ここは幻想郷の、とある道端。
咲夜さん的な意味でないまな板に乗った因幡てゐと、巨大鍋の中で丸くなって眠る橙。
橙の周りには猫が寄り集まっており、既に大盛り猫鍋を越えている。
咲夜さん的な意味でないまな板に乗った因幡てゐと、巨大鍋の中で丸くなって眠る橙。
橙の周りには猫が寄り集まっており、既に大盛り猫鍋を越えている。
てゐ「これは楽勝かしら?」
審判である四季映姫が二人を前に出した勝負の条件は、
「今夜ここを通る人間を幸せにする事」、
追加条件として、何故かまな板と鍋が用意され、各々乗せられてここに至る。
審判である四季映姫が二人を前に出した勝負の条件は、
「今夜ここを通る人間を幸せにする事」、
追加条件として、何故かまな板と鍋が用意され、各々乗せられてここに至る。
てゐ「審判ともあろうお方が、よもや私の能力をお忘れとは…」
真っ黒い含み笑いをするてゐ。まさにこの勝負のためにあるような能力の保有者である。
当然、妖怪や妖精、毛玉に魔女といった「人間以外」は全スルー。
てゐは勝負の前に、人間のみをカウントする事をこっそり確認済みだ。
対する橙は、てゐがスルーした連中を相手にひとしきり遊び回り、疲れて眠っている。
負ける要素の無い圧倒的優位。
てゐ「しかも今回は賞品付き…山の幸フルコースがタダでもらえるなんて、これも日頃の行いね」
誰も居ないのを良い事に、真っ黒な笑いが止まらないてゐ。
しかし、すぐに怪しげな気配を感じて笑いを止め、耳を起こす。
真っ黒い含み笑いをするてゐ。まさにこの勝負のためにあるような能力の保有者である。
当然、妖怪や妖精、毛玉に魔女といった「人間以外」は全スルー。
てゐは勝負の前に、人間のみをカウントする事をこっそり確認済みだ。
対する橙は、てゐがスルーした連中を相手にひとしきり遊び回り、疲れて眠っている。
負ける要素の無い圧倒的優位。
てゐ「しかも今回は賞品付き…山の幸フルコースがタダでもらえるなんて、これも日頃の行いね」
誰も居ないのを良い事に、真っ黒な笑いが止まらないてゐ。
しかし、すぐに怪しげな気配を感じて笑いを止め、耳を起こす。
??「……うう……」
弱者に強いてゐには、それが弱りきった人間の少女が発する声だと一瞬で解った。
普段なら絶好のカモと思う所だが、今日は別の意味で絶好のカモだ。
橙が気付いて目を覚まさぬ内に勝負をつけようと、まな板を軽く叩くてゐ。
夜の闇の中で、音に気付いて顔を上げる少女。ふらふらと、近付いて来る。
普段なら絶好のカモと思う所だが、今日は別の意味で絶好のカモだ。
橙が気付いて目を覚まさぬ内に勝負をつけようと、まな板を軽く叩くてゐ。
夜の闇の中で、音に気付いて顔を上げる少女。ふらふらと、近付いて来る。
てゐ「そうそう、私に近付けば、あなたは幸せになるわー」
既に賞品をうどんげに見せびらかしながら食べる様子まで頭に描ききったてゐ。
近寄る少女に小声で呼びかけると、少女は足を速め…
既に賞品をうどんげに見せびらかしながら食べる様子まで頭に描ききったてゐ。
近寄る少女に小声で呼びかけると、少女は足を速め…
霊夢「…ウサギ…?」
てゐ「こんばんは、霊夢。ずいぶんやつれてるけど…すぐに私が幸せにしてあげるわー」
霊夢「…ウサギ…」
てゐ「?」
いけ好かない腋巫女だが、人間は人間だ。ちょっとだけ幸せにしてやって…
と、てゐが能力を使おうとした刹那、霊夢の手が光の速さでてゐの耳を掴む。
てゐ「こんばんは、霊夢。ずいぶんやつれてるけど…すぐに私が幸せにしてあげるわー」
霊夢「…ウサギ…」
てゐ「?」
いけ好かない腋巫女だが、人間は人間だ。ちょっとだけ幸せにしてやって…
と、てゐが能力を使おうとした刹那、霊夢の手が光の速さでてゐの耳を掴む。
てゐ「え…?ちょっと、何するのよ!すぐ幸せにしてあげるから…」
完全に油断していたてゐの耳に聞こえたのは、霊夢の腹が鳴る音だった。
霊夢「ええ、すぐ幸せになれそうね…一週間ぶりの食事ですもの!」
てゐ「!!!???」
強烈な殺気、というか食い気を放つ霊夢。
橙の周りに居た猫達は、毛を逆立てる事さえせず、一瞬で飛び起きて走り去る。
てゐ「ま、待って!すぐ私の力で幸せにするから…木の実とか山菜とか食べ放題よ!」
霊夢「あぁ~~~~~~?」
メインヒロインとは到底思えない、腹の底から響くドス黒い声。てゐの表情が完全に凍りついた。
完全に油断していたてゐの耳に聞こえたのは、霊夢の腹が鳴る音だった。
霊夢「ええ、すぐ幸せになれそうね…一週間ぶりの食事ですもの!」
てゐ「!!!???」
強烈な殺気、というか食い気を放つ霊夢。
橙の周りに居た猫達は、毛を逆立てる事さえせず、一瞬で飛び起きて走り去る。
てゐ「ま、待って!すぐ私の力で幸せにするから…木の実とか山菜とか食べ放題よ!」
霊夢「あぁ~~~~~~?」
メインヒロインとは到底思えない、腹の底から響くドス黒い声。てゐの表情が完全に凍りついた。
霊夢「テメェはウサギだろうが!ウサギは腹を空かせた旅人のために、
火に飛び込むのが道なんだよぉぉぉ!」
我欲のために仏様の説話をする腋巫女。これほど有難くないお話も無いだろう。
てゐ「いやぁぁぁぁぁぁ!!ウサギじゃなくて妖怪!妖獣!
今なら漏れなく最大限に幸せにしてあげるからぁぁぁ!」
霊夢「よく言った!今すぐこの空腹を癒やすため、我が血肉となれぇぇぇ!」
てゐ「人の話を聞けぇぇぇぇ!!」
火に飛び込むのが道なんだよぉぉぉ!」
我欲のために仏様の説話をする腋巫女。これほど有難くないお話も無いだろう。
てゐ「いやぁぁぁぁぁぁ!!ウサギじゃなくて妖怪!妖獣!
今なら漏れなく最大限に幸せにしてあげるからぁぁぁ!」
霊夢「よく言った!今すぐこの空腹を癒やすため、我が血肉となれぇぇぇ!」
てゐ「人の話を聞けぇぇぇぇ!!」
必死、いや、決死の抵抗の末、服を奪われ耳の毛をむしられたてゐ。
霊夢鮫による因幡の白兎の再現だ。
霊夢「ちょっと獣臭いけど、なかなかいけるじゃない」
脱兎のてゐが振り向きざまに目にしたのは、人ならぬ怪異が己の服を食らう様だった。
霊夢鮫による因幡の白兎の再現だ。
霊夢「ちょっと獣臭いけど、なかなかいけるじゃない」
脱兎のてゐが振り向きざまに目にしたのは、人ならぬ怪異が己の服を食らう様だった。
霊夢「さて…次はこっちの鍋ね」
ギギギギギ…目を覚まし、鍋の縁に隠れて涙目で見守っていた橙の耳には、
振り向く少女の首骨が軋む音すら聞こえた気がした。
ギギギギギ…目を覚まし、鍋の縁に隠れて涙目で見守っていた橙の耳には、
振り向く少女の首骨が軋む音すら聞こえた気がした。
霊夢「怖くないわよ、仔猫ちゃぁん…私と一つになりましょうねぇ…」
違う意味ならパチュ様が助けてくれたかも知れないが、当然意味はてゐに言ったのと同一だ。
橙「ら…らんしゃまぁぁぁぁぁぁ!!!」
霊夢「逃がすかぁぁぁ!」
「飛翔毘沙門天」を使うまでして必死に逃げる橙、既にスペカを使うだけの理性も無い霊夢。
橙が森の中で木の実を落としながら飛べば、霊夢は追う勢いを緩めずにそれを掴んで食らう。
霊夢「うーまーいーぞぉーーー!」
橙「うわぁぁぁぁぁぁん!」
違う意味ならパチュ様が助けてくれたかも知れないが、当然意味はてゐに言ったのと同一だ。
橙「ら…らんしゃまぁぁぁぁぁぁ!!!」
霊夢「逃がすかぁぁぁ!」
「飛翔毘沙門天」を使うまでして必死に逃げる橙、既にスペカを使うだけの理性も無い霊夢。
橙が森の中で木の実を落としながら飛べば、霊夢は追う勢いを緩めずにそれを掴んで食らう。
霊夢「うーまーいーぞぉーーー!」
橙「うわぁぁぁぁぁぁん!」
結局、成り行きを見守っていた映姫が、霊夢の歓喜の叫びを聞いて橙を勝者に認定、
元々このために用意していた山の幸を霊夢にあてがい、それを食らう間に橙は泣いて逃げ帰った。
元々このために用意していた山の幸を霊夢にあてがい、それを食らう間に橙は泣いて逃げ帰った。
てゐ「お師匠~…」
永琳「あらあら。たまにはいい薬になったんじゃない?」
永琳「あらあら。たまにはいい薬になったんじゃない?」
橙「らんしゃまぁぁぁ」
藍「よしよし…橙、明日から遊びに出る時は、この三枚のお札を持って行くんですよ」
藍「よしよし…橙、明日から遊びに出る時は、この三枚のお札を持って行くんですよ」