アットウィキロゴ
 寿々花とヘルエスの目的地への移動の間、余り会話はしなかった。
 結芽と違ってグイグイ話しかけたりするのは、二人のことを思い出すかもしれないがゆえに。
 勿論それが最善なのかは不明だ。彼女は別にメンタルケアカウンセラーではないのだから。
 かと言って、何もないまま移動し続けている空気も、とてもではないが重苦しくある。
 余りするべきではないと思いつつも、ベルゼバブについてもう少し言及しておきたくもあった。
 今までの交流では名簿で得られた仲間の情報についてはある程度だが把握はできている。

「ベルゼバブ、ですか……ノイシュ曰く、今まで戦った誰よりも強かったとは聞き及んでます。」

 ヘルエスとベルゼバブに面識はないが、姉弟に仕えていたノイシュと言う人物が、
 彼と交戦した経験があるようなので聞いてみれば、頭が痛くなるような存在だと分かった。
 天司、複数の国の騎士団長、組織、錬金術師の開祖。多くのつわものが揃って戦い、
 勝利ではなく封印と言う形で、しかしその封印も解かれてしまうほどの実力者。
 ルシファーと言うタギツヒメのような世界を滅ぼす存在が複数人いる時点で恐ろしいものだ。
 それらと戦っていたグランを葬ったとされるモルガンの強さもより厄介極まりない。
 彼らが同士討ちをしてくれれば、なんて早々に机上の空論を願ってしまう。
 まあ、実際に出会ってたりするのだがそれは彼女たちの知りえぬことだ。

「空に浮かぶ島々……と言うことはこの殺し合いは貴女の住む世界にいるのでしょうか。」

「ありえない、とは言い切れませんが……本物かどうかは不明なので、
 仮の話になりますが、グランサイファーが置かれてるのを見るに違うかと。」

 グランサイファーの操縦には操舵士となる人物が必要不可欠。
 ラカムやメーテラが参加者にいるのならば納得はできるが、彼は名簿には載っていない。
 用済みと始末されたのかと言った予測はできるが、他のランドマークにはホテルなどもある。
 殺し合いの舞台を用意するのにそこまで手間暇かける必要があるのだろうかと判断した。

(ペテン師のような相手である以上、何処までが本当で、嘘なのか判断が……)

 アレのいうことが何処まで本当で、何処まで嘘かは判断がつきにくい。
 折神紫親衛隊だった頃は護衛として不届きものを相手にしてきた経験はある。
 だから悪人に対してのある程度の理解を持てども、理解には程遠いものだった。
 とは言うが、相手は仮にも主催者。たとえ嘘臭くとも参加者を動いてもらう必要がある。
 現状において彼の言うことのある程度は嘘ではない。今のところはその答えだけだ。
 たとえ、ベリアルによる思惑通りであったとしても今は貯蔵施設へと向かう。

「ヘルエスさん。本当に向かわなくてよろしかったのですか?」

 そうこうしてるうちに時間は経ち、C-4。
 イェーガーズ本部は道中にある施設ではあるが、
 向かうことなく彼女は真っすぐに目的地に向かっている。
 もしかしたら誰かしらが来ている可能性も十分にあるはずだと。

「団員の方々は、多かれ少なかれ危機を乗り越えています。
 ですので、グランサイファーに向かうことを選びませんでした。
 それとスズカ殿はサツキさんとツバクロさんは、亡くなられた方であるとも。
 ……これは嫌味とか含むように聞こえますが、親しい間柄なら会いたいと、思ってるかと。」

「ないと言えば、嘘になりますわね。」

 ノロを体内に宿したまま死亡すれば最終的に荒魂になる。
 特に結芽の場合は衛藤可奈美達の襲撃で時間が惜しい状況だった。
 悲しんでる余裕もなく、真希の精神面の弱さから自分が処置している。
 会いたくないと言えば嘘になる。特に夜見の場合は死後に和解できたようなもの。
 元親衛隊がまた四人で活動できるかもしれない。そんな希望的観測が叶う場所であり、
 同時に自身や真希が先に死ぬ可能性もある。タギツヒメばりの存在がいるわけで、
 彼女よりも強いと言われたグランが死亡するという結末を迎えているのだから。
 明日は我が身であることを覚悟なんて、元の世界で既に決めたことだ。

「……来ます。」

「そのようですね。」

 ヘルエスがクリスタルルーンを構えると同時に寿々花も加州清光を抜く。
 ひりつくような感覚。人間とはこれほどまでの殺気が放てるのかと思ってしまう。
 以前折神紫を護衛のため、悪漢達を何度も阻止した身ではあるものの、
 そんな連中とはわけが違う存在に、より強く御刀を握りしめる。

「……念のため聞かせていただけますか。その血は、誰のですか?」

 氷のような透き通った水色の刃を持つ、氷の巨人の斧。
 神娘が巨人の持つ武器を再現しようとした得物は斧と言う厳つさとは裏腹に、
 真っ白な持ち手の部分の先にある氷の刃は、冬をイメージさせる美麗さがある。
 しかし、その氷の刃は似つかわしくない、赤黒いものがこびりついており、
 さながらホラー映画のシリアルキラーと出会ってしまったかのような状況だ。

「わけのわからぬことを言った奴を屠ったまでよ。」

 隠す気もない、予想通りとも言うべき一言。
 此処で魔物や賊と日常的に戦う世界の違いと言うべきか、ヘルエスが先手を取る。
 モルガンとの戦いで心身ともに疲弊している身とは思えないほどに機敏なものだ。
 迫る槍の突きのラッシュを前にその体躯に似合わぬぐらいに軽やかに避けていく。
 天上人と戦い、ディムロスと戦い、カイル達とも戦った紛れもない狂戦士。
 少なくとも、彼女の攻撃を見切れない程ではない。ディムロスと並ぶ地上軍の戦士。
 槍の攻撃のラッシュの隙に足払いをしてくることは想定して後方へと距離を取る。

「逃がしませんわ!」

 迅移で加速し、正面からではなく背後へと回り込む寿々花。
 道中で軽い素振りや刀使としての能力の確認はすでに済ませている。
 性能は劣化してるものの、おおよそ刀使いとして動くことは可能だ。
 二対一。数の利はあれども油断するべきではない相手なのは分かっている。
 だが回り込むと同時にバルバトスの裏拳が彼女の顔面に叩き込まれた。
 シンプルな裏拳。だがバルバトスともなればその拳の一撃は大きいものになる。
 バックスナイパーでそのまま地面に叩き落すこともできたが、サンラクの時とは話が違う。
 此処で叩き落していれば、ヘルエスの方への対処が間に合わないと判断したからだ。

「スズカさん!」

「デイリャ!!」

 裏拳で背後の寿々花が対応しながら凍土の巨斧を下から振り上げる。
 当たれば死。追撃をかけたヘルエスの動きを今止めることはできない。
 斧が振り上げられる寸前、クリスタルルーンを間に挟んで直撃は防ぐも、衝撃で空を舞う。

「灼熱のバーンストライク!」

 今度は裏拳で吹き飛んだ寿々花を優先し、炎の槍を放つ。
 手応えはあった。事実彼女は足が地面から浮いて数メートルは飛んだはずだ。
 あれで生きてるとしても、鼻血や鼻の骨がひしゃげてたりしているはず。
 だというのに、彼女は空中で身を翻しながら着地していた。それも無傷で。
 先の男が一矢報いたのと同じで、何かしらが仕込まれているのだろうか。

(まだ写シは解除されてない。数の優位による絶えない攻撃をとも思ってたけれど……!)

 迫りくる炎の槍を迅移による加速で回避。
 洗練された動きで肉薄していくものの、

「破滅のグランヴァニッシュ!」

 手を地面にたたきつけると同時に大地が揺れる。
 否、大地が割れて亀裂の中から大量の石が吹き上がっていく。
 ただの人間であれば初見で回避することなどまず不可能だが、
 咄嗟の判断で八幡力を使い跳躍し、射程の範囲外へと逃げる。

「余裕かましてんじゃねえ!」

 彼もまた空中へと跳躍しながら氷の巨人を参考に作られた斧から、
 大量の炎の弾幕が寿々花だけではなく、ヘルエスにも迫っていく。
 ヘルエスの方は槍を回して迫る炎を防ぎ、寿々花は迅移で弾道を躱しながら着地。
 だがこの対応の仕方の違いによって出された結果は状況を大きく変えるものとなる。

(追尾してくる!)

 ヘルヒートはバーンストライクとは別で、対象へと自動的に追尾する炎。
 空中から迅移でグランヴァニッシュの範囲外の外へ降りることはできるが、
 とは言え追尾は精度が高いわけではない。ちゃんと避けていれば地面を焼くだけだ。
 バックステップしながらの迎撃で距離を続けざまに雨のように降り注ぐ炎を対応する。
 魔法と言う荒魂とかとは別の世界の技術でも、彼女にとってはそう大きな差はない。
 普段通り冷静に炎を見据えながら距離を取っていく。

「ジェノサイドブレイバー!!」

 斧を前方に構えると言う、斧の運用としては明らかにおかしな挙動からの極太の波動。
 まだ彼女に迫っているヘルヒートも消し飛ばす勢いの攻撃の回避は間に合わない。
 舗装された地面には延々と抉れた後が続いており、その大地の上に彼女は立っている。
 これも無傷だ。ジェノサイドブレイバーは小手先の技と比較にならない技の一つ。
 先ほどの裏拳を受けながらも無傷だったとはわけが違う。違いがあるのならば、
 精々苦痛に歪んでいる顔であることが確認できたぐらいだ。

「貴様、何かしらでダメージを防いでいるようだな。何をした?」

「さて、何のことでしょうね。聡明な殿方なら見抜けるかと。」

 軽く挑発気味に返していると、先ほどの振り上げで飛んで行ったヘルエスが戻ってくる。
 身を翻し踵落としを繰り出すと同時に拳をぶつけて相殺し、反動を利用しその場で回転。
 横薙ぎに払う攻撃を前にバックステップで髪の毛数本程度を刈り取るだけに終わるものの、
 背後からも寿々花が肉薄し、二人の得物の切っ先が届くぐらいの挟撃、

「ブルアアアアア!!」

 バルバトスを中心に闇のオーラが周囲へと放出。
 距離を取るべきと一瞬の判断で後方に下がろうとする寿々花だが、
 彼の方に吸い寄せられるかのように引き寄せられて、攻撃を受ける。
 写シがダメージを肩代わりにしているので、さほど問題にはならない。
 一方で、空中にいたヘルエスは防御が間に合わず闇のオーラを殆ど防御も間に合わず受ける。
 生き残ったとは言え、モルガンと戦って心身共にダメージを負って回復しきれてないままだ
 空中で受け身を取って着地はできたものの、次はショルダータックルが迫り、再び槍を横にして防ぐ。
 直撃は防いだものの大きく後退させられ、その隙に背後からの寿々花の袈裟斬りも斧の横薙ぎ。
 連携が不可能と判断し後方へ下がると同時に、斧を振るえば衝撃波のような攻撃が地を走る。
 殺・魔神剣の速度は比較的緩やかではあるため回避は容易でステップで右へ避け、

「殺戮のイービルスフィア!!」

 られない。
 彼女が先ほどまでいた場所の背後に空間に穴をあけたような球状のものがあり、
 それによって身体が引き寄せられ、足がもつれて転倒しそうになる。
 咄嗟に八幡力で筋力を強化し、加州清光を地面に突き刺して動きを止め、
 棒高跳びのように体を宙に舞うことで両方の攻撃はいずれも掠ることはない。

(数では優位のはずなのに……!)

 ヘルエスも消耗してる中でできる限り動いている。
 御刀が違うと言っても、長さだけで言えば僅か2cm程度でほぼ誤差のレベルだ。
 刀使としての能力は持ち主が違うためか、全力ではないが最善は尽くせている。
 だが勝てない。ヘルエスを見つけた森のエリアの焼け野原の規模を鑑みると、
 相手が実力は隠してるとかで見せてないのであれば、強さはモルガン程ではない。
 今の二人でも十分対処できるレベルの強さだ。けれども、未だ一撃も決まってない。

(相手の行動に対して、反応速度がかなり速い。あの男はカウンターに慣れているとみていいはず。)

 双方が心中で察した彼の対応力の速さはある意味正解だ。
 距離をとっても即座に追いつき、何かしらの行動に対して技を繰り出す。
 バルバトスの個人の強さそのものは、強いが最強かと疑われれば横に首を振る。
 ロシュオみたいな耐久力も、モルガンの多彩さ、ベルゼバブのフィジカルと、
 上を探せば普通にもいるし、ヘルエスはそのうち一人を見ているのでそこまでの強さではない。
 だが上がいるからと言って、バルバトスが弱いかどうかでは両者ともに首を横に振るだろう。
 相手の一挙手一投足を見るかのように目敏く、カウンターを仕掛けるのが彼の戦術の一つ。
 対処するには当然相手に対する相応の理解が必要。無論そんなもの今初めて出会った相手。
 何の情報もなしに彼の戦術を把握するのは、当たり前だが容易なことではない。
 曲がりなりにも聖女の片割れであるエルレインによって目をつけられるだけはある男だ。
 ただの盗賊や悪漢と言った連中などとは比較にならないぐらいの実力を持っている。

(狂戦士と見まがう立ち居振る舞いこそあれども、
 状況に対応した魔術や技による対応は外見とは裏腹に多彩……厄介な相手なようで。)

 どうするべきか考える猶予は、寿々花には与えられない。
 今までの攻撃のダメージのなさに疑問を抱いているのと、
 息の上がり方から体力を消耗しているから優先順位だろうか。
 数を一人ずつ減らして有利な状況へと持ち込むのかと身構える。
 今すぐ殺されないのは救いと言うべきか、攻撃を通らない謎の解明か。
 ジェノサイドブレイバーを疲労感だけで済ませられるのはそうはいない。
 範囲、威力。どちらも高水準である。無傷で終わると言うのはありえない話だ。
 何かしらの、自身が知らない何かの魔法のような能力を有しているとみていい。
 迫る斧の一撃を防ぐ余裕はなく、後方へ跳躍して近くの家屋の屋根へと着地する。

「それで逃げたつもりか!」

 着地を確認すると同時に、斧を彼女へとぶん投げるバルバトス。
 此処で武器を捨てるような行為に驚かされるものの、まだ対処可能だ。
 斧を避けるのは何とか間に合ったが、バルバトスも同時に跳躍している。
 宙を回転する斧をキャッチしながら唐竹割のように斧が振り下ろされ、
 寿々花を頭部から両断しながら屋根を砕き、そのまま家屋の中へ二人は落ちていく。
 無論、写シによって即死することはない。だがこれ以上の写シは暫くは無理だ。
 だからと言って焦ったりはしない。別に任務であれば写シを使い切るのは珍しくない。
 荒魂との戦いの後遺症などで刀使を引退する世界で親衛隊として勤めているのだ。
 死者も珍しいものではない。だからこういう事態も想定済みではある。
 別に手を抜いてたつもりはないが、此処からが生死を分ける戦いだ。
 写シの剥がされた代償としてくる痛みに堪えながら空中で姿勢を整え、
 迅移で加速する寸前に斧を横薙ぎに振るわれ、屋根の瓦礫が風圧で飛ぶ。
 飛来する瓦礫に急所となる両目を腕で防ぐものの、
 破片は大量にある為急所以外にも全身に破片が迫る。
 一つや二つの破片ではなく、全身に裂傷を刻んでいく。

 この状態では攻めに入ることはできず、そのまま落下して家屋の中のリビングに着地する。
 一般家庭とそう変わらないことはあるが、屋根を砕かれ月明かりだけが内部を照らす。

「魔力が尽きたか、ようやく攻撃が通るようになったか!!」

 瓦礫を踏み砕きながらの姿勢を低くしながらの突進。
 跳躍して攻撃を躱せば、コンクリートの壁を砕きながら外へと出ていく。
 今が好機と落ちた天井の穴から飛んで、ヘルエスと合流する。

「ヘルエスさん、大丈夫ですか?」

「いえ、この程度なら……申し訳ありませんスズカさん。」

「相手の迅速、と言うより執念めいた対応力。
 人柄はともかくとして、戦う者としてはかなり完成された相手でしょう。
 このまま相手を続けるには、我々には厳しいところがある、そう判断します。」

「そうですね……同意をせざるを得ません。」

 あれだけの強さを得るのには相当な修練を積んだ相手。
 そう易々と勝たせてくれる相手ではないとは分かっていたが、
 手傷の一つも負わせることができない。九字兼定であれば、
 本来の力で戦えるはずだけあって少々歯がゆく感じることもある。
 ないものねだりなのは分かっている。頬を伝う冷汗を拭っていると、
 近くの塀をぶち壊しながら姿を見つけるや否や、ヘルヒートで追尾する炎を放つ。
 両者とも先ほどの同じ攻撃、既知の技。二人ともなれば対応は容易だ。
 特に、火の力をある程度操作できるヘルエスには余り通じることはそう多くない。
 ただし通用しづらいだけだ。塀を斧で振り上げ、宙を舞う瓦礫を破壊し、雨のように降らす。
 先ほどの攻撃は破片とも呼ぶべきである程度だが、今度は塊で避けなければ軽傷で済まされない。
 当たれば重傷になりうる破片をヘルエスが弾くか砕くものの、全弾を防げるものに非ず。
 腹部に塊が飛来し、サイズはかなり大きめなのもあり鳩尾に受けながら転がっていく。

「ヘルエスさん!」

「よそ見なんかしてんじゃねえ!!」

 仲間の心配もあれどもこの場は戦場。
 他人に避ける余裕もなければ、治癒できる支給品もない。
 隙を見せたつもりはなく迫る刃を受け止めるものの、八幡力をもってしても重量のある攻撃。
 地面はそれに耐えきれず、彼女の足跡をより明確に残すように沈む。
 これだけの威力だ。写シなしとなった生身の身体で一撃でも掠れば致命傷だ。
 攻撃を防がれたものの、その勢いを使って空中を回転しながら飛んでいく。
 バルバトスの世界であれば裂空斬に近しいものを感じるが、その目的は攻撃ではない。

(しまった!)

 バルバトスは先ほどまではなるべく一対一にできるように視野へ入れた戦い方だった。
 ゆえにカウンターに重きを置いた戦術かと思えば、防がれたら攻撃の反動を利用して、飛び越える。
 着地と同時に走り出す。目的が何かは分かっている。バルバトスが優先順を変更したからだ。
 ジェノサイドブレイバーを含めて、傷が余りないことに攻略法を見つけられないがゆえに。
 誰かにダメージを身代わりにするか、何かしらそういった晶術に類するものがあるのだろうと。
 だからこそヘルエスに狙いを変えた。相手のダメージの軽減の仕方が現状では判断がつかない。
 曲がりなりにも軍の時にはディムロスと並ぶほどの実力者。見る目がないわけではなかった。
 自分との戦闘の前に疲弊していたのが、ハッタリや油断を誘ってると思って放っておいたが、
 塊程度の石を防げなかったのを見るに、本当に体力が底を尽きそうな様子が分かった。
 戦士としての美学なんてもなのはない。そんなものが彼にはあるわけがないのだから。
 倒せそうな敵を優先順位を変更するのは、戦闘においては数の優位を減らすのは、
 卑劣と思うかもしれないが、彼がそんなもの微塵も感じることはないだろう。

(このままだとヘルエスさんが!)

 迅移で何とか追走するも、地面から闇のような漆黒の刃が突き出す。
 写シがまだ使用するまでの時間がないのもあり、咄嗟に後退してしまう。
 殺し合いにおいて足の負傷は致命的だ。序盤から機動力や戦闘に大きく響く。
 足の負傷だけは絶対に避けなければならないのもあり、過剰な反応をしていた。
 だが後退した隙は大きく、今から防御に回り込むのは困難になるだろう。
 何より写シが使えない今、当たれば致命傷の攻撃を防げる機会はない。
 考えるよりも動く。異なる世界の住人であれど彼女も親衛隊にして特別遊撃隊。
 それでも流石に間に合わない。よしんば間に合ってたとしても自分が犠牲になるか、
 彼女の死を利用する形で相手を討伐する。いやな天秤をかけてくる相手だと感じる。

「!」

 しかしバルバトスは歩みを止め、サイドステップで右へ動く。
 何事かと思われるかもしれないが、寿々花もまた理解はできた。
 白銀の龍の風のようなブレスが襲い掛かってくれば攻撃より防御だ。

(あれは……)

 人型の細身のドラゴンの攻撃はバルバトスの歩みを止めるには十分な存在感を放つ。
 そんなドラゴンと共に、ドリフトでブレーキをかけながら、二人の男はバイクと共に参戦する。

「アイザック殿!」

 新手の敵かと思ったものの、アイザックがいるのならば話は別だ。
 アイルストと組織の関係者についてはそこまでの間柄ではないが、
 見かければ声をかける、少なくともそういった程度の関係ではある。

「おお、ギンちゃんに会えるなんて良かったというべきか……いやあんまりよくないかも。」

「その、ギンちゃんですか……可能ならば普通に呼んで欲しいのですが。」

「おや、ダメだったかな? 君の髪からギンケイを連想したんだけどね。」

 頼もしい味方との合流に歓喜の声をあげるものの、
 つまるところ同じ参加者だ。それを喜ぶべきかどうかは悩みどころだ。
 加えてアイザックは面識は余り少ないが、彼女は弟のセルエルを亡くしている。
 性別は違えど彼もまた妹がいる。その心中は余りいいものではないだろう。

「アイザック。悪いが積もる話は後だぜ。」

 攻撃を避けて着地し、バルバトスは状況を確認する。
 四名の参加者と、それを使役するであろう魔物が一体。
 相手側の反応から察するにこれは狙ったものではないため伏兵はいない。
 数は圧倒的に不利であるが、彼も戦況をある程度見極める審美眼ぐらいはある。
 眼鏡(アイザック)は少しくたびれた格好も相まって敵に足りえないと即断。
 となるともう一人の男(クロウ)がどうかが気になるところではある。

「アイザック殿、クロウ殿。下がってください。
 救援はありがたいのですが、今の戦力ではあなた方だけでは相手できません。」

「そのー、素人質問になるけど彼ってそんなに強いのかい?」

「失礼ですが、セルエルや団長殿がいれば、
 或いはアイザック殿の装備があれば変わってたかもしれませんが……」

「あのスーツなしじゃ、僕は悲しいほどに戦力外だからね……」

 一応軽いレベルに銃が扱えるもの、ある程度だ。
 かの有名な狙撃手シルヴァでもなければ、最強の十天衆のエッセルでもない。
 月の民を先祖に持ってるが空の世界で育った身でであり、
 そこまで特別な存在でもないのだから。

「そちらの方も、ルリアの召喚と似た力があるようですが下がってください。」

「そうは言うけど、そっちのダメージ的に大丈夫か不安だぞ?
 悪いことは言わねえ。あいつから逃げる手段ならスターダスト・ドラゴンで全員行けるぜ。」

 サイズはいくらか小さくされてるとはいえ龍の使役は大きいものだ。
 召喚した以上時間の制限はあるが、有事の際はそれで逃げに徹することも可能だろう。

「クロウさん、ですか。お心遣い感謝いたしますわ。
 ですが、彼を野放しにしておくことの方が危険とも判断しますが。」

 自分が届くとは思えない格上の存在は二人とも見てきている。
 流石にタギツヒメやモルガンと言ったレベルと比較すればまだましだ。
 とは言え、それはマシなだけだ。皆が知る強者で思い浮かべる人達を考えれば、
 勝算があるかどうかで言えば、ある方になるぐらいの相手になると二人は認識してる。

「ま、やるしかねえよな……ヘルエスと寿々花だったよな。
 アイザックにも話しておきたいんだ。ちょっと悪いとは思うんだが───」

 手のひらに手を合わせるクロウが頼もうとすると、
 間合いを詰めてくるバルバトスに寿々花が受け止める。
 膂力の差はやはり拭えず、写シもなしに戦う危険も相まって冷汗をかく。

「貴様等、いつまで喋る気だ? この場で死にたければさっさと来い!!」

「悪い寿々花! ちょっとだけ一人で頼む!」

「随分と、難しい注文をしてくれますわね!」

 足止めがどれぐらいの時間がいるのか、その辺はさっぱり分からない。
 けれど何か策があるのであれば、それを引き受けないわけにはいかなかった。

「クロウ殿。何か策がおありなのですか?」

「策っつーか、不躾なのは分かってんだが……持て余してる武器になる支給品、渡してくれねえか?」

「……はい?」

 どういうことかさっぱりわからず、全員が首を傾げた。
 使える支給品じゃなくて持て余しているとはいったい何事か。
 疑問しか持てなかったが、全て確認してないのがセルエルの方は未確認。
 アイザックの鎧も使い道のない鎧とかで気休めにはなりそうではあるものの、
 これらを持ってても使うことが機会がないであろうものを渡す意義は少々理解しがたい。
 とりあえずセルエルに支給されていメリケンサックと、赤い粉を渡しておく。
 助かるの一言でそれをしまい、アイザックから受け取った鎧を装備する。
 中々に不格好ではある見栄えの何とも言えなさは一旦しまっておく。
 重要なのはこれだけ支給品を集めたならばと、戦場へと躍り出る。

「何ッ!?」

 魔物を使役するだけで本人はからっきしの雑魚。
 そう判断していたが、参戦したクロウは想像を超えていた。
 刀使にも負けないスピード、そしてそのスピードともに頬を殴り飛ばした威力。
 少なくとも今までの認識とは明らかに違うもので、別人かとすら疑うものだ。

「よし、カウンター一発決められた! 単純なカードも助かるってもんだ。」

 クロウにはもう一枚デュエルモンスターズのカードが支給され、それは魔導師の力。
 サテライトで勉学を学ぶ機会が少ないクロウであっても知ってる古い装備魔法だ。
 装備した対象に、自分がフィールドに存在する魔法・罠の数だけ攻守を増やす効果。
 此処では自身が基本支給品以外を所持していれば、その数だけステータスが上昇する。
 サティスファクションの時のようなフィジカルはあれども、此処では戦力外ではあったクロウだが、
 アイザックから鎧を、ヘルエスとセルエルの分も合わせれば手持ちも合わせ最大の打点となる。

「寄せ集めでこの俺に勝てるとでも思うのか?」

「ま、そう思われるのは分かってるさ。」

 これについてはクロウも自覚している。
 元の恰好に騎士の鎧と銀色のメリケンサックの装備だが、
 見栄えのいいジャックと違ってお世辞にも似合ってるとは思ってない。
 無論、装備の不格好さを理由にするつもりはないし、今のクロウにとっての最強の装備がこれだ。

「悪いが、三対一で行かせてもらうぜ!」

 クロウが先行し、続けて二人も動き出す。
 アイザックは有事に備えてブラックバードに一先ず乗って軽く距離を取り身を隠す。
 相手は敵となる存在。流れ弾や人質にされてしまう可能性は否定できない。
 その間の四人の攻防はと言うと、

「オラァ!」

 クロウの右ストレートを難なく距離を取り躱す。
 先ほどはカウンターを食らってしまったが、クロウの強さはそこまでではない。
 サティスファクションは、言ってしまえばスラム街の半グレに近い環境で生きてきたが、
 それは魔物や荒魂との戦いではなく、貧富の差によるもの。いくら限界まで攻守を上げたところで、
 あくまで戦いの土俵に立つ資格を得ただけである。槍や刀を振るう世界で生きてはいない。
 右ストレートで殴り飛ばさんと拳を作るものの、繰り出す頃にはバックステップ。
 拳は完全に空振りに終わってしまう。

「ハァ!」

 後退したバルバトスにクロウを飛び越えながら、寿々花による唐竹割だ。
 迎撃は容易である。拳ではなく斧をそのまま突けばいい。ただし、余りにも単調な攻撃。
 今までの外見に違わぬ手本になりえそうな動きとは違った動きに違和感を持つ。
 曲がりなりにも暴斧のバルバトスと呼ばれ、ディムロスと並ぶ強さにまで至った。
 軽い審美眼もそれなりだ。三人が下策の連携で勝てるのであると思ってるならば、嘲笑の対象だ。
 態々迎撃するまでもなくサイドステップで右に避けようとするも、スターダスト・ドラゴンのブレス。
 攻撃の目的と言うよりは、此処から先には通さないという壁のようにも感じ取れた。
 左に避けるべきではあるが、あからさまに誘導されていることは理解している。
 だがあえてそれに乗る。乗ったうえで正面から叩き潰すのも一興だと。
 なんてことのない攻撃を躱しながら、予想通りヘルエスの攻めが来る。

「ヌオッ!?」

 ただし、それは背後から。
 いつの間に彼女が回り込んだのかと思ったが、
 二人が壁となったのとスターダストの攻撃の余波で、
 視界を妨害し続け、寿々花よりも更に高く飛んで何とか背後へ回り込んだ。
 普段ならばバックスナイパーで迎撃するものだが、そんな余裕は前も後ろもない。
 左に注意を払っていた以上少なからず隙となる。ダメージを最小限に抑える打開策、
 ヘルエス以外の二人の攻撃はサイドステップでなんとか回避には成功するものの、
 残された彼女の一撃は、脇腹を赤い線を刻みこんで、地面に血を軽くばらまく。
 軽傷ではないが重傷でもない。ヘルエスの槍が一番避けることについては判断は正しい。
 素人の一撃、攻撃する振りに近しい剣技。ならば回避するのは本命なのは自明の理。

「少しはやるようだが、その程度かッ!」

 直線状に三人。何が来るかは予想できた。
 寿々花が迅移で即座に着地し、クロウを引っ張る。
 鎧の重みはあるものの、八幡力で筋力を強化してれば問題はない。
 ヘルエスも跳躍と同時に、ジェノサイドブレイバ-が直線状に放たれる。
 初見でなかった二人だからこそ対処できたので、クロウは地面の損壊具合に引きつった顔になる。

「ま、マジで死ぬかと思ったぜ……」

 先ほども思ったが、防具となる鎧なんてこの技の前には役に立つとは到底思えない。
 ないほうがまだ自力で脱出できたのではないかとさえ思えてしまうものだ。
 相手の攻撃が終われば、最初に動けたのはヘルエスになる。
 ジェノサイドブレイバーを撃ち終えたばかりの相手は隙も大きい。
 槍による刺突を何度も放つが、バルバトスも負けじと斧で防いでいく。

「ヘルエス! 先走りすぎだ!」

 自分の身体とは思えぬほど身軽に動きながら速度で、空中から飛び蹴りをするクロウ。
 空いている右手で足を掴まれ焦りが生じるものの、即座にヘルエスがフォローして右手を優先する。
 調子に乗り過ぎたと軽く自省をしつつも、スターダスト・ドラゴンも合わせた四対一の状況。
 追いつめてはいるものの、言い換えればそれだけの人数を相手にしても相手は戦えている。
 嫌な予感が拭えずにいるし、本当に追い詰めているのかという不安も拭えなかった。

「死ぬか!」

 地面に手を当て、魔法の動作の準備。
 バーンストライクやグランヴァニッシュか。
 まだ見ない術に警戒する三人ではあるが、紫の魔法陣が展開されるだけ。
 攻撃と思しき動作に三者は警戒するが、それ以上の展開は起きなかった。

「ッ……!」

 最初に戦場で変化が起きたと同時に感じたのはヘルエスだ。
 片膝をついて倒れそうになるが、咄嗟にクロウが抱えて距離を取る。

「なあ寿々花! あいつは何の魔法を使ったんだ!?」

「私が知りたいですわ! ですが魔法陣の展開から───」

「男に後退の二文字はねえ!!」

 距離を取った瞬間、大地を強く踏みしめ一瞬で肉薄してきた。
 高速で迫るヘルエスを突き飛ばすことで直線状から逃れる。
 だがそれは庇うだけであり、即座に頭部を掴んで頭を地面に叩き込まれる。
 サティスファクションの時代でも、これほどのフィジカルを持つ相手は存在しない。
 鎧がなければ今頃頭の中身でも開いていた可能性だってあるのだから、借りたのは正解だ。
 とは言え地面にたたきつけられた以上、痛みで即座に立ち上がることはできない。
 いや、それだけではない。バルバトスが近づいた瞬間に強烈な疲労感がやってくる。
 流石にいきなり起きたこの現象に対して彼は気づく。

「テメエのそれ、近いほど効果を発揮しやがるのか……!!」

「フン、早々に気づくか。」

 ポイゾニック・フィールド。
 バルバトスを中心とした魔法陣に近づく程に体力を消耗する。
 三者は近接攻撃しかできない。ならば使わない手はない。
 常時展開する為消耗はしてしまうものの、近接戦闘しかできない相手には絶大な効果を持つ。

(完全に劣勢……撤退も視野に入れたいけれど。)

 逃げる場合寿々花は追跡を免れて生き延びれるだろうが、最悪二人は死ぬ。
 わざと逃げる振りをして囮役を担えば距離もとれる。無論その場合、最悪自分が死ぬ。
 自分か、仲間か。トロッコ問題のようなものをこの状況で選ばなければならない。
 これは刀使としての務めではない。護衛の時に出くわす悪漢などとは比にならない存在だ。
 あれにはたとえ魔法陣があってもなくとも、今の状況で勝てる可能性は限りなく低い。
 チャンスがあるのなら、ヘルエスから渡されたグランと呼ばれた少年の支給品。
 そこで打開できればいいのだが、この状況でどうやって打開するべきか。

「スターダスト! シューティングソニック!」

 その解を前にして、諦めない人はもう一人いる。
 白銀の龍は風のブレスにバルバトスもクロウから避けざるを得ない。
 その後なんとか立ち上がり、距離を取る。

「寿々花! ヘルエスと一緒にアイザックのとこへ行って逃げろ!」

「……貴方、その意味が何かわかっての発言ですか!?」

 当然、それを受け入れるべきものではない。
 寿々花は胸ぐらを掴むが、クロウは真っすぐに彼女を見る。
 仕方がないとかの諦念の眼差しではない。この男は足掻くのだと。
 自分が絶望的な状況に陥ったとしても、諦めることは決してない。
 ダークシグナーとの戦いだって、命がけで挑んだメンタルは常人を越えている。
 だからすぐに手を離し、苦虫をかみつぶしたような表情で自分の無力さを呪う。
 できることがない。どれだけ頭を巡らせても、解決案は普段のように出てこない。

「これだけは大事な奴だから渡しておくぜ。」

 スターダストを彼女に託しておく。
 魔導師の力の効果を下げることになってしまうが、
 何か策があるのだろうと、彼を信じるほかに答えはなかった。

「……分かりましたわ。また会えることを願います。」

「おうよ! 俺は鉄砲玉のクロウ様だが、使い切りの弾丸とは違うってところを見せてやるさ!」

 足がふらつく状態のヘルエスを抱えて、迅移でその場を去る。
 話を終えて軽く深呼吸をしながら、バルバトスの方へと向き合う。

「結構長々と会話してたのに、待ってくれるとは随分紳士的じゃねえか。」

「フン。貴様如きに、時間などあってないようなものだからな。」

 要するに眼中にない蠅や蚊程度の存在。
 殺してそのまま追いかければどうとでもなる。
 ハロルドのような術もなければ、ジューダスのような剣技もない。
 ただ愚直に殴り合うだけの展開であろうと負ける気はしない、そんな存在だ。

「それはどうだろうな?」

 不敵な笑みを浮かべるクロウ。
 死を前にわけのわからないことをのたまった緋色といい、捨て駒のように一人残されたクロウ。
 味方からも恐れられたバルバトスにとっては、どちらも理解しがたい感情で動いている。
 もっとも、理解できる感情であれば殺さない、なんて選択肢は彼には存在しないのだが。
 まだ見ぬ支給品に何かあるのかとは思うが、早々に決着をつけて残りの連中を追う。

「さあ来いよバルバトス! このクロウ様は大量の支給品がある!
 逃げる三人を追うか、俺を追うかどちらかを選ぶんだな!」

 言いたいことを済ませるとともに赤い粉をばらまき、背を向けて大地を駆ける。
 毒の粉と言った類のものかとも思い、腕で目に入るのだけは防いでおく。
 しかしこれと言ったものは感じられない。あるのは逃げる相手に対する怒りだけだ。
 もっとも、その怒りもクロウの使った興奮剤による現象だが知る由もない。

「漢に後退の二文字はねぇ!!」

 鬼のような形相で大地を駆け抜け、首根っこを握りつぶす勢いでつかもうとする。
 だが捕まる寸前にジャンプして、近くの家屋の屋根を飛び越えていく。
 魔導師の力と借りた支給品により、動きは大分人間離れしたものになっている。
 掴むことには失敗したが、見失ったわけではない。相手と同じルートを、
 難なく飛び越えながら二人による追走が始まった。

【C-4/黎明/1日目】

【クロウ・ホーガン@遊戯王5D's】
[状態]:健康
[装備]:魔導師の力@遊戯王OCG、騎士の鎧@DRAGON QUEST ーダイの大冒険ー、メリケンサック@ヴィジランテ―僕のヒーローアカデミアILLEGALS、興奮剤×2@グランブルーファンタジー
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×0~1
[思考・状況]:
基本方針殺し合いをするやつを止める。
1:アイザックを見てると、遊星を思い出すな
2:鬼柳を探しておきたい。
3:斬紅郎、やばそうな雰囲気だったがほっといてよかったのか?
4:ロットンの野郎が何かしてたらぶっ飛ばす。
5:メスって、医療道具のだよな……何でいるんだ?
6:一先ず逃げる! 寿々花、ヘルエス、アイザック! 頼むぜ!

[備考]
※参戦時期は少なくとも遊星VSアポリア戦終了以降。

【バルバトス・ゲーティア@テイルズオブデスティニー2】
[状態]:疲労(小)、ダメージ(小)、怒り(特大)、ポイゾニックフィールド展開中
[装備]:凍土の巨斧@御城プロジェクト:Re
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0~2、天の叢雲@ファイナルファンタジーシリーズ、サイクロン@遊戯王OCG(6時間使用不能)、スリングドライバック(LvMAX)(中に基本支給品一式)@ブルーアーカイブ
[思考・状況]
基本方針:皆殺しだぁ!
1:サンラクや女連中などどうでもいい。クロウを殺す。
[備考]
※参戦時期は採用され次第後続にお任せします
※興奮剤@グランブルーファンタジーにより怒りの感情が強くなってます。





「お、戻ってきたんだね……あれ、兄弟は?」

 寿々花がブラックバードの置かれた場所へ到着すると、
 近くの家の塀からひょいとアイザックが顔を出す。
 バルバトスとの戦いは遠くとも聞こえていたので、
 半ば怯えながら、Dホイールの操作の仕方や点検を行っていた。
 肝心の当人がいないことは、最悪の事態も想定はしていると言えども複雑な表情をする。

「クロウさんは現在、殿を務めていますわ。」

「因みに勝算は?」

「……限りなく低いかと。」

 シグナーではあってもそれ以外はただの人間だ。
 運転中に転落すれば腕が折れるし、スラムに近いサテライトで育ったとしても、経験値が違う。
 鍛え抜かれた筋骨隆々の男を相手にして、勝てる見込みがあると言い切れるものではない。

「そこは兄弟を信じるしかない、か。」

 死と隣り合わせ。アイザックの周りではそういうことも少なからずはあった。
 同じ月の末裔の一人であるグレイスは、多くの人を殺して既に死んでいる。
 生きてるとはいえ、脳を開けられたカシウスの姿も思い出すだけでショッキングな出来事だ。
 組織も組織で知らないところで内部分裂を起こしてる状態らしいという話も聞いた気がする。
 だからクロウがどっちに転がっても、よくある傍観者の立ち位置で終わってしまうかもしれない。
 勿論、生きてる方が嬉しい。同じ目的を持った者同士で、Dホイールについても興味がある。

「彼がクロウさんではなく、私達を追ってきている可能性もあります。
 ですのでアイザックさん。ヘルエスさんと共にDホイールに乗ってください。」

「それはいいけど……コトブキちゃん(寿々花のこと)、君はどうするんだい?」

 調べたところDホイールはケッタギアよりも速度が出せる。
 なので出そうと思えばとんでもないスピードを出せてしまう。
 自分とヘルエスはそれに乗れるなら越したことはないが、
 彼女を一人で置いていくということになってしまう。

「御心配には及びません。それよりもヘルエスさん、乗り方は?」

「ええ……ケッタギアには乗ったことはありませんが鉄の馬と思えば大丈夫かと。」

 迅移を使えば、御刀が違うのもあり最速は無理でも、乗り物にも匹敵する速度は出せる。
 バルバトスとの戦いでダメージは少なくないものの、まだ走ること自体は難しくはない。
 相手がどれほどのスピードを出せるのか次第なところはあるのは否定できないところだが。
 アイザックが乗った後、ヘルエスも手を回してアイザックに軽くしがみつく。

(グウィンがいなくてよかったと思うべきなのかなぁ、こういうの。)

 ヘルエスは育った環境が理由なのかは不明だが、少なくとも美人に該当する人物だ。
 皇族由来の気品溢れる相手であり、人によっては高嶺の花であろう存在が後部座席にいる。
 男性としてはそれは悪感情を持つことはないが、妹のグウィンがみたらどう思うのか。
 そんな些末事に匹敵するような煩悩はとりあえず投げ捨て、Dホイールを走らせる。
 走行に特に支障なし。後は何処で止まるか。運転しながら聞きそびれたことをがあり振り返った。

「あ、そうだコトブキ───」

 バシャリと、打ち水のような音が聞こえた。
 近隣の住人なんているはずない。じゃあ誰がその音を出したのか。
 後方を二人で見やれば、即座に理解できた。

「……え?」

 何が起きたのか、当人が一番理解できなかった。
 迅移で走ってDホイールと並走する。そのつもりで一歩を踏み出した瞬間だ。
 腹部を貫通する、オブシディアンのような色の装甲を纏った腕が背後から貫かれていた。
 血が滴り、自分は怪我を負ったのかと理解すると同時に腕は引き抜かれる。

「スズカ殿ッ!!」

 誰が見ても重傷だ。
 そのままブラックバードから飛び降りようとするヘルエスだが、
 ブラックバードの速度を更に上げて降ろそうとせず、寧ろ逃げに徹する。

「アイザック殿! 早くケッタギアを……」

「ギンちゃん、それは無理だ! というより、できない!」

「何故───」

「僕が機械に詳しいからだ!!」

 アイザックの張り上げた声に、ヘルエスは固まる。
 どれだけ多くの仲間を集めようとするにしても、
 首輪を何とかしなければいつまでもベリアルの術中だ。
 この舞台にそれをなんとかできる人が80人の中に何人いるか不明だ。
 最悪、アイザックしか機械に詳しい人物がいないと言う可能性もある。
 知らないからこそ、自分が命を投げうって助けるわけにはいかなかった。
 団長もメカニックもできるといえばできるが、高度なレベルになると話は別だ。
 月の民の技術が使われてる可能性だって否定できない。だから彼には選ぶ権利はない。
 何があっても、たとえ誰かを見捨てることになっても死ぬわけにはいかないのだから。

「事が終わったら幾らでも責めてくれ。
 僕にはそれしかできそうにないんだ……」

 Dホイールから飛び降りる。そう難しいことではない。
 だがその後どうするか。ベリアルに対抗できる機械に強い存在だ。
 そのまま一人にして死んでもおかしくはない。それほどにアイザックは非力になる。
 モルガンの存在もある中、彼の生存に賭けて一人に任せるか、既に致命傷の寿々花を見捨てるか。
 彼女もまた、事実上選択の余地はない。否、選ぶ権利すら彼らにはない。

【アイザック@グランブルーファンタジー】
[状態]:精神疲労(中)
[装備]:ブラックバード(応急修理済み)
[道具]:基本支給品一式、不明支給品×1~2
[思考・状況]
基本方針:どうにか脱出したい。
1:団長や兄弟(クロウ)と協力して状況の打開。
2:どれぐらい知り合いがいるかだけど……ちょっと多くない?
3:それにしてもザンクロウ、何者だったのかな。ちょっと悪いことをした気がする。
4:ロットンに一応警戒。油断大敵ってね。
5:キリュウって人を探したい。
6:メスを探す。今はそれが一番早いかもしれない。
7:生きていてくれよ、兄弟、コトブキ(寿々花)ちゃん。
8:生きないといけない。

[備考]
※参戦時期は少なくとも自身の3アビフェイトエピソード後。

【ヘルエス@グランブルーファンタジー】
[状態]:精神疲労(大)、負傷(中)、悲しみ(大)、新たなる決意
[装備]:クリスタルルーン@グランブルーファンタジー
[道具]:基本支給品一式×2、不明支給品×1~2、セルエルの首輪
[思考]:元凶を倒し、殺し合いを止める。
1:アイザックと行動する。するしかない……
2:貯蔵施設を目指す
3:選択は、正しかったのでしょうか……

[備考]
※参戦時期は風SSRフェイトエピソード2後
※ジータが同世界出身の者ではないかと感じています
※立香以外のFGO勢、アカメ勢がモルガンの知り合いではないかと考えています(立香は学マス勢と同じ世界出身ではと考えています)


「この様子だと、大した相手じゃなかったか……時間を無駄にしちまったな。」

 イェーガーズ本部から抜け出したシドは、
 適当に放浪していると一人かつ、無防備でいるアイザックを見かけた。
 随分ひょろそうな姿をしており、簡単に殺せそうなようにも見える。
 余りにも隙だらけで襲ってくれと言ってるようなものではあるのだが、
 先ほど一番戦闘に不向きでありそうなひなたにしてやられたのが影響し、
 余りの無防備さから、何かを滅茶苦茶なものを隠し持ってるのではないかと考え観察する。
 運よくか悪くか、思考してる間に寿々花が合流してきて、そのまま挑めば三対一になっていた。
 だがそのままどうするか。誰を狙うべきかを考えた末に、僅かでも一瞬一人になった寿々花を狙う。
 奇襲自体は一応成功はしたものの、アイザックに対し余計な警戒をし過ぎたのは否定できない。
 しかし今ならば、グランシャリオのスペックで行けば、まだ走って追いつけるぐらいの距離だ。
 胴体を貫通した右手を引き抜き、軽く血を振り払って二人を追うことを優先する。
 その寸前に側頭部を強く叩かれて、思考が一旦止まって軽く怯む。

「追わせ、ませんわ……!!」

 穴を覗けば向こう側の景色が見えるのではないか。
 誰が見たって重傷であるにも関わらず、寿々花は加州清光を構える。

「全く、現実を見てねえガキだな。」

 やれやれとため息をつきながら、シドが反撃する。
 この状況になっても支給品に手を付けないことから、
 自分が使用してた薬のような傷を塞ぐ効果はないと判断できる。
 ならば彼女なんて放っておいてアイザックを追いかける方がいい。
 これが貴虎や戦極であればそうするだろうが、此処にいるのはシドだ。
 ガキを相手に舐められっぱなしでいられないからこそ、ロシュオによって死を迎えた。
 死ぬ思いをしてもなお野心家であることを諦められない存在なのだから。

 ダメージで満足に動けなかった彼女の右腕を掴み、強く握る。
 人間の状態ならばたいした握力はないが、グランシャリオで引き上げられたものだ。
 写シも何もない寿々花の右腕の骨を砕き、声にならない声を上げる程に歯を食いしばる。
 これだけの負傷だ。ほっておけばそのまま死んでくれるだろうと追跡を優先しようとするが、

「現実を見てないのは……貴方の方ですわ。」

 捨て置けないセリフが耳に届いて、鎧の中で軽く舌打ちをする。
 御刀は手から零れ落ち、ダメージから既に彼女に戦うことは不可能だ。
 それでも、一分、一秒でも構わない。足止めになるならそれでいいと。
 できることなら、結芽や夜見との再会もしたかった後悔はあるが、
 こればかりはどうしようもないことだとして割り切る。

「ベリアルの、甘言に乗った……貴方の方が、よほど子供に……」

 言葉は最後まで紡がれることはない。
 顔面に拳を叩きつけられ、吹き飛ばされる。
 そのまま近くの塀に叩きつけられ、地に伏せる彼女を見やる。

「仲良しこよしでベリアル相手に抵抗しようとしてる方が、
 甘すぎる考えを持っただけで、現実しか知らない子供だろうが。」

 自己正当化でもしたいのか、単に思ったことを口にしただけなのか。
 隠し切れない苛立ちを抱きながら、シドは物言わなくなった彼女から支給品を奪う。
 最初はひなたと言う何の障害にもなりえないであろう相手に出鼻をくじかれたが、
 まだ運命に見放されたわけではない。人間を越え、ロシュオも越える。
 その為ならば、手段は選ぶことはないだろう。

【此花寿々花@刀使ノ巫女 死亡】

【シド@仮面ライダー鎧武】
[状態]:ダメージ(大)、両腕に傷(止血)、苛立ち(特大)
[装備]:修羅化身 グランシャリオ@アカメが斬る!
[道具]:基本支給品×3(自身、グラン、寿々花)ランダム支給品×0~4(自分×0~1、寿々花×1~3)、常夏と休息の剣@グランブルーファンタジー、グランの首輪、スターダスト・ドラゴン(6時間使用不可)@遊戯王5D's
[思考・状況]
基本方針:優勝する。
1:こいつら(アイル、北ノ城)を利用する。
2:利用はするがガキどもとつるむつもりはねえ。
3:ユグドラシル、行ってみるか?
4:あのガキども(シュラ達)は殺す。特にコスプレ女(ひなた)。
5:どいつもこいつも苛立たせるな。
[備考]
※参戦時期は死亡後。







【魔導師の力@遊戯王OCG】
クロウに支給。テキストは以下の通り

装備魔法
①:装備モンスターの攻撃力・守備力は、
自分フィールドの魔法・罠カードの数×500アップする。

本ロワではランダム支給品を持ってる分だけ攻守が上昇するが、
6つ以上ランダム支給品を所持していても、攻守の上限は3000より上がることはない。

【メリケンサック@ヴィジランテ―僕のヒーローアカデミアILLEGALS】
セルエルに支給。ナックルダスターが使っているメリケンサック。
特別な性能ではないが、元の使用者は鍛えて策があれば個性持ち相手に十分通用していた。

【興奮剤@グランブルーファンタジー】
セルエルに支給。読んで字のごとくだが、どちらかと言えば怒りを煽るもの。
ゲーム上ではオーバードライブのゲージを増やす効果がある。

038:Story of IRIS 投下順 040:
時系列順
15:情報考察 ヘルエス
此花寿々花 GAME OVER
024:アナザースカイ・ワークナイト アイザック
クロウ・ホーガン
025:蒼空の殺し合いで俺ができる唯一のこと バルバトス・ゲーティア
029:修羅を切る シド

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2026年09月21日 00:20