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  • 不死鳥のフランメ

真贋バトルロワイヤル

不死鳥のフランメ

最終更新:2025年06月25日 00:56

sinjitsurowa

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だれでも歓迎! 編集
 灰色の空。燻る煙。
 天高く聳える無機質な塔。
 発電所から立ち上る実体の持たないそれを目印に、歩を進めてゆく漆黒の影。

 その男に名前は無い。
 決別のために、過去も栄光も切り捨てた元勇者。
 ギギストとの停戦協定を終え、拠点を探すため橋を渡った彼の足取りは当初の目的から外れていた。
 西へ進むうちに何者かの戦闘の跡、魔力の残滓を辿る内にやけに背の高い施設が目に付いたのだ。

「ハッ、丁度いい」

 この数時間、彼は幾つもの力を手にした。
 新たなる特技に呪文、デザストの変身道具、ギギストに与えられた力。
 エトウカナミやNPCとの戦闘によってある程度は使いこなせるようにはなったが、まだ完全にモノには出来ていない。

 ──己の力を試したい。
 ──強者との戦闘がしたい。
 ──血湧き肉躍る死闘がしたい。

 いつからか、胸奥から迸る熱き闘争心。
 人を救うという決意のもとで動いていた勇者の頃とは、まるで違う。
 浮き足立つような感覚、先の斬り合いを思い出して四肢が落ち着かない。

 その男に名前は無い。
 けれど平和を切り開く者を勇者とするのならば、彼はその逆。
 争いを渇望し、自由気ままに戦をもたらすその厄災に名を付けるのならば。


 ────やみのせんし。



◾︎



「…………くそっ」

 発電所内部、とある一区画。
 簡素なベッドが用意されている職員専用の休憩室にて、やるせない悪態が尾を引く。
 それに続いて壁を叩くキリトの視線の先には、目を逸らしたくなる現実があった。

「キリト、気持ちはわかるけど…………」
「わかってるさ、けど」

 血に濡れたベッドに寝かされ、顔に布を掛けられた遺体。
 物言わぬ屍となった成見亜里紗を前にして、キリトは凄まじい悔恨に見舞われた。
 幾度目にもわからない彼の自責をイドラは気遣うが、気休めにもならない。

「理屈じゃないんだよ」

 物憂げに、心底後悔した面持ちで呟くキリト。
 その姿を見てイドラは言葉を失い、重い沈黙が場を制した。



 リボンズとの戦闘後、レッドとイドラは気絶したキリトたちを背負い発電所の内部へ移動した。
 その最中だ、アリサの遺体を発見したのは。
 最初、それが彼女だと気がつくのに時間を要した。
 脳天を破壊され、原型を留めない顔面はもはや個人を特定できるものではなかったのだ。
 辛うじて服装から成見亜里紗の遺体だと判別出来たが、それが逆に彼女の死を揺るがぬものに変えた。

 この場では満足に弔う事も出来ず、二人は休憩室のベッドに安置させることを選択した。
 それから暫くして目が覚めたキリトに、事情を説明するかどうか迷った。
 リボンズという強敵を命懸けで打ち倒した直後に、こんな残酷な事実を突きつける勇気が無かったのだ。

 けれど、レッドはそうではなかった。
 沈痛な面持ちで亜里紗の死を告げるレッドにより、現状を把握したキリトは今に至る。
 ゲーム開始から行動を共にしてきた仲間の死は、到底容易に受け入れられるものではない。
 リボンズへの勝利の余韻に浸ることも許されず、力なく壁へと背を預けた。

「…………レッドはまだ戻らないのか?」
「ええ、見回りに行ってくるって言ってたけど……多分、彼もショックだったんでしょうね。もう少し待ってあげましょう」

 キリトへの説明を終えたあと、レッドは見回りを買って出た。
 確かに今の疲弊した彼らではまたリボンズのような強敵を相手にするのは無謀といえる。
 撤退するにしても応戦するにしても迅速さが求められる状態、見回りという役目は必要不可欠。

 けれど、部屋を出たレッドの横顔は。
 今にも押し潰されそうなほどの悲哀と自責に満ちていた。

「…………デクにも、伝えなきゃいけないんだよな」

 苦々しく己へ釘を刺すキリト。次いでイドラも眉を下げて俯く。
 休憩室のベッドを占領しているのは亜里紗だけではない。
 OFAの反動を一身に受けて以降、意識を取り戻さない緑谷出久もまた苦境の理由である。

 命を懸けてリボンズを退けた彼へ、また一人喪ったことを伝える。
 言葉にするよりも遥かに残酷な事実を、これから突きつけなければならない。

 キリトとイドラの間に沈黙が流れる。
 死を悼む時間など殺し合いにおいては無意味に他ならないが、二人はそこまで非情になりきれなかった。

「私から伝え──」
「待て、イドラ」

 静寂を打ち破るイドラの言葉を、キリトが制する。

「この足音、聞こえるか?」
「え……」

 耳を澄ます。
 発電所が発する機械音に紛れて、床を踏む音が鳴り響いていることに気がついた。
 しかもそれは段々と近付いてきている。
 焦りを含んでいるのか、早足気味のそれは誰が聞いても穏やかなものではない。

 念には念を、と剣に手をかけるキリト。
 イドラはベッドで横たわるデクを守るかのように彼の前へ移動し、魔力を練り上げる。

 扉が開く。
 同時に、彼らの心配は杞憂に終わった。

「レッド!」

 見慣れた仲間の顔。
 安堵の息を吐く二人に対して、レッドの顔色は優れない。
 ちらりと目線を配ったかと思えば、鬼気迫る目つきのまま告げた。

「一人ヤバそうなやつが来てる。……このままじゃ、ここも見つかるかもしれねぇ」
「…………だろうと思ったよ」

 正直、足音から予感はしていた。
 レッドがそれを告げに来たということは、少なくとも彼一人でどうにかなる手合いではないと判断したのだろう。
 イドラに緊張が走る。せめて放送の時間はここで迎えたかったが、レッドの表情からしてそれは現実的ではないようだ。

「どうする、撤退すんのか?」
「…………」

 この場での指揮はキリトに任されている。
 撤退か応戦か、ここで選択肢を間違える訳にはいかない。

「敵はこっちに気付いてたのか?」
「多分な、迷いない足取りでこっちに来てたぜ」
「なら、このままデクを背負って撤退するのは危険だな……」

 大人数での撤退、それも負傷した人間を抱えてとなると機動力は格段に落ちる。
 初めから立ち向かうつもりで体勢を整えるよりも、逃走から慌てて応戦に転じる方が圧倒的に不利だ。

「一人で向かってきてるってことは、それ相応の自信がある奴だ。……さっきのアイツみたいにな」

 そんなキリトの思考を見抜くかのように、レッドが鋭い指摘を放つ。
 ゲーム開始から既に六時間以上経過している今、よほどのことが無い限り単独行動を選ぶ理由はない。
 それこそ先程邂逅したリボンズのように、他者を殺して回っている以外では────

「わかってるさ」

 けれど、退けない。
 目の届く範囲に危機があるのならば、それを抹消しなければまた亜里紗のような犠牲者が出てしまう。
 それだけは、避けなくてはならないから。

「だから、なにかあったら逃げてくれ」

 司令塔の強い宣告。
 デクが目を覚ましたら、きっと同じことを言うだろう。
 指示役を任されている以上、その責務はあると自負している。

「それは俺のセリフだぜ、キリト」

 けれどその役目は、ヒーローが背負うべきだ。
 少なくとも発言の主──小此木烈人はそう考えていた。

「レッド……」
「そんな顔すんなよ、勝てばいい話だろ!」

 キリトもデクも、レッドよりも歳下であるにも関わらずその精神性は並の大人を凌いでいる。
 同時に、危うさのようなものを感じた。
 自らの命を顧みず、他者の為に全力を振り絞る姿は生き急いでいると言っても過言ではない。
 自己犠牲も行き過ぎれば悲しみを振りまく存在となることを、レッドはこの殺し合いで深く思い知った。

「はは、そうだな……勝てばいい」
「そうよ! どんな敵が来ても、あのノワルよりはマシでしょ!」

 気休めの鼓舞は力へと変わる。
 無論、だからといって恐怖が拭えたわけではない。
 特にノワルによって絶望的なまでの恐怖を与えられたレッドとイドラは、覚悟など決まるはずもない。
 見せかけの虚勢に鎖を繋いで、精一杯繋ぎ止めている状態。

 けれどそれを笑う者は一人とていない。
 未だ意識を取り戻さないヒーローにちらりと一瞥をくれて、三つの光は休憩室を後にした。


◾︎



 ────発電所前、入口付近。

 無機質なアスファルトの上で、光と闇が相対する。
 迎え撃つかのような三人を前に、紫と赤を基調とした闇がくぐもった声を上げた。

「ありがたいね、歓迎してくれるなんてよ」
「ああ、一人じゃ寂しいだろうと思ってね」

 応えるキリト。
 デュエルガンダムで武装しておいて正解だった。敵の武装──仮面ライダーデザストから漂う敵意は尋常ではない。
 濃密で、混じり気のない漆黒の意志。
 かつてキリトが出会ったヒーロー殺し、ステインのそれを彷彿とさせた。

「なぁ……お前、乗ってんのか? いきなり襲いかかって来たりしない辺り、話は出来ると思ってんだけどよ」

 隣立つアルカイザーもまた、仮面越しの声を響かせる。
 二人の少し後方に経つイドラも心中で同意した。
 彼女たちが出会ったノワルやリボンズといった強敵は有無を言わさず攻撃を加えてきた。
 対して、今目の前にいる闇の戦士はまるでこちらの選択を待つかのように構えている。

 話し合いの余地があるのではないか。
 そんなレッドの希望は、他ならぬ漆黒の戦士によって否定される。

「少し前にアンタに出会ってりゃ、その話にも乗ってやったかもな」

 けどな、と続けて破壊の剣を向ける。
 黒曜石じみた切っ先が陽光に照らされて、レッドの背筋に寒気が伝った。

「俺はもう、そっちに行く気はねぇんだ」

 ぶおん、と大振りな剣戟が空を断つ。
 対象を定めないただの素振り。刃など届くはずもない位置なのだから、警戒をする必要など皆無。
 しかし、その剣が描いた軌跡はゆらりと空間を揺らがせた。

 はかいのつるぎ。
 その名の通り、万物を破壊に至らしめることから名付けられた業物。
 それを手にしている者がよりにもよって、その剣が存在する世界の最上位に位置する猛者ともなれば。
 そして、その猛者が仮面ライダーという便利な〝鎧〟を身につけ、ギギストによる強化を賜ったともなれば。


 ────その一撃は、空間すら断つ。


「かかって来いよ、正義の味方」

 戦慄を抱く間もない。
 後方支援をイドラに任せ、キリトとアルカイザーが疾走する。
 大魔導士の肉体強化魔法を受けた二人は加速度を味方につけて、漆黒の剣士へ肉薄する。

「アルカイザー! 合わせろ!」
「ああッ! スパークリングロールッ!!」

 キリトは二刀による横薙を、アルカイザーは両拳によるコンビネーションを叩き込む。
 確かな手応えと共に、鋭い火花が散った。
 しかし、仮面に隠れた二人の顔は苦悶に歪む。

「なるほどな」

 それもそのはず。
 計四つの挟撃を受けても尚、闇の戦士は微動だにしていないのだから。

「なっ…………!?」
「アンタらの戦い方はある程度分かった」

 だいぼうぎょ。
 ターンを犠牲に、如何なるダメージであろうと露ほどにまで抑える特技。
 タイミングを外せば産廃と化すこの技を、やみのせんしはたった二度目の使用でモノにした。

(こいつ、物理攻撃じゃ効果が薄いのか……!?)

 この絶対的な防御力を初見で味わった二人の心境は、言うまでもない。
 本来の防御力を知らぬキリトとアルカイザーは、一瞬の動揺と次の一手への迷いが生じる。
 ゆえに、比較的離れた場所で冷静さを維持していたイドラだけが魔力の奔流を捉えた。

「ダメ! 二人とも離れ────」
「レミーラ」

 輝きが世界を喰らう。
 体勢を整える暇もなく、至近距離でその絶光を浴びたキリトたちは呻きを上げて仰け反る。
 辛うじてそれから逃れたイドラは、彼らへの追撃を妨害すべく口早に詠唱を始めた。

「凍て刺せ、氷精の────」

 疾風が吹く。
 冷たい感触がイドラの腹部を貫く。
 詠唱が中断され、息継ぎすら上手くいかない。
 視線を下げてみれば、破壊の剣が華奢な腹を突き破っていた。

「ぇ、…………ぁ、え?」
「悪いな、最初に狙うのはアンタって決めてたんだ」

 冷徹な死刑宣告と共に、剣が引き抜かれる。
 血液を塞き止めるものがなくなり、とめどなく溢れる命の雫がイドラの意識を白濁に染めあげてゆく。
 無防備なキリトとアルカイザーへ追撃が向けられる、と。
 そう思い込んだ一瞬が、イドラに致命の隙を与えた。

 しっぷうづき──それは、必ず先手を奪う因果逆転の剣。
 速度と引き換えに威力を犠牲にしたその技も、数多の強化を受けた彼が放てば、生身の〝大魔導士〟に致命傷を与える程度造作もない。
 一番厄介な支援役を先に潰す。彼の世界においての鉄則だった。

 声を上げる間もなく倒れ伏すイドラに目も向けず、警戒の意識は先程自身がいた位置へ。
 すなわち、彼の視線はキリトとアルカイザーへと向けられた。

「てっ、んめぇぇぇぇええええええええッ!!」
「っ……待て! アルカイザー!」

 ようやく光に慣れた目が捉えたのは、血溜まりに沈むイドラの身体。
 激昂するアルカイザーはキリトの制止を振り払い、単独でやみのせんしを討たんと飛躍する。
 連携など取れるはずもない無謀な突撃。
 焦燥に駆られるキリトは咄嗟に併走するも、翼を生やしたアルカイザーには追いつけない。

「真──アル・フェニックスッ!!!!」

 黄金の輝きを纏い、弾道ミサイルの如く迫る不死鳥。
 令呪を消費し、ノワルへと放ったものと同等の必殺技。
 直撃すればだいぼうぎょでも耐えれるか危ういそれを前に、やみのせんしは即座に片手を向けて。

「ラリホー」

 一言、呪文を放つ。
 たったそれだけで、アルカイザーの意識は途絶えた。

 キリトは驚愕する。
 たった三手、時間にして十数秒。
 この男は、的確な選択肢によって人数差を覆してみせた。

 圧倒的な火力に物を言わせるリボンズのような戦い方とは違う。
 己の手札と戦略を駆使して優位を取るこの男は、ある種もっとも強敵と言える。

「あいにく、三人相手に馬鹿正直に付き合ってやれるほどお人好しじゃないんでな」

 やみのせんしの技は所詮は初見殺し。
 しかし、キリトはその初見殺しが〝いくつ〟あるのか分からない。
 接近すれば目眩し、大技を繰り出せば催眠。
 肉弾戦を仕掛ければ勝てるかと問われればキリトはそいつを指差しで笑うだろう。

「一対一なら敵じゃないっていうのか!?」

 しかし、退く理由にはならない。
 デュエルガンダムの機動力をフルに活かし、ミサイルポッドの牽制を挟みながら肉薄。
 掌から迸る電熱、ギラがその尽くを撃ち落とし爆煙が両者の間を覆う。
 邪魔な目隠しを同時に切り払い、四つの剣が交差した。

 破壊の剣、黒嵐剣漆黒。
 シャドーセイバー、ビームサーベル。

 質として劣るものは一つも存在しない。
 しかし、競り負けたやみのせんしの胸甲に二筋の火花が散った。

「へぇ」

 ぽつりと声を漏らし、キリトへの認識を改める。
 やみのせんしは彼の事を二刀流の使い手と分析していたが、大きな間違いだった。
 使い手、どころではなく熟練の戦士。
 二刀流の技量に関してキリトは、〝まだ〟雲の上の存在と言っていい。

「このまま、押し切る……っ!」
「ハッ、やってみな!」

 ならば当然、同じ土俵で戦うなど愚の骨頂。
 即座に聖剣を鞘に収め、破壊の剣を両手に握る。
 手数で攻めるキリトに対し、やみのせんしは一撃に力を注ぐ。
 機動力で勝るキリトが優位に見えるが、その実追い詰められているのは二刀の担い手であった。

(くそ、長期戦は不利だ……!)

 戦いを長引かせればイドラの命が危うい。
 加えて疲弊とダメージの度合いはキリトが上、先にスタミナが尽きるのはどちらか言うまでもない。
 早く決めなければという焦燥がキリトの腕を鈍らせ、卓越した攻撃を直情的に劣らせる。

 右のシャドーセイバーを唐竹に振り下ろし、漆の刀身に防がれる。
 しかしそちらはブラフ。痺れの残る右手から長剣を手放し、左手のビームサーベルを両手に持ち替える。
 そのまま全身をバネのようにしならせ、軸足に摩擦が走るほどの勢いで胴への回転斬り。
 だいぼうぎょをさせる暇もない一撃がデザストの装甲に突き刺さる寸前、ドスの効いた声を聞いた。

「お疲れのところ悪ィが」
「…………は、……」

 ガギリ、と歪な音が鳴る。
 見ればキリトが放った渾身の刃は、金属じみた右肘と右膝によって挟み取られていた。
 冷や汗が伝う。左手に持ち替えられていた破壊の剣が、牙の如くキリトの首筋へと迫る。

「パワーが足んねぇよ」

 衛藤可奈美と比べれば、疲弊したキリトの剣は比べるまでもない。
 シビトとなった衛藤可奈美と対峙したことが、この勝敗を決めたと言っても過言ではないだろう。
 迫る死神の鎌に首を捻って抵抗を試みるが、とても逃れられず────

「────シャイニングキック!!!!」

 と、赤紫の鎧を黄金の蹴りが射抜いた。
 吹き飛びながら受け身を取るやみのせんしへ、目覚めたアルカイザーが追撃を仕掛ける。
 礼を告げるよりも早く構え直したキリトもまたそれに続こうとするも、灼熱の大蛇が彼の進行を止めた。

「ベギラマ」
「ちぃ……っ!」

 砲撃じみたアルカイザーの徒手空拳を剣身で受け止め、左手でキリトへ呪文を。
 回避に専念する二刀の剣士は援護すら出来ず、アルカイザーとやみのせんしの一対一の状況が作られる。
 空手と長剣ではリーチの差があまりにも大きい。
 後退したアルカイザーは光の剣、レイブレードを生成して一刀同士の鍔迫り合いを挑んだ。

「カイザースマッシュ!!」
「はやぶさぎり!」

 残光描く必殺の一撃を、双竜の爪が迎え撃つ。
 初撃は拮抗、威力の殺されたレイブレードへ間髪入れず二発目が叩き込まれる。
 剣だけは離すまいと指に力を込めていた分、得物ごと大きく体勢を崩された。
 来るべき衝撃へ備えるアルカイザーだが、予想に反してやみのせんしは追撃を中断して片手を掲げる。

「バイキルト」

 橙色の粒子が戦士の体を包み込む。
 その意図を汲むよりも早く、アルカイザーは再度闇を切り払う一撃を放とうと右足に重心を移した。

「カイザースマッシュ!!」
「ッ、らぁっ!!」

 必殺技の連撃に身体が悲鳴を上げる。
 痛みと疲弊を無視して振るわれたそれは、先にみせた光景の焼き直しのように。
 けれど違う点があるとすれば、やみのせんしから振るわれた斬撃は〝一つ〟だということ。

「な、」

 けれど、

「んだ、……と…………」

 そのたった一振りは、

「が、…………っ、は……!」

 光の剣を叩き折り、アルカイザーの装甲をぶち破った。

「アルカイザぁぁぁああッ!!」

 よろりと崩れ落ちる不死鳥。
 ベギラマの追走を振り払い、ようやく支援に駆け付けたキリトはブーストを駆使して疾走。
 かつてであれば対処が追い付いていなかったであろう閃光じみた早業。
 レベルアップを遂げたやみのせんしの肉体は、それを容易に受け止める。
 かち合う剣戟が周囲の瓦礫を浮遊させ、礫が発電所の壁にめり込んだ。

「ぐ、ぅ…………ッ!」

 二刀を以てしても競り合える時間は一秒ほど。
 余力の全てを振り絞るつもりで、キリトは機体纏う四肢に無理を言わせる。
 千切れんばかりの激痛に歯を食いしばりながら、刀身を滑らせる形で捌き必殺の構えを取る。

「スターバースト──」
「いなずま──」

 対するやみのせんしもまた、閃熱の魔法剣で応える。
 ベギラマを宿した黒剣はただでさえ恐慌に値する破壊力に、暗澹たる絶望をもたらした。

「────ストリームッ!」
「────斬りッ!」

 稲妻の斬撃へ三連撃を叩き込み、ベクトルを僅かに逸らす。
 体勢を崩したデザストの胸へ二連撃。
 対称的な線を走らせよろける彼へ、右の長剣を逆手に持ち替えて左脇を狙う。
 金属の反響音、破壊の剣の柄がそれを受け止める。
 ならばと左手のビームサーベルを右肩へと振るい守りを崩さんとするが、弧を描くような防御で弾かれる。

「はあぁぁぁぁッッ!!」

 続く蒼光の八連撃──息をつく暇もない超速攻、スターバーストストリーム。
 ターンを無視した計十六発の一方的な斬嵐を、雷を纏う一本の剣が凌ぐ。
 その技は、彼の相対した衛藤可奈美が使用した鉄壁の剣技────〝凪〟の模倣。
 しかし所詮は真似事、捌き切れない斬撃がデザストの鎧に細かな傷を与えてゆく。
 蒼い剣と橙の剣が色鮮やかなコントラストを生み出し、ある種幻想的な命のやり取りを繰り広げる両者。

 フィニッシュの十六発目を叩き込む寸前、異変が訪れる。
 エネルギーを切らしたビームサーベルが出力を落とし、破壊の剣によって弾き飛ばされた。
 残されたシャドーセイバーに力を込めるも、一刀の領域でこの男に敵うなど絵空事。

「っ、あ゛……!?」
「ありがとよ、二刀流の剣士」

 文字通り、稲妻の如き斬り上げがキリトの剣を弾き飛ばす。
 続く天からの落雷を思わせる一太刀が、デュエルガンダムの装甲を深く抉り取った。



「おかげで俺は、まだまだ強くなれそうだ」


 断末魔を上げる間もなく、限界を迎えたキリトは変身解除へと追い詰められる。
 度重なる疲労とダメージにより意識を刈り取られ、力なく膝から崩れ落ちた。
 やみのせんしもまた大きく息を吐き、回復呪文(ベホイミ)を己に掛ける。

「……さすがに、ちょいと疲れたな」

 消耗していたとはいえ三対一の多人数戦。
 この戦士は、終始人数差を活かさせなかった。
 彼が元の世界において一対一を繰り広げてきたのは、なにも魔物がご丁寧に決闘を挑んできてくれたからではない。
 多数で掛かってくる魔物を、その技量をもって一対一へ持ち込んでいるのだ。

 今回の戦いもそう。
 三対一ではなく、一対一を三回繰り返しただけ。
 素の戦闘能力では個人を大きく上回るやみのせんしが勝利を収めたのは、決して奇跡や偶然ではない。

 倒れ伏すキリトへトドメを刺さんと剣を振り上げる。
 瞬間、デザストの複眼がゆらりと揺れ動くなにかを捉えた。

「…………あ?」

 汚れた魔女帽子をそのままに、立ち上がる大魔導士── イドラ・アーヴォルン。
 虚ろな瞳はしかし死人のそれではなく、強き決意を以てしてやみのせんしを射抜く。

「ご苦労なこった、寝てた方がずっと楽だってのによ」

 しかし勇ましい睥睨とは裏腹に、イドラの身体は今にも倒れそうなほど危うい。
 臓器をやられているのか、詠唱どころか呼吸をすることさえままならない。
 ゆえにやみのせんしは〝それ〟を脅威とは認めず、意識は再び眼下のキリトへと向けた。

 それはすなわち。
 やみのせんしが与えた、一ターンの猶予。
 与えられた微かな時間は、イドラにとっては途方もなく永く感じた。


◾︎


 ああ、と思う。
 苦しい、と思う。

 地獄のような熱と痛みが腹部を蝕む。
 死が刻一刻と近づいてきているのを、ありありと感じる。
 霞む視界が辛うじて捉えたのは、黒衣の剣士に剣を振りかざす悪魔の姿。

 その光景がひどく他人事のように見えた。
 なぜ立ち上がってしまったのかは、自分でも分からない。
 今の私が出来ることなどなにもないはずなのに、靭帯が切れるような激痛に耐えてでも起き上がってしまった。

 唱えられる魔法はたったの一度。
 それも、迫り上がる血の塊が邪魔するせいで普段の詠唱よりもずっと拙いだろう。

 この残された一手。
 どの魔法を唱えるべきか、考える。

 ────回復魔法。
 これを自分に唱えれば、命だけは助かるかもしらない。
 あいつの意識がキリトへと向いている今、私は単独では脅威とすら見られていないのだろう。
 奴がキリトやアルカイザーに意識を向けている間、場を離れることも可能なはずだ。
 そうすれば少なくとも、私だけは助かる。

 そうだ。
 死んでしまっては、意味がない。

 アリサの死体を見た。
 ああはなりたくないと、心から思った。
 どんなに綺麗事を抜かしたって、自分の命が惜しいのが人間だ。

 異世界人の思考は分からない。
 他人のために命を投げ打って、満足気に散っていく。
 私は、遺された者の気持ちを考えないその蛮行が嫌いだった。

 だから、私は自分だけでも生き残る。
 キリトやアルカイザーには悪いけど、私が何をしたところで勝てないから。
 だったら、一人でも多く生き残ろうとするのが賢い生き方でしょう?

 回復魔法を唱えようと精霊を宿す。
 そんな私の脳裏を、赤髪の男が掠めた。


 ────ああ、そうね。


 確かに、私の選択は間違ってない。
 殺し合いにおいて生き残ろうとする意思は、賢いといえるはずだ。
 他人のために死に急ぐなんて、それこそルールも理解していないような馬鹿のやること。

 けれど、私はそんな〝馬鹿〟に惚れた。
 理屈や採算じゃなく他人の為に全力を尽くす姿を、かっこいいと思った。

 だったら、私も。
 そんな〝馬鹿〟になっても、いいのかもしれない。


◾︎


「曇天、……こが…………す……」

 びたり、と。
 執行人の鎌が動きを止める。
 視線は罪人(キリト)から傍聴人(イドラ)へ。
 身を灼くような魔力の奔流を感じ取り、やみのせんしは大魔導士へと向き合う。

「えんせ、い……の…………てっ、け……ん…………」

 酷く無防備で、酷く緩慢な詠唱。
 その気になれば一足飛びで詰められる距離。
 しかしやみのせんしは剣を下ろし、黙ってそれを見届ける。
 今は、イドラの〝ターン〟だから。


「────イフリート・ブロウ!!」


 炎熱の巨拳が飛来する。
 最期の輝きか、大魔導士の生涯最大の魔法。
 迫り来る眩光を前に、堕ちた勇者は回避でもだいぼうぎょでもなく。
 無抵抗で、それを受け入れた。

 膨大な熱がデザストを包み込む。
 爆発が彼を呑みこみ、影さえも喰らう。
 やがて爆煙が晴れた頃、所々に焼け跡を残した戦士の姿が顕となった。

「そうかい」

 黒煙を上げる戦士。
 そのダメージは、決して無視できるものでない。
 赤い複眼がイドラを捉える。
 発せられる殺気はもはや、死人に向けられるそれではなかった。

「俺はアンタを〝敵〟と認める」

 黒い風が吹く。
 断頭の役目を与えられたギロチンが首を断つ寸前、イドラはどこかやり切ったような微笑みを浮かべていた。


◾︎


「…………は、ぁ……」

 イドラの遺体を前に、やみのせんしは深く息を吐く。
 彼女が放った〝意地〟は、強靭なデザストの鎧を貫通し想定以上のダメージをもたらした。
 その炎熱の凄まじさたるや、己のベギラマをも凌ぐであろう。

 今まで、ベギラマ以上の呪文など必要としなかった。
 彼の放つ中級呪文は、波の魔法使いが生涯をかけて習得する上級呪文を凌駕していたから。
 けれどイドラが見せた魔法は、それをも過去のものだと知らしめた。
 対抗するには、中級呪文(ベギラマ)では足りない。
 更なる強敵と戦うには、それ以上の呪文を────


 やみのせんしが慄くのも当然と言える。
 イドラの放った一撃は、令呪を上乗せしたものなのだから。
 アーヴォルン家の才覚と魔力を限界以上に引き出し、元勇者をも脅かす大魔法へ進化させた。
 これが如何に偉大なることなのか、イドラはきっと知らぬであろう。

 偉業だとか功績だとか、そんな些末なこと今となっては意味を成さない。
 イドラという大魔道士は他者の為に命を尽くした────たったこれだけのシンプルな理由なのだから。

「名前、聞きそびれちまったな」

 そんなイドラの遺志を汲んだのか。
 やみのせんしは気絶するキリトへ凶手を加えず、背を向け立ち去らんとする。

 と、その足は張り付いたように停止。
 返り血に濡れた仮面は、息も絶え絶えの不死鳥を映し出した。

「…………アンタも、か」

 ────英雄(ヒーロー)、アルカイザー。

 黄金の輝き纏いて、希望を翳す篝火。
 不滅の焔を背に生やし、命の尊さを説く善性の象徴。
 真っ直ぐに立ち上がり、闇と対峙するヒーローは静かに口を開いた。

「イドラ、は…………どうした」
「…………そうか、あの魔女はイドラって名前なのか」

 強敵だった、と。
 返した言葉はそれだけ。
 ただそれだけの短いやり取りで、アルカイザーは怒りの炎を燃やす。

「ゆる、さねぇ…………!!」
「はッ、ならどうするってんだ」

 ああ、けれど。
 無情にも身体は付いてきてくれない。
 前身することさえ、両足に纏わりつく鉛の如き枷が許さない。
 拳を振るうことも、剣を抜くことも。
 巨悪を前にして叶わぬなど、ヒーローと呼べるものか。

「────……俺、は…………」

 この正義の心はなんのためにある。
 アルカイザーの力を与えられたあの日、心に決めたはずだ。

 自己犠牲について、よく考えた。
 誰かに命を託すというのは、呪いに近い。
 遺された者は先立った者の意志を果たさんと、生涯に傷跡を残すこととなる。

 そんな生き方は望んでいない。
 けれど、死んで欲しくなんかないから。
 深い迷路のようなジレンマの中で、レッドは答えを出せなかった。

「悪いな…………キリト、デク…………」

 そうして答えを出せぬまま、ここまで来た。
 なにが正しいのかとか、どうすれば誰も悲しまずに済むのかとか。
 そんな思考を幾ら重ねても、根底の考えは覆らない。

「やっぱりさ……俺には、これしか思い浮かばねぇや」

 ────ヒーローとは、人を救う者。

 アルカイザーの基底を織り成す心模様。
 小此木烈人というただの青年が、人々を導くヒーローへと成った導火線。
 これを否定することは、どうしても出来なかった。

「…………なにをするつもりだ?」

 やみのせんしの問いは空を切る。
 砕けた手甲の隙間から覗く赤い紋様が、渇きを満たすかのように赫々と煌めく。
 アルカイザーは残り一画の令呪を用いて、文字通りの不死鳥と化した。

 天高く昇る黄金の鳥。
 生命の源たる蛍火が、消滅を始めるアルカイザーへと引き寄せられる。
 戦場ということさえ忘れ、見入るほど美しく、力強い〝神秘〟がそこにあった。




「────ファイナルクルセイド」




 瞬間、輝きが爆ぜる。
 暴力的な爆発ではなく、花火のような華々しさを伴う光の清流。
 透き通るような白光の粒が霧雨のように発電所に降り注いだ。

「なん、だ……こりゃ…………」

 それを闇の戦士が触れようとしても。
 まるで拒むかのように踊り避け、彼だけが不死鳥の恩恵を受け入れられない。

 ならばこの光はなんのために。
 ちらりと視線を後方へとやれば、その謎が解けた。

 満身創痍であったキリトの肉体は健康的な血色を取り戻し、夥しいほどの傷は時間を戻したかのように消え失せて。
 イドラの遺体も腹部に空いた風穴が塞がり、まるで死化粧を施したかのように綺麗な身体を取り戻した。
 傍へ添えられた首が繋がることはなかったが、せめてもの供養としては十二分だろう。

「…………なるほどな。アンタもイドラも、ヒーローの器だったってわけだ」

 無数の粒子となり消滅するアルカイザーの姿を見て、ようやく理解した。
 彼が命を賭して放った最期の輝きは、相手を討つためのものではない。
 他者を、仲間を救うための優しい技だったのだ。


 ────殺し合い。


 頭の中で、羂索の言葉が反響する。
 生き残るためには他者の命を奪う、というルールが参加者に与えられた道筋。
 その道理を、アルカイザーとイドラは真っ向から背いてみせた。

 本当の自由とは。
 本当の意志とは。
 本当の自我とは。

 ────彼らのようなことを言うのではないか。

「なんて、な」

 一瞬抱いたそれを、剣と共に振り払う。

「てめぇが今更、そんな道歩くんじゃねぇよ」

 自ら手放した勇者(ヒーロー)の矜恃。
 今更になってそれに焦がれるなど、外道も外道。
 殺戮を尽くした末に主催をも殺し、本当の自由を手に入れる。
 他ならぬ、確立された自分自身の意思で。
 それこそが、堕ちた勇者の生きる道。

 経験は積んだ、学びは大きい。
 特にベギラマ以上の魔法がある事と、連携を潰す戦略を得た事実は変え難い。

 万全なキリトは直に目を覚ますだろう。
 トドメを刺すことは容易だが、どうしてもそれをする気にはなれなかった。
 無抵抗の人間を斃したところで経験値にならないだとか、どうせ生き残れやしないだとか。
 理由をつけて彼を見逃そうとする自分を、見て見ぬふりをする。

 そうして発電所を後にしようと踏み出して。


「────ワン・フォー・オール、100%……」


 大地が震える。
 空気が泣き叫び、本能が危機を訴える。
 浮き立つ瓦礫の数々が、尋常ならざる気配の訪れを予感させる。

 咄嗟にだいぼうぎょを展開。
 如何なる衝撃が来ようと、ノーダメージへ抑え込む絶対の防御。
 同時に、緑色の残像が目にも止まらぬ速度で〝闇〟の元へと飛び込んだ。




「────デトロイトスマァァァァァァッシュ!!!!」




 雲をも穿つ拳が、デザストの胸へ突き刺さる。
 核弾頭じみた爆撃はだいぼうぎょの鉄壁を持ってしても殺し切れず、数メートル後ずさらせた。
 風圧が大地を捲りあげ、破壊の痕跡をより凄惨なものへと作り替える。
 崩れた地面にギリギリと二条の溝を残し、ようやく止まった漆黒の闇。

 デザストの赤い瞳が翠風の正体を映す。
 ヒーロースーツを身に纏い、ファイティングポーズを取る希望の後継者。

 緑谷出久が、そこにいた。

「お前、は…………」

 デクは未だ、激痛に苛まれ意識を失っていた。
 しかし突如、柔らかな光が身体を包み込んだかと思えば────彼の肉体から痛みを取り去ったのだ。
 それこそが不死鳥の遺した輝き。
 ファイナルクルセイドの対象は、アルカイザーが味方と判別した者。
 それは当然、戦線から離脱していた緑谷出久も含まれる。

「答えろ……!」

 強く、強く。
 握られた拳に呼応し、絞り出された低声。
 辺りに広がる惨状がデクへと現実を突きつける。
 首を失ったイドラの遺体と、支給品を遺し消滅したアルカイザー。
 そして力なく倒れ伏すキリトを見て、デクの心に怒りの火が注がれた。


「みんなに、なにをした……っ!!」


 身を叩くような凄まじい威圧感。
 はち切れんばかりの哀しみと憤りが彼に潜む〝鬼〟を顕現させる。
 悪を許さぬ断罪の拳が、目の前の敵を討てと轟き震える。

「殺してやったよ」

 その一言が、デクを駆動させる。
 発勁を駆使し、スポーツカー顔負けの速度で肉薄。
 肉体への負担など顧みず、延髄へと回し蹴りを放つもそれは破壊の剣で受け止められる。
 制限下、エナジーアイテムの強化が無いという条件を鑑みてもデクの蹴りを凌ぐ身体能力と反射神経は驚異の一言。
 もう片方の足で追撃を加えんとするデクを一振りで引き剥がし、四歩分の距離を取る。

「次は俺の質問に答えろ。……お前、デクだろ?」
「どうして僕の名前を……いや、そんなことはどうでもいい…………!」

 もはや些末な動揺は彼を止めるに至らない。
 ギギストとの情報交換で得たデクの特徴と一致したことから言い当てたやみのせんし。
 戦闘続行の兆しは、彼の次なる一言に遮られる。

「ステインは俺が殺した」
「っ…………!?」

 やみのせんし自身、それを告げたのは半ば無意識下によるものだった。
 けれど目の前の〝敵〟には、それを知らせなければならないと思ったから。
 オールマイトを除き、ステインが唯一認めた〝本物〟を前にして。
 ヒーロー殺しを殺したものとして、対峙しなければならないと確信したから。

「お前は、一体……っ!」

 対峙する正義の味方は。
 かつて己を苦しめ、この地においても脅威となるであろうステインを斃した無名の敵(ヴィラン)へ。
 言葉では救えぬと理解しながらも、喉を枯らす。

「一体、何者なんだッ!」

 それを聞いて、悪の権化は。
 たしかに、と思う。
 自分が何者かと問われて、初めてそれを考える。

 アレフという名は、勇者だけが名乗ることを許される。
 勇ましき父が、心優しき母が。民を救える者になりますようにと付けてくれた名だから。
 それを担うのは、もう一人の自分だけでいい。

 勇者でもなく、英雄でもなく。
 過去をリセットした、一介の戦士。
 光を拒み拒まれ、闇を歩む無名の素姓(オリジン)。

 それに、名を付けるのであれば。


「────やみのせんし、ってとこかな」


 さぁ、始めよう。
 矜恃と自我の衝突を。
 互いの正しさのぶつけ合いを。
 正義だ悪だなんて綺麗な言葉で着飾って、やることは結局相手を下す戦い。

 それでいい。
 酷くありふれた活劇でいい。
 鼻で嘲笑ってしまうようなヒーローショーは、下手な語らいの万倍も意味を持つのだから。


 時刻は午前11時10分。
 放送まで残りわずか。

 遺された者が行き着く先は、果たして。






【イドラ・アーヴォルン@戦隊レッド 異世界で冒険者になる 死亡】
【レッド@SaGa Frontier(サガフロンティア) 消滅】






【エリアE-8/発電所/9月2日午前11時10分】
【やみのせんし@ドラゴンクエスト】
状態:ダメージ(中)、疲労(中)、MP消費(大)、『忍者』『刀使』に興味(小)、決意、デザストに変身中
服装:邪樹右龍の忍装束姿(覆面+マント)
装備:はかいの剣@ドラゴンクエストIII、邪樹右龍の忍装束@忍者と極道
令呪:残り三画
道具:黒嵐剣漆黒&骸骨忍者伝&聖剣ソードライバー@仮面ライダーアウトサイダーズ、ジャッ君と土豆の木@仮面ライダーセイバー、ピーターファンタジスタ@仮面ライダーセイバー、ジョーカーのラウズカード@仮面ライダー剣
思考
基本:殺し合いに乗る。他ならぬ自分自身の意思で。
0:デクに勝つ。
1:二度と迷わない。方針は変わらない。だが使えるものは使い、ギギストの云うエターナルや魔王グリオン、ルルーシュのような、俺の掲げた『自由』を奪う力を持つ連中相手なら──
2:過去との決別を証明するため、アスラン・ザラは次会った時に殺す。そしていずれはギギストも。
3:蛇喰病院を目指し、拠点に構える。
4:もう一人の俺(アレフ)についてはどうするか。
5:忍者?聞いたことの無い名前だが、恐らく強い者なのだろうな。
6:エトウカナミ……だったか。次にあのシビトやクロガネスパナ、ついでにあのドラゴン(ジゴワット)、それにキラ・ヤマトとやらを見つけたらその時は終わらせてやる。
7:俺自身の自由の為に、願いを叶えた後主催者共も殺す。特にケンジャクは。
8:ライダーの力については過信しない。不覚を取るのはゴメンだ。
参戦時期:竜王の誘いに乗った後
※レベルアップにより全ステータスが向上しました。
※冥黒王ギギストにより力を付与され更に全ステータスが向上しています。
※シビトと化した衛藤可奈美の剣術を一通り視ました。再現可能かは後続にお任せします。
※数々の戦闘を経て以下の特技、呪文を習得しました。
  • しっぷうづき、はやぶさ斬り、いなずま斬り、だいぼうぎょ
  • バイキルト

【緑谷出久@僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ユアネクスト】
状態:健康、決意
服装:デクのヒーロースーツ@僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ユアネクスト
装備:同上
令呪:残り三画
道具:デクのランダムアイテム×1~2、ホットライン、将来の為のヒーロー分析ノート(現地調達)、筆記用具(現地調達)、軽井沢恵のランダム支給品×1、失効状態のレジェンドライダーケミーカード(ゼロワン、電王)、裁断済みのゼインカード(ストロンガー、アバドン)
思考
基本:羂索らこのゲームを仕掛けた一味を逮捕する。
0:闇の戦士を倒す。
1:成見さん、イドラさん、アルカイザー……。
2:キリトと行動する。切島君やキリトやイドラさんの仲間との合流を目指す。
3:イドラさんたちから得られた情報も元に考察を進めたい。
4:ギギストやステイン、ダークマイト、グリオンに翼竜のヴィラン(冥黒ノノミ)、そしてノワル達は要警戒
参戦時期:映画終了直後
備考
※“ワン・フォー・オール”は制限されているがエナジーアイテムや“発頸”を活用すれば瞬間最大威力でなら100%を発揮できるようです。
ただ500%ともなると相応の『反動』を受けてしまいます。

【キリト@ソードアート・オンライン】
状態:気絶、ALOアバター、疲労(大)
服装:いつもの服装
装備:シャドーセイバー(長)@仮面ライダーBKACK RX、デュエルガンダム(核動力型)の起動鍵@機動戦士ガンダムSEED FREEDOM
令呪:残り三画
道具:ホットライン、シャドーセイバー(短)@仮面ライダーBKACK RX
思考
基本:このゲームを攻略する。
0:────。
1:態々俺に一対の剣を支給するってことは、間違いなく羂索の言ってた茅場は茅場晶彦だろう。今回で完全に決着をつけてやる。
2:デクたちと共にクルーゼや羂索、仮面ライダーを知る者たちを探す。
3:アスナたちやデクたちの仲間、ガッチャードなどの協力できそうな者を探す。
4:PoHやギギストにダークマイトだけでも厄介なのにグリオンにノワルにアルジュナ・オルタ……休む暇なしかもな。
5:ごめん、間に合わなかった……。
6:この短剣、もう投げるのはやめとこう。
  なんか毎回敵に拾われる。
参戦時期:少なくともマザーズロザリオ編終了後
備考
※アバターはALOの物です。



074:散華 投下順 076:戦隊グリーンと闇落ちブラック
071:空と虚④ ナラティブ 時系列順 084:キラ・ヤマト:リコレクション
069:確立したモノ、揺らぐモノ、変わらぬモノ やみのせんし 090:戦隊レッドと絆の力
057:C♯0 キリト
緑谷出久
イドラ・アーヴォルン GAME OVER
レッド GAME OVER

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