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テラカオスバトルロワイアル外伝
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二人はいい男

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「ふぅ……」

公園のベンチに腰掛け、一息つくつなぎ姿の男が一人。

(随分と、物騒なことしてくれるじゃないの……)

男の名は阿部高和。とある世界ではちょっとした有名人である。

彼は自動車整備工の仕事をしているが、それが休みの日はよくこうやって公園のベンチに座っていた。
そして、よさげな男を見つけたら、『やらないか』と声をかける。
相手が同意したなら、そのまま秘密の場所に連れ込む。同意しなかったら残念だがその日は諦める。
それが彼の日常だった。

「……駄目だな。気分が乗らない」

だが、ベンチに腰掛け数分も経たないうちに彼は立ち上がってしまった。
普段であれば、目の前にいい男が現れるまで何時間でも座っていられるのだが……
残念ながら、今は普段の日ではない。日常は、壊されたのだ。
首に感じる冷たい感触が、その証。
そして、彼の目の前で一人の子供が無惨にも爆殺されたことを示すものでもある。

(あんな子供相手に惨い事をしやがるぜ……東京都知事までやられちまってたが……
手ェだしたのが政府、総理大臣……この国のトップだってんだから、恐ろしいもんだ)

阿部は支給された地図をひろげ、バトルロワイアル会場が東京都である再確認を行う。
先程歩いた際に、電柱からここが世田谷区であることは確認済みだ。
つまりこの地図通りなら、会場の端っこの方である。

(このまま西に行って地図の外に……そうしたら多分この首輪が爆発すんだろうな。
この首輪といい、東京都にも関わらず人が全く見当たらないってのも普通じゃない……
本気で日本全体、いや下手すりゃ国際規模の大事件ってわけか……)

阿部は色々と思考を巡らせるが、わかるのは現状がまともでないこと。
そして、警察や国などお偉いさん方に助けを求めても無駄なことくらいだった。

(さて、まいったね。これからどうするか……)

思考を切り替え、今度は今後の行動を考える。
期限は三日と定められている以上、あまり時間は無駄にできない。
だがだからと言って、阿部は殺し合いをするつもりは毛頭無かった。
彼が考えている最終目標はただひとつ。
『いい男と気兼ねなく繋がれる世界の復活』
つまりは元の日常を取り戻すことだった。
生殺与奪の権利を国に握られ、いい男達が死の恐怖に怯える世界で、満足にヤれるわけがない。
首輪をどうにかして逃げれば自分は助かるかもしれないが、それではこの国の異常事態は変わらない。
そうなると手段はもはや一つ。総理大臣一味を日本から排除する以外ありえない。
しかし、自分はただの自動車整備工。単身で国を相手にできるとは思えない。
故に、行動を決めかねていた。


「おや……失礼ですが、確か阿部高和さん……でしたよねぇ?」
「ん?あぁ、そうだよ」

そんな悩む阿部の側に一人の男が近寄ってきた。
突然バトルロワイアルが開かれたとはいえ、なかにはすぐ優勝を目指す者もいるだろう。
つまり容易に他者を自分に接近させることは危険なのだが、阿部は気にしていなかった。
というのも。

「あんたは確か、警視庁特命係の杉下さんだったな」
「おや、僕を覚えていらっしゃったとは、恐縮です」
「あんたこそ、よく俺を覚えていたな」

阿部は男――杉下右京を知っていたからである。

「あの伊丹刑事が、偶々寄った公園で6時間に及ぶ行為の末に肛門大裂傷で入院……
当時警視庁を賑わせた事件の犯人ですからねぇ……
忘れたくても、忘れられるものではありませんよ」
「そん時取調室に来たのがあんただったな……
あの時はすまなかったよ。俺としたことが、あまりにも伊丹がいい男過ぎて歯止めがきかなかったんだ。
で、どうだい?伊丹は元気でやってるのかい?」
「えぇ、元気に職務に励んでいましたよ。少なくとも、昨日までは……」

杉下の言葉を最後に、辺りにはしばらく静寂が訪れた。
昨日までは……それはつまり、今日はわからないということ。
やがて、阿部が再び口を開く。

「……連絡がつかないってことか?」
「ええ。公衆電話はその機能を停止させられていて使用不可能。
僕の携帯電話も没収されていますし、恐らく一般家庭の電話も繋がらないでしょう……」
「安否確認も、助けを求めることも、できないってわけだな。
……なぁ、杉下さんよ、この国で、何が起きたっていうんだい?」

阿部の言葉に、杉下は答えを返せない。
あまりに突然過ぎる、総理大臣直々のテラカオスバトルロワイアル法案の発表。
自分の目の前で奪われた二つの命。
人の命を易々と奪ってみせる高性能の首輪。
連絡のとれない警視庁や自分の相棒。
恐らく首輪をつけた参加者を除いて消えてしまった東京都の住人達。
天才的な頭脳を誇る杉下右京であっても、理解できない、不可解なことが多すぎる。



「現段階ではわかりません。
しかし、これが現実である以上……僕には主催者を許すことは到底できませんよ……!」
「おいおい、相手は総理大臣、この国一番のお偉いさんだぜ?逆らって大丈夫なのかい?」
「たとえ国家反逆罪に問われようと、目の前の悪事は無視できない……僕の悪い癖です」
「ひゅぅ……それじゃ俺も、片棒担がせてもらおうじゃないの。
いくらあんたでも一人じゃ無理だ。断っても勝手にホイホイついていくぜ」
「しかし……」
「俺のことは気にしなくていい。前科一犯も国家反逆罪も、同じようなもんだしな」
「……恐縮です」

頭を下げる杉下に対し、阿部は気にせずに手を差し出す。
これからよろしくという、握手の構え。
敵は、もはや警察や法でどうにかなるレベルではない程に強大だ。
だが、ここに二人の男が、確かに反逆の意思を固めた戦士達がいた。
その名は、阿部高和と杉下右京。

「ところで杉下さん、あんたなかなかいい体してるじゃないか」
「これでも、一通りの訓練は受けていますからね。できれば、武力行使はしたくないのですが……」
「 や ら な い か ?」
「……あなたも懲りない人ですねぇ」

【一日目・日中/世田谷区・公園付近】
【阿部高和@くそみそテクニック】
【状態】健康
【装備】無し
【道具】基本支給品一式、ランダム品1~3・本人未確認
【思考】
基本:主催者を倒し、日常を取り戻す
1:杉下右京に協力する
2:この国の現状を知りたい

【杉下右京@相棒】
【状態】健康
【装備】無し
【道具】基本支給品一式、ランダム品1~3・本人未確認
【思考】
基本:バトルロワイアルを破壊し、主催者を捕まえる
1:首輪や会場の状況などの情報収集
2:阿部高和と支給品の確認後、人の集まりそうな場所へ移動


025:タケシの本当は怖い家庭の長 投下順 027:もう一人の私へ
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初登場! 阿部高和 043:最終兵器主婦
初登場! 杉下右京 043:最終兵器主婦

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