輝夜「さて、本日の東方ファイトはカキ氷の早食いなんだけど」
永琳「氷精が『あたいの氷は大ちゃん専用だ』と言って動かなかったので」
輝夜「永遠亭のひみつ道具から、『氷室の削り氷』を用意したわ」
夜の永遠亭、月明かりの受ける縁側に輝夜と永琳が立ち、解説をする。
それを聞くのは、いつものもんぺとリボンを外して十二単を着込んだ妹紅と、
明らかにサイズの合わない橙服により目のやり場に困るぱっつん感に溢れた藍だ。
藍「その程度、橙の愛に包まれた今の私にかかれば朝飯前だな」
輝夜「そう思って、『手を使ってはいけない』という条件を付けさせてもらったわ」
妹紅「ほほ……流石は輝夜、心根の醜さがよく出ておるわ」
普段なら食って掛かる妹紅が嫌味で返すのを聞き、輝夜が目を丸くする。
輝夜「もこたん、変なものでも拾って食べた?」
妹紅「完全武装と言ったのはおまえだろう。これがわらわの完全武装ぞ」
永琳「確かに平安基準なら、大貴族藤原不比等の娘ですから、あながち間違いではありませんね」
輝夜「そっか……うーん、それはつまらないわねぇ」
心からの溜息を輝夜が吐いた所で、背後の襖が開き、バスタオル一枚で髪が濡れたままの鈴仙が現れる。
鈴仙「姫!師匠!私の服を何処にやったんですか!」
輝夜「どこにもやってないわよ、ちょっとある人に渡しただけで」
永琳「でも無いとなると、まず見つからないわね」
鈴仙「どういう意味ですか!その『ある人』って――」
星「申し訳ありません!お預かりしていた衣装一式、うっかり失くしてしまいました!」
鈴仙「……(くらっ)」
妹紅「やはり畜生には畜生らしい格好がお似合いよの」
藍「うむ、まったくだな」
鈴仙「……(この場合どっちに突っ込めばいいの)」
永琳「氷精が『あたいの氷は大ちゃん専用だ』と言って動かなかったので」
輝夜「永遠亭のひみつ道具から、『氷室の削り氷』を用意したわ」
夜の永遠亭、月明かりの受ける縁側に輝夜と永琳が立ち、解説をする。
それを聞くのは、いつものもんぺとリボンを外して十二単を着込んだ妹紅と、
明らかにサイズの合わない橙服により目のやり場に困るぱっつん感に溢れた藍だ。
藍「その程度、橙の愛に包まれた今の私にかかれば朝飯前だな」
輝夜「そう思って、『手を使ってはいけない』という条件を付けさせてもらったわ」
妹紅「ほほ……流石は輝夜、心根の醜さがよく出ておるわ」
普段なら食って掛かる妹紅が嫌味で返すのを聞き、輝夜が目を丸くする。
輝夜「もこたん、変なものでも拾って食べた?」
妹紅「完全武装と言ったのはおまえだろう。これがわらわの完全武装ぞ」
永琳「確かに平安基準なら、大貴族藤原不比等の娘ですから、あながち間違いではありませんね」
輝夜「そっか……うーん、それはつまらないわねぇ」
心からの溜息を輝夜が吐いた所で、背後の襖が開き、バスタオル一枚で髪が濡れたままの鈴仙が現れる。
鈴仙「姫!師匠!私の服を何処にやったんですか!」
輝夜「どこにもやってないわよ、ちょっとある人に渡しただけで」
永琳「でも無いとなると、まず見つからないわね」
鈴仙「どういう意味ですか!その『ある人』って――」
星「申し訳ありません!お預かりしていた衣装一式、うっかり失くしてしまいました!」
鈴仙「……(くらっ)」
妹紅「やはり畜生には畜生らしい格好がお似合いよの」
藍「うむ、まったくだな」
鈴仙「……(この場合どっちに突っ込めばいいの)」
輝夜「それじゃ用意はいいかしら?ファイト開始!」
妹紅「慧音!」
藍「橙!」
輝夜による開始の宣告と同時に、妹紅は慧音を、藍は式である橙を呼ぶ。
いつも通りの慧音とだぶだぶの藍服を着た橙とが現れると、
手の使えない二人に代わって匙を持ち――
慧音「ほら、妹紅」
妹紅「くるしゅうない、もそっと隣へ……(はむ)」
橙「はい藍しゃま、あーん」
藍「あ~ん(ぱくっ)」
鈴仙「えっ!?姫!あれって反則じゃ!?」
藍「よく見るのだな、私は手を使っていない」
妹紅「わらわは貴族、付き人が居るのは当然ぞ」
永琳「式は禁止しなかったし、貴族の完全武装じゃ付き人も仕方ないわよねぇ」
鈴仙「そんなーっ!?」
ファイト主催者の許可が下りた事で、二組はよりおおっぴらにべたべたし始める。
お題は早食いなのだが、既に早食いもどこへやら、楽しみながらゆっくりと味わっていた。
そんな二組を見て鈴仙は遠くを見詰めて嘆いていたが、不意にある事に気付いた。
幻想少女としての立ち居振る舞いでは今の妹紅に及ばない。
女としてはバスタオル一枚になってさえ、ぱっつん服の藍には及ばない。
そして二人の境遇の恵まれぶりは、どちらを向いても勝ち目が無い。
このままファイトに負ければ、全てに負けた事になる――
(ぷっつん)
鈴仙「はふっ!はむはむっ!」
妹紅「おぉ……なんとはしたない。畜生はさもしいな」
藍「誰の手助けも無いとなれば、それも仕方あるまいな……(ふっ)」
理性の吹っ切れた鈴仙は、狂気の赤眼を全力解放すると、
バスタオルから胸の谷間が見えるのも辞さずに器に顔を寄せ、犬食いを始める。
その剣幕たるや妹紅を引かせ藍を同情させ、輝夜と永琳ににやにや笑いをさせるに充分な物だった。
鈴仙「あむっ……ずずっ……ぷはぁ!食べましたよ!」
最後は器をくわえて持ち上げ、解けた分を流し込み、
漢気溢れる食い様で早食いを制した鈴仙の瞳から、何かを喪った事を心が感じ取ったのか、一筋の涙が流れた……。
妹紅「慧音!」
藍「橙!」
輝夜による開始の宣告と同時に、妹紅は慧音を、藍は式である橙を呼ぶ。
いつも通りの慧音とだぶだぶの藍服を着た橙とが現れると、
手の使えない二人に代わって匙を持ち――
慧音「ほら、妹紅」
妹紅「くるしゅうない、もそっと隣へ……(はむ)」
橙「はい藍しゃま、あーん」
藍「あ~ん(ぱくっ)」
鈴仙「えっ!?姫!あれって反則じゃ!?」
藍「よく見るのだな、私は手を使っていない」
妹紅「わらわは貴族、付き人が居るのは当然ぞ」
永琳「式は禁止しなかったし、貴族の完全武装じゃ付き人も仕方ないわよねぇ」
鈴仙「そんなーっ!?」
ファイト主催者の許可が下りた事で、二組はよりおおっぴらにべたべたし始める。
お題は早食いなのだが、既に早食いもどこへやら、楽しみながらゆっくりと味わっていた。
そんな二組を見て鈴仙は遠くを見詰めて嘆いていたが、不意にある事に気付いた。
幻想少女としての立ち居振る舞いでは今の妹紅に及ばない。
女としてはバスタオル一枚になってさえ、ぱっつん服の藍には及ばない。
そして二人の境遇の恵まれぶりは、どちらを向いても勝ち目が無い。
このままファイトに負ければ、全てに負けた事になる――
(ぷっつん)
鈴仙「はふっ!はむはむっ!」
妹紅「おぉ……なんとはしたない。畜生はさもしいな」
藍「誰の手助けも無いとなれば、それも仕方あるまいな……(ふっ)」
理性の吹っ切れた鈴仙は、狂気の赤眼を全力解放すると、
バスタオルから胸の谷間が見えるのも辞さずに器に顔を寄せ、犬食いを始める。
その剣幕たるや妹紅を引かせ藍を同情させ、輝夜と永琳ににやにや笑いをさせるに充分な物だった。
鈴仙「あむっ……ずずっ……ぷはぁ!食べましたよ!」
最後は器をくわえて持ち上げ、解けた分を流し込み、
漢気溢れる食い様で早食いを制した鈴仙の瞳から、何かを喪った事を心が感じ取ったのか、一筋の涙が流れた……。