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「意味」 中篇

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sousakurobo

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さて、突然で難だが物語の語り部は彼女から僕になる。僕が何者かは後々分かるよ
それでだ、青年型に誘拐された彼女は何者なのか、そして青年型の正体とは……
とそんな微妙な伏線を、人類が全滅した過程と共に明かしておこう。おっと、心配は要らない。見せ場はちゃんと彼女に託そう
さぁて、では彼女と青年型が語る「彼」いわゆる「博士」と呼ばれる人物について語っておこうか
彼の名は……おっと何だったかな。僕も忘れ草が付いてて困る。……いかん、本気で思い出せない

そうだ、先に青年型が語っていた人類とロボットの衰退と戦争、そして滅亡の歴史について語ろう
まず人類が初めてロボットを開発した…は凄く長くなっちゃうので残念ながら省略。またの機会に
彼女が回想していた1NE系統が、本格的に生産ラインに乗って、人々が日常的に酷……ではなく共に生活していた時代だ
そんな日、「博士」及び「彼」……今後は「博士」と呼ぶ事にするが、「博士」が世界的な学会に自らの研究成果を発表した
今までの1NE型とは根本的に違う外見に、太陽光etcエコロジックなエネルギーを使用した事で、内外共に今までのロボット業界に新たな風を吹き込むロボット

分かるね? アンドロイドだ。「博士」の研究はいち早く世界で注目され、あれよあれよという間に世界中に広まった
しかし皆が皆、アンドロイドの台頭に賛成だった訳じゃない。1NEの開発者や、1NEについて携わっている人々はこの風潮には些か不満だったんだ
何たって自分達の生活を脅かされる事態だしね。だが哀しいかな、彼らの主張は「少数派」として次第に放逐されていった。酷い話だけどね
その内、多数派というか、アンドロイド至上主義の様な人たちが1NEとその系統を廃棄しようという運動を起こした

悲劇はそこからだ。その団体でもっとも力を持つ者――いわば先導者が、「博士」を同胞を使って拉致したんだ。理由はこれまた最低
1NEを初めとするアンドロイド以外のロボットに対し、悪性のコンピューターウイルスを散分させる為だ。凄いね、どんな結果になるか分かりきってるのに
もちろん「博士」はその要求を突っ撥ねた。だが……「博士」はその首謀者の正体に愕然とした。まさか自分の

おっと、悪いけどちょっとした事情が出来た。僕は本来の姿に戻ろう
さて、この後彼女がどんな運命を辿るのか……しっかり見届けてくれ

ん……蛍光……灯? ココは……ふっと、全身の力が抜けているようだ。まったく動ける気がしない
と、状況確認したほうがいいかな。さっきまで私は……そうだ、突然目の前が真っ暗になって、その場に倒れたんだ
それで視界が戻らないまま、あのアンドロイドと、青年型と妙な問答を交わした。「博士」についての
あのときの会話は殆ど私の本音だ。そしてあのむき出しの感情も。何故だか私はあの青年型の話に怒りを抱いた
まるで口調が他人事のように感じた。私でさえ嗚咽を吐く(吐けないけど)内容なのに

って冷静に振り返っている場合じゃない。私は首を動かし、自らの状態を見計らう
ふと、ひんやりと冷たい感触が背中を走る。今の私は寝かされている様だ。どうやったかは知らないが首以外全く身動きできない
視線だけ周りに移すと、左右に大きな機械……冷蔵庫くらいと表現すればいいのかな? そうゆう機械が2,3台並んでいる
にしてもさっきからどうも気持ち悪い。オイルの匂いやらなんやらで、形容できない冷めた匂いに、私の嗅覚は拒否感を示しているのだ

それと、自分の体を覗き見る。……全裸だ。いつの前に服が剥ぎ取られたのだろう。恐らく青年型の仕業だ
人を裸に剥くだけではなく、ベットに括りつけるなんて姿見に反して、あの男は酷く性格が悪いらしい
しかし本当に身動きが取れないな……こんな今年といて、ただで済ませる訳にはいかないだろう。少なくとも女性型のプライドとして
けれど、数十年間一人である私に協力者など正直な所、いない。小動物達と仲良くできるほど私は優しくないし

そういや私を括りつけているコレはベットと言うより巨大な鉄板の様な気がする。……焼かれるのか? 私など焼いても旨くも何とも
いや、あの男の事だ、もっとえげつない事を企んでいるのかもしれない。というか…どうにかこの場から脱出しない事には何も進まない
そして、あの青年型と1NEが何者かを知るまで、私は朽ちる訳にはいかない。「博士」について聞く事もある
だが無常にも幾らジタバタ足掻こうとも、見えない鎖が私を縛り続けている。あぁ、悔しい

その時だ、前方に見覚えのある物体が視界に見えた。あのライトのような目に、コロコロとした……君は青年型と一緒にいた1NEじゃないか
丁度良かった……と言っても君に何か出来るとは失礼だが思えないな。けれど何か手助けしてくれるなら大歓迎だ、と
私の足元に1NEは止まった。そして目であるライトを何度か点滅させた。ふむ……
「アナタヲ ヨンデイル ジブンニ ツイテ キテ クダサイ」
なるほど…私を呼ぶその人物はおそらく悪趣味な青年型だろう、全くあの禅門答といいこの仕打ちといい、あの男は私に恨みでもあるのか
いや……むしろ私を作り出した「博士」にか。「博士」と青年型がどんな関係なのか、私は色々な意味で好奇心を煽られた

1NEが足元から私の左脇まで移動した。瞬間、今まで私を押さえつけていた鎖が突如として消滅し、四肢が自由になった
急いで腰を上げる。どこからかひゅうと風が吹き、微かな寒さに小さく震えた。あらためて私が今いる場所を観察してみる
周辺に無機質な機械類が並んでいる。だが整備されている様子も無く、どこか雑多なイメージだ。一体この部屋で何をしていたのだろう
てか今の私は裸なんだか……と呆然としていると、1NEがどこから出したか大きな布切れを、私の目の前にどさっと置いた
服じゃなくて布切れ……まぁこの際贅沢は言ってられない。急いで布切れを纏い、台から降りた

台でも鉄板でもない……透明かつ巨大なアクリル板のような板の下に、大きな電球型の機械が設置されている
下に潜りそれに触れると、ピシッと静電気のようなものが私の指を走った。これは……磁場だ。それも非常に強力な
私の中にある電磁を含む物質を利用して、ここに押さえつけてたって事か……道理で何も無いのに動けないわけだ
ここまでやる事なす事陰険だと本気であの男に怒りを感じる。一度くらい言い負かさないと、私の感情も収まらない
と、1NEの後ろをとぼとぼと歩きながら、私は決意した

歩けども歩けども殺風景な廊下が続く。証明が薄暗く、たまに1NEを見失い。と言っても道は真っ直ぐなので迷う事は無いが
それにしても本当にココは何処なのだろう。まず「博士」の家ではない事は確かだ。そして私が今まで来た事の無い場所である事も
と、次第に数メートル先に眩い光が見えてきた。出口だ。自然に足が速まる。前方の1NEに追いつかないようにだが
段々と光が近づいてきて、私は目を細めた。1NEの姿が光の中に消える。慌てて私は走り出した。ここ……は?

「ようこそ、イヴ。我々アンドロイドの世界へ」

青年型の大声が、反射するように私の聴覚を刺激した。一瞬私は耳を押さえかけた
細くしていた目をゆっくりと開ける。そこには巨大な、ホントに巨大な液晶モニターが吊り下げられていた
そしてその周りに悪趣味な金色の装飾が、壁やモニター周辺に敷き詰められている
真正面を向くと、黒いコートに身をやつした複数の人物が、白いイスに座った一人の男を中心に扇形に並んでいた。意味が分からない

「やっとあの男からの呪縛から解かれたんだ。もう少し喜んだらどうだ?」
中央の白いイスに座った――他の連中と同じく、黒コートを着た忌まわしき変態青年型男が、俯きながらも視線だけを私に向けてそう言った
どことなく・・…・いや、完全にナルシズムだ。隠そうにも隠せられない気持ち悪さが滲み出ている
何なんだろうこの人達……確かに私はいつもの日常から脱したいとはつくづく思っていたが、こんな非日常は全く望んでいない

私がオドオドとしていると、追い越していた1NEがトコトコと、青年型の元へと向かっていた
同時に青年型が立ち上がり――次の瞬間、1NEを思いっきり蹴りつけた。蹴られた1NEが派手な音を立てて横転する
「なっ! 何て事をするんだ!」
私は反射的に1NEの所まで駆け寄りしゃがんだ。軽く火花が散っていて、凄く痛々しい

「良いんだよ、コイツは。むしろここまで生かしておいた事に感謝してもらいたいね。あ、喋れないか、お前」
青年型の癪に障る嫌味が、私の耳に入る。周りの連中も含み笑いしている
もう駄目だ、私の怒りも頂点に達している。この男も周りの連中も・・・許しえない

私はその場に立ち上がり、青年型に向き合った。最初に会った時の表情とは完全に違い、サディスティックが前面に出ている
「そう睨みつけるな、イヴ。俺達は――この地球で最初の支配者になるんだ」
……はぁ。思いっきり平手打ちしたくなったが、青年型のその発言に、私は思わず方の力が抜けた
気づくと警戒しているのか、周りの黒コート達が私を囲っている。が、青年型がさっと手をかざすと、その場に直立した

「俺もいきなりすぎたよ、それは謝る。だがもう時間が無いんだ
 地球環境は悪化し続けているし、未だに南極の氷は解け続けている。どれもこれも人間が悪いんだ。――と言っても全滅してしまったけどね」
そう言うと、青年型は豪快に笑った。ひたすら不愉快。だがそれ以上に1NEが動かないのが私には心配だった
動いてくれ、どんな信号でも良い。私に反応し……ん? 淡く、微かな光が、1NEのライトから見える。点滅しているのか……?

「さて、それでは計画を始めようとするか。次なる世界の幕開けの為にな」
青年型が人知れずそう呟くと、後ろでブオンと、鈍く光る音がした。私は振り返ると――なぜか「博士」の花畑が映し出されていた

「どういう……事なの?」


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