―――知恵の実を食べた人間は、その瞬間より旅人となった。カードが示す旅路を巡り、未来に淡い希望を託して。
時刻は午前0時10分頃。神将エグゼイドを打倒した一ノ瀬宝太郎たち王様戦隊の一行はほぼ瓦礫の山と化したアビドス高校が見える位置にまで歩を進めていた。
神将との激戦を超えた疲労は大きいものがあり、できればその場で小休止の一つも取りたかったが生憎宝太郎たちがいるのはアビドス砂漠。
深夜故の寒気に見舞われるこの地で休憩を取るというわけにもいかず、一行は疲労故に非常に遅い足取りながら着実にアビドス高校へ進んでいた。
神将との激戦を超えた疲労は大きいものがあり、できればその場で小休止の一つも取りたかったが生憎宝太郎たちがいるのはアビドス砂漠。
深夜故の寒気に見舞われるこの地で休憩を取るというわけにもいかず、一行は疲労故に非常に遅い足取りながら着実にアビドス高校へ進んでいた。
「酷い……」
しかし遠目からでもわかるこの惨状はどうだ。
呟くのは以前このランドマークに来たことのある水神小夜。シェフィもその悲しみに同調する。
ゲーム開始時点から参加者間の注目度が高かったこのランドマークは度重なる激戦の末に見るも無残な末路に至っていた。
呟くのは以前このランドマークに来たことのある水神小夜。シェフィもその悲しみに同調する。
ゲーム開始時点から参加者間の注目度が高かったこのランドマークは度重なる激戦の末に見るも無残な末路に至っていた。
「行こう。ここで立ち止まったら今まで死んでしまった人たちの気持ちが無駄になる。
このゲームを壊してガッチャを掴むために、俺たちはあそこでメラや羂索に対抗できる武器やアイテムを見つけないと!」
このゲームを壊してガッチャを掴むために、俺たちはあそこでメラや羂索に対抗できる武器やアイテムを見つけないと!」
痛みを、悲しみを抱えるのは誰も同じ。だからこそ宝太郎は率先して声を上げる。
悪辣極まるゲームが始まってから半日以上経ち、既に多くの悲劇が、惨劇が、死別が起きてしまっている。
それでも生きている者は生きねばならない。前に進まなければならない。どんなに辛く、苦しくとも。
悪辣極まるゲームが始まってから半日以上経ち、既に多くの悲劇が、惨劇が、死別が起きてしまっている。
それでも生きている者は生きねばならない。前に進まなければならない。どんなに辛く、苦しくとも。
「……はい!」
真っ先に、カラ元気を振り絞って勢いの良い返事を返したのは華鳥蘭子。
殺し合いが始まって以来ほとんど常に宝太郎と行動を共にしてきた少女はまたも彼の明るさに、情熱に救われる想いを抱いていた。
最初に出会えたのが宝太郎で良かったと心の底からそう思う。
殺し合いが始まって以来ほとんど常に宝太郎と行動を共にしてきた少女はまたも彼の明るさに、情熱に救われる想いを抱いていた。
最初に出会えたのが宝太郎で良かったと心の底からそう思う。
焦燥の念はある。瑠美衣や薫子が亡くなったということは錬金アカデミーが敵の襲撃を受けたことに他ならず、十代の安否も気にかかる。
しかしここから富良州高校はあまりにも遠すぎる。令呪を使ったワープテラでの瞬間移動を以ってしても一息に飛べるとは到底思えない。
急がば回れという諺があるように、アビドス高校地下で戦闘や移動に役立つ道具を見つけてから向かうべきではないかと一行は考えた。
しかしここから富良州高校はあまりにも遠すぎる。令呪を使ったワープテラでの瞬間移動を以ってしても一息に飛べるとは到底思えない。
急がば回れという諺があるように、アビドス高校地下で戦闘や移動に役立つ道具を見つけてから向かうべきではないかと一行は考えた。
「通知?」
一行の中でたまたまホットラインを手に取っていた姫和が最初に異変に気づいた。
放送用アプリへの通知。運営放送以外にもゼロが、そして王様戦隊が使ってきた参加者全体への情報伝達手段だ。
しかしタイミングが妙だ。
放送用アプリへの通知。運営放送以外にもゼロが、そして王様戦隊が使ってきた参加者全体への情報伝達手段だ。
しかしタイミングが妙だ。
「二人ともルルーシュから何か聞いているか?今このタイミングで放送をやると」
「いや、そんなこと聞いてないけど……もしかしてゼロだったりして」
「私たち王様戦隊の放送を見て、鉄華兵団が協力することを発表してくれる、ということはないでしょうか?」
「もしそうなら希望が見えてくるわ」
各々が希望を口にしながら放送用アプリを開いた。
しかし―――そこに映った光景は宝太郎ら全員の想像を悪い意味で裏切るものだった。
しかし―――そこに映った光景は宝太郎ら全員の想像を悪い意味で裏切るものだった。
「ル…、ルルーシュ?」
流れてきた映像はこれまでルルーシュやゼロがそうしてきたような、演出を前面に押し出したようなものではなかった。
ルルーシュや足付きなる戦艦の撃破に向かったはずのイザーク、そしてルルーシュからごく簡単に聞かされたトランクスなる青年が撮影されていることに気づかぬままやり取りをしているようだった。
つまるところこれは何者かが隠し撮りしたものということ。その何者かはルルーシュでもゼロでもないことは容易にわかる。
ルルーシュや足付きなる戦艦の撃破に向かったはずのイザーク、そしてルルーシュからごく簡単に聞かされたトランクスなる青年が撮影されていることに気づかぬままやり取りをしているようだった。
つまるところこれは何者かが隠し撮りしたものということ。その何者かはルルーシュでもゼロでもないことは容易にわかる。
映像の中のルルーシュはトランクスや鉄華兵団を繰り返し悪しざまに罵り、ゼロの正体が以前のカウンター放送で言及していたシャーリーという少女であると明かした。
足付きの撃破に向かったはずが何故か映像の中でルルーシュを詰問しているイザークの問いに答えるようにルルーシュがゼロが死亡した事実とその経緯を話すが宝太郎らにとってはとても納得いく内容ではない。
というより本人以外の誰が聞いても納得などしないのではないか。その証拠に王様戦隊最古参であるはずのイザークとの間にさえ埋めがたい溝が急速に出来上がっているではないか。
足付きの撃破に向かったはずが何故か映像の中でルルーシュを詰問しているイザークの問いに答えるようにルルーシュがゼロが死亡した事実とその経緯を話すが宝太郎らにとってはとても納得いく内容ではない。
というより本人以外の誰が聞いても納得などしないのではないか。その証拠に王様戦隊最古参であるはずのイザークとの間にさえ埋めがたい溝が急速に出来上がっているではないか。
「正気で言っているのか……?」
「そ、そんな……そんな……!!」
「何だよ、何だよそれ。ルルーシュ、こんなの……全部間違ってるよ!!!」
ルルーシュやイザークの口から語られていくのは鉄華兵団との会談の破談、ゼロの死に至るまでの経緯。
ルルーシュには初めから鉄華兵団との穏当な会談などするつもりはなく、鉄華兵団から手を出すしかない状況を作って意図的に戦端を開いた。
これだけでも宝太郎と蘭子を打ちのめすには十分な裏切りに等しい行為であったが、さらに彼らを絶望させたのはサラリとルルーシュの口から語られた王様戦隊結成の真相だ。
ルルーシュには初めから鉄華兵団との穏当な会談などするつもりはなく、鉄華兵団から手を出すしかない状況を作って意図的に戦端を開いた。
これだけでも宝太郎と蘭子を打ちのめすには十分な裏切りに等しい行為であったが、さらに彼らを絶望させたのはサラリとルルーシュの口から語られた王様戦隊結成の真相だ。
曰く、最初からルルーシュの意向を通しやすくするための方便に過ぎず、要はゼロの放送で傷つけられたブリタニア皇帝に代わる権威として利用しただけということ。
だとすれば仮面ライダーの支援者を標榜したことも王様戦隊という名の新たなブリタニア帝国設立に向けた布石に過ぎず、宝太郎にガッチャードデイブレイクの力を与えたのも下心ありきだったのでは?
もう一つ見過ごせないのはここまでのやり取りの中でルルーシュが松坂さとうを表向き幕下に迎えておきながら大道克己というマーダーを無傷で倒すために肉の壁に使い、後ろから諸共に撃ち殺した事実だ。
こんなことは鉄華兵団へのカウンター放送の時にも王様戦隊結成放送の時にも一言だって言わなかった。あまつさえ松坂さとう殺害の事実を使って神戸しおを大いに挑発したという。
だとすれば仮面ライダーの支援者を標榜したことも王様戦隊という名の新たなブリタニア帝国設立に向けた布石に過ぎず、宝太郎にガッチャードデイブレイクの力を与えたのも下心ありきだったのでは?
もう一つ見過ごせないのはここまでのやり取りの中でルルーシュが松坂さとうを表向き幕下に迎えておきながら大道克己というマーダーを無傷で倒すために肉の壁に使い、後ろから諸共に撃ち殺した事実だ。
こんなことは鉄華兵団へのカウンター放送の時にも王様戦隊結成放送の時にも一言だって言わなかった。あまつさえ松坂さとう殺害の事実を使って神戸しおを大いに挑発したという。
『ご機嫌麗しゅう、プレイヤー…いや雑魚共諸君♪』
「~~~!」
ここにいる、否、他の場所でも憤っている参加者たちの想いを代弁するが如くしてイザークとトランクスがルルーシュに立ち向かった時、突如として全員の眼前にウィンドウが表示された。
神殺しの男、メラ。アルジュナオルタを殺してその力を奪い取り、チェイスを、ジークを、千佳を屠った道化師の男。
身構えていなかったタイミングでその顔を見たことで小夜の中で萎みつつあったメラへの強烈な恐怖が蘇り、心臓がバクンと跳ね上がる。
神殺しの男、メラ。アルジュナオルタを殺してその力を奪い取り、チェイスを、ジークを、千佳を屠った道化師の男。
身構えていなかったタイミングでその顔を見たことで小夜の中で萎みつつあったメラへの強烈な恐怖が蘇り、心臓がバクンと跳ね上がる。
「この男がメラ……!」
「ねえ、女の子が猿轡を噛まされてない?」
シェフィが抱いた予感は当たっており、唐突に始まったメラの配信動画の中にいる少女は王様戦隊を誘い出すための人質のようだった。
配信の中のメラは何やら一向に自分に向かってこない参加者たちへの不平不満を並べ立てている。
非常にやかましくホットラインの方の配信に集中できないため、やむを得ずホットラインの動画再生を一時中断し、メラの配信に集中することにした。
配信の中のメラは何やら一向に自分に向かってこない参加者たちへの不平不満を並べ立てている。
非常にやかましくホットラインの方の配信に集中できないため、やむを得ずホットラインの動画再生を一時中断し、メラの配信に集中することにした。
「これって要は……ルルーシュへの挑発?」
「それにしては話の方向性がゼロと被っているような……」
ある理由から他の四人よりはやや冷静にこの事態を受け止めている姫和がメラのルルーシュへの挑発、その問題点を指摘する。
メラの要求はルルーシュが宝太郎や蘭子をはじめとした王様戦隊全員を含む十名以上の参加者たちでメラの居城に挑むこと。
そして確実にルルーシュをその気にさせるために何くれと挑発的な言動を繰り返してはいた。要はお前は運営の掌で踊らされている馬鹿だということだ。
しかしこの手の挑発は以前にゼロが既にやっている。姫和たちにもすぐそれとわかるような二番煎じで心乱されるルルーシュではあるまい。
メラの要求はルルーシュが宝太郎や蘭子をはじめとした王様戦隊全員を含む十名以上の参加者たちでメラの居城に挑むこと。
そして確実にルルーシュをその気にさせるために何くれと挑発的な言動を繰り返してはいた。要はお前は運営の掌で踊らされている馬鹿だということだ。
しかしこの手の挑発は以前にゼロが既にやっている。姫和たちにもすぐそれとわかるような二番煎じで心乱されるルルーシュではあるまい。
「いや、その挑発のことよりも!人質にされてる子がいるなら助けないと!」
「……それはわかります。でも……ルルーシュに率いられる形で、ですか?」
「えっ、あっ……」
一ノ瀬宝太郎という少年は仮令面識がなかろうと、ルルーシュやイザークから聞いたテレビ局跡地を襲った参加者の少女の特徴がサっちゃんなる動画で人質にされた少女と一致していようと、困っている人を見過ごしはしない。
故に反射に等しい反応で助けるべきと主張するが、そこに待ったをかけたのは蘭子だ。
彼女に言われて嫌でも先の配信でのルルーシュの悪辣極まる態度を思い出してしまう。
故に反射に等しい反応で助けるべきと主張するが、そこに待ったをかけたのは蘭子だ。
彼女に言われて嫌でも先の配信でのルルーシュの悪辣極まる態度を思い出してしまう。
「とにかくホットラインの方の配信には続きがある。話はそちらを確認してからだ」
そう。ホットラインの方に来た動画はまだ全て確認できたわけではない。
メラの配信が始まる寸前まで見ていたところまでシークバーを戻し、今度こそ全てを確認した。
メラの配信が始まる寸前まで見ていたところまでシークバーを戻し、今度こそ全てを確認した。
「とりあえず最悪なことになるのだけは避けられて良かった……」
「ああ……トランクスがルルーシュを殺さず、ベルトを完全に壊すこともしなかったおかげでひとまず人質の彼女がすぐ殺される可能性は低くなったな。
しかし……これまでにルルーシュがやったことを思うと、な……」
しかし……これまでにルルーシュがやったことを思うと、な……」
結果から言えば戦いはイザークとトランクスの勝利に終わった。
憎悪を断ち切った青年は悪意に呑まれた皇帝が変身する仮面ライダーアークワンを殺さずに打倒した。
ルルーシュのアークドライバーは白煙を吹き上げていたが修理する手段がないわけでもあるまい。
つまりメラの要求を守る手立ても一応は残っているということ。形だけを整えるだけで精一杯になる可能性も否定はできないが。
憎悪を断ち切った青年は悪意に呑まれた皇帝が変身する仮面ライダーアークワンを殺さずに打倒した。
ルルーシュのアークドライバーは白煙を吹き上げていたが修理する手段がないわけでもあるまい。
つまりメラの要求を守る手立ても一応は残っているということ。形だけを整えるだけで精一杯になる可能性も否定はできないが。
「一ノ瀬さん、あのギーツはきっと富良州高校で戦ったのとは別の……」
「うん。あれは……英寿だった。間違いないよ。元の世界で一緒に戦ったことのある本物の仮面ライダーギーツだ。
だけど何で?ただのNPCには全然見えなかったし、名簿にも当然いないのに……」
だけど何で?ただのNPCには全然見えなかったし、名簿にも当然いないのに……」
一方で宝太郎にとっては無視できないこともあった。
戦いの最中イザークとトランクスを援護した純白の白狐。
仮面ライダーギーツⅨの動きが、声が、仕草が紛れもない浮世英寿のそれであると宝太郎にはわかった。
戦いの最中イザークとトランクスを援護した純白の白狐。
仮面ライダーギーツⅨの動きが、声が、仕草が紛れもない浮世英寿のそれであると宝太郎にはわかった。
(何で英寿があそこにいて……それで何で俺はあそこにいなかったんだ?あそこで戦ってなかったんだ?)
本当なら自分が道を誤ったルルーシュを止めなければならなかったはずだ。
どうしてこんなところで液晶画面で配信を眺めているのか?
同じ王様戦隊のイザークはまだしも英寿やトランクスという青年に負担を押しつけてしまったようで罪悪感を禁じ得ない。
だが感傷に浸る時間が一ノ瀬宝太郎に与えられることはない。何故ならば。
どうしてこんなところで液晶画面で配信を眺めているのか?
同じ王様戦隊のイザークはまだしも英寿やトランクスという青年に負担を押しつけてしまったようで罪悪感を禁じ得ない。
だが感傷に浸る時間が一ノ瀬宝太郎に与えられることはない。何故ならば。
「一ノ瀬、華鳥。お前たちが動揺しているのもわかるつもりだが……それでも私たちは聞かなければいけない。
これは……一体どういうことなんだ?些細なことでもいい、知っていることを話して納得のいく説明をしてくれ」
これは……一体どういうことなんだ?些細なことでもいい、知っていることを話して納得のいく説明をしてくれ」
元々の王様戦隊のメンバーではなく、王様戦隊結成の放送を見て宝太郎らへの合流を決めた水神小夜、十条姫和、シェフィ。
三人の少女が信じたい、けれど信じきれないといった視線を隠すことなく宝太郎と蘭子に向けていた。
三人の少女が信じたい、けれど信じきれないといった視線を隠すことなく宝太郎と蘭子に向けていた。
☆
「初めまして、かな。超知能ゼアよ。ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアだ」
「私からの用件は至極単純なことだよ。返答もしなくて構わない。
―――『今後私に関する疑惑の全てを全力で見逃してくれないか?』」
―――『今後私に関する疑惑の全てを全力で見逃してくれないか?』」
☆
目的地であるアビドス高校を目前にして、一行の足が止まる。
視線で示し合わせた姫和、小夜、シェフィの三人はアビドス高校への道を塞ぐように移動し、宝太郎と蘭子の前に立った。
確かな絆を結び、メラの人格と技量が宿った神将相手に勝利(ガッチャ)を掴んだはずのチームには今、砂漠の寒気だけでは説明のつかない冷えた空気が流れている。
視線で示し合わせた姫和、小夜、シェフィの三人はアビドス高校への道を塞ぐように移動し、宝太郎と蘭子の前に立った。
確かな絆を結び、メラの人格と技量が宿った神将相手に勝利(ガッチャ)を掴んだはずのチームには今、砂漠の寒気だけでは説明のつかない冷えた空気が流れている。
「ご、ごめんなさい……!でも私たちは何も知らなかったんです!」
「俺からもごめん!まさかルルーシュがあんなことをしてたなんて!」
宝太郎と蘭子が対主催の参加者に危害を加えたわけではない。
しかし彼らは王様戦隊。そして何者かの暴露放送に等しい配信によって悪事の数々が露見したルルーシュもまた王様戦隊の一員にして実質的な指導者だ。
だからこそ二人はほとんど反射的に謝罪するしかなかった。
しかし彼らは王様戦隊。そして何者かの暴露放送に等しい配信によって悪事の数々が露見したルルーシュもまた王様戦隊の一員にして実質的な指導者だ。
だからこそ二人はほとんど反射的に謝罪するしかなかった。
「あのイザークという人が言っていた通り、ルルーシュ以外は誰も何も聞かされていなかったのはわかったから、二人とも顔を上げて」
「シェフィの言う通りだ。それに松坂さとうの一件に関しては、ルルーシュがギアスでも使って松坂さとうから情報を聞き出していれば有り得る話だと思う」
ゲームが始まって間もない頃、姫和や龍園らは四凶の一角たるアルジュナオルタと交戦していたが、この時に松坂さとうはスタンガンで龍園に危害を加えて逃走した。
近くにいた姫和も当然このことは知っており、故にルルーシュが松坂さとうから情報を搾り取っていた場合、マーダー諸共に葬り去る策を執ったとしても不思議なこととは思わなかった。
故に宝太郎たちよりもいくらか冷静に先の配信を見ていられたわけだが、だからといって誰しもが「ハイそうですか」と納得できるわけでもない。
近くにいた姫和も当然このことは知っており、故にルルーシュが松坂さとうから情報を搾り取っていた場合、マーダー諸共に葬り去る策を執ったとしても不思議なこととは思わなかった。
故に宝太郎たちよりもいくらか冷静に先の配信を見ていられたわけだが、だからといって誰しもが「ハイそうですか」と納得できるわけでもない。
「だからって仲間を後ろから撃つなんてやっていいわけない!そんなのはガッチャでも何でもない!
しかも自分で撃っておいて、後の放送で散々酷いことを言ってきたわけだろ!?十条はそれも理解できる、仕方ないって言うのか!?」
しかも自分で撃っておいて、後の放送で散々酷いことを言ってきたわけだろ!?十条はそれも理解できる、仕方ないって言うのか!?」
その代表格が一ノ瀬宝太郎である。
仮令相手が危険人物だったとしてもやっていいことと悪いことがある。上策などと宣ったルルーシュの自画自賛には到底同意できない。
本人の意思を無視してギアスという催眠術で無理矢理聞き出すことでさえ宝太郎としては眉をひそめたくなる行為である。
怒りを露にした宝太郎から水を向けられた姫和は静かに首を横に振った。宝太郎がこう言うことはわかっていたし、姫和も心情的には彼に近い。
仮令相手が危険人物だったとしてもやっていいことと悪いことがある。上策などと宣ったルルーシュの自画自賛には到底同意できない。
本人の意思を無視してギアスという催眠術で無理矢理聞き出すことでさえ宝太郎としては眉をひそめたくなる行為である。
怒りを露にした宝太郎から水を向けられた姫和は静かに首を横に振った。宝太郎がこう言うことはわかっていたし、姫和も心情的には彼に近い。
「いや、千歩譲ったとしても私が理解できるのは大道克己諸共葬るところまでだ。そこで止めていれば私も納得まではできなくてもそれ以上の文句は言わない。
自分で殺した相手を放送で平然と貶め、事実上神戸しおを凶行に走らせていざそれが原因で身内が亡くなれば被害者面なんて理解できないししたくもない」
自分で殺した相手を放送で平然と貶め、事実上神戸しおを凶行に走らせていざそれが原因で身内が亡くなれば被害者面なんて理解できないししたくもない」
合理性を見出せるのはあくまでも松坂さとうと大道克己を同時に殺すところまでだ。
それ以降の執拗な死者に鞭打つ罵詈雑言の数々や、松坂さとうの大事な人間であり幼子であるとも知った上で無用な挑発を仕掛け、破滅に追いやったことに何の理があるというのか。
それ以降の執拗な死者に鞭打つ罵詈雑言の数々や、松坂さとうの大事な人間であり幼子であるとも知った上で無用な挑発を仕掛け、破滅に追いやったことに何の理があるというのか。
「やみのせんしから聞いたわ。雄英高校でもう少しのところでグリオン…冥黒王を倒せるという時に神戸しおに邪魔をされたと。
全部が全部彼のせいじゃないけど、神戸しおの憎しみを煽ったりしなければ雄英高校で冥黒王を倒せていて、学郎さんも死ななかったかもしれない」
全部が全部彼のせいじゃないけど、神戸しおの憎しみを煽ったりしなければ雄英高校で冥黒王を倒せていて、学郎さんも死ななかったかもしれない」
「何だって!?じゃあ……そもそも富良州高校にグリオンが出てきたこと自体ルルーシュのせいってことなのか!?」
アビドス高校への道を急いでいたこともあり、シェフィとここまで深い情報交換をする機会はなかった故に雄英高校での顛末は初耳だった。
宝太郎自身はもちろん、多くの人が傷つき、戦い、イザークと仲の良かったらしい大河くるみが死んだあの戦いの意味は一体何だったのか。
もちろん一番悪いのは悪意を以って参加者を殺して回る冥黒王で、当時のルルーシュにそのあたりの因果関係を知る機会もなかっただろうが、起きた事実の全体像を知ってしまうと納得はできなくなる。
宝太郎自身はもちろん、多くの人が傷つき、戦い、イザークと仲の良かったらしい大河くるみが死んだあの戦いの意味は一体何だったのか。
もちろん一番悪いのは悪意を以って参加者を殺して回る冥黒王で、当時のルルーシュにそのあたりの因果関係を知る機会もなかっただろうが、起きた事実の全体像を知ってしまうと納得はできなくなる。
「そのことだってもちろん大事だけど!一番納得できないのは鉄華兵団にやったことよ!
私は直接聞けてないけど、ルルーシュはゼロの正体だったシャーリーって人の恋人だったんでしょう!?そんな身近な人を見殺しなんて……信じられない!!」
私は直接聞けてないけど、ルルーシュはゼロの正体だったシャーリーって人の恋人だったんでしょう!?そんな身近な人を見殺しなんて……信じられない!!」
眉間に皺を寄せた小夜が強い剣幕で話に入ってくる。
件の配信によれば鉄華兵団はトランクスを経由して先んじてルルーシュの悪行を把握しており、その質の悪さから王様戦隊に対し厳戒態勢を取っていたようだった。
ルルーシュはどうやらその鉄華兵団に対し執拗な挑発行為を繰り返し、鉄華兵団側が先制攻撃に出ざるを得ない状況を作り上げ、あろうことか対主催集団同士での戦端が開かれるよう誘導したらしい。
結果としてルルーシュは直接、間接合わせて鉄華兵団のメンバー二人を殺害ないし故意に死に追いやり、事実上鉄華兵団首脳部を壊滅させたことになる。
松坂さとうの時とは根本的に違う。明確に主催打倒を目指した穏健派のチームを邪魔というだけで壊滅に追い込み、一方的に人員を吸い上げようとするなど正気の沙汰とは思えない。
件の配信によれば鉄華兵団はトランクスを経由して先んじてルルーシュの悪行を把握しており、その質の悪さから王様戦隊に対し厳戒態勢を取っていたようだった。
ルルーシュはどうやらその鉄華兵団に対し執拗な挑発行為を繰り返し、鉄華兵団側が先制攻撃に出ざるを得ない状況を作り上げ、あろうことか対主催集団同士での戦端が開かれるよう誘導したらしい。
結果としてルルーシュは直接、間接合わせて鉄華兵団のメンバー二人を殺害ないし故意に死に追いやり、事実上鉄華兵団首脳部を壊滅させたことになる。
松坂さとうの時とは根本的に違う。明確に主催打倒を目指した穏健派のチームを邪魔というだけで壊滅に追い込み、一方的に人員を吸い上げようとするなど正気の沙汰とは思えない。
「一ノ瀬さんたちがやったことじゃないのはわかってる。でも……あんな嘘ばっかりの放送さえなかったら、私たちはきっとひみつ道具博物館に向かってた。
私たちがひみつ道具博物館に着いて鉄華兵団の人たちと協力していればルルーシュの好きにさせて、ゼロが死ぬこともなかったかもしれない……」
私たちがひみつ道具博物館に着いて鉄華兵団の人たちと協力していればルルーシュの好きにさせて、ゼロが死ぬこともなかったかもしれない……」
王様戦隊結成放送を見て宝太郎たちに接触した時、龍園やリュージらは名実ともに穏健派となり、メラとの交戦経験もあるルルーシュがひみつ道具博物館に向かったことを知ってそちらへ向かうのをやめた。
松坂さとうの件を知らなかったこともあり、まさかルルーシュのゼロに対する敵愾心がメラという脅威を前にした状況ですら排除という方向性で発揮されるとは誰も想定出来なかったのは仕方ないことではあるが。
結果から言えば小夜が属していた龍園たち一行は目の前にぶら下げられた安全策を選んだ結果まんまとルルーシュによるゼロの事実上の暗殺を見過ごしてしまった格好となる。
小夜からすれば舵取りを間違えたとしか思えない。あの時もっと強くひみつ道具博物館行きを希望して人数を分けてでもそちらに向かうべきだったかもしれない。
松坂さとうの件を知らなかったこともあり、まさかルルーシュのゼロに対する敵愾心がメラという脅威を前にした状況ですら排除という方向性で発揮されるとは誰も想定出来なかったのは仕方ないことではあるが。
結果から言えば小夜が属していた龍園たち一行は目の前にぶら下げられた安全策を選んだ結果まんまとルルーシュによるゼロの事実上の暗殺を見過ごしてしまった格好となる。
小夜からすれば舵取りを間違えたとしか思えない。あの時もっと強くひみつ道具博物館行きを希望して人数を分けてでもそちらに向かうべきだったかもしれない。
「ねえ、ゼアさん?どうしてさっきから何も言ってくれないんですか?
…っていうか、ゼアさんならこんなことになるって予測できたんじゃないんですか!?ルルーシュが使ってるアーク以上の超知能なんでしょう!?」
…っていうか、ゼアさんならこんなことになるって予測できたんじゃないんですか!?ルルーシュが使ってるアーク以上の超知能なんでしょう!?」
ここで異変に気づいたのは現在のゼロツードライバーの所有者である蘭子だ。
本来会話に参加するべき存在であるゼアが先ほどから何故かずっと不気味に沈黙している。
いや、何者かの暴露放送を見た今にして思うとゼアほどの人工知能がルルーシュの鉄華兵団への敵意の強さを見抜けなかったこと自体がおかしく思えてくる。
推測や忠告の一つさえなかったのはいくら何でも不自然すぎる!
本来会話に参加するべき存在であるゼアが先ほどから何故かずっと不気味に沈黙している。
いや、何者かの暴露放送を見た今にして思うとゼアほどの人工知能がルルーシュの鉄華兵団への敵意の強さを見抜けなかったこと自体がおかしく思えてくる。
推測や忠告の一つさえなかったのはいくら何でも不自然すぎる!
「教えてくれ、ゼア!本当にルルーシュがやろうとしたこと、全然わからなかったのか!?」
『すみませんが答えることはできません。私は彼に対する疑惑の全てを全力で見逃さなければなりません』
元より機械音声ではあるが、その言葉を発した時の抑揚は何時にも増して感じられなかった。
本当に言わなければならないことを事務的に言葉にしただけのように思えた。
本当に言わなければならないことを事務的に言葉にしただけのように思えた。
「えっ…ど、どういう……」
「ゼアさん!?何言ってるの!?どういう状況かわかってるよね!?」
「……ねえ、ちょっと待って。これってゼアがギアスを受けてるってことじゃないかしら?」
これまで親身に相談に乗ってくれたゼアの不自然すぎる豹変。
シェフィはルルーシュのギアスについて詳しいわけではないが、この場にそぐわない不可解な態度はそれが原因としか思えなかった。
ギアスという催眠術の強制力が強すぎる故に命令内容を邪魔されると画一的な反応しかできなくなるのではないか。
シェフィはルルーシュのギアスについて詳しいわけではないが、この場にそぐわない不可解な態度はそれが原因としか思えなかった。
ギアスという催眠術の強制力が強すぎる故に命令内容を邪魔されると画一的な反応しかできなくなるのではないか。
「そんな……ゼアさんは生物じゃないのに!?」
「いや、待って南さん。確かルルーシュは集合無意識だとかそういうのにギアスを使ったって前に放送で話してた。
ってことは……目を合わせて話すことさえできるなら相手が人間じゃなくてもギアスを掛けることができるんだ!」
ってことは……目を合わせて話すことさえできるなら相手が人間じゃなくてもギアスを掛けることができるんだ!」
ルルーシュは電脳空間で誰にも聞かれずアークと会話することができた。
故に富良州高校での戦闘が終わってから王様戦隊結成放送を流すまでの間、蘭子とすれ違った際に人工知能ゼアの電脳空間に潜入。
周囲に違和感を持たれぬよう会話をすることなく出会い頭にギアスを掛けることに成功していたのだった。
故に富良州高校での戦闘が終わってから王様戦隊結成放送を流すまでの間、蘭子とすれ違った際に人工知能ゼアの電脳空間に潜入。
周囲に違和感を持たれぬよう会話をすることなく出会い頭にギアスを掛けることに成功していたのだった。
この時ルルーシュは既に鉄華兵団制圧を企図していたが、そこで問題になるのは明確に宝太郎の側に立つゼアの存在だった。
演算処理性能でアークを上回るゼアが宝太郎や蘭子を通して情報を集めれば遠からず己の過去の行いやこの先の鉄華兵団制圧の意図に気づき、彼らに知らせることは確実な状況。
宝太郎の保障で穏健派対主催の立ち位置を確保したルルーシュからすれば宝太郎の離反だけは何としても避けねばならない。
対策としてゼアがルルーシュの真意を悟る前にギアスで楔を打ち込むのはルルーシュ本人にとっては当然のリスクヘッジだった。
演算処理性能でアークを上回るゼアが宝太郎や蘭子を通して情報を集めれば遠からず己の過去の行いやこの先の鉄華兵団制圧の意図に気づき、彼らに知らせることは確実な状況。
宝太郎の保障で穏健派対主催の立ち位置を確保したルルーシュからすれば宝太郎の離反だけは何としても避けねばならない。
対策としてゼアがルルーシュの真意を悟る前にギアスで楔を打ち込むのはルルーシュ本人にとっては当然のリスクヘッジだった。
「……お前たち、さっき会った時にギアスは受けていないと確かにそう言っていたよな?」
「そ、それは……その……」
「口ごもられたってわからないわよ!どういうことかちゃんと説明して!!」
だが他者にとっては決してそうではない。
支給品とはいえコミュニケーションが可能な存在であるゼアがギアスを受けているとわかった以上、姫和たちとしては「じゃあ他にも?」と疑わないわけにはいかなくなった。
それに騙す者が一番悪いのは当然のこととしても、ここまで宝太郎らがルルーシュの掌の上で踊らされていては苦言の一つも言いたくなる。
小夜や対アークエンジェルに当たった龍園、リュージらが宝太郎たち王様戦隊を信用したのは放送内容とギアスなど受けていないという彼らの言を信じたからだ。
王様戦隊の大義が他ならぬ代表者のルルーシュ自身によって否定され、超知能ゼアがギアスを受けていた以上それらの前提は完全に崩壊している。話が違うということだ。
支給品とはいえコミュニケーションが可能な存在であるゼアがギアスを受けているとわかった以上、姫和たちとしては「じゃあ他にも?」と疑わないわけにはいかなくなった。
それに騙す者が一番悪いのは当然のこととしても、ここまで宝太郎らがルルーシュの掌の上で踊らされていては苦言の一つも言いたくなる。
小夜や対アークエンジェルに当たった龍園、リュージらが宝太郎たち王様戦隊を信用したのは放送内容とギアスなど受けていないという彼らの言を信じたからだ。
王様戦隊の大義が他ならぬ代表者のルルーシュ自身によって否定され、超知能ゼアがギアスを受けていた以上それらの前提は完全に崩壊している。話が違うということだ。
いや、暴露放送を観る前にせめて情報のワンクッションがあればヒートアップすることは回避できたかもしれない。
龍園やパラドなどは先んじてトランクスら鉄華兵団側の参加者に接触し、彼らから情報を貰っていたのでその都度得た情報を吟味する余裕があった。だから冷静さを保てている。
しかし今ここにいる宝太郎や小夜たちにはそのワンクッションがない。暴露放送以前から少なからぬ参加者が共有していたルルーシュが隠匿していた情報の濁流を暴露放送でいきなり全て浴びたのだ。
龍園やパラドなどは先んじてトランクスら鉄華兵団側の参加者に接触し、彼らから情報を貰っていたのでその都度得た情報を吟味する余裕があった。だから冷静さを保てている。
しかし今ここにいる宝太郎や小夜たちにはそのワンクッションがない。暴露放送以前から少なからぬ参加者が共有していたルルーシュが隠匿していた情報の濁流を暴露放送でいきなり全て浴びたのだ。
暴露放送が行われるよりも前に彼らに接触しようとした者はいた。梔子ユメを筆頭にした鉄華兵団の別動隊が宝太郎らを探していた。
彼女たちは龍園らと接触したトランクスたちと同等の情報とリコールによってルルーシュだけを王様戦隊から降ろすという可能な限り流血を避ける落としどころを持っていた。
もしも梔子ユメらの一団と接触することができていれば、先んじてルルーシュに関する情報を受け取り、彼女たちとともに吟味し、論ずる時間があれば。今のように暴露放送で一気に浮足立つ事態は回避できたかもしれない。
けれどそうはならなかった。事前に鉄華兵団と接触できなかったことがここに来て致命的なまでに響くこととなる。
彼女たちは龍園らと接触したトランクスたちと同等の情報とリコールによってルルーシュだけを王様戦隊から降ろすという可能な限り流血を避ける落としどころを持っていた。
もしも梔子ユメらの一団と接触することができていれば、先んじてルルーシュに関する情報を受け取り、彼女たちとともに吟味し、論ずる時間があれば。今のように暴露放送で一気に浮足立つ事態は回避できたかもしれない。
けれどそうはならなかった。事前に鉄華兵団と接触できなかったことがここに来て致命的なまでに響くこととなる。
「私もこんなことは言いたくないけど……あなたたちいくら何でもちょっと不用心すぎるんじゃないかしら?
王様戦隊の放送には自分の意思で出たと言っていたし、それが嘘だとは思わないけど、その前に本当にちゃんとルルーシュの真意を確認したの?
彼の言い分を認めるわけじゃないけど、ルルーシュの主張を鵜呑みにして都合良く利用されてないって本当に言い切れる?」
王様戦隊の放送には自分の意思で出たと言っていたし、それが嘘だとは思わないけど、その前に本当にちゃんとルルーシュの真意を確認したの?
彼の言い分を認めるわけじゃないけど、ルルーシュの主張を鵜呑みにして都合良く利用されてないって本当に言い切れる?」
「もしかしてケミーの皆も何かのギアスに掛かっているんじゃ……。
それかあなたたち自身、ちょっとした質問じゃボロが出ないような巧妙なやり方でルルーシュのギアスに掛かっているとか……」
それかあなたたち自身、ちょっとした質問じゃボロが出ないような巧妙なやり方でルルーシュのギアスに掛かっているとか……」
「そ、そんなことは……!そんな、ことは……」
ない、と言い切れるだろうか。
鉄華兵団へのカウンター放送から始まったルルーシュの軟化を、仮面ライダーの支援者を標榜した言動を何も考えずただ鵜呑みにしてはいなかっただろうか?
都合の良い言葉と下心ありきの献身に絆されるばかりで彼の裏や真意を確かめる努力を放棄してはいなかったか?彼の言う通りの自分でものを考えない無責任な人間になっていなかったか?
全く気付かないうちにゼアにギアスを掛けられていたのなら自分たちは絶対違うなどと証明できないのでは?
鉄華兵団へのカウンター放送から始まったルルーシュの軟化を、仮面ライダーの支援者を標榜した言動を何も考えずただ鵜呑みにしてはいなかっただろうか?
都合の良い言葉と下心ありきの献身に絆されるばかりで彼の裏や真意を確かめる努力を放棄してはいなかったか?彼の言う通りの自分でものを考えない無責任な人間になっていなかったか?
全く気付かないうちにゼアにギアスを掛けられていたのなら自分たちは絶対違うなどと証明できないのでは?
「で、でも!ルルーシュはイザークさんたちに捕まりました!彼も鉄華兵団の皆さんもあそこからルルーシュに好き勝手させたりはしないはずです!」
確かに王様戦隊が表向き形式を変えただけのブリタニア帝国軍と化してしまっていたことは蘭子ももう認める他ない。
しかしそれは今や過去のものとなった。もうルルーシュが音頭を取って集団のイニシアチブを握るような真似はできないはずだ。
だから宝太郎も蘭子ももうルルーシュの掌の上で踊らされることはない。そう信じたい。
しかしそれは今や過去のものとなった。もうルルーシュが音頭を取って集団のイニシアチブを握るような真似はできないはずだ。
だから宝太郎も蘭子ももうルルーシュの掌の上で踊らされることはない。そう信じたい。
「しかしお前たちはルルーシュの指示でアビドス高校探索を頼まれた…敢えて悪しざまに言ってしまうが命じられてここまで来たわけだろう?
疑いたくはない。でも、アビドスにあるレアアイテムや情報といった成果物が結果的にルルーシュに渡る可能性がないとまでは言えないんじゃないのか?」
疑いたくはない。でも、アビドスにあるレアアイテムや情報といった成果物が結果的にルルーシュに渡る可能性がないとまでは言えないんじゃないのか?」
「彼に懇願されても絶対に断れる?気づかない間にギアスを掛けられてて彼の操り人形にされないって今でも胸を張ってそう言える?
あなたたちのことは信頼してる。でも人格を信頼することはできても行動とその先にある結果を完全に信用しきることができないのよ!」
あなたたちのことは信頼してる。でも人格を信頼することはできても行動とその先にある結果を完全に信用しきることができないのよ!」
イザークを隊長としたアビドス高校探索を発案したのはルルーシュだった。
メンバーの振り分けこそ各々の希望を取り入れたものとなってはいるが、行動指針の大枠は全てルルーシュが一人で決めて宝太郎たち他のメンバーが追認する形となっている。
事実上の独裁を目論んでいたルルーシュの計画となれば、宝太郎と蘭子にその意思がなくても結果としてルルーシュにアビドス探索での成果物が渡るような遠大な布石を打っている可能性が高い。
対主催であろうと邪魔、あるいは己に逆らったというだけで中傷も謀殺も辞さない男にゲームの行方を左右するアイテムなり情報なりを渡すというのはリスクでしかないのではないか?
それでも可能な限り宝太郎と蘭子を信じたい。だからシェフィは一つの案を持ちかけることにした。
メンバーの振り分けこそ各々の希望を取り入れたものとなってはいるが、行動指針の大枠は全てルルーシュが一人で決めて宝太郎たち他のメンバーが追認する形となっている。
事実上の独裁を目論んでいたルルーシュの計画となれば、宝太郎と蘭子にその意思がなくても結果としてルルーシュにアビドス探索での成果物が渡るような遠大な布石を打っている可能性が高い。
対主催であろうと邪魔、あるいは己に逆らったというだけで中傷も謀殺も辞さない男にゲームの行方を左右するアイテムなり情報なりを渡すというのはリスクでしかないのではないか?
それでも可能な限り宝太郎と蘭子を信じたい。だからシェフィは一つの案を持ちかけることにした。
「二人ともお願い。今ここで王様戦隊…せめてルルーシュとは手を切るって約束して。それだけで証明できることがあるの!」
ルルーシュによる盤面の支配を担保するだけの組織に過ぎなかった王様戦隊に大義なし。
それが姫和、小夜、シェフィの共通見解であったが、事実が暴露された以上王様戦隊から抜ける者だっているはずだ。
宝太郎と蘭子にこれ以上ルルーシュを担ぐ意思がないのであればまた共に歩むことだってできる。だから手を伸ばす。
それが姫和、小夜、シェフィの共通見解であったが、事実が暴露された以上王様戦隊から抜ける者だっているはずだ。
宝太郎と蘭子にこれ以上ルルーシュを担ぐ意思がないのであればまた共に歩むことだってできる。だから手を伸ばす。
「……ごめん」
仲間との絆(ガッチャ)。普段の一ノ瀬宝太郎であれば間違いなく一もにもなく手を伸ばす。
けれど他の仲間を切り捨てることを前提とした絆は選べない。一ノ瀬宝太郎とはそういう少年だから。
けれど他の仲間を切り捨てることを前提とした絆は選べない。一ノ瀬宝太郎とはそういう少年だから。
「やっぱり俺、あの映像だけで全部を決められない。
直接ルルーシュに会って、本当のところを確かめないと納得なんてできない!あと文句だって言いたいし!」
直接ルルーシュに会って、本当のところを確かめないと納得なんてできない!あと文句だって言いたいし!」
「えっ!?一ノ瀬さん、それは……」
全てをイザークたちに任せて自分は何もしないなんて選択はできない。
自分でルルーシュの真意を確かめなければ本当のガッチャは掴めない。
だがそれは内心では小夜たちに引き続き同行した方が良いのではないかと考えていた蘭子と必ずしも一致するものではない。
自分でルルーシュの真意を確かめなければ本当のガッチャは掴めない。
だがそれは内心では小夜たちに引き続き同行した方が良いのではないかと考えていた蘭子と必ずしも一致するものではない。
「十条たちはアビドスでレアアイテムや運営に繋がる情報を探してほしい。
今の俺たちがそれを見ちゃうことが危ないっていう考えもわかるから、十条たちに託したいんだ。
それにメラに人質にされてる子がいるなら何時間かかるかわからない探索をやってる時間はないと思う。ここからひみつ道具博物館側は遠いし」
今の俺たちがそれを見ちゃうことが危ないっていう考えもわかるから、十条たちに託したいんだ。
それにメラに人質にされてる子がいるなら何時間かかるかわからない探索をやってる時間はないと思う。ここからひみつ道具博物館側は遠いし」
宝太郎が提案したのは当初の目的だったアビドス高校探索を姫和たちに託して王様戦隊である自分たちはその任を放棄、ルルーシュや他の王様戦隊との合流を目指すというものだった。
メラの要求が王様戦隊全員による己への挑戦である以上どのみち次の放送までに全員が一度集結する必要がある。
現在ルルーシュが向かっていたひみつ道具博物館方面から最も遠くにいる宝太郎と蘭子が探索に参加していては約束の時間に間に合わないという判断だ。
メラの要求が王様戦隊全員による己への挑戦である以上どのみち次の放送までに全員が一度集結する必要がある。
現在ルルーシュが向かっていたひみつ道具博物館方面から最も遠くにいる宝太郎と蘭子が探索に参加していては約束の時間に間に合わないという判断だ。
もちろんこれは小夜や姫和たちが求めるようなルルーシュとの関係をこの場で切るというものではない。
この期に及んでルルーシュとの関係の維持を明言する以上、疑いの目で見られることは仕方ない。だからどのみち宝太郎と蘭子はアビドスの地下にあるであろう成果物に触れるわけにはいかない。
だからこそ信用できる小夜たちにレアアイテムと情報を託すのだ。そして自分たちはもう一度信じてもらうためにこれからの行動で身の証を立てる。
この期に及んでルルーシュとの関係の維持を明言する以上、疑いの目で見られることは仕方ない。だからどのみち宝太郎と蘭子はアビドスの地下にあるであろう成果物に触れるわけにはいかない。
だからこそ信用できる小夜たちにレアアイテムと情報を託すのだ。そして自分たちはもう一度信じてもらうためにこれからの行動で身の証を立てる。
「人質……そうだよね。わかりました、私も行きます!皆さん、すみませんがアビドスの探索をお願いします!」
宝太郎に言われて蘭子も救うべき命があることを思い出した。
少なくともメラを倒すまでは王様戦隊として行動しなければならない。そうすることで他の参加者に対して示せる誠意があるはずだ。
少なくともメラを倒すまでは王様戦隊として行動しなければならない。そうすることで他の参加者に対して示せる誠意があるはずだ。
「わかった。こちらは任せろ」
「じゃあ行ってくるよ。ゴルドダッシュ、頼む!」
『ダーッシュ!』
バイクの二人乗り運転は違法だがここは日本ではなく法秩序の存在しない殺し合いのフィールドだ。
迷わずゴルドダッシュに宝太郎が跨り、やや小夜たちに後ろ髪を引かれる思いを抱きながらも蘭子がそれに続いた。
砂漠地帯であっても走破性能を損なわないゴルドダッシュはあっという間に残された三人の視界から消えていった。
迷わずゴルドダッシュに宝太郎が跨り、やや小夜たちに後ろ髪を引かれる思いを抱きながらも蘭子がそれに続いた。
砂漠地帯であっても走破性能を損なわないゴルドダッシュはあっという間に残された三人の視界から消えていった。
「一ノ瀬に先に言わせてしまったな……」
『悪いけどここからは別行動を取らせてほしい。アビドスの地下には立ち入らないでほしい』。憎まれることを覚悟で姫和はそう切り出そうとしていた。
宝太郎はきっと姫和のそういう心中を察していた。だから余計な罪悪感を抱かせないように自分から別行動を提案したのだ。
これで本当に良かったのだろうか。そう思うのは姫和だけでなく、小夜もシェフィも同じだ。
しかし時間を戻すことはできず、選んだ道を引き返すこともできない。
せめてできることがあるとすれば、アビドス高校で戦局を覆すほどの装備や情報を手に入れることだけだろう。
宝太郎はきっと姫和のそういう心中を察していた。だから余計な罪悪感を抱かせないように自分から別行動を提案したのだ。
これで本当に良かったのだろうか。そう思うのは姫和だけでなく、小夜もシェフィも同じだ。
しかし時間を戻すことはできず、選んだ道を引き返すこともできない。
せめてできることがあるとすれば、アビドス高校で戦局を覆すほどの装備や情報を手に入れることだけだろう。
☆
宝太郎と蘭子を乗せたゴルドダッシュはD-10の橋を経由し、他の多くのランドマークと同じく破壊の痕跡が見られる美濃関学園近くを通っていた。
最短距離はアビドス高校からそのまま南下することではあったが、たった二人だけでメラの本拠地周辺を通るのは流石に危険すぎるという判断があった。
だからだろう。同じことを考えた参加者と遭遇する可能性が高いルートを通ったのは。
最短距離はアビドス高校からそのまま南下することではあったが、たった二人だけでメラの本拠地周辺を通るのは流石に危険すぎるという判断があった。
だからだろう。同じことを考えた参加者と遭遇する可能性が高いルートを通ったのは。
『ダ、ダーッシュ!?』
「ゴルドダッシュ、どうした!?」
「もしかして、敵が……!?」
最も早く敵性存在を感知したのは純粋な魂を持つケミーのゴルドダッシュだった。
本能が危機を察知し急停止、宝太郎と蘭子もその急な動きに振り落とされることなくバイクを降りた。
本能が危機を察知し急停止、宝太郎と蘭子もその急な動きに振り落とされることなくバイクを降りた。
「おっ?おいおい、まさかこんなところで主役様とご対面とはなあ」
前方からゆったりと歩いてきたのは眉目秀麗な青年だった。
金髪碧眼の整った顔立ちだが内にある底知れぬほどの悪意が顔から、いや全身から滲み出ている。
宝太郎にとって初対面ではある。しかしその容貌は亡き星野瑠美衣に酷似している。つまりはこの男が―――
金髪碧眼の整った顔立ちだが内にある底知れぬほどの悪意が顔から、いや全身から滲み出ている。
宝太郎にとって初対面ではある。しかしその容貌は亡き星野瑠美衣に酷似している。つまりはこの男が―――
「お前がセレブロか!」
「星野瑠美衣から聞いてたのか?それなら話が早くて助かる」
「何が助かるだ!よくも九堂を……!」
セレブロ。他者の肉体を乗り移る怪異にして九堂りんねの仇。
言うまでもなく殺人者(マーダー)であり、故にこれ以上の会話はない。
言うまでもなく殺人者(マーダー)であり、故にこれ以上の会話はない。
「変身!!」
《ガッチャーンコ!ファイヤー!スチームホッパー!アッチー!》
「変身!」
《ゼロツーライズ!》
迷うことなく変身し、ファイヤーガッチャードデイブレイクとゼロツーとなった。
そう来なければとセレブロが口角を上げるとこちらも変身ツールをセットした。
そう来なければとセレブロが口角を上げるとこちらも変身ツールをセットした。
《Belial.》 《Five king.》 《Zog-Ⅱ.》
仮面ライダーの変身ベルトとは異なる円盤状の変身アイテム。
しかし変身するのは光の戦士に非ず。光の戦士を絶体絶命にまで追い込んだ闇の化身である。
しかし変身するのは光の戦士に非ず。光の戦士を絶体絶命にまで追い込んだ闇の化身である。
「キエテ カレカレータ」
《CHIMERABERUS.》
現れたのは絶望を体現する怪獣・キメラべロス。
仮面ライダーや仮面ライダーと敵対する怪人たちとは異なる脅威は宝太郎らが事前にルビーから聞いていた情報にもない。
絶望的な戦いの幕が上がる。
仮面ライダーや仮面ライダーと敵対する怪人たちとは異なる脅威は宝太郎らが事前にルビーから聞いていた情報にもない。
絶望的な戦いの幕が上がる。
☆
―――知恵の実を食べた人間は、その瞬間より旅人となった。アルカナの示す旅路を巡り、未来に淡い希望を抱く……
―――しかし、アルカナは示すんだ。その旅路の先に待つものが、絶対の終わりだという事を。いかなる者の行き着く先も…絶対の死だという事を!
ジャラ、ジャラという、鎖を引きずるような音を聞いた気がした。
アビドス高校の地下からさらに地下、魔獣装甲のエケラレンキスの守護領域に踏み入ろうとしていた姫和たち三人は前方に何者かの存在を感じ取った。
アビドス高校の地下からさらに地下、魔獣装甲のエケラレンキスの守護領域に踏み入ろうとしていた姫和たち三人は前方に何者かの存在を感じ取った。
「あれは……NPC?」
守護領域を守るように立つのは並のNPCとは存在感から違うと感じさせる怪物だった。
ボロボロのコートを纏い、上半身に鎖を巻き、両手にはハンドキャノンと見紛うほどの巨大な銃を手にしたそいつが友好的な存在であるはずもない。
名称は刈り取るもの。三回目の放送を機に天使の霊廟を利用せんとする参加者の新たな試練として再配置された、ボス級NPCだ。
ボロボロのコートを纏い、上半身に鎖を巻き、両手にはハンドキャノンと見紛うほどの巨大な銃を手にしたそいつが友好的な存在であるはずもない。
名称は刈り取るもの。三回目の放送を機に天使の霊廟を利用せんとする参加者の新たな試練として再配置された、ボス級NPCだ。
――― メギドラ ―――
刈り取るものの頭上から光が満ちる。
それが破滅の光であることはこれまで生き残ってきた三人にも瞬時に理解できた。
全員即座に退避。一瞬の後、地に叩きつけられた光が爆ぜ、衝撃波が発生した。
それが破滅の光であることはこれまで生き残ってきた三人にも瞬時に理解できた。
全員即座に退避。一瞬の後、地に叩きつけられた光が爆ぜ、衝撃波が発生した。
「やるしかないようだな」
「トランスマジア!」
全員が戦闘態勢に移行。しかしその傍らに空色の錬金術師の姿はない。
先の神将との戦いで蓄積した疲労もダメージも癒えてはいない。ケミーの力を借りることもできない。
厳しい戦いが幕を開けるが逃げるという選択肢はない。こいつさえ倒せば目的地に辿り着けるのだ!
先の神将との戦いで蓄積した疲労もダメージも癒えてはいない。ケミーの力を借りることもできない。
厳しい戦いが幕を開けるが逃げるという選択肢はない。こいつさえ倒せば目的地に辿り着けるのだ!
| 220:やっぱりオレが悪意の■■■■■■ | 投下順 | 221:Rの散華/ユメノオワリ |
| 214:解けない正解の命題を求めて | 時系列順 | |
| 208:あなたを信じてあなたに託す | 一ノ瀬宝太郎 | |
| 華鳥蘭子 | ||
| 十条姫和 | ||
| シェフィ | ||
| 水神小夜 | ||
| 205:大天使戦役・終章 -一切を 存分に喰らい尽くして- | セレブロ | |
| 214:解けない正解の命題を求めて | グラファイト |