国会議事堂。
数時間前、理不尽な殺人ゲームの参加者たちが集められていたこの場所に
今は野比のび太と東京都知事の屍だけが残されていた。
今は野比のび太と東京都知事の屍だけが残されていた。
沈黙が支配する議事堂。その扉が僅かな軋みとともに開かれ
雷雨のような幻覚を背に、一人の男が内へと入る。
雷雨のような幻覚を背に、一人の男が内へと入る。
神域の男・赤木しげるは、再び国会議事堂に舞い降りた。
(予想はしていたが……やはり無人か)
周囲を見渡しつつ、彼は床にうち捨てられている二つの骸に歩み寄る。
どちらの死体にも虫が集っている。この様子を見て、アカギは幽かに笑みを浮かべた。
どちらの死体にも虫が集っている。この様子を見て、アカギは幽かに笑みを浮かべた。
(おそらく今……奴等主催者は外に居る……!
この『レプリカの東京』の外側に……!)
この『レプリカの東京』の外側に……!)
自分がいるこの東京23区が、54名の参加者以外のすべての住人を追い出した『本物の東京』なのか
それとも本物の23区を模して精巧に造られた『偽物の東京』なのか
為し難いという点ではどちらも同じだが、アカギは恐らく後者であろうと踏んでいた。
それとも本物の23区を模して精巧に造られた『偽物の東京』なのか
為し難いという点ではどちらも同じだが、アカギは恐らく後者であろうと踏んでいた。
理由はまず一つ、葛飾区からこの国会議事堂に到るまでの道中で
彼は人どころか烏の一羽、虫の一匹目にしていない。
いくら自然に乏しい都内とはいえ、蟻の一匹もいないとは考えられない。
もしここが『本物の東京』だったとしたら、人を退去させることはできても
鳥や虫まで完全に消し去ることは不可能に近いだろう。
彼は人どころか烏の一羽、虫の一匹目にしていない。
いくら自然に乏しい都内とはいえ、蟻の一匹もいないとは考えられない。
もしここが『本物の東京』だったとしたら、人を退去させることはできても
鳥や虫まで完全に消し去ることは不可能に近いだろう。
だがそれよりも大きな理由は――
(この街からは、本物だという『生気』が感じられない――)
この東京は偽物であると、そうアカギの勘が告げているからだった。
それはただの勘に過ぎない。しかしアカギはその勘によって、数多の死地を切り抜けてきた。
その勘が彼に伝えている。ここは偽りの世界であると。
それはただの勘に過ぎない。しかしアカギはその勘によって、数多の死地を切り抜けてきた。
その勘が彼に伝えている。ここは偽りの世界であると。
(レプリカの世界など荒唐無稽……
だが瞬間移動や容量を無視した袋、絵札を実体にする盤なんてものがある以上
ここでは所謂常識なんてものは通用しない。
そしてこの虫――)
だが瞬間移動や容量を無視した袋、絵札を実体にする盤なんてものがある以上
ここでは所謂常識なんてものは通用しない。
そしてこの虫――)
アカギは再び遺体に目を向ける。
そこに群がっている蟲。ホルスの黒炎竜を除けば、彼がこのバトルロワイアルに招かれてから初めて目にする他の生物だった。
参加者以外に生命の存在しない会場。ならこの虫たちはどこからやって来たのか。
そこに群がっている蟲。ホルスの黒炎竜を除けば、彼がこのバトルロワイアルに招かれてから初めて目にする他の生物だった。
参加者以外に生命の存在しない会場。ならこの虫たちはどこからやって来たのか。
(『会場の外』……本物の世界からだ。
なら何時やって来たのか。
おそらくは、奴等……総理大臣たちが『外』へと渡る時……!)
なら何時やって来たのか。
おそらくは、奴等……総理大臣たちが『外』へと渡る時……!)
主催者はこの会場と外の世界を行き来することができる。
そうアカギは考えた。
そうアカギは考えた。
(どんな原理かは解らないが、空中に荷物を出現させたり俺を葛飾まで移動させたのと同じ仕掛けだろう……
そして今、奴等はこの会場の外から俺たちの様子を監視している……多分この首輪を通じて)
そして今、奴等はこの会場の外から俺たちの様子を監視している……多分この首輪を通じて)
首輪に自分たちの動向を監視する発信機が、そして恐らくは盗聴機能も仕込まれているだろうとアカギは推測していた。
(他者を死地に追い込んで自分は安全な所からそれを眺める
そんな奴等の考えそうなことだ。人を支配することしか考えていない、痩せた考え――――)
そんな奴等の考えそうなことだ。人を支配することしか考えていない、痩せた考え――――)
思考しながらも、アカギはデイパックから
ここに来るまでの間に調達した手斧を取り出した。
ここに来るまでの間に調達した手斧を取り出した。
(それにしてもこの世界……俺が見た限り食料や自動車等の交通手段は無いが
それ以外の日用雑貨は店に残してある。
支給品がハズレだった場合は自分で凶器を調達しろということか?
警察署や自衛隊駐屯地に行けば銃器も手に入るか?
いや、そこまで強力な武器を主催者が放置してあるとは考え難い。
それでは支給品の意味が無くなる。だが確認してみる必要はあるな)
それ以外の日用雑貨は店に残してある。
支給品がハズレだった場合は自分で凶器を調達しろということか?
警察署や自衛隊駐屯地に行けば銃器も手に入るか?
いや、そこまで強力な武器を主催者が放置してあるとは考え難い。
それでは支給品の意味が無くなる。だが確認してみる必要はあるな)
そう考えながらも、アカギは東京都知事の死体の首に向かって斧を振り下ろしていた。
何撃目かで首は胴から切り離され、とうに生命活動が止まった身体から血が流れ出す。
アカギは眉一つ動かすことなく、東京都知事の死体から首輪を外した。
何撃目かで首は胴から切り離され、とうに生命活動が止まった身体から血が流れ出す。
アカギは眉一つ動かすことなく、東京都知事の死体から首輪を外した。
(ククク……死体から首輪を回収しても爆発しない。
それに首輪の分解に使えるような工具類も店に置いてある。
俺たちに分解できないという技術の自信があるのか、それとも……)
それに首輪の分解に使えるような工具類も店に置いてある。
俺たちに分解できないという技術の自信があるのか、それとも……)
アカギは回収した首輪をデイパックに入れる。
その中には、手斧と一緒にくすねてきた工具箱も仕舞われていた。
その中には、手斧と一緒にくすねてきた工具箱も仕舞われていた。
「さて……」
首輪の回収を終えたアカギは、その場から立ち去ることなく議事堂内を調べ始めた。
探せば主催者の残していった痕跡、このゲームの破壊につながるヒントが見つかるかもしれない。
探索するには時間がない。あと数時間後に行われる放送で千代田区が禁止エリアに指定された場合
議事堂内を調べることは不可能になってしまう。
首輪の回収を終えたアカギは、その場から立ち去ることなく議事堂内を調べ始めた。
探せば主催者の残していった痕跡、このゲームの破壊につながるヒントが見つかるかもしれない。
探索するには時間がない。あと数時間後に行われる放送で千代田区が禁止エリアに指定された場合
議事堂内を調べることは不可能になってしまう。
だがアカギが国会に留まる理由はもう一つあった。
(俺の他にもいるはずだ……。首輪を求める者が――!)
首輪を解除するサンプルを求めてこの場所に来る者と接触する事
それがアカギがこの場に留まる二つ目の目的だった。
(俺の他にもいるはずだ……。首輪を求める者が――!)
首輪を解除するサンプルを求めてこの場所に来る者と接触する事
それがアカギがこの場に留まる二つ目の目的だった。
その者に首輪を外す技術や知識があるか
首輪を外して主催者と抗う意思を持っているのか
それはアカギにも分からない。
しかし首輪を求めてここに来るということは
首輪を外して主催者と抗う意思を持っているのか
それはアカギにも分からない。
しかし首輪を求めてここに来るということは
- 首輪を外そうとする意志がある
- そして、サンプルを得るために他者を殺害して首輪を奪うという選択をしなかった
以上の可能性が高い。
無駄にさ迷って危険人物に出くわすよりは、ここに留まって『首輪の解除』という志だけでも同じくする者を待つのが上策だろう。
無駄にさ迷って危険人物に出くわすよりは、ここに留まって『首輪の解除』という志だけでも同じくする者を待つのが上策だろう。
どの様な相手が来るか、そもそも誰かが来るのか、それすら賭けだった。
しかし、そもそも生きるということはすべてがギャンブルなのだ。
しかし、そもそも生きるということはすべてがギャンブルなのだ。
(ククククク……とりあえず便所にでも行って都知事の返り血を落とすか。
この血のせいで出会った相手に余計な誤解をされてもつまらないからな……)
未だ現れぬ参加者を待つアカギ。
その顔には、どこか悪魔を連想させる微笑が浮かんでいた。
この血のせいで出会った相手に余計な誤解をされてもつまらないからな……)
未だ現れぬ参加者を待つアカギ。
その顔には、どこか悪魔を連想させる微笑が浮かんでいた。
【千代田区永田町 国会議事堂内/一日目・午後】
【赤木しげる@アカギ ~闇に降り立った天才~ 】
[状態]:健康、首輪回収の際についた少々の返り血
[装備]:決闘盤(デュエルディスク)、DMカード数枚、ホルスの黒炎竜LV8
[道具]:基本支給品一式、手斧、工具一式、東京都知事の首輪
[思考・状況]
基本:殺し合いを潰し主催者を殺す
1:首輪を外す
2:第一回放送まで国会議事堂内に留まり参加者が来るか待つ
3:留まる間、国会議事堂内を調べる
※首輪に盗聴機能があると推測しています。
※主催者は会場の外にいると推測しています。
[状態]:健康、首輪回収の際についた少々の返り血
[装備]:決闘盤(デュエルディスク)、DMカード数枚、ホルスの黒炎竜LV8
[道具]:基本支給品一式、手斧、工具一式、東京都知事の首輪
[思考・状況]
基本:殺し合いを潰し主催者を殺す
1:首輪を外す
2:第一回放送まで国会議事堂内に留まり参加者が来るか待つ
3:留まる間、国会議事堂内を調べる
※首輪に盗聴機能があると推測しています。
※主催者は会場の外にいると推測しています。
現地調達品
| 060:手遅れの後悔 | 投下順 | 062:小さな死神 |
| 060:手遅れの後悔 | 時系列順 | 062:小さな死神 |
| 010:カオスなバトロワほど面白い | 赤木しげる | :[[]] |