奥伝達の『燃やす』動詞の能力は極めて強力な動詞になる。
基本的に相手の肉体そのものに直接攻撃できないのがウェルベルムの能力の基本。
精神干渉の類であれば縁を『切る』、心を『開く』と言った動詞は存在するものの、
少なくとも達の『燃やす』でそういった行為をすることはできないが、シンプルゆえの強さがある。
相手の衣服や身近なものを燃やすことによる延焼によって、実質相手に使用することが可能だ。
ついでに言えばこの舞台は空に浮かぶ島。海や水辺が地図を見る限りはほぼないとみていい。
トラックですら一瞬で全部燃え上がらせることができるため、決まれば極めて強力な能力だ。
相手が氷や水のような力を持っていれば話は別なのは先のキャメロット城の戦いでも分かったが、
言い換えればそういうことができる参加者が全員になるとは限らない。
(問題があるとするならMPの確保だな。)
MPの回復には、必ず自身の能力となる動詞のワードを目視しなければならない。
しかし基本の支給品にスマホにはメモ帳の機能もなければ、ペンと言った書くものすらない。
近くにある街路樹にナイフで刻んで文字を用意するのも可能だが、時間を使い過ぎるのでただの妥協案。
MPの回復ができないのはかなりの死活問題で困ることではあるが、まだ何とかできる分にはこちらはマシだ。
何よりの問題としては一度燃やした対象は、たとえ達本人であっても止められないと言うのが一番の懸念。
相手を燃やすことは、イコール支給品も一緒に燃え尽きて入手ができるのかどうかが怪しくもある。これが彼の課題。
優勝するためであれば支給品の確保は必須。殺すことにおいては強力な動詞な一方で、強すぎて困る代物になる。
(MP確保も大事だが、今の手持ちで勝ち抜けるのは難しい。)
残るMPは半分。人一人なら燃やして殺せるだろうが、後が続かない。
少なくともウェルベルムの力に限らず魔法のような力を行使できる存在がいる。
攻撃力だけで言えば上位に食い込めても、生身の人間の領域を越すのは厳しい。
最初に出会ったキャメロット城も全身燃えればまず剣を振るうなんてことはできないはずだ。
それでも成し遂げて鎮火させたのは、彼女は恐らく単なる人間とは別の存在であるのだと。
事実、彼女は名前と言うより地名。人間ではない何か、と言うのは少々飛躍した考えになる自覚はあるが、
ウェルベルムのことを考えればそういうなんだかよく分からないのだっていると思うしかない。
(今後のために今は乗らないふりをするべきか。)
此処に来る前の時期が時期なのもあって、
出会った連中を皆殺しにするような殺意を燃やしていたが、
あの時感じた存在のおかげで、一周回って頭は冷やすことができた。
幸い自分を知ってることがあるなら千里兇団のリーダーである物部キョウぐらいだ。
久留和組は千里兇団とは敵対していたものの、別行動をとっていた自分を知らないはず。
キャメロットから悪評が広がる可能性もあるが、此方が先に集団を形成すればいいだけである。
もしもあの時悪寒を感じた存在(オベロン)。アレと同行している可能性もあるならば話は別だろう。
勿論、それに気づかないでいる凡人とかはいそうなことも考えておく。あれに気づけたのは、
ひとえに腐った(そっち側)人間になのと、副支配人のような存在を知っているからこそでもある。
いや、ことと次第によっては副支配人でさえアレの存在には驚かされるばかりだ。
(にしても地図上では講堂だが、設備的にアイドルのライブステージみたいだ。)
初星学園の講堂はライブをする場所でもあるがゆえに通常の講堂とも設備が違う。
二年を要するほどの工期があった為か、普通の講堂よりもそっち方面で整った設備になる。
もっとも、そんなことを理解したところで彼としては特に、なんの感慨深さもないのだが。
座席の間を通りながら、ステージを登るなり散策を続けていく。アイドルがいるであろう控え室も、
本来ならば入ることすらないであろうが、散策する上に殺し合いで優勝を視野に入れてるわけだ。
特にためらうことなく入って物色していく。
(これは……流石にやめておくか。)
アイドルの控え室に入ると目につくのは多種多様なメイク道具。
ペンの代わりになるものでもいいとは思ったが、そもそもMP回復に文字を書く暇の方がない。
いつでも見れて回復ができるのはデジタルの方が有用性が高いが、そう都合よくスマホとかもなかった。
仕方がないと思いながら部屋の扉から出れば、人影を見つけたことで両者ともに距離を取って身構える。
(チッ、先客がいたのか!)
シュラの採用試験を合格したもののそれを蹴ったランドル。
彼はグランサイファーへ向かうことはせずに、近くの施設を調べに来ていた。
合流するのも視野に入れたものの、グランサイファーを知る団員全員が参加者ではない。
少なくともベリアルの言うことが信用できない理由について、ある程度広めておく方も大事だと。
無論、フェザーを悪化させたバトルジャンキーとか、戦いに生きる連中には通用しないだろうが、
当てにならないので殺しをやめる奴もいる可能性は一応は視野に入れておく必要もあると判断している。
前科、ないし問題ある人物に対して団長は受け入れるだろうからそれぐらいは問題ないはずだ。
もっともその善性、或いは寛容さは少々問題があるのではないかとも彼は思ってるが。
「待った。俺は別に乗る気はねえ。そっちはどうだか知らねえけどな。」
「……なんだ、驚かさないでくれよ。俺ちゃんビビっちまったじゃねえか!」
ため息とともに達は、部屋の明かりよりも眩いかのような陽キャのような雰囲気を出す。
警戒してる時と随分違う表情にランドルも軽く面食らうものの、別にいいかと流した。
こういう戦闘の時のオンオフができるのは、別に団員でも珍しいものではないのだから。
「名前……はいいよな! お互い名簿見てるだろうし。ランドルも気楽にイタルって呼んでくれ!」
「お、おう。」
初対面だからと言うのもあるが、少々押しの強さに気おされる。
フェザーなら即座に仲良くなってしまいそうである。つまりランドルは苦手なタイプだ。
彼は高め合うライバルのような存在ではあるが、ああいう性格が苦手なところも多くある。
一先ず敵ではない相手に会ったのもあるので、そのまま控え室で軽く情報交換をしておく。
と言っても、お互いそこまで人と交流してないので、始まって間もない程度のものだが。
「……ってわけだ。シュラの奴、乗る気はないにしても気を付けた方がいいぜ。」
一応は大丈夫かもしれないにしても、
あの高圧的な態度はかなり慣れているタイプだ。
元の世界で何をやっていたのかは知らないものの、
ああいう手合いの輩と組む気は、ほぼほぼないだろうと。
気の短い団員ならばまず殴りかかってた可能性だってある相手を、
ランドルの性格から相手を許容できるかどうかと言うと、あまりなかった。
一応は乗る気はない様子だったので、余り悪く言うつもりもないのだが。
「俺が出会ったのはキャメロット城って嬢ちゃんだな。
騎士らしい感じの人大丈夫だと思うぜ? 俺チャンの保障つき!」
達にとって必要なのは場の混乱だ。
あえて真実を話しておくことを選んで、
いざ遭遇した時に場を混乱させるのが一番いいと。
今支給品を奪うと言うのも選択肢にはあったが、それは今ではないと判断。
理由としてはランドルは足技で戦うのが基本のため、片足が上がる構えが基本だ。
だからそういうのに素人目線である達であっても、武術か何かと感じ取ることはできる。
喧嘩の素人ならばまだしも、武術の経験者である相手からデイパックを奪ったうえで、
相手を燃やすにしろ殺すにしろ、かなりの難易度を要求されてしまう。
なのでどさくさに紛れてやれるかどうかに賭けるしかない。
やれなければ彼が求めていた安寧の世界は、決して訪れることはないのだから。
(ベリアルが叶える気がないとしても、俺はそれしか残されてないんだよ、ランドル。)
一応ベリアルのことも聞かされた。
詳しくはないとしても、世界を滅ぼすのが目的の超危険人物。
だが、死者の復活そのものが可能なのは自分が証人になっている。
たとえ世界が滅ぶかもしれなかったとしても、ベルと共に生きていたい。
人を殺して、腐ってる人間だと言う相手そんな存在であっても彼女が好きだ。
他人の言葉一つ程度で、彼の燃えるような意志は揺れ動くほどではなかった。
「ところで、俺ちゃんメモ帳とかそういうの探したいんだけど見つかったりしなかったか?」
「いや、なかったぜ。何かにいるのか?」
ランドルとの会話で能力については当然言ってない。
呪術師の術式と違って動詞の開示は、敗北に直結する大事な要素だ。
此処で情報交換の途中に話を変えたので、流石に怪しまれるわけにはいかない。
なので、
『く び わ』
手のひらを見せながら、指でなぞりそう書いておく。
殺し合いに乗らない参加者にとっては最低限必須の課題だ。
勿論、エンジニアとかでもない達に首輪の解除なんて全くできるものではない。
そういうのは開く能力を持った入間ケイジの方が能力的には合うだろう。
外れるかどうかは流石に知らないが。
「俺ちゃんガタイはいいけど物覚えはさっぱりなもんだからね。
出会った参加者の情報を纏めた方が、後につながるだろ?」
「確かにな……ベリアルがメモ帳ぐらいを入れてればよかったんだがな。
つってもいいことばかりじゃねえ。殺し合いに乗るやつの手に渡った時が厄介だ。」
「と言うことは、頭の中にとどめておく、かぁ。できるかねぇ。」
「やれるやらないっつーよりはやるしかないだろ、これは。」
どうやら意図は察してるようで、話もうなずきながら返す。
だからと言ってシュラと言う男の影響で少しばかり疑念もあるのか、
少々警戒した様子もあり、間抜けな人間でもないことは今までの発言から察せられる。
僅かにでも疑念を持たれるようなことをすれば、少なくとも気づけるタイプの相手だ。
取り入る、と言うよりは同行者としての立場を得られたからと言って慢心はできない。
MPの確保に支給品の強奪、キャメロット城を混乱させてその上で人を殺していき、
最終的には
化け物(オベロン)と言った連中を何とか超えなければならない。
(やってやるさ……どんな手を使ってもだ。)
誰を敵に回ろうとも関係ない。
地獄の果てまでついて彼女に行くと決めたことだ。
その楔が如き意志は、決して揺らぐことはないだろう。
【Bー3 講堂/深夜/1日目】
【ランドル@グランブルファンタジー】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1~3
[思考・状況]
基本方針:ベリアルを倒す
1:あの野郎(シュラ)、ほっといて正解だったのか……?
2:必要なら団員や知り合いを探す。フェザーがいたらとりあえず優先(いつも通り戦いそうで面倒だから)。
3:イタルと行動する。けど苦手なんだよな、こういうタイプの奴。
[備考]
※参戦時期はNight Pareidoliaエピローグ。フェルディナンドが願う前。
そのため足にジュワユースはありません。
【奥伝達@ウェルベルムー言葉の戦争ー】
[状態]:オベロンに対する恐怖(大)、MP消費(中)
[装備]:スーパー手ぶくろ@ドラえもん、投げナイフ(7/10)
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1
[思考・状況]
基本方針:優勝して、ベルとの未来を取り戻す
1:あの化け物(オベロン)には最大限の警戒、あんな化け物までいるのか⋯⋯
2:嬢ちゃん(キャメロット)とはまた戦うことにはなりそうだ
3:隙を見てランドルを始末するか、集団を形成したら混乱を起こすか……どうする?
[備考]
※参戦時期は死亡後
最終更新:2026年05月01日 22:03