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テラカオスバトルロワイアル外伝
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英雄なんかじゃない

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英雄なんかじゃない ◆e9ZFC0cEimgS


「ああ、なぜ私がこんな目に遭わねばならぬ・・・・・・」

赤い鉄骨に囲まれた巨大な鳥篭の中で、時代ががった服装をした男がひとりごちていた。
この町の風景とは不釣合いな旧時代の衣服とはいえ、高価なものだと一目でわかるそれは男の身分の高さを示していた。
頭髪は服装に合わせて髷を結っているが、髷といっても時代劇でよく目にするような江戸時代のそれではなく戦国時代の形式のものであり、それは彼の出自を物語るものであった。

「ああ、私の身にふりかかるのはこのようなことばかり!! いくら戦をこなそうとも一向に風向きは良くはならず、戦をやめられる目処すら立たぬ。
私を戦場に送り込んだ者どもは勝手にさっさとくたばり、無理難題を私にばかり押し付ける!!
おまけに此度のことは一体何たることか!!」

そして彼が赤い鉄骨に腰掛けてひとり誰にとも無く語っていることこそ、彼の在り方を示すものに他ならなかった。
そもそも地方の一弱小大名家に生まれた彼は、どうせ自分もしがない一大名として終わるのだろうと、ややヤケクソ気味ながらも家柄にはばかることなく
奇抜な格好をしたり身分に関係なく民と遊ぶなど好き勝手に生きてきた。
しかし彼の父親は、もともと主家に仕える分家の一つの当主に過ぎなかったためにやたら頑張ったため、父の死後に成り行きで彼が当主の座を継いだ頃には
家の中でも外でも人間関係がのっぴきならないことになってしまっていた。
さすがに黙って粛清されるのはイヤだったので、周りの家臣に祭り上げられたこともあって兵を挙げた彼は結果的に主家を滅ぼし、さらに兄弟や親族の命まで奪うはめになってしまった。
出した犠牲の大きさに心を痛めた彼だったが、その後は今度は自国の領土を狙う他国の大名と争わねばならなかった。
彼自身は自国の領土を防衛できればそれでいいと思っていたが、回りの重臣たちはそのような軟弱外交を承知しない。
戦を重ねることで民に犠牲を強いるのは忍びないといくら彼が説得しようとしたところで、周りの者は聞く耳を持たなかった。
そこへ来て、近隣の有力大名が自ら兵を率いて彼の領土を脅かしに来た。もはや自分もこれまでと思いつつも、どうせなら華々しく戦って散ってやろうと思って出陣した彼の軍は
本当に偶然・たまたま・まぐれによって全国に名を知られたその大名を野戦にて討ち取ってしまった。
一番びっくりして腰を抜かしたのは彼自身なのだが、彼の兵や重臣たちは喜びに沸いて彼を称え、この偶然の辛勝に気をよくして「もっとじゃんじゃん戦って領土を増やしましょう!!」と口々に言った。
他国の武将たちも「なんかあいつヤバイ」ということで一気に彼をマークし始めるし、武家以外の者にだってその名はいやでも轟く。
こうなるといくら彼本人が「戦なんかしたくないです」と言い張ってもどうにもならず、あれよあれよと言う間に「戦国の風雲児」として祭り上げられてしまった。
その後も、彼としては自分の民や領土を守るために敵と戦ったり、戦いに巻き込まれている民がかわいそうなので他国の戦に介入したりしているだけだったのに
いつの間にやら日本一の権力者になってしまっていた。
それも敵側からは「魔王」などと恐れられ、生き残るために必死に戦った上での行為について「悪魔の所業」などと罵られる。
何度も停戦・立ち退き勧告をした上で従わなかったために仕方なく武装していた寺院を攻めたら(しかも朝廷の依頼でやったことだったのに)「宗教施設を攻めるとかマジ鬼畜」とか言われたりした。
加えて彼自身が柔軟な頭脳に恵まれた現実主義者だったこともこれらの世論にマイナスに響いた。
「神とか仏とか言ったって本当にいるかわかんないしそんな拘んなくてもいいじゃん、実際南蛮には全然別の神を信じる人たちだっているんだよ? ちょっと面白いからこいつらの話も聞いてみなよ」
みたいなことを言ったせいで「神仏をも畏れぬ不遜な男」ということにされてしまった。
何度全てを投げ出して故郷に帰ってのんびり余生を送りたいと思ったかわからないが、配下に多くの大名を抱える身でそんなことが出来るわけもない。

それが彼、織田信長のこれまでの生涯だった。

「先ほどの場には、明らかに兵では無い者たちも居たな・・・・・・大納言信長がその場に居合わせたにも関わらず彼らを見す見す死なせたとあっては、世の人に何を言われるかわからないな」
もともと信長が最も恐れていたのは、「今だけではなく後世の人にまで魔王とか言われたらどうしよう」ということだった。
これ以上マイナス評価を重ねてはたまらない。加えてもともと民と交わることが好きな性分である。
「一人でも多くの民を助ければ、あるいは今までの悪評が消えることもあるかもしれん」
こうしている間にも命の危険にさらされている者がいるかもしれない。出来ればすぐにでも助けに行きたい。

・・・・・・だが。

「ええい、一体ここからはどう降りればいいのだ!!」

展望台よりもさらに高い東京タワーの鉄骨の上で、怒号とも悲鳴ともつかない声が響きわたった。

【港区・東京タワーの鉄骨の上/一日目・日中】

【織田信長@歴史上の人物
[状態]健康
[装備]なし
[道具]支給品一式、ランダム支給品1~3(未確認)
[思考]
基本:後世に悪名を残さないようにするため、参加者を助ける
1:ここから降りたい

023:戦う理由は十人十色 投下順に読む 025:最強のボディvs最凶の支給品
023:戦う理由は十人十色 時系列順に読む 025:最強のボディvs最凶の支給品
初登場! 織田信長 046:ショーグン・プリンセス・オールイーター

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