ALTER EGO

ALTER EGO

【おるたえご】

ジャンル 自分探しタップゲーム
対応機種 Android7.0以上/iOS11.0以降
メディア ダウンロード
発売元 カラメルカラム
開発元 カラメルカラム
発売日 2018年12月28日(Android版)
2019年1月3日(iOS版)
定価 基本無料(一部課金あり)
プレイ人数 1人
セーブデータ 1個
レーティング 12歳以上(Android版)
9歳以上(iOS版)
判定 良作

概要

クリッカーゲームのシステムをベースに、自我にまつわる文学の一節を読んだり心理テストを行って貰い「自分探し」をする触れ込みのゲームとなっている。 特定の条件でたまっていくEGOポイントを使って、シナリオを進めたり心理テストを受けていくのが大まかな流れ。

登場人物

  • 主人公
    • プレイヤーの分身で具体的な姿は作中ではあまり明かされない。
    • 作中で自発的にしゃべる事はなく、選択肢を選ぶことでエスに意思表示したり、エスに心理テストをしてもらったりする。
  • エス
    • 中世の貴族のようにも軍服のようにも見える衣装に身を包んだ黒髪の女性。
    • 大量の書籍が置いてある部屋におり、呼吸をするように本を読み漁っている。おもに選択式の心理テストを介して主人公を診断してくれる。
    • 基本的には落ち着いた口調でしゃべるが、若干精神が不安定気味で気に入らない存在に対しては口が悪くなる。
      • シナリオ上にてプレイヤーに暴言をいうことは基本ないが、エスの立ち絵をタップしつづけると迷惑がって罵倒してくるようになる。
  • エゴ王
    • プレイヤーがシナリオの節目を超えるとプレイヤーに何かしらを話しかけてくる存在。
    • 外見は古代ギリシャの彫像で作られたかのような「顔面」。道をまるまるふさぐ大きさで、左半分が男性、右半分が女性。
    • エスとのやりとりについて助言や警告を発してきたり、ゲームの進捗を褒めてくれたりする。なお男性・女性がめいめいに人格を持ち別々にしゃべる。
    • エスと直接やりとりしているシーンは作中には出てこないが、エスに対して「規範の遵守」を求めているため、彼女からは心底嫌われている。

システム

EGOについて

  • 基本的なシステム
    • EGOというポイントをためることでゲームが進捗していく。EGOは、1000A=1B、1000B=1C、1000C=1D…といった要領で桁が上がっていく。
    • アプリをオフにしていてもEGOはたまっていくが、本作の「探求」というモードで見られる、後述の「本」のページや「吹き出し」をタップすることでもたまっていく。
    • タップだけでは効率よくたまっていくとは限らず、時にはゲームのアプリをOFFにしてEGOが溜まるのを待つことも重要になる。
    • 一定量のEGOをためることで名著を「読み始める」ことができる。読み始めるとそのぶん一定時間ごとに自動で、EGOポイントをより多く得られるようになる。
    • 対応した本のアイコンをタップすることで、EGOを消費して読んでいる本のページもめくっていける(実際にその本の内容を深く読んだりする必要は無い。またページは前にはまき戻せない。)
    • 1ページめくるごとにたまるEGOのスピードが少しずつ増えていくほか、一定量のページをめくるとその本の「理解を深めた」ことになりその本によるEGOの増加スピードが大幅に上昇する。
      • すばやく数10ページ単位でめくっていきたい場合は、本のアイコンを連打ではなく長押しすればいい。
      • 具体的には名著のイラストの下にある白いゲージが灰色に染まりきるまでページをめくると理解が深まる。
      • 最後まで本のページをめくると読破したことになり、これ以上ページをめくることはできなくなる。
        + 名著(および著者)一覧
      • 人間失格(太宰治)
      • デミアン(ヘルマン・ヘッセ)
      • 山月月(中島敦)
      • 変身(フランツ・カフカ)
      • 狭き門(アンドレ・ジッド)
      • はつ恋(イワン・ツルグーネフ)
      • 草木塔(種田山頭火)
      • 坑夫(夏目漱石)
      • 地下室の手記(フョードル・ドストエフスキー)
      • シーシュポスの神話(アルベール・カミュ)
      • フランケンシュタイン(メアリー・シェリー)
      • 不思議の国のアリス(ルイス・キャロル)
      • 星の王子さま(サン=テグジュペリ)
      • ポー詩集(エドガー・アラン・ポー)
      • ドグラ・マグラ(夢野久作)
        • 下に掲載されている名著のほうが、読み始めたり読み進めるのに大きなEGOを消費し、また得られるEGOも大きい傾向がある。
    • 吹き出し
      • ゲーム中の「探求」というコーナーでは、主人公はひたすら暗く黒い道を奥へと進んでいくが、それにあわせて吹き出しが手前に向かってくる。
      • 吹き出しの内容は主に、「今読んでいる名著」の有名な一節からとられている。シナリオの進捗によってはエスの心の叫びだったり、エゴ王の教戒のメッセージが混じることもある。
      • 吹き出しをタップすると一定量のEGOを入手できる。タップせずに放置していると消えてしまう。
        • 吹き出しから得られるEGOの量は、名著の読書状況によって変化する。吹き出しは消える直前のものをタップすると、通常の1.6~2倍ほどのEGOが得られる。
        • エスの叫びなど、通常とは異なるふきだしをタップするとEGOの獲得量が大きい。
        • またふきだしを一定量タップしていると、大量のふきだしが一挙に押し寄せてくるような一種のボーナスタイムが発生したりする。
    • 実績によるEGO入手
      • 「読んだページの数」「吹き出しをタップした回数」に応じて、EGOの獲得速度が2倍になる。
      • 「広告を見た回数」「目標を達成した回数」「ゲームにログインした日数」で数時間分のEGOをブーストとして得られる。
    • 周回要素
      • エスとのやりとりを最後まで進めると一応エンディングとなるが、1周目ではベストなエンディングにはたどり着けない。
      • なお2周目以降の心理テストは再度受けなおしてもいいが、スキップすることが可能。
    • 広告要素
      • 青いチョウをタップすると広告を見るかたずねられる。広告を見ることで、吹き出しがでてくる通路のチョウからは30分間得られるEGOが3倍となる特典をもらえ、エスの部屋に出てくるチョウからは、数時間分のEGOを一括にもらえる特典あり。

    エスとのやりとり

    • イベントの進捗として
      • EGOが一定量たまると、書庫にいるエスと、イベントを進めることが可能になる。またこのイベントを終えるとEGOの獲得スピードが上がる。
      • ただ彼女の悩みからくる話に耳を傾けたり、エスの問いかけに3択の選択肢を選ぶ形で答えたりもあるが、心理テストも実施して貰える。
      • エスの発言は「ふきだし」で1文ずつ表示される形式をとるので、どこかをタップすることで先に話をすすめていくことができる。
      • ストーリーとしては3章の会話を最後までクリアすることで1周クリアしたことになる。1章ごとに行われるエスとのやりとりはおおむね10回前後。
    • 心理テスト
      • 「あなたは○○なタイプであるか」といった性格分析でよくあるタイプの問いや、「否かゲーム中に提示されるイラストの登場人物の心理や物語の結末」について3択から選んで答えることになる。
      • 思いついた一言を書き込んでみたり、10択ほどある言葉から自分の直感に近いものを選び続けるといった変り種もある。
        • いずれも正解はなく、プレイヤーが思いうかべるものに最も近い答えを選んでいけばいい。
      • 回答をもとにどういうタイプに該当するか、現実的にどんな悩みに直面しやすいかなども診断してもらえる。
      • 結果が気に入らない場合、動画を見ることで心理テストをやりなおすことも可能。

    課金要素

    • 買いきり形式でガチャは存在しない。
    • タップによるEGO獲得量1000倍する(320円)。
    • 本によるEGOの獲得量を10倍にする(320円)。
    • 広告・動画の視聴を不要にする(320円)。
    • クリア後の時間軸をもおに、セリフの吹き出し20程度の分量の追加シナリオや、エスに眼鏡をかけてもらうといった特典(それぞれ480円、800円、1100円、1600円)。

    評価点

    • 自分さがしというテーマについて
      • どこまで参考になるかはプレイヤーにもよるだろうが、心理テストはしっかりしたつくりであり、きちんと現代の研究結果に応じた分類分け、診断もしてくれる。
      • 心理テストをしてくれるクリッカーゲームという触れ込みでプレイすることにはなるが、本作はさらにエスのキャラクター性を大きな特長としている。
        + ネタバレ
      • エスは序盤はプレイヤーを的確に分析してくれるのだが、中盤以降彼女自身もまた自分という存在について深刻に思い悩んでいる側面が浮き彫りになってくる。
        • 彼女は最終的にプレイヤーをかけがえの無い存在だと認識していき、最良のEDを迎えた後はソウルメイトのようなやりとりをするに至る。
      • エスも自分とは何か、といった問いにきちんと結論を出した上で主人公に感謝してくれる。
    • 美術的要素
      • 広告のための青いチョウを除けば、本作は物体も登場人物もすべてモノクロで表現される。
      • 心理テストに出てくるイラストもどこか素朴で味わいのあるデザイン。
      • ピアノを主体としたBGMも聴き応えがある。
      • 「エスとみつめあう」「エスと読書」という2曲は本編でよく聞くことになる*1が、いずれも落ち着きがありつつもどこか孤独をかきたてるような雰囲気がある。
    • 読書の入門材料として
      • エスが読書家であることを反映してか、名著は実際にゲーム中の「記録室」にて情報(著書の概要や、有名な一節など)を閲覧できる。
        • なお情報はページを読み進めるほどに詳細になっていく。全部はさすがに分からないが、あらすじや要約などを簡単に紹介してくれており、その本を実際に読んでみるきっかけとしてはかなり有用な情報と考えられる。
      • 真ED後には、エスからも該当の本を借りて一定時間たった後に返せるが、このとき本についてのエスの感想も聞けるので名著に対するひとつの切り口としては参考になる。
    • UI関連
      • 「探求」「エス」「目標達成」のコーナーに分かれてはいるが、何か進捗させられるコーナーは青いチョウのマークがついてお知らせしてくれるのでゲームを進めるときに便利。

    賛否両論点

    • ゲームの進行バランス
      • 吹き出しをタップすることによりEGOがたまるシステムを使っている(なにもないところをただタップしてもEGOがたまらない)ため、とりあえず画面を一心不乱にタップしてEGOを稼ぐようなプレイングはできない。また吹き出しが常に安定したペースで得られない性質上、適度に休みを挟まなくてはならない。
      • 早くクリアしたい人には気になるポイントと思われるが、多少ゆっくりのペースでシナリオを進めたほうが、エスとゆっくり絆を深めていくような雰囲気は出せる。
        • なおタップがまるで無意味になるような場面はあまり存在せず、また2周目以降は1周目よりも早めにEGOがたまるように調整されているので、周回プレイへのモチベーションはそがれにくい。

    問題点

    • 開始時のロードが終盤から長くなる
      • 本アプリを始めて間もないうちは問題ないが、エンディングを2回迎えた頃になると、アプリを起動しても10秒くらい暗転して固まっていることがある。
    • 広告をスキップしたとき
      • 大きな問題といえないが、青いチョウを触ったときに広告を見るか見送るかを聞かれるが、見送ってしまうとしばらく青いチョウが現れなくなってしまう。
      • とりあえず広告視聴を保留したい場合なのにうっかり青いチョウを触ってしまったりすると不便。

    総評

    モノクロとピアノをベースにした独特な美術センスが特徴。操作自体に難しい要素はないが、本気で自分について悩むエスの問いに答える形で「自分とは何なのか」プレイヤー自信が考え、等身大に悩むことができる作品。

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    最終更新:2024年07月15日 08:34

*1 YouTubeでもカラメルカラムの公式のアカウントから視聴可能