黄昏時は 禍物の時間
何処からともなく鈴の音が聞こえたら とにかく遠くへ逃げなさい
経を唱える声が聞こえたら 急いで家に籠って神に祈りなさい
家の戸を叩く音が聞こえ 外から問いかけが聞こえても 決して答えては生けない
そして 何が起きようとも 決して 外に出ても覗いても生けない
さもなくば お前は 奴の腹に収まってしまうよ?
──東の大陸・ムドラに古くより伝わる口伝の唄──
プロフィール

一切衆生は皆すべからく 飢えており、それ故に死に至る──しかし、それは新たな「生」の始まりに過ぎないのです
- 名前:陀忌無(ダキム)
- 誕生日:不明
- 身長::223cm
- 体重:42㎏
- 種族:吸血鬼
- 性別:男性
- 年齢:墓穴のように古く
- 好きなこと:神への祈り、儀式、苦行、布施
- 嫌いなもの:吸血鬼の神秘性を解せぬ蛮族ども、無神論者
概要
暴食・不死・破壊・殺戮を司る謎めいた女神「母(マー)」を主神として崇める吸血鬼の教団母なる黄昏の教主であり、戦禍の絶えぬ遥か東方の地において密かに活動していた。
だが、彼の活動は様々な大国と名立たる吸血鬼狩りの共闘によって打ち崩れ、死闘の末に敗北。謎めいた女神からの天啓と神託、そして並々ならぬ加護により、彼だけは如何にか生き延びることに成功。以降は、復讐と再起を誓いながら流浪の旅を続け、現在の地へと流れ着く。
彼の故郷(と思われる地)では、その名は限りなく悪名高く「黄昏の神父」、「東のジャッカル」、「飢餓導師」といった数々の異名を持ち、大いに恐れられていた。
その特異な外見は他の吸血鬼のような優美さやロマンスを一切持たず、怪物的である。彼は独自の戒律とルールを自身に課しており、彼が血を吸うのは「罪深い者」に限定される。また、彼は定期的に断血の儀式を行い、謎めいた女神と血の恵みへの感謝を捧げている。
能力:飢餓
「飢え」と「渇き」を増大させる能力を有しており、その気になればただ其処にいるだけで豊かな穀倉地帯を荒廃させ、豊富な水源を干乾びさせ、生物同士を飢えと渇きにより過労・衰弱させ、共喰いへと強制的に導くことができ、彼の邪術は敵の水分を強制蒸発させ、肉を萎み罅入れさせ、そして塵へと帰さしめる。
仮に貧困で飢えの対象が得られない場合は、極限の飢えと渇き、そして共喰いによる苦痛と絶望により死を齎し、また逆に資源豊かな地域では、「飢え」の対象となっている物に死ぬまでのめり込ませる。
基本的に生物は全て何かに飢えているため、彼の力から逃れることは至難である。だが例外として、障害により何をやっても欲求を満たせないなど「飢え」の対象となりえる物になんの満足も得られない、つまり「欲」による「飢え」が無い精神的障害を持つ(あるいは霊性が高い)人物、または人造生命体などの生まれながらに飲食を不要とする存在に対しては、「この力」は通用しない。
無論、彼は上記の能力以外にも、吸血鬼としての能力を一通り備えている(例:切り立った面や水上を平然と移動する、自身を鼠の大群あるいは砂嵐へと変化させる、テレパシーによる腐肉食動物との会話および使役、凝視した対象を共喰いさせる…等)
所持するアイテム
冥魔の鈴(ヴェナハ・グン・グル)
ムドラ大陸の吸血鬼(ヴェダラ)に伝わる伝統的な「聖遺物(タバルカート)」の「一つ」。小型の独鈷鈴(とっこれい)に酷似したそれは人間風情では到底理解出来ぬ、名状しがたい不可思議な文字や印(シンボル)が細かく刻まれており、何かしらの宗教的な象徴や意味合いを暗示させている。
一見すると東洋の宗教で見受けられる、儀式用の祭具に思えるがこれは俗にいう「特級呪物」であり、ムドラの「王(ラージャ)」、「司祭(シャモン)」、「不可触民(アガスラ)」の異なる3階級に属する人間を生きたまま高熱の炉に焼べ、そのまま金属と混ぜて溶かした後、77人の人間と31体の魔性(吸血鬼含む)の新鮮な血液を集めて冷やした専用の容器に1週間浸し、その間に専用の不浄なる儀式を取り行う事で完成する。
かくして完成したこの忌むべき鈴は、人間や吸血鬼以外の魔性が、僅かにでも触れれば瞬時に生命力と血液を吸われ、知性無き生ける屍(ブータ)と化す。仮に吸血鬼であっても、それに触れるだけの然るべき器と資格が無ければ、鈴を鳴らすことはおろか、手に持つことすら不可能である。
だが、仮に鈴が認める程の霊験あらたかな力を持つ吸血鬼が手にすれば、この鈴は以下の恐るべき能力の数々を発揮する。
- 鈴の音が鳴り響く範囲内に、資格ある持ち主とその主が触れて許可したモノを、意のままに転移させる。鈴の音が鳴り響く範囲は、鈴を鳴らした吸血鬼の力量によって大きく左右され、力が強大であればあるほど、鈴の音はこの世のモノとは思えぬ美しさで鳴り響き、如何なる騒音にも妨げられぬという。
- 鈴に宿る不浄な霊力により所有者は、様々な系統に属する「13」の強力な術(要は他国における「呪文」や「魔法」に該当)の数々を、あたかも自身が学習し体得したが如く、意のままに使いこなすことができ、発動されるそれらの術は基本となる元の術よりも活性化され、殺傷力や効果などが増強されている。
- 正当所有者が明確な殺意を持って鈴を鳴らした場合、その音が鳴り響く範囲内にいる存在に対し、底知れぬ呪怨に満ちた陰府(よみ)の音波を届ける。決して聞いては生けない音を耳にした生者は、霊魂を無理やり引き剥がされて絶命し、以後は不浄なる邪悪霊(ぺクタ)として、所有者の永続的な支配下に入る。仮にこの音を耳にしたのが吸血鬼などの化生の類であれば、その骨と血肉は陰府の底より発せられた非現実的な破壊の音響によって、木っ端みじんに破壊・粉砕される。
- 正当所有者は、光無き陰府に生息する死と闇の精霊「冥魔(ヴェナハ)」と契約を結び、それを意のままに召喚・使役できる。ただし、使役できるのは「鈴」1個につき、一体のみであり、強力な術法により陰府などの異界へと送還(または追放)された場合は約108年、討伐され失った場合は然るべき「贖い」を経て、約666年の程の歳月を待たなければ、この能力を再度使用する事は出来ない。
- 冥魔の顕現時間は術者の力量に完全依存しており、理論上は永続であるが、所有者の消耗が激しく不可能に近いとされている。鈴(または神話級の禁呪)により招来できるこれら冥魔は、強大無比ではあるものの極めて危険かつ邪悪な存在であり、吸血鬼(ヴェダラ)はおろか、阿修羅(アスラ)、羅刹(ラクシャーサ)、夜叉(ヤクシャ)といったムドラ固有の化生ですら手を組むのを忌避するほどである。余談ではあるが、この鈴の名称の由来は、この能力に由来している。
主な眷属
儸俱腐汰(ラグフタ)将軍
一切の光が差さぬ闇の世界に生息するとされる、死と闇の精霊「冥魔(ヴェナハ)」の一種。西洋といった異国の地では「ナイトシェイド」、または「ダークエレメント」と称されるやもしれない。
一切の光が差さぬ闇の世界に生息するとされる、死と闇の精霊「冥魔(ヴェナハ)」の一種。西洋といった異国の地では「ナイトシェイド」、または「ダークエレメント」と称されるやもしれない。
「生」と「光」を忌み嫌うこの死と闇の化身は、蝙蝠、犬、蜘蛛、鮫、長虫(ワーム)と様々な形象を取りうるが、陀忌無に仕える彼は約6mほどの角ある巨人の姿を取る(ただし、生ける闇のような存在であるため、室内の大きさに応じてサイズを調整できる)。
「将軍」と称される通り、過去に彼は吸血鬼の国と化した「ナ国」において、アンデッドと化生の大群を率いて、他国を蹂躙していた。彼は定命の多くの将軍とは異なり、後陣に立ち安全な所から戦場を観察し、指揮するような真似はしない。飽くなき破壊と殺戮を目的とする彼は、戦術を立て計画することに熱心であり、その決断が自己の破滅を意味するものでない限り、自身も積極的に戦闘に参加する。
彼は戦術的優位を得るために、自身の部隊を犠牲にすることは決してない――とは言えない。そのような戦術は、この死の化身が直接参加したいとは思わない攻め手のほんの1種に過ぎない。
将軍は絶望を与えてから殺すことを好み、特に価値ある品を破壊したり、恋する者を惨殺してから敵に終わりの一撃を加えることを大いに愉しむ。
魂喰鬼(ディヴァラ)
ムドラに伝わる悪名高き化生の一体。約3メートル越えの長身を有するこの乾いた幽鬼は、その胸がギザギザの肋骨でできており、その中には悶え苦しむ小さな亡霊じみものが捕えられている。
ムドラに伝わる悪名高き化生の一体。約3メートル越えの長身を有するこの乾いた幽鬼は、その胸がギザギザの肋骨でできており、その中には悶え苦しむ小さな亡霊じみものが捕えられている。
この化生は殺害した相手の霊魂を喰らい、その胸に幽閉する事ができ、囚われた霊魂は未来永劫、蘇生する事も転生する事も出来ず、死の苦痛と恐怖を延々と味わい続ける(要はアンデッドにすらなれない)
この能力故かムドラの力ある吸血鬼は、この化生を「解脱へ導く者」と称する──無論、皮肉を込めて。
邪悪霊(ぺクタ)
ムドラに伝わる化生の一体。西洋といった異国の地では「スペクター」と称されることも。太陽光と生者を憎む邪悪なアンデッドであり、生前の記憶を保持する。
ムドラに伝わる化生の一体。西洋といった異国の地では「スペクター」と称されることも。太陽光と生者を憎む邪悪なアンデッドであり、生前の記憶を保持する。
その殆どは理不尽な死や生前の所業により来世に入ることを拒む、怒りに満ちた人間の残滓である。
基本的にこの化生は自分の死んだ場所に出没し、他者を寂しい不死の奈落に引きずり込もうとする。
基本的にこの化生は自分の死んだ場所に出没し、他者を寂しい不死の奈落に引きずり込もうとする。
備考:ムドラ大陸の吸血鬼について
ムドラ(別名ルドラとも)大陸の吸血鬼は特殊な価値観と哲学を有しており、「苦行」によって吸血鬼の弱点を克服し、「完成」に至ると考えている。そのため彼らは、吸血鬼であっても一歩間違えば死にかねないような苦行を熱心に行い、その大半は自滅する。
しかし、中には苦行を達成して様々な弱点を克服し、吸血鬼としての力を増し、更なる高みへと至るものがいる。彼らはこうした苦行を達成した吸血鬼を「覚者」、「導師(グル)」、「聖人」などとして尊崇する傾向にある。
こうして「完成」を経たムドラの吸血鬼は、真に強大になりうる。この力ある魔性共は特有の形態を持ち、賢者または冒涜的な菩薩として崇められているが故に、その種族の下位種からあらゆるものを要求することができる。
さて、以下に記されたるはムドラの伝承や物語で知られた、悪名高き面々である。
“施餓鬼菩薩”陀忌無(ダキム)
“剥ぎ取る尊師"阿死恕(アシド)
“毒霧の慈母”那我慈(ナガジ)
“美食家”旻堕(ブンダ)
“苦き水”宇屠羅(ウトラ)
“神速”禍犯陀(カハンダ)
“現世と夢の狭間の将軍”破禰夢(ハディム)
“獣王”牟婁車(ムルシャ)
“屍語り”爬死地(ハシジ)
“憤怒の覚者”厨婁覇(ズルハ)
“火葬者”脊是苦(セゼク)
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オマケの駄文
第1話
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第2話
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第3話
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第4話
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第5話
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第6話
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第7話
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