出版物/メディア


2013年4月19日 13:59 (AKB的人生論)高橋みなみ:3 一票に感じる深い愛情
http://www.asahi.com/articles/ASG426X2LG42UEHF01F.html



AKB48グループ総監督。「努力は必ず報われる」と6月の「総選挙」にのぞむ=倉田貴志撮影


 昨年12月の衆議院選挙で一票を投じました。だけど正直、よくわかりませんでした。候補者のポスターを見ても、この人は誰、どんな人?って少し迷いました。選挙前に候補者の方のPRをもっと見る機会があればいいのに、と思いました。

 選挙と言えば、今年もAKB48選抜総選挙の開催が決まりました。AKBの総選挙はメンバーの特技やキャラクターがすべてわかるし、投票結果で選抜やセンターが決まる単純明快な仕組みです。なのでファンの方々の間ではある意味で国の選挙より身近だから盛り上がっているように思います。

 AKB総選挙は「お祭り」ですが、候補者のメンバーにとっては気が気ではありません。でも、自分に何が足りないのか見つめ直す大切な機会にはなります。

 総選挙ではメンバーの率直な思いを表したスピーチが注目されます。昨年はAKBの若手メンバーの結果があまり振るいませんでした。麻里子さまが後輩たちに「つぶすつもりで来て下さい。私はいつでも待ってます」と檄(げき)を飛ばしてくれたけど、もっともっとガツガツして欲しい。私自身は「努力は必ず報われる」というフレーズが定着しちゃった感がありますね。努力をしなければ何も始まらない、ということを伝えたいと、突然、思い浮かんだんです。

 今年の私の努力が報われるかはわかりません。ただ、毎回、私へ投じてくださる一票ごとに深い愛情を感じています。いろいろな意味でこの機会を楽しみたいと思います。

インタビューに答えるAKB48の高橋みなみさん=竹谷俊之撮影

インタビューに答えるAKB48の高橋みなみさん=竹谷俊之撮影

インタビューに答えるAKB48の高橋みなみさん=竹谷俊之撮影

AKB48総監督・高橋みなみさんは、昨年の「総選挙」で語った言葉「努力は必ず報われる」を色紙に書いてくれた



2013年4月12日 13:16 (AKB的人生論)高橋みなみ:2 被災地へ行く目的は
http://www.asahi.com/articles/ASG426VYWG42UEHF01C.html

被災地で「ありがとう」
[動画]http://ux.getuploader.com/takamina0408/download/18/1409080048.mp4


AKB48グループ総監督としてメンバーたちを支える。4月8日に22歳の誕生日を迎えた=倉田貴志撮影


 震災から2年が経ちました。「もう2年」と感じるかもしれませんが、被災地の人からすれば「まだ2年」です。3月11日、AKB48はほぼ全メンバーが被災地を訪問し、10カ所に分かれてライブをすることになりました。だけど、私の心はもやもやしていました。「たずねてもいいのだろうか」。被災地の住民の人たちには特別な日です。静かに過ごしたい気持ちでいるのではないかと。

 被災地に向かうバスの中、総合プロデューサーの秋元康さんからメールが届きました。「偽善者と言う人がいるかもしれない。でも、何もしないよりはマシだ。我々は傍観者になってはいけない。続けたときに、誰かわかってくれる人がいるはずだ」。その文章を読んで初めて、「行こう」と、みんなの心が前を向きました。

 会場は体育館。最前列で、幼稚園の子どもたちが一緒に「ヘビーローテーション」を歌ってくれました。「こんなに楽しんでくれているんだ。来てよかった」。被災地の人たちと貴重な時間を共有させていただいた、そんな気持ちでした。

 AKB48には「誰かのために」という曲があります。人は1人では生きていけない、いつも誰かに支えられている。だから、誰かのために生きていこう、というメッセージが込められています。私はこれからも被災地をたずねます。そして、人々のために、何かをしてあげられたらと思っています。



2013年4月5日 11:53 (AKB的人生論)高橋みなみ:1 これが私のリーダー論
http://www.asahi.com/articles/ASG426RCXG42UEHF019.html

高橋みなみの「座右の銘」は
[動画]http://ux.getuploader.com/takamina0408/download/17/1409072356.mp4


21歳。AKB48第1期生で総監督。今月、歌手ソロデビューを果たした=倉田貴志撮影


 14歳のデビューから8年目。いつの間にか後輩ばかりになってしまい……。昨年8月からAKB48グループの総監督をしています。名付けたプロデューサーの秋元康さんは「キャッチーな名前だろ」って、ネタにしていますけど、実際は中間管理職のような感じでしょうか。

 メンバーの中心は10代の女の子。繊細なんですよ。大人のスタッフさんに言いたいことを言えない子もいます。だから間に入って、互いの意思を伝え、相談にも乗っています。楽屋では、「へらへら」ってしていますが、言うべきときには言いますよ。

 昨年8月の東京ドーム公演前のリハーサルでは、メンバー全員の前で「みんな腐ってる。こんなんじゃAKBが終わる」と本気で叱っちゃいましたね。舞台スタッフさんが大事な説明をしているのに、話を聞かず会話をしているメンバーがいたからです。

 嫌われるかもしれないし、気が重いけど、自分を曲げることはしません。真摯(しんし)に伝えれば、みんなもわかってくれるはずだから。

 好きなリーダーが3人います。スティーブ・ジョブズさん、小泉純一郎さん、それと明石家さんまさん。みんな言葉に芯が通っています。芯のない言葉を発しても、人から信じてもらえない。私の芯は「大好きなAKBのために」っていうことです。みんなに認められてこそ、本物のリーダーだと思います。私もそうなりたいです。

     ◇

 たかはし・みなみ(AKB48所属) 田原総一朗氏に「政治家向き」と絶賛された。

     ◇

 夢に向かって日々、走り続けるAKB48グループのメンバーたちを支えているものは何か。ひとりひとりが、本音で「人生論」をつづります。出会ったこと、悩んだこと、乗り越えたこと、救われたこと、救ったこと……。彼女たちが体験した珠玉の秘話が明かされます。



2014年6月30日 週刊プレイボーイ2014年7/14号 『AKBサミット開催!!「DOCUMENTARY of AKB48 The time has come 少女たちは、今、その背中に何を想う?」公開記念座談会』


DOCUMENTARY of AKB48 The time has come 少女たちは、今、その背中に何を想う?
AKB48グループの少女たちに怒った"リアルドキュメント"を追い続けるシリーズ映画の最新作が7月4日に全国公開される。
これを記念して、高橋みなみ、小嶋陽菜、渡辺麻友が登場!まさにAKB48の中心にいる3人が、今のAKB48グループについて熱く語る!


夏はいろんな発表があるから怖い

-これまでのドキュメンタリー映画は、2月あたりに公開されていましたが、今回は1年半ぶりということで、夏に公開です!
小嶋陽: お蔵入りになっちゃったのかと思いましたー(笑)。
渡辺麻: 映画にはできないものがいっぱいあったのかなって。

-ある意味、「大島優子の卒業」を入れ込むために待ったのかもしれません。
高橋み: それはあるかもしれません。でも、私、夏前ってちょっとテンションが下がるんですよね。
渡辺麻: え?どうしてですか?
高橋み: 下がるっていうか……怖くなるんです。「何が起こるんだろう……」って。夏は大きなコンサートがあるし、そのタイミングでいろんな発表があったりするから。
渡辺麻: なるほど。
高橋み: 6月に総選挙がありますし。言ってみれば、心を揺り動かされる出来事が起こるのが"夏"なんです。だからちょっと怖いんですよ。ある意味、総選挙から私の夏は始まってるんです!
渡辺麻: ……なんか、ちょっとカッコいいですね。そのフレーズ(笑)。でも私の場合は、「夏は体力をつけて夏バテせずに乗り切ろう!」っていうような、気合いが入る季節です。去年のドームツアー(札幌・福岡・大阪・名古屋・東京の11公演)は、本当に大変でくじけそうになりました。でも、みんなで無事乗り切れたので、もう怖いものはないですね!
小嶋陽: 確かにあれ以上のことってないと思います。

-やっぱり、大変でした?
高橋み: ツアー中にメンバーが卒業するということで精神的なダメージもありまhしたし、5都市のセットリストもすべて変えてましたから。AKB48って同じセットリストでツアーをやらないので。
小嶋陽: 今たかみなが言っていたのを聞いて思い出しました。「いつまで続くんだろう」って(笑)。

-ちなみに、小嶋さんは夏はテンション上がります?それとも高橋さんと同じように"怖い"季節ですか?
小嶋陽: 夏は楽しみです。バーベキューとか、ビアガーデンに行きたいって思ってます。
高橋み: 何プライベート充実させようとしてんの??(笑)
小嶋陽: 忙しいけど、合間をぬって行きたいなーって思います。

-ある意味、すごい体力なんじゃないですか?
高橋み: 確かに。小嶋さんはタフなんですよね。
小嶋陽: 夏大好きー!(ニッコリ)

-小嶋さんの体力の源は、「プライベートを充実させよう!」という思いだったんですね(笑)。


陰を見せるのも現代アイドルの形

-さて、そんな映画ですが、毎回皆さんはどういう気持ちで観られるんですか?
小嶋陽: 私は、毎年あんまり映画に出てこないんですよね。

-え?そうでしたっけ?
小嶋陽: たぶん、たかみなとかは、いろんな変化があるので映画にも出てるし、「このときのことはあまり思い出したくないな」みたいな気持ちになると思うんですけど、私ってドキュメンタリーで映画になるようなネタがないんです。
高橋み: まぁ、それはある気がする(笑)。麻友はどういう気持ちで映画を観てるの?
渡辺麻: う~ん、私の場合は、1作目とかは、けっこう楽しく観れていましたが、年を重ねるごとに過酷な内容になっていくじゃないですか。3作目では、なっちゃん(同じ旧チームBで活動自体をした平嶋夏海)がAKB48を辞めていく映像があったんですけど。そこは今までの中でも一番観るのがつらかったです。心が「ウッ……!」ってなりました。

-確かに普通だったら「カットしたほうが……」って思うシーンも使いますもんね。
高橋み: そう。"光"だけでなく"陰"もちゃんと映すんですよ。特に2012年に公開された2作目では、西武ドームでのコンサートの裏側も見せていて。

-後に「AKB48史上最低のコンサート」と言われた1日目と、メンバーの多くが過呼吸や体調不良で倒れた2日目ですね。そのすべての裏側を公開したことで、当時は相当話題になりました。
高橋み: あれは結果としてファンの方々を苦しめる内容だったと思います。皆さんの声援を受けて、スポットライトを浴びて立っている私たちは"表"。でも"裏"では、みんな満身創痍でパニックになって、皆さんの「アンコール!」っていう声がすごく怖く聞こえるときがあるんですよ。そういう「光も陰も見せる必要なんてあるんだろうか?」って思ったりもしたんです。でも、その私たちを見て「がんばろうと思いました!」と言ってくれる人がいるのも事実で、これも、「現代のアイドルの形」なんだなって思いましたね。


何があっても最終的には光がある

-さて、毎年ドキュメンタリー映画が公開されると、いつも「AKB48の未来」について考えるんですが、皆さんはどうですか。「理想の未来像」みたいなものってありますか?
高橋み: でも"理想"は崩れるもんだなって思うんです。昔だったら「このメンバーでずっとやっていたい」っていうのが理想でした。同期がいっぱいいて、「この人たちと一緒にやっていけたら怖いものはないかもしれない」って。でも、それは崩れてしまった……。(前田)敦子の卒業から始まって「あ、同じ景色なんてないんだ」って気づいちゃったんですよね。だから今は"理想の姿"が浮かばないんです。逆に今は「現実にあるものが"よかった"と思えるようにしなきゃ」って思うんです。「過去に縛られちゃいけないんだな」って。そのためには若いメンバーが育ってほしいですね。
渡辺麻: それ、思います。前は自分のことに一生懸命で、後輩を見る余裕がありませんでした。でも最近はちゃんと見ることができるようになってきて。「後輩にがんばってほしいな」って。

-若い若いと思ってましたけど、渡辺さんも3期生ですもんね。年次も古い順から数えたら、5番目くらいですもんね。
高橋み: そうですよ~。麻友もババァですよ!
渡辺麻: 気がついたらババァです。

-ババァって(笑)。ちなみに、その若いメンバーの中で、気になるコはいますか?
小嶋陽: う~~ん、誰だろう。でもAKB48にいてほしいコがみんな移籍しちゃったんですよね。そこまで若手じゃないんですけど、みなるん(大場美奈、SKE48に移籍)とかレモン(市川美織、NMB48に移籍)とか。

-おぉ、そのふたりは注目していたんですか??
小嶋陽: 私、AKB48ってガチャガチャしててほしいんですよ。そういうコがいなくなっちゃうと「あー」って思ったりします。
高橋み: そういう、想像を超えるようなコって、たまに出てくるんですよね。川栄(李奈)みたいな"ゆるキャラ"とか、ぱるる(島崎遥香)みたいな「想像を超えた存在」が。だって「"塩キャラ"ってなんだ?」って思うじゃないですか。「尊敬する○○さんみたいになりたいです!」っていうメンバーが多いんです。でも、まねしていても本家には勝てないわけで。
小嶋陽: 確かに。
高橋み: そういう意味では、なーにゃ(大和田南那)が気になりますね。同期のみーおん(向井地美音)とか。ふたりとも性格は正反対だと思うんです。ガチャガチャしてるなーにゃと、正統派のみーおん。この対極のふたりが真ん中にいたら面白そうだなって。
渡辺麻: 確かに15期はいろいろないいコがそろってますよね。私も楽しみだなぁって思います。

-さて、そろそろ時間です。最後に、この映画の見どころをお願いします。では、渡辺さんからどうぞ。
渡辺麻: AKB48は、今めまぐるしく変化しています。大組閣、大島優子ちゃんの卒業、そして総選挙。きっとこれからのAKB48の将来について考えるヒントがいっぱい入っていると思います。
高橋み: 私は……特に最近もそうですけど、いろんなことがあったじゃないですか。だからこそ「挫折とは始まりなんだ」って思うんです。考えられない悲しいことが起こっても……たぶん進んだ先には、最終的には光があると思って生きていきたいです。そんなことを考えられる映画になっていると思います。

-本当にさまざまな事件がありましたもんね。では、最後に小嶋さん。
小嶋陽: たぶん私は今年もドキュメンタリー映画に影響のない感じで、あまり映ってないと思うので、私のことを探してください。あと、映画には生きる為のヒントが入っていると思うので、それも探してください!

-最後うまいふうにまとまりました!(笑)




2014年6月16日 週刊プレイボーイ2014年6/30号 『AKB総選挙2014 新"神7"&高橋みなみ総監督 最速インタビュー「今、あなたに伝えたい本当の気持ち」』

-9位という結果については、どう感じていますか?
「今まではあまり目標順位を言ったことがなかったのですが、今年は7位以内という目標を掲げました。そこに向かってファンの皆さんと一緒に頑張ってきたので、悔しさもありますが、みんなで獲れた順位なので、うれしいですね。スピーチも、今年は言いたいことが言えました」

-今年の総選挙を見てどんな感想を持ちました?
「いい総選挙でした。『恋するフォーチュンクッキー』をひっさげて1年間頑張ってくれた指原(莉乃)を横で見てたので、連覇してもおかしくないと思ってました。でも、ふたを開けたら、まゆゆ(渡辺麻友)いったー、って感じで、どんでん返しがあったから、AKB48まだ持ってるな、と(笑)」

-印象に残ったスピーチは?
「小嶋(陽菜)さんの"卒業……しません"のときにトイレに行っていたので、行くタイミング間違ったぁ、本気でビビりました(笑) あとは、ゆきりん(柏木由紀)が、アイドルらしくて、素晴らしいスピーチだったと思います」


-4人が初選抜入りしました。
「(宮脇)咲良、大躍進でしたね。彼女の真価が問われたのは、順位発表後のスピーチだと思うんです。選抜メンバーは話せる時間が長いので、突然、選抜に入って、どういうことを話すんだろうって、一瞬心配しました。もしかすると、そこで咲良の今後が分かれちゃうな、って。でも、頭の回転を利かせて、すごくいいコメントをしている姿を見て、このコはくるなと思いました。川栄(李奈)は、この1年、必死に頑張ってました。選抜入りして、うれしいです。総選挙前に起きてはいけないことが起きてしまいましたが、ケガをした川栄と入山(杏奈)がAKB48をやめるという選択をしなかったのは、本当にうれしかった。ふたりが戻ってきてくれるとわかって、私も頑張ることができました。まだまだもとどおりとはいきませんけど、ゆっくり前に進んでいければいいですね。泣くよりも、たくさん笑いたいです」



2014年5月24日 B.L.T.2014年5月号 『高橋みなみが語る大組閣、その後』

衝撃の大組閣発表から1カ月……誰よりもグループを想うこの人が激白!!
かつてない規模で行われた「大組閣」。メンバーや客席から悲鳴が上がるほどの衝撃の連続だったが、包括的に語れるのは、AKB48グループの総監督、この人しかいない!


激震の2.24大組閣
過去に数度"組閣"は行われたが、今回は「大組閣」

波乱を予感させるには十分なタイトルだった。そんなイベントの正体は、国内4グループはもとより、公式ライバルである乃木坂46をも巻き込んだ大シャッフルだった。多くのメンバーの移籍や兼任が発表されたほか、SKE48・松井玲奈と乃木坂46・生駒里奈が"交換留学"することになり、大きな話題を呼び様々な議論が巻き起こっている。

チームAキャプテンとしていまだからできること……

-AKB48グループは2月24日に「大組閣祭り」を開催しました。まずは、その発表があった時の感想は?
「そうでしたね。前回が初めての組閣だったというメンバーも多かったんです。自分のチームを大事にしようと1年間頑張ってきたので、そのチームがバラバラになる怖さを感じたんだと思います。」
-なぜこのタイミングなのか、秋元康総合プロデューサーには聞きましたか?
「いや、特に私から細かく聞くことはしませんでした。自分は長年グループに在籍していますし、心を整頓してから考えてみたら、3月末に(大島)優子が卒業するので、このタイミングで組閣しないとチーム間のバランスが崩れてしまうのは仕方ないことですよね。だったら今が変革の時だろう、と思い直しました。」
-ファンからは反対意見もありました。
「そうですね。組閣じゃなくて、大組閣でしたから。反対意見が気にならなかったわけじゃありません。でも、メンバーとして言えるのは、どんな形になってもついて来てください……と。」
-ファンとしては、自分の好きな形が崩れてしまう怖さがあったんでしょうね。
「でも、動かされるメンバーのほうが怖いですよ(笑)。ファンの方に言いたいのは、『私たちも同じ気持ちだよ』ということです。」


-そして大組閣当日です。高橋さんは総監督のままでした。
「それよりもチームAのキャプテンに復帰したことのほうが大きかったです。このタイミングでもう一度キャプテンに任命されて、秋元先生に『まだやることがあるぞ』と言われた気がしました。私が絶対に弱音を吐かないでいられるのは、ずっとチームAでいさせてもらっているからです。それは秋元先生の優しさでもあると思います。」
-約2年、キャプテンから外れていた時の気持ちは?
「篠田麻里子(卒業)と横山由依がキャプテンを務めてくれていましたが、もどかしく感じることもありました。でも、そう感じてもキャプテンじゃないから、フォロー役に回っていました。でも、いつか卒業する前にまだ若いメンバーに教えることがあると思うし、それは私がやらないといけない、と思いました。」


-新チームAの顔触れを見ての感想は?
「すごくバランスのとれたチームだと思います。チームKにはさや姉(山本彩=NMB48チームNと兼任)と(松井)珠理奈(SKE48チームSと兼任)がいるし、チームBには乃木坂46と兼任する生駒(里奈)ちゃんが来た。それと比べると"刺激"が少ないチームに見えるかもしれないけど、やることはたくさんあります。」
-ほかのチームは気になりますか?
「今回の大組閣では(渡辺)麻友に試練が与えられたなと感じました。生駒ちゃんがチームBで劇場公演を初体験するわけです。だから、生駒ちゃんをフォローしないといけない。そういう役割が、生駒ちゃんと仲のいい麻友に課されたんじゃないかな、って。その役割を果たすことは、すごく勉強にもなりますからね。そして、生駒ちゃんには、劇場で学んだものを乃木坂46に持ち帰ってほしいです。」


-今回、兼任メンバーが増えましたね。
「兼任って生半可な覚悟ではできないんです。ものすごく大変なことなので、みんなでケアしないといけません。その体制を作ることが課題だと思います。」
-そして、AKB48では2年前から変わりましたが、国内全チームで16人制度がなくなりました。これについては?
「正直、16人のほうがいいです。この気持ちは隠せないことだし、みんなが思っていることなので言いますけど、公演メンバーは16人だから、どうしても初日に出られないメンバーが出てしまいます。そんなメンバーのモチベーションを保つのはすごく難しいです。仲間が落ち込んでいる姿は見たくないですから。」
-そうですね。それでもやっぱり「前しか向かねえ」という気持ちですか?
「『やってやるよ!』っていう感じです。『前しか向かねえ』と、きれいごとを胃っているようにとられると嫌なので。これから国立競技場、そしてさいたまスーパーアリーナでのコンサートもありますから。やるしかないんです。」
-国立2DAYSのうち、初日はAKB48単独で立ちますね。
「メンバー一同すごく喜んでいます。発表の瞬間は『よっしゃー!』って叫んでしまいました。AKB48は単独コンサートが少なかったですから。」
-国立に行ったことは?
「ないです。ものすごく広いと聞いているので、行ってみないとなんとも言えないですね。でも、優子のファイナルコンサートでもあるから、優子が楽しいと感じてくれれば、それがメンバーやファンの皆さんの楽しさにつながると思います。優子が終わってから『やり切ったー!』と叫ぶようなコンサートになればいいですね。国立に立たせていただく意義を感じながら、お祭りにしたいです。」


photo=石川信介 text=犬飼華




2014年5月4日 日経エンタテイメント2014年6月号 『AKB48 卒業&新加入で激変、「次の顔」は誰だ?』




キャプテン対談
「大組閣」後の新生AKB48をどう引っ張っていく?


「優子のいない最初のシングルは結束を新たにするきっかけに」高橋みなみ
「先輩と後輩をつなぐ役割のキャプテンになりたい」横山由依


総監督としてAKB48グループを引っ張ってきた高橋みなみは、2月の「AKBグループ大組閣祭り」で、チームAのキャプテンに復帰(総監督兼任)。横山由依は大島優子の後任として、チームKのキャプテンに決まった。2人は、激動のAKB48グループをどう受け止めているのか。

-2月の「大組閣祭り」は波乱が相次ぎました。
高橋み: 発表を聞いた第一印象は正直、ここまで激しいのかと…。でも、私たちはAKB48グループのメンバーとして、決まったことはやるしかないと思っています。今回はキャプテンの顔ぶれが一新し、副キャプテン制度もできた。乃木坂46の生駒里奈ちゃんが来てくれるなど、とにかく大改革でした。では、どんな未来なのかというと、実はまだ見えていません。まずはこのメンバーでとにかくやってみようという心境です。個人的な意見としては、由依がチームKのキャプテンになって別々のチームになったことは、寂しいです。
横山: チームKは先輩も多いし、初めて同じチームになったメンバーもいるので、まとめていうえで試練は必ずあるだろうと。でも今は、チームKのキャプテンとして、試練にぶつかるのが楽しみです。私は目の前のことがすごく厳しいと思っても、その先は良くなるかも、と思うタイプやから。
高橋み: すごくポジティブだね。以前は、「自分の次に総監督になってほしいのは?」って質問されると「横山です」と答えていましたが、でも実は今はそう言えないんです。
横山: ほう(笑)。

センターへの思いは封印

高橋み: そこまで、由依に背負わせたくないという思いがあるんです。キャプテンであると同時にAKB48のメンバーでもあるというのは、両立が難しい。キャプテンは、自分が最前線に立つのではなく指揮する役割。だから前列に立つとか、センターを目指したいという気持ちは、キャプテンになった瞬間に捨てないといけないと思っています。その選択肢は、酷なものがあります。私はソロという自分の活動する場所もありますが、今の由依はAKB48がほとんどという考えを持っているかもしれません。だから総監督にもなったら、体を壊すんじゃないかなって。由依には「自分の夢の出口を作りなさい」ってよく言うんです。それがakb48に対するゆとりにもなるから。
横山: 以前の自分はキャプテンになるタイプではないと思い込んでいました。でも現在の自分を考えると、AKB48は何が起こるか分からない。正直、先のことはまだイメージが湧きません。
-そして、6月には大島優子さんの卒業も控えています。
高橋: 新曲『ラブラドール・レトリバー』のビデオはグアムで撮影しましたが、あれっ、優子いないんだ、って改めて実感しました。優子がいない最初のシングルとして、みんなで結束を新たにするきっかけの曲になるのかなって思いました。
横山: 私も思いました。リバイバルのチームK5th「逆上がり」公演(11年)のときに、私は初めてだったので振り付けを教えていただいたんです。大島さんは、あまり言葉にするタイプではないんですけど、本番が終わったあとに、「できてたね」と言ってくださって。多くを語らない優子さんの一言にその重さを感じました。

大先輩も最初は踊れなかった

-それでは、お互いの最初の印象は覚えてる?
横山: 私がAKB48に入った09年にはもう、たかみな(高橋みなみ)さんがライブ前の円陣の真ん中にいました。入った時期は私がずっと後ですけど、「こんなにしっかりしている1歳年上の人が、今まで身近にいたかな?」と驚きました。研究生になると、勉強のために劇場公演を見せてもらう機会があるんですが、私が見たのは、チームAの「恋愛禁止条例」公演。
高橋み: そうだったんだ!
横山: たかみなさん、前田敦子さん、板野友美さんも出演していて、みんなキラキラしていました。感動を言葉にしてスタッフさんに感想を送ったら、「高橋も最初は踊れないチームの一員でした」という返事をいただいて、自分もダンスが苦手でしたが、その話を聞いて希望が持てました。
高橋み: 由依が(篠田)麻里子さまのアンダーをしていたころに、がむしゃらに振りを覚えて、目を輝かせている姿を見て、こんなに必死な後輩は初めてだ、と思ったことをよく覚えています。周囲のメンバーたちも、その姿勢を見ていて何か教えてあげたい、というムードでした。
横山: 私の同期の9期生は、ダンスがうまいメンバーもいたし、島田晴香みたいに元気な子もいるのに、自分は何にもできないやつだ、と思っていました。
高橋み: そんなことはないよ。
横山: いや、自分では分かっていたので、早着替えで一番になろうとか、掃除を一番先に始めようとか、基本的なことを徹底してみたんです。気がついたら、「掃除を一番先にやるのって、たかみなみたいだ」ってスタッフさんが言ってくれて。でも、まさか数年後に自分がキャプテンをやると思わなかったです。私は人が好きやし、AKB48が好きなので、先輩と後輩をつなぐ役割のキャプテンになりたいですね。
たかみなさんって、新しい形のリーダーだと思うんです。リーダーって言うと、こちらからは何か言いづらいような一方通行のイメージがあると思いますけど、たかみなさんはどこかボケてるところがあって、それに対して後輩メンバーがいじっても「なんだよ!」とか言うだけで…(笑)。
高橋み: 素直に、うれしいんですもん。年齢が下で、経験も違うコたちがケラケラ笑っていじってくると、「私もまだここにいていいんだな」って、安心できるんですよね。

文:高倉文紀



2014年2月1日 月刊TVnavi2014年2月号 『AKB48 高橋みなみ×小嶋陽菜×峯岸みなみ From 2013 to2014』


 2014年も日本のJ-POPシーンを席巻したAKB48。歴代1位となる14作連続ミリオン達成のほか、女性グループとして史上初の「5大ドームツアー」など、彼女たちの言動は連日、日本のメディアをにぎわせた。その一方で篠田麻里子や板野友美ら初期から中心人物として活躍してきたメンバーがグループを卒業するなど、ファンにとって2013年という年は大きな節目になったに違いない。残り3人となったAKB481期生が今年1年を振り返りつつ、来年への抱負を語る─。

ソロデビュー&新キャプテン就任

-AKBグループ怒濤の2013年を振り返っていただきます。高橋さんは4月に待望のソロデビューがありましたね。
高橋み: あらためて仕事と向き合うきっかけになりました。(芸能界は)人と人とのつながりが大事な世界なので、グループとしてお会いしていたスタッフの方がソロになった時にすごく支えてくださってありがたかったです。頑張ってきたかいがあったと思います。
小嶋陽: アレ?たかみなのソロデビューって今年だっけ?(笑)。あ、そうだ。一緒に「ミュージックステーション」(テレビ朝日系)で共演して(高橋がAKB48名義とソロ名義両方で出演)、すごい緊張してたよね。
峯岸: たかみなは、AKB48としてのは、自分のことを後回しにしている場面もあったので、ソロ活動が充実していて、同期としても本当に嬉しかった。ソロでやりたいことをやっているからこそAKB48も頑張れるような好循環になっていたんじゃないかな?
高橋み: 確かにそう思う。ソロデビューを待ってくださっていた私のファンの方には本当に感謝でいっぱいです。パシフィコ横浜でソロのコンサートもできたので、これからもソロとして作品をリリースしていきたいです。

-峯岸さんは、研究生を経て、8月にチーム4のキャプテンとなりました。
峯岸: チーム4は研究生のころから公演に対して、本当に真剣にやっています。ひと公演への熱の入れ方がすごくて、私も加入当初を思い出して、全力で汗をかいて公演に取り組みました。6月には、AKB48グループの研究生だけで日本武道館コンサートをやらせていただきました。自分たちがメインということで、意識が変わったと思うし、本当に声援がありがたかったです。ファンの方から「AKB48、まだまだイケる」「AKB48の将来の希望を見い出せた」という感想をいただいて、すごく嬉しかった。(大島)優子が見にきて話をしてくれて、研究生のみんなはすごく真剣に聞いていました。私やかおたん(SKE48終身名誉研究生、松村香織)の話を聞く時より何倍も真剣な目でした(笑)。
小嶋陽: みぃちゃん(峯岸)は、自分のことだけじゃなくて、後輩のケアもしなきゃいけないから大変だったと思います。でも、そういう努力が報われて、チーム4のキャプテンに選ばれた。私としてもすごく嬉しいです。
高橋み: 「ポジションが人を育てる」と思いました。研究生をまとめたり、自分が矢面に立って、引っ張らなきゃいけない立場に立ったからこそ気付けたことも多かったはず。そんな時に、みぃちゃんの後輩から慕われる性格がフル活用されていて、今では、チーム4からは「みぃさん」と呼ばれて親しまれている。チーム4もみぃちゃんがいることで成長できたし、「先輩の関わり方が変わると、後輩はこんなに育つんだ」ということがわかりました。みぃちゃんのキャプテンとしての手腕をまざまざと見せてもらった1年でした。

-公演の前には、峯岸さんの前にチーム4メンバーの行列ができるらしいですね。
峯岸: MCの確認でメンバーが並ぶんです。「自己紹介でこういうことを言おうと思うんですけどどう思いますか?」「どうトークを締めたらいいですか?」とみんなに相談されるので、ヒントをあげたりしています。でも「今度は自分で考えてね」と言うようにしています。
高橋み: もうそれプロデューサーじゃん(笑)。
峯岸: 8年間、AKB48にいると"新しい発見"というのはなかなかないけど、この1年は、発見がいっぱいあって、新しい感覚になれました。本当に周囲の方には感謝してもしきれない思いでいっぱいです。

-公演のファンが7人だった時代を経験している1期生の皆さんですが、今年は日産スタジアムにその1万倍となる7万人を動員。そして、女性グループ初の5大ドームツアーも実現しましたがそのあたりはどうですか?
高橋: 日産スタジアムは「ついに私たちもここまで来たのか」と思うぐらい、本当にすごい景色でした。ドームツアーは、麻里子様(篠田麻里子)、(秋元)才加、ともちん(板野友美)が卒業するツアーでもあったので、楽しいけど、寂しい部分も…。でも、卒業していったメンバーが最後に見せてくれたパフォーマンスは"一発入魂"という感じで、本当に素晴らしかった。その熱意やファンの方への真摯な思いが私たちにも伝わって、感慨深いツアーでしたね。


指原の"恋チュン現象"と初のセンター曲

-総選挙1位の指原莉乃さんがセンターを務める「恋するフォーチュンクッキー」。カラオケランキング1位を継続し、各界の有志が踊るYouTube投稿動画も話題に。各地で"恋チュン現象"が起きました。
高橋み: お子さんからお年寄りまでに踊ってもらえて、「これが指原センターの威力なのか」と驚きました(笑)。
小嶋陽: この曲のさっしー(指原)はすごくかわいい!いろんな表情を見せてくれています。
峯岸: 「恋チュン」は、世間の皆さんに浸透して、AKB48がまた新たに生まれ変わったような気がして、"国民的"と呼んでいただけるのにふさわしい曲に鳴なったと思います。

-「恋チュン」に続くシングル「ハート・エレキ」では、小嶋さんが初のセンターに!
小嶋陽: 最初は緊張していたんですけど、慣れって怖いもので(笑)、今では緊張せず歌えるようになりました。
峯岸: 陽菜は、歌もできるし、ビジュアルもいいし、トークも面白いし、全部持っている人だからこそ、逆にセンターに立たなかった人かなと思う。だから、やっとセンターになってくれて私はすごく嬉しいです。
高橋み: めっちゃいいこと言う!私も嬉しいよ!
峯岸: だから、陽菜が楽しくセンターに立てるように、私が(16人の中に)いるんです(笑)。同期としても誇らしいです。

-今年最後のシングル「鈴懸なんちゃら(※)」では、「AKB48 34thシングル選抜じゃんけん大会」で優勝した松井珠理奈さんがセンターの座をつかみました。珠理奈さんを11歳の頃から見ている3人にこの結果はどう映りましたか?
高橋み: 珠理奈はどんどんキレイになってる。姉のように慕っていた麻里子様が卒業したことで、さらに麻里子様の思いも背負って、努力しようという姿勢も感じる。彼女ならではの芯の強さを持っているし、まだまだ成長するんだろうなと思います。あんな16歳いないし、いい意味で、底が知れない可能性の塊です。
小嶋陽: 珠理奈のじゃんけんを、優子と一緒に見ていて、勝った時に「ありがとう!」と2人で叫んだんですよ。珠理奈が勝ったおかげで「またAKB48がさらに進化できる」と思いました。いつも珠理奈は救世主ですね。
峯岸: 珠理奈は芸能人としての才能がすごいぶん、普通の16歳としての感覚がなくなってないか心配です。
高橋み: おっ、やっぱりプロデューサー目線。
峯岸: だから、16歳らしい部分も持っていてほしい。珠理奈がAKB48の先輩に甘える姿を見て、かおたんが「珠理奈さんがあんな顔するなんて知らなかった」と驚いていました。それだけSKE48ではいろんなものを背負っているんだと思うので、AKB48のお姉さんに囲まれている時は、16歳らしい顔をしてくれているのが私は逆に嬉しいです。


※正式タイトルは「鈴懸の木の道で「君の微笑みを夢に見る」と言ってしまったら僕たちの関係はどう変わってしまうのか、僕なりに何日か考えた上でのやや気恥ずかしい結論のようなもの」

3人が選ぶ「頑張った大賞」と気になる来年の展望

-1期生から見て、この2013年特に「頑張った」と思う後輩メンバーは?
高橋み: 横山由依です。麻里子様からチームAキャプテンの指名を受けてバトンを受け継ぎ、なるばくしてキャプテンになった。不器用で真面目だから、心配なところもあるけど、私が同じチームなので、由依が葛藤している姿を見ながら、一緒に試行錯誤しています。若いメンバーが多いチームですが、由依は彼女たちを優しくまとめていて、チームAは今、着実に前に進んでいます。
小嶋陽: 綿h氏は、さっしーをテレビで見ると芸能人に見える。いつも"話題の人"って感じで、昨日も「指原の乱」(テレビ東京系)を見て、"ギョーカイの人"だなと思いました。すごく忙しそうなのに頑張っていて尊敬します。
峯岸: 私はやっぱり、チーム4。みんな頑張っているので、全員に「頑張った大賞」をあげたいけど、あえて選ぶなら14期の三銃士(岡田奈々、小嶋真子、西野未姫)の3人かな。この3人はチャンスを与えられたぶん、全力でそれをまっとうしようとしていて、「恵まれているからこそ頑張らなきゃいけない」という自覚を持っています。ドラマ「女子高警察」(フジテレビほか)が始まって、「明日は5本撮りです」と泣きながら台詞を覚えている姿を見ていると、健気で偉いなと感心させられます。

-そんな後輩たちを率いて、2014年はどんな活動をしていきたいですか?
峯岸: たかみな、陽菜という大事な同期がいて、この1年は本当に支えられました。長年やってきたAKB48をチーム4の活躍でさらに盛り上げていくことで、メンバーにも、スタッフにもファンの方にも、さらに恩返しができたらと思います。
高橋み: さすがプロデューサー。素晴らしい。
小嶋陽: 来年は「AKB48リクエストアワーセットリストベスト200 2014」が決まっています(1月23日~26日TOKYO DOME CITY HALL、4月6日さいたまスーパーアリーナ)。私は「さいたま市観光宣伝部長」で、埼玉にAKB48が来るとすごく嬉しいので、絶対に成功させたいです。今回は「ベスト200」という新しい試みなので、ファンの方にも楽しんでもらえるはずです!
高橋み: この1年は、特に「代わることを恐れてはいけない」と痛感しました。メンバーの卒業もあって、見える景色が変わって不安なことも正直ありました。でも、そういう時だからこそ、チーム4ができたり、姉妹グループが成長したり、「ドラフト会議」もあったんだと思います。そうしてどんどん変わっていくことに順応しながら、来年もまだ見たことがない新しい景色を見たいです。立ち止まるのが一番怖いので、変化を恐れず常に進化するAKB48でありたいです。




2014年1月10日 中央公論2014年2月号 『新春対談 新世代AKB48論 高橋みなみが語る「リーダーの心得」 おんなの子をまとめるのってこんなに大変なんです!』


司会・構成: 横田由美子

本郷和人(東京大学史料編集所教授): 前田敦子さん、篠田麻里子さん、板野友美さんが卒業したけど、若いメンバーは誰も空いた椅子に座ろうとしませんね。
高橋み: はい、椅子取りゲームにはなりません。でも、誰も敦子にも麻里子様にもなれないですしね。
本郷: たかみなさんは、四十歳過ぎてもAKB48にいてくださいね。
高橋み: それはきついですよー。(笑)


国民的アイドルグループAKB48。国内外に次々と姉妹グループが立ち上がり、拡大の一途をたどる一方、絶対的エースと呼ばれた前田敦子、最年長の篠田麻里子など、支柱的存在の「卒業」が相次いだ。AKB48は今、岐路に立っている。AKB48グループ総監督の高橋みなみさんと、AKB48の熱狂的なファンとして知られる本郷和人東大教授がこれからのAKB48を語り合った。

劇場がホームタウン

本郷: 二〇〇五年十二月に誕生したAKB48ですが、今では正規メンバーと研究生あわせて九〇名近くになりました。姉妹グループなどもあわせたら、約三五〇人が所属していることになる。二〇一三年の紅白歌合戦には、姉妹グループで名古屋市中央区栄に名称が由来しているSKE48、大阪市難波を拠点とするNMB48も出場。秋葉原にあるAKB48劇場で公演していた頃は、定員が二五〇人のお客さんを相手にしていれば良かったけれど、メンバーの数も増え、ブラウン管を通して、何万人、何十万人を対象とするアイドルグループとなった。わずか八年間で大きく「場」が変化したわけです。そんな中、AKB48自体も変革の時期を迎えている。高橋さんは現状をどう捉えていますか。
高橋み: どんなに変わっても、私は、「劇場」に基盤があると考えています。劇場を大事にできなければ、AKB48の根幹が揺らいでしまいます。世代交代はあったけれど、AKB48は今も「劇場が大好き」というメンバーばかりです。
当初AKB48は、総合プロデューサー秋元康さんのコンセプト「会いに行けるアイドル」に沿って、連日のように劇場で公演を行っていました。ブラウン管の向こうの遠い存在だったアイドルを身近に感じてもらうことがスタートだったので、私の中でも劇場はホームタウンです。八年もの間、舞台に立たせてもらいました。回数は少なくなっていますが、劇場に帰るとホッとします。八年前と変わらぬ景色がそこにある。周りの踊っているメンバーは確かに変わっていきますが……。
劇場公演は、A、K、B、4の四つのチーム単位で行っています。所属する「チームA」にずっといるのは私だけになりました。時の流れを感じて一抹の寂しさを感じることもありますが、私はその中で成長してきました。
本郷: 素材は揃っていたと思うのですが、ここまでのスーパーアイドルになるとは考えてもみませんでした。
高橋み: 私もです。普通はこんなふうにならないですよね。
本郷: 劇場のチケットも何百倍の抽選で当たらないと買えなくなって、宝くじのようになっている。「会いに行けるアイドル」だったのが、握手会にも行かれない、会ったこともないファンのほうが大半になってしまいました。
高橋み: 戸惑います。最初の頃は、取材での質問も、秋元さんのプロデュース、「アキバ発のアイドル」というところから始まっていました。「アキバ48」と呼ばれていたのが、ある線を越えた時から「AKB48」になって、「国民的アイドル」という冠まで付けていただけるようになりました。私たちもファンの皆さんも何も変わっていないはずなのに、正直、怖いです。


新世代のトゲを持っている

本郷: 高橋さんはAKB48のメンバーとして初期の頃からの変化もご自身の目でご覧になってきた。そして今は、総監督として指揮を執っています。AKB48がいわゆる"ブレイク"してから入ってきたメンバーとは感覚が違うと感じることはありますか。
高橋み: AKB48が他のアイドルと違い特殊だと感じるのは、「泥臭さ」にあると思っています。アイドルは美しくて華やかで、そこに皆が憧れると思うのですが、AKB48はドキュメンタリー映画などで実際の舞台裏まで見せてしまう。そこまで出すことが良いのか悪いのかは、私たちにもわからないことですが、でも、そこに共感を持ってもらい、AKB48は育ってきました。私たちは皆、もともと普通の中高生。それでも,、必死に頑張ればどうにかなるかもしれないという部分にファンの方々は感動してくれると思います。
本郷: でも、高橋さんたち初期のメンバーは、ある意味、有名になる前のAKB48に「賭けた」わけでしょう。和気あいあいとしながらも、切磋琢磨して血と汗と涙の結晶が今ですよね。AKB48の子たちって最初から輝くような美少女だったわけではなく、原石だった。それが切磋琢磨していく中で、磨かれてキレイになっていった。僕はその過程を見せていただいただけで、本当に幸せだと思っている(涙)。そういう時代のAKB48を知らないファンが圧倒的多数になりました。
高橋み: 私も、頑張ってここまでたどり着いたということ自体が、本当に嬉しいし幸せなことだと感じています。どれだけ死に物狂いでやって、何ができるのか。振り返ってみても、生半可な気持ちでは続かなかったとは思います。
本郷: AKB48がアイドルとして認知されてから入ってきたメンバーは、AKB48に入れればアイドルになれる。輝くスターになれると思って入ってきている。メンバーの気概も変わってきているのではないですか。
高橋み: 実は、そこに若干の危機感を抱いていることは確かです。ここ一年で、中核メンバーの卒業が相次ぎました。前田敦子や篠田麻里子たちがいなくなったことは、AKB48に大きな打撃を与えたと思います。一方、各地で、新世代メンバーからキラッと光る子たちが出てきています。その子たちが、いつ世代交代のための"トゲ"を出すのか。私は(大島)優子(二期)と待っている状態です。
本郷: でも、まだ、高橋さんや大島さんを脅かすような存在は出てきていないのでは。僕は、もっと生存競争が激しいのかと想像していました。前田さんがやめたら、「私が前田さんのポジションを取りに行く」とか、「大島さん早くやめてくれないかな」とか、目に見えない争いがあるのかと思っていた。意外と"ほわっ"としているんですね。
高橋み: だけど、AKB48には、誰ひとりとして「代わり」になれるような人はいないと思います。ある意味、メンバーは皆、独立した個性を持っていて、前田敦子がいなくなっても誰も敦子にはなれないし、大島優子のような子もいない。川栄李奈(一一期)のように新しいキャラクターを開拓して、そこの席に座る子はいますが、空いた席に座る子はいない。世代交代がしきりに騒がれていますが、では新世代到来はいつなのかというと、私は「今だ」と思っていますが、逆に「今だ」と感じている若い子がどれだけいるのか。緊張感が不足しているように感じます。

何かを犠牲にするということ

本郷: よく秋元さんは「全てを得ることはできないから、何かを犠牲にしなくてはいけない」と言っています。AKB48は「恋愛禁止」が有名ですが、犠牲にすることの一つが恋愛ですね。
高橋み: 何かを捨てて、死に物狂いで打ち込まなければ、AKB48にはいられない。卒業した元メンバーと話す機会もあるのですが、この生活が一生続いたら頑張り続けられません。でも、長い人生の中で見るとほんの一瞬だと思うのです。その瞬間に、どれだけ一所懸命になれたのか、後になって、楽しかったと振り返れるなつかしい青春時代がAKB48なのだと認識しています。
私は二十二歳になり、昔に比べれば日々を楽しむ余裕もできましたが、年齢が下の子や研究生は辛いはず。私も(大島)優子も経験していますが、高校に進学する時、AKB48として続けていくかどうか必ず悩みます。優子は栃木から通って、頑張って高校を卒業したけれど、死に物狂いでやっても、その先に何かがあるとは確実に言えない世界です。結局は、全て自分との闘いなんです。
本郷: 前田さんの話が出たので、ファンの投票で選ばれるセンター・ポジション論を掘り下げたい。十二年、"不動のセンター"と呼ばれた前田さんが三日間の東京ドーム公演の翌日に劇場で「卒業」しました。以来、その時々でセンターが代わる状況が続いています。どう見ていますか。
高橋み: (前田)敦子の卒業で、センターはこの人というイメージがつき過ぎると、いなくなった時の打撃が大き過ぎると感じました。繰り返しますが、敦子の代わりは誰にもできない。敦子は七年かけてのセンター。AKB48が人知れず活動していた時代からセンターとしての経験を積んで、売れていった。だから不動のセンターになった。もうひとつの理由は、AKB48は、ひとりが長期間センターをやる時期にはない。七年かけてセンターをつくる時間はAKB48にはもうありません。
本郷: 十月に発売されたシングルでは、小嶋陽菜さん(一期)が初めてセンターに就いたけれど、誰がセンターになってもいいということですか。
高橋み: 彼女のように、常に選抜メンバーにはいたけれど、センターはなかったという子がなるのは面白いと思いました。私や優子など脇を固める五~六人がいる間は、センターは曲によって代わったほうが新鮮味があってよいのかもしれません。私の理想のチーム像は、個々が強く、ジャケットがどういう並びでも気にならないようなグループです。

拡大路線の先には?

本郷: 今、女性のファン層が拡大しています。それは、自分も頑張ればAKB48のように輝けるかもしれない、という希望を与えているからだと思います。それがAKB48が拡大しているひとつの要因である気がします。秋葉原から始まったAKB48ですが、名古屋、大阪、福岡、ついに海外にまで進出しています。このあたりは、どう感じていますか。
高橋み: 嬉しいことではありますが、規模が拡大して、一時は不安を覚えました。手に負えなくなったらどうするのかと。ある意味、女の子たちの人生を背負う。彼女たちも人生を賭けてAKB48としてやっている。結果としてAKB48のためにならない気がしていたのですが、杞憂でした。誰かが決意してその土地に行き、グループをまとめることに尽力し、成果をあげる。二〇一一年にインドネシアのジャカルタでJKT48が結成されたのですが、驚くほど人気が出ました。その国になかった「文化」を伝えられたという意味でも良かったと今は感じています。
本郷: 次に作るとしたら北海道とか東北とかになるのかな。
高橋み: 十一月に初めて「AKBグループドラフト会議」を開催しました。チームAとしては、青森県在住の西山玲那を指名したのですが、東北は地元熱が半端ではないです。AKB48は東日本大震災の被災者支援を目的としたチャリティーイベントを行っているんですが、岩手県でミニライブと握手会があった際には、まだよくわからないはずなのに「うちの西山をよろしくお願いします」という雰囲気になっていました。
本郷: 海外はどうですか。ジャカルタはすでに一定の成功を収めています。次はシンガポールや上海になるのかな。
高橋み: シンガポールでは定期的に公演もやらせていただきましたし、上海はようやく二人(鈴木まりや・宮澤佐江)が現地の劇場公演に出演を果たすなど、まさに動き始めた段階です。


「どうでもいい人」にならない

本郷: それだけの大所帯を総監督として統括していくことは、高橋さんにとっても相当なストレスを伴うことです。ひとりのアイドルとしての高橋みなみさんとの折り合いはどうつけているのでしょう。
高橋み: 二人の高橋みなみが共存している感じです。私個人の夢はソロのアーティストとして成功することなので、二足のわらじを履いている状態です。〇九年に新チームAキャプテン、一二年にAKB48グループ総監督に就任したのですが、最初の頃は、それが重荷で葛藤しました。グループが好きで、もっと良くしたいという意識でまとめ役を買って出たのを秋元さんが見て、「キャプテン」、「総監督」という肩書きを与えてくださったわけですが、正直、負担に感じた時期もありました。
本郷: 公演の後に、高橋さんがメンバーを叱り飛ばしていて、驚いた。それまでは「名前だけだろう」と、高をくくっていた。僕は教師ですが、学生を怒れない。「いい人」でいたいから。でも、高橋さんは怒ることができる。嫌われることは怖くないですか。
高橋み: 私も「嫌われるのではないか」と、萎縮してしまったことがあります。別に私は彼女たちより上の人間ではないし、メンバーにそんな苦言を呈する資格があるのかと苦悩して、叱るのが怖かったです。
本郷: 二期や三期だと高橋さんより年齢が上の人もいる。そういう人に対しても、言いたくないことも言わなくてはいけない。高橋さんは、総監督だけれども、二十二歳の「女の子」。アイドルの高橋みなみとしては、悲鳴をあげているのではと心配です。
高橋み: 悲鳴をあげていないと言えば嘘になります。キャプテンになってすぐの頃は、逃げたかったときもあります。それを秋元さんに見透かされて、「嫌われる勇気を持て」というメールを頂いた。誰からも「いい人」と思われる人は「どうでもいい人」だ。自分の言葉に自信を持て。好き嫌いではなく、ハッキリさせなければいけないと思って言うたかみなの言葉は正解になる、と書かれていました。そこで根本に立ち返れました。昔から、公演が終わると、メンバーに色々言っていたのですが、それは大好きなAKB48をよくしたかったから。だから言うようにしています。


自分を含めてみんなに言う

本郷: そういう高橋さんの背中を見て成長している子たちもいるわけでしょう。例えばHKT48の指原莉乃さん(五期)は、メンバーとHKT48劇場支配人を兼任することになり、前回の選抜総選挙で一位になりましたが、高橋さんを見て育ったと言っている。一体、いつ頃からリーダー的な役割を求められるようになったというか、リーダーとしての責任を自覚したのですか。
高橋み: 初めは、あゆ姉(折井あゆみ、一期)がリーダー的な存在でひた。年上が引っぱるというスタンスが組織としてあったのですが、あゆ姉が〇七年に卒業した時、戸島花さん(一期)が、「たかみな、やってみたら?」と勧めてくれたのがきっかけです。好きなあゆ姉のやっていたことをできるのならしたいと思いました。そのうちに楽しいと思うようになりました。
本郷: 時期的には、前田さんがセンターとしてのチイを確認しなくてはいけない時に、高橋さんはリーダー役を確認したことになるわけですね。リーダーになって最も困難だったことは何でしょう。
高橋み: 色々ありますが、一番、試行錯誤したのが、注意する時の言い方でした。ありがたいことに私は一期生で、これまで選抜メンバーに入れていただいています。グループ全体のためだと憎まれ役を買ったけれど、「そういう(経歴の)たかみなさんには(私の気持ちは)わかりませんよ」とネガティブに捉えるメンバーもいれば、時間が経ってから、「あの時の言葉はそういう意味だったのか」と理解してくれるメンバーもいました。
女の子の世界は特殊。面と向かって指摘されることを嫌がる子が大半。もちろん個人的に言われて納得する子もいるけど、逆切れすることもある。だから、ひとりに向けてではなく、自分も含めた皆に向けて言うようにしました。最終的には、自分自身でどれだけ気づけるか、だと思います。
本郷: AKB48が劇場からテレビに出ていって、対応に試行錯誤しているメンバーも出てきている。指原さんは、いち早くテレビメディアに対応したメンバーだと思うのですが、その他のメンバーは必ずしも……、という印象です。そういうことも指摘するのですか。
高橋み: あらかじめ私たちについて知っていた上で劇場に来てくださるお客さんに受けるMCと、テレビで受ける内容は少し違う。劇場のスタンスでテレビに出ると、"怪我をする"確率が高い。自分が他人から「どう見られているか」自覚していないメンバーもいるので、そういう時は指摘します。やる気がなさそうに見えるけど、本人的には必死にやっていたりする場合があって、表情や振る舞いひとつでずいぶん印象が変わります。そういうことを伝えたり、他には、定点カメラの映像を確認して、全体のバランスを見て、指示することもあります。
本郷: 高橋さんがいる限り、AKB48は安泰です。高橋さんがいなくなったら、AKB48は今の骨格を失いますよ。僕としては、高橋さんには、四十歳を過ぎても、AKB48のアイドルでいてほしい。やめないでください。(涙)
高橋み: ありがたいことですが(苦笑)、卒業の時期は、遠からず近からずだと考えています。自分の中では「この段階まできたら」というのが何となくありますが、実際にその時になってみないとわからにと思います。一月からは、チーム公演の応募倍率やファンの支持率をプロ野球やサッカーのように競い合うペナントレースがスタートします。二〇一四年を見ないとわからないですが、自分が卒業した時は、「総監督」の椅子は失くしたい。真面目過ぎると、精神的負担に耐えられないと思うからです。チームをまとめるだけで疲弊して、潰れてしまう。私は総監督就任と同時にソロデビューという二つの表現方法を得る、というチャンスに恵まれたので、バランスをとることができている、と思います。
本郷: AKB48は去年の東京ドーム公演がピークと言われたけど、今、AKB48の第二章が始まっている。秋元さんがプロデューサーとして卓越しているなと感じるのは、次々と新たな仕掛けを出して行くこと。アジア制覇を掲げて、ますます隆盛していくことを願っています。本当に今日は、僕にとって夢のようなひとときでした。

撮影: 會田純一




最終更新:2014年09月08日 01:22