ポケモンコマスター
【ポケモンコマスター】
ジャンル
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ボードゲーム
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対応機種
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Android・iOS
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配信元
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ポケモン
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開発元
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HEROZ
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配信日
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Android:2016年4月12日 iOS:2016年4月19日
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配信終了日
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2019年10月31日
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ポイント
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ポケモン初のソーシャルゲーム 度重なるインフレ環境
諸悪の根源デオキシスPT
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概要
ポケモンのデジタルボードゲームアプリ。任天堂ゲーム機では発売されず、スマートフォン専売ゲームとなっている。
先駆者にポケとるがあるが3DSからの移植のため、本作がポケモン史上初の完全新規IPによるソーシャルゲームとなる。
ルール
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2007年に海外で発売された「ポケモントレーディングフィギュアゲーム」がベースとなっている。
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プレイヤーは上下一方のエリア側につき6体のポケモンを模したフィギュアをコマとして、すごろくのようなマスで結ばれたフィールド上を移動させていく。
コマは、移動数を示す「MP」と戦闘時に用いる能力「ワザ」を持つ。ゲーム開始時点ではコマはフィールド外にある「ベンチ」エリアに置かれている。
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ゲームは持ち時間付きのターン制で進行し、ターン開始時にベンチにいるコマ1体をフィールド上の特定マス「エントリーポイント」に配置するか、既に配置されたフィギュア1体を「MP」のマス数だけ進めることができる。
また、所持アイテム「プレート」を使用すると、フィールドやコマに特殊効果を与えることができる。
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お互いのフィギュア同士が隣接すると戦闘が可能となり、各フィギュア固有のルーレットが回転し、針が指したワザを実行し、勝敗は数字の大小のほか項目の背景色によっても決まる。
敗北したフィギュアは気絶してフィールド外のエリア「P.C」に移され、一時的に使えなくなる。
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移動マス周辺が相手のコマだけで移動不可となった際、「包囲」となり、倒した扱いと同様P.Cに移動される。
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勝利条件は相手ゴールに自身のコマが到達するか、相手のエントリーポイントを自身のコマで塞いだ状態(コマを動かすことが出来ない状態)でフィールドから相手コマを全て追放することで勝利となる。
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それぞれのプレイヤーは「プレート」という手札に持つ形で自ターンに使用可能なアイテムが使用可能。
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相手のコマを飛び越えた場所に移動出来る「ハードルジャンプ」、フィールド上に居る自分のコマと位置を入れ替える「ポケモンいれかえ」、相手のルーレットを1回だけリスピンさせる「ひかりのこな」等。
他に、特定のタイプに対して特定の効果を付与する「◯◯エナジー」等の準~専用プレートも登場している。
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フィギュアの性能は一律だが、同じポケモンとレアリティが一致していれば、好きなワザの威力を1上げる(所謂凸)ことができ、最大10凸まで可能。
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経験値も設定されており、レベル上がる度に赤マスを削って別のマスの判定を広げることが可能。ポケモンによってはミスを0にすることも可能。
技の判定
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白マス
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最も基本的なマス。数字が大きい方が勝つが、文章に記載された効果で覆ることもある。
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紫マス
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状態異常等の何かしらの効果を与える。ダメージ判定が無い代わりに★で判定され、紫同士では★が多い方の効果が優先される。
(少ない方は発動しない、★が一緒の場合は引き分けで何も起こらない。)
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金マス
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紫マス相手なら基本的に無条件で勝てる。代わりに威力が控えめなのが大半で、白マスには大半が火力負けする。
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青マス
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水色のマスで上記3つより判定が優先される。効果は防御や移動系が中心で基本的に相手を倒す効果は持たない。
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赤マス
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ミス。どのマスよりも弱く絶対に勝つことは無い。全てのコマに必ず導入されている。
評価点
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基礎設計のしっかりとしたゲームデザイン
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本家ポケモンより先に持ち時間制を導入して遅延行為を防いだり、AIによるオートプレイを導入する等、スマートフォンでの遊びやすさがしっかりしている。
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基本的には
マスの3すくみといった相性や、特殊効果を用いた戦術等、様々な構築が可能で良くも悪くも幅広い選択肢が導入されている。
相手を倒すことで数的有利を取ったり、相手の動きを止めて包囲することで戦わずに倒したり、相手のエントリーポイントを塞いで詰み状態にさせたりと、様々な戦術を組むことが出来た。
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本作の登場人物はいずれもオリジナルキャラクターではあるが、本家に負けず劣らずの個性豊かな面子となっている。
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主人公の相棒AI「カルロ」、
某QMAに名前もそっくりな
ヒロインの「シャロン」、正統派イケメンの「ルカ」、コマスターにハマりすぎた
行き遅れロリBBA
「ナジャ」、ある発言を残した「ロジャー」といった印象に残るキャラが多い。
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イベントも様々用意され、CPUイベ戦、アンコモン以下限定ルール、特定タイプ限定イベント等、様々な構築のやりがいがあった。
エイプリルフール企画に「魔改造された最強のビッパ」がCPU専用で実装され、実際に戦うことも出来た。
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対戦に勝利すればランダムで手に入るボックスが貰えたため、レアリティに応じたコマがランダムで手に入る。
確率こそ低いが、無課金勢でも運が良ければ高レアの入手機会があった。
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ポケモン公式大会のWCSには選ばれなかったものの、ゲーム内大会も活発に行われており、入賞に応じたトロフィーや無料ガチャチケットの配布が行われたりしていた。
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コマの造形も全体的に評価が高く、サ終後もアンストしなければ造形をいつでも楽しめる鑑賞機能を残される程、評価が高かった。
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最初期を除き、基本的に高レアが強いものの低レアでもひと工夫すれば活躍するポケモンもいた。
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すりぬけMP3のカゲボウズ、複数いると威力が上がるチルット、マスの配分が良く特定の相手にメタ性能を持つヤミラミ等が活躍していた。
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プレートと併せてテーマデッキ的なPTを組めたりする等、レパートリーも広く、環境後期では様々な専用構築を用いたPTも数多く見かけた。
賛否両論点
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ポケモンである必要性が薄い。
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このゲームにおけるポケモンはポケモンフィギュアを用いたコマであり、生物としてのポケモンは存在しない。
それだけならポケモンカード等、他の例もあるが本作の用語を含めポケモンの固有名詞が殆ど登場しないため疎外感が強い。
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タイプ相性やプレートの名称等、ポケモン用語は出てくるものの、ゲームシステムとしての活用が殆どのため、ゲームツールとしての側面が強く、無機質感が漂う。
ストーリーでのキャラ同士による会話もポケモンでなくても成り立つような内容になっている。
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ネームドキャラのキャラデザ評価は高いが、プレイヤー自身は1枚絵のモブ顔アバターであり会話には一切参加しない、姿も現さないと非常に殺風景。モブキャラに至っては姿も現さない。
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リリース初期にはオニスズメを始め一部のコモンが環境を制し、寧ろ最高レアのEXが軒並み雑魚評価で「低レア環境」という信じがたい対戦環境だった。
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その後はEXに相応しい強キャラも増えて、オニスズメ達の下方修正が行われた結果、低レア環境では無くなったが課金しなくても楽しめる環境だったため、リリース初期のスタートダッシュによる集客には一応の評価は出来る。
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MP1の存在意義を消失させたバランス調整
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MP3は高機動だが脆い、MP2はバランス型、MP1は鈍重だが高火力というバランスを取っていたのだが、ある時期を堺に
高火力のMP2
が主流となり、MP1の存在意義がほぼ消失した。
ポケモンの一部は進化システム導入後、MPが増えたり強化されたが、最終的に元MP1がMP2に調整されたりと、MP1の存在意義が否定されていた。
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ただし、ゲームスピードを高速化させるために意図的に高速環境とした側面もあり、環境後期はEXハガネールといった強力な性能を持つMP1も登場したため、一概に改悪と言い切れない点もある。
問題点
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基本ルールの概念が変わる特性・追加効果のオンパレード
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ワザの判定は上記の通りだが、追加されたコマのワザや特性で「高火力金マス」「特定のマスをミスに変える」「相手の金マスを白マスに変える」「
相手を道連れに除外する青マス
」といった例外処理を持つコマが日常茶飯事に登場した。
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ネクロズマ(あかつきのつばさ)に至ってはすり抜けMP2、高火力白マスに優秀な紫マス2つ、相手の金マスを白マスに変える特性etc...と
性能が盛りに盛られすぎて初戦じゃまず倒されないデタラメな性能を持ち、その性能から公式大会優勝者のデッキにも主力になっていた。
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最初期は何故か金マスが存在せず紫技が最強だったため、「MP3の★3移動技」を持つオニスズメが環境を制した。
対策に移動を防ぐイトマルも実装されていたが、ガチャの累積によるマテリアル引き換え限定だったため、課金勢でないと入手出来なかった。
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結果、対策法を知らないプレイヤーには「知らないうちにオニスズメが早々に自分のゴールに入って負けた」状況が相次ぎ、早々に見切りつけて引退した者も多かったため、本作が人気ソシャゲになることは無かった。
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日常茶飯事で行われるサイレント改悪といった問題ある運営対応
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「大々的に行う
予告の予告
」「報酬削減」「無料ダイヤの獲得機会削減」「バグによる補填無し」「オートプレイにしたらAIが自滅技使って不利になる」「対戦中に
何も前触れも無く唐突に敗北扱いになる
」といったプレイヤーに反感を買う不具合が出ても告知も謝罪も無く行われていたり、補填も行わなかった。
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最悪な形でストーリーが打ち切りになった
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ストーリーの展開でカルロの力を持って危機を脱した代償に記憶を失った状況でストーリーが終わった。
次回の追加アップデートで新ストーリー追加されるものと思いきや、運営が完全に対人戦特化ゲームに移行し、
サ終決定後含め、以後のストーリーが一切展開されなくなった。
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ストーリーもクリアすればプレイヤーのスタミナ上限が増える仕組みだったため、
追加されなくなったことで上限が増える機会が無くなった。
公式からの後日談も無く、どのようなシナリオだったのかも未完だったため、ポケモンでは珍しくバッドエンドで終わったタイトルとなった。
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ゲーム史上最悪のバランスブレイカー:デオキシス
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ポケモンどころかPvP形式のゲーム全体で観ても最低最悪なバランスブレイカー。
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当時の対戦環境は白70~100の火力が主流で、直近に白110のファイヤーに金100のサンダーが追加されていたが、カメックスやルギアにマニューラPT等、様々なデッキが構築されてほどよく賑わっていた。
…そんな中、
MP2で広範囲白130(デオA)、金マス無効広範囲紫マス&20以上の相手を全て返り討ち(デオD)、初手はMP4で移動し、2ターンで相手のゴールorエントリーポイントに辿り着く(デオS)
デオキシス(のフォルムチェンジ)が登場した。
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それぞれ性能に一長一短があるが、アイテム「コスモエナジー」により、
相手が攻撃したら、控え含む自分の好きなデオキシスと入れ替えてから対戦する
ことで終始有利対面が可能となり、
デオキシスだけ後出しジャンケンやっている
状況となっていた。
また、何故かデオキシスには「
このポケモンにはデッキの3体制限ルールは適用されない
」例外が適用されておりデオキシスのみでデッキが組むことが出来た。それにより
「コスモエナジー使用後、デオSが2手で相手のゴールかエントリーポイントを塞ぐ位置まで移動」「相手が攻撃してきたらデオAに交代」「
デオAがひかりのこなと全く同じ特性でリスピンするか選べる
(
無制限
)」
「万が一失敗しても、入れ替わったデオSが再度向かってくる」「相手が追い詰めてきたらデオSが自軍ゴールに移動」「攻撃されたらデオDに入れ替わって自衛」「
自衛出来たら包囲で処理
、
失敗しても再びデオSでゴールに移動し、無事なデオAかデオDで自衛
」「やられたデオはげんきのかたまりで蘇生」
…このような有り様が当然のようにまかり通り、対策法が誇張抜きで事故を祈るくらいしか対策出来なかった。(状態異常は小さな青マスがミスに変わる程度だったため対処法になってなかった。)
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デオAは一応のデメリット技「次元スリップ」持ちだったが、環境で一番数が多い紫★2だったため、引き分けになることが多かった。下方後は★3になった。
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上記の性能により、デオキシスを持っていない側は90%以上の確率で負ける、ミラーマッチだと上記の仕様故、待ちゲーが有利となることで延々と続く泥仕合となり、相手が手を出すまで反復横跳びを行うゲームとなり、ゲーム性そのものを全否定されていた。
運営もユーザー離れが相次いて危惧されたのか、基本的に起こり得ない「課金キャラの下方修正」という例外中の例外が発生する事態に陥った。
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このような有様となったのは、コマスターの海外展開が本格的に始まり、途中から始めても新規層が古参プレイヤーに対抗出来るために
課金して数を揃えば勝てる
キャラとして追加され、文字通り、金の暴力が罷り通る廃課金仕様のコンセプトPTとなってしまった。
上記の凸と合わさって、最終的に完凸したorしないのデオキシスミラー合戦となり、金の力で勝敗が決まる、Pay to Winな対戦環境だった。
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デオキシス導入後は、今まで環境にいたEX含む全コマの95%近くが軒並み役立たずとなり、愛用していたプレイヤーからは苦労してガチャや課金で頑張って集めたコマがゴミ同然となったことで引退したプレイヤーも相次いだ。上記のカメックス達もデオキシス実装後は入れ替わる形で消失した。
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実装当時に対抗出来たのは「デオS以外には高確率で引き分けに持ち込めるミュウ」「ひ弱だが★1の状態異常を持ち、デオAは殴り損になるカゲボウズ」「
同じくぶっ壊れで、その数だけルーレットをやり直させるランクルス
」等、ごく僅かでしか引き分け以上に持ち越すことが出来なかった。
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その後に追加されたキャラはデオキシス対策を意識した性能が増えたが、完全抑制する程ではなく
寧ろ新たな強キャラが増えただけ
だった。その面子もエナジーと組み合わせて突破率の高いジュカインやビリジオン、
ダメージを半減させる特性+相手を仕留める紫技+すり抜け移動のルナアーラ、「
控えから入れ替わり、白マス90+威力110以上は問答無用で返り討ちにするゾロアーク
」と
インフレ合戦となり、新たなバランスブレイカーが相次ぐ状況だった。
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後にカラマネロ実装時「同キャラ全員眠り状態にする」効果でデオキシスメタ性能かつ強すぎない、デオキシス環境を完全に終わらせるコマが登場したことで歓喜の声が挙がった。
…その僅か12日後に周辺の眠り状態を無効化するカプ・コケコが実装された。
コケコ自身も有能なMP3も相まってデオキシスは復権。
カラマネロは入れ替わる形で環境から姿を消した。
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最終的にデオキシス環境を終わらせたのは、コマスター対戦環境全体のインフレ調整で、デオAの攻撃が平均的な火力になったことで長所を消失。
新レアリティ:UXが実装されインフレが進む一方、デオキシスはUXが追加されないままとなり、「昔は強かった」的な扱いで対戦環境から去った。
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非課金勢を追い出し、サ終の原因となったプレイヤーパス導入
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海外の仕様に合わせ、ガチャ制度を廃止と引き換えに導入された。
所謂サブスク制課金であり、課金すれば様々な特典に加え、一定数であれば好きなコマと直接引き換え可能、早期購入特典限定のコマ配布…といったサービスが受けられた。
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要するに今までガチャで時間も金も苦労もかけたコマを直接手に入る上、早期購入特典のセレビィが新たなバランスブレイカーなのも相まって、このゲームで勝つにはプレイヤーパスの加入が必須となってしまった。
非課金勢に関する救済は無し。それどころかガチャが廃止された分、コマの入手機会が減った。そのため非課金勢がコマを手に入れるには
圧倒的強コマ+完璧に構築された課金勢相手に万が一の確率で勝つか、都合よく非課金勢同士とマッチングして勝利する
のどちらかでしか入手する機会が無かった。
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至極当然のことだが、理不尽な戦いに嫌気が差して引退したユーザーも相次いだため、時間が経つ程非課金は姿を消すため、ますます勝ち目が無くなっていった。
その結果、導入から数カ月後にサービス終了が発表、約半年後に本作のサービスが終了してしまった。
総評
ポケモン初のソーシャルゲームとして誕生し、注目を浴びたポケモンGOの繋ぎとしてプレイする層もいたが、本作の独自性が評価され、海外展開が行われる等、一定の評価があった。
それだけにプレイヤーの神経を逆撫でる対応やバランス調整といったゲーム内外含む様々な問題、サイレント改悪に度重なるインフレ環境や
多々買わないと生き残れない
課金至上環境といった有り様で
数少ない固定プレイヤーもとことん客足が離れていき、DeNAから配信されたポケモンマスターズとほぼ入れ替わる形で約3年の月日を経てサービス終了した。
ゲームバランスこそ酷いものの基礎設計は優れていたため、バランス調整を行った上でSwitch等のオフライン移植版を期待されているユーザーもいるが、現時点でそういった話は一切出てこない。
総括すると「材料は非常に優れていたが、調理人の腕前が酷い」といった表現に相応しいゲームとなってしまった。
余談
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様々なインフレがあった本作で、一度も上方が無かったにも関わらず、サ終まで現役活躍できたアンコモン:ビブラーバがいる。
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性能面ではブロッカーで、MPを減らしたり混乱状態の紫技を併せ持ち、加えて唯一無二の特性「振動音」が、隣接したら強制的に相手の番が終了となる強力な効果を持つ。
つまりビブラーバを倒すには最低2手以上要することとなり、ゴール近辺に居座ると身動きが取れない厄介さを見出していた。
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加えて、アップデートでZワザが実装された際、地面タイプは相手をバトル相手を高確率で気絶させる効果を入手し、動けない相手を仕留めるスイーパー的な役割も可能となった。
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環境トップこそなれなかったが、本人自体は強化されないまま仕様変更による強化の末、アンコモンでありながら長きに渡って最後まで現役で活躍出来たことで「ポケモン史上最強のビブラーバ」と評価されている。
ちなみに進化システムでフライゴンに進化・強化も可能だったが、「振動音」が消失するため進化目的で使われることはあまり無かった。
最終更新:2025年04月11日 15:20