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真贋バトルロワイヤル

散華

最終更新:2025年05月03日 22:43

匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集
 小兵衛から命じられた課題を終えたアスナは、タイガーボーイに戻った小兵衛と共に束の間の休息に入っていた。

「お待たせしました、先生」
「むぅ……これが未来の料亭。時の流れだのう」

 アスナはタイガーボーイの厨房を任されているNPCから注文した料理を受け取り、小兵衛の座る席へと持ってくる。

「これは……蕎麦か?独特な色合いだ。それに対してこれは……茶、なのか?月のような菓子が浮かんでおる……」
「スパゲティとクリームソーダですよ」
「すぱげてぃ?くりいむそうだ?」

 小兵衛はどれでもいいと言ってくれたので、とりあえずメニューにあったスパゲティとクリームソーダを注文しておいた。
 しかし、やはり小兵衛にはそれがどういうものか分からなかったようで、興味津々といった様子でアスナに聞き返してくる。

「えっと、これはイタリアの料理で小麦粉から麺が作られているんです。そこに具材や味付けを加えたものです」
「なんと!麦からこのうまい料理ができるのかえ!?蕎麦とはまた違うよき味じゃ」

 スパゲティを箸で頬張りながら、目を丸くする小兵衛。
 アスナの言う通り、蕎麦はそば粉から作られており、小麦を原料とするスパゲティとはまったく別物の料理だ。
 それにしてもこうした料理も本当に知らない様子を見ると、小兵衛は本当に江戸時代から来た人間なのだな、とアスナは実感する。

「この水は舌が焼かれたと思えば甘味が口に広がるのう。それにどこか清々しい気分になる」
「炭酸飲料です。私の時代ではよく飲まれているんですよ」
「この冷えた菓子も気になる。なんという名じゃ?」
「アイスクリームです。その炭酸飲料と合わせてクリームソーダって名前がついています」
「ほう……何とも興味深い。持ち帰れるのならおはるや大治郎への土産にしたいものじゃ」
「むむむ……」

 西洋の料理に小兵衛が舌鼓を売っているのをよそに、その肩の上で、小兵衛と契約した幻妖――烏天狗は難しい顔をしながらアスナをまじまじと見ていた。

「烏天狗ちゃん……よね?私がどうかした?」
「勿体ない……いやはや、実に勿体ない」
「何がじゃ?」
「なぜ……アスナ様はこのタイガーボーイなる店の制服をお召しにならないので?」

 さも重要な話をしているかのように烏天狗は語り出す。

「ここには何故だか存じ上げませぬが、店員用の制服がございます。私めから見てもただでさえめっちゃ可愛なアスナ殿がウェイトレス姿となれば、その姿はさぞ映えることでしょう」
「確かに制服はあったけど……今はその格好をする必要はないかなって」

 苦笑いを顔を浮かべながらアスナは言う。
 確かに、タイガーボーイにはここにアルバイトで働いていたと思われる女のウェイトレスの服装も置かれていた。
 が、剣士として気を緩めるわけには行かなかったので、アスナはそのままの服装で小兵衛に料理を運んでいた。

「いえいえ必要不可欠でございます!アスナ殿のお美しい御姿を目の保養にすれば私めの能力の感度も冴え渡るのでございます!秋山殿もそうでしょう!?」
「ちょ、ちょっと烏天狗ちゃん……」
「うぇいとれすなる姿がどんなものか、確かにわしも気にならないと言えば嘘になるわえ」
「先生まで……!」

 烏天狗の話に乗ってきた小兵衛にアスナは頬を赤らめる。

「とはいえ、その心意気はよきものじゃ。精進せい」
「……ありがとうございます」
「そうでした、アスナ殿は秋山殿に師事しておりましたね。ではその着痩せする『おむねのふとん』も賜ることも――」
「せっかくじゃ。アスナよ、この烏天狗がお前の服に忍び入ろうとしたら眼窩を突いてみい。今度は不意打ちに対応するのじゃ」
「わかりました」
「はっはっはアスナ殿に秋山殿ご冗談を」

 烏天狗に剣を抜こうとする仕草をわざとらしく見せてから、アスナは小兵衛の対面の席につく。

「アスナも食べるがよい。腹が減っては剣を振るう腕も鈍る」
「……はい」

 目の前に広がるのは、小兵衛と同じくNPCに注文したスパゲティだ。

(……そういえば、ミトとこんな食事してたっけ)

 思い出すのは、SAOの世界に囚われて間もない頃のこと。
 不安と恐怖で押しつぶされそうだったけれども、ミトが一緒にいたから前に進むことができたし、笑い合えた。
 だが、脳裏に映し出されるミトとの思い出の終着点にあるのは、あのメッセージウィンドウだった。

――mitoがパーティを離脱しました。

 肩の力を抜き、秋山小兵衛という頼れる師がすぐそこにいることである程度冷静になれた。
 だからこそ、アスナは今度こそ理解する。

(見捨てられたんだね、私――)

「どうかしたのか、アスナ?」
「顔色が優れないご様子」

 小兵衛と烏天狗が顔を覗き込んでくる。
 スパゲティを前にして、相当浮かない顔をしていたらしい。

「――先生、実は」

 沈み切った面持ちで、アスナは切り出す。
 言いかけたところで、ちら、と烏天狗の方に目を映す。

「……ふむ。烏天狗よ、この店を中心に回って、ここ一帯の索敵を頼んでもいいかえ?そろそろ他の連中も動き出している頃じゃ」
「……承知しました」

 察した小兵衛は、烏天狗をタイガーボーイの外へと送り出す。
 烏天狗は一瞬腑に落ちなさそうな顔をするも、契約者の意に反するわけにはいかないため、目にもとまらぬ動きでタイガーボーイの外へと出ていった。
 そこには、アスナと小兵衛が残される。

「さて、お前の話を聞く奴はわし以外にはおらん。話すがよい」
「ありがとうございます。実は……」

 アスナは、小兵衛に自分がここに至るまでのことを語った。
 たとえ怪物に負けて死んでも、このゲーム、この世界には負けたくない。
 そう思うに至った理由を。

「ふむ……そんなことが」
「私にはもう、この道しかないんです」

 ぽつぽつと語っていくにつれ、まるでそれまでの経験を追体験しているように思えて、アスナの声は重くなっていった。
 しかし、すべて語り終えた時には何かが軽くなった気がした。すべてを吐き出せて、少しは楽になったのかもしれない。

「一つ、聞きたいことがある」
「何ですか?」
「アスナよ、お前は自分を見捨てた友のことをどう思っておる?」
「それは……勿論悲しいです。現実でも友達だったのに。それに、最悪の可能性も考えてしまうんです。私よりもレアアイテムを優先したんじゃないかって……」

 アスナは慎重に言葉を紡いで小兵衛からの問いに答えた。
 なお、SAOのことは現代技術に疎い小兵衛にも分かりやすいよう、ある程度嚙み砕いて伝えている。

「……わしにも、そのミトとやらの考えは分からぬ。しかし……敵は大勢、友は斬られて自分も手負い――そんな中で友を優先できるのは、ごくごく一握りの人間だけじゃ。剣客でもそのような者はなかなかおらぬ」
「……私も、逆の立場だったら自分を優先しないとは言い切れないです」
「ミトを……その友のことは今でも大事か?」
「それは……はい。このゲームに巻き込まれていないのは、気になりますが」
「では……ミトが己のことをどう思っているか、気になるか?」
「気になります……けど。私には――」
「アスナ」

 言葉を遮られ、アスナはハッとして小兵衛を見る。
 そこには真剣な眼差しで自身を見る小兵衛がおり、その鋭さに射貫かれたような感覚がする。
 先ほどの気ままな老人の姿はどこにもなく、老練の剣客の姿がそこにあった。

「わしはごく僅かじゃがお前に剣の稽古をつけた。しかし――死に急ぐための剣を鍛えた覚えはないぞ」

 アスナが言わんとしていることは、小兵衛にはすぐに分かった。

――ここで死ぬ覚悟はもうできています。

 この娘は、この殺し合いで死に方を選ぶために剣を振るっているのだ。
 無論、旧知の中の嶋岡礼蔵のような年を召して剣客の"うらみ"を買った者であればまだ理解はできよう。
 しかし、アスナのような齢十と半ばのような若き剣客が抱えてよいものではない。

「次なる課題じゃ。せめてミトに会うまで生きてみせなさい」
「……」
「会って、話をするのじゃ。思いを確かめるのにそれ以上の方法はないじゃろう」
「先生……」
「生きたいか、死にたいか。それがわかるまで、とにかく生きてみることじゃ」

 小兵衛の言葉を、アスナは静かに聞き入っていた。

「……わしが若い頃。確かわしが三十二かそこらの歳の頃じゃった。わしから見ても太刀筋、態度、礼儀正しさ、すべてが真の剣士と言うに相応しい男がおった。わしとて本気でかかっても勝てるかどうか分からんかった」
「若い頃の先生でも、ですか?」

 小兵衛は頷く。
 小兵衛が語ったのは、約三十年前に御前試合で小兵衛を打ち震わせた男、波切八郎のことだ。
 波切八郎は小兵衛に真剣勝負を申し込んだが、勝負の場に終ぞ現れることはなかった。
 その後に何度か八郎の姿を見ることがあったが、恐らく何かがあったに違いない。
 しかし、結局は人を斬ろうとしていた八郎の腕を逆に叩き斬って以降、腹を割って話し合う機会は訪れなかった。
 剣客として"白"の道を行く小兵衛は、八郎の何がその色を"黒"に変えたかを知ることはできなかったのだ。

「剣客の生涯、とても剣によっての黒白のみで定まるものではない。この広い世の中、何かが間違って混ざった色の方に染まっていくことも十分あり得る。
 おそらくお前を見捨てた時……ミトとやらに何か別の"色"が混ざったに違いない。その色からミトを引き戻してやれるのは、お前だけじゃ」
「……ミトを想うなら、そのためにも生きてミトに再び会え、と」

 アスナの言葉に、小兵衛は無言の肯定で返す。
 確かに、たとえ怪物に負けて死んでも――と思っていたが、ミトと攻略を進めていた時はどうだったか。
 あの時は、SAOから現実に帰還するために、生きるために前に進んでいたはずだ。
 自分は何のために剣を振るうのだろう。生きるためか、死ぬためか。今になって、それが分からなくなった。

「私は――」

 アスナが腰に携えたレイピアに触れようとした時、タイガーボーイの中に烏天狗が転がり込んできた。

「む、烏天狗か。どうした?」
「秋山殿、アスナ殿。今すぐお逃げくださいませ」

 小兵衛の肩に乗って早速、烏天狗は告げる。

「凄まじい令力を持つ幻妖――いえ"魔女"が迫っております」

 淡々と告げる烏天狗だが、その内心は相当焦っていることが見て取れた。

§

「なかなかに大漁ね♪あなた達がかわいい女の子でよかったわ。男だったり見た目がかわいくなかったら消えてもらうところだけど、あなた達は特別待遇♪」

 気分を良くしながらノワルは言った。
 その眼前には、服を脱がされた少女達が大勢喘いでいた。
 レジスターはされていない。全員がNPCだ。
 元々は婦警のような制服を着た盾と銃を携えた少女――ヴァルキューレ警察学校の生徒だった。

「う゛う゛う゛う゛う゛う゛!!」

 ノワルの前に並べられたヴァルキューレの生徒達の状況は悲惨の一言だった。
 一糸まとわぬ姿になった生徒達が、背後の壁のように分厚い金属の板に、鋼鉄の枷で首から四肢に至るまで完全に固定されている。
 露出した小ぶりな乳房には、そこを覆うようにカップ型の搾乳機が取り付けられ、そこに繋がる管を通って僅かながら無理矢理抽出された母乳が溜まっている。

「む゛う゛う゛う゛う゛!!」

 口にはチューブに繋がっている口枷が顔の下半分を覆う形で嵌められており、そこからは媚薬混じりの栄養が流し込まれ生命を維持できるようになっている。

「うぐううう!!」

 繋がれたものはそれだけに留まらず、肛門にまでそれは及んでいた。
 肛門に繋がる管からは一定周期で強力な媚薬が流し込まれる仕組みになっており、それとは別にスイッチで強制的に注入することもできる。
 直腸から媚薬を吸収したことにより生徒達の感度は何十倍にも引き上げられ、今もまるで狂ったような嬌声を口枷の奥で発している。

「むがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」

 何よりも、目を引くのはその股間――いや、詳しくはそこにある"穴"に挿し込まれたバイブだろう。
 穴に入ったバイブは無機質に小刻みに震えながらじゅこじゅこと音を立てて穴に出入りしており、固定された生徒達の刺激して快感を発生させる。
 先述の媚薬もあって、生徒達は為す術もなく絶頂に至り、そこまでの快楽で股から垂れ流した愛液は真下に置かれた瓶の中へと流れ込む。

「魔力サーバーになった気分はどうかしら?無謀にも私に挑んできた生徒さん?」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」

 もはやノワルの言葉を聞く余裕すらなかった。
 これこそが、ノワルの言う魔力サーバーという"装置"だ。
 装置に繋がれた女を快楽で刺激し、魔力を含んだ体液を排出させるために徹底的に効率化された悪趣味な装置。
 ノワルが捕らえた女は、それがノワルの欲望を満たすにしろ魔力を満たすにしろ、こうして完全に"モノ"として扱われるのだ。
 哀れ魔力サーバーに繋がれたヴァルキューレの生徒達は、その末路の一端。

「でもこういうの、本当はメラフェルの仕事なんだけどねえ」

 面倒そうにノワルは言う。
 彼女の言った通り、捕らえた女を魔力サーバーに"加工"するのは闇檻六天使の一人、メラフェルに任せていた。
 使い魔が制限された今は、仕方なく闇檻を応用した魔法でノワルが加工している。
 メラフェルも元はノワルの使い魔だ。魔力サーバーへの加工も、使い魔にできて主にできないことではない。

「まあでも、四の五の言ってられないわよね」

 そう言いながら、ノワルは懐から漆黒に輝く宝珠を取り出すと、その宝珠に魔力サーバーに加工されたヴァルキューレの生徒を一人一人放り込んでいく。
 宝珠に投げ捨てられた生徒達は、まるでブラックホールに吸い込まれるように宝珠の中へと姿を消していった。

「自分から動かないといけないなら、"魔力の水筒"はちゃんと持っておかないと」

 ノワルが宝珠の中に手を入れると、その中から紫黒の珠を取り出す。
 その珠の外観は、イドラとマジアマゼンタの愛液を凝縮した時にできた珠と同じ外見をしていた。
 ノワルはそれを口の中へと運び込む。と同時に、ノワルの失われていた魔力が一定量回復していく感覚がした。
 魔力が回復した分、自身に回復魔法をかけて傷を癒していく。

「NPCとはいえ悪くない魔力の味ね」

 ノワルは、NPCの垂れ流した愛液から得る魔力の味の感想をなんとはなしに呟いた。
 ノワルをも超える強敵、アルジュナオルタに吹き飛ばされた先で、ノワルは行く先で襲い来るNPCを軽くあしらっていた。
 NPCを倒して分かったことだが、個体にもよるがNPCにも魔力が含まれているのだ。
 そしてNPCの中には、ノワル好みの女の子がそれなりにいた。
 それに気づいたノワルが見逃すはずもなく、ノワルは今や多数の女子NPCを魔力サーバーに加工して、闇檻の魔力で生み出した異次元空間を内包する黒い宝珠――「ポケット闇檻」に収納していたのだった。
 ノワルがポケット闇檻から取り出した魔力の塊は、その中に囚われたNPC達が絶えず排出した愛液の結晶に他ならないのだ。

「でもやっぱり物足りないわあ。味だけ本物に近づけた模造食品みたいな味なのよねえ」

 ノワルの目論見通り、NPCを魔力サーバーの素体にすることでかなりの魔力を回復することはできた。
 しかし、味にはやはり満足できていないのだった。
 その魔力はカニに対する「ほぼカニ」のように、本物に限りなく近づけた偽物の味でしかない。

「そろそろ魔力サーバーにできる参加者に会いたいところだけど――」

 そう言いながら魔力の感知網に神経を研ぎ澄ませると同時に、ノワルの口角が吊り上げられる。

「……いた♡」

 何かを感じたノワルは、すぐにその方向へと向かうのだった。

§

「敵の魔女か……わしとアスナが同時にかかっても勝てぬ相手かえ?」
「はい。御二人だけで戦うのはあまりにも現実的ではございません」

 小兵衛の問いに烏天狗は答える。即答だった。
 アスナは小兵衛以上の実力を持つ相手を見たことがなかったため、烏天狗の言葉が信じられなかった。

「先生が本気でかかっても勝てない相手なの?」
「ええ。秋山殿ですらあれの相手は手も足も出ないでしょう。そもそも刀や剣一本でどうにかなる相手ではございません。相性の良い味方がいなければ、このゲームの参加者全員が束になっても勝てる相手ではないでしょう」
「それほどまでの相手か」

 冷や汗を浮かべながら小兵衛は考える。
 老いたとはいえ老練の剣客でもある小兵衛としては、強者と剣を交えることはむしろ願ってもない話だ。
 だが、その相手が"剣"で対抗できるレベルではない、文字通りこの世の理に"自分の理"を押し付けて道行く人を蹂躙するような、災害の類であれば話は変わってくる。

「秋山殿も御覧になられますか」
「うむ。見せてくれ」

 小兵衛の脳裏には嫌な予感が過る。
 それは小兵衛がこれまで鍛えてきた剣客のそれとはまた違う、人間が動物として持っている第六感に近い生存欲求が警鐘を鳴らしている。
 そして烏天狗の能力により感覚を共有して小兵衛は襲撃者を感知した時、小兵衛はその感覚が正しいことを理解する。

「ッ!!……はぁっ、はぁっ……!!」
「先生!?どうしたんですか!?先生!!」

 小兵衛は胸を抑え、嫌な汗をびしょびしょに掻いて呼吸を整える。
 烏天狗の視点を通して見える光景には、異国の服装をした美しい風貌の金髪の女が歩いていた。
 それが見えたまではよかった。だが、小兵衛が彼女を見た瞬間――その女は小兵衛の方を向いて、ニタリと笑ったのだ。
 そこには誰もいないはずなのに。それと同時に、女は一気に駆け出した。その方向には、小兵衛とアスナのいるタイガーボーイがあった。

「いや何……蛇に睨まれた蛙の心持ちを体験したまでよ。アスナ、今すぐここを出るのじゃ」
「は、はい!」

 小兵衛はアスナと共にすぐに支度を済ませてタイガーボーイを出る。
 あの時感じたものは剣客としての昂ぶりではない。弱肉強食の中で圧倒的な強者に蹂躙される側の、弱者による恐怖、そして絶望。
 小兵衛は卓越した剣技を持っているものの、例えば幻妖のような魑魅魍魎の存在しない人の世の出身だ。
 烏天狗の言った、刀や剣一本ではどうにもならない相手――そのような相手に出会ったことはないが、それが真実であると肌で分かる。
 分かるからこそ、さしもの小兵衛とて動転を隠せなかったのだ。

(世界を異にする強者と剣を交えられぬは惜しいが――かくなる上は)
「烏天狗」
「はい」

 タイガーボーイの外に出た小兵衛は肩に乗る烏天狗に命じる。

「ここからはわしとアスナは別行動じゃ。お前はアスナについていっておやり。わしの姿が見えなくなった時を持ってアスナを契約者としなさい」
「……承知いたしました」
「ちょっと待ってください、先生!」

 小兵衛が言ったことの裏に含む意味を、アスナはすぐに理解した。

「ごく僅かしか鍛えられぬわしの不出来を恨んでくれ。じゃが、最低限の心得は叩き込んだつもりじゃ。後はお前次第だえ」
「嫌です!それだけは私の道に反します!私にミトと同じことをしろって言うんですか!」

 小兵衛はきっと、ここで殿を務めてアスナを逃がすつもりだろう。
 しかし、アスナは小兵衛を残して行くようなことはできなかった。
 あの時――ミトにパーティを抜けられた時の光景がフラッシュバックするからだ。

「その通りだ!」

 しかし、小兵衛は敢えてそう答える。

「わしが見た相手は烏天狗が言ったように剣でどうにかなる相手ではない!故にお前が戦っても剣客として何一つ成長しない!身を危険に晒すだけだわえ!」
「でも――」
「――わしが出した課題を忘れてくれるなよ。お前がそれを果たすためにも、お前は生きねばならん」

「話してるとこ悪いけど安心して?女の子は殺さないわよ、女の子は」

 その背後から、今までで一番聞きたくなかった、肌を突き刺すような冷たい女の声が聞こえた。

「ッ!!」

 小兵衛は一歩前に出てすぐさま刀を抜き、遅れてアスナもレイピアを抜く。
 漆黒の修道服風のドレスに身を包んだ女性――"闇檻"ノワル。
 主催陣営からも危険視されている災害指定の魔女が、来てしまった。

「あら、なんて可愛い子。一緒にいる支給品のちっちゃい使い魔も含めて食べちゃいたくなるわ♪」
「……」

 ノワルはアスナと烏天狗に視線を交互に移しながら、小兵衛を一切無視して話す。
 アスナは、その舐め回すような視線とその漆黒の瞳の奥に隠された『今すぐ自分のものにしたい』と言わんばかりのドス黒い欲望に気づき、不快で仕方なかった。
 それは間違いなく、アスナが忌み嫌っている、ウンベールや須郷伸之が持つような所有欲。
 しかしその欲望の強さは、前二人の比ではない。女性であるのにここまで自分に対して欲望を向けられるのかと、不快を通り越して恐れ入るほどだ。

 それに対して烏天狗は、小兵衛の肩の上に留まりながらガタガタと震えていた。
 ノワルの秘める魔力に恐怖しているのか、ノワルの欲望に恐怖しているのか――それは烏天狗のみが知ることだろう。

「あなたはそれなりに魔力を持ってるみたいね。参加者を素体にした魔力サーバーがなかったからちょうどよかったわ」

 アスナを品定めするように見つめてノワルは言う。
 魔力サーバーなるものがどんなものか、小兵衛にも、アスナにも、烏天狗にも分からない。
 しかし、それがどうしようもなく悪趣味なものであることはなんとなく分かる。

「それじゃあ早速――」
「はああああああっ――!!」

 ノワルが何かをしようとする前に、アスナはソードスキル"リニア―"の構えを取り、ノワルへと突っ込んでいった。
 こんな気味の悪い情欲を隠しもしない女を野放しにしておく訳にはいかない。
 先手必勝。狙うは、小兵衛に教えられた通りノワルの眼窩。

「ま、待てアスナ!!」

 慌てて止めにかかる小兵衛だが、もう遅い。
 アスナは致命的な間違いを犯していた。まず、そもそもノワルは仮面ライダーではないということ。
 ノワルは恐るべき相手だが仮面ライダーではないということは、眼窩が弱点であるとは限らない。
 もう一つは、ソードスキル"リニアー"と闇檻の相性が致命的に悪いこと。リニアーは一度構えを取ってしまえば軌道の修正がつかず、攻撃中の咄嗟の回避を取れない。それゆえに見える相手には軌道を読みやすく、カウンター技を持つ相手の格好の的となる。
 そして最後の一つは、小兵衛と烏天狗が告げていたように剣でどうにかなる相手ではない、という言葉を本当の意味で理解していなかったことだ。
 "闇檻"ノワル。世界に自分の我儘を押し付ける権能を持つ災害の魔女に挑むとどうなるか、アスナは分かっていなかった。

「え――?」

 そして、知ることになる。

――ガチガチガチガチッ!!


「あら、自分から私の元に来てくれるだなんて物分かりのいい子ね♪」
「む……ぅぐ……ッ!?」

 アスナの視界を黒い霧が覆い尽くしたと思うと、瞬く間にアスナの全身は闇の檻のごとき拘束具に包まれ、一瞬のうちに微動だにできなくなってしまった。

「ふぐっ……!!」

 リニアーの構えだったアスナは強制的に棒立ちにされ、リニアーの勢いに任せたまま直進して力なく墜落、地面をごろごろと転がり、ノワルの背後で制止した。
 アスナに遅れて、彼女が手に持っていたレイピアがカランカランと音を立てながらアスナの目の前で制止する。

(何……何何何なにがおきたの……!?)

 起き上がろうとするも起き上がれない。指の一本も動かせず、口には何かが詰まっていて吐き出せず、喋ることもできない。
 そのまま自分の身体を見下ろして、アスナは愕然とした。

「むううううううううっ!?」
(いやああああああっ!!何、何なのよこれええっ!!)

 かつてのイドラやマジアマゼンタのように、闇檻に囚われて口元から足先までの全身を拘束されたアスナの姿がそこにあった。

「な……何が起こったのじゃ……!?」
「……秋山殿、あれはもはや我々の手には負えませぬ」

 流石の小兵衛も目を疑った。
 ノワルが発生させた霧――闇檻を通過した瞬間に、アスナは真っ黒な拘束具に覆われて血に伏していた。
 感覚を最大限にまで研ぎ澄ました小兵衛ですら見極めることができなかった。

「早く退避をぐっ!?」
「烏天狗!」

 小兵衛の肩に乗っていた烏天狗にもついでとばかりに黒い霧が立ち込めると共に、烏天狗までもがあの拘束具に覆われる。

「むう~っ!」

 拘束する対象のサイズに合わせられるようで、烏天狗は両手に持てるサイズのままぎっちりと闇檻に締め付けられて小兵衛の肩から力なくぽとりと落ちる。
 小兵衛の足元で絶えず芋虫のように身じろぎしているが、こうもガチガチに固められては烏天狗の素早さを発揮することもできず、しばらくしてお手上げとばかりに抵抗をやめて動かなくなってしまった。

「はい、出来上がり。これからもこういう相手ばっかりだとやりやすいんだけれど」
「わしを無視されては困るな、女」

 小兵衛は満足げなノワルに対して声をかける。
 それに対して、小兵衛の声を聞いたノワルの声は見るからに不快そうなそぶりを隠しもしなくなる。

「……男、しかもよりによって爺だなんて。同じ空気を吸うのも嫌なんだけど」

 ノワルは加齢臭を厭うかのように鼻を覆い隠す。
 小兵衛のことを殆ど汚物のような何かとしか思ってないような態度が見える。

「つれないことを言ってくれるな。お前のような"災害"を見過ごす訳にはいかん」
「"見過ごす訳にはいかない"ですって?歳を取っておきながら自分の力量も分からないくらい愚かなのかしら?」
「はて、そうかもしれんな。何せこの歳じゃからな」

 わざとらしく笑って見せる小兵衛だったが、その目は笑っていなかった。
 小兵衛は確信する。この女は、"災害"。自分勝手な法則を世に押し付ける身勝手の極致。
 そこには人の情も、尊厳も、剣客の矜持も、うらみすらも残らず、ただ等しく人を踏み付け、思うがままに人から奪う。
 そんなことが許されていいのだろうか、いや許されていいわけがない。
 しかし、許されてしまっている。この目の前の女がその証左だ。

「それにそこの女子――アスナはわしの弟子でな。返してもらうぞ」
「ふうん。あなたも私の邪魔をするのね。……死ぬわよ?」

 小兵衛に告げられるのは、魔女による残酷な死刑宣告。
 しかし小兵衛は刀を構え、堂々とした佇まいで一歩も引かなかった。

「あいにくじゃが……たとえ怪物に負けて死んでも、このげえむ、この世界には負けたくないのでな」
「何それ?意味わかんない」

 力不足なのは既に分かっている。
 しかしだからこそ、剣客として己の持てる全力を籠めて目の前の災害を、倒しにかかる。
 小兵衛の腕から、令呪が三画、一気に消費される。
 これが老剣客、秋山小兵衛最後の戦いであることを物語っていた。

「円ッ!!!!!」

 消費した令呪分、制限を突破して全盛期を超える力が秋山小兵衛の全身にみなぎってくる。
 限界を超えた小兵衛の実力は支給された「円」の効果範囲をも増大させ、間合いの離れたノワルすらの射程内に収めることに成功する。
 後は、極限まで軽くなった身体を駆って肉薄し、"闇檻"の魔女を叩き切るだけ。
 それが小兵衛の命を賭けた全力で、あるはずだった。
 しかし、何かを削り取られるような音がしたと同時に、それは発揮されることなくあっけなく終わってしまった。

「がッ……」
「はい、おしまい」

 小兵衛は何が起きたか、一瞬理解できなかった。
 肉薄しようとしたその一瞬、災害の魔女が指をつんと差す。
 たったそれだけの所作だったはずなのに。
 直後、小兵衛の胴体の大部分に球体の風穴が空いていたのだ。

「ごふっ……」

 小兵衛の口から、滝のような血が流れ出てくる。
 力が抜けていき、握りしめていた陽竜刀を手放してしまう。
 そして悟る。彼我の間には、令呪三画だけでは到底覆し得ない力の差があった。自分は、負けたのだと。

「あっけない」

 事実、同じ災害指定の魔法使いソールと渡り合ったノワルに対抗するには、スタートラインにすら立てていなかったと言っていい。
 加えて、既にノワルは令呪の魔力が闇檻に対抗し得ること、そして自分に対抗し得る者が殺し合いにいることを知ってしまっている。
 ならばノワルはどうするかと言うと、油断抜きで確実に殺しにかかった。
 ノワルは、ごく小規模の"闇檻 ラストレクイエム"を小兵衛の体内を起点に展開、小型のブラックホールと化したそれによって"肉体の一部だけ"を、本体から削り取る形で拘束した。
 残された小兵衛の本体は、生命の維持に必要な臓器の殆どを奪われて虫の息。勝負は一瞬にして決していた。

「命を無駄にしたわね。男の存在自体が私にとっては無駄なんだけど」

 ノワルが女を指一本で無力化できるように、指一本で男を殺せるのだ。
 では、何故先ほどのアルカイザーやト部のことは一瞬で葬らず、わざわざ鉄棺に閉じ込めて圧殺しようとしたのか。
 答えは単純で、男相手にはただの指一本すら振るうことが億劫だったのだ。

(これほどの奴がいるとは……世界とは本当に広いのう)

 意識が消えゆく中、小兵衛は膝をつく。
 これまでの小兵衛の人生が走馬灯のように脳裏に浮かんでは消えていく。
 しかし、不思議と未練はなかった。これまで、小兵衛は剣士の名に恥じぬ人生を送ってきた。
 すべては、この時のためだったのかもしれない。
 息子の大治郎は大丈夫だろう。妻に三冬、倅に小太郎をもうけて、剣士としてどこに出しても恥ずかしくない男に成長してくれた。
 妻のおはるは……心配ではないといえば嘘になるが、どうにか周りの人が支えてくれるだろう。

(思い残すことは……)

 思い残すことは……いや、ある。
 もはや力の入らぬ首を、震わせながらなんとか持ち上げる。
 その視線の先には、血の如き涙を流しながら地に伏したアスナの姿があった。
 彼女は、この災害の魔女に辱められるだろう。
 この殺し合いに巻き込まれてできた弟子を、守れなかった。
 小兵衛の完敗とも言っていい、惨憺たる結果だ。
 悔しさとノワルへの憎悪の混じった表情を向けてくるアスナに、小兵衛は黙ってかぶりを振る。
 そして、最期に剣客としての意地を見せるため、小兵衛は力を振り絞ってノワルを見上げる。

「覚えておくがいい…………剣客のうらみは……深いぞ……」

 そして、小兵衛の身体は崩れ落ち、ただの肉塊と化す。
 剣客・秋山小兵衛は、60年余りの人生をここに終えた。


【秋山小兵衛@剣客商売 死亡】


§



§

「うらみってどんなうらみよ……最後までよく分からない爺だったわね……」

 小兵衛の言葉の裏に含まれる意味に、ノワルは毛ほどの興味も抱かなかった。
 ノワルからすればただ汚い障害物が邪魔をしてきたから跳ねのけた程度の感覚だ。

「これで2つ目……」

 小兵衛の骸については、レジスターと彼が持っていたリュックを闇檻で取り除いた後打ち捨てた。
 正直言って視界に入れるのすら躊躇われたが、支給品の入ったリュックとレジスターだけは今後のためにも確保しておきたい。
 自分を縛るバグスターウィルスとやらとその抗体を体内に流し続けているレジスター。
 それから逃れるのも、当面の目標の一つだ。

「にしても令呪、ねぇ……私も使い時は考えないと」

 ノワルは自身の腕に刻まれている三画の令呪を見下ろす。
 当面の脅威である"神"に対抗するには必須となるだろう。
 しかし、効果の持続時間が99秒間限定なのが気に入らない。
 そして、そこから溢れ出す魔力が闇檻を相殺してしまうという事実も。
 これも、研究する余地はあるか。
 全参加者において"当たり前"であるはずのルールに自分だけのルールを押し付けることも――ノワルであれば不可能ではない。

「さ・て・と……♪加工の時間といきましょうか」
「ぅぅぅぅぅぅううううう……!!」

 用事を済ませたノワルは、くつくつと笑いながらアスナへと向き直る。
 アスナからは、小兵衛を無残にも殺された怒りからか、これ以上ないほどの憎悪がその目線から感じられる。
 しかし、全身を拘束されたアスナはノワルを睨むことしかできない。

「いい目ね……あの砂糖菓子のような女の子のような目……そんな目で見られたらお姉さんもっと虐めたくなっちゃう♪」

 そしてその視線は、ノワルの嗜虐心を刺激する結果にしかならなかった。

「あの支給品の女の子と一緒に、私の玩具兼魔力サーバーの末席に加えてあげるわ――あら?」

 そうして見回してみると、ふと気づく。
 アスナと同じように拘束していたはずの、烏天狗の姿がないのだ。

(まさか、あの円とかいう奇妙な波動で闇檻を相殺された……?あの爺が令呪を三画使っていたならその余波で闇檻の魔力をかき消されてもおかしくないかもしれないわね)

 ここで、ノワルは初めて自身の誤算に気づく。
 獲物を一匹、取り逃したことに。

(……まぁ、いいわ)

 しかしそれは、ノワルにとって些末な誤算でしかなかった。
 元々本命はアスナの身柄だ。あの支給品は確かに意思を持っているが、本人は無力に等しい。
 このことを他の参加者に伝えて自分の元にかわいい女の子を連れて来てくれるのなら、その誤算は嬉しいものに変わる。

「さあ、情けなく魔力を垂れ流す魔力サーバーになりなさい」

 瞳を妖しく輝かせながら、ノワルはアスナに手を伸ばす。
 されどアスナはずっとノワルを睨んだまま、怯むことはなかった。

§

 ノワルから一人逃れて、烏天狗はトップスピードで殺し合いの会場を飛翔していた。

(急がねばなりませぬ……秋山殿の遺志を無駄にしないためにも)

 ノワルが推測した通り、烏天狗は小兵衛の円を展開した際に漏れ出した令呪由来の濃密な魔力によって闇檻から解放されていた。
 解放されたと同時に契約者である小兵衛から送られてきた意思によって、烏天狗自身の気配を消していた。
 そして、余命いくばくかという状態の小兵衛から、烏天狗は指示を受け取っていたのだ。

 殺し合いを打倒しようとしている参加者を探すこと。
 協力してくれる参加者を新たな主をすること。
 見つけた参加者に「アスナが闇檻の魔女に囚われた」ことを伝えること。

 秋山小兵衛の今わの際に受けた命令。彼に仕えていた以上、必ず果たさねばならぬ。

(しかし……事態は私めの想定を遥かに超えています)

 烏天狗の脳裏には、小兵衛の身体に風穴を開けたノワルの姿が今もこびりついている。
 レベル3の幻妖を一刀の元に切り伏せた小兵衛が、令呪三画すべて消費して大幅に力を増したにも関わらず、指の一本を振るうだけで斃されてしまったのだ。

(あればレベル4が束になっても勝てない……いえ、全盛期の鵺様でさえも勝てるかどうかわかりませぬ)

 その圧倒的な魔力と反則的な能力は、烏天狗個人としても危険視している。
 もし殺し合いがあの女の勝利で幕を閉じれば最後、その魔の手はあらゆる世界にも及ぶだろう。
 無論、烏天狗のいた世界にも。
 それだけは、何としても避けねばならない。

(学郎様……あるいは秋山殿とアスナ殿が気に掛けていたキリトなる者を始めとする"プレイヤー"なる者達と接触できればよいのですが)

 これから出会う参加者が協力的であることを祈りながら、烏天狗は殺し合いの会場を奔走していた。


[烏天狗(意思持ち支給品)@鵺の陰陽師]
状態:令力消費(中)、独立移動、ノワル戦のトラウマ(極大)
服装:烏天狗の服装
装備:なし
道具:なし
思考
基本:親しい者に危機が及ばない限り契約者の意向に従う
00:小兵衛の最後の指示を遂行するため、他の参加者を探す。
備考
※秋山小兵衛より、以下の指示を受けています。
 殺し合いを打倒しようとしている参加者を探すこと。
 協力してくれる参加者を新たな主をすること。
 見つけた参加者に「アスナが闇檻の魔女に囚われた」ことを伝えること。



§



 右も、左も、上も、下も、すべてが闇だった。
 ここはポケット闇檻の内部。
 四方八方から、快楽に堕ちた女性の声が幾重にも響き渡る。

「いい格好になったじゃない。さっきよりも何倍も素敵よ、あなた」

 最高の作品を作り上げた芸術家のように恍惚とした表情で、ノワルはそれを見た。

「でも、この傷が邪魔ねえ。本当にあの爺、余計なことをしてくれちゃって。消しちゃお」

 回復魔法によって、その乳房の上にあった傷を跡形もなく消した。

――じゅこ。じゅこ。じゅこ。じゅこ。

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」

 そこには、大勢の囚われたNPCの中に加えられた、魔力サーバーに改造されたアスナの姿があった。
 全身を装置に繋がれ、女の肢体をとことん利用されたその姿は悲惨の一言に尽きる。
 剣は取られ衣服はすべて脱がされ、年齢の割に発達していた乳房には搾乳機が取り付けられ、それはアスナの乳が出るのを今か今かと待っている。
 栄養を流すチューブは口枷の役割も兼ねており、憎まれ口を叩くことも許されない。

「う゛う゛う゛う゛!!」

――じゅこ。じゅこ。じゅこ。じゅこ。

 肛門からは媚薬が絶えず流し込まれ、アスナの望まぬ快感を無理やり引き出す。
 その状態で股間に取り付けられたバイブで弱点を突かれ、そのたびにアスナは獣のごとき嬌声の咆哮を上げる。

「けど意外だわ。あなた程度なら加工されてちょっとすればすぐにイキ狂ってよがるようになると思ってたんだけれど」

 快楽から逃れようと何度も首を振ったことで乱れてしまったアスナの髪を、ノワルは一房摘んでペロリと舐める。

「そんな目を維持できるなんて。嬉しいわ。予想よりあなたはずっと長く遊べそう」

 しかし、アスナの目は死んではいなかった。
 快楽で悶えながらも、自分を見失わずにノワルをキッと睨むことだけはやめなかった。

「それじゃあ少し味見を……」

 それを尻目に、ノワルはアスナの大事な部分から噴き出た愛液を指に取り、味見する。
 そこに含まれた魔力は、NPCでは物足りなかったノワルにとっては格別の味だった。

「やっぱり、NPCなんかより"生"の参加者の魔力の方が美味ね♡」
「ッ……ッ……!!!」
「そんなに私が憎いならその快感に耐えてみなさい。私の理想郷ができたら、あなたを私の玩具一号として特別待遇にしてあげるから」

 舌なめずりしながら満足げにノワルは呟き、ポケット闇檻を出ていった。
 そこには、NPCと共に装置に繋がれたアスナだけが残された。

(先生……ごめんなさい……)

 秋山小兵衛が、死んだ。
 自分が無策に突っ込んでいったせいで。
 何もできずに捕えられた自分が情けなく、どうしようもなく悔しい。

(私は……私は……ッ!!)

 秋山小兵衛が最期に見せた表情と最期の言葉。
 そのメッセージを、わずかながら剣客として修業を受けたアスナはしっかりと受け取っていた。

(私は……負けない……ッ!このゲームにも……あの女にも……!!)

 剣客の"うらみ"は、深い。
 ならばアスナが、小兵衛のうらみを継ぐ。
 今頃は烏天狗が参加者を探し回っている頃だろう。
 今は武器も何もかもを取られて無力化されているが、いつか反旗を翻す時がきっと来る。
 その時が来るまで、何度も快楽に身を委ねそうになりながらも、アスナは耐え続ける。
 自分と小兵衛のうらみを、あの女に返すその時まで。
 生きて見せる。そしてミトにもいつか再会して――。

(私は負け――)
――プシュッ。
「おごおおおおおっ!!!」
(負アアけえええなアァァァいいいいいイイイイイイイッッッ!!!♡♡♡)

 闘志を燃やしながら、快楽で瞳をチカチカと明滅させながら、アスナは何度も絶頂を迎えていた。



【エリアB-3/タイガーボーイ周辺/9月2日午前9時30分】

【ノワル@魔法少女ルナの災難】
状態:疲労(中)、ダメージ(中)(回復中)
服装:ノワルのドレス
装備:賢者の石@鋼の錬金術師、万里ノ鎖@呪術廻戦
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×1~3(ローラ姫のもの)、青眼の白竜(12時間使用不可)@遊戯王OCG、ホットライン、レジスター(ローラ姫)、ランダムアイテム×0~2(アスナのもの)、ランダムアイテム×0~1、 ラランダムアイテム×0~1(ウンベールのもの)、アニールブレード@ソードアートオンラインシリーズ、ウインド・フルーレ@SAO プログレッシブ 星なき夜のアリア (映画)、ポケット闇檻、魔力サーバー(NPC)×いっぱい、魔力サーバー(アスナ)
思考
基本:お気に入りの子は残しつつ、いらない奴は消していく
00:アイツら(マジアベーゼ、マジアマゼンタ、イドラ、千佳、アルカイザー)にはいずれ報いを受けさせる
01:この殺し合いを乗っ取って、自分好みに改造してあらゆる世界から集めた女の子を愛でる
02:黒い男(アルジュナ)を強く警戒。気を引き締めないとねぇ
03:イドラちゃんとマジアマゼンタちゃん、アスナちゃんの魔力はおいしかったわね。
04:まだ見ぬ異世界のかわいい女の子に会うのが楽しみ。今度は殺される前に会いたいわ
05:ルルーシュって奴の能力も対策を考えておく
06:令呪とレジスターに関しても細工の余地がありそうね……
参戦時期:ルナに目を付けて以降(原作1章終了以降)
備考
※ノワルに課された制限は以下の通りです。
闇檻 無限監獄の封印
魔力解放形態の封印
結界による陣地の作成不可
召喚できる使い魔は天使α、天使β、天使γ程度
闇檻 ラストレクイエムで呑み込める範囲を1/10未満に
※闇檻の応用によりポケット闇檻を作り出しました。
 「人間やNPCを入れられるリュック」のような性能をしており、中身に魔力サーバーに加工したNPCおよびアスナを収納しています。
※数多くの女性NPCとアスナを魔力サーバーに改造してポケット闇檻内部に収納しています。内部から魔力を抽出可能です。


【アスナ@SAO プログレッシブ 星なき夜のアリア (映画)】
状態:全裸、魔力サーバー、疲労(特大)、絶頂、ノワルへのうらみ(極大)
服装:魔力サーバーの装置と拘束具
装備:搾乳機、チューブ、バイブ
令呪:残り三画
道具:ホットライン
思考
基本:"その時"が来るまで生きる
01:先生(小兵衛)の教えを肝に銘じる
02:生きて、先生(小兵衛)と私のうらみをあの女(ノワル)に返す
03:生きてミトに再会する……?
04:茅場って……あの茅場よね?
05:どういうこと?これはSAOとはどう関係しているの?
06:キリト……同じSAOのプレーヤー?
参戦時期:ミトにパーティを解消され、ジャイアントアンスロソーに殺される寸前
備考
※キリトに助けられる前ですのでキリトとの面識はありません。
※ウンベールが仮想世界の住人とは気づいていません。(別世界の人間だと思っている)
※小兵衛との会話から時代を超えた人物が集められていることを理解しました。
※名簿の並びからキリト~ユージオまでをSAOのプレーヤーではないかと推測しています
※胸の傷はノワルにより治療されました


【NPC紹介】
【ヴァルキューレの生徒@ブルーアーカイブ】
キヴォトスにおける警察組織の役割を果たす学園の生徒。
残念ながらノワルに挑んだ生徒は全員魔力サーバーにされてしまった。

[エリア備考]
B-3のタイガーボーイ周辺には小兵衛の死体が陽竜刀とともに転がっています。



073:アナザーオーズ 投下順 075:不死鳥のフランメ
058:ファントムパレード(後編) 時系列順 054:あんなに一緒だったのに/傷は消えず、仄暗く深き悲しみと共に
015:linkage ─そしてラグナロクは続く─ ノワル
030:余花 アスナ
秋山小兵衛 GAME OVER

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