チェンジ・ザ・ワールド☆
act.7(御影山)
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就職難民 黙って俺についてこい!
開発センターは会社から車で20分ほどの郊外にあった。思ったよりすごく立派な建物で、一見化粧品会社関連の施設とは思えないほど。
社長と川島さんの3人で開発センター内の口紅やグロスを専門に扱う部署まで行き、部長と研究室主任に挨拶をする。
「今度からこの葉月を本社との連絡係として使う。市場調査も基本的に葉月が行ない、お客の要望をふまえ改良点を考えて、より良い製品にして欲しい」
社長の言葉に、二人は私の顔を見て「よろしく」と軽く頭を下げた。私もすぐに頭を下げる。
「よろしくお願いします!」
その後、研究室を案内してもらったのだけど、まさに研究室! って感じで驚いた。化粧品ってこうやって出来て行くんだなあ。また勉強になった。
「化粧品を作るには主成分と他の成分の配合を科学的に検証し、人体に影響がないかアレルギーの分野からも細かく試験を重ねて行く。流行っているからといって無闇矢鱈と体に良さそうなものを詰め込んでも、長く使ってもらえるとは限らない」
「美成堂化粧品のコンセプトをベースに、従来の良さと今のお客様のニーズに合わせた開発をしていくんですよ」
社長の後に川島さんが付け足して説明してくれた。
そうよね、美成堂と他製品との差別化を図らないと長く愛用してもらえないもんね。
「お前の仕事は重要なものだという事を肝に銘じておけ。研修だからと甘く考えるな」
「分かってます……」
どうしてやる前から人の意気をくじくような事を言うかな。
多分私の為だと思うけど、社長は他のファンデーションや化粧水などを開発している様々な部屋を見せてくれた。
気づけば夕方近くになっていて、帰りの車の中で川島さんから明日のスケジュールを渡された。もちろん私の。明日は中心街にどんと構える自社店舗で、お客様にアンケートを取る市場調査の仕事。一人で朝から夕方までやらないといけないらしい。ちょっと不安……。
「大丈夫、本店近くの路上で和田も調査するし、行き帰りは一緒に出来るから。何かあれば本店の人間に聞くといいですよ」
「はい、頑張りますっ」
川島さんが私の緊張を読み取ったらしく、そう言ってくれた。
和田さんが近くにいるならちょっと安心だ。良かった。
「川島、あまりこいつを甘やかすな。自分で考えて行動するようにさせないと、困った時に投げ出されては困る」
不機嫌丸出しで言う社長。いくらなんでも困ったからって仕事を投げ出したりなんかしないもん!
会社に戻り、書類の整理をしていると終業時刻になっていた。今日もたくさん勉強になったなあ。開発センターもこれから何度も足を運ぶだろうし、何だかんだ言って社長は私の為に忙しい合間に色々と教えてくれるし。―――と言っても自分に迷惑がかからないようにだろうけど。でも、それならわざわざ私みたいな素人を自分の手伝いに付けるのは不自然よね。うーん。一番最初があんなだったから面白がってるのかも。
なんて帰り支度をしながら頭の中でぐるぐると物思いに耽っていると、ふいに携帯がメールの着信を知らせた。
「あれ。誰だろ」
カレンかな、なんて思いながら携帯を操作すると、メールの送信者は白波瀬さんだった。
うわっ、本当にメールしてきてくれたんだ! なんてちょっと頬が緩んでしまう。だってあんな出会い方なんだもの。なんだかんだ言ってもその場限りかな〜なんて、ちょっと思ってたりもした。
『お疲れ様です。先日はどうも有難うございました。今晩のご予定は何かありますか? 良かったら一緒に食事に行きませんか?』
胸の高鳴りを覚えながらメールを開くと、そこにはこんな文面が躍っていて、鼓動は今度こそ完璧に早くなった。
「ど、どうしよう」
すごく嬉しい! でも、よく知らない男の人と一緒に食事って言うのもちょっと……あれかな? でもでも、白波瀬さんは私と同じく化粧品メーカーで奮闘していて、しかもうちの会社の人達みたいに完璧な出来る人間! っていう感じでもないのよね……。我ながら失礼な評価だとは思うけど、あの少し気弱そうな柔らかい雰囲気がなんともいえなく安心させてくれるっていうか……。会社は違うけど、一緒に頑張れたらいいな! ってそんな風に思える相手なんだもん。
うん、白波瀬さんと会って、緊張をほぐそう!
嬉しい旨を伝えるメールを打つと、ちょうど終業時刻になった。鞄をひっつかんで急いで会社を出た。
今朝社長にメイクしてもらっておいて良かった! 朝から化粧が崩れないっていうのがまたすごいけど、社長に感謝だわ!
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お帰りの際は、窓を閉じてくださいv
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