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テラカオスバトルロワイアル外伝
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いくつものIを重ねて/もってけ!運命のガイアメモリ!

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だれでも歓迎! 編集
静まり返った秋葉原駅。
その静寂の中に一人、セーラー服姿の小柄な少女が降り立った。

「スタートの場所がアキバなんて、これは幸先いいねー」
不安を振り払うように明るい独り言をしゃべると、
泉こなたは駅の入り口付近、できる限り目立たない場所に腰を下ろした。

「かがみん、来てくれるかな」
最初に集められた国会議事堂で、こなたは友人の柊かがみ
僅かな間だが会話を交わすことができた。
かがみならば、自分が秋葉原を目指すことに気づいてくれるだろう。

無論、かがみが無事にここまで来られるという保証はない。
しかし今は、下手に動くよりかがみが来ることを信じて待つほうが上策だろう。


「さーて、かがみんが来るまでバッグの中身でも見ておこうかね。
 なになに、これは……装備品?
 当たりアイテム? 本当かな。
 それでこれは……ええっ!これって九字兼定!? 本物!?
 ――少なくとも模造刀じゃないみたいだね。刃も潰してない」
こりゃ儲けもんだねぇ、と支給された日本刀を小脇に抱えて
こなたは更にバッグの中を漁る。

「ん? これはメモリ?」
次にバッグから出てきたのは、奇妙なデザインのUSBメモリらしきモノだった。
「これが説明書かな。えーと、これは……『ガイアメモリ』?
 地球の記憶が――」

こなたが同封されていた説明書を読み終わる前に、乾いた銃声が響いた。
そして、胸に凶弾を受けたこなたはその場に崩れ落ちていた。



「まさかこんなに早くガイアメモリに巡り合うとは。
 幸運というやつですかねぇ」
こなたを銃撃した張本人である男――井坂深紅郎は舌なめずりをして
地に転がったガイアメモリに歩み寄った。


井坂は元々このゲームに乗る気だった。
風都を影で牛耳る犯罪組織ミュージアムの首魁、園咲琉兵衛――テラー・ドーパント。その「恐怖の帝王」を超える究極の力を手に入れ
最強のドーパント……つまり最強の生命体となる事こそが井坂の願いである。
そして究極の力を手にした時こそ、彼にとっての命題である「自分がこの世界に生まれた意味」が解るはずだった。

無論、バトルロワイアルで優勝すれば賞品として究極の力を貰える……と思うほど井坂は馬鹿ではない。
彼は興味があるだけ――数々の超技術を有し、そして東京都23区を舞台として用意することのできる主催者の存在に。
このような大掛かりな真似はミュージアムにも出来ないだろう。ミュージアムに資金提供していると噂の謎の財団ならば可能かもしれないが……
いずれにせよ、園咲琉兵衛を超える為にこの主催者と仲良くしておくのも悪くない。
そして最後には――主催者の力、知識、技術、権力、組織、その全てを喰らい尽くす。
バトルロワイアルで優勝することは、その為の第一歩に過ぎないと彼は考えていた。

しかし彼の目論見はゲーム開始と同時に崩壊しかけた。
彼にとっての「運命のガイアメモリ」である『ウェザーメモリ』が主催者によって没収されていたのだ。
どうしたものかと最初に転送された秋葉原の街を歩き回り、駅に着いたところで
幸運にも彼は、丁度バッグからガイアメモリを取り出している少女を見つけたのだった。
彼女を射殺してメモリを奪うことに、何ら躊躇はなかった。


「ウェザー……ではない。これは――」
『ICE AGE!』
メモリを押すと、ガイアウィスパーが井坂の問いに答えた。
アイスエイジメモリ。絶対零度の冷気を操ることが出来る、確かに強力なメモリだが……
「能力の多様さ、強さ、潜在能力、いずれをとってもウェザーメモリには及びませんねえ。
 もっとも、今はこのメモリに出会えただけ幸運だと思うべきか……」

井坂がメモリに気を取られていたその時、倒れていたこなたの身体が動いた。
「!?」
井坂の体勢が崩れる。こなたに足払いされたのだと気づいた時には、彼は地に倒れこんでいた。

「おおっと、動かないでね」
倒れた井坂の首筋に、白刃が押し当てられる。
その刃を握り締めているのは、銃弾に斃れたはずの泉こなただった。
「……確かに銃弾は胸部に命中した、と思ったんですがねえ」
「うーん、まあかなり痛かったけど、これのおかげでね」
こなたはそう言うと、セーラー服のぺたんこな胸の部分を少し捲る。
そこに隠されていた物……それは一見何の変哲もないただの石だった。
「すごい防御力があるって説明書に書いてあったから装備してみたんだけど
 いやー本当にラッキーだったよ」
明るい口調とは対照的に、井坂の首筋に当てられた刃には力が篭っていた。
薄皮が切り裂かれ、血が流れる。
「流石に女子高生に向かっていきなり銃をぶっ放す人を放置してはおけないよねー。
 まずは手に持った銃を床に捨てて。
 もうすぐ私の仲間たちもここに来るから、今のうちに大人しく言うことを聞いたほうがいいよ」
井坂は反論もせず、言われたとおりに銃を床に落とした。

「それからそのメモリも、一応床に置いてもらおうかね」
その言葉に、井坂は薄く微笑む。
「……仕方ありません、ねぇ!」
日本刀が喉を切り裂くよりも早く、井坂は自分の右耳にメモリを突き刺した。



「!?
 何を――」
突然の行動に男の正気を疑うこなたの眼前で、更に信じられない変化が起きた。
襲ってきた男の耳にUSBメモリが吸い込まれたかと思うと
男の姿は、異形の怪人に変貌していた。

雪のような白と凍りついた大地のような黒が混ざる身体に、背中から突き出した無数の針はヤマアラシを思わせる。
そして顔らしき部分では、無表情な黒い眼がこなたを見つめていた。

「な……!」
唖然とするこなたの日本刀を握っている手を、井坂の変身した怪人――アイスエイジ・ドーパントが捕まえた。
「ひっ、うわああああああああああ!」
こなたの腕は一瞬で凍りつき、砕け散る。その破片が日本刀と共に床に散らばった。

「ああああああああああああああああ!」
腕を失った苦痛に絶叫するこなたの首をアイスエイジ・ドーパントは鷲掴みにした。
「大分お辛いようですねえ、治療して差し上げましょう」
「あ……あ……」
全身が凍りつき、意識が薄れていく中、こなたは無表情な怪人の仮面の奥に
あの男、井坂深紅郎の狂喜の笑みを感じた。

(怪物――――)

泉こなたが最期に耳にしたのは、己の身体が砕け散る音だった。


「変身時間に制限とは……無粋なことをしますねえ
 最初に言っていた制限とはこの事ですか。
 それにしてもアイスエイジメモリ……
 強力だが、矢張りウェザーの力には及びませんねえ」

凍りつき、首の部分を砕かれたこなたの遺体の傍で
井坂はアイスエイジメモリに付属していた説明書を読んでいた。
それによると一度の使用で変身できる時間は十分間、そして一度変身すると
その後二時間は変身が不能になるよう制限されているらしい。

「彼女は、もうすぐ『仲間たち』が来る、と言っていたが……。
 変身制限さえなければ、その仲間たちとやらもここで迎え撃ってもよかったんですがねえ。
 もっとも、単なるハッタリということも充分に考えられるが」

呟きながら、井坂はこなたに支給されていた品を回収する。
メモリが使えない今、残り弾の少ない拳銃と得手ではない日本刀だけで何人もの相手と戦うのは得策ではない。
それに今の騒ぎを聞きつけて他の参加者が集まってくる可能性もある。今はここから離れることが先決だろう。

そして、凍りついたままの少女の屍を残し、怪物は駅の中へとその姿を消した。

【千代田区 秋葉原駅前/1日目・日中】

【泉こなた@らき☆すた 死亡確認】
……残り参加者53/54名




「――さて、変身不能が解除されるまで二時間、できれば身を隠したいが……
 この首輪についても少し調べてみたいですからねえ」
山手線の車内にて一人佇む井坂、そのデイバッグの中には、泉こなたから奪った支給品と一緒に
こなたに嵌められていた首輪も入っていた。
今のところ主催者に逆らう気はないが、主催者の気まぐれで生殺が握られるこの首輪は外したい。
その役に立つだろうと彼女の遺体を砕いて手に入れたのだ。

変身不能、首輪、そして未だに行方の知れないウェザーメモリ(最悪、他の参加者が使っているかもしれない)。
井坂を悩ませることは数多くあったが、さしあたって今一番の問題は――

「あぁ、それにしても腹が減った……」

ドーパント能力を強化する為の肉体改造の反動で、彼の肉体は常人を遥かに上回る食料摂取を必要としている。
支給されている食料など、彼にとっては一食分に過ぎない。
どこからか食料を調達でもしない限り、このままでは餓死という事態もありうる。
「食料が欲しければ殺して奪い取れ……という事ですかねえ」

腹の虫を鳴かせる彼を乗せて、電車は街中を進んでいく。



【台東区 山手線内回り車内(秋葉原駅→御徒町駅間)/1日目・日中】

【井坂深紅郎@仮面ライダーW】
[状態]:健康、空腹、首に切り傷(ダメージ小)、アイスエイジ・ドーパントに二時間変身不能
[装備]:ニューナンブM60(残弾4発)@現実、無銘九字兼定@空の境界、石@ボンガロ
[道具]:基本支給品×2、アイスエイジメモリ@仮面ライダーW
    ランダム支給品(0~2)、泉こなたの首輪
[思考]基本:究極の力を得るために主催者を利用する。その為にまずはバトルロワイアルで優勝する。
0:それにしても腹が減った……
1:自分の本来のガイアメモリ『ウェザーメモリ』を取り戻す。
2:身を隠せる場所を見つけて、しばらくは目立つ活動を慎む。戦いは極力避ける。
3:食糧を確保したい。
4:首輪の構造を知っておきたい。
※ドーパント能力強化の代償として食欲が異常に増進しています。(支給された一人当たりの食料が一食分)

  • 支給品紹介

【アイスエイジメモリ@仮面ライダーW】

仮面ライダーW本編に登場。氷柱をモチーフとした「I」の意匠が記されたガイアメモリ。
地球の『氷河期』の記憶を内包しており、メモリを取り込んだ者をアイスエイジ・ドーパントへと変身させる。

アイスエイジ・ドーパント…超高熱すら凍らせる絶対零度の冷気を操るドーパント。単純な冷気による攻撃だけでなく
             空気を凍らせて武器を作る、凍らせた地表の上を高速で移動する等のトリッキーな戦い方もできる。

【石@ボンガロ】

ネタが豊富なことに定評のあるボンボン版餓狼伝説が出展。
一見普通の石だが、その防御力は頭蓋骨を貫通する破壊力の突貫烈破棍を防ぐほど高い。
カオスロワ1期にてテリー・ボガードが使用。外伝リスタート前には柊かがみに支給されていた。

【九字兼定@空の境界】

500年以上の歳月を経た名刀。本来の使用者は両儀式
殺傷能力は高い。

【ニューナンブM60@現実】

38口径リボルバー拳銃。日本の警察官が使用する制式拳銃の一つ。
殺傷能力、威力は十分にある。一度の装弾数は5発。



017:俺の支給品がこんなにひどいわけがない 投下順 019:信長とリンの戦国バトルロワイアル
017:俺の支給品がこんなにひどいわけがない 時系列順 019:信長とリンの戦国バトルロワイアル
初登場! 井坂深紅郎 053:そしてIは交差する/響く不協和音
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