「どうやら、完全に見失っちまったみたいだな……」
「さすがに、あれに走って追いつくというのは無茶な話ですよ」
「さすがに、あれに走って追いつくというのは無茶な話ですよ」
警部である右京と、普段いい男たちと秘密の場所で激しい運動をしている阿部。
二人の基礎体力はかなり高いのであるが、そんな二人をもってしても、逃走者を捕らえることはできなかった。
だが無理もないだろう。相手は、上半身は普通の主婦だが下半身が古代文明最強兵器なのだから。
二人の基礎体力はかなり高いのであるが、そんな二人をもってしても、逃走者を捕らえることはできなかった。
だが無理もないだろう。相手は、上半身は普通の主婦だが下半身が古代文明最強兵器なのだから。
「あれは一体、なんだったんだ?」
「わかりませんが、町を焼き払ってまわっていた点からして……
このバトルロワイアルに乗った、無差別殺人魔の可能性があります」
「わかりませんが、町を焼き払ってまわっていた点からして……
このバトルロワイアルに乗った、無差別殺人魔の可能性があります」
「仮に追いつけたとしても、俺たちの支給品じゃ取り押さえるのも大変そうだがな」
デイバックからにゅっと姿を現すのは巨大レンチ。
だが途中で止まり、そこで引っ込められた。出しきるとしまうのが面倒だからである。
そんな代物では、あの主婦を止めることができないことを、阿部は理解している。
止めたいという感情があってもだ。
だが途中で止まり、そこで引っ込められた。出しきるとしまうのが面倒だからである。
そんな代物では、あの主婦を止めることができないことを、阿部は理解している。
止めたいという感情があってもだ。
残念なことに、この二人は志とは裏腹に支給品に恵まれていない。
彼らは知る由もないが、このバトルロワイアルの支給品はかなり当たり外れが激しい。
運がよければ、核だのドラゴンだの強力なものが入っているが……
酷いとスリッパやまどかタイタスなど、どう考えても詰んでるものまで様々。
右京に支給された鎧は装備品としては当たりではあるが、使い手が非常に限られる。
それこそ常時鎧を装備している騎士の参加者ぐらいだろう。
彼らは知る由もないが、このバトルロワイアルの支給品はかなり当たり外れが激しい。
運がよければ、核だのドラゴンだの強力なものが入っているが……
酷いとスリッパやまどかタイタスなど、どう考えても詰んでるものまで様々。
右京に支給された鎧は装備品としては当たりではあるが、使い手が非常に限られる。
それこそ常時鎧を装備している騎士の参加者ぐらいだろう。
「早いとこ他の参加者見つけて、支給品わけてもらった方がよさそうだな」
「そうですねぇ……現地調達にも、限度がありそうです」
「そうですねぇ……現地調達にも、限度がありそうです」
姿を見失い、道具も満足に揃っていない状態では、あの主婦を捕らえるのは至難のわざだ。
そもそも何故二人が走って主婦を追いかけていたかというと、理由は単純だ。
会場に、車やバイクといった移動手段が見当たらなかった。これだけ。
さらにいえば、自動販売機の類もだ。
各地を隅々までまわったわけではないため、右京にも絶対にないという断言はできない。
しかし少なくとも、その数が少ないことは事実だ。
そもそも何故二人が走って主婦を追いかけていたかというと、理由は単純だ。
会場に、車やバイクといった移動手段が見当たらなかった。これだけ。
さらにいえば、自動販売機の類もだ。
各地を隅々までまわったわけではないため、右京にも絶対にないという断言はできない。
しかし少なくとも、その数が少ないことは事実だ。
国会議事堂に集められた参加者を、二人は確認しきれていない。
だがざわめき具合、椅子に座らされた参加者の間隔から推測すれば、その人数はおよそ50。
一人にランダムで支給品が最大3つ配られるのであれば、質はどうあれ支給品最大数は150。
ありえないが、全員のランダム支給品が1つであれば、最大数は50。
二人にはそれぞれ1つと2つのランダム支給品が配られているため、そんな極端なことはないとわかっているが……
平均すれば、各自2つ、約100種類の支給品。
外れを除いた実用性のある支給品に限れば、その数はさらにぐっと減る。
だがざわめき具合、椅子に座らされた参加者の間隔から推測すれば、その人数はおよそ50。
一人にランダムで支給品が最大3つ配られるのであれば、質はどうあれ支給品最大数は150。
ありえないが、全員のランダム支給品が1つであれば、最大数は50。
二人にはそれぞれ1つと2つのランダム支給品が配られているため、そんな極端なことはないとわかっているが……
平均すれば、各自2つ、約100種類の支給品。
外れを除いた実用性のある支給品に限れば、その数はさらにぐっと減る。
優勝を目指すにしろ、首輪を外すにしろ、道具は必須だ。
戦いは確実に起きる以上、武器がいる。疲労困憊の身体を癒す飲食物や医薬品もだ。
それらの現地調達には、右京が言うように限界がある。
金物屋に行けばある程度の刃物、老舗の鍛冶屋などであれば刀剣類もあるだろうが、銃はそうはいかない。
自衛隊、あるいは警察の押収した品物など手に入りそうな場所はあるにはあるが、必然場所が限られる。
仮にもここは東京都なのだから。
そもそもの問題として、現地のブツで倒せる相手がどれほどいるのだろうか?
先ほどの主婦が乗っていた兵器に一般的な銃は通用するのか?
比較的細めだった足の間接部分をピンポイントに狙撃するかバズーカをぶちこむしかないだろう。
高速移動する相手にそれができるか?まず無理だ。
結局のところ、危険な相手を倒すには支給された強力な武器でないと安定しない。
このバトルロワイアル参加者は文字通りピンからキリまでいる。
見せしめに殺されてしまった眼鏡の小学生や、普通のサラリーマンがいれば……
世界に災厄をもたらす神に、50億の民の命を背負う皇帝など凶悪すぎる面々もいる。
支給品の手助け無しに、それらと真っ向勝負ができるのは同レベルの人外くらいだ。
優勝を目指すなら、次々に弱い参加者を殺して支給品を奪う。
脱出や主催者を倒すなら、仲間を増やして支給品を分け合う。
極一部の例外をのぞき、集められた参加者は、誰かと接触する必要に迫られているのだ。
そして、狭いようで広い、広いようでせまいこの東京都において。
誰かと出会うには、自らの足であるかねばならない。
戦いは確実に起きる以上、武器がいる。疲労困憊の身体を癒す飲食物や医薬品もだ。
それらの現地調達には、右京が言うように限界がある。
金物屋に行けばある程度の刃物、老舗の鍛冶屋などであれば刀剣類もあるだろうが、銃はそうはいかない。
自衛隊、あるいは警察の押収した品物など手に入りそうな場所はあるにはあるが、必然場所が限られる。
仮にもここは東京都なのだから。
そもそもの問題として、現地のブツで倒せる相手がどれほどいるのだろうか?
先ほどの主婦が乗っていた兵器に一般的な銃は通用するのか?
比較的細めだった足の間接部分をピンポイントに狙撃するかバズーカをぶちこむしかないだろう。
高速移動する相手にそれができるか?まず無理だ。
結局のところ、危険な相手を倒すには支給された強力な武器でないと安定しない。
このバトルロワイアル参加者は文字通りピンからキリまでいる。
見せしめに殺されてしまった眼鏡の小学生や、普通のサラリーマンがいれば……
世界に災厄をもたらす神に、50億の民の命を背負う皇帝など凶悪すぎる面々もいる。
支給品の手助け無しに、それらと真っ向勝負ができるのは同レベルの人外くらいだ。
優勝を目指すなら、次々に弱い参加者を殺して支給品を奪う。
脱出や主催者を倒すなら、仲間を増やして支給品を分け合う。
極一部の例外をのぞき、集められた参加者は、誰かと接触する必要に迫られているのだ。
そして、狭いようで広い、広いようでせまいこの東京都において。
誰かと出会うには、自らの足であるかねばならない。
「では、行きましょうか」
「そうだな」
「そうだな」
二人の大人が、主婦を止めるという目的が果たせていなくても、移動していることは事実。
「あ……」
そして大人も子供も関係ないこのバトルロワイアルの地であれば、子供が一人で移動していても不思議ではない。
大人も動き、子供も動く。
目的地が同じ人が集まりそうな場所であるならば……
大人も動き、子供も動く。
目的地が同じ人が集まりそうな場所であるならば……
「おや?」
必然なのだ。
「首輪つき……ってことはあの子も参加者ってことか」
赤い糸などというかわいらしいものではなく、銀の首輪という冷たく悲しいもので拘束された哀れな参加者の出会いは。
近くのオープンカフェの椅子に腰掛け、出会った三人の参加者は軽く自己紹介を行った。
右京と阿部から見れば、この会場に飛ばされてから初めて目にした子供の参加者。
年齢はおそらく小学生程度、見せしめに殺されてしまった少年と同じくらいだろう。
あの子供以外にも、こんな幼い少女を狂ったバトルロワイアルに放り込んだ主催者への怒りがこみ上げてくるが、
二人はそれを抑えて、努めて落ち着いた優しい声で千秋に語りかける。相手は未知の恐怖に震える子供なのだから。
その表情は、柔らかい。
年齢はおそらく小学生程度、見せしめに殺されてしまった少年と同じくらいだろう。
あの子供以外にも、こんな幼い少女を狂ったバトルロワイアルに放り込んだ主催者への怒りがこみ上げてくるが、
二人はそれを抑えて、努めて落ち着いた優しい声で千秋に語りかける。相手は未知の恐怖に震える子供なのだから。
その表情は、柔らかい。
千秋から見れば、この会場に飛ばされてから初めて目にする人間の参加者。
そして、攻撃的でない……主催者に逆らおうと考えているであろう参加者。
その表情は、僅かに緊張している。
そして、攻撃的でない……主催者に逆らおうと考えているであろう参加者。
その表情は、僅かに緊張している。
(警戒されている……まあ、無理もないでしょうね)
その表情を読み取る右京だが、これは止む無しと考える。
いくら自分が警視庁の者だと言っても、それを証明する手帳その他の道具は全て主催者に奪われている。
加えて、子供にはあまりに酷なバトルロワイアルという非日常。
殺害された少年と歳が近いであろう少女が、次は自分が殺されるのではないかと、疑心暗鬼に陥ってもおかしくない。
だからこそ、右京も阿部も、彼女に警戒されないように接する。
いくら自分が警視庁の者だと言っても、それを証明する手帳その他の道具は全て主催者に奪われている。
加えて、子供にはあまりに酷なバトルロワイアルという非日常。
殺害された少年と歳が近いであろう少女が、次は自分が殺されるのではないかと、疑心暗鬼に陥ってもおかしくない。
だからこそ、右京も阿部も、彼女に警戒されないように接する。
「大丈夫ですよ。こんな殺し合いに乗るような人は、そうそういません。
君の探しているお姉さんも、きっと無事ですよ」
「あ……ありがとうな、おじさん。
あ……あのさ! 私は子供だし、支給品も外れで渡せるのこれぐらいしかないけど……!
私の姉さまたちを探すの手伝ってくれないか!?」
君の探しているお姉さんも、きっと無事ですよ」
「あ……ありがとうな、おじさん。
あ……あのさ! 私は子供だし、支給品も外れで渡せるのこれぐらいしかないけど……!
私の姉さまたちを探すの手伝ってくれないか!?」
やがて緊張が少し和らいだのか、薄い笑みを浮かべた後、少女は大人たちに何かを差し出す。
「これは……」
小さなプラスチック容器に入れられた、薄茶色の液体とそれに封をしている赤銀の包装。
右京も阿部も普段から飲んでいるわけではないが、それの正体はすぐにわかった。
スーパーでよく売られている、圧倒的知名度を誇る乳酸菌飲料だ。
確かに美味しいかもしれないが、このバトルロワイアルでは外れの支給品と言って間違いないだろう。
右京も阿部も普段から飲んでいるわけではないが、それの正体はすぐにわかった。
スーパーでよく売られている、圧倒的知名度を誇る乳酸菌飲料だ。
確かに美味しいかもしれないが、このバトルロワイアルでは外れの支給品と言って間違いないだろう。
「もちろん、協力しますよ」
「ああ。それにちょうど俺たちも走って喉が渇いていたところさ」
「ああ。それにちょうど俺たちも走って喉が渇いていたところさ」
ここで少女の願いを無碍につっぱねるのも、もとよりそのつもりもなかった二人は快諾をする。
そしてそれと同時に、子供なりに考えたのであろう贈り物も受け取った。
こんなものがなくても少女の願いは聞き届けたが、折角の心づかい。無駄にするのも忍びないと思ったのだ。
そしてそれと同時に、子供なりに考えたのであろう贈り物も受け取った。
こんなものがなくても少女の願いは聞き届けたが、折角の心づかい。無駄にするのも忍びないと思ったのだ。
付属されていたストローを突き刺し、銀の包装が突き破られる。
その瞬間に少女が笑ったのを、二人は見逃してしまった。
いや、右京が遅れて気がついたが、もう手遅れだ。
いや、右京が遅れて気がついたが、もう手遅れだ。
「……!? いけません阿部さん! この飲み物はっ…………!!!!」
右京が乳酸菌飲料を吐き捨て叫んだ直後……彼の口や鼻から真っ赤な血が溢れ出した。
「右京さん!?」
飲む直前だった乳酸菌飲料から阿部が口を離して驚く。
目の前の惨状、血を吐き散らす右京と彼の制止。これから導かれる結論は……
目の前の惨状、血を吐き散らす右京と彼の制止。これから導かれる結論は……
「ちっ!」
だがその結論に辿りついた時には、既に少女が後ろに飛びのき奇妙な銃を構えている。
支給品が外れだけだというのも嘘だったのだ。ここまでくれば、もはや疑う余地もない。
支給品が外れだけだというのも嘘だったのだ。ここまでくれば、もはや疑う余地もない。
「死ねっ!」
「……!」
「……!」
千秋が銃を発射するのと、すでにうつぶせに倒れていた右京が自分の開いたデイバックを投げるのは同時だった。
もはや薄れゆく意識の中、直感であの銃は危険物の類だとわかったのだ。
もはや薄れゆく意識の中、直感であの銃は危険物の類だとわかったのだ。
開かれたままのデイバックは中身をぶちまけながら宙を舞う。
飛び出しコロコロと転がる袋入りのコロッケパン。
そして……
飛び出しコロコロと転がる袋入りのコロッケパン。
そして……
「な……また化け物!?」
阿部の眼前に墜落するかたちで現れた騎士鎧。
どことなく禍々しささえ感じるそれは、右京の狙い通り見事に銃の光線を防ぐ盾となった。
鎧に意思があるとは思えないが、千秋には僅かにその鎧が、自分で動いたように見えた。
自分が遭遇したディアボロモンはこの銃で倒せなかったように、この鎧も傷こそついたが消滅する気配はない。
そしてなにより、鎧が間に入ったせいで後ろの阿部はまだ生きているのだ。
どことなく禍々しささえ感じるそれは、右京の狙い通り見事に銃の光線を防ぐ盾となった。
鎧に意思があるとは思えないが、千秋には僅かにその鎧が、自分で動いたように見えた。
自分が遭遇したディアボロモンはこの銃で倒せなかったように、この鎧も傷こそついたが消滅する気配はない。
そしてなにより、鎧が間に入ったせいで後ろの阿部はまだ生きているのだ。
「くそ……っ!」
右京に毒を飲ませることができたのも、光線銃を先に撃てたのも、相手の油断があってこそだ。
真正面から、あのがたいのいい男と鎧の化け物を相手にできるほど、しようと思うほど千秋は強くなかった。
目的だった支給品の強奪もせずに、彼女は脱兎のごとく逃げ出した。
真正面から、あのがたいのいい男と鎧の化け物を相手にできるほど、しようと思うほど千秋は強くなかった。
目的だった支給品の強奪もせずに、彼女は脱兎のごとく逃げ出した。
「待て! くそっ右京さん!」
阿部が追いかけようとするが、倒れたまま動かない右京に後ろ髪を引かれてしまう。
結果として彼は、千秋の追跡よりも右京の安否確認を優先した。
結果として彼は、千秋の追跡よりも右京の安否確認を優先した。
「…………くそ!」
だが、彼の願い空しく、警視庁が誇る稀有な頭脳の持ち主だった杉下右京は……
呼びかけに応じることも、身体を動かすことも、二度となかった。
呼びかけに応じることも、身体を動かすことも、二度となかった。
「……」
カフェにあったペーパータオルで右京の血をふき取り、その遺体を店内の椅子に安置したあと……
阿部高和は形見の支給品を手に、無言で歩き始めた。
阿部高和は形見の支給品を手に、無言で歩き始めた。
あの時、右京が叫ばなければ、おそらく自分も死んでいただろう。
彼が最後の力を振り絞りデイバッグを投げなければ、やはり死んでいただろう。
後悔の念が、渦巻く。
もう少し警戒しておくべきだった……?
だがそれは難しかっただろう。自分よりも遥かに頭の切れるあの杉下右京でさえ、あの少女の本性に気がつけなかったのだから。
彼は犯罪者の心理を読み解くことには優れていたが、さすがに子供の心までは読めなかった?
違う。
彼にも、杉下右京にもまだ甘さがあったのだ。こんな小さな子供が、まさか殺し合いに乗っているわけがない。そう思った……
いや、そう願っていたのだろう。醜く愚かで身勝手な大人の犯罪者と違って、子供は純粋無垢であると。
そんな彼の願いを、優しさをあの少女は……南千秋は裏切ったのだ。
今にして思えば、彼女はその見た目に反して中々狡猾だったといえる。
怯えたフリをして、姉を探してるいたいけな小学生を完全に演じきっていた。
姉の名前は口にしていないところからすると、本当に姉がいるのかどうか、そもそも彼女自身本名か怪しい。
そして渡された毒入り飲料。外れと見せかけての、立派な凶器。
落ち着いて考えれば、非力な者が誰かを殺すのに毒殺は常套手段である。
さらに、毒殺に失敗した場合の光線銃。
デイバックの中ではなく、予め服の中に忍ばせてあったのだろう。
狙撃が失敗したとみるや、追撃をしかけずにすぐに退いた。
2発目以降も撃ってきたら、こちらも負傷覚悟でその頭にレンチを振り下ろしてやったというのに。
彼が最後の力を振り絞りデイバッグを投げなければ、やはり死んでいただろう。
後悔の念が、渦巻く。
もう少し警戒しておくべきだった……?
だがそれは難しかっただろう。自分よりも遥かに頭の切れるあの杉下右京でさえ、あの少女の本性に気がつけなかったのだから。
彼は犯罪者の心理を読み解くことには優れていたが、さすがに子供の心までは読めなかった?
違う。
彼にも、杉下右京にもまだ甘さがあったのだ。こんな小さな子供が、まさか殺し合いに乗っているわけがない。そう思った……
いや、そう願っていたのだろう。醜く愚かで身勝手な大人の犯罪者と違って、子供は純粋無垢であると。
そんな彼の願いを、優しさをあの少女は……南千秋は裏切ったのだ。
今にして思えば、彼女はその見た目に反して中々狡猾だったといえる。
怯えたフリをして、姉を探してるいたいけな小学生を完全に演じきっていた。
姉の名前は口にしていないところからすると、本当に姉がいるのかどうか、そもそも彼女自身本名か怪しい。
そして渡された毒入り飲料。外れと見せかけての、立派な凶器。
落ち着いて考えれば、非力な者が誰かを殺すのに毒殺は常套手段である。
さらに、毒殺に失敗した場合の光線銃。
デイバックの中ではなく、予め服の中に忍ばせてあったのだろう。
狙撃が失敗したとみるや、追撃をしかけずにすぐに退いた。
2発目以降も撃ってきたら、こちらも負傷覚悟でその頭にレンチを振り下ろしてやったというのに。
二段構えの殺人方法、あるいはまだ奥の手があったのかもしれないが……
その容姿を利用して相手を油断させ、息の根を止める小さな殺人鬼。
あの乳酸菌飲料は確か5本セットのはず。自分達に2本使われて残りはおそらく3本。
さらに犠牲者が増える可能性が、もうすでに出てしまっている可能性もある。
その容姿を利用して相手を油断させ、息の根を止める小さな殺人鬼。
あの乳酸菌飲料は確か5本セットのはず。自分達に2本使われて残りはおそらく3本。
さらに犠牲者が増える可能性が、もうすでに出てしまっている可能性もある。
「……止めねえとな、なんとしても!」
憎むべきはあの少女か、それとも主催者なのか……まだ頭の整理はついていない。
しかしそれでも、一人残された男は立ち止まることはなかった。
自分だけではない、いい男だった杉下右京の遺志も継がねばならないから……
しかしそれでも、一人残された男は立ち止まることはなかった。
自分だけではない、いい男だった杉下右京の遺志も継がねばならないから……
【一日目・午後/中野区・カフェ周辺】
【阿部高和@くそみそテクニック】
【状態】健康、若干の混乱、僅かに疑心暗鬼
【装備】無し
【道具】基本支給品一式×2、すごく……大きいレンチ、コロッケパン×2、デュラハン(再損傷)
【思考】
基本:主催者を倒し、日常を取り戻す
0:信用できる参加者を探し、南千秋と主婦(フグ田サザエ)の危険性を伝える
1:参加者の容姿や言動に油断しないようにする
2:この国の現状を知りたい
3:準備が整えば、千秋とサザエをなんとしてでも止める
※フグ田サザエ、南千秋を危険人物と判断しました
※南千秋に姉がいることを聞かされましたが、半信半疑です
【阿部高和@くそみそテクニック】
【状態】健康、若干の混乱、僅かに疑心暗鬼
【装備】無し
【道具】基本支給品一式×2、すごく……大きいレンチ、コロッケパン×2、デュラハン(再損傷)
【思考】
基本:主催者を倒し、日常を取り戻す
0:信用できる参加者を探し、南千秋と主婦(フグ田サザエ)の危険性を伝える
1:参加者の容姿や言動に油断しないようにする
2:この国の現状を知りたい
3:準備が整えば、千秋とサザエをなんとしてでも止める
※フグ田サザエ、南千秋を危険人物と判断しました
※南千秋に姉がいることを聞かされましたが、半信半疑です
「くそ……しくじった!」
阿部高和より少し離れた建物内で、千秋は小さく舌打った。
遭遇した二人組は、自分が少し怯えた様子で接すればすぐに隙を見せた。
彼らがあの化け物、ディアボロモンとも戦えるような力の持ち主であれば、素直に協力要請はしたが、
多少がたいがいい男と、警察ごときではあの化け物は倒せない。
そう踏んだからこそ、作戦を殺害に切り替え、支給品の奪取を目的としたのだが。
遭遇した二人組は、自分が少し怯えた様子で接すればすぐに隙を見せた。
彼らがあの化け物、ディアボロモンとも戦えるような力の持ち主であれば、素直に協力要請はしたが、
多少がたいがいい男と、警察ごときではあの化け物は倒せない。
そう踏んだからこそ、作戦を殺害に切り替え、支給品の奪取を目的としたのだが。
(まさか、鞄の中から化け物が出てくるなんて……
いや、この光線銃だって普通じゃないんだ。何が支給されててもおかしくないな……)
いや、この光線銃だって普通じゃないんだ。何が支給されててもおかしくないな……)
思わず、あの騎士鎧に恐怖して逃げ出してしまい、支給品を奪い損ねてしまった。
しかも片方の男はまだ生きている。
自分が優勝を目指していることを複数の参加者に言いふらされては、たまったものじゃない。
毒殺も銃殺も、相手が油断しているからこそ千秋でも可能なのだ。
相手が警戒心を抱いてしまっては、かなり厳しい。
しかも片方の男はまだ生きている。
自分が優勝を目指していることを複数の参加者に言いふらされては、たまったものじゃない。
毒殺も銃殺も、相手が油断しているからこそ千秋でも可能なのだ。
相手が警戒心を抱いてしまっては、かなり厳しい。
(でも、私とちょっとワルな感じがするあの男の話とじゃ……
十中八九、まず私の話を信じてくれるはずだ。それこそ、猫をかぶってやればいい……
一人にばれた程度じゃ、まだ問題ないはずだ……)
十中八九、まず私の話を信じてくれるはずだ。それこそ、猫をかぶってやればいい……
一人にばれた程度じゃ、まだ問題ないはずだ……)
阿部を追うことも考えたが、もしあの化け物が自分に敵意をもってやってきたら危険だ。
毒入り飲料は、実際にその効果を見て、人間相手ならまず必殺の威力だとわかったが、化け物相手はわからない。
光線銃は、確かに強力だが撃つ前に払われる可能性もあるし、直撃してもあの鎧は耐えていた。
確実に優勝を目指すには、やはりもう少し支給品を集めたいというのが千秋の本音だった。
毒入り飲料は、実際にその効果を見て、人間相手ならまず必殺の威力だとわかったが、化け物相手はわからない。
光線銃は、確かに強力だが撃つ前に払われる可能性もあるし、直撃してもあの鎧は耐えていた。
確実に優勝を目指すには、やはりもう少し支給品を集めたいというのが千秋の本音だった。
(ん?)
そんな千秋に、天からの贈り物か……いや、この場合悪魔の贈り物と言ったほうが正しいか。
脱ぎ散らかされた衣服、その中にデイバッグが埋もれているのが目に入った。
かつて、正気を失っていた参加者の一人、脱衣拳が放置していったものだ。
脱ぎ散らかされた衣服、その中にデイバッグが埋もれているのが目に入った。
かつて、正気を失っていた参加者の一人、脱衣拳が放置していったものだ。
(罠……? 違うな、服も散らばってるし……まさかシャワーでも浴びに?
……とりあえず、いただいてさっさとおさらばだ。中身はあとで確認すればいい……)
……とりあえず、いただいてさっさとおさらばだ。中身はあとで確認すればいい……)
小さな死神は、脱衣拳の支給品を奪い去ると、素早く去っていった。
次の獲物、あるいは強そうな参加者を求めて……
次の獲物、あるいは強そうな参加者を求めて……
【一日目・午後/中野区・住宅街】
【南千秋@みなみけ】
【状態】精神が若干不安定、小疲労
【装備】スーパー光線銃@スクライド、毒入りヤクルト3本@カオスロワ
【道具】基本支給品一式×2、不明支給品0~1、脱衣拳の不明支給品1~3
【思考】
基本:優勝してみなみけ三姉妹の日常を取り戻す
0:ディアボロモンを倒せそうな参加者を探す。弱そうな参加者は殺害し支給品を奪う
1:真正面から殺しはしない。幼い外見を利用する。
2:優勝はするがカナとハルカは殺されてほしくない。
3:阿部高和を警戒
※脱衣拳の服は放置されました
【南千秋@みなみけ】
【状態】精神が若干不安定、小疲労
【装備】スーパー光線銃@スクライド、毒入りヤクルト3本@カオスロワ
【道具】基本支給品一式×2、不明支給品0~1、脱衣拳の不明支給品1~3
【思考】
基本:優勝してみなみけ三姉妹の日常を取り戻す
0:ディアボロモンを倒せそうな参加者を探す。弱そうな参加者は殺害し支給品を奪う
1:真正面から殺しはしない。幼い外見を利用する。
2:優勝はするがカナとハルカは殺されてほしくない。
3:阿部高和を警戒
※脱衣拳の服は放置されました
【毒入りヤクルト@カオスロワ】
6期で登場したその名前の通りの支給品。
正体は不明だが、超即効性かつ強烈な猛毒が使用されており、少し飲むだけで竜人クラスでも死に至る。
だがあくまで人間かそれに近い存在にのみ有効。人外には通用しない可能性が高い。
また人間相手であっても、普段から毒に慣れているなどの特殊な人物には効かないものと思われる。
初期支給本数は5本。
あくまでカオスロワの生み出した産物である。現実の物はおいしく飲んで欲しい。
6期で登場したその名前の通りの支給品。
正体は不明だが、超即効性かつ強烈な猛毒が使用されており、少し飲むだけで竜人クラスでも死に至る。
だがあくまで人間かそれに近い存在にのみ有効。人外には通用しない可能性が高い。
また人間相手であっても、普段から毒に慣れているなどの特殊な人物には効かないものと思われる。
初期支給本数は5本。
あくまでカオスロワの生み出した産物である。現実の物はおいしく飲んで欲しい。
【杉下右京@相棒 死亡確認】残り49名
| 061:狂人は静かに笑う | 投下順 | 063:母の来襲 |
| 061:狂人は静かに笑う | 時系列順 | 063:母の来襲 |
| 043:最終兵器主婦 | 阿部高和 | 074:職能の有効活用 |
| 043:最終兵器主婦 | 杉下右京 | 死亡 |
| 024:サマーウォーズ・ゲーム | 南千秋 | 078:戦乱 その忌むべき者より、世界を救え(前編) |