「・・・一体どうなってるんだ」
生い茂る森林の中、青い髪にバンダナをした男、
アイクはそんなことを呟いた。
自分は女神との戦いを終えて旅に出たはずである。だが旅に出て丁度一週間した所で、この呼び出しだ。
殺し合いをしてもらう・・・この殺戮の主催者と思われる者はそう言った。
平和な世の中になったはずだ、女神たちも殺し合いは嫌う筈だ、なのにわざわざ人を集めて殺し合いだと?ふざけるな。
殺し合いをしてもらうという言葉を聞いたときは寝言は寝て言え、と思った。
しかし実際に奴の手によって一人殺されたのを見た時、奴は本気だと思った。
人を殺すことには慣れてしまっていた。しかし、無駄な殺し合いなど絶対にしたいとは思わなかった。
アイクはそんな人物だった。人を殺す道具、剣の達人でありながら義理堅い。
これまでも無駄な戦は避けてきた。この殺戮の場をなんとかする方法は無いのかと思考した。
そこでここに来る時にいつの間にか持たされていた支給品の入った鞄の存在に気付く。
身を守るものが入っているかもしれない、確認しておくに越したことはないだろう。
まず食料が確認できた。
「・・・肉は無いのか」
場に不釣合いな贅沢を言い、続いて地図、方位磁針、
参加者名簿が出てきた。
参加者名簿に目を走らせる、
ミカヤ、
サナキ、
シノン、鴉王・・・
ミカヤとサナキはかなり心配だな、見つけたら保護してやらないとならないか。
シノン、・・・さっきの二人とは別の意味で心配だな。戦う意志のない者を無駄に挑発して戦闘に発展させたりしてしまわないだろうか。
鴉王、こいつなら心配はいらないだろう。ラグズの国王なんだ、絶対に易々とは死なないだろう。
さらに次の名前を見て、アイクは戦慄した
かつて女神との戦いの中、戦った者。己の宿敵、親の仇。
しかし、おかしい。この己の宿敵はこの手で倒したはずである。
・・・召集をしたのは自分が見たことも聞いたことも無い魔法ばかり使う者だった。
もしかしたら奴にとってそんな事をするのは造作ないことなのかもしれない。
そう考えると、怒りと微かな喜びを感じた。
死者を生き返らせるなど・・・なぜ、そっとしてやれないんだ。その思いが大半だったが
「また・・・奴と戦えるのか」
同じ剣を教わった者同士。師を同じくする者・・・
奴との戦いは最高だったと今でも思っている。その思いは揺るぎ無い。
とにかく奴を探すのは優先事項だろうな、とアイクは思った。
様々な思いを巡らせながら次の物を取り出す。アイクは目を見張った。
「神剣エタルド・・・」
偶然だろうか、漆黒の騎士を思った後に出た物がこれである。
かつて漆黒の騎士が振るっていた物。ベグニオンの至宝。かつて己の持っていた剣、ラグネルと対をなす剣。
身を守る物が無いかと探していたらとんでもない当たりを見つけた。
これは自分と最も相性のいい剣、ラグネルとほぼ変わらない剣だ、これがあれば自分は全力の力を出す事ができるだろう。
負ける気がしない、とアイクは思った。
そこでアイクはエタルドを振るってみた。しかし
「衝撃波は出ないか」
衝撃波は出ない。敵と対峙したら近付いて斬らなければならないということであった。
しかしアイクはそんなものは関係ないと思った。
漆黒の騎士と戦ったときは純粋に斬り合った、衝撃波など必要ない。
その後、ラグネルも入っていないかと鞄を漁ってみたが、エタルド以外に武器は無かった。
漆黒の騎士を探す前にやらなければならないことがある。
自分の得物、ラグネルを探すことだった。奴と戦うときは互いに全力で無いとならない。生き返った死体と言えど、それは譲れない。
ラグネルを手に入れたら、漆黒の騎士を眠らせてやらなければいけない。
自分の心を決定したアイクは立ち上がり、歩き出した。
【F-7/森/1日目・朝】
【アイク@暁の女神】
[状態]:健康
[装備]:エタルド@暁の女神
[道具]:支給品一式(アイテム不明)
[思考]1:こちらからは仕掛けないが、向かってくる相手には容赦しない
2:ラグネルを探す
3:2が出来次第、漆黒の騎士を探す
4:仲間達との合流
5:ゲームの破壊
[備考]:エンディング後からの参戦です。
エタルドは間接攻撃不可になっています。ラグネルもそうするかどうかは次の書き手に任せます。
最終更新:2009年04月17日 08:18