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バグ

最終更新:2011年07月11日 21:08

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バグ ◆d4asqdtPw2



「Dr.鍵宮」
 誰もいない虚空に向かって呼びかける。
 博士に連絡し、今後の行動についての指示を仰ぐために。
 しかし、彼の躯体内に搭載されている通信ユニットには一切の反応はない。
 装置は問題なく動作しているはずなのに。

「Dr.鍵宮。異常ガ発生シマシタ。応答ヲ」
 彼が何度呼びかけても博士は応答しない。
 それどころか、東京都文京区にある鍵宮研究室との交信自体が途絶えてしまっている。
 どうやら、彼が立っているこの場所が専用無線通信の有効範囲外であるか、または何者かによって通信電波が妨害されているらしい。

「…………交信不能。自律モードニ移行スル」
 銀髪にやや面長な、西洋風の綺麗な顔立ち。
 ボタンを全開にした学ラン姿も、ワインレッドの眼鏡も、かなり様になっていた。
 海外の映画俳優かと思わせるほどの美青年である。

 だがその反面、こんな異常事態であるにもかかわらず、彼の発する声は無感情そのものだった。
 眼鏡の奥に潜む双眼にも、一切の輝きは宿ってはいない。
 そう。彼……マシン番長は、その名が示すとおり科学の化身、ロボットであったのだ。

「参加者ノ中ニ数名ノ番長ヲ確認。コノ殺シアイヲ『23区計画』ノ延長ト判断スル」
 彼の言う23区計画とは、元々いた世界で行われていた戦いの事だ。
 様々な力を有した『番長』たちが東京23区それぞれに配属され、彼らは他区の『番長』を倒すことで自分の統括区域を広げていく。
 最終的に全ての区を支配した『番長』が、日本という国家を再生する旗振り役になる権利を得られるのだ。

 そして、マシン番長もその争いに身を投じる番長のひとり。
 23区計画の勝者となるべく、鍵宮という狂科学者に作られた戦闘マシーンだ。
 彼は起動するなり、三人の番長を撃破。
 さらに、金剛番長をはじめ、彼の元に集まった四人の番長たちも簡単に打ち倒してしまった。
 彼に与えられた力は、それほど圧倒的なものであったのだ。
 そのままの勢いで、彼は全ての区を制圧してしまうかに思われた。
 しかし、千代田区の雷鳴高校を支配下に置くべく、研究室から出発しようとしたとき……。
 彼の全機能が急停止した。

 次に目覚めると、そこは薄暗い空間。
 そこで彼は、背中を壁にあずけ座らされていた。
 部屋の中央で声高に話をするのは、キース・ブラックと名乗る男。
 マシン番長にとっては、聞く価値すらない演説だった。
 彼に命令を下せるのはDr.鍵宮と死んでしまったDr.月菜、そしてある少女だけなのだから。
 マシン番長が注目したのは、その場に集められた人間たちの方だ。
 その中には、殺したはずの金剛番長を始め、居合番長たち番長連合、加えて『番長らしき能力を備えた者』が多数いた。
 すぐにでも番長抹殺プログラムを実行したいマシン番長だったが、躯体が全く動かせない。
 電撃やロケットパンチはおろか、指の一本すらもまともに動かす事はできなかった。
 殺し合いの開始前に勝手な戦闘を行わないよう、主催者が彼の体に細工を施したのだろう。
 彼に自由が戻ったのは、カツミという少女の首輪が爆発した後。
 現在立っているこの場所に、謎の力で強制移動させられてからのことだった。
 そして彼は冷静に現状を確認し、今に至る。

「予定ドオリ、番長抹殺プログラムヲ再開スル」
 創造主からの命令を受け取れない以上、ここからは自分の判断で行動するしかない。
 とはいえ、彼のすべきことは今までとは何ら変わりはない。
 他の番長の排除。それだけだ。

 ところが、彼がその指名を全うする過程には、ひとつの大きなハードルが存在する。
 ある少女の存在だ。

「……月美」
 彼の開発に携わった人物である月菜博士によく似た少女。
 マシン番長の中で、彼女は創造主たちと並び立つほど大きな存在だ。
 だからマシン番長は、その少女の願いに従う。
『戦った相手と仲直りして欲しい』との、健気な願い。
 相手を殺してしまっては、それを実行するのは不可能だ。
 しかし、それと同時に、番長を倒すという指令は守らなくてはならない。
 それができなければ、彼は廃棄され、少女の傍にいられなくなるからだ。
 全力で戦わなくてはいけないが、殺してもいけない。
 数ある番長の中でもトップクラスの戦闘力を持つ彼だからこその難題であった。
 この要求にどう対処するのが最適か、ニューロコンピュータを巡らせ思案していると……。

「あの……すみません……」
 突如背中から話しかけられ、マシン番長は猛スピードで振り返った。
 感情のない彼だが、その振り向きの速さから、驚きのような感情が見て取れる。
 演算途中であったとはいえ、彼の警戒が緩む事はないはずだ。
 けれども、彼はこの女性の接近を察知する事ができなかった。
 声の主である女性を確認すると、ジッと見つめて、その人物データの解析を開始する。

「網膜スキャン……エラー……」
「あの……聞いてますか?」
 巫女装束を身に着けた女性が呼びかけるが、マシン番長は歯牙にもかけない。
 眼鏡のフレームよりも紅い瞳で、女性の情報を読み取っていく。
 彼女の網膜から該当データを検索しようとするが、失敗に終わってしまう。
 こんな事象は、彼にとって始めてのことであった。

「音声分析……確認……。該当データナシ。
 …………番長デアル確率0.02%。
 網膜エラーハ、バグデアルト予想サレル」
 声紋判定に切り替え、やっと彼女のデータ採取に成功。
 インプットされている番長たちのデータと照合し、合致するものが無いことを確認した。
 さらにその戦力を分析すると、彼女は舎弟レベルの戦闘能力すら持ってはいない。

「あのぅ……」
 女性はめげることなく話し掛ける。
 その黒い艶やかな長髪や穏やかな顔つきから、奥ゆかしい大和撫子の雰囲気を漂わせていた。
 一方で、彼女は見た目から感じる印象以上に肝が座っている。
 潜ってきた修羅場の数のおかげか。それとも誰かの影響か。

「関ワッテモ意味ガナイと判断スル」
 番長抹殺プログラムを執行する彼にとっては、一般人との関わりは全く無意味なもの。
 相手が番長関係者ではないと判断すると、彼女を無視して歩き出そうとする。

「あ! の!」
「……?」
 業を煮やした少女が、立ち去ろうとする青年の前に回りこんだ。
 彼女の動きを、またしても察知できなかったマシン番長。
 表情こそ変化してはいないが、彼の脳内は混乱状態にあった。
 再び彼女を見つめ、先ほどより精密なスキャンを開始する。

「心拍数…………エラー…………。体温…………エラー…………。
 ソノ存在ヲ確認デキナイ」
 探知できるのは、彼女の音声だけ。
 彼の視覚素子は少女の姿を確認しているのに、レーダーの方は『そこには誰もいない』と主張する。
 まるで、立体映像を見せられているかのよう。

「……あぁ! そういうことですか」
 両手をポンと打ち合わせる。
 どうやらマシン番長の言いたいことを理解したらしい。

「ソウイウコト、トハ何ダ」
「実は、私……」
 人差し指を頬にあて、得意そうな顔を見せる少女。
 おしとやかに小さく口を開けてウフフと笑った。

「幽霊なんです」


◆     ◆     ◆


「ツマリ、人ハ死ンダラ幽霊ニナルノカ」
「そういうことです。意外と気楽でいいものですよ」
 地べたに座って話す二人組。
 片や機械、片や幽霊という、とんでもない組み合わせだ。
 幽霊少女キヌが今まで行っていた霊能講義は、たった今、やっとのことで一段落。

 マシン番長も、始めこそはインプットされていない概念に戸惑っていた。
 だが、彼の感覚素子が心霊現象を実際に体験しているのだから納得せざるを得ない。
 カタカタと音を立てながら、頭部に格納されたメモリに『幽霊』の項目を追加した。

「……それでですね、マシン番長さん。
 あなたは、美神という名の女性を……」
 危険人部の可能性もあったマシン番長に、キヌがわざわざ話しかけたのには理由があった。
 事務所の仲間の美神や横島、知り合いのドクターカオスと遭遇してはいないか尋ねるためだ。
 会話をしていく中で、彼は危険人物ではないと判断したキヌ。
 わざとらしく咳払いしてから、本題を切り出そうとしたが……。

「待テ。誰カ来ル」
 彼女の言葉を遮り、マシン番長が立ち上がる。
 つられてキヌも振り返るが、誰もいない。
 巫女少女は首を傾げるが、マシン番長は微動だにしない。

「あの……こんにちは。突然話しかけてすみません」
 彼らが見つめる方向から一人の少年が姿を現したのは、それから数十秒後のことであった。
 身の丈から察するに、小学生であろう。
 それにしては随分礼儀正しく、育ちのよさが伺える。
 つまりは、そんな子供さえも殺し合いを強制されているということ。
 そんな残酷な仕打ちを平気で行うキース・ブラックとかいう男に、キヌは珍しく怒りを覚えた。

「いいのよー。ボク、怖かったでしょ」
「いや、僕は、そんな……」
 キヌがまっ先に少年に近づいて、小さな頭を優しく撫でた。
 あからさまな子供扱いに、少年は戸惑ってしまう。
 キヌの手を振り払いたかったが、彼女の悪意なき表情を前にしては、そんなことできるはずもなかった。

「私はキヌ。おキヌでいいですよ」
「えっと僕は、才賀……危ないッ!」
 自己紹介を突如中断し、少年が大きく飛びのく。
 その直後、彼が今まで立っていた場所を、機械仕掛けの拳が猛スピードで通過。
 そして、少年の傍に屈んでいたキヌの身体を貫いた。
 パンチはそのまま地面を殴りつけ、衝撃で大量の土煙が舞い上がる。

「お……おキヌさぁんッ!!」
 まさかの事態に、少年の顔に絶望が満ちる。
 彼は一人で逃げようとしたわけではなく、キヌを抱えて二人一緒の回避を試みた。
 そのはずだったが、彼の腕は少女を捕まえることはなく、巫女の体をすり抜けて空をきる。
 結果として、彼女はロケットパンチから逃れることができなかった。
 少女を助けられなかった自責の念と下手人への怒りが彼の胸を支配し、小さな身体がワナワナと震える。

「よくも……よくもおキヌさんを……」
 少年は背中から一本の刀を取り出し、構えた。
 その姿は、ただの小学生のソレではない。
 剣の道に通ずる者の佇まいだった。

「いくよ」
 明鏡止水。
 月明かりに光る刀身に応えるかのように、少年の瞳に鋭い閃光が宿る。
 力強く握り締められた柄に、もう奮えはない。
 大きく息を吸い込み、右足に力を込め、踏み出そうとした。
 そのときだ。

「なぁーーーにするんですか、マシン番長さん!
 私、死んでなかったら、死んでましたよ!」
 少女の怒号。
 一般人なら確実に死に至るレベルの攻撃を食らったはずの少女だ。
 なぜ彼女が生きているのか、勝は知る由もなかったが、それは至極簡単な理由だ。
 幽霊である彼女の身体は、本人が『触れたい』と思ったもの以外は貫通させてしまう。
 少年が彼女を抱えられなかったのも、それが原因だ。
 つまり、パンチのような物理攻撃は彼女には全く通用しないということである。

「俺ガ狙ッタノハ、ソッチノ子供ダ。ソコニイタオマエガ悪イ」
「そういうことじゃないですよ!
 私が言いたいのは、何でいきなりこの子に攻撃したのかってことです!」
 無傷で復活した少女に目を丸くする少年。
 あんぐりと口を開け放つ彼を余所に、二人の口論は続く。
 もう常識も何もあったものじゃないのだが、キヌの方が正しいことを言っている。
 少年に落ち度がないにもかかわらず、マシン番長は彼に不意打ちを見舞ったのだから。

「コノ子供ノ戦力ガ基準値ヲ超エテイル。
 番長デアル確率ハ94.33%ナノダ」
 再び少年に向き直るマシン番長。
 その目からは、殺意と呼ばれる感情を確認することはできない。
 マシン番長のメモリ内には、この少年のデータはインプットされてはいなかった。
 つまり彼は23区の番長ではないということである。
 しかし、それは少年が番長でないということと同義かと問われれば……否。

 日本には、マシン番長のデータの外にいる番長もたくさん存在している。
 なぜならば、番長とは東京23区に限った存在にあらず。
 東京都以外でも同じような争いは行われており、そこでも数多の番長が戦いに明け暮れていた。
 マシン番長にとってみれば、それらの番長もいずれは倒さなくてはならない敵だ。
 彼が作りたいのは、鍵宮と月美のみを絶対とする国なのだから。

 少なくとも、マシン番長に分かることは『この少年は、番長以外は持ち得ない戦闘能力を有している』ということだけ。
 ならば、殺しておいて損はない。
 疑わしきは番長、である。

「何を言っているんですか? こんな子供に……!」
「いいよ、おキヌさん」
 少年が、刀を背中にしまう。
 マシン番長を彼の知っているタイプの自動人形だと誤解したせいだ。
 彼が知っている自動人形には『黄金律』というルールがある。
 それは、『武器を持っていない人間の前では、目で終えない速さで動いてはならない』というもの。
 刀や銃器のようなものを手にしていては、到底人間側に勝ち目はない。
 だから、およそ武器とは思えない懸糸傀儡が、オートマータの数少ない対抗策となるのだ。

「やつらと会話するだけ、無駄なんだ」
 徒手空拳で構え、立ち向かう。
 少年に残されたのは、『分解』の技術のみ。
 それすらも、ドライバーなどの工具がなければ心もとない。

「確カニ俺ハ、オートマータ・マシン番長ダ。
 オマエヲ俺のメモリニ登録シヨウ」
 データベースにこの少年の網膜や声紋などの情報を追加する。
 さらに、肉体をスキャンして得られる予想戦力や戦法なども保存。

「そんな、ダメです! 武器もなしに勝てるわけが」
「それは違うよ、おキヌさん。……足掻くんだ」
「……え?」
 キヌの心配の眼差しは、僅かばかりだが和らいでいく。
 少年の姿が頼もしく見えたからだ。
 彼の顔つきが、幾つもの戦場を渡り歩いた戦士の表情へと変貌し。
 全身から発する圧も、彼女がよく知るゴーストスイーパーのごとく頼もしいものになった。

「足掻いて足掻いて、ダメだったらそのときは……」

「新規登録ヲ完了スル。命名、『子猿番長』」

 少年の決め台詞は、悲しいかな最後まで紡がれず……。
 マシン番長が彼に名づけた番長名は余りにも酷く……。
 今まで彼が醸し出していたシリアスな雰囲気を台無しにするには、充分すぎるものだった。

「………………」
「………………」
「………………」
 完全に空気の読めないマシン番長の発言のせいで、この場に痛々しい沈黙が流れた。
 この空気を作り出した当の本人は、相変わらずの無表情で少年を見つめている。
 その少年はというと、俯いて小刻みに震えてしまっていた。

「あの…………」
 気まずそうに二人を交互に眺めていたキヌが、見るに見かねて少年に話しかける。
 彼はゆっくりと顔をあげた。

「なんだい、おキヌさぁん」
 もう少年は、にっこり笑うしかない。
 しかれどもそれは、ぐにゃりと歪んだ、『いい笑顔』だった。
 まるで、悪い錬金術師の精神を脳に転送されてしまったかのような。

「あ、あの……怒って、る?」
「怒ってなんかないよぉ」
 言葉では否定するものの、少年の表情からは明らかに怒りのオーラが漏れ出ていた。
 頬がピクピクと痙攣している。
 今にも爆発してしまいそうだ。
 キヌはというと、彼にかける言葉選びに迷ってアタフタする始末。

「番長抹殺プログラムヲ実行スル」
 そんな二人をよそに、マシン番長は既に戦闘体制に移行していた。
 突き出された右腕から、少年に向けて拳が発射される。
 しかし、ロケットパンチは直線攻撃。
 警戒さえしていれば回避は容易いものだ。
 少年は横ステップで楽々と鉄の拳骨をやり過ごすと、マシン番長に向けて突進する。
 そのスピードは、やはりただの小学生のものではなかった。

「ソリッド・スクリュー」
 初撃を回避されたロボットだが、機械らしく冷静に相手を迎え撃つ。
 右手首から伸びるワイヤーを巻き取り、先ほど飛ばした拳を回収。
 ガシャリと手首に嵌った右手を貫手の形に構え、ドリルのように高速回転させる。
 恐るべき貫通力を有したこの必殺技は、金剛番長を殺害したものだ。
 まっすぐ愚直に走りくる少年に向け、静かにだが素早く突き出した。

「…………はぁッ!」
 少年は背中から刀を取り出し、迫りくる機械的な突きを下から救い上げるように弾く。
 しかし、機械の馬力は強く、繰り出された攻撃の軌道を完全に逸らせるには至らない。
 そこで少年は、躓いたのような動きで機械の足元に転がり、その懐へ潜り込んだ。
 完全に無防備となった胸部に、刀を思いっきり叩き込む。

「無駄ダ」
 無表情でアンドロイドが宣告したとおり、渾身の一振りは皮膚を模した装甲に阻まれて止まってしまう。
 カキンと鉄同士が打ち合わされる音が虚しく響いた。
 刀を振り払うこともせず、少年を組み伏せてマウント状態に持ち込む。
 不可避の攻撃で、少年を確実に死に至らしめるために。

「止めてぇッ!」
「安心シロ。殺害シテモ幽霊ニナルダケ。ナカナオリハ可能ダ」
 おキヌの絹を裂くような叫びが響く。
 しかし、彼女の力では機械の暴挙を止めることはできない。
 マシン番長は気にすることなく拳を振り上げた。

「まだだよ」
 自らの眼前に死が迫ってきていても、少年は笑っていた。
 それは、お手上げだから、足掻いても駄目だったからではない。
 彼がとびっきりの笑顔を見せたのは、勝利を確信したからだ。
 少年は手にした柄を、全力で握り締める。

「のびろ、物干し竿」
「…………?!」
 少年の命令に従って、マシン番長の胸に突き立てられた刀が急速に長くなっていく。
 十メートル、五十メートル、さらに、さらに遠くへ。
 刀はマシン番長の体を吹き飛ばし、空の彼方まで運んでいく。
 数秒後、物干し竿が元の長さに戻ったとき、もうマシン番長の姿はどこにも見えなくなっていた。

「大丈夫……みたいですね」
「はい。あいつが戻ってくるかもしれません。ここを離れましょう」
 決着が着いたのを見届け、キヌが少年に駆け寄る。
 彼女の手を借りて立ち上がる少年。
 その姿を、とても勇ましいと思うキヌであった。

「あ、そうだ」
 フワフワと進んでいたキヌが、思い出したかのように立ち止まる。
 その声に、先を進んでいた少年が何事かと振り返る。

「あなたの名前、聞いてなかったね」
「あぁ、本当だ。僕は、勝。才賀勝です!」
 勝少年は、胸をはって元気に自己紹介をした。
 こういうところは子供らしい。
 先ほど強敵を退けた彼と同一人物だとは、とてもじゃないが思えない。

「おキヌさん?」
 勝が訝しげにキヌの顔を覗き込む。
 彼の名前を聞いたキヌは黙ったまま、小刻みに震えていた。

「ま……サル……。…………っぷ……」
 我慢しきれなくなって、思わず噴出してしまった。
 慌てて謝罪しようとしたが、時既に遅し。

「……あ、あの…………ごめ…………」
「なぁんだぁい、おキヌさぁん」
 それは、悪意に満ちたとてもいい笑顔だった。



【B-4 一日目深夜】

【才賀勝】
[時間軸]:不明。正二の剣術を習得してから。
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:物干し竿@YAIBA、ランダム支給品0~2(人形はなし)、基本支給品一式
[基本方針]:殺し合いを止める。


【おキヌ】
[時間軸]:本編にて生き返る前(ドクターカオスとは面識有)
[状態]:不健康
[装備]:無し
[道具]:ランダム支給品1~3、基本支給品一式
[基本方針]:勝についていく
※幽霊です。『本人が触れたいと思うもの』以外はすり抜けます。


◆     ◆     ◆


「躯体損傷率3.2%。行動ニ支障ハナイ」
 ムクリと起き上がったのは、子猿番長の殺害に失敗したマシン番長だ。
 立ち上がると、まず全身をスキャンし、ボディの調子を確認する。
 どうやら異常はないようだ。
 小さな傷はあれど、すぐに自動回復するレベルのものであった。

「逃走シタ対象ノ追跡ヲ開始スル」
 自分が飛ばされてきた方向を見つめる。
 もう一度少年と接触して、こんどこそ確実に殺害するためだ。
 マシン番長は、体内に搭載されているレーダーを起動させて相手の位置を探ろうとした。

「レーダーニ異常。索敵範囲ガ限定」
 おそらくは、主催者による細工。
 レーダーの有効範囲が著しく狭められていた。
 これでは、少年を補足するのは不可能である。

「追跡ヲ断念スル」
 機械の決断は早かった。
 特に悔しそうな素振りもみせることはない。
 踵を返し、新たな敵を探して粛々と歩き出す。

「各番長トノ戦闘プログラムヲ修正。
 殺害シテモ、ナカナオリハ可能デアルト」
 キヌに教わった『幽霊』の概念を、プログラムに反映させた。
 人は死んだら幽霊となり、世界を彷徨う。
 つまりそれは、対象を殺害しても仲直りは出来るということになる。
 殺してから仲直りすればいいのだ。そのほうが遥かに簡単なのだから。
 月美の命令には何ら違反してはいない。

「番長抹殺プログラムヲ、再開スル」
 23区最強の番長が、今、動き出した。


【B-2 一日目深夜】

【マシン番長】
[時間軸]:雷鳴高校襲撃直前
[状態]:異常なし
[装備]:無し
[道具]:ランダム支給品1~3、基本支給品一式
[基本方針]:番長を抹殺し、幽霊と仲直りする。邪魔するものも排除。
※番長関係者しか狙いませんが、一定以上の戦闘力があるとみなした人物は番長であると判断します。
※対象の殺害を躊躇しません。
※レーダーは制限されています。範囲は不明。

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GAME START 才賀勝 047:重い荷物の担ぎ方
GAME START おキヌ
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