セタンタは一瞬だけだが顔をしかめる。
燕結芽との戦いを一旦中断する形で逃げてをしてから、
他の参加者との接触を図っている最中にレデュエの放送が始まった。
レデュエといいベリアルといい、思ってた通りの連中らしくて逆に助かった。
これでもしもあれらがマスターなのであれば、自分は従わざるを得ないのもある。
けれど今は野良サーヴァントのようなもの。バーサーカーであれば運営の刺客として、
暴れまわっていただろうが今回はセイバーとして召喚され、命令されることのない自由の身だ。
好き勝手やっていい。なら、好きにやらせてもらうことにした。
「俺の知るモルガンじゃないが、並び的にサーヴァントか?」
モルガンと言う存在はケルト神話にも同じ名前の人物として登場し、
その中にはアーサー王伝説のモルガンと同一視される存在ではある。
ただ『顔はこんなだったっけ?』と違和感がある為、一先ず他人とした。
となれば間に挟まっているオベロンも、サーヴァントである可能性は十分。
サーヴァントに足り得そうな名前はいくらかいるものの、師匠やメイヴもいない。
となれば、自分にとっては関わりのある人物は燕結芽一人のみと言うことになる。
「何でか二人いるんだが……?」
いや、二人いる。
交戦していた結芽が、顔も完全にであったそれと同じだ。
多少雰囲気が違うところもあるが、言ってしまえばそれぐらいだ。
ランサ-のクー・フーリンは二人いるしバーサーカーにも適性がある。
つまり、どこかの聖杯戦争で未来の自分に出会うことだってあるだろう。
どこかの別の時空から連れてこられた結芽がもう片方、と考えるのが自然だ。
ただどちらが自分が戦ったのかが分からないのは、めんどくさいとは思うが。
特に何かしら相手にする必要のある存在はいない。つまり自由に動いて構わない。
とにかく必要なのは宝具だ。向こうも本気じゃなかった。再戦するには宝具はほぼ必須だ。
並の武器だけで勝てるほど、彼女が弱いとは思っていない。
(あくまで最低限、だけどな。)
正義感が強いわけではないにしても、
外道や邪道の存在を容認できるわけでもない。
彼女にばかりかまけてこの殺し合いの本質を見誤ってはならない。
若くとも戦士、それもあのスカサハの下で修業をしてきたわけだ。
今更師匠よりも怖いことなんてあるわけないと思いながら行動していた。
(誰か来るな。)
後方から聞こえてくる足音。
結芽ではない。彼女なら戦闘の時の速度で迫ってくるはず。
そうじゃないと言うことは、別の参加者が妥当と判断する。
とりあえず隠れておくかと、近くの木の上にジャンプして身を隠す。
追跡してるのか、たまたま偶然か。どちらにせよ様子は見ておきたい。
「困ったわね……」
塚原達と別れた後、アルは道なりになってる森の中を駆けていた。
特に空の島。森の中を闇雲に移動し続けた崖に出くわすこともある。
遺体の損壊がNPCか下手人かは判断できないにしても、残虐さは自分以上。
(無論、そんな行為はアウトローではなくただの快楽殺人鬼なのでやらない)
そんな男が、参加者との遭遇がしづらいと判断できる獣道に入るとは思えない。
少し走り過ぎたと感じながら地面に座り、近くの木を背に軽く休憩する。
もう一つ困ってることとして、普段使ってる狙撃銃がないと言うこと。
狙撃銃がない理由は一つ。アルは基本的にスナイパーとしての腕が凄まじく高い。
具体的に言えば、外す方が珍しいと言われるぐらいに彼女の腕は立つと言うもの。
遠距離からの狙撃が主となるのだが、手にあるのは魔弾銃(マガンダン)と呼ばれる、
撃てば弾丸に込められた魔法が放つことができる、少なくとも外れではない武器。
有用ではあると認めても、やはり普段使っているタイプの方が安定しやすい。
(まあ、ないのは予想できてたことだけども。)
とは言うが、これも予想できている話でしかない。
腕利きのスナイパーに、狙撃銃などの遠距離武器を持たせればどうなるか?
一方的に狩れてしまう。勿論アルは(一応レベルで)アウトローな部分はあるのと、
アルの性格上、無差別に殺人をするような本物のアウトローと違って優勝を目指すことはない。
もし何かしらの手段で相手が敵だと分かってしまえば、楽勝な話になってしまうだろう。
(それに、接触できないし。)
何より、そのスタンスでは人と接触することができない。
相手の射程外でこっちが攻撃できる状況は、話し合うことすら無理だ。
全体的にスナイプはアルにとって殺し合いにおけるスタンスとかみ合わない。
このことを考えれば、射程が大分短い武器の支給は仕方ないところもある。
(塚原さん達から貰ったものもあるし、ちゃんとしないと。)
下手人は少なくともムツキの尊厳を貶めた相手。
装備がある程度充実していようと警戒は怠らないでいる。
問題は、魔晶の使い方の説明書を貰ってないのでどう使うか少し分かってないが。
「……そこの木の上! 誰かいるわね!」
スナイパーたるもの、視力は高いものだ。
だから夜の森であっても、夜目に慣れた彼女には見える。
銃口もセタンタに向けられており、気配を消してたのに気づかれて僅かに驚く。
アサシンの気配遮断のようなスキルは持ち合わせてないので気づかれても仕方ない、
そう思いながら仕方ないと着地するセタンタ。
「悪いな。俺ちょっと追われてるもんでさ。隠れた方がいいと思って。
あ、一応言っておくけど、俺からはやる気はないぞ。
勿論、その銃……でいいんだよな? を引くって言うのなら覚悟はしてもらうぜ。」
自分と同い年ぐらいの年頃の男子。
気配自体は消してる方なので察してはいるが、
槍を持つ少年の姿は異様なまでに様になっている。
青いオーラを放つ槍のせいか、何処か神秘的だ。
同年代の少年と言うよりは同年代だけど「戦士」と言うのが近かった。
「貴方、浅黄ムツキって子に心当たりはある?」
「ムツキって言うと、確か放送で呼ばれていた奴だったか。
顔は知ってるけど、あくまで顔写真があるだけだからな。
俺が会ったのはどっちかは分かんねえけど、燕結芽だけだ……知り合いか?」
「……大事な仲間よ。」
「そりゃ気の毒に……なんて、
初対面の男が言うもんじゃねえか。
念のため聞くぞ。ムツキを生き返らせるつもりはあるのか?」
要するに殺し合いに乗ってるか乗ってないか。
仇討ちが目的ならば、どちらに転ぶのか。
優勝して結芽がベリアルの力を奪い取るようになる可能性もある。
「それ、は……確かに願いがかなうことがあるなら良いな、って思うけれど。
ベリアル達の趣味にただ働きをするほど、便利屋68は慈善事業はしないの。」
生き返ってほしい。そのことはずっと思っていた。
けれど塚原やソラのような善良な参加者からの依頼も受けている。
ただで殺し合いを働かされるなんてことを報酬目当てで始める気はない。
ムツキだって、死んだ身でもそういうことを望むタイプでもないのだから。
「ハハッ、いい啖呵の切り方だな。俺はそういうやつ好きだぜ。」
「ストレートに言うのね……誤解を招くわよ、そういうの。」
「そりゃ悪かった。」
ニカッと彼女の真っ直ぐな心に笑みを浮かべる。
見た目はどこか悪の組織っぽい風貌をしているけれど、
何処か捨てきれない善性を持っていることは確かなことだ。
「アルだったか? そっちがよかったらついて行っても良いか?
地図にも行く当てがないし、結芽と戦うための装備を整えておきてえんだ。」
結芽との再戦。それには少なくとも宝具は必須。
しかもそれはあくまで最低条件と言ったところであり、
今のままで楽に勝てるような状況は難しいだろう。
だからと言って、はいそうですかと負けを認める気はない。
師であるスカサハを殺し、メイヴとの未来も撥ね退ける、可能性の英霊。
それがセタンタと言う男なのだから。
「私としてもありがたいわ。銃は支給されてるけど、使いこなすのに時間もいると思うから。」
魔弾銃は一発一発のリロードが必要だ。
一応便利屋68は数々の修羅場をくぐっている名の通り便利屋だ。
だからこそ一発で再装填しなければならない取り回しの悪さは目立つ。
キヴォトスでの基本戦術は銃の撃ち合いだ。リロードの遅さは余りにも不安要素。
前衛をこなしてくれる、頼もしい人物がいてくれることは非常に助かる。
「んじゃ一旦ここは───こいつと戦ってから挨拶するとすっか!」
突如セタンタの背後から飛来してくる何か。
手に持つ潮騒の槍で受け止めてみれば、刀……と言うよりは、
刀を持った手が暗闇の中から出てきており、すぐに姿を見せる。
「おいおい、気配消してたつもりなのに気づくのかよ。」
何処かで休憩しようとゴズキは考えて、
一先ず森を抜けて施設の何処かを目指そうか。
それを考えていた矢先に二人の姿を見かけた。
大体アカメ達と同じぐらいの子供がまだ他にもいるんだな、
なんてことを考えてしまうが、此処はあくまでも殺し合いだ。
彼に情はあれども、その感情を向けるのは二人ではない。
帝都の暗殺者の育成を任された人間である以上自分は一種の手本だ。
だから距離も取っていた。暗殺が成功する可能性は十分にあったものの、
「あいにくとただのガキで済むほど、鍛えてねえんだよ。」
この程度スカサハのしごきと比べれば、どういうと言うことはない。
アルも立ち上がっており、既に臨戦態勢に入ってる状況だ。
最初は休みたいので去るか、集団に潜り込むと言う選択肢も視野に入れてはいたが、
さととの戦いによって浴びた血も相まって警戒されるだろうと判断している。
暗殺者育成のための言いくるめについては慣れてはいるが、バレた時のリスクも大きい。
今ならまだ誤魔化せても、帝具の中には心を読むものも存在している可能性はある。
加えて複数の世界が入り乱れている。帝具抜きでもできるやつだっていつかもしれない。
だから、子供だけで構成されてる今のところを狙うのがベストと判断して奇襲を仕掛けることにする。
とんだ父親だな、なんてことを軽くごちる。家族のためとはいえ同い年ぐらいの連中を殺すのは。
もっとも、暗殺で何人も殺した。そこに罪悪感とかはない。今更な話だ。
「ったく。最近のガキは妙に強い奴ばかりだな……」
ただ予想以上に反応が強く、軽く弾かれた。
さとといい、子供の成長は恐ろしいものだ。
そりゃ、アカメにも負けるわな……なんて生前のことを思い返す。
「その言い方……まさかだけど、貴方ムツキを知ってるの?」
「ムツキ? ……あー、なるほどな、あれはそういうことか……知ってはいるぜ。」
「どうして殺したの?」
「知ってるだけで殺したとは俺は一言も言ってねえんだが。」
「答えなさい。内容次第ならただじゃ済まないわ。」
業火のように激しくなることはなかった。
寧ろ逆だ。アルの思考はクリアな状態でいる。
身内が無惨な死に方か、死んだあとも尊厳を貶められたのか。
一周回って冷静さが感じられる眼差し。アカメ達には劣るかもしれないが、
彼女もセタンタ同様に優れた人物であることを会話一つで理解する。
さっきまでと雰囲気が違う。なめてかかれば油断はできないだろうと。
「殺した奴に心当たりがあるぐらいだが……坊主の方は分かってるだろ?」
知りたければ俺を倒していけ。その一言と共に、ゴズキとセタンタは同時に肉薄。
先に得物の間合いに入るのは、当然槍と言うリーチの有る得物を持つセタンタだ。
ゴズキ側から射程に入る寸前から横薙ぎの一撃を構えて振るうものの、
腹部だけが異常な角度で後方に下がり、最初の一撃は空振りに終わる。
「キモッ!? なんだその身体!?」
「ま、驚くわな。」
レイククラーケンの煮汁を飲んだ身体は、
最早人間の稼働できる領域をはるかに超えたものになる。
否定者によって作られた不壊刀・倶利伽羅の斬撃が迫り、後方へジャンプ。
同時に発砲音。ジャンプすることで射線からセタンタが外れたことにより撃てる。
ツクシのプロメテウスのような武器とみていいが、一発しかないならば対処は容易。
「ッ!」
しかし、倶利伽羅で切断しようとすると中身が飛び出し、炎が襲い掛かる。
ギラが込められた弾丸。予期せぬものが飛び出して大きめに後退してしまう。
いくらゴズキと言えども、右腕の火傷の度数が上がるとなれば話が別だ。
右腕の痛みからまだ火傷は二度までの範囲だが、三度にもなれば神経が焼ききれ、
戦闘において無視できない傷になってしまう。それだけは避ける必要があった。
特に、一度と二度の火傷と言うのはどちらなのか判断するのが難しいのもある。
だから右腕を守るべく、咄嗟の行動で回避を選んでしまった。
「セイッ!」
無論、この隙を見逃すセタンタではない。
刺突による一撃は頬や左肩を筆頭に何度か掠めるものの、
このダメージで戦闘不能にさせるだけのダメージは見込めなかった。
「やるじゃねえか、便利屋!」
「と、当然よ! 便利屋68の実力を見せてあげるわ!」
(ぶっつけ本番で撃てたけど、本当に炎が出るの!?)
表面上は鼻が高くなってるが、
内心ではエイムの良さと炎に驚きが隠せないでいた。
となれば他の弾丸も全てが呪文を込められている。
一応読んではいるが、どれが最適解なのかはわかりかねることだ。
魔法なんてものは彼女にとってフィクションに近しいものなのだから。
加えて、一発使ったらまた装填が必要なのは、相当厄介な所でもある。
目まぐるしく変わる戦闘に、選んだ弾が正解かどうかをの判断が必須。
要するに、先生の指示なしで先生らしく弾丸を選ばなければならない。
中には回復呪文を込めたものもある。間違えれば大損害かセタンタを燃やしかねない。
どれが今の状況で装填するのがいいか。吟味する時間もゴズキ相手には許されない。
「そっちの方が主力か。」
あれも臣具か帝具か。どちらにせよ放置は危険だ。
何をしてくるか分からないと言う未知は警戒に値する。
一度セタンタを放置し、優先順位をアルへと変更。
セタンタをそっちのけで向かおうとするが、回り込まれる。
敏捷は大人になった時と比べれば低下しているのは事実だが、
それでもモルガンに匹敵するぐらいの速さは持ち合わせている。
「させるか!」
「ならさせてもらうだけだ。」
距離を取って槍の射程範囲から逃れつつ、
手を伸ばして倶利伽羅による突きを放つ。
それだけでは射程距離から離れた意味はないが、
手を上に伸ばしてそこから倶利伽羅を投げ槍の如く投げつつ左手はセタンタを攻撃。
肉体の一部であるため攻撃すればダメージも入るのは大きな強みだが、
腹をあれだけ動かした
化け物じみた身体だ。当然腕も想像の先を行く。
槍術を何度か駆使するものの、腕が変形して攻撃を当てることはできない。
少なくともダメージになりそうなのはなんとか避けてはいるものの、
アルの方に気を回す時間が余りなくなっていた。
(い、今の危なかった……!)
刀を持ってたから近接攻撃を狙うところだったが、
刀の構え方が何かおかしいと気付いて咄嗟に屈んだ。
屈むと同時に、木に剣が綺麗に突き刺さっている。
髪の毛がいくらか散ったが、怪我と比べれば安いものになる。
今のは確実に脳天を貫いていたのは、後方の木を貫通していたことから予想できた。
だが気にする暇はない。今は弾の装填を最優先、
『───ッ!!!』
しようとしたものの、動きを止めてしまう。
いや、そんなわけはない。ありえない。あるはずがないと。
今彼女の耳に届いた声にもならない悲鳴を上げていたのは、
もういないはずのムツキの声だったのだから。
どこから? と声の場所を見やる。
そこにあったのは顔面を引き剥がされ、
無惨に殺されそうになっている、彼女の姿が映されたビデオカメラが近くに転がっていた。
相当古いビデオカメラなのだろう。画質は荒いものの、そこにはっきりと映っている。
惨たらしい拷問を受けて命の燈火が消えていく、彼女の最期が。
ゴズキはセタンタの攻撃の途中でどさくさに紛れて、
ビデオカメラが壊れないように、慎重に地面に転がしていた。
二人に出会う前に支給品を調べていた時に、その時にはカメラを見つけている。
自身も暗殺者だ。殺し屋にもこういう趣味の奴はいるんだろうなと理解しており、
別に大した感情は湧くことはないし、不快感も快感も覚えることは余りない。
……もし、これが家族の誰かだったら動揺や怒りの一つでも湧いたのかもしれない、
なんて思いながらも、この使い道のないビデオカメラに使い道ができたことは気づいた。
彼女はムツキと言う少女に固執していた。となれば、仲の深い関係なのだろう。
だから今だ。今なら最大限の隙を出せる瞬間なのだと。
此処までさととの戦いでは逆として隠していた髪の毛の操作。
槍を合計六本に形作り思考が停止していたアルへと迫る。
回避する余裕は、今のアルには残されていない。
「させるかぁ!!」
ダッシュで後方に移動し、髪の毛を弾き返すセタンタ。
だがいくら英雄の端くれと言えど限度と言うものがある。
はじけたのは三つ。残る三つは───彼自身が身代わりになった。
身体に突き刺さり、鋭い痛みに顔をゆがませる。
普通ならば重傷でも、サーヴァントならいくらかマシだ。
「殺した奴の置き土産だ。」
俺が殺したわけじゃないがな、
と一言付け加えてもいいが必要はなかった。
欲しかったのは彼女ではなく、彼女を守る存在。
致命傷ではないが、少なくとも動きに支障が出るレベルの怪我だ。
何の役にも立たないと思っていたビデオカメラならお釣りまでついてくる。
「───おまええええええええええッ!!!」
思考停止してしまったが、我に返れば状況は理解できた。
攻撃を受けたセタンタ、そしてムツキが殺したのはこいつだと
普段ありえないような鬼の形相になりながら装填してたギラを放つ。
弾丸から呪文のギラが放たれるが、ジャンプして容易に躱す。
「殺す……殺す、殺してやるッ!!」
血に伏せて倒れているセタンタのダメージは深刻だ。
相手はその彼と同等程ではないにせよ、俊敏な身体を持つ。
塚原達から受け取った魔晶を手にすると、それを中心に光が覆う。
何が起きるか分からないので、髪の毛を戻しながらゴズキは一先ず様子を伺った。
しかし、伺うのはやめておくべきだったかと少しばかり思った。
両手にはロングバレルの銃に、頭部も銃器の形をしており、
頭部にはアル自身の角が巨大化した状態で生え、
その頭部の下に、アル本人の姿が殻の中に入っている。
もしデュエルモンスターズを知って人物がいれば、
『デスペラード・リボルバー・ドラゴン』のような姿が近しいものだろう。
「帝具には変身するものもあると聞いたが、その手の類か……?」
こればかりは少しまずい。
怒らせて判断能力を鈍らせる。そこまで行ったのはいい。
だが、支給品で確実にやばいものを使ってきたのは肌で伝わる。
銃さえ警戒すれば雑魚の類であろう小娘が放ってはいけない、
危険種のような風貌へと変わったのは想定外の出来事だ。
「よくも、ムツキを殺したなッ!!」
歯が砕けてしまうのではないか。
そう思うぐらいに歯を食いしばりながら両手から放たれるのはビーム。
銃弾ではない。ビーム。何故そうなったかは、たとえ空の世界の住人でも解明は難しいだろう。
放たれたビームは一瞬にして、ゴズキの傍を通り過ぎて直線状に道を焼き払っていた。
まだ怒りと試運転も相まって制御できてないのだろう。だが当たれば確実に即死している。
(挑発させ過ぎちまったみてえだな。これは退くのが先決だ。)
相手は帝具級の代物でも使っているのだろうか。
何にしても挑発の内容は度が過ぎてその怒りが力に変換されたのは分かった。
此処は逃げに徹した方がいい。そこからの判断は暗殺者らしく、手早く済ませた。
地面に支給品である玉を投げ落として割ると、白煙が立ち込めて姿を消して逃げる。
どさくさに紛れて、木に刺さっていた刀も引き抜いて。
「待ちなさい! お前だけは、お前だけは!!」
絶対に殺さないと気が済まない。
惨たらしくムツキを殺した存在が生きている。それだけで腸が煮えくり返る。
怒りをエネルギーとするかのように周囲に手当たり次第でレーザーを発射しまくっていた。
周囲にはえぐれた地面や木々が次々と増えていき、形を保てない木は崩れ落ちていく。
ゴズキの姿はどこにもなく、周囲は荒れ果てていくだけだ。
「出てきな……」
「バカ、やってる、場合か……!!」
頭の銃口にゴツンとぶつかる衝撃。
ダメージにすらならないので問題はないが、
どうやらセタンタが持ってた槍が頭に当たっていたようだ。
「この状況で落ち着けって……」
落ち着けるわけがない。
仇がすぐそこにいて、卑劣な戦術でセタンタを追い込んだ。
許せるわけがないのだが、それ以上に優先するべきものがある。
まだセタンタは死んでいない。生きている。ならば、するべきことが一つあった。
すぐに魔晶の変身を解除して、魔弾銃に回復魔法が詰められた弾丸を装填して撃つ。
アルはアウトローを目指してはいるが、捨てきれない善人のようなところがあるからか、
動きは非常に迅速な対応であり、完治ができたとは言えないものの傷は塞がっていく。
念のためもう少したまに余裕があるホイミの方でも試したら、傷は完全に塞がった。
「ちょっとやばかったが助かった……いや、マジで死ぬかと思った。」
「よく回復できる弾丸もあるって知ってたわね。」
「説明書が残ってたのを読んでただけだ。」
槍を回収しながら服についた汚れを払うセタンタ。
結構なダメージだったが、アルが正気に戻ったおかげでマシなことにはなっている。
とは言うものの、支給品を消耗させられただけで敵を逃がしてしまったのは事実。
成果は、精々ムツキの仇が分かったとしか言えない程度だ。
「ごめんなさい。私があんなのに気を取られたから……」
「いやまあ仕方ねえと思うぜ?
俺も同じ事されてたら何してたかわかんねえし。
ただ……あんま言いにくくてちょっと悪いんだけどさ。
名簿だとゴズキって名前だったか。アレ、お前の仇じゃないと思うんだ。」
「何を言ってるのよセタンタ! あのビデオカメラが証拠で……」
口を塞ぐように、セタンタはビデオカメラを操作していく。
見たいわけではないが、見ないわけにはいかず『ほら』と言われた画面を見る。
足元とまだ皮が剥がされてない、ムツキの顔と下手人である足元が見えた。
ビデオカメラを使い慣れてない様子で、ピントがずれてたりと文字通り素人のそれだ。
けれど、それでも分かることはあった。
「あんま見せるもんじゃねえけど、ほら此処。あいつと靴が違う。」
「え……?」
「わずかに見えた引きはがす手も違う。
もうちょっとこう、シュッとしてる指だったぜ?」
「え。じゃあ、これって……誰なの?」
犯人が分からなくなってくる。
ただでさえあれだけムツキの尊厳を貶めた存在は、
まだどこかにいるのかもしれないと言う可能性。
それは塚原達に出会ったときのそれに近いだろう。
「あいつが殺したかはともかく、奪った支給品にあっただけだ。仇はアイツじゃない。
あれだけの強さを持った男と戦ってた男だ。もう殺されていると思うが……お前はどうする?」
戦術も卑劣さもあるが、卓越されたものだ。
その上で意味の分からない肉体操作で攻撃も避けれる。
かといって戦闘が弱いかと言われたら全くそんなことはなく。
瞬時にムツキの知り合いと判断してビデオカメラも動かしておいていく。
少なくとも相当な経験を積んでいなければあそこまでの行動はまずできない。
支給品も奪ったのならば使ってないものもある。自分たちの手に終える相手かどうかは、
無理と言うつもりはないにしても大分不利であると言うことは理解できた。
「……確かにそうかもだけど、ムツキの死を利用したのは事実よ。
あいつが犯人でなくても私にとっては、絶対殺さなきゃいけないわ。」
ゴズキが犯人かどうかはもはや関係ない。
彼女を利用した外道の行為の方が許せない。
アウトローだからと言って、ムツキが此処までされる謂れはないのだから。
「じゃあ、追うとすっか。」
「ええ。でもその前にやることがあるわ。」
何かがぐしゃりと壊れる音が森に木霊する。
ムツキの拷問なんて趣味の悪い動画はこれでおしまいだ。
ビデオカメラを踏み付け、そのまま遠くへと投げ捨てる。
これでもう、死してなお彼女を傷つける者はいないだろう。
二人の行動は決まった。
だが、違うところが一つだけある。
魔晶によって高まった衝動のせいか、『倒す』や『止めなければ』ではなく『殺す』なのだ
アウトローを目指していても、前者の言葉の方がアルらしいと皆はそういうかもしれない。
怒りのせいでそう言ってるのかもしれないが、魔晶を使い過ぎればただでは済まないのは、
空の世界のエルステ帝国で既に証明されているのだから。
【C-9/黎明/1日目】
【セタンタ@Fate/Grand Order】
[状態]:ダメージ(中)、疲労(中)
[装備]:潮騒の槍@御城プロジェクト:Re、閃光玉×3@モンスターハンターシリーズ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0~1
[思考・状況]
基本方針:乗る気はない。
1:装備整え次第、再度結芽と戦う。初めての女殺しになるのか?
2:クルージーンを探す。宝具なくすサーヴァントが何処にいんだよ。
3:俺セイバーだぞ? なのにランサーやってどうすんだよ。
4:アルと行動する。真っすぐで好きだぜ俺は。
[備考]
※野良サーヴァントです
※お供の犬はいません。
※宝具がないので「裂き断つ死輝の刃」は使用できません。
【陸八魔アル@ブルーアーカイブ 便利屋68業務日誌】
[状態]:殺意(小)、精神疲労(大)、嘔吐、ムツキを殺した犯人への憎悪および恐怖、ムツキの遺体を目撃したことによる精神外傷
[装備]:魔晶@グランブルーファンタジー、魔銃弾(装填:なし)@ドラゴンクエスト ダイの大冒険
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1~2(全て確認済み)
[思考・状況]
基本方針:私のアウトローイズムに準じてこの殺し合いを破壊するわ!
1:ムツキを殺した犯人に叱るべき報復を
2:ベリアルを倒すためにアウトローの仲間を探すわ
3:ムツキ……
4:ゴズキも殺す。
[備考]
※弾丸の残りはギラ(6)、ホイミ(2)、マヌーサ(2)、ベホイミ(1)、ヒャダルコ(3)
「アカメほどではないが、ガキの成長は早いもんだな。」
こっちが優位だったはずなのに、
最終的には運が悪ければ最初の一発で死んでいた。
相手の経験不足のお陰で救われたようなものである。
暗殺者がターゲットを殺せないとは、焼きが回ったか。
先の男はめんどくさい相手だったと言う意味では記憶に残るが、
今時の若者はなめてかかってはいけないと言うことがよく分かる。
殺せたとはいえさとも同じだ。特異体質でなければ抵抗はできなかったのだから。
ひょっとして、この殺し合い弱小な奴の側にいるのではないかとも疑い始めていた。
「だとしても、とことんやるしかねえだろ。他に道はない。」
薄汚れた手であれども、掴みたいものがある。
あの悪魔が如き存在が守るかどうかは別として、だが。
【ゴズキ@アカメが斬る! 零】
[状態]:右腕に火傷(中程度)、右手が血に染まってる、腹部に軽傷(出血・小)、疲労(中)
[装備]:不壊刀・倶利伽羅@アンデット・アンラック
[道具]:基本支給品一式×3、不明支給品×0~1、白煙弾×4@グランブルーファンタジー、短剣@不明、さとの巻物@グランブルーファンタジー
[思考・状況]
基本方針:優勝して、アイツらだけでもまっとうに生きられるよう願う。
0:今度こそ休みたい
1:ろくでなしでも、願いはあんだよ。
[備考]
※参戦時期は死亡後。
ビデオカメラ@ジョジョの奇妙な冒険第五部 黄金の風は破壊されました。
【魔銃弾@ドラゴンクエスト ダイの大冒険】
アルに支給。マァムがアバンから受け取った銃
技を込めた弾丸を放つことで、魔法の素養がなくても魔法を使用することができる。
支給された弾丸はギラ、ホイミ、マヌーサ、ベホイミ、ヒャダルコの5種類。
弾丸は威力が強いもの程少なく支給されている。
【白煙弾@グランブルーファンタジー】
ゴズキに支給。トーメンターのジョブで使用可能な弾。
味方全員が幻影(2回)の効果だが、本ロワでは煙玉のようなもの。
最終更新:2026年06月18日 16:02