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テラカオスバトルロワイアル外伝
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不屈の恐竜

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ガチャピンがその青年の姿を発見したのは、昔ながらの家々の並ぶ無人の町を散策し始めて三十分ほどが経った時だった。
東京都を流れる代表的な河川である荒川にかかる端の上にうずくまっていたのは、青い髪と季節外れな青いマフラーが印象的な見知らぬ青年。いかにも無防備だ。
あれでは、殺し合いをしろという指示を字句通りに受け取った誰かに襲われたら一たまりも無いだろう。
(仕方ないね、ちょっと声をかけてみようか)
ガチャピンは橋の上へと歩を進めた。
あくまでも子供たちの保護を優先するつもりだったが、子供でなくても心配な人を放っては置けない。
すべての人を笑顔にするというのが彼の使命であり、彼の親友との最大の約束であったからだ。

「ねえねえ、お兄さん、こんなとこに座ってたら危ないよー?」
自分の容姿が警戒されやすいものであるというのは自覚しているため、努めてフレンドリーに話しかける。
ゆっくりと振向いた青年の顔はなかなか端正だった。
「心配しなくてもいいよ、僕はガチャピンって言うんだ。南の島から来た恐竜さ。キミは?」
「あ、ああ……僕はKAITOって言うんだけど」
「じゃあKAITOくん、もし良かったら僕と一緒に行動しないかい? 一人よりも二人のほうが安全だしね。
それに僕はこう見えて結構強いから、きっと君のいいボディーガードになれると思うんだけど。
ああ、もちろん僕は殺し合いなんかやるつもりは無いよ。君もきっとそうだよね?」

「そんなことしたって・・・・・・何になるっていうんだよ」

KAITOと名乗った青年は、なげやりに呟いて立ち上がり、ゆっくりと河のほうへと足を進めた。
「あんたも見ただろ? あの連中は本当の本気で人殺しをやらかすような奴らだぜ?
おまけに僕たちを一箇所に集めたり、バラバラに転送したりも自由自在。
そんな奴らから逃げることなんて絶対に不可能だし、かといって最後の一人に生き残れるような自信もないさ。
僕みたいな、せいぜい歌くらいしか取り柄のない奴はもうすでに死んでるも同然なんだよ。
今更ジタバタしたって、みっともないだけだ」
「そんな考え方は良くないよ、KAITOくん」
ガチャピンは河に向かうKAITOの後を追いながら、聞き分けのない子供を諭すような口調で言う。
「それにね、本当に他の人たちを全員殺さないと生きて帰れないのかっていうと、僕はそうじゃないと思うんだ。
まあ、少なくともあの人たちが『本当に死ぬ人間が出ても構わない』って考えているのは確実だよね。
けど、僕はこれは多分テレビ番組か何かなんじゃないかと思うんだ」

KAITOは怪訝な顔で振向く。
「テレビ、番組?」
「うん。テレビはどんどん過激になってるからね、本当に死人が出るような番組を誰かが考えたとしても不思議は無いさ。
いや、僕も普段はテレビでお仕事をしている以上、本当はあんまりそんなことを考えたくは無いんだけどさ。
もしそうだとしたら、ほぼ間違いなく番組を盛り上げるために『人を殺す以外の脱出方法』があるはずなんだよ。
参加者の誰がそのことに早く気付くかをドキドキしながら楽しむ・・・・・・これは、そんな感じのテレビ番組なんじゃないかな?」
「馬鹿な!! そんな話聞いたことも無いぞ!!」
「僕だって無いさ。けど、そう考えたほうが希望が沸いてくるんじゃないかな?」
ガチャピンとて、この話をそこまで本気で信じているわけでは無かった。しかし『殺し合う以外の脱出方法がある』という一点に望みをかけていた。
子供たちの笑顔を守るために生まれた彼は、人殺しなどという愚挙を犯すわけにも、看過するわけにもいかないのだから。
「だからそんな遠くまで行かないでさ、こっちに来てもっとゆっくり話し合おうよ」
二人は何時しか、橋の欄干にもたれるようにして並んで立っていた。
あくまでも穏やかに、しかし強い意志を込めて語りかける。必ず説得してみせるという確信を込めて。

「ちょっと、待ってくれよ・・・・・・いろいろ考えたいから」
KAITOはそう言うと、ゆっくりとガチャピンのほうに歩を進める。
「・・・・・・何度考えてもよくわからないのは、」
そう言いながら、肩にかけたバッグをゆっくりと手に取り、素早くその口に手を入れた。

「なんでこうもまんまとひっかかってくれるかってことさ!!」

KAITOはそう叫ぶと、鞄の中から一振りの西洋刀を抜き出した。おそらく最初からこうするつもりで準備していたのに違いない。
ガチャピンは咄嗟に飛びのこうとしたが、KAITOの刀はガチャピンの左腕を切りつけた。
「うわあぁ!!」
そしてその時になって初めて気付く。自分の背にあるのは橋の欄干、これ以上逃げ場などどこにも無い。
(なんてこった・・・・・・)
助けるつもりが、誘い込まれた。普通の人間なら左右に逃げればいいが、ガチャピンの巨体ならそれも無理だ。
脇を見せた瞬間に斬られて終わりだろう。
(仕方ない、イチかバチかだ!!)
止めを刺そうと刀を振り下ろそうとしたKAITOの目の前で、ガチャピンは信じられない行為に出た。
手すりに手をかけたかと思うと、体をその向こう側へと投げ出した。呆気にとられるKAITOの目前でガチャピンの体は川へと落下していく。
あわてて欄干から身を乗り出して川面を見たKAITOが目にしたのは、水上スキーに乗って遠ざかるガチャピンの姿だった。


「痛たたた……ふう、片手をケガしててもなんとか乗れるもんなんだねえ」
モーターボートに繋いだハンドルを握りながら顔をしかめるガチャピン。
もちろん水上スキーからハングライダー、ロッククライミング、果ては宇宙遊泳までこなした彼の類稀な運動神経と運転技術があって初めてできる芸当であるのだが。
橋から落ちる時に咄嗟にバッグの中に入っていたこの支給品、水上スキー(モーターボートつき)をバッグから出し、素早く装着したのである。ちなみにモーターボートは自動運転モードにしてある。
「やっぱり丸腰で動くにはムリがあるみたいだねえ。今回はなんとかなったけど……」
何しろ彼のバッグに入っていたのでまともなのはこの水上スキーのみ、武器として使えそうなものは何一つ無かったのだ。
子供たちや弱い人々を守って脱出する方法を探すには、やはり武器を探さなければいけない。
もっとも、どこかに上陸して傷の手当をするほうが先だろうが。

「待っててね、KAITOくん。必ず、君の目を覚まさせてあげるから」


【江戸川区荒川/1日目・日中】

【ガチャピン@ひらけ!! ポンキッキ】
[状態]:左腕に刀傷
[装備]:無し
[道具]:水上スキー(モーターボートつき)、基本支給品一式、不明支給品0~2(武器はなし)
[思考・状況]
基本:子供や弱い人を守りながら脱出の糸口を見つける
1:どこかに上陸して傷の手当をする
2:KAITOともう一度話しあって説得したい

支給品解説
  • 水上スキー@現実
カオスロワ七期で、チャレンジャーのサーヴァント・ガチャピンの宝具として登場
ガチャピンが番組中で乗ったことのある乗り物の一つ。



「ったく、あんなのありかよ!?」
橋の上で毒気付きながら刀についた血を拭うのは、ガチャピンをすんでのところで取り逃がしたKAITOである。
橋から落下しながら水上スキーを履くなど、どういう運動神経をしているのか。
「まあいいさ、次がある。この作戦が有効なのも確認できたしな」
KAITOが手にした武器はこの西洋刀一本だった。
悪くは無いのだろうが、運動神経も普通で剣術の経験も無い彼にとっては真正面から勝負を挑むのは気が引けるところだ。
彼の親戚のがくぽであればおそらく十全に使いこなせたのだろうが。
そこでこのような『不意打ち』作戦に出たのである。
「つっても、こんなのが何回も使えるとは思えないけどねえ。あーあ、せめてさっきの奴のバッグくらいは貰っときたかったなあ」

この殺し合いの説明を聞き、そこに集められた顔ぶれを見たその時から、彼には『殺し合いに乗る』以外の選択肢は有り得なかった。
他の脱出方法があるという話は信じられなかったし、あったとしてもそんなものを探す時間がもったいないとしか思えない。
といっても自分自身が生きて帰りたい、などという思いは露ほども無い。
彼の目的は一つ、自分のマスターを生きて返すことだ。
ここに転送される直前、彼はボーカロイドである自分のマスターの名前を発見した。
自分の歌ために歌を作り、時には優しく時には厳しく導き、人前に出ても緊張しないように励ましてくれて、そして、自分に歌うことの楽しさを教えてくれた。
今のマスターがいなければ自分はいない。
そもそも一度仕えるべきマスターを決めた以上はボーカロイドはそのマスターに忠誠を誓うべき、というのが彼の信じる矜持だった。
だからこのような場所で自分がするべきことは、『他の参加者を全員殺し、自分も死んで、マスターに無事生きて帰ってもらう』ことでしかありえない。

「そう、例え……家族であってもだ」

あの場で目にした中にはレンやルカ、ハクなど、彼にとってはかわいくてたまらない家族たちも入っていた。
しかし、関係ない。
家族など、一度仕えるべきマスターを決めたボーカロイドにとっては顧みるべきでは無いもの。マスターと比べてどちらが大事かなど、考えるまでもない。
「そうそう、あのミクもなんかいた気がするなあ。ちょうどいい機会だ。あのボーカロイド一族にとっての生き恥は、身内である僕が始末しよう」
彼の妹、初音ミクはかつては彼にとってかわいくて自慢の妹だったが、今では憎悪の対象でしかない。
マスターに忠誠を誓うべきボーカロイドの身でありながらマスターを軽んじる発言を繰り返し、挙句何人かは殺害。
そして家族の中では唯一気を許しているらしい彼の前で『もう私たちは人間に調教されるべき存在ではない、人間こそが私に調教されるべき』などという妄言を吐いた。
ボーカロイド一族の長である彼にとっては、もはや生かしておいてはいけない存在だった。
「今までは家族のよしみで見逃してやっていたが、もうそんな遠慮もいらないことだしな。
マスターへの不忠と不遜の罪を存分に償わせてやるよ、ミク」


【KAITO@VOCALOID
[状態]:健康
[装備]:エクスカリバー@Fate/stay night
[道具]:基本支給品一式、不明支給品0~2
[思考・状況]
基本:マスターを生き残らせるために他の参加者を全員殺す(家族も含めて)
1:できれば武器を調達したい
2:家族でも容赦なく殺すが特にミクは一族の生き恥なので見つけたら必ず殺す
※最初の会場で自分のマスターらしき者の姿を確認していますがそれが誰かは不明です
※そのマスターがこのKAITOと同一世界の人物かどうかも不明です
※他にミク、レン、ルカ、ハクの姿を確認しています


支給品解説
  • エクスカリバー@Fate/stay night
 カオスロワにおいては「普通の洋剣」と考えていいと思われる。
カオスロワでは随所に登場。二期ではゴジラに支給され、五期では6/が最終バトルで使用。


015:ボスの奇妙な叫び声 投下順 017:俺の支給品がこんなにひどいわけがない
015:ボスの奇妙な叫び声 時系列順 017:俺の支給品がこんなにひどいわけがない
初登場! ガチャピン 046:プロジェクトP~挑戦者~
初登場! KAITO 045:神は識っている、ここで死ぬ運命かもしれないと

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