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鬼頭5日目・No.2

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streetpoint

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私のやんごとなき王子様












「か、重ねて申し訳ない。あっ、そうだ! 先生、具合の悪い生徒が医務室で寝てるんです、それで探してたんですよ! 早く戻りましょう!」

「だったら早くそう言え。一人百面相なんてしてるから、お前の方が具合が悪いのかと思っただろ、紛らわしい」

「私は至って健康です!」


 さっさと歩き出した鬼頭先生の後ろを付いて行きながら、私は胸のポケットから眼鏡を出してかけた先生の横顔を見て少し残念な気持ちになった。


「この間悩みすぎて胃薬貰いに来たのはどこのどいつだ」

「うっ……」


 やっぱり朝からいじめられてる。さっきちょっといい男かも、なんて思った私がバカだった!

 だけど私をいじめる鬼頭先生の顔は、なんだか楽しそう。


「そう言えばあんな所で何してたんですか?」

「朝からガキどもがぎゃーぎゃーうるさいからな。静かな所を探してたら、あそこに行き着いただけだ」


 やっぱり。


「先生低血圧っぽいですもんね」

「お前は朝から無駄にテンション高そうだな」

「だから健康なんですってば」

「お子様は体温高いからな。おまけに無駄に声を張り上げて話すから、聞いてるだけで疲れる」

「もうっ、私は子どもじゃありません」


 あんまり言われるからちょっと反論してみた。


「―――――」

「な、なんですか?」


 じいっと先生は私の体を上から下へと見ると、


「ふっ……その貧相な体のどこが子どもじゃないんだか」


 と笑った。


「失礼な、これでも案外女の子らしい肉付きなんですよ!」

「――どうして俺があそこにいるって分かった?」

「え?」


 私がボディ自慢を力説していると、急に声のトーンが低くなった先生が何だか真剣な顔で私を見た。

 その視線にまた胸が鳴る。

 なによ、からかってたかと思ったら変な質問してきて……。


「これだけ広い宿舎の中じゃなくて、どうして外のしかもあんな奥だと分かったのかと聞いてるんだ」


 これはもうきちんと答えないとまた怒られそうだと理解した私は、


「えと……なんとなく、先生は静かな所にいるんじゃないかと思って……宿舎の中は人が多いし、かといって暑い海とも思えなくて、森の方にいるかな? って――」


 思ったままを答えた。鬼頭先生は私の答えに納得したのかどうか分からないけど、


「ふうん」


 とだけ言って、丁度到着した医務室のドアを開けた。

 私も一緒に入ってさっきの女の子が先生の診察を受けるのを見守り、その子を部屋まで連れて行くことになって医務室を後にした。

 その間ずうっと、鬼頭先生のさっきの真剣な表情が頭から離れなかった。

 なんでだろう。なんだかすごく嬉しいような、切ないような、複雑な顔だった。












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