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  • どじふんじゃった!(前編)

どじふんじゃった!(前編)

最終更新:2011年09月06日 01:06

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だれでも歓迎! 編集

どじふんじゃった!(前編) ◆AJINORI1nM



 上空二十メートル。
 芳野ととらの二人は、地図の端へ向かって移動していた。
 とらが空を飛び、芳野がとらの背中に乗っている状態だ。
 下は一面の海面で、陸地は遠くなってしまった。


「ねえねえとらちゃん、もっととらちゃんの武勇伝を聴かせてよ」

「ふん、仕方ねえなあ。それじゃあ次はこの話を聴かせてやるか」


 地図の端へと到達するまでの間、芳野はとらからできるだけ多くの情報を引き出そうとしていた。
 とらの話から、とらに関する事や、何かお宝の情報が得られないかと思ってのことだ。


(光覇明宗の総本山の場所は聴きだせたし、鎌鼬の傷薬ってのも高く売れそうね。まさかこれだけのお宝情報が手に入るなんて夢みたいだわ!
ここに連れてきてくれたことをブラックに感謝したいくらいよ!)


 とらの話を聴いている芳野は上機嫌だった。
 ここから出たら、早速それらの値打ち物を手に入れに行かなくては。


「うふふふふ」

「急に笑い出してどうした?」

「あ、いや、なんでもないなんでもない! ほら! 話を続けてちょうだい!」

「あ~? おかしなやつだな。まあ、いいか。それでよう、わしは飛頭蛮のやつらを──」


 とらが話を続けようとした時である。
 二人の首輪から、警告音が鳴りだした。


「な、なんだあ!?」

『会場外へ近付いています。会場外へ近付いています。これ以上進むのは危険です。今すぐ引き返してください。
繰り返します。会場外へ近付いています──』


 二人の首輪から、警告音と共に機械音声が流れる。
 これ以上進むと危険だという警告だ。
 二人はその場で動きを止めた。


「とらちゃん、まさかこのまま進んだりしないわよね? 私達、首輪を付けられてるのよ?
とらちゃんは体を真っ二つにされても平気かもしれないけど、私はそうじゃないの!
それに、多分何か仕掛けが施してあると思うの。いくらとらちゃんでも、この首輪が爆発したら死んじゃうと思うわ」

「……ふん、これ以上進むなってか。それじゃあ試しにこの先がどうなっとるか、確認してみようじゃねえか」

「確認って……え? とらちゃん!?」


 とらは、地図の端に当たる目の前の空間を見据える。
 そこから先は海が広がるばかりで、水平線まで見ることができる。
 しかし、地図の端の場所からは見えない何かの存在が感じられた。
 体に力を込めると、とらは前方に向かって体から雷撃を放った。


「きゃっ!」

「だいじょうぶだ、おめえが雷を浴びないようにしてあっからよ!」


 とらから放たれた雷撃は、何もない空間を走る。
 そして、二十メートル程進んだところで、壁に阻まれたように平面状に爆散した。
 飛び散った雷撃が、一瞬だけ辺りに光をもたらした。


「やっぱりな、結界で行く手を阻んでやがるぜ。こりゃあナガレかしぐれ辺りを見つけねえと、ここから出るのは難しいかもなあ」

「け、結界ぃ!?」


 続いて、とらはその大きな口から炎を吐き出す。
 すると、炎も雷撃が阻まれた地点と同じ場所で行く手を阻まれ、上空に向かってその動きを変えていた。
 どうやら、地図の外へ行けないように、見えない壁のようなものが展開されているらしい。
 海面を見てみれば、ある一定の場所で波がその動きを変えている。
 外から来る波は、その場所に到達すると壁にぶつかったように飛沫を上げ、内側の海面は外の波など知らないという風に小さく揺れていた。
 恐らく、そこが地図にある境界線なのだろう。
 ここに集められた者達は、見えない壁によって閉じ込められている状態なのだ。


(結界……。結界かあ。獣の槍を使えば、なんとかなるのかしら? でも、取りだしたら持ち主の潮とかいう子の所に行っちゃいそうだし、
その子に使わせるとしても、その子から獣の槍を取り返すのは面倒そうね……うーん……)


 悩む芳野は、とらの話に出てきた参加者の一人を思い出した。
 とらは言っていたではないか。
 「こりゃあナガレかしぐれ辺りを見つけねえと、ここから出るのは難しいかもなあ」、と。


「あ、とらちゃんとらちゃん。さっき言ってたナガレとかしぐれって人なら、この結界をなんとかしてくれそうなの?」

「あ? ああ、まあわしよりはあいつらの方が結界には詳しいだろうからな。こんな面倒くせえもんは、あいつらにまかせときゃ良いだろ」


 それを聴き、芳野は心の中でガッツポーズをとった。


(よしっ! それなら獣の槍を手放さずにここから脱出できるかもしれないわ!
あのブラックって奴が、ここに連れてきた者達に破られるような結界を張っているとは思えないけど、頼ってみる価値はありそうね。
ダメな時は、別の脱出方法を考えるってことで)


 ナガレやしぐれというのは、名簿にあった秋葉流と蒼月紫暮のことであるのはわかっている。
 とらの話から、その人となりも把握済みだ。
 自分のようなか弱い女の子を襲うような者達ではないようだし、利用するだけ利用してしまおう、と芳野は考えていた。


「ねえ、そろそろ陸の方に戻らない? 結界について調べるなら、海の上よりも地に足着いた所の方が良いと思うわ」

「そうだなあ。この首輪から出る声もうるせえし、戻るとするか」


 芳野の提案に同意し、とらは反転すると陸に向かって飛び始めた。
 会場の端から遠ざかると首輪の警告音はしなくなり、波の音と風を切る音しか聞こえなくなる。
 芳野が再びとらから話を聴こうと口を開くより先に、とらの口から声が漏れた。


「ん!?」


 とらの目は夜の闇でもよく見えるし、聴力も優れている。
 暗闇の中、とらは何かが高速で飛ぶ音を耳にした。
 音のする方を見れば、何かが海に向かって飛んでいるのが目に入った。
 金色に輝くそれは、遠くの海面へと突っ込むと、盛大な水柱を上げる。


「今の……何?」

「わからん」


 金の流星は、芳野にも見えた。
 流星が海面に突撃した地点までは距離があるが、それほど離れてはいない。


「と、とらちゃん! あそこ! あそこ行ってみましょう! 何があるか見てみたいわ!」

「わかった! わかったから背中で飛び跳ねるな!」


 芳野の目は、遺物や金目の物を見つけた時と同じものになっていた。
 金色に光る流星。
 きっと値打ち物に違いない、と。
 それが、まさか参加者であるとは夢にも思っていない。


(もしも海に沈んじゃってたらそれまでだけど、場所くらいは頭に入れておかないと!)


 一人と一匹は進行方向を変え、巴武士とゼオン・ベルが落下した海上へ向かって進んで行った。





◆ ◆ ◆





「お? ガキかあ?」

「子供……?」


 目的の場所へと辿りついた芳野ととらは、海面に浮かぶ一人の子供を発見した。
 銀色の髪に銀色のマント。
 リュックを背負っていることから、参加者の一人なのだろう。
 手には髪やマントと同じく銀色をした大きめな本を握っている。
 海上には、この子供以外に何も浮かんではいなかった。


「けっ。まずそうなガキだなあ。……いや、この力……。あのガキ、化生の類か?」

「え? あの子もとらちゃんみたいな妖怪ってこと?」

「ま、少なくともニンゲンじゃねえのは確かだな」


 とらは、海上に浮かぶゼオンからただならぬ気配を感じ取っていた。
 人でないのは確実だろうが、妖怪の気配とは何かが違う。
 背中にはよしのも居ることだし、迂闊に近付くのは危ないだろうと、少し離れた所で様子をうかがう。


(とらちゃんと同じ未知の生物? でも、どう見ても人間の子供にしか見えないわね。……一応髪の毛の数本くらいはいただいておこうかしら?)


 芳野は、また現れた未知の生物の存在に瞳をぎらつかせる。
 とらに加えて、これは貴重な収穫だ。
 それに、先程の流星についても何か知っているだろう。
 早く情報を訊き出したいという気持ちが、芳野を突き動かす。


「とらちゃん、あの子にさっきの流星の事とか訊きたいし、早く近付きましょうよ!」

「なに言ってんだおめえ。あいつがわしらに襲ってくるようなやつだったらどうすんだよ?」

「何びびってんのよ! 相手は子供じゃない! それに、たとえ襲ってきたって、とらちゃんが私を守ってくれるんでしょ?」

「誰があんなガキにびびるか!! ……ったく、どうなってもわしは知らんからな? 海に落ちんよう捕まっとけよ!」


 とらは悪態を吐きながらも、尾で芳野を支えながら海上に浮かぶ少年へと近付いて行く。
 さっき大声を出したせいか、少年はこちらに気が付いたようで、近付いてくる芳野ととらへ顔を向けていた。
 こんな海のど真ん中から助け出せば、話の一つくらいは聴けるでしょ、と高を括っていた芳野だったが、
そんな甘い相手ではないことを、その身をもって体感することになる。






 ◆  ◆  ◆





 海上に浮かぶゼオンは、近付いてくる者達を見て歯を軋ませた。
 虎のような魔物と、その背中に乗る人間。
 先程叫んでいた声は、波の音と距離があったせいで正確に聴きとる事はできなかったが、
自分を嘗めている(なめている)雰囲気が感じ取れた。


(先程の人間に加えて、こいつらも俺を侮辱するか!)


 いつもなら、相手の実力も計れぬ愚か者と気にすることもないが、
自分の力を見せてもなお侮られる(あなどられる)屈辱を味わったばかりである。
 怒りはまだ治まっていない。
 その上、再び己を下に見る者が現れたとあっては、その怒りは膨れ上がる一方だ。

 ただでは済まさない。
 この雷帝ゼオンを侮辱するとどうなるか、その身をもって思い知らせてくれる!


「……へっ、ガキのくせしてこれほどの殺気を放つたあな。おどろいたぜ」


 とらは、ゼオンから発せられた凄まじい殺気を感じ取った。
 そこから、この子供が今まで戦ってきたどの妖にも引けを取らない力を秘めていることを理解する。

 いつもならば、とらに殺気を放つような奴は八つ裂きにしてやるところではあるが、背中には芳野が乗っている。
 下に降ろそうにも、一面に海が広がるばかりで、陸まではまだ遠い。
 芳野が泳げるかはわからないが、海水で塩辛くなるのは、美味そうな食事を台無しにするようで気が引けた。

 ゼオンとはまだ距離がある。
 離れるならば今の内だろうと、とらは空中で動きを止めた。


「ちょっととらちゃん! 急に止まってどうしたのよ!」

「やかましい! おめえはあいつと話しをしたいんだろうが、あのガキは話し合いに応じる気はないらしいぜ。
おめえが海に落ちても良いってんなら、近付いてやっても良いけどよお?」

「それでも良いわ! まずはお宝の情報が最優先よ! ほら、さっさと近付く!」

「ハア!?」


 おかしな奴だとは思っていたが、ここまでおかしなニンゲンも初めてだ。
 別によしのを背負ったまま戦っても勝てる自信はあるが、よしのを無傷で勝てるかと訊かれると、正直分が悪いとも思う。
 ここは、背中でうるさく喚かれようと離れるのが良いだろうと、とらは進行方向をゼオンから陸へと変更した。


「どこ行こうとしてんのよ! そっちじゃないわよ! あっち! あの子の所に行きなさい!!」

「髪を引っ張んじゃねえ!!」


 芳野はわーわーぎゃーぎゃーととらの背中で暴れている。
 とらはそんな芳野を落とさないようにしているが、流石に堪忍袋の緒が切れるのも近い。
 なんでこんなやつの心配をせにゃあならんのだ。
 陸に向かうのを止め、銀髪のガキに近付こうかと気持ちを切り替えそうになったその時だ。
 銀髪のガキ、ゼオンの殺気が一層膨れ上がったのを感じ取った。
 その瞬間、とらはゼオンの方へ振り向いた。
 見れば、海上に浮かぶゼオンの体を、その身に纏うマントが包みこんでいるところだった。
 ゼオンの体をマントが包みこむと、マントごとゼオンの姿が消え去った。


「あァ!?」


 そして、消え去ったはずのゼオンがとらの目の前に姿を現した。
 とらとの距離はわずか三メートル足らずだ。


「チィ!! 瞬間移動をつかいやがるのか!!」

「ザケル!!」


 ゼオンの叫びと共に右手に持つ魔本が発光し、その左手から雷撃が発せられる。
 手加減はしていない。
 消し炭にする気持ちで一撃を放つ。
 とらはその雷撃をまともに浴びることとなった。

 芳野が悲鳴を上げ、とらの背中に身を隠す。
 だが、その行為にどれ程の意味があるだろうか。
 雷撃はとらの体を走り抜け自分にも届くはずだ。
 しがみ付く背から離れ海に逃げようとしたが、とらの尾が体に絡み付いているため離れることができない。
 芳野は襲い来るであろう衝撃に目を瞑った。


「小僧、なかなかやるじゃねえか。だがよう」


 しかし、芳野に雷撃が届くことはない。
 代わりに届いたのはとらの声だ。
 とらは雷獣とも呼ばれる雷を操る妖である。
 故に、とらは電撃や雷撃といった攻撃との相性が非常に良い。
 ゼオンの放った雷撃がとらの耐久を下回っていたこともあり、とらは背負う芳野に雷撃を伝えることなくその身に受け止めることができたのだ。


「そんな雷でわしに挑もうなんざ百年早いわ!!」


 お返しとばかりにとらの体からゼオンに向かって雷が放出される。
 制限下にあるとはいえ、その威力はゼオンのザケルを上回る。
 ゼオンは迫りくる雷に対して、自らのマントでそれを防いだ。


「とらちゃん! あの本を奪うのよ!」

「わかっとるわ!!」


 放たれた雷の閃光が晴れた時、とらは既にゼオンに肉薄していた。
 同じ雷を操る者同士だ。
 今の雷で銀髪の子供を仕留められるとはとらも考えていない。
 雷は目眩まし(めくらまし)……と攻撃された仕返しを兼ねて放ったものだったのだ。
 本当の狙いは子供の持つ銀色の魔本。
 あの本が光輝き、そして呪文と共に子供は雷を発した。
 芳野もとらも、その一度で子供の持つ本が攻撃の要であることが推察できたのだ。
 芳野はトレジャーハンターとしての経験から。
 とらは幾度となく繰り広げた戦いの経験から。
 自分の推察が正しいことを確信していた。


「ザケルガ!!」


 狙いが本と分かっていて、何も行動しないわけがない。
 発光する魔本。かざす左手。
 ゼオンが呪文を言い放つと同時に、とらに向けられた左手から一筋の光線のような、一直線に伸びる雷撃が飛び出した。
 雷の力を拡散しないように収束し、高密度の状態で放つ術だ。
 ザケルガは雷撃による熱、衝撃に加えて物理的な貫通力も有している。
 相手が雷に耐性がある魔物だろうが、この術ならばその体を貫くことができる。
 とらは身を捻る(ひねる)が、至近距離から放たれた攻撃だったため、完全に回避できず脇腹を貫かれてしまった。


「きゃあ!」


 ザケルガはとらの体に穴を開けると、芳野の真横を通り過ぎた。
 とらが身を捻らなければ、とらを貫通したザケルガは芳野の体も通り抜けていたことだろう。


「とらちゃん、大丈夫!?」


 芳野が尋ねるが、とらは答えない。
 ゼオンは追撃をしようと再びとらに左手を向ける。
 しかし、その手はとらの右腕に掴まれた。
 腹部を貫かれても尚、とらはゼオンへの接近を止めてはいなかったのだ。


「言っただろ、わしは体を二つに裂かれようが動けるってよう!!」


 芳野へ返答すると同時に、とらの髪の毛がまるで生物のように動きだし、ゼオンの全身を絡め取った。


「ラウ……!!」


 ラウザルクで髪の毛を振り払おうと、ゼオンが口を開いたその時だ。
 とらの髪の束が開いた口内に侵入した。
 髪はゼオンの口を塞ぎ、喋ることを、呪文を唱えることを不可能にする。
 ゼオンは口内の髪の毛を噛み千切ろうとするも、髪の毛は細く噛みにくく、
頭を動かして引き千切ろうにもその動きを他の髪の毛によって邪魔されてしまう。
 そのためゼオンは体に絡み付いた髪の毛を、そして掴まれた腕を振り解こう(ふりほどこう)ともがいた。
 右腕は魔本を掴んでいるせいで振るうことしかできないが、何も持たない左腕ならばこの邪魔な髪を掴み引き千切ることができる。
 ゼオンは左腕を動かすべく力を込めた。


「こいつ! なんつう力だ!」


 一体この小さな体のどこにこんな力があるのか。
 力には自信のあるとらであったが、ゼオンの力に少々押され気味だ。
 この拘束が解かれるのも時間の問題かもしれない。
 何か呪文を唱えようとしているのか、ゼオンの持つ魔本は輝きを放ち続けている。


「チッ! しょうがねえ! 先にこいつの本を燃やしちまうぜ!!」

「!?」

「え、ちょ、とらちゃん!?」


 ゼオンと芳野に緊張が走った。
 見れば、とらの口内には赤い炎が見えている。
 芳野はとらの背中を叩いて、叫び、とらを止めようとしているが、とらはそれを無視している。
 とらの目はぎらつき、今にも炎を吐き出しそうな雰囲気だ。
 不味い、とゼオンは思った。
 現在掴まれている左腕をとらの拘束から振り解く事は可能だろう。
 だが、とらもそれなりに力が強く、振り解くには時間がかかってしまう。
 それまでの間、髪の毛に絡み付かれ動きにくい状態で、放たれようとしている炎から魔本を守り通すことはできるだろうか。
 ラウザルクを唱えればこのような拘束など簡単に解いてみせるが、今は呪文が唱えることを妨げられている。
 魔本は王を決める戦いにおいて最も重要なものだ。
 それを失うということは、王への道を失うのと同等の意味を持つ。
 自身を犠牲にしてでも守り通さなければならない。

 とらの口から、灼熱の炎が吐き出された。
 拘束は未だ振り解けていない。
 ゼオンは躊躇うことなく、右手に掴む魔本を炎の魔手より逃がすために放り投げた。
 魔本はゼオンの手から離れ、炎はさっきまで魔本を掴んでいたゼオンの右腕を焼き焦がす。
 ゼオンは苦痛に顔を歪めたが、声を漏らすことはなかった。


「とらちゃん! あれ!! あの本を取って早く!!!」


 放り出された本を見て、芳野はとらの肩から身を乗り出した。
 今にも魔本に向けて飛び付きそうな勢いだ。
 とらはそんな芳野を左手で背中にへと押し戻すと、伸ばした髪を動かし放り出された魔本を絡め取る。


「危ねえじゃねえか!! 何考えてんだおめえはよう!! ……ったく、ほら、これでいいのか?」


 とらは髪に絡め取った魔本を引き寄せると、芳野へと渡した。


「そうよこれよ! これが魔術の核に違いないわ! ……初めて見る文字ね……あれ? この色の変わった部分が読める。読めるわ!!」


 芳野は手に入ったお宝に歓喜している。
 とらはそんな芳野を見て飽きれていた。
 だが、気を緩めるわけにはいかない。
 ゼオンの込める力が一層強くなった。
 向けられる殺気が膨れ上がっている。
 ゼオンの双眸(そうぼう)には、憎悪と怒りが色濃く映っていた。
 魔本を手放し自由になった右腕で絡み付く髪を掴み取り、それを一気に引き千切る。
 口に侵入している髪も一緒に引き千切り、口内に残った髪を吐き出す。


「貴様ら……許さんぞ……」


 憎悪の籠った(こもった)低い声をゼオンは発した。
 巴武士に侮られた怒りが、右腕を焼き焦がされた怒りが、そして何より魔本を奪われた怒りがゼオンに充満していた。


「この雷帝ゼオンを虚仮(こけ)にしたこと、死んで悔いるが良い!!!」


 叫ぶと、ゼオンは左腕の拘束を振り解いた。
 もう、ゼオンの動きを妨げるものは何もない。
 その憎悪の籠った瞳を見て、やばいと芳野の本能が告げた。
 あの雷帝ゼオンとか言う子供は間違いなくこの本を狙ってくる。
 本の影響かとも思ったが、どうやら素で身体能力が常軌を逸しているらしい。
 ゼオンの動きでそれがわかった。
 では、どうするか。
 芳野の右手には『持ち主に魔術を行使させる遺物(オーパーツ)』が握られている。
 ゼオンの行動から見て、どうやらこの本を持ち記されている呪文を唱えると使用者の手から雷の魔術が放たれるらしい。
 ならばと、上半身をとらの肩の上に乗り出させ、左腕をゼオンへと向ける。
 流星のことを訊かなくちゃいけないけれど、このまま暴れられても困る。
 あの自在に動くマントも欲しいところだ。
 このなんだか強そうな呪文を使って、一時的に気絶してもらおう。
 芳野の持つ魔本が輝き始めた。



「ソルド・ザケルガ!!」



 さあ、どんな魔術が出て来るの?
 期待の込められた芳野の目に映ったものは、自身の左手から放たれる雷の魔術ではなく、ゼオンの手に突然現れた雷の大剣だった。
 銀色の本は奪った。
 だから、ゼオンは魔術を使えないはずだ。
 そう思っていた二人の目の前には、しかし魔術が行使されたゼオンの姿が確かにあった。


「え?」

「愚か者が!!」


 巨大な雷刃が振るわれる。
 とらが回避行動に移るが、至近距離、そして予想外の出来事だったために避けきれなかった。
 魔本は自分では燃やせない。
 そのルールにより、例え『ソルド・ザケルガ』が魔本に当たったところで本は燃えないと、
躊躇う必要のない、真横に思い切り振るわれた大剣は、とらの体を半ば(なかば)から上下に分けた。

 脚の太腿に辺りが寒くなって、芳野は下を見る。
 温かかったとらの下半分が無くなっている。
 だから、夜風に当たって太腿が冷えたのだろう。芳野はそう思った。そう、思いたかった。
 だが、おかしい。
 そこにあるべき自分の両足が、とらの下半分と一緒に消えて無くなってしまっている。
 スカートの裾も何故だか短くなっている。
 どこにいったのだろうと視線をさらに落とすと、海に落ちる三つの物体があった。
 大きいモノが一つと、細長いモノが二つ。
 大きい方はとらちゃんの体として、細長い方は………私の、足?
 見れば、ぼたぼたとあり得ない量の血液がスカートの中から落ちている。
 まさかこの血は私のじゃないわよね?
 そう思った芳野から、今度は右腕の感覚が消えた。
 真横に振られた雷刃が、その速度を保ったまま今度は縦に振り下ろされたのだ。
 芳野の右肩に近い上腕部分、そしてとらの右肩を通り過ぎ一直線に雷刃は通過した。
 結果、とらの残った上半身は更に二つに分断され、魔本を持った芳野の右腕は体から切り離された。
 切り離された右腕に握られている魔本から、まるで命が失われたように輝きが失われる。
 芳野はそれを見ると、自分の体の最後の支えである左腕をとらから離し、魔本を持つ切り離された自身の右腕に向けて腕を伸ばした。
 その伸ばした腕は切り離された右腕に向けたものなのか、魔本に向けたものなのか、或いは、両方に向けられたものなのか。
 左腕を伸ばした芳野の体を浮遊感が襲う。
 芳野を支えていたとらの尾はソルド・ザケルガにより切られ遥か下。
 最後の支えであった左腕もとらから離したのだ。
 全ての支えを失った芳野の体がとらから離れていくのは当然だろう。
 芳野の左腕は、まだ魔本を持つ右腕へ向けて伸ばされていた。





 ◆  ◆  ◆





「ふん!」


 ゼオンは鼻を鳴らした。
 とらに二回攻撃を加えた所でゼオンの手から『ソルド・ザケルガ』が消失したのだ。
 恐らくは後ろに居た女が死んだか、本を手放したかで魔本に心の力が送られなくなったからだろう。
 そう思っていると、女が海に落ちているのが見えた。
 魔本を掴んだ女の右腕も一緒に落ちているが、その回収は後回しだ。
 目の前の魔物からは、まだ生気は消えていない。


「やろう!!」


 ゼオンに向かって、業火と共にとらの“両腕”が襲いかかる。
 とらの口からは火炎、そして残された左腕がゼオンを抹殺すべく動き出しているのだ。
 切り離されたはずの右腕も、独自に動いてゼオンへと迫っていた。
 とらの下半身はというと、芳野を救おうとしているのか、芳野に向かって直進している。
 なるほど、体を裂かれても動けるというのは本当らしい。
 ゼオンの体は未だ空中にある。
 魔本は無く、術を使うことはできない。
 ゼオンは己を切り裂かんとする爪、焼きつくそうとする業火を防ぐべくマントで自身を覆い隠す。
 その爪と業火がマントに触れようとする直前、ゼオンの体は空気に溶けるように消え失せた。


「どこにいきやがった!!」


 とらの攻撃は空振りした。
 最初に見せた瞬間移動を使ったのだろう。
 ゼオンはどこへ移動したのか。
 気配を探ると、背後からゼオンの気配を感じ取れた。
 それと同時に首へ衝撃が起こる。
 攻撃を受けたらしいが、とらは構わず振り向きざまに腕を振るう。
 何かが砕ける音が首から聞こえた。
 振り向いた先には、蹴りの姿勢をしているゼオンの姿があった。
 どうやら首に蹴りを入れられたらしい。
 振るった爪はゼオンの胴に食い込み、その小さな体を抉り(えぐり)ながら大きく吹き飛ばした。
 即座に追撃するべくとらの体が動く。
 しかし、とらの追撃がゼオンに届くことはなかった。
 とらが追撃のために動きだすと同時に、とらの首から炸裂音が上がる。
 それは、最初の広場で見せられた首輪の爆発の音と同じものだった。
 爆発音がとらの耳に聞こえるよりも先に、とらの首が胴から離れる。
 その吹き飛ばされた頭は怒りの表情に満ちていた。
 全ての怒りを集約したかのような、ぞっとする程ぎらついた瞳は、最後までゼオンを睨みつけていた。





 ◆  ◆  ◆





 落下の途中。
 視界の端でとらの頭が胴から離れるのが見えた。
 そして聞こえる爆発音。
 とらが死んだのだと、芳野は理解した。

 どじを踏んだと自分でも思う。
 あの魔本は持ち主に力を与えるのではなく、ゼオンに力を与える物だったのだ。
 支給品やとらの話から、何らかのオーパーツだと思ったが、あれはゼオンの元々の持ち物だったのだろうか。
 それとも、最初に使用した者に力を与える物だったのだろうか。
 それを判断する術を、芳野は持ち合わせていない。
 あそこでああすれば良かった。こうすれば良かった。
 後悔しても後の祭りだ。

 体が海に到達する。
 傷口に海水が染み、激痛で意識を失いそうになる。


(ごめんね……とらちゃん………)


 芳野の意識は、ここで終わった。


【とら@うしおととら 死亡】
【染井芳野@スプリガン 死亡】
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019:うしおと――/――ととら 染井芳野 060-b:どじふんじゃった!(後編)
とら
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