~博麗神社 建物内~
慧音「邪魔するぞ。今回ファイトの会場はここだな?」
博麗神社の建物内、ごく普通の居住区画を指定され、やって来た慧音。
襖を開くと、そこには炬燵にあたる魔理沙だけが居た。
それを見た慧音は、腑に落ちないといった顔で炬燵に取り付く。
慧音「対戦相手と、家主の霊夢はどうした?」
魔理沙「霊夢なら年越しで何だか神事をやるんで外に居るぜ。あと……」
慧音「なるほど、たまには巫女らしい事をする(ふにっ)――わぁっ!?」
魔理沙「……橙なら先に来て、この中に居る……って言おうとしたんだがな」
慧音「そっちを先に言え!まったく……」
橙「(ごろごろ)」
慧音「……寒そうな格好だな」
魔理沙「まったくだな。なもんでこの炬燵の中が特等席だ」
慧音「ふむ。それで今日のファイトはその特等席で出来る事なのか?」
魔理沙「んー……厳しいかな。ファイトはお神酒飲み放題一時間一本勝負だ」
慧音「なるほど、シンプルな飲み比べだな」
魔理沙「だろ?じゃあちょっとお神酒を持って来るぜ」
慧音「邪魔するぞ。今回ファイトの会場はここだな?」
博麗神社の建物内、ごく普通の居住区画を指定され、やって来た慧音。
襖を開くと、そこには炬燵にあたる魔理沙だけが居た。
それを見た慧音は、腑に落ちないといった顔で炬燵に取り付く。
慧音「対戦相手と、家主の霊夢はどうした?」
魔理沙「霊夢なら年越しで何だか神事をやるんで外に居るぜ。あと……」
慧音「なるほど、たまには巫女らしい事をする(ふにっ)――わぁっ!?」
魔理沙「……橙なら先に来て、この中に居る……って言おうとしたんだがな」
慧音「そっちを先に言え!まったく……」
橙「(ごろごろ)」
慧音「……寒そうな格好だな」
魔理沙「まったくだな。なもんでこの炬燵の中が特等席だ」
慧音「ふむ。それで今日のファイトはその特等席で出来る事なのか?」
魔理沙「んー……厳しいかな。ファイトはお神酒飲み放題一時間一本勝負だ」
慧音「なるほど、シンプルな飲み比べだな」
魔理沙「だろ?じゃあちょっとお神酒を持って来るぜ」
待つことしばし。魔理沙が運んで来たのは、大量の神酒徳利。
その量に苦笑を漏らしつつ、全ての徳利に栓がしてあるのを見て、嫌な予感がした。
慧音「まあ神酒なら冷酒で頂くのが筋か」
魔理沙「それだけじゃないぜ?」
慧音「……?」
魔理沙「ほら橙、出番だぜ(ばさっ)」
橙「うにゃっ!?寒いじゃないさ」
魔理沙「そんな時はこいつさ。今日のファイトは神酒の飲み比べ、
こいつを飲んで内側から暖まるといいぜ」
慧音「……(その前に何故この寒空で水着なのだ……?)」
橙「ふーん……そうだね、じゃあ始めよう!」
魔理沙「その前にルールの説明だ。手にとって栓を開けたお神酒は必ず飲み干す事。
一時間後に飲み終わっていた本数で勝負だ。準備はいいか?」
橙「(ひょい)おー」
慧音「(ひょい)ああ、いいぞ」
魔理沙「それじゃ、新年初ファイト、始め!」
(きゅぽんっ)
橙「にゃ?」
慧音「むっ?」
魔理沙「(にやにや)」
慧音「これは……神酒か?」
魔理沙「ああ、神酒だぜ。さっきちゃんと霊夢に神酒にしてもらったんだ。
まあ出元は幻想郷各方面の有志だがな」
慧音「そういう事か……」
橙「……これ飲めばいいんだよね?」
魔理沙「ああ。もちろん水で割ろうが何しようが構わないぞ」
慧音と橙が首を傾げたのは、徳利の中身が日本酒ではなかったからだ。
慧音の分は白ワイン、橙の分は度数の低い焼酎が入っていた。
仕方あるまいとその中身を二人とも呷る。
そして魔理沙の言う『水で割る』に嫌な予感がしつつ、二本目を手に取る。
橙「うぇ……これかなーり濃くない?」
魔理沙「だから水で割ってもいいぜ?」
橙の分はどうやらウイスキーらしく、匂いが漂ってくる。
そして慧音の分は――
(しゅわわわ……)
慧音「む……」
博麗神社の神酒だからという訳でもないだろうが、麦酒だった。
味も度数も問題は無いが、今は本数勝負の飲み比べ、単純に炭酸はキツい。
そして、その炭酸の後始末もまた問題だろう――慧音は悩みながらも口をつける。
橙のウイスキーは一気とは行かないだろうから、何としてもリードを稼ぐ。
そう考えて一気に呷るのだが、炭酸もその分一気に腹に溜まる。
慧音「ぐっ……」
そうなれば必然、げっぷが出る。出るのだが、おおっぴらにやるのは下品だ。
大人として、教職として、知識と理性の徒としての、矜持もある。
時間をかけて騙しながらガスを抜き、鼻へと逃がす。
酒の入った所でそんな事をしたために、少し酒が回ってしまう。
だが横を見れば橙もウイスキーが効き始めている。今がチャンス!
そこで慧音が取った中身は――チューハイだった。
慧音「……大丈夫だ、度数も低いしむしろ余裕が……(うぷっ)」
隣で橙のペースが上がるのを見て、これも一気をしたのが拙かった。
麦酒の残りとチューハイのガスが慧音を襲う。そして――
慧音「 」
げっぷが出た、筈なのだが、何も起こらなかった。
出た瞬間、慧音自身が最速でその歴史を食らったからだ。
慧音「次……次は何だ……!」
消したところで自分は解っているわけで、顔を赤くしながら次の徳利を取る。
そして開けた中身は――また別のチューハイだった。
その量に苦笑を漏らしつつ、全ての徳利に栓がしてあるのを見て、嫌な予感がした。
慧音「まあ神酒なら冷酒で頂くのが筋か」
魔理沙「それだけじゃないぜ?」
慧音「……?」
魔理沙「ほら橙、出番だぜ(ばさっ)」
橙「うにゃっ!?寒いじゃないさ」
魔理沙「そんな時はこいつさ。今日のファイトは神酒の飲み比べ、
こいつを飲んで内側から暖まるといいぜ」
慧音「……(その前に何故この寒空で水着なのだ……?)」
橙「ふーん……そうだね、じゃあ始めよう!」
魔理沙「その前にルールの説明だ。手にとって栓を開けたお神酒は必ず飲み干す事。
一時間後に飲み終わっていた本数で勝負だ。準備はいいか?」
橙「(ひょい)おー」
慧音「(ひょい)ああ、いいぞ」
魔理沙「それじゃ、新年初ファイト、始め!」
(きゅぽんっ)
橙「にゃ?」
慧音「むっ?」
魔理沙「(にやにや)」
慧音「これは……神酒か?」
魔理沙「ああ、神酒だぜ。さっきちゃんと霊夢に神酒にしてもらったんだ。
まあ出元は幻想郷各方面の有志だがな」
慧音「そういう事か……」
橙「……これ飲めばいいんだよね?」
魔理沙「ああ。もちろん水で割ろうが何しようが構わないぞ」
慧音と橙が首を傾げたのは、徳利の中身が日本酒ではなかったからだ。
慧音の分は白ワイン、橙の分は度数の低い焼酎が入っていた。
仕方あるまいとその中身を二人とも呷る。
そして魔理沙の言う『水で割る』に嫌な予感がしつつ、二本目を手に取る。
橙「うぇ……これかなーり濃くない?」
魔理沙「だから水で割ってもいいぜ?」
橙の分はどうやらウイスキーらしく、匂いが漂ってくる。
そして慧音の分は――
(しゅわわわ……)
慧音「む……」
博麗神社の神酒だからという訳でもないだろうが、麦酒だった。
味も度数も問題は無いが、今は本数勝負の飲み比べ、単純に炭酸はキツい。
そして、その炭酸の後始末もまた問題だろう――慧音は悩みながらも口をつける。
橙のウイスキーは一気とは行かないだろうから、何としてもリードを稼ぐ。
そう考えて一気に呷るのだが、炭酸もその分一気に腹に溜まる。
慧音「ぐっ……」
そうなれば必然、げっぷが出る。出るのだが、おおっぴらにやるのは下品だ。
大人として、教職として、知識と理性の徒としての、矜持もある。
時間をかけて騙しながらガスを抜き、鼻へと逃がす。
酒の入った所でそんな事をしたために、少し酒が回ってしまう。
だが横を見れば橙もウイスキーが効き始めている。今がチャンス!
そこで慧音が取った中身は――チューハイだった。
慧音「……大丈夫だ、度数も低いしむしろ余裕が……(うぷっ)」
隣で橙のペースが上がるのを見て、これも一気をしたのが拙かった。
麦酒の残りとチューハイのガスが慧音を襲う。そして――
慧音「 」
げっぷが出た、筈なのだが、何も起こらなかった。
出た瞬間、慧音自身が最速でその歴史を食らったからだ。
慧音「次……次は何だ……!」
消したところで自分は解っているわけで、顔を赤くしながら次の徳利を取る。
そして開けた中身は――また別のチューハイだった。
結局その後、炭酸入りを飲んではげっぷの事実を食らい、
ちゃんぽんにした酒と嫌な歴史で悪酔いした慧音が何とか勝利を勝ち取った。
……まあ、実際には集めた酒の中に混じっていたマタタビ酒を橙が飲んでしまったのが勝因だったのだが。
ちゃんぽんにした酒と嫌な歴史で悪酔いした慧音が何とか勝利を勝ち取った。
……まあ、実際には集めた酒の中に混じっていたマタタビ酒を橙が飲んでしまったのが勝因だったのだが。