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真壁3日目・No.2

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streetpoint

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私のやんごとなき王子様












 甘かった。


 メモを見る限りでは大した量じゃないと高をくくっていたのに、いざ買い始めると女の私一人ではとてもじゃないけど持って歩けないほどの荷物になってしまった。

 商店街のアーケードを、女子高生が引きずるように荷物を抱えて歩く姿はさぞかし異様に映るだろう。

 今日は終業式だったから同じ学校の生徒もちらほら見かけるんだけど、こんな時に限って誰も知った人に会わないってどういうこと!?


「うえ~。誰か助けてくれ~~」


 情けない声でその場にしゃがみ込み、音沙汰の無い携帯を開く。

 残念ながら真壁先生からの着信もメールもなく、虚しい無機質な画面が見えるだけだった。

 先生やっぱり仕事終わらなかったのかな。こんな大荷物、どうやって家まで持って返ろう。

 そんな事をぼんやり考えているまさに最中、私は今まで経験したことのない浮遊感を感じた。


「うわあっ!?」


 そう、あろうことか私の体が突然宙に浮いたのだ。

 驚いて両手足をばたつかせる。


「何っ! 何っ!?」

「おいこら、暴れるなっ!」

「へっ?」


 地面に足が着いて少しだけ落ち着くと、頭の上から声が降って来て私は見上げる。


「真壁先生っ!」


 なんと私の顔を覗きこんで笑っているのは、真壁先生だった。

 しばらくじっと私の顔を見ると、先生はほうと息を吐く。


「はあ、良かった……お前が急にしゃがみ込むから、どこか具合でも悪くなったのかと思ったぞ」

「え?」


 そこで先生は私の両脇に差し込んでいた自分の手を引いた。

 うわっ、私ってば先生に持ち上げられてたんだ……私、手荷物みたい。


「仕事が思ったより早く終わったから商店街まで来たんだが、お前に連絡取ろうとしたら丁度荷物引きずって歩いてるのを見つけてな……そしたら急にしゃがみこんだからびっくりして」

「そうだったんですか。ご心配おかけしました」


 私が頭を下げると先生は私の頭を優しく二度叩いて、地面に転がる今度は私でなく本当の荷物を軽々と担いだ。

 やっぱり真壁先生は力持ちだなあ。


「しかし悪かったな、こんな大荷物になるなんて思ってなかった。仕事が早く終わって良かった。小日向一人じゃ無理だわ、こりゃ」

「本当に先生が来てくれて良かったです」

「おう、力仕事なら任せろ。あと買う物は何かあるのか?」

「いいえ、それで全部です」

「そうか、ご苦労だったなあ。ここでご褒美に美味いもんでも奢ってやりたいんだが、さすがに教師が放課後生徒連れてデートしてたらマズいもんな」


 そう言って笑う先生に、私もつられて笑う。


「大丈夫ですよ。私が先生のお手伝いをするって決めたんですから、気にしないでください」


 先生の奢りっていうのは魅力的なんだけど、教師と生徒だもんね。買い物は演劇祭の準備って言えるけど、さすがにカフェでお茶はねえ。


「俺と小日向じゃあ親子は無理があるしな」

「……先生、設定作ってまで本当は自分がお腹空いてるから何か食べたいだけでしょう?」

「おっと、バレたか。ははははっ! まあここは我慢するかあ。よし、帰るぞ。車で送ってやるから着いて来い」


 元気に笑うと、先生は一度荷物を持ち直して歩き出した。

 さすがの先生も一人で全部の荷物は多いよね。


「はい。あ、先生荷物少し持ちます」

「お、悪いな」


 先生が私にくれたのは小さな軽い袋一つだった。

 優しい先生だな。いつも熱心だし、親身になって話しを聞いてくれるし、力持ちだし、大きいし。一緒にいると、なんだかすごく安心感を得られる。


 真壁先生のクラスになれて、本当によかった。












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