魔理沙「……折り入って話がある」
先のファイトから数日後、憔悴し切った魔理沙が寺子屋を訪れた。
慧音「いや、本人に食えと言われれば食わんではないがな……」
魔理沙の頼みは、魔梨沙の歴史を食って消す事。
確かに慧音が食らい、阿求の幻想郷縁起から魔梨沙の記述を削れば、人の口の端に上る事もなくなるだろう。
しかしそれも万全ではない。
それでも憔悴した魔理沙を見ていると、出来る限りの事をして助けてやるべきかと、迷いは生じる。
映姫「話は聞かせてもらいました」
小町「……やあ、悪いね……四季様がノリノリで……」
魔理沙「閻魔……?」
慧音「むっ……」
慧音が憂慮した筆頭が、映姫である。
歴史を食っても事実は消えない。
そして映姫の裁きを受ける時に、逃げ続けてきた物が一気に魂に圧し掛かる。
その映姫自らが来てしまった以上、食って消す選択肢はもう無い――慧音はそう判断した。
映姫「霧雨魔理沙、己の過去という物は、良かれ悪しかれ恣に弄れる物ではありません」
初手からお説教モード全開の映姫に、魔理沙は露骨に嫌な顔をし、小町と慧音は小さく溜息を吐く。
過去と向き合うのは善行である、過去を省みる事で得る物もある、とお小言を繰り返し――
映姫「それに、思い出してみなさい。過去において、あなたは自らの師にも勝ったではないですか」
魔理沙「!!」
ただでさえ弱っていた所に、魂の抵抗力を削ぐ映姫のお説教が加わっていた。
だから魔理沙は、思い出せとの言葉に素直に従い、
黒歴史中の黒歴史とも言える『うふふ笑い』を想起してしまった。
魔理沙「うぁ……あ……あぁぁぁぁ!!」
魔理沙の上げる悲痛な叫びに応えるように、寺子屋に巨大な影が落ちる。
パチェ「『そこまでよ!』 魔理沙!私の声が聞こえる!?
ウフフだろうとガハハだろうと魔理沙は魔理沙よ、そうでしょう!?」
フラン「そうだよ、元気じゃない魔理沙なんて、魔理沙じゃない!」
咲夜「人に語れぬ過去もまた、女の魅力よ」
美鈴「そうです!お嬢様だって昔はカリスマ全開でしたが、
ブレイクした今は過去に縋ることなく元気に生きていますよ!」
レミィ「最後ちょっと待て」
魔理沙「お前ら……」
紅魔ロボのスピーカーから五人の声が浴びせられた。
各々勝手な言い草だったが、それが逆に、過去に拘る事の空しさを魔理沙に気付かせる。
パチェ「私は……私は、あなたがどんな風になっても……魔理沙の事が好きよ!」
魔理沙「ぶっ!」
……巨大ロボのスピーカーというのは、それはまあ巨大なわけで、指向性がある筈もなく、
魔理沙を元気付けようとしたパチュリーの心からの告白は、
寺子屋はおろか人里を超え、周辺一帯に響き渡った。
先のファイトから数日後、憔悴し切った魔理沙が寺子屋を訪れた。
慧音「いや、本人に食えと言われれば食わんではないがな……」
魔理沙の頼みは、魔梨沙の歴史を食って消す事。
確かに慧音が食らい、阿求の幻想郷縁起から魔梨沙の記述を削れば、人の口の端に上る事もなくなるだろう。
しかしそれも万全ではない。
それでも憔悴した魔理沙を見ていると、出来る限りの事をして助けてやるべきかと、迷いは生じる。
映姫「話は聞かせてもらいました」
小町「……やあ、悪いね……四季様がノリノリで……」
魔理沙「閻魔……?」
慧音「むっ……」
慧音が憂慮した筆頭が、映姫である。
歴史を食っても事実は消えない。
そして映姫の裁きを受ける時に、逃げ続けてきた物が一気に魂に圧し掛かる。
その映姫自らが来てしまった以上、食って消す選択肢はもう無い――慧音はそう判断した。
映姫「霧雨魔理沙、己の過去という物は、良かれ悪しかれ恣に弄れる物ではありません」
初手からお説教モード全開の映姫に、魔理沙は露骨に嫌な顔をし、小町と慧音は小さく溜息を吐く。
過去と向き合うのは善行である、過去を省みる事で得る物もある、とお小言を繰り返し――
映姫「それに、思い出してみなさい。過去において、あなたは自らの師にも勝ったではないですか」
魔理沙「!!」
ただでさえ弱っていた所に、魂の抵抗力を削ぐ映姫のお説教が加わっていた。
だから魔理沙は、思い出せとの言葉に素直に従い、
黒歴史中の黒歴史とも言える『うふふ笑い』を想起してしまった。
魔理沙「うぁ……あ……あぁぁぁぁ!!」
魔理沙の上げる悲痛な叫びに応えるように、寺子屋に巨大な影が落ちる。
パチェ「『そこまでよ!』 魔理沙!私の声が聞こえる!?
ウフフだろうとガハハだろうと魔理沙は魔理沙よ、そうでしょう!?」
フラン「そうだよ、元気じゃない魔理沙なんて、魔理沙じゃない!」
咲夜「人に語れぬ過去もまた、女の魅力よ」
美鈴「そうです!お嬢様だって昔はカリスマ全開でしたが、
ブレイクした今は過去に縋ることなく元気に生きていますよ!」
レミィ「最後ちょっと待て」
魔理沙「お前ら……」
紅魔ロボのスピーカーから五人の声が浴びせられた。
各々勝手な言い草だったが、それが逆に、過去に拘る事の空しさを魔理沙に気付かせる。
パチェ「私は……私は、あなたがどんな風になっても……魔理沙の事が好きよ!」
魔理沙「ぶっ!」
……巨大ロボのスピーカーというのは、それはまあ巨大なわけで、指向性がある筈もなく、
魔理沙を元気付けようとしたパチュリーの心からの告白は、
寺子屋はおろか人里を超え、周辺一帯に響き渡った。
次の瞬間、
寺子屋内部から放たれたマスパと、
魔法の森から飛んできたゴリアテ用大剣と
山から放たれた巨大ミサイルにより、
紅魔ロボは大破した。
寺子屋内部から放たれたマスパと、
魔法の森から飛んできたゴリアテ用大剣と
山から放たれた巨大ミサイルにより、
紅魔ロボは大破した。
結果:強制的に魔理沙を元気にさせた紅魔ロボの勝ち
なお、一部始終を見ていた慧音が紅魔ロボの勝利を認定しようとした際に、
元気にしたのはロボではなく中の人間ではないかと一悶着あったのだが、
早苗「パイロットあっての巨大ロボ!人の心を加えて初めて完成するのです!
自動操縦のモビルドールなんかにロマンはありません!」
という早苗の熱弁の前半部分により、紅魔ロボの勝ちが認められた。
元気にしたのはロボではなく中の人間ではないかと一悶着あったのだが、
早苗「パイロットあっての巨大ロボ!人の心を加えて初めて完成するのです!
自動操縦のモビルドールなんかにロマンはありません!」
という早苗の熱弁の前半部分により、紅魔ロボの勝ちが認められた。
小町「……それで四季様、ちゃんとやる気はあったんですか?」
映姫「もちろんありましたよ。彼女が真摯に過去と向き合えば、全てに於いて善い方向に変われたのですが」
小町「……それ、無理だって解ってたんじゃ……」
映姫「少しでも可能性があるのならばそれに賭けるのもまた、人の道という物でしょう」
映姫「もちろんありましたよ。彼女が真摯に過去と向き合えば、全てに於いて善い方向に変われたのですが」
小町「……それ、無理だって解ってたんじゃ……」
映姫「少しでも可能性があるのならばそれに賭けるのもまた、人の道という物でしょう」