」

 イドラ・アーヴォルンが降り立ったのは、現代の都会を再現したかのような街であった。

「まるで亜人連合みたいな街ね」

 ツギハギ博士によって発展していた亜人連合の街の風景を思い起こしながら、イドラは考える。
 このような事態は、イドラがいずれ開発しようとしている「異世界転移魔法」に類する能力で参加者が集められていると見ていいだろう。
 参加者一同が集められていた空間には、イドラの見たことのない服装をしている者や未知の技術を有している者が大勢いた。
 たとえば、ルルーシュと呼ばれる青年が用いていた他人を意のままに操れる能力。
 魔王族にも他人の心を操る者がいたが、「正気を保ったまま言葉通りに操る」魔法を再現しようとするとかなりの研究が必要になるだろう。
 また、羂索の言葉にあった「変身アイテム」。
 おそらく、レッド――浅垣灯悟がキズナレッドに変身する現象のことを言っているのだとしたら、レッドのような珍妙な変身をする者も多く来ていると見るべきか。

「変身するたびに爆発するのはよしてほしいわね……」

 苦笑いしながら呟く。
 レッド。「魔法の力で世界中の人々を笑顔にする」というイドラの夢を笑わずに受け止めてくれた大切な人。
 もしレッドがこの殺し合いに巻き込まれていたとしたら、そんな悪趣味なことは絶対に認めないだろう。
 レッドのように変身できる”勇者”《ヒーロー》は、きっと主催を打倒すべく動いているはずだ。
 イドラも同じだ。
 異世界転移魔法をこんな悪事に利用するなど、「王家の杖」の家系としても絶対に認めることはできない。

「あれ……そういえば」

 レッドのことを考えていたイドラはあるモノを思い出し、嫌な予感を感じて自身の懐やリュックを探る。

「ない……やっぱりない!私のエレメンタル絆装甲!」

 ガックリを膝をついて落ち込むイドラ。羂索の言葉通り、没収されていた。
 イドラが自らのビッグ絆ソウルから作り出した、いわばレッドとの絆の結晶と言えるモノ。
 左手薬指に巻かれた絆創膏くらいに大切なものだったはずなのに。

「……やることは山積みね」

 エレメンタル絆装甲を取り戻し、この殺し合いから生還する。
 イドラにはまだ、やるべきことが沢山あるのだ。魔王族だったシャウハの奴とももう一度会って話をしたいし、いずれ復活する魔王も倒さなければいけないし、何より自分の夢も叶えたい。
 バッドエンドを迎えるわけには行かないのだ。
 その時、イドラの黒のローブの裾が引っ張られる。

「あら……?」
「あの……っ」

 イドラが引っ張られた方を見ると、そこには心細そうにローブを握る、ツインテールの髪をした小さな女の子が見上げていた。

「子供……?」
「もしかして……魔女っ娘ですか!?」
「ま、魔女っ娘……!?」

§

「わぁ、すごい……本当に魔法使えるんだ!」
「まぁね……でも確かに魔女かもしれないけど貴方の思ってる魔女っ娘や魔法少女じゃないわ」
「いいの!本当に魔法が使える人見たの、千佳はじめてだから!」

 イドラが魔法を見せてあげると、先ほどの少女、横山千佳は目を輝かせながらイドラを見上げてくる。
 先ほどは一人ぼっちで怯えを隠せない様子だったが、イドラの魔法によってそれは晴れたようだった。

「でも、魔法使えるのに魔法少女じゃないってことはその格好は変身した後じゃないの?」
「普段からこの服装よ。変身する奴なら知ってるけどね。こう、こんな感じのポーズとって後ろで爆発して服がピチピチでケツがプリプリになる感じの……」
「あっ、もしかして魔法少女じゃなくって戦隊ヒーローなのかな!?会ってみたいなぁ……光ちゃんなら絶対喜ぶだろうなあ……」
「……通じた」

 もしかしたらレッドのいた世界と似たような世界観の出身なのかもしれないとイドラは思った。 

「チカちゃんはアイドル……なのよね?」
「うん!あのね、あたしはステージに上がったら魔女っ娘ラブリーチカになって魔法が使えるんだよ!ステージに上がってライブしたりショーしたりするとね、皆笑顔になってくれるの!」
「やるじゃない!素敵な魔法ね」

 まるでイドラの夢を体現したかのような魔法を語る千佳に素直に感心しながら、頭を撫でてあげる。
 聞いた話によると、この千佳という少女は第三芸能課と呼ばれるグループに所属するアイドルらしい。
 イドラはアイドルについてはほとんど知らない……が、キズナレッド・バースにいた浅垣灯子がアイドルだったおかげで名前だけは知っていた。


(こんな、子供が……)

 同時に、イドラの心には影が差す。
 この横山千佳という少女はステラ孤児院で出会った子供たちとそう変わらない年齢だ。
 しかも見たところ、魔法を使えるとは言っているが魔力の類は一切感じられず、レッドやロゥジーと同じく魔力を持たない人間だろう。
 しかも魔力がないならないで武器の扱いに長けたようでもなく、完全に一般家庭の子供が殺し合いに放り込まれていると見ていい。
 イドラの主催陣営に抱く義憤が、数段階高まった。

「っ……!!」

 その時、イドラの肌を複数の魔力が撫でる。
 近くで魔力が動いていることを培われた魔導士の感覚が告げていた。

「イドラちゃん、どうしたの……?」
(ちゃん付け……)
「近くで魔力反応があったわ。誰かが魔法を使ったみたい……」

 イドラは顔を強張らせながら、魔力反応のあった建物の隙間にある裏路地を睨み、次いで千佳を横目に見る。
 魔力の主は危険人物の可能性もあるが、かといって危険だからと千佳を置いていくのも不安が残る。
 イドラのいない間にNPCや他の参加者に襲われたらますます危険だ。

「チカ、あなたは私の少し後ろに付いてきて。何かあったらすぐに逃げること。いい?」
「わ、わかった……」

 千佳もごくりと喉を鳴らしながら、おそるおそるイドラの後を追う。
 自分達がいるのは殺し合いの場であるという緊張感が汗となって現れる。

「……」

 そして、先行するイドラが路地裏の角に顔を出すと、そこには。

「アルカイザー、変身!!」

 まるでサボテンのように髪の逆立った頭をした青年が、変身している最中だった。
 青年の身体が光に包まれて黄金の鎧と空色のマントをはためかせる戦士の姿になる一部始終をイドラは目撃する。

「……あの、何してるんスか?」
「……あっ」

 普段の口調も忘れて呆然とするイドラ。
 イドラと青年の間に、静寂が訪れる。

 一方、千佳の方も。
 ふと付近の建物内部から壁越しに何者かの声を聞く。
 千佳は興味を惹かれ、室外機によじ登って高窓から室内の様子を窺う。

「変身《トランスマジア》っ!」
「わぁ……!」

 そこでは、ピンク色のカールを巻いたツインテールの少女が、可愛らしい衣装を身に纏った魔法少女に変身していたのだ。

「……あっ」

 イドラの見た青年と千佳の見た少女。
 二人の間に共通していたのは、やってしまったと言わんばかりの諦観だった。

§

「「見られた……」」

 付近の公園で、先ほどの青年と少女はベンチで項垂れていた。

「もう終わりだ……ヒーロー委員会にヒーローの力を剥奪される……」
「正体知られちゃったよぉ……小夜ちゃんと薫子ちゃんにどう説明すれば……」

 ずーんと言わんばかりの重い空気が辺りを漂っている。
 その様子をイドラは何とも言えない目で、千佳は心配そうな目で見ていた。

「あたし、悪いことしちゃったかなぁ……やっぱり魔法少女もヒーローも正体知られたらいけないよね……」
「大丈夫、チカのせいじゃないわ」

 泣きそうな声で言う千佳を宥めてから、目の前で落ち込む2人のヒーローと魔法少女に向き直る。

「あの、いつまでも落ち込んでないで事情を説明してくれるかしら。ついでに名前も聞かせてくれる?」


 イドラの問いに答えたのは青年からだ。

「オレはレッド。もう正体はバレちまったが、アルカイザーに変身できる」
「れ、レッドぉ!?」
「ああ、本名は小此木烈人だが、周りからはレッドって呼ばれてる。お前達もそう呼んでくれ」
「や、ややこしいわね……」
「どういうことだよ?赤が嫌いなのか?」
「いえ、こっちの話よ。むしろ赤は好きだから」

 驚いた。まさかあのヒーロー?に変身する青年がレッドと名乗るとは。
 レッドという名はイドラにとっては想い人――浅垣灯悟の名前であり、特別な愛称でもある。

(キズナレッド・バースの一員……ってわけでもなさそうね。髪型も顔も全然似てないし)

 その割に変身後の姿はレッドというよりゴールドだし本名がレツトなのにどうしてレッドになるのだとか、聞きたいことは色々あるが些末なことでもあるので今は呑み込んでおく。

「ヒーローには決まり事があってな、その中には正体を知られてはいけないってもんがある。一般人に正体を知られるとヒーローの力を奪われて記憶を消されるんだ」
「……結構重い制約ね」
「まあな。見てない隙に変身したりとかレッドは怪我をしたって仲間に嘘ついて入れ替わったりとか、まぁ大変だった。だけどこうして正体を知られちまった以上、ヒーローではいられなくなる」
「……」
「まあ思い残すことはねぇよ。ブラッククロスもぶっ潰して母さんと妹を助けた。もう思い残すことはないさ。すぐにアルカールがオレのヒーローの力を剥奪しに……」

 ふっと笑いながら天を見上げるレッドにイドラはさらに問う。

「で……そのアルカールって人はいつ来るの?というか来れるの?羂索が見逃さないと思うけど」
「……」
「それに、こんな大がかりなことヒーロー委員会とやらが見逃さないと思うんだけど、そこらへんどうなのよ?」
「……確かにそうだ、けど……」

 頭をポリポリと掻きながらも締まらないレッドにイドラは溜息をつきつつ、もう一人の少女に目を向ける。

「貴方は?」
「私は……花菱はるか。魔法少女トレスマジアのマジアマゼンタになれるの。魔法少女はレッドさんの世界みたいに委員会もないしそこまで厳格じゃないけど……変身すると認識阻害魔法で正体を隠せるんだ」

 少女、はるかは「それもさっきバレちゃって効かなくなっちゃったけど……」と付け加える。

「けど、私達は今、世界征服を狙……っているのかは分からないんだけど、エノルミータっていう悪の組織と戦ってるの。もし、正体が少しでもバレたら変身してない時もナニされるか分かんない……!」

 はるかは何かを思い出すしたかのように赤面しながらも、頭を抱えながら怯えた様子を見せる。

「だからお願い!どうかこのことはご内密に……!」

 両手を合わせながら、はるかはイドラと千佳、レッドに懇願する。

「それは構わないけど、そもそも生まれた世界の違う私達にバレたくらいで――」

 イドラがそう言い切る前に、千佳がはるかの前に飛び出していた。

「大丈夫。あたしは絶対ヒミツを守るから!」

 千佳ははるかに向かって、まるでこれから変身するような決めポーズを取っていた。

「あなたは……?」
「あたしは魔女っ娘ラブリーチカ!でも本当の名前は横山千佳っていうの!これであたしの正体もバレちゃったね。これでおあいこだよっ!」

 はるかの手を取り、ニカッとはるかに微笑みかける千佳。
 それに対してはるかは、突然のラブリーチカの登場にきょとんとしていた。

「まだ元気にならない?なら、ラブリーチカがとっておきの魔法を使ってあげる!ハッピーパワー☆注~~~~入っ!」
「わわっ……」

 そう言うと、千佳はサマーライブの舞台裏で先輩アイドルにやった時のように、はるかに抱きついてぎゅっと抱きしめる。
 ぽかぽかとした千佳の体温がはるかの肌に伝わってくる。
 ようやく千佳の気持ちを汲み取ったはるかは、微笑ましそうに笑んだ後、「ありがとう」とぼそりと呟いた。
 その姿は、まるで杜乃こりすと遊んであげた時の自分と似ているような気がした。

「変身《トランスマジア》っ!!」

 そして、千佳が離れた後にはるかはすかさず変身アイテムをかざしてマジアマゼンタに変身する。

「う~~~~んっ、元気100倍だよぉ!元気を分けてくれてありがとう、ラブリーチカ!」
「うん!ラブリーチカは皆を笑顔にする魔法が使えるんだよ!」

 はるかは少し大袈裟な身振り手振りをしながら、千佳に目線を合わせて抱きしめ返してあげて感謝を伝える。


「えへへ……あたし、殺し合いは怖いけど、すっごく嬉しいんだ。だって、本物の魔法少女に出会えたんだもん!」
「千佳ちゃん……」
「ほら、レッドくんも!ハッピーパワー☆注~~~~入っ!」
「うおっ!?オレもかよ!?」

 千佳は、今度はレッドの方へ行って先ほどのはるかのようにぎゅっと抱きしめる。
 妹よりも小さい女の子に抱きしめられて、レッドは照れくさそうな、少しむず痒そうな顔をする。
 しかし、コホンと咳払いをしつつこっちに視線をよこしてくるイドラを見て、レッドも千佳の想いに応えることにする。

「変身!!アルカイザーッ!!」

 レッドがポーズを取ると眩い光に身体が包まれ、そして再び黄金の鎧を身に纏った戦士へと変身した。

「ありがとう、ラブリーチカ!君のおかげで元気が出たぞ!」

 アルカイザーへと姿を変えたレッドも、まるでヒーローショーで用いられるような台詞を言ったのだった。

「本当に、魔法が使えるのね。私から見ても素晴らしい魔法だわ、ラブリーチカ」

 そんな言葉をイドラが千佳の耳元で囁きつつ、千佳とレッド、はるかの間に割って入ってくる。

「二人とも、元気が出たみたいでよかったわ。話を戻すけど。正体がバレたならバレちゃったで大っぴらに行動できるって思わない?そうすることで救える命もあるはずよ。この殺し合いを認めないなら猶更ね」

 イドラの言葉を聞いたレッドとはるかは、互いを見て、そして思い出す。
 レッドもはるかも、元はと言えばいつでも皆を助けられるように、変身していたのだった。

「……ああ、お前の言う通りだぜ。まだアルカイザーの戦いが終わってないって言うのなら……この力を正義のために使うまでだ!」
「私も魔法少女として、花菱はるかとしても、頑張っちゃうから!」

 命はいつだって尊い。決して失われてはならない。
 たとえこんな状況でも、無力な子供ですら気丈に振る舞い、心に光を灯すことができる。
 ヒーローも魔法少女も、この異常事態を前にして立ち止まるわけにはいかないのだ。
 ゆえに、協力を拒む理由もなかった。






「「「ッ!!!」」」






 しかし次の瞬間、イドラ、レッド、はるかの顔が途端に険しくなる。

「え……なになに?三人ともどうしたの?」

 唯一、千佳だけが事態を吞み込めずにおろおろと三人を見比べていた。

「……感じた?」
「うん、すっごく強大で……エノルミータの総帥を何倍もドス黒くしたような魔力」
「オレも感じるぜ。コイツは……ヤバい」

 そんな殺気を感じた三人に敢えて姿を見せるかのように、足音が近づいてくる。
 その足音は、緊張からか三人の耳にはとても大きく聞こえた。

「んも~、魔力を感じただけでそんなに怖い顔しないでよ~。お姉さん傷ついちゃう♪」

 イドラ達の前に現れたのは、黒を基調としたワンピース風のドレスを着た、長い金髪の女性だった。
 その軽薄そうな口調とは裏腹に、漆黒に染まった瞳に宿る星の如き眼光は只者ではないことを示唆していた。

「……」
「……」
「……」

「……やぁねえ。どの世界でも私と会った人ってこうなのかしら。そこにいる子まで私をそんな目で見ちゃって、世知辛いわ」

 女性はげんなりとした様子で言う。
 女性に視線を向けられた千佳は軽く身体を跳ねさせる。まるで、品定めをするかのようなねちっこい悪寒を肌に感じたからだ。


(ここまでの魔力を漂わせておきながら何が世知辛いよ……!)

 魔導師ゆえに魔力を直に感じているイドラも、はるかも、レッドも、冷や汗を浮かべながら千佳の前に並び立って武器を構えている。
 正直言って、眼前の女の秘める魔力は規格外と言ってもいい。
 魔法を使わずこうして話している今でも、辺りにとてつもない量の魔力が彼女から溢れ出ているのだから。
 彼女が本気を出せば災害級の被害は免れないと、容易に想像できた。

(あたしにも分かる……この人、悪い人だ……)

 千佳もまた、女の纏う異様な雰囲気を目の当たりにして、警戒心を強めていた。
 不安が出てしまっているからか、ぎゅ……とはるかの服を握っている。

「あら、もしかして名乗っていなかったからかしら。これは失礼したわ。私はノワル。よろしくね♪」

 にっこりと微笑みかけてくるノワルと名乗る女性。
 柔らかい物腰で一礼してくるが、イドラ達は微動だにしない。というよりも、あまりの威圧感により動けない。

「あなたは……」
「ん?」

 その時、はるかがおそるおそる口を開く。

「あなたは、この殺し合いに乗っているの?」
「ああ、殺し合い……うん、そんなものに私も参加させられてるのよねぇ」

 ノワルはうんうんと何度も咀嚼するように頷きながら、続ける。

「本当に腹立たしいわぁ。まだまだ手に入れたいものが沢山あったのに。元の世界に戻らないとそれもできないわねえ」
「……」
「でも、貴女達に会ってこういうのも悪くないかもって思ったわ。だって――」

 ギロリ、とノワルの瞳に宿る不気味な光が強くなる。

「おいしそうな魔力を持つかわいい女の子が二人……いきなり見つかったんですもの」

 獲物を見定めたかのようなその視線を、イドラとはるかに送っていたのだ。

「私ね、おいしい魔力源を集めるのが趣味なの。この殺し合いが済んだら是非とも味わってみたいわね――捕まえた子達の、ま・りょ・く♪」
「曇天焦がす炎精の鉄拳!イフリート・ブロウ!!」

 即座にイドラは魔力を集中させて、ノワルに向けて魔法を放つ。
 炎で構成された巨大な拳がノワル目掛けて飛んでいく。
 その様子をノワルは涼しい顔で見守っていた。

「固有魔法”闇檻 収監”――」

 しかし、イドラの放った炎の拳はノワルを穿とうかという時に突如として黒い霧に包まれてしまう。
 黒い霧に包まれた炎の拳は姿を消し、霧が晴れた頃には跡形もなくなっていた。
 ただ一つ、極小サイズの黒い球がコロンと転がっていた。

「魔法が消えた……!?」
「酷いじゃない。私まだ乗るとは一言も言ってないのに」
「……乗ったも同然じゃない。私とマゼンタに向ける下品な目がその証拠よ。少なくとも、人を傷つけようとしていることは確かだわ」

 イドラは険しい目でノワルを睨みながら言う。

「どんな方法かは知らないけど、大方元の世界じゃ女の子を誘拐してたんでしょ!?」
「誘拐なんて人聞きが悪いわぁ。ただ気に入った子を持ち帰って気持ちよくして魔力垂れ流しのまま固定してただけじゃない」
「なお悪いわ!!」

 吐き捨てるようにイドラは叫ぶ。

「やっぱり私の勘は間違ってはなかったようね……!」
「この人……異常だよぉ……!!」

 そう言いつつも、イドラとはるかはぞわぞわとした気色の悪い悪寒に震えながらノワルを見ていた。
 聞いた話から察するに、"そういう"性癖持ちだろう。そんな人物が自分を狙っているなど、肝が冷えるどころではない。

「女を攫って好き勝手しようなど……許せん!!二人が狙いならまずはオレが相手をするぜ!」

 そう言って、レッドがイドラとはるかの前に立ち、拳から無数の光弾をノワルに投げつけるように発射する。
 アルカイザーの必殺技の一つ、アル・ブラスターだ。
 しかし、これもノワルの前に昇った黒霧に包まれてしまい、やがて消滅する。

「遠距離が効かないのなら……!」

 アルカイザーは懐から淡い青の光を放つ光の剣、レイブレードを手にノワルへと肉薄していく。

「はぁ……そういえばいたわね、男が」

 やたらと大きい溜息をつくノワル。
 レッドをチラッと目で追ったノワルの声は、先ほどより数段低く、冷たかった。

「テネーブル」
「ぐっ……!?」

 ノワルは空間を指で切り裂き、闇の魔力を迸らせる魔法「テネーブル」をレッドに向ける。
 それをレッドはどうにかレイブレードで弾くが、ノワルに近づくことは叶わなかった。

「悪いけど私、男には興味ないのよね。不純物には早々に退場してもらわないといけないわ」


 そして、ノワルは一人で勝手に納得が行ったように結論を出す。

「うん、そうね。やっぱり私、殺し合いに乗ってると思うわ。だって、いらない奴はみんな死んじゃっていいって思ってるもの。あ、でももし願いが本当に叶うとしたら……その願いで魔力のおいしそうな子だけを生き返らせるのも悪くはないかもね♪」

 あっけらかんと、満面の笑みで、ノワルは平然と言い放った。

「最っ低……!」

 不快感を顔に滲ませながらも、イドラは先ほどのノワルの魔法を分析する。
 ノワルは先ほど、「固有魔法」と言っていた。ノワル自体が規格外の魔法使いであるため特権魔法とは違うだろうが、それが個々人の性質に拠った効果を持つのかもしれない。
 そしてイドラのイフリート・ブロウやレッドのアル・ブラスターを無効化した黒い霧。それらが消えた後に黒い玉が残されていたことから、あれは攻撃を「消した」のではなく「閉じ込めた」と理解した方がよさそうだ。
 だが、「これだけ」だとはイドラには到底思えなかった。
 この現象は、ノワルという魔法使いの固有魔法の応用系の一つでしかないという気がしてならないのだ。

「あら、私の固有魔法についてもっと知りたがっているみたいね」
「っ……!」
「それじゃあここで問題♪魔法使いと戦うときに大切なものってなーんだ?」
「……」

 ノワルの問いかけたなぞなぞに答える者はいない。
 彼女の飄々とした態度からは手の内を読むことができず、全員がノワルの出方を窺うので精一杯だった。

「はーい時間切れー。正解は……」

 ノワルが瞳の輝きを一際大きくすると同時に、突如としてイドラとはるかの口元に黒い霧が現れる。

「みんな気を付けて!何か来――」
「これは――!?」

――ガチッ!

 完全に二人の口が覆われた瞬間、そんな鍵をかけるような金属音が二回鳴った。

「むっ!?もごおおおおおおっ!?」
「んむっ!?ん……ぐっ、むうううううう!?」

 霧が晴れた瞬間、イドラとはるかのみならず、レッドや千佳の目まで見開かれる。
 霧が覆っていた二人の口元には、漆黒の色をした口枷が、イドラとはるかの頬から顎までの顔の下半分全体を覆い、塞いでいたからだ。

「……く・ち・か・せ♪」

「うぐっ、むっ、ぐううううっ!!」
「はうっ、んむ、んううううっ!!」
(いつの間に!?何かが口の中に入って……!?)
(全くしゃべれない……!)

 意識の介入を許す間もなく口を塞がれたイドラとはるかは、全身を捩りながら必死になって両手で口から拘束具を剝がそうと試みるが、どんなに力を込めても顔をびっちりと覆った口枷は離れない。
 口から吐き出そうにも、口内いっぱいに詰め物が押し込まれており、舌すらも満足に動かせない。

(まずい……っ!これじゃ魔法を詠唱できない……っ!)

 深刻な事態にイドラは焦燥を深めていく。
 魔法使いは基本的に魔法を使う際には詠唱が必要になる。ニヅベルで捕まった時のように、口を塞がれることは魔法を封じられることと同じなのだ。

(外れないッッッッッ!!)
「イドラちゃん!はるかちゃん!」

 悲鳴を上げるかのように千佳が叫ぶ。

「もう沈黙魔法なんて時代遅れよね。魔力で物理的に口封じするに限るわ」
「キサマ!二人に何をした!」

 戦力の中で唯一難を逃れているレッドが二人の前に出てくる。
 ノワルは、跪いて口枷を剥がすのに必死なイドラとはるかを満足げに見つめながら言う。

「見ての通りよ。これで魔法を唱えられないわね♪これが私の固有魔法"闇檻"……」
「闇檻……だと?」
「けど、口を塞ぐなんてほんの一部分。もうちょっと出力を上げると――」

 ノワルが指をクイッと動かした瞬間、レッド達の周囲には無数の黒い霧が立ち上っていた。
 それらは一つ一つが先ほどとは比較にならないほど大きく、全身を包めるほどだった。

「……んむっ!!」

 嫌な予感を感じ取ったはるかは、咄嗟に槍を薙ぎ払い、自分以外のイドラ、レッド、千佳を黒霧の包囲の外へと弾き飛ばす。

「んぐっ!」
「くっ!」
「きゃっ!」

(はるか……!)


 残されたはるかは、為す術もなく黒霧の群れに呑み込まれてしまった。

――ガチガチガチガチッ!!

 そして、幾重にも重なるあの不快な拘束音が、絶え間なく連続で鳴り響く。

(は……?)

 霧から姿を現したはるかの姿を見て、三人は呆然とした。

「んむうううううううっ!?」

 なんと、はるかは口枷と同じ材質の拘束具で口元のみならず首から下の全身を覆われ、さらにベルトを幾重にも巻かれて厳重に拘束されていたのだ。
 流石のはるかもここまでの事態は想定していなかったようで、自分の身体を見下ろして口枷の中で悲鳴を上げながら拘束を解こうともがく。

「んむっ!んむぅっ!んんんんんんっ!!」

 しかし、はるかはこの厳重な拘束に対して身を捩るのがやっとで、ギチギチと音を立てる拘束具の中では指一本すら動かすことが叶わなかった。

「あはは、無駄無駄。内側で核爆発が起ころうと壊れないわ♪」

 まるで直立した芋虫のようにされたはるかを見て、ノワルはより一層気分をよくしたようだった。

「これこそが私の固有魔法"闇檻"。私の"闇檻"に触れたものはすべてが拘束される」
「ん……んむ……!」

 イドラは恐怖していた。
 拘束や無力化にこの上なく特化した魔法。こんな魔法、聞いたことがない。
 あの霧に触れただけで。こんな一瞬で。あんなにもあっけなく。無力化されるなんて。
 魔法に明るいから分かる。ここまでの魔力量を有していればさらに大規模な拘束が可能だろう。都市一つを拘束の中に呑み込むどころか、光すらも――。

 そして、理解する。
 この女は最悪などでは済まされない。最悪な"災厄"なのだと。
 実際、イドラの抱いた印象は当たっていた。
 ノワルは、元の世界では「13の災害」と呼ばれる、突出した実力を持つ世界の環境を変え得る魔法使いの一人であり、"闇檻"の異名を持っていたトップクラスの危険人物だったのだから。

「さてと、ちょっと味見しちゃおうかしら」

 ノワルは全身を拘束されて動けないはるかに近づくと、おもむろにその頬に舌を這わせて、ベロリと舐める。
 はるかの魔力が滲んでいる汗を、その舌で味わったのだ。

「ふうううううっ!!むぐうううううっ!!」

 あまりの不快感にはるかは涙を浮かべながら悲鳴を上げるが、口枷に塞がれた声はくぐもった声となりノワルの耳には届かない。

「う~~~~~ん!おいしい♡」

 高級なスイーツを嗜んだかのように幸福で満たされた表情になるノワル。

「やっぱり期待した通りの味ね。気に入ったわ、持ち帰っちゃお」
「ひっ……っ」

 無慈悲な所有物宣告に、はるかは顔を青くして怯えることしかできない。

「化け物が……っ!」

 もはや男であるはずのレッドすらも、ノワルに対して恐怖に近い感情を有していた。
 千佳に至っては、足がすくんで動けず、声を発することすらできなかった。
 眼前で行われた女に対する変態的で屈辱的な所業を、現実のものだと思いたくなかった。

「イドラ。ここはオレが時間を稼ぐ。お前は千佳を連れて逃げろ」
「むぅ!?うむむっ!」

 引き留めるようなくぐもった声がイドラから発せられるが、レッドは首を振る。

「アイツとまともに戦っても確実に負ける!だからお前と千佳は逃げてヤツの危険性を伝えるんだ!」
「そんなこと言われて逃がすと思う?」
「オレがそうさせるんだよ!……ぉぉぉぉおおおおおおっ!!」

 レッドは雄叫びを上げると、全身からエネルギーが迸り、それが炎となってアルカイザーことレッドの全身を覆う。

「あらこの炎は……まるで炎獄を思わせるわね。不快だわ……」
「アルカイザーの最終奥義だ……くらえっ!真アル――」
「はい、残念。悪いけど先に手を打たせてもらったわ」
「何っ!?」

 レッドを纏う炎が不死鳥を形成し、アルカイザーの最終奥義、真アル・フェニックスを放とうとした刹那のことだった。
 ノワルが素早い動きでレッドに肉薄すると、その炎を"闇檻"の霧で覆って鎮火し、さらに別の"闇檻"でレッドを覆ったのだ。

――ガコンッ!!

 すると、先ほどまでレッドのいた場所には、鈍い黒に輝く鉄棺があった。

――ガコンッ!!

 拘束する時のような音は鳴らず、代わりに機械が少しずつ駆動するような重い音がなる。

「ぐおおおおおおおっ!!?」

 その鉄棺の内部にはレッドが閉じ込められ、少しずつ縮まろうとする鉄棺に圧し潰されようとしていたのだ。
 鉄棺の体積が少しずつ狭まるごとに、内部から聞こえるレッドの苦悶の声が大きくなっていく。

「男が拘束されてる姿なんて見たくもないからそうしてあげたわ。そのまま圧死しちゃいなさいな」

 ただの無力化するための拘束ではなく、ノワルの殺意の籠った拘束。
 それはレッドに最大限の苦痛を与えた上で絞め殺そうと、レッドを少しずつ蝕んでいた。


「さて……時間稼ぎにすらならなかったみたいね?」
「んっ……」
「イドラちゃん……」

 レッドが一瞬で無力化されてしまったことで、イドラと千佳は逃げる暇もなく追いつかれてしまう。
 残されたイドラは口を塞がれて魔法を封じられ、千佳は言うまでもなく魔女っ娘アイドルであることを除けばただの9歳児でしかない。
 万事休すといってもいい状況だった。
 そんな状況を鑑みたイドラが、動きを見せる。

「イドラちゃん……?どうしたの?ねぇ、なんでその人の方へ行くの!?」
「あらあら、私の方へ向かってくるなんて。何か秘策を思いついたのかしら?」

 なんとイドラは、繋いでいた千佳の手を振り払い、ノワルの方へと近づいていったのだ。
 何をするのだろうと、千佳もノワルもイドラの次の行動を待つ。

「ん……」

 するとイドラは、両手を広げて何の抵抗もしないという合図を送ったのだ。
 そんな姿勢を取りながら、ちらりと背後で自分を案じている千佳を見る。

「んっ……んむっ」
「ふぅん、なるほどねぇ」

 イドラは目配せを用いて、千佳のことは見逃して欲しいことをノワルに伝える。
 イドラは、自分を犠牲にしたのだ。「皆を笑顔にする魔法」という素晴らしい魔法を持つこの魔女っ娘《アイドル》だけは、犠牲にしてはならないという考えの元の行動だった。

「分かったわ。それじゃ遠慮なく。"闇檻"」

 ノワルは理解したような様子で、無抵抗なイドラの全身を霧に包む。

――ガチガチガチガチッ!!

 金属のぶつかり合う音が連続でしたと思うと、イドラははるかと同じように、首から下までをびっしりと黒光りする拘束具で覆われていた。
 イドラははるかに比べて身体の凹凸が激しいボディをしていたせいか、その女性的な特徴は拘束具に締め上げられたことでさらにくっきりと浮かび上がり、ベルトの間からはその乳房が自己主張をしていた。

「んむ……っ」

 不快感と羞恥から身を捩るが、ギシギシという拘束具の擦れる音がなるだけで全く動くことができない。
 イドラもまた、長い黒髪と顔の上半分を残して、全身拘束されてしまったのだった。

「じゃあ、味見タイムと行きましょうか♪」
「ひっ……っ」

 ノワルに舐められた瞬間、イドラは身を震わせる。
 浅垣灯悟にすら許したことのない場所を舐められてしまったことで、身の毛のよだつような悪寒に顔をしかめる。
 女性による女性への蹂躙を、拘束されているせいで払いのけることすらできないという屈辱。
 その黒髪を拘束具に覆われた肩にかけながら、拘束具の奥でイドラは一筋の涙を流すのだった。

「うん、こっちもはるかちゃんとは違った味だけど美味だわ。貴女もお持ち帰り決定ね♡」
「んっ……!」

 人形を愛でるかのように頭を撫でてくるノワルに対し、イドラはキッと睨むことでしか反応を返せない。

「もう、反抗的なんだから。帰ったらちゃんと調教しなきゃ」
「ぐぅっ……」

 ノワルはその豊満な乳房を拘束具越しにムニュムニュと揉みながら言う。
 恥辱に濡れたイドラの反応をひとしきり堪能したノワルは、残された千佳の方へと向き合う。

「さて、貴女は……」
「あ……あぅ……」

 近づいてくる魔女に、思わず後ずさりしてしまう。
 足がうまく動かない千佳は、容易にノワルに触れられる距離まで近づかれてしまった。

「どうしようかしら。魔力は確かにないんだけれど……顔は好みなのよね」
「い、嫌……っ!」

 くいっと千佳の顎を持ち上げるノワル。
 その漆黒の瞳には、心細そうに涙を浮かべる千佳の顔が映っていた。

「むううううっ!!ふぐうううううっ!!」

 背後からは、イドラが必死に抗議を口枷の奥で叫んでいる声が聞こえた。
 この子は見逃すんじゃなかったのか、だから私が無抵抗で闇檻を受け入れたのに、という怨嗟の声が口枷越しにも聞こえてきたが、ノワルはそれを嘲笑うかのようにわざとらしくとぼける。

「あ、ごめんなさい。やっぱりあなたの言ってることさっぱり分からなかったわ」
「むがああああっ!!ふごおおおおおっ!!」

 ふざけるな、と言わんばかりの剣幕で怒り狂うイドラ。
 無我夢中で拘束を解いて千佳を助けに行こうとするが、それで闇檻の拘束が解けるはずもなく、もぞもぞとそのシルエットが可愛らしく蠢くだけだった。
 イドラの感情に対して無機質に拘束し続ける闇檻の拘束は、イドラの無力感と憤りを何倍にも高める。

「む……むぐううううっ!!」

 暴れすぎたからか前のめりに倒れ込んでしまい、その胸が体重に押しつぶされて地面を舐めさせられるも、それでもノワルを見上げる執念を見せる。
 口枷に塞がれた口でお願い、やめて、と何度も叫ぶもノワルには届かず、千佳を助けるには至らなかった。


「決めたわ!貴女は――」
「――待ちなさい」

 ノワルが千佳の処遇を決めようとしていた時、どこからかミステリアスな声が辺りに静かに響く。

「……誰?」

 楽しみを邪魔された不快感を隠すこともなく、ノワルは声の主を探る。

「こちらですよ。勝手ながら一部始終は観察させていただきました」

 その声の主は、付近の街灯の上に腰かけていた。
 その姿を見たはるかは、拘束された状態のまま驚愕する。
 彼女には見覚えがあった。胸にニプレスを貼っただけの露出度の高いコスチュームに、神出鬼没で珍妙奇怪なことをしては去っていく、目的不明の悪の組織の総帥。

(マジアベーゼ……!?)
「マジアベーゼと申します。エノルミータの総帥をしております」
「……それで、私に何か用?」

 街灯から飛び降りたマジアベーゼは、ノワルと対峙する。
 両者の魔力の質はどちらも似通っており、似たような性癖の持ち主であることがなんとなくだが理解できてしまう。

「いえ、楽しそうなことをされているな、と思いまして。私も混ぜてくれませんか?」
「悪いけどそれは無理ね。ここにあるモノは全部私のものになったの。何ならあそこで圧死しそうになってる男を上げるから帰って頂戴」
「あ、すみません私もそれいらないです」

 ノワルは棺の中にいるレッドを指すが、マジアベーゼは首を振ってここを去ろうとしない。

「それなら、本当に何をするつもりなのかしら?まさか……私のものを横取りしに来たとでも?」
「いえいえまさか。ただ……気に食わないことがありまして」
「へぇ……何に?」

 ノワルとマジアベーゼの声が、一段低くなった。

「……あなたのやり方にですよ」
「ふぅん?」

 ノワルとマジアベーゼの周囲の気温が数度、下がった。
 マジアベーゼは血管を浮かばせながら、「支配の鞭」でぺちぺちと自身の手を叩いている。
 ノワルは瞳に浮かぶ光をすべて失い、威圧感を前面に出してマジアベーゼを凝視する。
 その表情のまま、ノワルとマジアベーゼは互いに歩み寄る。

「わっ……!?」

 さりげなく、すれ違い様にマジアベーゼは、千佳を強引にノワルから引き離して自身の後ろへと退避させる。

「……残念ね、マジアベーゼ。魔力の質を見るに、こんな状況じゃなければ仲良くできたかもしれないのだけれど」
「それはこちらの台詞ですよ。"闇檻"ノワル」

 ノワルとマジアベーゼの魔力がぶつかり合い、周囲にいる拘束されたはるかとイドラ、鉄棺に閉じ込められたレッド、尻もちをついている千佳にまでその余波を肌で感じ取られる。
 第二ラウンドが、始まろうとしていた。




【イドラ・アーヴォルン@戦隊レッド 異世界で冒険者になる】
状態:”闇檻”による全身拘束、口枷、うつ伏せに倒れている
服装:黒い露出度高めのローブ
装備:”闇檻”による拘束具、口枷
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1~3、ホットライン
思考
基本:殺し合いを止めて元の世界へ生還する
01:ノワルをどうにかしないと……!
02:あの子(マジアベーゼ)は……?
参戦時期:フォリング防衛戦(33話)終了後~35話終了
備考

【花菱はるか@魔法少女にあこがれて】
状態:マジアマゼンタに変身、”闇檻”による全身拘束、口枷
服装:マジアマゼンタのコスチューム
装備:”闇檻”による拘束具、口枷、トランスアイテム@魔法少女にあこがれて
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0~2、ホットライン
思考
基本:魔法少女として殺し合いを止める
01:ノワルをどうにかしないと……!
02:どうしてマジアベーゼがここに……!?
参戦時期:少なくともマジアマゼンタ フォールンメディックに覚醒前
備考

【レッド@SaGa Frontier(サガフロンティア)】
状態:アルカイザーに変身、ダメージ(中)、”闇檻”による鉄棺への閉じ込め(圧搾中)
服装:アルカイザーのコスチューム
装備:
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1~3、ホットライン
思考
基本:ヒーローとして殺し合いを止める
01:ノワルをどうにかしないと……!
02:ぐおおおおお潰されるっ!!
参戦時期:本編終了後~アルカールにヒーローの資格を剥奪される前
備考

【横山千佳@アイドルマスターシンデレラガールズ U149(漫画版)】
状態:健康、不安、ノワルへの恐怖(中)
服装:普段着
装備:
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1~3、ホットライン
思考
基本:怖いけど、殺し合いになんて負けない!
01:あの人(マジアベーゼ)、悪の組織っぽいけど助けに来てくれたの……?
参戦時期:サマーライブ編(原作14巻)終了後以降
備考

【ノワル@魔法少女ルナの災難】
状態:健康、マジアベーゼへの不快感
服装:ノワルのドレス
装備:
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1~3、ホットライン
思考
基本:お気に入りの子は残しつつ、いらない奴は消していく
00:何、コイツ(マジアベーゼ)
01:イドラちゃんとマジアマゼンタちゃんはかわいくて魔力もおいしいし拘束してお持ち帰りする
02:千佳ちゃんは魔力ないんだけど顔はいいからどうしようかしら
参戦時期:ルナに目を付けて以降(原作1章終了以降)
備考

【柊うてな@魔法少女にあこがれて】
状態:健康、ノワルへの不快感
服装:マジアベーゼのコスチューム
装備:トランスアイテム(エノルミータ)@魔法少女にあこがれて、支配の鞭@魔法少女にあこがれて
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0~2、ホットライン
思考
基本:無益な殺生はしないが、魔法少女の輝くところを見たい
00:とりあえずこの人(ノワル)のやり方が気に入りません
参戦時期:少なくともマジアベーゼ 夜蜘蛛の帳に覚醒後
備考

【支給品解説】
【トランスアイテム(魔法少女)@魔法少女にあこがれて】
花菱はるかに本人支給。
はるかが魔法少女マジアマゼンタに変身するためのハート型のアイテム。
手のひらに収まるサイズであり、これを手にして「トランスマジア」と唱えることで変身が可能になる。

【トランスアイテム(エノルミータ)@魔法少女にあこがれて】
柊うてなに本人支給。
うてながマジアベーゼに変身するための星型のアイテム。
手のひらに収まるサイズであり、これを手にして「トランスマジア」と唱えることで変身が可能になる。

候補作185:声にならぬ声/2024:再起-スタンド・アップ・ アゲイン- 投下順 候補作192:最後にロシア語でボソッと感謝するバトロワのアーリャさん
時系列順
GAME START 花菱はるか 009:魔法少女ラブリーチカの災難 ―闇檻の胎動―(前編)
イドラ・アーヴォルン
レッド
横山千佳
ノワル
柊うてな

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