741 名前:NPCさん 投稿日:2007/06/05(火) 23:06:28 ID:???
アリアンロッド・リプレイ・ルージュ
3巻表紙の妄想してみた。
742 名前:741 投稿日:2007/06/05(火) 23:11:21 ID:???
ラインの街を出て、四人は霧の森と呼ばれている広大な森を目指して歩いていた。
先頭を歩いているのはノエル。その後ろに今回の道案内役のトラン、その左にクリス。最後尾はエイプリル。
薔薇の後継者は頭の上に音符が付いているのかと思う程ご機嫌に歩いている。洞窟や遺跡、いわゆるダンジョン内では無いのだから、多少は気が緩んでいても仕方が無いだろう。
神官と悪の組織の幹部は、互いを牽制しているように見える。
元情報部十三班の一人は、何気なく歩いてはいるが周囲の気配を探るのに余念が無い。
「トラン・・・本当にこの道で合っているのか?」
うさん臭い目を魔術士めいた帽子を被っている青年へ向けた。
「失礼なっ。これだから神殿は―!」
ほぼ反射的と言って良いような速度で反論する人工生命体。こんな掛け合いもどきも、この四人旅の中ではやはり日常茶飯事である。
何時ものパターンなら二人が延々言い合うのだか、今回は違った。
「合ってるのか?」
まさしく冷水が浴びせるかのごとく、後方のエイプリルが渋い声で口を挟んできた。
「・・・合ってますよ。まだ、目的の森は見えませんが」
一度クリスを睨み付けてから、肩越しにくすんだ赤に身を包んでいる女性に肯定の意を伝える。
「道が違ってたら信用丸潰れだぞ」
かなり淡々とした調子で言葉を付け加えてこられた。そうだそうだと言っている横の青マントはこの際無視しておく。
「大丈夫です、ちゃんとマップがあるんですから」
プラプラと地図をはためかせると、改めてトランはそこに書かれている地形を確認した。
どう考えてもこの道で間違い無い。自信を持って断言出来る。
――と、先を歩いていたノエルがくるりと振り返った。
「ほら、トランさんもクリスさんもエイプリルさんも、急ぎましょうっ。二冊目の『マビノギ』はすぐそばなんですからっ」
集めなければいけない第五の薔薇の武具である本の欠片の名前を出すと、そのまま彼女は男二人の間に割って入る。
むんずと『カラドボルグ』を腰に下げている少女は、
右腕を『アガートラーム』を着けている青年に絡め、
左腕を『ウィガール』を着込んでいる青年の腕に絡めた。
その様子を後ろで見ている『カフヴァール』所持者は、微かに口角を上げて三人を見守っている。
743 名前:741 投稿日:2007/06/05(火) 23:32:44 ID:???
そして碧の目の少女はガシっと男達の両腕をしっかり手に取り、茶色の髪
を揺らしながら前傾姿勢で歩き出した。
青年二人はそのまま引っ張られて進み出す。
「わわっ」
いきなりの行動に声を上げたのはトラン。無防備な状態だった為帽子を頭から落としかけ、右手でそれを押さえている。
クリスの方も少々驚いていたが、頬を緩めてその状態を受け入れていた。「どんどん進みますよーーっ」
明るい声で、勢い良く歩を進めるギルドマスター。
今まで、決して短くない期間を四人で旅をしてきた。
肩に薔薇のあざがあるこの娘は、十六の誕生日を迎えた時、自分の過去を探す旅へ赴き。
三人は、それぞれの所属している組織の思惑の元「薔薇の武具の継承者」たるノエルに近付いた。
だが、今の三人は「組織」とは関係無い「自分達の意志」で彼女と共に居る。
彼等はもう「仲間」なのだ。
だが、―この四人で居られる期間は決して――。
744 名前:741 投稿日:2007/06/05(火) 23:35:14 ID:???
「ノエル、気を付けろ。はしゃぐと転――」
「は、はわわわわわわーーっ!」
後方からの少女の冷静な忠告は、虚しくノエルの大声に掻き消された。お約束というか、見事につまずいたのだ。
身体をばたつかせてどうにかしようにも、腕は塞がっている。しかも勢いに乗っている為、結局は・・・。
ド派手な音を立てて、道連れ二人と共に地面に頭から綺麗に突っ込む事となった。
「「ノエル・・・」」
地面に突っ伏したまま、クリスとトランの諦め混じりの声が見事に重なる。
「す、すいません二人共~」
地面から顔をはがすと眉を下げて心底申し訳無さそうに謝るノエル。
「・・・・・・まぁ、ノエルだしな」
内心、俺も巻き込まれなくて良かったと思いつつ、波打った長い髪を指に通し空を見上げるエイプリル。
空の青に雲の白が鮮やかに見える。この天気だと、雲行きが怪しくなる事は当分無いだろう。
相変わらずの風景。
その中から――これから起こる惨劇など、誰も予想しなかったのである。
アリアンロッド・リプレイ・ルージュ
3巻表紙の妄想してみた。
742 名前:741 投稿日:2007/06/05(火) 23:11:21 ID:???
ラインの街を出て、四人は霧の森と呼ばれている広大な森を目指して歩いていた。
先頭を歩いているのはノエル。その後ろに今回の道案内役のトラン、その左にクリス。最後尾はエイプリル。
薔薇の後継者は頭の上に音符が付いているのかと思う程ご機嫌に歩いている。洞窟や遺跡、いわゆるダンジョン内では無いのだから、多少は気が緩んでいても仕方が無いだろう。
神官と悪の組織の幹部は、互いを牽制しているように見える。
元情報部十三班の一人は、何気なく歩いてはいるが周囲の気配を探るのに余念が無い。
「トラン・・・本当にこの道で合っているのか?」
うさん臭い目を魔術士めいた帽子を被っている青年へ向けた。
「失礼なっ。これだから神殿は―!」
ほぼ反射的と言って良いような速度で反論する人工生命体。こんな掛け合いもどきも、この四人旅の中ではやはり日常茶飯事である。
何時ものパターンなら二人が延々言い合うのだか、今回は違った。
「合ってるのか?」
まさしく冷水が浴びせるかのごとく、後方のエイプリルが渋い声で口を挟んできた。
「・・・合ってますよ。まだ、目的の森は見えませんが」
一度クリスを睨み付けてから、肩越しにくすんだ赤に身を包んでいる女性に肯定の意を伝える。
「道が違ってたら信用丸潰れだぞ」
かなり淡々とした調子で言葉を付け加えてこられた。そうだそうだと言っている横の青マントはこの際無視しておく。
「大丈夫です、ちゃんとマップがあるんですから」
プラプラと地図をはためかせると、改めてトランはそこに書かれている地形を確認した。
どう考えてもこの道で間違い無い。自信を持って断言出来る。
――と、先を歩いていたノエルがくるりと振り返った。
「ほら、トランさんもクリスさんもエイプリルさんも、急ぎましょうっ。二冊目の『マビノギ』はすぐそばなんですからっ」
集めなければいけない第五の薔薇の武具である本の欠片の名前を出すと、そのまま彼女は男二人の間に割って入る。
むんずと『カラドボルグ』を腰に下げている少女は、
右腕を『アガートラーム』を着けている青年に絡め、
左腕を『ウィガール』を着込んでいる青年の腕に絡めた。
その様子を後ろで見ている『カフヴァール』所持者は、微かに口角を上げて三人を見守っている。
743 名前:741 投稿日:2007/06/05(火) 23:32:44 ID:???
そして碧の目の少女はガシっと男達の両腕をしっかり手に取り、茶色の髪
を揺らしながら前傾姿勢で歩き出した。
青年二人はそのまま引っ張られて進み出す。
「わわっ」
いきなりの行動に声を上げたのはトラン。無防備な状態だった為帽子を頭から落としかけ、右手でそれを押さえている。
クリスの方も少々驚いていたが、頬を緩めてその状態を受け入れていた。「どんどん進みますよーーっ」
明るい声で、勢い良く歩を進めるギルドマスター。
今まで、決して短くない期間を四人で旅をしてきた。
肩に薔薇のあざがあるこの娘は、十六の誕生日を迎えた時、自分の過去を探す旅へ赴き。
三人は、それぞれの所属している組織の思惑の元「薔薇の武具の継承者」たるノエルに近付いた。
だが、今の三人は「組織」とは関係無い「自分達の意志」で彼女と共に居る。
彼等はもう「仲間」なのだ。
だが、―この四人で居られる期間は決して――。
744 名前:741 投稿日:2007/06/05(火) 23:35:14 ID:???
「ノエル、気を付けろ。はしゃぐと転――」
「は、はわわわわわわーーっ!」
後方からの少女の冷静な忠告は、虚しくノエルの大声に掻き消された。お約束というか、見事につまずいたのだ。
身体をばたつかせてどうにかしようにも、腕は塞がっている。しかも勢いに乗っている為、結局は・・・。
ド派手な音を立てて、道連れ二人と共に地面に頭から綺麗に突っ込む事となった。
「「ノエル・・・」」
地面に突っ伏したまま、クリスとトランの諦め混じりの声が見事に重なる。
「す、すいません二人共~」
地面から顔をはがすと眉を下げて心底申し訳無さそうに謝るノエル。
「・・・・・・まぁ、ノエルだしな」
内心、俺も巻き込まれなくて良かったと思いつつ、波打った長い髪を指に通し空を見上げるエイプリル。
空の青に雲の白が鮮やかに見える。この天気だと、雲行きが怪しくなる事は当分無いだろう。
相変わらずの風景。
その中から――これから起こる惨劇など、誰も予想しなかったのである。