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土屋8日目・No.1

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私のやんごとなき王子様












8日目






 翌日の朝、私は部屋で慌ただしく身支度を整えていた。

 毎日が思っていたより忙しい。

 というのもオディール役の子がダイエットのしすぎと過労で倒れてしまったらしく、急遽代役を立てる事になったのだ。

 急な変更にどこの担当も忙しさが増していた。私たち大道具は比較的、影響を受けてはいないというものの、やっぱりどこか慌ただしい。

 鏡を見ながら髪をピンで留めて――よし!

 さ、今日も頑張るぞ! 土屋君の納得のいくものに仕上げたいもん! 昨日は土屋君にはじめて『ありがとう』って言ってもらえたんだもの。あんなに重たい荷物持ちした時だって言ってくれなかった言葉なのに。

 はじめは絶対に『こんな人理解できるもんかーっ!』って思ってた。でも今は――今は少しでも分かれたらと思う。

 鏡に映った自分の顔に向って、もう一度気合いをいれる。


「お、美羽~。なんだか決意も新たに! みたいな? 気合いが入ってるね~」

「あはは。分かる?」


 同じく鏡に向かっていたさなぎに横から言われて、私は照れ隠しに笑いながら聞き返した。


「うん、なんか頑張るぞー! っていう感じ。昨日の食事当番もすっごい好評だったし、土屋君とのチームワークもバッチリって感じじゃない?」

「ホント? だとしたら嬉しいな。土屋君の事、みんなにももっとよく知って貰いたいんだ。偏屈っぽく思われてるけど、結構良い所もあるんだよ?」

「ほほ~~う」


 私の言葉にさなぎがニヤニヤとした笑みをこちらに向ける。


「な、なに? その顔は」

「いやぁ、美羽もそんなお年頃ですかねぇ~」

「ちょっ! そそそそそそんなんじゃないってば!」

「何が? 何がそんなんじゃないの?」

「も~~~っ、さなぎっ!」


 さなぎにからかわれて、一気に顔が紅潮していくのが自分でも分かる。


「あはは! 美羽、頑張んなよ。私はいつだって美羽の味方だからさ!」


 さなぎはそう言うと、ひらひらと手を振りながら部屋をあとにした。


「もうっ」


 一人になった部屋の中で言い捨てる。

 ――でも。

 そっか、私……土屋君の事が好きなんだ。

 自分でもさなぎにからかわれるまで気付いてなかったよ。

 いつの間にか――好きになってた。

 何故だか自然に顔がほころぶ。なぜだろう? 土屋君の事を思うと、心に優しい気持ちが溢れてくる。

 押し寄せる笑顔を隠す事も出来ずに、私は大道具部屋へと向かった。













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