「俺はこのまま、シュワルツの思うがままには絶対にならない。このままこの村から出ていくくらいなら、一矢報いてやる。
今日の深夜、俺は持てるだけの武装をして、シュワルツのアジトへと乗り込む。もしシュワルツに一矢報いる事が出来なくても……」
そう言いながら、ギーシュは懐から何かを取りだした。それは紛れもなく……。
今日の深夜、俺は持てるだけの武装をして、シュワルツのアジトへと乗り込む。もしシュワルツに一矢報いる事が出来なくても……」
そう言いながら、ギーシュは懐から何かを取りだした。それは紛れもなく……。
「……ちょっとギーシュ、それって!」
メルティの甲斐もあり、調子を取り戻したクレフが、ギーシュが握っている物に声を出した。
ギーシュの手には、警告マークが記された、赤色のダイナマイトが握られていた。無論導火線を完全に切ってはあるが。
メルティの甲斐もあり、調子を取り戻したクレフが、ギーシュが握っている物に声を出した。
ギーシュの手には、警告マークが記された、赤色のダイナマイトが握られていた。無論導火線を完全に切ってはあるが。
「俺はこいつを身に纏って、奴の飛行船に風穴を空けるか、もしくはたかって来た黒騎士共をあいつの目の前で木っ端みじんにしてやるんだ。
既に俺の計画に賛同してくれている奴がいる。立ち上がってくれ」
既に俺の計画に賛同してくれている奴がいる。立ち上がってくれ」
ギーシュがそう言うと、1人、また1人が立ち上がり、延べギーシュ含めた12人が立った。
そのメンバーは皆、恋人も家族もいない。だが、ある共通点を持つ男たちだった。共通点に気付いたクレフが驚嘆する。
「……なんで、何であんた達が賛同してるの!?」
そのメンバーは皆、恋人も家族もいない。だが、ある共通点を持つ男たちだった。共通点に気付いたクレフが驚嘆する。
「……なんで、何であんた達が賛同してるの!?」
ギーシュ含めたメンバーは皆、クレフと同じ炭鉱業で働く男達だ。筋骨隆々な男達で、戦力にはなりそうだがそれとこれと話が別だ。
ギーシュの悲痛な面持ちから分かる通り、どう考えてもこの戦いに勝ち目など無い。クレフは激哮する。
ギーシュの悲痛な面持ちから分かる通り、どう考えてもこの戦いに勝ち目など無い。クレフは激哮する。
「ギーシュ! 今すぐこんな事やめてよ! 死んじゃったら……死んじゃったら何の意味もないじゃない!
また別の土地で皆で暮らしていこうよ! 生きていれば……生きていればきっと」
言葉に詰まり、目に涙をためるクレフの肩に、ギーシュは両手を乗せ目を合わせる。そしてゆっくりと諭すように語りかける。
また別の土地で皆で暮らしていこうよ! 生きていれば……生きていればきっと」
言葉に詰まり、目に涙をためるクレフの肩に、ギーシュは両手を乗せ目を合わせる。そしてゆっくりと諭すように語りかける。
「クレフ、俺達は死にに行くんじゃない。男として、全てを奪った悪漢を倒しに行くんだ。
男にはな、どうしても立ち向かわないといけない時がある。今はその時なんだ。分かってくれ」
ギーシュの言葉にクレフは足から崩れ落ちる様にその場にしゃがみこんだ。メルティがすかさず寄り添う。
男にはな、どうしても立ち向かわないといけない時がある。今はその時なんだ。分かってくれ」
ギーシュの言葉にクレフは足から崩れ落ちる様にその場にしゃがみこんだ。メルティがすかさず寄り添う。
「ギーシュ、本気なのか?」
今まで静かに話を聞いていたトニーが、堪えかねた様にギーシュに話しかける。
「俺は親友として、お前には死んでほしくない。思いなおす事は、出来ないのか……」
今まで静かに話を聞いていたトニーが、堪えかねた様にギーシュに話しかける。
「俺は親友として、お前には死んでほしくない。思いなおす事は、出来ないのか……」
トニーの言葉にギーシュは小さく首を振る。
「何時かこうなる事は分かってたんだ。それが少し早くなっただけさ」
「ギーシュ……」
「トニー、お前はメルティとクレフを守ってくれ。それがお前の役目だ」
「何時かこうなる事は分かってたんだ。それが少し早くなっただけさ」
「ギーシュ……」
「トニー、お前はメルティとクレフを守ってくれ。それがお前の役目だ」
ギーシュは村人達1人1人の顔を見まわし、言葉を紡いだ。
「このメンバーで、俺達は最後まで奴に抵抗したいと思う。志願者は、良く考えてから俺に申し出てくれ。
恐らく、いや、絶対に生きちゃ帰れない。この戦いは良くて相打ち、それか死ぬだけの戦いだ。
あらかじめ言っておくが、妻帯者や家族がいる奴は入れん。自分の大切な人を守れ。ひとまず話は以上だ。後で避難ルートを教える。
それと、俺の指示があるまで酒場から出ないでくれ」
「このメンバーで、俺達は最後まで奴に抵抗したいと思う。志願者は、良く考えてから俺に申し出てくれ。
恐らく、いや、絶対に生きちゃ帰れない。この戦いは良くて相打ち、それか死ぬだけの戦いだ。
あらかじめ言っておくが、妻帯者や家族がいる奴は入れん。自分の大切な人を守れ。ひとまず話は以上だ。後で避難ルートを教える。
それと、俺の指示があるまで酒場から出ないでくれ」
その時、酒場の窓ガラスが一斉に割れるほどの轟音が、外に響いた。まるで大地震の様にテーブルが震えだす。
「伏せろぉぉ!」
ギーシュが叫びながら、村人達にテーブルの下に隠れるよう、指示を出す。数秒後、その音が止む。
入り口付近に見覚えのあるシルエットが浮かぶ。何者かが、ドアを蹴り上げて入店してきた。ギーシュはゆっくりと立ち上がり、ドアに視線を向ける。
「伏せろぉぉ!」
ギーシュが叫びながら、村人達にテーブルの下に隠れるよう、指示を出す。数秒後、その音が止む。
入り口付近に見覚えのあるシルエットが浮かぶ。何者かが、ドアを蹴り上げて入店してきた。ギーシュはゆっくりと立ち上がり、ドアに視線を向ける。
そこには、あの男が悠然とギーシュに向けて軽薄な笑みを浮かべて立っていた。
「着様……!」
「先程振りだな、お留守番男。退去の支度は終わったか?」
「着様……!」
「先程振りだな、お留守番男。退去の支度は終わったか?」
ギーシュに全ての終わりを告げた大男の片割れ――――レフトがライフル銃の銃口を、ギーシュに向けた。
ぞろぞろと、黒騎士達が店内に入ってくる。村人達が怯えて身を寄せ合う。レフトはふっと笑うと、そこにある椅子に腰を下ろした。
ぞろぞろと、黒騎士達が店内に入ってくる。村人達が怯えて身を寄せ合う。レフトはふっと笑うと、そこにある椅子に腰を下ろした。
「まぁ落ち着け、お留守番男。お前達の退去を邪魔しに来た訳じゃない。俺が用があるのは……トニー・クロウス。お前だ」
レフトが銃口を、しゃがんでいるトニーに向ける。トニーはクレフの台詞に戸惑った。クレフが何を言いたいのか、何となく、分かった。
レフトが銃口を、しゃがんでいるトニーに向ける。トニーはクレフの台詞に戸惑った。クレフが何を言いたいのか、何となく、分かった。
「お、俺にか? 何、何の用件かな」
トニーは自分自身の震えを抑える為に、無理やり膝元を立ち上げた。クレフは一転厳しい顔つきになり、その用件を話し始めた。
トニーは自分自身の震えを抑える為に、無理やり膝元を立ち上げた。クレフは一転厳しい顔つきになり、その用件を話し始めた。
「さっきは驚いたぞ。まさか黒騎士共をあそこまで叩きのめすとはな。それにライトまで殺すとは全く……人は見かけによらない者だ」
レフトの言葉に村人達がどよめく。そしてギーシュも怪訝な表情で、トニーを見つめる。
レフトの言葉に村人達がどよめく。そしてギーシュも怪訝な表情で、トニーを見つめる。
「で、ここからがお前に聞きたい事だ。黒騎士達を倒したあの自動人形は、お前の所有物か?」
一瞬空気が凍る。トニーは自分の足元が揺らぐ感覚に陥る。
村人達が一斉に、トニーに視線を向けた。その視線には様々な思惑が含まれている。
ギーシュが戸惑いと疑問が入り混じった複雑な表情で、トニーに問う。
「……どういう事だ、トニー。お前は……」
村人達が一斉に、トニーに視線を向けた。その視線には様々な思惑が含まれている。
ギーシュが戸惑いと疑問が入り混じった複雑な表情で、トニーに問う。
「……どういう事だ、トニー。お前は……」
「質問しているのは俺だ。黙ってろ」
天井に向けて、レフトが銃声を鳴らした。ギーシュはくっと歯ぎしりをして俯いた。
天井に向けて、レフトが銃声を鳴らした。ギーシュはくっと歯ぎしりをして俯いた。
「どうなんだ? トニー・クロウス。返答次第ではこのまま見逃してやる。が、正直に話せよ。
さもないと、ここが血の海になると思え。お前のせいでな」
銃口を向けたまま、レフトがトニーの返答を待つ。村人達とギーシュの視線が突き刺さる。
さもないと、ここが血の海になると思え。お前のせいでな」
銃口を向けたまま、レフトがトニーの返答を待つ。村人達とギーシュの視線が突き刺さる。
「俺は……俺は……」
トニーの思考は混乱している。
どうする? このまま正直に答えても、レフトが無事に済ます可能性は極めて低い。
だがだんまりを決め込めば、皆殺しにされる。しかし……。
トニーの思考は混乱している。
どうする? このまま正直に答えても、レフトが無事に済ます可能性は極めて低い。
だがだんまりを決め込めば、皆殺しにされる。しかし……。
「どうした? 答えられないという事は、お前の所有物という事で良いのだな?」
「待て、違う! アレは……」
「待て、違う! アレは……」
ふと、レフトは天井を見上げた。パラパラと、埃の様な物が落ちてくる。
いや、これは埃じゃない。破片だ。天井を成型するパーツの破片が落ちてきている。瞬間、レフトの瞳孔を開いた。
天井が破壊され、何かが落ちてくる。レフトは慌てて、その場から逃げだした。
ギーシュも察知し、村人達にすぐに逃げるように叫ぶ。何かは天井を抜け、レフトがいた場所へと落ちてきた。
いや、これは埃じゃない。破片だ。天井を成型するパーツの破片が落ちてきている。瞬間、レフトの瞳孔を開いた。
天井が破壊され、何かが落ちてくる。レフトは慌てて、その場から逃げだした。
ギーシュも察知し、村人達にすぐに逃げるように叫ぶ。何かは天井を抜け、レフトがいた場所へと落ちてきた。
「……おい、タウ。ちょっと粗過ぎるぞ、もう少し静かに出来んのか」
「だってショウイチが早く飛ばせって言うから……」
「だってショウイチが早く飛ばせって言うから……」
タウエルンから降りたショウイチが、肩を動かしながら苦笑交じりに不満をぶつける。
反省のつもりか、タウエルンが手を象ったマニュピレーターでヘッドパーツを掻いた。
反省のつもりか、タウエルンが手を象ったマニュピレーターでヘッドパーツを掻いた。
「ショ、ショウイチ君!? どうしてここに!?」
乱入してきたタウエルンとショウイチに、驚愕したトニーが思わず声を上げる。
ショウイチは服に付いた汚れを掃いながら、トニーに返答する。
乱入してきたタウエルンとショウイチに、驚愕したトニーが思わず声を上げる。
ショウイチは服に付いた汚れを掃いながら、トニーに返答する。
「ちょっと危険を感じましてね。いてもたってもいられなくなったもんで」
「まさか自分から出向きに来てくれるとは……嬉しいよ、自動人形」
ドア付近に移動していたレフトが、タウエルンとショウイチに向かい、興奮を抑えきれないといった様子で話す。
ショウイチは無言でレフトを見張ると、はっきりと、レフトに告げた。
ドア付近に移動していたレフトが、タウエルンとショウイチに向かい、興奮を抑えきれないといった様子で話す。
ショウイチは無言でレフトを見張ると、はっきりと、レフトに告げた。
「俺も嬉しいよ。手を抜く必要が無さそうだからな。全てを話してもらうぞ、ド悪党」
続く
↓ 感想をどうぞ(クリックすると開きます)
+ | ... |