「ふぅ…結構時間が経ってしまったな…」
誰に告げるともなく、
アイクが呟いた。
既に太陽はほぼ真上に昇ってしまっている。
何も考えることなく東に森を突っ切ったところ、海にぶち当たり
森に沿って歩いていたら街道を見つけた。
森の西に街道。その街道の形や海が東にあることから
自分の現在地がF-6であることは容易に分かった。
現在はG-6の街道を歩いている。
一番手近にある村に向かおうという考えだ。
人が集まること、長丁場になる場合の物資や拠点の確保も考えてのことだ。
もちろん、人が集まるということはそれなりの危険も考えられるが
過信というわけでもないが剣の腕もそれなりに立つつもりだ。
自分の手元にはエタルドもある。
降りかかる火の粉を払うくらいならどうとでもなるだろう。
「ん、人か…?」
街道を歩いていると、左前方に見える森から人が出てくるのが見えた。
ウェーブのかかったセミロングの緑の髪が印象的な男だ。
手には槍、遠目で見てもあまり機嫌がよくなさそうなのは理解できた。
話しかけるか否か。
などと考えるのは無駄か。
向こうも森から出るときに外の様子ぐらいは窺うだろう、
こちらの存在には気付いているはずだ。
「なんだ、貴様は。俺の顔をジロジロと。
俺は今機嫌が悪い。痛い目に遭いたくなければ消えるんだな」
予想通り、その男はこちらに気付いていたようだが………
出てきたのは初対面の相手に言うには到底ふさわしくない言葉。
が、この言葉の裏を返せば、彼は人を殺す意思はないと言っている様なもの。
好んで人殺しをするような輩が「消えろ」ということなんてないだろう。
となると、情報交換を試みるくらいならやる価値はある。
アイクはその男へと歩み寄った。
「機嫌が悪いところすまないが、こんな状況だ。
情報交換は悪い話じゃないだろう。俺の名前はアイクだ。アンタは?」
「俺のことをアンタ呼ばわりか、中々度胸はあるようだな。
俺はマール…いや、レダの
獅子王リチャードだ。
情報交換は望むところだ。話を聞いてやろう」
傲慢な態度ではあったが先程までの不機嫌さはなりを潜めている。
真実の取捨選択をしなければならない『情報交換』という名の『交渉』を前にして
本来の小憎たらしい落ち着きを取り戻したようだ。
果たしてアイクがそこまで考えていたかは分からないが、その様子から
アイクも彼をとりあえずは信用しても良いかと考えていた。
「とすると、アンタが捜しているのはその
ティーエという女性か」
「ああ。他にも知り合いはいるがそいつらは放っておいても構わんからな。
さて、では次は貴様が話をする番だ」
リチャードは顎をくいっとあげ、アイクに話をするように促した。
アイクはまずは保護すべき
ミカヤ、
サナキについて簡単に説明した。
「この二人には会わなかったか?」
「フン。誰かと会うのは人では貴様が初めてだ。貴様のほうはどうなんだ?」
「こっちにきてからではアンタが一番最初に出会った人だ。
それよりも…"人では"とはどういうことだ?」
アイクのその質問に、リチャードのこめかみがピクリを動いた。
悔しさや苛立ちをこめた表情で、リチャードが苦々しげに言う。
「そこの森で魔物に遭遇した」
「魔物?襲われたのか?」
「いや…怪しげな女の像を相手に何か儀式のようなものをしていたので止めにはいっただけだ。
鴉の化け物のようなヤツで、砂埃を目くらましされて逃がした」
その『鴉』という言葉を聞いてアイクがはっとする。
「…まさか…鴉王か!?」
「……貴様、あの魔物を知っているのか?」
リチャードがアイクに視線を向けた。それが疑惑の視線だとはアイクは気付かない。
「ああ、俺の予想通りだとしたらな。俺はその鴉王らしきヤツを捜してみる。
情報助かった」
まさに猪突猛進。話をそこで切り上げ、アイクは森の中へと走って行った。
「まて、貴様!話はまだ終わってないぞ!
それにあの魔物を倒すのは俺の役目だ、貴様には渡さん!!」
こんな中途半端な情報交換ではリチャードの誤解が解けるはずもなく。
あの魔物がアイクの因縁の敵だと思ったリチャードも、森の中へと駆け戻っていった。
【G-6/森/1日目・昼】
【アイク@暁の女神】
[状態]:健康
[装備]:エタルド@暁の女神
[道具]:支給品一式(アイテム不明)
[思考]1:こちらからは仕掛けないが、向かってくる相手には容赦しない
2:
ネサラらしき人物との接触
3:ラグネルを探す
4:3が出来次第、
漆黒の騎士を探す
5:仲間達との合流
6:ゲームの破壊
【リチャード@TS】
[状態]:健康
[装備]:ヴォルケイトス@TO
[道具]:支給品一式
光の結界@暁の女神
[思考]1:ティーエの発見
2:待て、情報交換はまだ終わってないぞ
3:
ヴォルマルフの打倒
4:魔物(ネサラ)はいずれ倒す
最終更新:2009年04月17日 09:36