「見殺し、だと……?俺が?シャーリーを?」
ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアは2代目ゼロであったシャーリー・フェネットをマーダーであるやみのせんしによって殺された。
なればこそルルーシュは怒りと憎しみによる制裁をやみのせんしに食らわせ、抵抗も許さず葬り去った。
ここから先は彼女の死を背負って鉄華兵団の生き残りを王様戦隊へと吸収し、正しい方向へと導いてやらなければならない。
それこそがルルーシュが認識する、あるいは認識したいと願った真実であり、描いた未来図だ。
その描いた未来図を、またしても邪魔をしにきたトランクスという不届き者が無遠慮にぶち抜こうとしている。
なればこそルルーシュは怒りと憎しみによる制裁をやみのせんしに食らわせ、抵抗も許さず葬り去った。
ここから先は彼女の死を背負って鉄華兵団の生き残りを王様戦隊へと吸収し、正しい方向へと導いてやらなければならない。
それこそがルルーシュが認識する、あるいは認識したいと願った真実であり、描いた未来図だ。
その描いた未来図を、またしても邪魔をしにきたトランクスという不届き者が無遠慮にぶち抜こうとしている。
「先に言っておくが俺はお前がシャーリーを見殺しにしたかどうかなんてことを聞いているんじゃない。
お前が彼女を見殺しにしたことは話を聞いただけでも間違いのない事実だとわかった。俺が聞いているのはその理由だ」
お前が彼女を見殺しにしたことは話を聞いただけでも間違いのない事実だとわかった。俺が聞いているのはその理由だ」
「ふ、ふざけるな……!お前如きが真実を語ることなど決してあるものか!
俺は彼女がゼロだったと知って、呆然として、その隙をやみのせんしに突かれそうになって……彼女は、そんな俺を庇って奴に斬られたんだ!俺にはどうすることもできなかった!!」
俺は彼女がゼロだったと知って、呆然として、その隙をやみのせんしに突かれそうになって……彼女は、そんな俺を庇って奴に斬られたんだ!俺にはどうすることもできなかった!!」
先ほど起きた物語(ストーリー)を繰り返し、叫ぶ。
そうすることこそがトランクスの糾弾を消し去るただ一つの方法だと信じて。
けれどもそのような願望はあっさりと打ち砕かれる。
そうすることこそがトランクスの糾弾を消し去るただ一つの方法だと信じて。
けれどもそのような願望はあっさりと打ち砕かれる。
「お前にしてはずいぶんと下手くそな嘘だな。そこまで白を切るなら言ってやる。
何故ノワルの魔法をシャーリーに使わなかった?四凶の一人に数えられるような魔法の使い手なら回復の技の一つや二つ、持ってないわけがないだろう。
今さっき俺自身が食らってみてわかったが、お前が使う闇檻はノワル本人のそれよりも強力だった。なら回復の力だってノワル以上のはず。普通の人間の致命傷の一つ、治せる可能性は十分あっただろう。
一度闇檻を鉄華兵団に奪われかけたなどと言っていたが、シャーリーが死ぬ時点ではもう取り返していたんだろう?なら状況的に使えなかったということはなかったはずだ」
何故ノワルの魔法をシャーリーに使わなかった?四凶の一人に数えられるような魔法の使い手なら回復の技の一つや二つ、持ってないわけがないだろう。
今さっき俺自身が食らってみてわかったが、お前が使う闇檻はノワル本人のそれよりも強力だった。なら回復の力だってノワル以上のはず。普通の人間の致命傷の一つ、治せる可能性は十分あっただろう。
一度闇檻を鉄華兵団に奪われかけたなどと言っていたが、シャーリーが死ぬ時点ではもう取り返していたんだろう?なら状況的に使えなかったということはなかったはずだ」
「ぐっ……!いや、しかし……!あれは誰にとっても想定し得ない咄嗟の事態で……!」
「咄嗟の状況だからこそあらゆる手段を使って彼女を生かそうとしなかったことがおかしいと言っているんだ!
ノワルの魔法だけじゃない、お前にはギアスだってあった!それでやみのせんしに回復の魔法なりアイテムなりを使うよう命令するなり、あるいは彼女自身の生存力を無理にでも引き出すことだってできただろう!
だがお前はそのどれも実行しなかった。報復でやみのせんしを縊り殺すほど大切な存在だったと口で言う割には、彼女の命を繋ぐ、あるいは長らえさせる行動をただの一つも取らなかったんだ!」
ノワルの魔法だけじゃない、お前にはギアスだってあった!それでやみのせんしに回復の魔法なりアイテムなりを使うよう命令するなり、あるいは彼女自身の生存力を無理にでも引き出すことだってできただろう!
だがお前はそのどれも実行しなかった。報復でやみのせんしを縊り殺すほど大切な存在だったと口で言う割には、彼女の命を繋ぐ、あるいは長らえさせる行動をただの一つも取らなかったんだ!」
「!!!」
元の世界においてルルーシュはロロに致命傷を負わされたシャーリーにギアスを使い、延命を試みた。
結果としてその行為は実を結ばなかったが重要なことはそこではない。
超知能アークに出会う前の、元の世界のルルーシュは瀕死のシャーリーを救命しようと試み、アークと出会い知らずシャーリーと対立したルルーシュはそうしなかったということだ。
先ほどから口先で語るシャーリーという恋人に対する想いと実際の行動に極端なまでの乖離があるのだ。
結果としてその行為は実を結ばなかったが重要なことはそこではない。
超知能アークに出会う前の、元の世界のルルーシュは瀕死のシャーリーを救命しようと試み、アークと出会い知らずシャーリーと対立したルルーシュはそうしなかったということだ。
先ほどから口先で語るシャーリーという恋人に対する想いと実際の行動に極端なまでの乖離があるのだ。
王様戦隊に属する者、あるいはルルーシュを味方と認識する者ならルルーシュからシャーリーへの親愛を疑うことなどまずない。
トランクスと同じように話を聞くか、あるいは直接シャーリーの死の現場を見ていればきっと気が動転していて、あるいは急展開すぎてどうにもならなかったと考える。
何故ならこのハイペースで人が死に逝く環境下で、親しい知り合いが死に瀕し、その傷を癒す力を持ちながら意図して見殺しにするなんてことは身内には特段優しいルルーシュに限って有り得ないと思考するからだ。
しかしトランクスは違う。ルルーシュと対立し、常に疑ってかかっていた。ドゴルドや柊シノア、キャルやデクなどと出会い情報を交換する中で超知能アークに関する情報を得て、そして何より気を探る技能を有していた。
気の種類から善悪を感じ取ることができるトランクスだからこの線を疑うことができたのだ。
トランクスと同じように話を聞くか、あるいは直接シャーリーの死の現場を見ていればきっと気が動転していて、あるいは急展開すぎてどうにもならなかったと考える。
何故ならこのハイペースで人が死に逝く環境下で、親しい知り合いが死に瀕し、その傷を癒す力を持ちながら意図して見殺しにするなんてことは身内には特段優しいルルーシュに限って有り得ないと思考するからだ。
しかしトランクスは違う。ルルーシュと対立し、常に疑ってかかっていた。ドゴルドや柊シノア、キャルやデクなどと出会い情報を交換する中で超知能アークに関する情報を得て、そして何より気を探る技能を有していた。
気の種類から善悪を感じ取ることができるトランクスだからこの線を疑うことができたのだ。
「それにさっきからお前は彼女が築き上げた穏健派の鉄華兵団に対する侮辱を一向にやめようとしないじゃないか!
お前が松坂さとうや成見亜理紗、しおちゃんにしたこと、お前の行為の巻き添えで亡くなった人がいることを知っていたから彼女はお前を止めようとしたんじゃないのか!?こんな最前線に出てまで!
その事情をお前はもう知っているはずなのに、ほんの少しも彼女の想いを汲み取ろうともしない!鉄華兵団を侮辱し、利用し、吸い上げることしか考えていないだろう!!」
お前が松坂さとうや成見亜理紗、しおちゃんにしたこと、お前の行為の巻き添えで亡くなった人がいることを知っていたから彼女はお前を止めようとしたんじゃないのか!?こんな最前線に出てまで!
その事情をお前はもう知っているはずなのに、ほんの少しも彼女の想いを汲み取ろうともしない!鉄華兵団を侮辱し、利用し、吸い上げることしか考えていないだろう!!」
「他に方法があるのか…!?盤面もいよいよ佳境に入ろうという時に、急いで態勢を整えるには俺が先頭に立って王様戦隊と鉄華兵団残党を糾合するしか…!」
「話をすり替えるんじゃない!何故お前はシャーリーが死んだという事実だけを都合良く使って悲劇のヒーローを気取り、彼女の想いや築いたものにはほんの少しも情を向けないのか……今の俺にはわかる。
ルルーシュ、お前はアークが齎す悪意の力をコントロールしていると言っていたな。確かにそれは全くの嘘ではないんだろう。
だが、力の代償にお前自身ですら自覚していないうちに、お前の心は、善意はどんどん損なわれてより強い悪の心に染まろうとしているんだ!
その悪意はもう大切な人を簡単に切り捨てる域にまで達している!目を背けるな、お前は状況が悪くて何も出来なかったんじゃなく、自分の意思でシャーリーを切り捨て、見殺しにした!!」
ルルーシュ、お前はアークが齎す悪意の力をコントロールしていると言っていたな。確かにそれは全くの嘘ではないんだろう。
だが、力の代償にお前自身ですら自覚していないうちに、お前の心は、善意はどんどん損なわれてより強い悪の心に染まろうとしているんだ!
その悪意はもう大切な人を簡単に切り捨てる域にまで達している!目を背けるな、お前は状況が悪くて何も出来なかったんじゃなく、自分の意思でシャーリーを切り捨て、見殺しにした!!」
ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアという人間は身内と認めた者には甘く、敵には苛烈、そのどちらでもない者には冷淡に対応する。
故に死に逝く身内の者を救うことができなかったのではなく、自ら救わないことを選んだのだと糾弾されることは何にも勝る屈辱で耐えがたき侮辱であった。
故に死に逝く身内の者を救うことができなかったのではなく、自ら救わないことを選んだのだと糾弾されることは何にも勝る屈辱で耐えがたき侮辱であった。
「黙れ、下郎!それ以上口を開くな!」
荒れ狂うルルーシュの心に従うがごとく、トランクスを闇檻が、生成した数々の火器が襲う。
それら全てを剣で、あるいは気で吹き飛ばしながらトランクスは言葉を続ける。
それら全てを剣で、あるいは気で吹き飛ばしながらトランクスは言葉を続ける。
「いいや、黙らないぞ!アークが齎す悪意に身も心も浸し続けたお前は、いつしか身近な人間への情をも失っていったんだ!
もし残っていたとしても、ゼロという存在に抱いた敵意や憎しみの方が勝っている!簡単に見捨ててハイ次だと切り替えてしまえるほどに!
少なくともロロを看取った直後のお前はこんなにも悪辣じゃなかった!ロロに向けたものと同じだけの慈愛を、情を本当にシャーリーに向けていたと胸を張って言えるのか!?」
もし残っていたとしても、ゼロという存在に抱いた敵意や憎しみの方が勝っている!簡単に見捨ててハイ次だと切り替えてしまえるほどに!
少なくともロロを看取った直後のお前はこんなにも悪辣じゃなかった!ロロに向けたものと同じだけの慈愛を、情を本当にシャーリーに向けていたと胸を張って言えるのか!?」
「神戸しおなんてクソガキを連れ込んだお前如きがロロとシャーリーを語るな!!」
「お前こそ自分が犯した罪に向き合え、ルルーシュ!!」
ついに間合いを詰めたトランクスが振り下ろしたロトの剣をスパイトネガから生成、闇檻を纏わせ強化したザイアスラッシュライザーで受け止める。
本来なら力でトランクスに押されるところを、湧き上がる憎悪、負の心意が齎すブーストによって対等に持ち込む。
呪力とノロが使えればと歯噛みする。今のアークワンは鉄華兵団が使ったタイムふろしきによる策でアークゼロワンが潰えたために使っている間に合わせの変身だ。ハッキリと言って弱体化している。
スザクを殺した憎き真人の力ではあるが、奴の技が使えれば今頃トランクスを葬れてもおかしくはなかっただろうに。
本来なら力でトランクスに押されるところを、湧き上がる憎悪、負の心意が齎すブーストによって対等に持ち込む。
呪力とノロが使えればと歯噛みする。今のアークワンは鉄華兵団が使ったタイムふろしきによる策でアークゼロワンが潰えたために使っている間に合わせの変身だ。ハッキリと言って弱体化している。
スザクを殺した憎き真人の力ではあるが、奴の技が使えれば今頃トランクスを葬れてもおかしくはなかっただろうに。
「俺を忘れるなと言ったぁ!!」
《ヴァルバラブレイク!》
「ぐあっ!?」
この鍔迫り合いが起きる瞬間こそを狙っていたとばかりに仮面ライダーヴァルバラドの武装、ヴァルバラッシャーから撃たれたエネルギー弾がアークワンを捉えた。
装甲を抜かれることこそなかったが、動けない状況で横合いから撃ち込まれたことで吹き飛ばされることは免れない。
そこへ白い閃光が迸る。
装甲を抜かれることこそなかったが、動けない状況で横合いから撃ち込まれたことで吹き飛ばされることは免れない。
そこへ白い閃光が迸る。
《DYNAMITE BOOST!》
「手癖の悪い狐にご用心だ、皇帝坊ちゃん」
《GEATS Ⅸ》
閃光の正体は純白の狐こと仮面ライダーギーツⅨ。
アークワンが吹っ飛ばされた隙を狙って得意の超高速機動を以って支給品の詰まったリュックを掻っ攫った。
態勢を立て直したアークワンが放った闇檻を器用に避けながらこれ見よがしにリュックを見せつけた。
アークワンが吹っ飛ばされた隙を狙って得意の超高速機動を以って支給品の詰まったリュックを掻っ攫った。
態勢を立て直したアークワンが放った闇檻を器用に避けながらこれ見よがしにリュックを見せつけた。
「貴様、返せ!!」
「この中には松坂さとうや成見亜理紗からネコババしたアイテムも入ってんだろ?
これ以上お前が持っていて良いものじゃない」
これ以上お前が持っていて良いものじゃない」
ギーツⅨは敢えてアークワンへの追撃はせず、トランクスの隣に立つと肩に手を置いた。
「トランクス、お前の願いは何だ?そこの小憎らしい坊ちゃんを殺すことがお前の心からの願いか?」
仮面越しではあるが、きっと英寿は真剣な面持ちで、虚偽やお為ごかしは許さないという思いで問うているのだとトランクスは感じた。
ルルーシュは憎い。奴の所業と反省のはの字もない態度に強い怒りを抱いてもいる。もう殺すしかないと強く思った。
―――しかしそれは、きっと願いとは違うのだ。
ルルーシュは憎い。奴の所業と反省のはの字もない態度に強い怒りを抱いてもいる。もう殺すしかないと強く思った。
―――しかしそれは、きっと願いとは違うのだ。
「俺は……」
―――だけどトランクスさんがルルーシュのことを話す時、僕にはあなたが自分で自分を傷付けているような顔に見えました。
ルルーシュのせいで亡くなった者たちの無念を晴らす。その怒りを緑谷出久は否定しなかった。
しかしルルーシュを殺すことはトランクス自身の救いに繋がるのか?と、そう問われているような気がした。
自分が救われたいと思って戦ってきたわけではないが、自分を救おうとしてくれたあの少年の想いは無碍にはできない。
しかしルルーシュを殺すことはトランクス自身の救いに繋がるのか?と、そう問われているような気がした。
自分が救われたいと思って戦ってきたわけではないが、自分を救おうとしてくれたあの少年の想いは無碍にはできない。
「俺の願いは……きっと、皆が平和に暮らせることだ」
そうだ。確か最初はそう願ってしおの暴走を防ごうとした。
そこから転じて、いつしかルルーシュを殺せば多くの人間が救われるとさえ考えるようになっていたかもしれない。
けれども今、イザークとともにルルーシュと対峙して、奴の言葉を聞き、気を感じ取ったことでそれは間違いなのだと悟った。
そこから転じて、いつしかルルーシュを殺せば多くの人間が救われるとさえ考えるようになっていたかもしれない。
けれども今、イザークとともにルルーシュと対峙して、奴の言葉を聞き、気を感じ取ったことでそれは間違いなのだと悟った。
「ほう?自分のやっていることが的外れに過ぎないと認めるということか?
だったら今すぐその物騒な変身を解くんだな。そして大人しくノワルと同じ運命を受け入れろ。
それがここまで徹頭徹尾間違いだけを積み上げたお前にできる唯一の償いだ、トランクス」
だったら今すぐその物騒な変身を解くんだな。そして大人しくノワルと同じ運命を受け入れろ。
それがここまで徹頭徹尾間違いだけを積み上げたお前にできる唯一の償いだ、トランクス」
ギーツⅨとヴァルバラドに挟まれながらもトランクスへの挑発をやめないルルーシュの言葉も今は強がりに思える。
最初に羂索に啖呵を切った時に見せた勇敢さはきっと嘘ではなかったのだろう。仲間を想う善意もあったのだろう。
運営から悪意の力であるアークドライバーを渡され、恐らくは長きに渡り盤面を引っ掻き回す役でも期待され、その思惑を打ち破ろうとして……しかし結局はできなかった。
大いなる悪意に心身を浸すうちに本人ですら気づかない間に心を壊された、このゲームで数多く生じた犠牲者のうちの一人に過ぎなかった。
最初に羂索に啖呵を切った時に見せた勇敢さはきっと嘘ではなかったのだろう。仲間を想う善意もあったのだろう。
運営から悪意の力であるアークドライバーを渡され、恐らくは長きに渡り盤面を引っ掻き回す役でも期待され、その思惑を打ち破ろうとして……しかし結局はできなかった。
大いなる悪意に心身を浸すうちに本人ですら気づかない間に心を壊された、このゲームで数多く生じた犠牲者のうちの一人に過ぎなかった。
「いいや、お前はここで止める。これ以上その無自覚な悪意で皆を壊す前にな」
そう、本当に倒すべき相手はルルーシュではない。
羂索やクルーゼといった運営こそ、悪意のゲームの仕掛け人たる彼らこそが本当に討たねばならない敵なのだ。
ただそれはここでルルーシュと戦うことを止めるということではない。
当初の想いや目的がどうあれルルーシュはやり過ぎた。悪意を乗り越えているつもりで吞み込まれた奴のやり方では運営はおろかメラにさえ勝つことはできない。
それは生き残っている参加者のためにもならないし、何よりトランクスの願いも叶わない。
羂索やクルーゼといった運営こそ、悪意のゲームの仕掛け人たる彼らこそが本当に討たねばならない敵なのだ。
ただそれはここでルルーシュと戦うことを止めるということではない。
当初の想いや目的がどうあれルルーシュはやり過ぎた。悪意を乗り越えているつもりで吞み込まれた奴のやり方では運営はおろかメラにさえ勝つことはできない。
それは生き残っている参加者のためにもならないし、何よりトランクスの願いも叶わない。
戦士としての使命ではなく、個人の願いのために戦う。
それを意識した時、不思議なことに身体から不要な力が抜け、ひどく落ち着いた精神のまま超サイヤ人を維持できていることに気付いた。
超サイヤ人には四つの段階がある。なりたてで変身時の興奮が顕著に出る第一段階、そこから修練を重ねてパワーとスピードを大幅に強化した第二段階、スピードを犠牲にする代わりにパワーとタフネスに特化させた第三段階。
そして今トランクスが至ったのがかつてのセルゲームの頃には辿り着けなかった境地である、超サイヤ人のまま日常生活を送れるほど平静な精神を保ち、戦いの場で一気に力を解き放つ第四段階だ。
気(オーラ)を解放している時よりも出力は落ちるが、変身していない通常時よりは段違いの力を出せる今の状態なら仮面ライダーの鎧を内側から弾き飛ばしてしまう心配はない。
今こそ立香とニコルが託してくれた力を使うべき時だ。
それを意識した時、不思議なことに身体から不要な力が抜け、ひどく落ち着いた精神のまま超サイヤ人を維持できていることに気付いた。
超サイヤ人には四つの段階がある。なりたてで変身時の興奮が顕著に出る第一段階、そこから修練を重ねてパワーとスピードを大幅に強化した第二段階、スピードを犠牲にする代わりにパワーとタフネスに特化させた第三段階。
そして今トランクスが至ったのがかつてのセルゲームの頃には辿り着けなかった境地である、超サイヤ人のまま日常生活を送れるほど平静な精神を保ち、戦いの場で一気に力を解き放つ第四段階だ。
気(オーラ)を解放している時よりも出力は落ちるが、変身していない通常時よりは段違いの力を出せる今の状態なら仮面ライダーの鎧を内側から弾き飛ばしてしまう心配はない。
今こそ立香とニコルが託してくれた力を使うべき時だ。
「ドライバーだと?お前がか?」
「ああ、こんな俺を信じてくれた人たちが渡してくれた力だ。
俺は今から俺の願いを叶えるためにお前を……そして、その先にいる運営を倒す」
俺は今から俺の願いを叶えるためにお前を……そして、その先にいる運営を倒す」
《SET AVENGE》
デザイアドライバーを腰に巻き、二つに分割したブジンソードバックルを両サイドにセット。
トランクスの周囲から漆黒の煙の如きオーラが噴出する。
トランクスの周囲から漆黒の煙の如きオーラが噴出する。
「叶うさ。お前が願い続ける限り、きっとな」
背後に立つ英寿からそう言われた時、ふっと身体が軽くなる感覚があった。
跪くことを強制しようとするギアスの重圧が、先ほどまで心を蝕んでいた声が、靄が消えていくのがわかった。
跪くことを強制しようとするギアスの重圧が、先ほどまで心を蝕んでいた声が、靄が消えていくのがわかった。
「変身!」
《BLACK GENERAL BUJIN SWORD》
星明かりに照らされながら変じた姿は漆黒の剣士、仮面ライダータイクーン・ブジンソード。
而してその双眼は復讐に濁った黒眼(ブラックアイ)にあらず。澄み渡る赤眼(レッドアイ)に変わっていた。
託された力はデザイアドライバーとブジンソードバックルだけではない。
今この時のために在る、全ての仮面ライダーをぶっ潰す力である黄金のバックルを取り出した。
而してその双眼は復讐に濁った黒眼(ブラックアイ)にあらず。澄み渡る赤眼(レッドアイ)に変わっていた。
託された力はデザイアドライバーとブジンソードバックルだけではない。
今この時のために在る、全ての仮面ライダーをぶっ潰す力である黄金のバックルを取り出した。
《SET》 《DUAL ON》
《GREAT》 《BOOST.HIT》
《FEVER BOOST》
ブジンソードは厳密には武刃を専用装備とする白兵戦特化形態ではなく、拡張装備を用いた換装も想定された汎用型のライダーだ。
フィーバースロットレイズバックルを装備し、ジャマ神の力で狙った通りのブーストバックルの力を引き当て、上半身の装備が換装される。
そうして完成したのが創世の女神の力によって創られた二つの強力バックルを使った、本来の仮面ライダーギーツの物語には現れることのなかった仮面ライダー。
仮面ライダータイクーン・ブジンフィーバーブースト〈ジャマ神〉だ。
フィーバースロットレイズバックルを装備し、ジャマ神の力で狙った通りのブーストバックルの力を引き当て、上半身の装備が換装される。
そうして完成したのが創世の女神の力によって創られた二つの強力バックルを使った、本来の仮面ライダーギーツの物語には現れることのなかった仮面ライダー。
仮面ライダータイクーン・ブジンフィーバーブースト〈ジャマ神〉だ。
「さあ、ここからがハイライトだ」
《READY FIGHT》
漆黒のタイクーンと対を成す純白のギーツⅨがいつものように手を挙げ、宣誓する。
今日ばかりは自分自身ではなく、本来の変身者である桜井景和と同じく恩讐を乗り越えたサイヤの戦士のステージを。
第2ラウンドのゴングが鳴った。
今日ばかりは自分自身ではなく、本来の変身者である桜井景和と同じく恩讐を乗り越えたサイヤの戦士のステージを。
第2ラウンドのゴングが鳴った。
☆
「馬鹿め!お前自身の戦闘力の高さからすればハイスペックな仮面ライダーになったところで誤差でしかない!
不慣れなライダーシステムで俺に張り合おうとした己の無能さを呪うがいい!!」
不慣れなライダーシステムで俺に張り合おうとした己の無能さを呪うがいい!!」
「だったら試してみたらどうだ?」
ルルーシュは仮面ライダータイクーンへと変身してみせたトランクスを嘲笑してみせた。
確かにこの真贋交わる殺し合いでは変身ツールがバーゲンセールの如く大量配布され、中には極めて高性能なアイテムもある。
腕に自信がある参加者であっても生身のままでは限界に突き当たり、そこで淘汰されるか変身ツールを使って更なる高みに挑むかの二択を迫られる。
しかしトランクスは参加者の中でも例外側の存在。最大出力を発揮できる状態を捨ててまで仮面ライダーになったとて大幅な戦力向上など見込めるはずがない。
だというのに、正論を以って論破してみせたはずなのにトランクスはルルーシュの言を鼻で笑った。
確かにこの真贋交わる殺し合いでは変身ツールがバーゲンセールの如く大量配布され、中には極めて高性能なアイテムもある。
腕に自信がある参加者であっても生身のままでは限界に突き当たり、そこで淘汰されるか変身ツールを使って更なる高みに挑むかの二択を迫られる。
しかしトランクスは参加者の中でも例外側の存在。最大出力を発揮できる状態を捨ててまで仮面ライダーになったとて大幅な戦力向上など見込めるはずがない。
だというのに、正論を以って論破してみせたはずなのにトランクスはルルーシュの言を鼻で笑った。
《悪意。恐怖。憤怒》
「スパイトネガ+闇檻」
ならば思い知らせてやらねばなるまい。黒のキングの恐ろしさを。
アークローダーを押し込み、エネルギーを充填。同時に普段の単なる拘束用よりも段違いに強力な闇檻を広範囲に放つ。
一度捕らえればアイアンメイデンが如くしてスパイトネガで標的を串刺しにする必殺性を伴う強化型の闇檻だ。
その標的はタイクーンのみならずギーツ、ヴァルバラドをも含まれており、両者ともその機動力で、あるいは武器で対処してのける。
これで両者を仕留められるなどとは思っていない。先ほどのような余計な援護をさせないための予防策のようなものだ。
アークローダーを押し込み、エネルギーを充填。同時に普段の単なる拘束用よりも段違いに強力な闇檻を広範囲に放つ。
一度捕らえればアイアンメイデンが如くしてスパイトネガで標的を串刺しにする必殺性を伴う強化型の闇檻だ。
その標的はタイクーンのみならずギーツ、ヴァルバラドをも含まれており、両者ともその機動力で、あるいは武器で対処してのける。
これで両者を仕留められるなどとは思っていない。先ほどのような余計な援護をさせないための予防策のようなものだ。
《憎悪。絶望》
「スパイトネガ+闇檻+腕部強化+推力強化」
そしてタイクーンはと言えば手にした武刃で一瞬にして数十もの斬撃を放ち、強化された闇檻全てを切り刻んだ。
それでいい。こんなものは想定内もいいところ。
欲しかったのはタイクーンが闇檻に対処するために生じる一瞬の隙だ。
アークワンの右腕にブースター付きの黒い装甲が足され、背中からはスパイトネガが噴射される。
それでいい。こんなものは想定内もいいところ。
欲しかったのはタイクーンが闇檻に対処するために生じる一瞬の隙だ。
アークワンの右腕にブースター付きの黒い装甲が足され、背中からはスパイトネガが噴射される。
《パーフェクトコンクルージョン!》
タイクーンの眼前からアークワンが掻き消える。
通常のそれを遥かに超えた高速機動で瞬時にタイクーンの背後に回り込み、大幅に強化された推進力を利用して殴りかかった。
裏回りをしながらにして懐に飛び込んでから闇檻の出力を自身の強化に注いで撃ち込む必殺のライダーパンチだ。
闇檻への対処をさせてから放つことによって長刀が真価を発揮できないクロスレンジに潜り込み痛打を浴びせる手だ。
通常のそれを遥かに超えた高速機動で瞬時にタイクーンの背後に回り込み、大幅に強化された推進力を利用して殴りかかった。
裏回りをしながらにして懐に飛び込んでから闇檻の出力を自身の強化に注いで撃ち込む必殺のライダーパンチだ。
闇檻への対処をさせてから放つことによって長刀が真価を発揮できないクロスレンジに潜り込み痛打を浴びせる手だ。
超高速で動いたにも関わらずタイクーンのレッドアイは正確にアークワンを捉えていた。
そこまでは別段おかしいとも思わない。何せ変身者は四凶と同等以上の化け物戦士たるトランクスだ。
しかしおかしいのはここからで、タイクーンは敵を切り捨てる刃である武刃を放り捨てて左腕を振るう。
単なるクロスカウンター狙いではない。ライダーパンチを放ったアークワンの右腕を狙っている。
そこまでは別段おかしいとも思わない。何せ変身者は四凶と同等以上の化け物戦士たるトランクスだ。
しかしおかしいのはここからで、タイクーンは敵を切り捨てる刃である武刃を放り捨てて左腕を振るう。
単なるクロスカウンター狙いではない。ライダーパンチを放ったアークワンの右腕を狙っている。
(いくら貴様でもこれだけの威力と推力が乗った必殺技にただの拳で打ち勝てるとでも思ったか!?脳筋め!)
やはり仮面ライダー同士の戦闘には不慣れと見える、とルルーシュが仮面の下でせせら笑った。
確かに変身者同士で比べるならばルルーシュなどでは圧倒的強者たるトランクスとの勝負の土台にすら乗れまい。
しかし装備を整え、条件を全てクリアすれば誰であれ強者を打ち倒すことができる。この真贋交わる殺し合いはそういう風に出来ている。
驕り高ぶった強者にこの世界の真理を教えてやる。
確かに変身者同士で比べるならばルルーシュなどでは圧倒的強者たるトランクスとの勝負の土台にすら乗れまい。
しかし装備を整え、条件を全てクリアすれば誰であれ強者を打ち倒すことができる。この真贋交わる殺し合いはそういう風に出来ている。
驕り高ぶった強者にこの世界の真理を教えてやる。
アークワンのライダーパンチとそれを迎撃せんとするタイクーンの左拳が衝突した時、二人を中心に衝撃波が発生した。
ルルーシュの確信に満ちた想定を裏切り、タイクーンは拳を振り抜いた姿勢のまま泰然と立っていた。
反対にアークワンは軽々と吹っ飛ばされ、何度も地面をバウンドしながら転がっていった。
ルルーシュの確信に満ちた想定を裏切り、タイクーンは拳を振り抜いた姿勢のまま泰然と立っていた。
反対にアークワンは軽々と吹っ飛ばされ、何度も地面をバウンドしながら転がっていった。
(何が起きた!?何が起きた!?何が起きた!?)
ルルーシュにしてみれば有り得ざる理不尽。しかし起きた事実は覆らない。
右腕に異常を感じ視線を落としてみれば、肘から先が有り得ない方へ折れ曲がり、手首から先の装甲部位は全て吹き飛び生身の手が露出、五本の指全てが折れ、出血し、人差し指と中指に至っては骨が露出している。
右腕に異常を感じ視線を落としてみれば、肘から先が有り得ない方へ折れ曲がり、手首から先の装甲部位は全て吹き飛び生身の手が露出、五本の指全てが折れ、出血し、人差し指と中指に至っては骨が露出している。
「ぎ、ぁ、ぐぁあああああああああああっ!!?」
「な、なんてパワーをしていやがるんだ……!?」
状態を認識・把握した瞬間、遅れて耐えがたいほどの痛覚が訪れた。
気絶しそうなほどの激痛に苛まれながらも咄嗟に回復の魔法を全力で行使。瞬時に見るも無残な状態になり果てていた右腕を修復し、スパイトネガで装甲も元通りとなった。
けれども外見を繕っても中身を治しても精神に受けた打撃(ショック)までは癒せはしない。
闇檻に対処しつつ二人の激突を視認していたイザークも味方ながら戦慄を禁じ得ない。トランクスの戦いぶりは知っていたはずだったというのにまだ底があるのか。
気絶しそうなほどの激痛に苛まれながらも咄嗟に回復の魔法を全力で行使。瞬時に見るも無残な状態になり果てていた右腕を修復し、スパイトネガで装甲も元通りとなった。
けれども外見を繕っても中身を治しても精神に受けた打撃(ショック)までは癒せはしない。
闇檻に対処しつつ二人の激突を視認していたイザークも味方ながら戦慄を禁じ得ない。トランクスの戦いぶりは知っていたはずだったというのにまだ底があるのか。
「今のでお前の嘘が一つ暴けたな。咄嗟にでも使えるんじゃないか、回復の魔法を、自分になら」
「黙れこの下衆が!!何を…何をした!?アーク、分析はどうした!?」
『ルルーシュ、今の現象は純物理的なものだけではない!
最悪の状況だ……奴の装備するバックルには仮面ライダーへの概念的な特攻と特防を兼ね備えた力があるぞ!
それも数段や数倍の倍率ではない。最低でも三十倍以上はある!』
最悪の状況だ……奴の装備するバックルには仮面ライダーへの概念的な特攻と特防を兼ね備えた力があるぞ!
それも数段や数倍の倍率ではない。最低でも三十倍以上はある!』
「なん……だと……」
ジャマ神の、全てのライダーをぶっ潰す力を宿したバックルには対仮面ライダー限定ながら数十倍単位での攻防力を発揮する力がある。
しかしながら元の世界でこのバックルを使用して変身した仮面ライダーバッファのスペックはパンチ力3.6トン、キック力6.8トンしかない。
たったこれだけの単純スペックでありながら自身よりも十倍、あるいはそれ以上のハイスペックを誇るライダーたちの攻撃を防ぎ、痛打を浴びせ、ぶっ潰してきたのだ。
しかしながら元の世界でこのバックルを使用して変身した仮面ライダーバッファのスペックはパンチ力3.6トン、キック力6.8トンしかない。
たったこれだけの単純スペックでありながら自身よりも十倍、あるいはそれ以上のハイスペックを誇るライダーたちの攻撃を防ぎ、痛打を浴びせ、ぶっ潰してきたのだ。
そして今、トランクスが変身しているのは仮面ライダータイクーン・ブジンソードの派生形態。
元のブジンソードの時点でパンチ力63.3トン、キック力に至っては130トンものスペックを誇っている。
これだけの性能を有するタイクーンが仮面ライダーに対して数十倍の攻防力を発揮するジャマ神の力を行使しているのが現状だ。
ダメ押しに変身者は超サイヤ人となっているトランクス。これだけの要因が合わさったことで、ただの通常打撃一発で必殺技の威力とスピードによる勢い、憎悪による心意の力までも上乗せされたアークワンを真正面から蹂躙してのけたのだ。
元のブジンソードの時点でパンチ力63.3トン、キック力に至っては130トンものスペックを誇っている。
これだけの性能を有するタイクーンが仮面ライダーに対して数十倍の攻防力を発揮するジャマ神の力を行使しているのが現状だ。
ダメ押しに変身者は超サイヤ人となっているトランクス。これだけの要因が合わさったことで、ただの通常打撃一発で必殺技の威力とスピードによる勢い、憎悪による心意の力までも上乗せされたアークワンを真正面から蹂躙してのけたのだ。
(くそっ!くそっ!!何故想定できなかった!?俺は運営公認の優遇された主役ではあってもあくまで参加者の一人に過ぎないというのに!
俺が盤面を荒らして最後に勝つだけの出来レースを避けるためにハイスペックな仮面ライダーの力を与えられた俺を相性で刺せるようなアイテムの一つや二つ、用意されていて当然じゃないか!!
ノワルは仮面ライダーではないが、奴の力を仮面ライダーの力として運用可能にしたことがこんな形で仇になるとは!?しかも…その俺に対する特攻装備を使うのがよりにもよってトランクスだと!?)
俺が盤面を荒らして最後に勝つだけの出来レースを避けるためにハイスペックな仮面ライダーの力を与えられた俺を相性で刺せるようなアイテムの一つや二つ、用意されていて当然じゃないか!!
ノワルは仮面ライダーではないが、奴の力を仮面ライダーの力として運用可能にしたことがこんな形で仇になるとは!?しかも…その俺に対する特攻装備を使うのがよりにもよってトランクスだと!?)
ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアという人間はイレギュラーな事態に弱いと見られがちではあるが、厳密には少し異なる。
チェスに見立てて戦略を立てるため計画段階でイレギュラー要素を見落とすことが多くなりがちというだけで、いざイレギュラーが起きて窮地に陥った際のリカバリー能力自体はむしろ非常に高い。
そんな彼をしても単独ではどうにもならないのが戦略を戦術で覆すレベルの、圧倒的暴力によるゴリ押しであった。
ナリタでランスロットに蹂躙された時のようなことをこのゲームで繰り返さないために、四凶らの暴力に屈しないために策を巡らせノワルの力を取り込んだというのに。
結局こうなるのが運命だとでも言うのか?戦略を戦術で覆されて無様に負けるのがルルーシュ・ランペルージにはお似合いだとでも?
チェスに見立てて戦略を立てるため計画段階でイレギュラー要素を見落とすことが多くなりがちというだけで、いざイレギュラーが起きて窮地に陥った際のリカバリー能力自体はむしろ非常に高い。
そんな彼をしても単独ではどうにもならないのが戦略を戦術で覆すレベルの、圧倒的暴力によるゴリ押しであった。
ナリタでランスロットに蹂躙された時のようなことをこのゲームで繰り返さないために、四凶らの暴力に屈しないために策を巡らせノワルの力を取り込んだというのに。
結局こうなるのが運命だとでも言うのか?戦略を戦術で覆されて無様に負けるのがルルーシュ・ランペルージにはお似合いだとでも?
(だ、駄目だ!勝てない、どう足掻いても!勝つ以前にゲームの盤上にすら上がれていない!
逃げなければ、逃げなければ……!対策を練る時間さえ作れればこんな男……!)
逃げなければ、逃げなければ……!対策を練る時間さえ作れればこんな男……!)
「おっと、ここまでやらかしといてトンズラはなしだ」
「しまっ……!!」
タイクーンがベルトを操作し、技を発動しようとしていることを見て取ったことで恥も外聞もなく逃走を図ろうとしたアークワン。
だがその心の動きを見抜いていたギーツⅨが創世の力で放った二本の九尾の尾がアークワンの両足を絡めとった。
即座にスパイトネガで拘束していた九尾の尾を破壊するも、そのワンアクションが致命的な隙だった。
だがその心の動きを見抜いていたギーツⅨが創世の力で放った二本の九尾の尾がアークワンの両足を絡めとった。
即座にスパイトネガで拘束していた九尾の尾を破壊するも、そのワンアクションが致命的な隙だった。
「死にたくなかったら死ぬ気で防げ、ルルーシュ!」
中空に飛び上がったタイクーン。仮面ライダーであればここからどんな技が来るかは嫌でもわかる。
アークの高次予測によって未来を予測してもこのタイミングからの回避行動は間に合わない。動いたところでそこを狙って蹴り穿たれるのがオチだ。
アークの高次予測によって未来を予測してもこのタイミングからの回避行動は間に合わない。動いたところでそこを狙って蹴り穿たれるのがオチだ。
《悪意。恐怖。憤怒。憎悪。絶望》
「スパイトネガ+闇檻+監獄教会+疑似絶対守護領域+一点集中ゥ!!」
この状況にあって即座に最強の護りを構築しながらスムーズにドライバーを操作してのけるのは流石にイレギュラー状況からの立ち直りに定評のあるルルーシュと呼ぶべきか。
咄嗟に蜃気楼を操縦している時に愛用していた絶対守護領域を思い出し、一瞬でアークワンで扱える防御術式として編み出した。
迫りくるタイクーンへの恐怖に耐えながら、心意の力をも限界を超える勢いで捻りだしていく。
咄嗟に蜃気楼を操縦している時に愛用していた絶対守護領域を思い出し、一瞬でアークワンで扱える防御術式として編み出した。
迫りくるタイクーンへの恐怖に耐えながら、心意の力をも限界を超える勢いで捻りだしていく。
《GREAT GOLDEN FEVER VICTORY》
《闘争。殺意。破滅。絶滅。滅亡》
「闇檻絶対守護防盾(ダークケージ・ライジングアルティメットシールド)ォ!!!」
《パーフェクトコンクルージョン!》
ライダーキックの態勢に移行したタイクーンを阻むために展開されたのは十枚もの漆黒の大型盾。
防御のためだけに、ライダーキックを防ぎ生存を勝ち取るためだけにアークワンの全リソースを注いだ珠玉の防御必殺技だ。
何が何でも防ぎ切らんと足掻く。アークが弾き出す無慈悲な予測数値もこの時ばかりは全て無視する。
防御のためだけに、ライダーキックを防ぎ生存を勝ち取るためだけにアークワンの全リソースを注いだ珠玉の防御必殺技だ。
何が何でも防ぎ切らんと足掻く。アークが弾き出す無慈悲な予測数値もこの時ばかりは全て無視する。
一枚。ライダーキックに触れることすらなく発せられるエネルギーだけで四凶級参加者の攻撃をも防ぎ得る盾が砕けた。
二枚。タイクーンの脚部に触れた瞬間二枚目の盾が分子レベルで消滅した。
二枚。タイクーンの脚部に触れた瞬間二枚目の盾が分子レベルで消滅した。
(だ、駄目だ!!まるで足りない!!)
《悪意。恐怖。憤怒》
こんなところで終わってなるものか。
こうなれば仕方ないと再びアークローダーを押し込んで同じ技を重ね掛けしようとする。
こうなれば仕方ないと再びアークローダーを押し込んで同じ技を重ね掛けしようとする。
『待て、ルルーシュ!このタイミングでこれだけの技を重ねられるほどのリソースは我々にはない!
令呪も無理だ。ここで使えばパワーソースであるノワルの力が失われる!
令呪を使わずともこんな無理を重ねてはノワルの力が擦り切れ、私自身もオーバーヒートを……』
令呪も無理だ。ここで使えばパワーソースであるノワルの力が失われる!
令呪を使わずともこんな無理を重ねてはノワルの力が擦り切れ、私自身もオーバーヒートを……』
「黙れ道具風情が!!使い手たる俺に逆らうな!!」
三枚、四枚、五枚と極めて堅固であるはずの闇檻の盾がいともたやすく消滅していく。
アークの抗議など聞くに値しない。一刻の猶予もないのだ。
アークの抗議など聞くに値しない。一刻の猶予もないのだ。
《憎悪。絶望。闘争》
既に七枚目の盾が割られている。これ以上のチャージ動作は不可能だ!
「くそっ!闇檻絶対守護防盾(ダークケージ・ライジングアルティメットシールド)!!」
《パーフェクトコンクルージョン!》
八枚目の盾が砕けた瞬間に残った二枚の盾と新たに生み出した盾を統合。
今生み出せる最強最硬の防盾を作り上げた。
今生み出せる最強最硬の防盾を作り上げた。
「ちくしょう……」
けれど。嗚呼、けれども。
その最大最強にして最後の盾にも瞬く間に罅割れが走る。
その最大最強にして最後の盾にも瞬く間に罅割れが走る。
『確かに君はもう僕の知っているルルーシュ・ランペルージじゃないな。
不器用なぐらいの嘘つきで、自分の起こした行動の結果なら何でも無駄に背負い込むのが君の数少ない美点じゃなかったか?
何時からそんなに自己正当化の言い訳にばかり終始するようになった?』
不器用なぐらいの嘘つきで、自分の起こした行動の結果なら何でも無駄に背負い込むのが君の数少ない美点じゃなかったか?
何時からそんなに自己正当化の言い訳にばかり終始するようになった?』
(スザク……!?)
幻覚か、幻聴か。あるいはその両方か。
迫るタイクーンの影から亡き友、枢木スザクの姿が見え、声が聞こえる。
迫るタイクーンの影から亡き友、枢木スザクの姿が見え、声が聞こえる。
『これじゃあシャーリーがあまりにも浮かばれない。
自分の罪ぐらいは自分で直視してみろ』
自分の罪ぐらいは自分で直視してみろ』
(何を……!?)
―――だから、だからシャーリーがナナリーを出汁に俺を罵倒するなんて!そんな酷いことをするはずがないんだ!
憐れむように、蔑むようにルルーシュを睨むスザク。
そのスザクの言葉に呼応するようにリフレインするルルーシュ自身の声。
これは、そう。確かゼロの正体がシャーリーだったとわかった直後の己の醜態だ。
そのスザクの言葉に呼応するようにリフレインするルルーシュ自身の声。
これは、そう。確かゼロの正体がシャーリーだったとわかった直後の己の醜態だ。
(…いや、我ながら酷いなこれは。シャーリーがゼロを継いでいるということは俺は騎士団からの追放を待たずに死んでいる。
だとしたらシャーリーが皇帝ルルーシュなんて男を知っていたはずがない。当初の皇帝として悪逆に振る舞う俺を見てナナリーを顧みていないと捉えるのは彼女の視点で当然じゃないか。
だからあんなことを……どうしてこんな簡単なことに気づけなかったんだ?)
だとしたらシャーリーが皇帝ルルーシュなんて男を知っていたはずがない。当初の皇帝として悪逆に振る舞う俺を見てナナリーを顧みていないと捉えるのは彼女の視点で当然じゃないか。
だからあんなことを……どうしてこんな簡単なことに気づけなかったんだ?)
いくら取り乱していたといえど、これは自己憐憫が過ぎる。
自分自身ですらあまりに醜いと思わざるを得ない。
自分自身ですらあまりに醜いと思わざるを得ない。
―――(そうだ、この女が俺の知っているシャーリーであるわけがない。こいつはゼロだ)
(なっ!?)
だがそれも序の口に過ぎなかった。
自分自身の声で紡がれる悪意に満ちた声が脳裏に木霊する。
頭がずきりと痛む。脳がこれ以上思い出すことを無意識で拒否しようとしている。
自分自身の声で紡がれる悪意に満ちた声が脳裏に木霊する。
頭がずきりと痛む。脳がこれ以上思い出すことを無意識で拒否しようとしている。
―――(やみのせんしから俺を庇ったか。だがゼロを救う理由など俺の何処にある?ここでゼロが死ぬメリットはあれど生かすメリットなどない)
―――(この女はゼロだがシャーリーの名と顔を持っている。ゼロが死ぬことで鉄華兵団は実質壊滅し、俺には恋人、シャーリーを失った悲劇の英雄の座が転がり込んでくる)
(な、なんだこれは……!?これが、これが俺の思考だったというのか!あの時の……!)
有り得ない、こんなものはデタラメだと否定したい。
だが本能が言っている。これは紛れもなき事実。シャーリーの死に際してルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが巡らせた思惟であると。
だが本能が言っている。これは紛れもなき事実。シャーリーの死に際してルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが巡らせた思惟であると。
―――シャーリー!シャーリー!やだ……駄目だ!いっちゃだめだシャーリー!起きてくれ!眼を開けてくれ!スザク!スザク!咲世子でもロロでもいい!誰かシャーリーに医者を!会長!リヴァル!ニーナ!ああくそ!カレンでもアーニャでもジーノでもいい!誰か!誰もいないのか!?
(何の茶番だ、これは……!?いや…これを、俺がやった。俺が……!!)
脳裏で再演(リフレイン)されるあの時の光景。白々しくシャーリーへの救いの手を求めるルルーシュ・ヴィ・ブリタニアの姿はあまりに悪辣で醜悪だった。己自身でさえ目を背けたくなるほどに。
かつてのようにシャーリーにギアスを使うこともせず、やみのせんしに命じることもせず、何よりこの状況からでもシャーリーの命を繋げたノワルの回復魔法を行使することを拒否しながら泣き叫ぶ。
あの場で最大の戦力を持つ男が何時暴発するともわからないこんな状況でどこの誰が近寄れるというのか?違う、違う!これは誰も近寄らせないことが目的だったのだ!
かつてのようにシャーリーにギアスを使うこともせず、やみのせんしに命じることもせず、何よりこの状況からでもシャーリーの命を繋げたノワルの回復魔法を行使することを拒否しながら泣き叫ぶ。
あの場で最大の戦力を持つ男が何時暴発するともわからないこんな状況でどこの誰が近寄れるというのか?違う、違う!これは誰も近寄らせないことが目的だったのだ!
―――(これで良い。やみのせんしも仕留めた。これから俺はシャーリーを失った悲しみに耐えて鉄華兵団残党をも取りまとめる王様戦隊のルルーシュだ)
(良いわけが…あるか!!ゼロへの逆恨みに囚われて、シャーリーを切り捨てて、挙句それを悪意の力で無意識に、都合良く忘れて再び王様戦隊として振る舞うなど!!
キルスコアをやみのせんしに、起きた悲劇の責は全て鉄華兵団に押しつけて、挙句穏健派の男に自殺命令に等しいギアスだと!?こんなものは事故でも事件でもない!謀殺だ!俺の自己保身のためだけの…!)
キルスコアをやみのせんしに、起きた悲劇の責は全て鉄華兵団に押しつけて、挙句穏健派の男に自殺命令に等しいギアスだと!?こんなものは事故でも事件でもない!謀殺だ!俺の自己保身のためだけの…!)
受け入れがたい、しかし受け入れねばならない己の所業の真の姿を思い出し、頭が沸騰してどうにかなってしまいそうだった。
そもそもの話として何故己は鉄華兵団が厳戒態勢を敷いている中でわざわざ秘密のルートを使って出し抜くことを選んだ?どう考えても相手を無駄に煽るだけだ。
出し抜くにしたって敢えて真正面から両手を挙げて和平交渉でも持ち掛けた方がまだしも相手に誠意を見せられたはずだろう。進軍せずに不法侵入しただけだから許せなどという言葉遊びをするよりよっぽどマシだろうが。
そもそもの話として何故己は鉄華兵団が厳戒態勢を敷いている中でわざわざ秘密のルートを使って出し抜くことを選んだ?どう考えても相手を無駄に煽るだけだ。
出し抜くにしたって敢えて真正面から両手を挙げて和平交渉でも持ち掛けた方がまだしも相手に誠意を見せられたはずだろう。進軍せずに不法侵入しただけだから許せなどという言葉遊びをするよりよっぽどマシだろうが。
―――(一番俺への悪意が強いのはあの男か。ならばここはわざとらしくドライバーを置いてみせて一手仕掛けるか)
(こ、これは……!?)
悍ましい策略はあれで終わりではなかった。
鉄華兵団との交渉に入る際、大袈裟な動きでチェスセットや横に置いたドライバーを使ったミスディレクション。
ほとんど視認不可能なサイズの短針状に生成したスパイトネガをやみのせんしに撃ち込んでいた。浮世英寿の死角となる位置から、悪意を増幅させる目的で。
狙いなど明々白々。挑発的な言動を敢えて繰り返してやみのせんしの悪意を増幅させ、こちらを攻撃させることで鉄華兵団潰しの大義名分、足がかりを得るための策。
手段としては行政特区の時にギアスでユフィにニードルガンで自分を撃たせようとした時の策に近い。
鉄華兵団との交渉に入る際、大袈裟な動きでチェスセットや横に置いたドライバーを使ったミスディレクション。
ほとんど視認不可能なサイズの短針状に生成したスパイトネガをやみのせんしに撃ち込んでいた。浮世英寿の死角となる位置から、悪意を増幅させる目的で。
狙いなど明々白々。挑発的な言動を敢えて繰り返してやみのせんしの悪意を増幅させ、こちらを攻撃させることで鉄華兵団潰しの大義名分、足がかりを得るための策。
手段としては行政特区の時にギアスでユフィにニードルガンで自分を撃たせようとした時の策に近い。
(これさえ対主催のリーダーという仮面(ペルソナ)を守るために悪意を以って都合良く忘却して、俺は被害者のように振る舞って……。
それで想定外の策を打たれたら相手をタンカス呼ばわり!悪質なマッチポンプで自業自得でしかないだろうが!!)
それで想定外の策を打たれたら相手をタンカス呼ばわり!悪質なマッチポンプで自業自得でしかないだろうが!!)
湧き上がる自分自身への怒りと憎しみ。だがその時間は唐突に終わりを告げる。
「あっ……」
最後の盾が砕け、塵となって消えていく。眼前数十センチメートルに迫るタイクーン。
ライダーキックがアークワンに着弾。インパクトの衝撃はこの世の終わりではないかと思うほどの強烈さだった。
ライダーキックがアークワンに着弾。インパクトの衝撃はこの世の終わりではないかと思うほどの強烈さだった。
「ぐぅぅがあああああああああああああああああ――――――っっっ!!!!!!」
まるで仮面ライダーに怪人が倒されたかのように起きる大きな爆発。
爆風が晴れた時、そこにいたのは白い装束の皇帝、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアではなかった。
荘厳な衣装が吹き飛び、身体のあちこちに擦り傷が出来上がった上半身裸のルルーシュが力なく膝を折り、地に倒れ伏した。
それが一つの決着だった。
爆風が晴れた時、そこにいたのは白い装束の皇帝、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアではなかった。
荘厳な衣装が吹き飛び、身体のあちこちに擦り傷が出来上がった上半身裸のルルーシュが力なく膝を折り、地に倒れ伏した。
それが一つの決着だった。
| 211:アッシュフォード事変:救世屋は誰も救えていないのか | 投下順 | 211:アッシュフォード事変:エンドマーク |
| 時系列順 | ||
| ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア | ||
| 柳瀬舞衣 | ||
| キラ・ヤマト准将 | ||
| 白羽ゴドウ | ||
| マクギリス・ファリド | ||
| ドラえもん | ||
| 立風館ソウジ | ||
| 亀井美嘉 | ||
| ラクス・クライン | ||
| 堀北鈴音 | ||
| 藤丸立香 | ||
| マシュ・キリエライト | ||
| 纏流子 | ||
| ピルツ・デュナン | ||
| 浮世英寿 | ||
| 道外流牙 | ||
| 益子薫 | ||
| イザーク・ジュール | ||
| トランクス |