チェンジ・ザ・ワールド☆
罠(颯太)No.3
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はなもあらしも
「打撲で済んで本当に良かった」
「どんな人相だったか、見ていないの?」
医者に連れて行ってもらい、日輪道場へ帰って来たともえを心配して、幸之助と月乃、美弦の三人がともえの部屋へやって来ていた。
「それが、突然の事だったので……」
ともえは笠原道場の人間の仕業であろう事は伏せた。もし話をして今度の試合が流れては、益々互いの道場の確執が強くなるだけだと思ったからだ。
「最近は物騒になったものね。今度から出かける時は誰かと一緒に行ってね、ともえさん」
月乃が心配そうに言うので、ともえは微笑んだ。
「はい、ご心配おかけしてすみません」
「ともえさんは悪くないわ、悪いのは襲った暴漢なんですから。あなた、警察に届けた方がいいんじゃないでしょうか?」
「だ、大丈夫です! お医者さんも骨に異常はないから、数日大人しくしていれば腫れも引くとおっしゃってましたし」
慌てるともえに、幸之助は組んでいた腕をほどいて静かに口を開く。
「ともえさんがそう言うなら、警察には届けなくていいだろう。颯太何かあったらすぐ私に知らせなさい」
「はい」
「何か必要な物があったら、誰でもいいから家の者に伝えてね」
幸之助と月乃が出て行くと、颯太は懐から布切れを取り出した。
「オレは顔を見れなかったんだ、ともえも見てないんだよな」
「う、うん」
お互い俯き、先ほどの出来事を思い出す。
「これだけじゃあ、手がかりにもならないからな……なあ、ともえ」
ふと顔を上げた颯太に、ともえもつられて顔を上げる。
「オレは笠原道場の連中の仕業じゃないかと思うんだが、お前はどう思う?」
「あ……」
日輪道場などなくなってしまえばいい。
田舎道場がお似合いだ。
そう罵声を浴びせた男達の声が甦る。
間違いなく笠原道場の人間だ。だが……
「でも、証拠もないのに勝手に決めつける訳にはいかないよ。問題起こして試合がご破算になったりしたら、それこそ余計にもめそうだし」
辻斬りのような卑怯な事をしでかす連中だ、こちらから言いがかりをつけて、決定的な証拠が出なければ何を言って来るか分かったものではない。颯太は布切れを再び懐に戻し、ともえの怪我した足をじっと見つめた。
「お前、うちの道場の事、本当に真剣に考えてくれてんだな。嬉しいぜ……よし分かった。お前がそう言うなら、犯人探しはやらねー。その代わり、もしまたお前に何かちょっかい出そうとして来たら、その時は止めても無駄だからな」
「颯太……」
にいっと白い歯を見せていたずらっ子のように笑う颯太に、ともえは笑った。
「今日はたまたまオレが見つけたから良かったけど、オレがいない時に何かあると怖いしな……よしっ! 今度からは外に出るときはオレに声掛けろ! 一人歩き禁止令だ!」
「えっ? 一人歩き禁止!?」
「やっぱ男は女を守らなきゃな。だから、オレを頼れよ。まあ、オレがいない時は真弓兄でも道真でも美弦でもいいから、とにかく外出するときは誰かと行く事。いいな?」
ぐいっとともえの鼻先に顔を突きつけ、颯太は険しい顔で詰め寄る。その迫力に押されるように、ともえは無言で頷いた。
「ようし! もし一人で外出したりしたら、罰だからな!」
「罰って?」
「罰は罰だ! お前が嫌がる事をやる。ーーーともえの苦手なものって何だ?」
「教える訳ないでしょ!?」
「んだよ、ケチ。それじゃあ一週間厠と風呂掃除な!」
「ぷっ!」
「笑うなよ! お前の罰なんだから、ちゃんと約束守れよ!」
少し恥ずかしそうに顔を赤らめ、颯太はそう言い残して部屋を出て行った。
もっと颯太と話しがしたい。美琴も真弓に対してこんな気持ちになるのだろうか。
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