力在る者すべて(後編) ◆j893VYBPfU
だが立ちあがったその頃には、得物を回収した
漆黒の騎士は悶え苦しむ軍馬の首を刎ねていた。
漆黒の騎士は、立ちあがる
手負いの獣の瞳からの揺ぎ無い闘志を確認し、今一度構え直す。
構えはやはり脇構えの姿勢。
そう。あの時、漆黒の騎士もまた
ハーディンの意を察し、
自らの唯一の得物を軍馬の脚元に投擲していたのであった。
地を這うほどの低さで、両脚をその竿で絡めるように。
その結果、軍馬の両脚は見事に絡まって全速力が付いたまま前転する形となり、
その事によりバランスを崩したハーディンは軍馬より最大加速のついた時期に、
投擲直前の不安定な状態から勢い良く投げ出される事となった。
脇構えにおける長所は、実はもう一つ存在していたのだ。
その構えから得物を投擲する場合、その構造上必ずアンダースローとなる形になり、
その攻撃が斬撃のものと初動が酷似する為敵が意図を察するのが遅れる点にある。
ただし、これは躱されれば一巻の終わりの、いわば捨て身の攻撃にも等しいのだが。
これが大上段からの構えからの大斧の投擲であれば、
ハーディンは即応して得物をはじき返せたであろう。
だが、地面擦れ擦れからの低姿勢から投げ出される得物は
乗騎の高い視界からは完全に死角となり、見事欺かれる形となった。
そのまま突撃するなら軍馬ごと奥義にて斬り捨てる。
こちらがさりげなく出した『忠告』に気付き、
その槍を投擲せんと欲すれば無防備となった
軍馬の脚に大斧を投げ騎乗から引きずり降ろす。
兎に角、騎兵に突撃をさせればこちらの勝利。
漆黒の騎士はハーディンの得物が投擲にも適したものであると見抜き、
彼もまたハーディンと同じく二段構えの戦術を用意していたのだ。
あの最初の撃ち合いの頃から。
漆黒の騎士は、ただ己の望む環境にハーディンを
引き込みさえすればそれで良かったのだ。
…戦況は覆る。ハーディンに優位だった戦闘の趨勢は、天秤は漆黒の騎士に大きく傾く。
軍馬を失い、視界の右半分を血で塞がれ、右肩が外れ、首が曲がりかけた瀕死の槍兵。
そして、その甲冑こそ用を足さぬものの、無傷のままの重装歩兵。
このまま戦えば、勝敗はもはや明らかである。
――だが。
ハーディンに、暗黒皇帝に撤退の二文字は存在しない。
己を愚弄するものに、そして己が身命を賭して愛したものを
侮辱した存在相手に背を見せるなど、あってはならない。
それは騎士として、最後の矜持さえも投げ捨てる事を意味する。
たとえ人の心を闇に売り渡そうとも。憎悪に我を忘れようとも。
臆病は断じて許されぬ。逃亡は断じてあってはならぬ。
たとえ刺し違えてでも、あの黒騎士を殺す。
――殺す!!
ハーディンは槍を中段に構える。
身体はもはや満身創痍。額から顎にかけて鮮血が滴る事により
右半分の視界は塞がれ、右肩には力が入らず、少し見じろきするだけで
形容し難い激痛が身体中を駆け巡る。だがしかし、なんの遜色もない。
これからの槍兵が行う渾身の刺突に対して、何の支障もありはしない。
この身はすでに死を覚悟した身だから。
後少しの間だけ、その身体が動きさえすればそれで良い。
双方が構えてから、時が流れる。
双方は、ただその攻撃の機を窺う。
必殺の機を。ただ確実に敵手の生命を奪える瞬間を。
視界の右半分が流れる血糊により完全にふさがれる。
これでは遠近感が掴めぬ。間合いが読めぬ。
あの猛攻を凌ぐ事はもはや不可能となった。
状況はより絶望的である。
だが、そんな事はどうでもいい。
こちらはただ一度だけ、敵より速くその槍を抉る事が出来ればそれでいい。
こちらの刺突は直線を描き、黒騎士の斬撃は弧を描く。
敵の身体への到達距離においてはこちらが圧倒的に短く、より迅い。
狙うべきは、黒騎士の心臓。
的の小さな喉では躱される。何より今は狙いが付けられぬ。
一撃にて仕留める。仕留めねばならぬ。
この満身創痍の身体、元より二撃目を打ち出す力など残されてはおらぬのだ。
だが、それでも目の前の黒騎士を斃す事だけは叶う。
それでなお黒騎士が止まらず、相討つなら望むところ。
暗黒皇帝は、鮮血に染まった傷顔の悪鬼は、ここに覚悟を決める。
この黒騎士を侮り、前座と見なし、勝負を急いた事は誤りであった。
先の事など考えぬ。仇敵を奪った馬の骨の事も、もはやどうでもいい。
今はただ、その一命を賭しこの目の前の黒騎士を斃す事に専心するのみ。
――斃す!!
これまでに磨き抜いた術技の全てを、
これまでに残した全生命力を一本の槍に託す。
血泥にまみれ、顔面からは鮮血を流し、全身からは瘴気を垂れ流し、
その姿は周囲から見れば恐怖と威圧感しか与えぬものであるが。
だがしかし、それはまごう事無く誇り高き戦士のそれであった。
赤き悪魔は突撃を開始する。
それはさながら紅蓮の流星と化し、
顔面から鮮血を撒き散らしながら黒い死神に迫る。
黒い死神はそれに呼応して、全身の力を溜めた一撃を、
死神の大鎌ならぬ大斧を振りかぶる。
黒い死神は力を溜める。
その両脚で踏みしめた大地が抉られる。
腰が回転し、背は捩れ、肩は捻られ、肘はたわむ。
足から膝へ。
膝から腰へ。
腰から肩へ。
肩から腕へ。
全身の筋肉は連動し、余す事なくその凶器へと伝達される。
集積された力により、大斧は唸りを上げ赤い悪魔へと迫る。
刺突が空気を切り裂いて黒い死神へと突き進む。
斬撃が砂塵を巻き上げて赤い悪魔へと突き進む。
二つの高速の軌跡は残像を生み、今奇跡を呼ぶ。
一閃。
赤き悪魔の槍は、確かに黒い死神の胸部装甲の中央を確かに捉えた。
そして黒い死神の大斧は鮮血に濡れる事無く、振り抜いた姿勢のまま静止する。
――殺った。と確信する。
――殺られた。と理解する。
赤い悪魔はその顔を鮮血に塗れながら薄笑いを浮かべる。
黒い死神は信じられぬものを見た驚愕の表情を兜越しに浮かべる。
まごう事無き致死量の、噴水の如き血飛沫が上がった。
そして、その鮮血は対面する敵の全身を、熱く濡らす。
ただし、それは黒い死神の胸板からでなく、赤い悪魔の両腕から噴き出したもの。
ずるり、とその両腕はその付いていた両肘から滑るように、剛槍を握ったままその地に墜ちる。
両肘からは剃刀で切断されたかのような鋭利な断面を見せ、赤い悪魔は両膝を突き遂に倒れる。
目標を粉砕し、叩き潰す事しか出来ぬはずの斧が、本来このような切れ味を見せるはずがない。
「――今の…、技は?」
両腕を失い、通常ならそれだけで悶絶死してもおかしくはないほどの苦痛の総量で
その身体を蝕まれながらも、ハーディンは眼前の、己を凌駕する黒騎士に穏やかに問いかけた。
「“月光”。左腕での、しかも得手でない武器での実践での使用など初めてだが。」
漆黒の騎士はまさに煌めく満月の光を背に、ハーディンに答える。
漆黒の騎士は、あの時これまで両腕で行っていた斬撃を左腕一本で行い、
石突(長柄武器の柄頭)を握り、大きく間合いを伸ばし突き出された両腕を斬り裂いた。
それは両腕で振るう場合の限界距離を大きく逸脱し、より遠くへの斬撃の到達を可能とする。
言わば間合い騙し。漆黒の騎士は大斧を左腕一本で繰り、そこからさらに奥義「月光」を放つ。
ただでさえ片目の視界が塞がり、遠近感を失くしたハーディンに気づく余地はなかった。
本来、斧は切れ味より砕き折ることを重視する、斬るよりは破壊する為にある武器。
それが通常あり得ぬ剃刀の切れ味を生み出していた。
それはまごうことなく、人の限界を極め抜いたものしか生み出せぬもの。
「それなのに…、そこまでのことが…、できるのか?」
ハーディンは感嘆とも付かぬ驚愕の声を上げる。
そこに怨嗟の声はない。憎悪の感情も、一切の負の感情というものがない。
武人として、ただ武人としてハーディンは賞賛の念を抱いた。
今度こそ致命傷を受け、生命の喪失が避けられぬ事態となったが故か?
闇のオーブの呪縛から解放され、そこには安らかな人間の表情を取り戻していた。
「我が奥義に、我が師ガウェインから受け継いだ技に断ち切れぬものなし。」
――百戦錬磨の剣士も、百獣の化身も、世界を創造した女神も、師弟の絆も。人の希望も。
自負とも自嘲ともつかぬ口調で答え、黒い死神は心中でそう付け加える。
漆黒の騎士は、逆にハーディンに感嘆の声を上げる。
「だが、貴殿の一撃こそ見事。この胸にメダリオンなくば、敗れたは私であろう。」
漆黒の騎士は相手を侮ることなく、術技の限りを尽くしていた。
だが、それでいてなおハーディンの術技はその目測を凌駕し、
その槍は正確に心臓の位置を捕えていた。だが、だからこそハーディンは敗北した。
その位置には、エルランのメダリオンが仕舞われていたが故に。
胸部の装甲からは袋が裂け、蒼炎が揺らめくメダリオンがその姿を覗かせる。
だがその蒼炎の勢いは一人の負の気の持ち主を失い、少しずつ収束しつつあった。
女神の加護は、いかなる攻撃も遮断する。かつて、漆黒の騎士の甲冑がそうであったように。
そしてその女神ユンヌが封じられたメダリオンに、同等の加護がないはずがなかった。
それは価値を等しくする神の加護無き攻撃以外ではかすり傷一つ付けられぬ、絶対の防壁。
ハーディンの狙いが逸れていれば、その刺突は見事身体を抉り抜き、致命傷を与えていたであろう。
「…最期に教えよう。」
漆黒の騎士は兜を脱ぎ、その素顔を月光の下に晒す。
ハーディンの疑念通り、そこから現れたものはやはり金髪の美丈夫ではなく、
短い黒髪に碧の眼光を宿す見知らぬ青年であった。
「見ての通り、私はカミュなどではない。そして、ニーナ殿など知らぬ。
そして策とはいえ、貴殿とその愛する者を辱めた事には謝罪する。」
ハーディンは苦笑する。やはりそうか、と同時に自らの愚かさを恥じる。
相手の平静を乱し、行動を限定させ、こちらの意のままに操る事は
もはや戦場では基礎中の基礎と言っても良い策。
つまりは、初めて出会った時からこの私は目の前の騎士の挑発に乗り、
敗北は確定していたということなのだ。
「いや…、謝罪には…及ばぬ。それは……、戦場では…、当然……。
そして…、私を…止めた事…、ニーナへの…謝罪……感謝する…。」
どの道、私はここで殺されるべき人間だったのだ。
闇のオーブに再び支配された上での行動とはいえ、
橋の下で騎士を一人死に至らしめ、そして数多くの人間を殺めようとしていたのだ。
そして誰も私を止められず優勝した場合は、英雄
マルス亡き今、
さらに元の世界で殺戮の嵐を撒き散らしていたであろう。
ハーディンは、己の所業を振り返り、そして付け加える。
「だが、あの赤毛の女性は……泣かせ……ならぬ。
もし…彼女を……りたいなら…、素直に…その気持を…伝え…事だ。
そして…、先程の暴言も……り消すが…いい…。」
「…一体、何を言っている?私は…。」
ハーディンの忠告に、理解できぬと返す漆黒の騎士。
その端正な顔立ちには一切の表情というものがなく、
その被る兜の温度と同じく、鋼の冷たさしか感じさせない。
だが、その声色には、僅かながらも動揺の色があった。
「ふふ…。騎士とは…、…るべき者…あって……もの。
そうでな…れば、騎士は………人殺し…。
私は嫉妬に……ニーナを手放…、…士道を見失…、
…黒皇帝……堕……、…え切れぬ…………を犯し…。
だがな。君までも、私となってはならぬのだ。」
「君が…何者かは……知らぬ。だが、後ろ暗い……である………はわかる。
だが、まだ…るべき……がある……、まだ……直しは、効く…ずだ。」
すでにその身は瀕死、途切れ途切れとなるハーディンの言葉に、
一つだけ、何故か嫌に明瞭に聞こえる言葉がある。
漆黒の騎士はその問いに答えない。あるいは答えられぬのか?
そこには只沈黙が広がるばかりである。
その静寂に堪えかねたのか、やがて漆黒の騎士が口を開く。
冷淡に。限りなく冷淡に。
「…言いたい事は、それだけか?」
「ああ。もう…限界だ。後は君…次第…。どうか、考え……欲しい…。
それと、もし、
オグマ……出会ったなら…、これを…伝えてくれ。」
「私は…ニーナを…、最期まで…愛していた…。どうか…ニーナに…許して…欲しいと…。」
「機会あらば、必ず伝えよう。では、安らかに逝け。」
ハーディンは穏やかな笑みを浮かべて目を瞑り、
漆黒の騎士は兜を被り、処刑の斧を振りかぶる。
そして――。
鈍い衝突音。大きく火花が散り、大斧は弾き返される。
振りかぶり直し、もう一撃。
ごろり、と首が転げ落ち、首から噴水のように鮮血をほどばしらせる。
かつて暗黒皇帝とよばれたそれは、最期にはその闇のオーブによる呪縛を解かれ、
死者の仲間入りを果たした。
◇ ◇
漆黒の騎士は無言で死体の傍らに屈み込み、ハーディンに付いてあった首輪を拾い上げる。
先程、首に振り落とした大斧の一撃は僅かにそれ、偶然にして首輪そのものに命中した。
だが、弾かれた。振り下ろした速度と同じ凄まじい速さで、大斧は巻き上がる。
分厚い軍馬の首を一撃で刎ね人間の両腕を一度に切断できる大斧が、
たとえ鋼鉄で作られていようと、薄い首輪一つ断つ事が出来ぬなど本来ありえぬ事である。
そして、この不条理なまでの絶対的な防御力は、漆黒の騎士にも心当たりがあった。
―女神の祝福―
その漆黒の騎士の甲冑にかつて込められたものであり、
また先程幸運にして漆黒の騎士の生命を救ったメダリオンに
込められていたものとまったく同一のものである。
それは同じく女神の祝福を施された武器によってしか傷付けることは出来ない、
神ならぬ人に理不尽と絶望を与える絶対の加護。
漆黒の騎士は首輪を拾い上げる。
この首輪、その他にも気になる点は以前からあった。
先程のハーディンとの闘争の最中にあった際、そして
アティと会話をしていた際、
首輪の裏側に確かな微熱と、心に僅かながらに燻ぶる灯火のようなものを感じていた。
そして、戦闘時は軽い高揚感と興奮があり、身体の切れもわずかだが確実に増していた。
試し斬りを含めて“月光”を用いた時は通常を遥かに超える倦怠感と疲労感があり、
その時にも首輪に熱を感じていた。
首輪を通して、この宴の参加者に何らかの枷が嵌められている。
これは月光を試し斬りを行った際に気づいていた事だが、どうもそれだけではないらしい。
今気づいた事ではあるが、メダリオンに女神の加護があり、
そしてまた、首輪にも女神の加護らしきものが込められている。
ならば、その他の効果もメダリオンと同等のものが込めらているのではないか?
漆黒の騎士はそう推論する。
メダリオンは負の気を爆発的に増幅させ、直接握りしめた者を狂戦士と化させる、心身を冒す猛毒である。
ならば、首輪もまた元から抱く感情を増幅させ、身体能力を増加させる効果があるのではないか?
それも劇的に変えるのではなく、徐々にそして緩やかに、本人も気づかぬ内に変貌させるのではないか?
ほのかな好意を身を焦がす程の恋情に。
軽い憤慨を臓腑が煮え滾る程の殺意に。
少々の不安を背筋も凍り付く程の恐怖に。
小さな悲しみを身が張り裂ける程の魂の慟哭に。
生前に置いて、ほぼ平静を崩す事のなかった漆黒の騎士が、
今にきて何度も感情に揺らぎを感じる事に戸惑いは感じていた。
思えば、ハーディンも元より正気を失っていたようだが、
その首輪にも影響された部分もあったのかもしれない。
それが、死によって呪縛より解放されたとなれば、辻褄は合う。
ならば、この首輪は『小さなメダリオン』と呼ぶべきものなのかもしれぬ。
メダリオンが即効性の猛毒なら、今架せられた首輪は遅効性の猛毒と言えよう。
効果は比べるべくもなく、首輪が遥かに弱い。
だが、それは自覚がないが故にある意味メダリオンよりも危険な代物であろう。
この首輪、考えるまでもなく全員に架せられたものであるが故に。
この首輪、殺し合いを見世物として娯楽とするには、
この催しを加速させるには、極めて有効な機能である。
これなら、たとえ素人であろうとも運次第で身体能力差のある
歴戦の勇者をも「喰う」可能性も生じ得る。
それはこの娯楽を一層劇的なものとするであろう。
メダリオンの如くその負の気の昂ぶりに比例して、
その身体能力が強化されていくのであれば。
そしてその狂態は、なによりもこの主催者への捧げものになろうものだ。
負の感情を喜びとするなど、まるで負の女神ユンヌのようではないか?
漆黒の騎士は皮肉に口を僅かに歪める。そして、そこで思い至る。
――ならば、今私があの女に抱いている感情も、ある意味紛いものではないか?
ああ、そういう事か。
あれはそういう事だったのか。
漆黒の騎士は、己が抱いた戸惑いの原因に気づく。
ならば、この感情は無視してしまってもよい。
今抱く淡い感情が、他者により押しつけられた類のものであれば。
今、胸にあるものは、若干の寂寥感。
そして次なる闘争への軽い期待と興奮。
それだけあれば、後の思いなど不要。
この二つだけは、決して嘘偽りも誇張もない。
たとえ操作されようとも、これらだけは生前から常に抱き続けた、
紛れもない本物の感情であるとの確信があるが故に。
漆黒の騎士は、そこで背後から近づく気配を感じる。
それが何者か、そこまではまだわからない。
あの身の程知らずの興ざめな愚者かもしれぬし、
その実力を等価とするかもしれぬ女かもしれぬ。
あるいはそれ以外の第三者かもしれぬ。
だが、それが誰であろうともあまり関係はない。
こちらに向かう存在がこの私を存分に楽しませ、生きる実感を、
再び生を得た意味を与えてくれる存在でありさえすればそれでよい。
そして、その闘争の中でこちらを終わらせてくれる存在であるなら、
なお素晴らしい事だ。
漆黒の騎士は次なる相手に心を躍らせる。
たとえ操作されようとも、これらだけは生前から常に抱き続けた、
紛れもない本物の感情であるとの確信があるが故に。
漆黒の騎士はただ立ち尽くしてその場に待つ。
己に迫り来る、そして己を終わらせてくれるかも知れぬ、
次の戦いの為に。
【ハーディン@紋章の謎 死亡】
【残り 37名】
【漆黒の騎士@暁の女神】
[状態]:健康、若干の魔法防御力向上(ウルヴァンの効果)、全身の装甲に裂傷、
鳩尾に打撃痕、肉体的疲労(小)※いずれも所持スキル「治癒」により回復中。
全身が血塗れ
[装備]:ウルヴァン@暁の女神
[道具]:支給品一式、エルランのメダリオン@暁の女神、ハーディンの首輪
[思考] 1:……………さらばだ。残り一人。いや、二人か。
2:オグマに出会ったら、ハーディンの事を必ず伝える。
3:アティに対して抱いている自分の感情に戸惑い。
ミカヤには出会いたくない。
4:催されたこの戦い自体を存分に楽しむ。勝敗には意味がない。
5:優勝してしまった場合、自分を蘇らせた意趣返しとして進行役と主催者を殺害する。
[備考]:アティからディエルゴ、サモンナイト世界とディスガイア世界の情報を得ています。
漆黒の騎士の足元にハーディンの両腕が付いたグラディウスと、ハーディンの首が落ちています。
村の西側の大通りに、首が切断された軍馬の死体と、ハーディンのデイバッグが放置されています。
鳩尾の打撃痕と肉体的疲労に「治癒」スキルが働いていますが、制限により緩やかになっています。
漆黒の騎士はこれまでの戦闘から、首輪には単なる能力制限機能のみならず、
微弱な感情増幅効果と、それに伴って身体能力強化するいわば「小さなメダリオン」
ではないかと推測しています。
月光:漆黒の騎士専用奥義。北米版暁の女神では「日蝕(Eclipse)」と呼ばれています。
本来は通常の将帥が持つ「月光(Moonlight)」とも完全に異なり、
相手の防御力を完全に無視した斬撃を連続五度加える事が可能。
ただし、首輪による制限により現在は一度しか攻撃出来ません。
さらに、使用する毎に若干の体力消耗が生じる模様です。
治癒:時間経過毎に自動的に負傷を癒すスキル。
ただし、切断された部位を復元したり、失われた血を回復する事までは出来ません。
さらに、こちらのスキルも首輪による制限により若干速度が遅くなっています。
最終更新:2011年01月28日 14:56