食物語・とがめアマゾン ◆FTrPA9Zlak
『幸せと成功は別物』
『成功したければ幸せになることは諦めなければならない』
『成功をしたいなら誰かと幸せな絆を結ぼうなんて思わないこと』
『成功したければ幸せになることは諦めなければならない』
『成功をしたいなら誰かと幸せな絆を結ぼうなんて思わないこと』
それはかつて、まだ己の父親が生きていた頃。まだこの髪が白くなるより前の頃。
まだ飛騨に城があり、そこで姫と呼ばれていた頃。
まだ飛騨に城があり、そこで姫と呼ばれていた頃。
地下牢に捕らえられていた女と語り合った言葉だった。
正直なところ、語り合ったことはほぼ覚えてはいない。今こうしてそれを語っているのは、これが夢の中、私の深層心理を見ているからだろう。
きっと、目が覚めればまた忘れると思う。
きっと、目が覚めればまた忘れると思う。
あの言葉は未だに心の奥底に刻み込まれている。
私自身の人生に目的ができたのは、この髪が白く染まった日。
国に対する反乱を起こした父が、隠れた自分の目の前で鑢六枝に処刑されるところを目にした時からだった。
国に対する反乱を起こした父が、隠れた自分の目の前で鑢六枝に処刑されるところを目にした時からだった。
国家に対して仇を成したから。大乱を起こし泰平の天下を乱したから。
裁きは当然の結果だろう。
裁きは当然の結果だろう。
知ったことではなかった。
大事な家族だったのだから。
大事な家族だったのだから。
幕府に対する復讐のために、あらゆる手段を尽くしてきた。
そして、宵越しの銭は持たぬとばかりに、あらゆる絆を切り捨ててきた。
そして、宵越しの銭は持たぬとばかりに、あらゆる絆を切り捨ててきた。
思えば真庭忍軍や錆白兵が刀収集で裏切ったのも当然だったのかもしれない。
彼らに対しても親愛な繋がりなど持たず、利用することしかしてこなかった。いつか切り捨てられるという懸念を彼らは感じたのだろう。
彼らに対しても親愛な繋がりなど持たず、利用することしかしてこなかった。いつか切り捨てられるという懸念を彼らは感じたのだろう。
だから親愛な繋がり、愛によって駒となってくれる者に目をつけた。
鑢七花。
虚刀流の現当主であり――――――――父の仇の息子。
元々はその父であり仇そのものである六枝に目をつけていたが。
虚刀流の現当主であり――――――――父の仇の息子。
元々はその父であり仇そのものである六枝に目をつけていたが。
利用することに抵抗がなかったか?蟠りはなかったのか?
あるに決まっているだろう。
あるに決まっているだろう。
だが、刀収集のためにはもう他の手はなかった。
私は自分の感情も、そして相手からの愛をも利用して、刀集めを成し遂げる。
その褒美として、御側人として将軍の元に近付く最後の機会を得るために。
その褒美として、御側人として将軍の元に近付く最後の機会を得るために。
目的を果たした後はどうなるかなど分かりきっている。
だが、こんな生き方しかできない。
全てを利用しようとも、その結果全てに嫌われようとも。
絆を切り捨て、人との繋がりを、人そのものをも切り捨てても。
私は止まることはできないのだから。
◇
体が肩に吊り下げられているような態勢となっているのを感じてとがめは目を覚ます。
「ん…む……?」
いくらなんでもこの抱え方は雑すぎるだろういつものように背負うか前に抱きかかえるかで運ばぬかと抗議しようとして。
「おや、目が覚めましたか」
「ん…?んん???
お前は、鑢七実か?」
「ええ、お久しぶりです」
「ん…?んん???
お前は、鑢七実か?」
「ええ、お久しぶりです」
ニコリと笑顔を浮かべる七実に困惑するとがめ。
何故七実がここにいるのか。
七花はどこへ行ったのか。
そもそも何故七実に連れられているのか。
七花はどこへ行ったのか。
そもそも何故七実に連れられているのか。
「目が覚められたなら降ろしても構いませんか?」
「あ、ああ。自分の足でちゃんと歩けるぞ」
「そういえば支給品の中に入っていたものですが、この菓子を食べますか?
『ちぇりお』という氷菓子のようです。とがめさんが目を覚ますまでに一つ頂いたのですがけっこう美味しいものでしたので」
「うむ、戴こう。名前がとても気に入った」
「あ、ああ。自分の足でちゃんと歩けるぞ」
「そういえば支給品の中に入っていたものですが、この菓子を食べますか?
『ちぇりお』という氷菓子のようです。とがめさんが目を覚ますまでに一つ頂いたのですがけっこう美味しいものでしたので」
「うむ、戴こう。名前がとても気に入った」
七実から渡された袋を破り中のアイスを口にするとがめ。
「ほう、これは食べたことのない味だな。
この白いのは牛の乳を凍らせたものか?それにこの茶色いものは砂糖とは異なる、不思議な味をしている。
うむ、これは美味いぞ」
「もう1本食べますか?」
「………む?」
この白いのは牛の乳を凍らせたものか?それにこの茶色いものは砂糖とは異なる、不思議な味をしている。
うむ、これは美味いぞ」
「もう1本食べますか?」
「………む?」
アイスを齧り終えたとがめは手元に残った棒きれを見ながら首を傾げた。
「どうかなさいました?毒でも入っていました?」
「不思議だ。これは美味いと思う。美味い菓子だ。
なのに、また食いたいとは思わないのだ。
何というか、まるで腹いっぱいの時に飯を勧められた時のような…」
「………」
「って違ーーーーーーーーーーーう!!
何故私はそなたに渡された菓子の感想などを述べておるのだ!今はそれどころではないだろう!」
「不思議だ。これは美味いと思う。美味い菓子だ。
なのに、また食いたいとは思わないのだ。
何というか、まるで腹いっぱいの時に飯を勧められた時のような…」
「………」
「って違ーーーーーーーーーーーう!!
何故私はそなたに渡された菓子の感想などを述べておるのだ!今はそれどころではないだろう!」
棒を地面に叩きつけながら、とがめは七実へと向き直った。
「そうですね。順を追って話しましょう。
とがめさん、名簿は見られていますか?」
「名簿?」
「この包みに入っているはずですが」
「お、おう!当然だろう!見ている、見ているとも!ちゃんと私達とそなたと、私の知る者の名があるのは見ていたとも!」
「見られていなかったのですね」
とがめさん、名簿は見られていますか?」
「名簿?」
「この包みに入っているはずですが」
「お、おう!当然だろう!見ている、見ているとも!ちゃんと私達とそなたと、私の知る者の名があるのは見ていたとも!」
「見られていなかったのですね」
内心で溜息をつく七実。
「まあそういうわけです。あなた達とこの私がこの場に呼ばれていまして。
七花とは先程再会したのですが、あの子があまりにも不甲斐ないもので、私が代わりに預かってきた次第です」
「七花からだと?いや、それはおかしいぞ。あいつには私を守れとそう言っているはずだ。揉めなかったのか?」
「揉めましたとも。ですから少し強引な手を使わせていただきました」
「う、うむ…?」
七花とは先程再会したのですが、あの子があまりにも不甲斐ないもので、私が代わりに預かってきた次第です」
「七花からだと?いや、それはおかしいぞ。あいつには私を守れとそう言っているはずだ。揉めなかったのか?」
「揉めましたとも。ですから少し強引な手を使わせていただきました」
「う、うむ…?」
強引な手。よく知る姉ならではの七花の弱点でもついたというのだろうか。
それでも病弱な七実が七花から逃げられるとも思えなかったが。
とりあえずそう一旦とがめは結論づけた。
それでも病弱な七実が七花から逃げられるとも思えなかったが。
とりあえずそう一旦とがめは結論づけた。
「ところでとがめさん。今の月は何でしたっけ」
「何をとぼけておるのだ。卯月に決まっているだろう」
「卯月。なるほど、七花が錆白兵を倒して日本最強となった頃ですか」
「そうだ。不承島までその評は届いておるのか。すごいな」
「……」
「何をとぼけておるのだ。卯月に決まっているだろう」
「卯月。なるほど、七花が錆白兵を倒して日本最強となった頃ですか」
「そうだ。不承島までその評は届いておるのか。すごいな」
「……」
少し手を顎に当てて考え込む姿勢を取った後、再度問いかけた。
「とがめさん。ここに来てから何があったのか、教えていただいても?」
「何があった、と言ってもな」
「何があった、と言ってもな」
この場に連れてこられて以降のことを話し始めるとがめ。
そして、謎の触手を操る化物のことに触れた時思わず顔を上げた。
「そうだ!私はあの時確かに腹を貫かれたはず…」
とがめは腹部に目をやる。
しかしそこには跡こそ見えるが傷そのものはほとんど治っている状態だった。
襲われたことが確かな事実は、服に空いている穴が証明しているというのに。
しかしそこには跡こそ見えるが傷そのものはほとんど治っている状態だった。
襲われたことが確かな事実は、服に空いている穴が証明しているというのに。
「とがめさん」
七実が呼びかけた時、ヒュンと風が吹いたような音がとがめの耳に届いた。
目の前にいる女の爪が伸び、目にも止まらぬ速度で振るわれたことに気付くこともなく。
目の前にいる女の爪が伸び、目にも止まらぬ速度で振るわれたことに気付くこともなく。
ふと見下ろすと、左手の着物が斬り裂かれ、手の甲から腕にかけての皮に切り傷ができていた。
「な、七実、今何をした」
「何でも構わないでしょう。よく見てください、その傷を」
「何でも構わないでしょう。よく見てください、その傷を」
とがめが腕に滲んだ血を拭う。
すると、そこにあったはずの傷はどこにもなかった。
すると、そこにあったはずの傷はどこにもなかった。
「とがめさん、これから私の話すことをちゃんと聞いてください」
七実は語った。
死体を動かす謎の技術を使われた『あまぞん』という存在。
そしてその本当の姿、人を食べる化物という本性。
死体を動かす謎の技術を使われた『あまぞん』という存在。
そしてその本当の姿、人を食べる化物という本性。
その存在のおぞましさを。
「あまりにもおぞましいものだったのでこちらで排除しておこうと思いましてね」
「排除…、そなたがか?」
「私も虚刀流ですよ、とがめさん。
さて、ここまで言えば私の言いたいこと、分かりますね」
「排除…、そなたがか?」
「私も虚刀流ですよ、とがめさん。
さて、ここまで言えば私の言いたいこと、分かりますね」
治癒された傷と、先程差し出した菓子の棒を指差しながら七実は言う。
言葉の意味が分からぬほどとがめは愚かではなかった。
言葉の意味が分からぬほどとがめは愚かではなかった。
「そのあまぞんなるものが、私の中にいるというのだろう。
この体に、病のように巣食っているというのであろう?」
「ご察しが良くて助かりました。
さて、ここからは私がどうするかという話ですが」
この体に、病のように巣食っているというのであろう?」
「ご察しが良くて助かりました。
さて、ここからは私がどうするかという話ですが」
と、七実はとがめの首に指を当てる。
ただの指ではない。人のものとは思えぬほどに伸びた、鋭い爪が生えた指。
もう少し動かせばこれはとがめの首を貫くだろう。
ただの指ではない。人のものとは思えぬほどに伸びた、鋭い爪が生えた指。
もう少し動かせばこれはとがめの首を貫くだろう。
「私は一刻も早くあなたを斬ってしまいたいと思っています。
しかし今は七花に言った後です。とがめさんを取り返したければもっと強くなって来なさいと。
今あなたを殺せば、七花はそれこそ折れてしまうかもしれない。
なのであの子のために少し猶予を与えてみたいと思うのです。
で、その前に確認したいのですが。とがめさん、これからどうするおつもりですか?」
しかし今は七花に言った後です。とがめさんを取り返したければもっと強くなって来なさいと。
今あなたを殺せば、七花はそれこそ折れてしまうかもしれない。
なのであの子のために少し猶予を与えてみたいと思うのです。
で、その前に確認したいのですが。とがめさん、これからどうするおつもりですか?」
じっととがめを見つめる七実。
その目を見て、答え次第では自分は殺されるということを理解する。
その目を見て、答え次第では自分は殺されるということを理解する。
だがどう返答するかなど既に決まっている。
「答える前に聞かせてほしい。
もし私がそれに感染しきった時、私はどうなる?」
「私の見立てでは、自我をほとんど失い人食いの化物となるでしょうね」
「そうなるまで、あとどれくらいの時間がある?」
「一日、は保たないでしょうね」
「そうか」
もし私がそれに感染しきった時、私はどうなる?」
「私の見立てでは、自我をほとんど失い人食いの化物となるでしょうね」
「そうなるまで、あとどれくらいの時間がある?」
「一日、は保たないでしょうね」
「そうか」
首を動かさぬまま、目を閉じるとがめ。
「うーむ。正直詰み状態に近いな。
想定外の出来事に上乗せして、まさか化物になってしまうとはな」
想定外の出来事に上乗せして、まさか化物になってしまうとはな」
二秒の沈黙。
そして目を開く。
そして目を開く。
「だが、私はまだ諦めきれてはおらぬのでな」
その左目には十字の紋様が浮かんでいた。
「あと一日か、ならその時間を足掻いてみせよう。
七実よ、さっきから気になっていたが、お主には私の中のあまぞんなる力を診ることができるのか?」
「そうですね。医学的な知識は現状持ち合わせていないので分からないことは多いですが」
「ならばこれについて更に情報を持っている者を探せばいいのだろう?
そこにお主のその診察眼を合わせてこれをどうにかする術を探すのだ」
「それでも見つかるとは限りませんよ?」
「かもしれぬ。しかしやる前から諦めてその運命に呑まれるなど奇策師の名折れだ」
七実よ、さっきから気になっていたが、お主には私の中のあまぞんなる力を診ることができるのか?」
「そうですね。医学的な知識は現状持ち合わせていないので分からないことは多いですが」
「ならばこれについて更に情報を持っている者を探せばいいのだろう?
そこにお主のその診察眼を合わせてこれをどうにかする術を探すのだ」
「それでも見つかるとは限りませんよ?」
「かもしれぬ。しかしやる前から諦めてその運命に呑まれるなど奇策師の名折れだ」
七実をその十字の瞳で見ながら、とがめは乞う。
「だからこそ力を貸せ、鑢七実よ。
私が化物となるまでに元に戻ることができる術を探すために」
「随分と図々しいことを言うのですね」
私が化物となるまでに元に戻ることができる術を探すために」
「随分と図々しいことを言うのですね」
言う間も言われている間も、七実の指はとがめを指したままだ。
それでもとがめは七実の視線を真っ向から受け止めている。
それでもとがめは七実の視線を真っ向から受け止めている。
「先に言っておきます。
私はあなたのことが嫌いです」
私はあなたのことが嫌いです」
ずい、と額がぶつかりそうな距離でとがめを見ながら言う。
「理由はまあ色々ありますが、とりあえずその髪が長いところはかなりの減点箇所ですね。
もう、さっさと切り落としてしまいたいくらい」
「真っ先にそこなのか」
「加えて今は視るのもおぞましい化物を宿しているのですから。本当、草のように毟りたくて仕方ありません。
本当、どうしてこんなに草なんでしょうね」
もう、さっさと切り落としてしまいたいくらい」
「真っ先にそこなのか」
「加えて今は視るのもおぞましい化物を宿しているのですから。本当、草のように毟りたくて仕方ありません。
本当、どうしてこんなに草なんでしょうね」
酷く怨念が籠もっているようにも思う呟きだった。
「しかしいいでしょう。七花のためでもあります。付き合ってあげましょう」
指を収める七実。ほっと一息入れるとがめ。
「ですが」
しかし近付けた顔はそのままに七実は告げる。
「もしも、もしもの話、七花が情けなくもどこかで命を落とすようなことがあれば、分かっていますね」
「分かっておる。その時は好きにしろ。七花と刀を集める旅に出ると決めたときから、あいつとは一蓮托生だ。
だが私はあいつを信じている。そう簡単に死ぬことはないとな」
「分かっておる。その時は好きにしろ。七花と刀を集める旅に出ると決めたときから、あいつとは一蓮托生だ。
だが私はあいつを信じている。そう簡単に死ぬことはないとな」
それはとがめ自身が覚悟していたことだ。
七花との旅が元々最後の機会であり、これにしくじれば次はもうないだろうと。
だからその時の覚悟はとうに済ませている。
七花との旅が元々最後の機会であり、これにしくじれば次はもうないだろうと。
だからその時の覚悟はとうに済ませている。
その様子に、七実は一息嘆息して言った。
「こんなところだけは意見が一致するのですね、さて、では草さん、どこに向かうか、宛はありますか?」
「待て待て待て、誰が草だ誰が!」
「失礼しました、では雑草さんと」
「違う!私の名前はとがめだ!!」
「とがめ草さん、もし無いのであれば私としては考えていることが二つあるのですが」
「草から離れろーーーーーー!!!」
「待て待て待て、誰が草だ誰が!」
「失礼しました、では雑草さんと」
「違う!私の名前はとがめだ!!」
「とがめ草さん、もし無いのであれば私としては考えていることが二つあるのですが」
「草から離れろーーーーーー!!!」
◇
七実の考えは二つ。
ここから西に向かうか東部に戻るかだ。
東には少なくとも3匹のアマゾンがいることが確認されている。
千翼というアマゾン。
その父親。
とがめに傷を負わせたアマゾン。
これを毟っておきたいという気持ちがあるし、アマゾンについても何か情報を持っている者がいるかもしれない。
しかし東には七花がいる。
強くなって取り返しに来いと言っておきながら早速顔を合わせてしまっては様にならない。
千翼というアマゾン。
その父親。
とがめに傷を負わせたアマゾン。
これを毟っておきたいという気持ちがあるし、アマゾンについても何か情報を持っている者がいるかもしれない。
しかし東には七花がいる。
強くなって取り返しに来いと言っておきながら早速顔を合わせてしまっては様にならない。
一方の西。
とがめが眠っていた間、何者かが大声で揉めているような音が響いた。
あれに引かれて寄ってくる者は多いだろう。
もしかすると七花の相手にうってつけの者が厳選できるかもしれない。
だが、アマゾンについての情報を持っている者がいる可能性は低いだろう。
とがめが眠っていた間、何者かが大声で揉めているような音が響いた。
あれに引かれて寄ってくる者は多いだろう。
もしかすると七花の相手にうってつけの者が厳選できるかもしれない。
だが、アマゾンについての情報を持っている者がいる可能性は低いだろう。
どちらを選んだものか。
(それにしても、あれが日本最強の剣士に勝った七花だったなんてね)
七実は弱くなった、と称したが、もしかすると技量としては三ヶ月後の七花とそう変わっていないのかもしれない。
もし違いがあるとすれば。
もし違いがあるとすれば。
あの時自分と相対した七花は、随分と人間らしくなっていたと感じていた。
自分を殺したくないという七花。凍空一族への仕打ちに対して憤りをぶつけた七花。
刀に不要なはずの感情を、ずいぶんと持つようになったと。それを刀として錆びついたと七実は称した。
一方であの七花からはまだ刀らしさを強く感じていた。
自分を殺したくないという七花。凍空一族への仕打ちに対して憤りをぶつけた七花。
刀に不要なはずの感情を、ずいぶんと持つようになったと。それを刀として錆びついたと七実は称した。
一方であの七花からはまだ刀らしさを強く感じていた。
(人間らしくなって錆びついたと思っていたけど、刀のままだったあの子がまさかあそこまで鈍らだったとは思わなかったわ)
もしかすると人間に近付くこともまた虚刀流の完成に必要なものだったのかもしれない。だとすると自分に虚刀流の資格がなかったのも納得するものだ。
問題は今の七花があの自分を殺した七花にどれだけ近付けるか、だが。
問題は今の七花があの自分を殺した七花にどれだけ近付けるか、だが。
(本来はそこまで持ってきたのが、とがめさんなのでしょうね)
七実がとがめを嫌っているのは事実だ。
しかし、一方で七実にとってもとがめはとても稀少な存在でもあった。
しかし、一方で七実にとってもとがめはとても稀少な存在でもあった。
思い出すのは、護剣寺での七花との決闘の時のこと。
初めてのことだった。
まさか自分が見蕩れてしまうような策に嵌められてしまったのは。
初めてのことだった。
まさか自分が見蕩れてしまうような策に嵌められてしまったのは。
この目を掻い潜って自分を策に落とした相手だ。評価しないはずがない。
他人をそこまで評するのは七実にとっても稀有なことだった。
他人をそこまで評するのは七実にとっても稀有なことだった。
(―――ですが、今はとがめさん自身も)
アマゾンの件を抜きにしても、あの時の彼女と比べてもまだ足りていないように見えた。
何があったかは知る由もないが。
何があったかは知る由もないが。
七花を任せるべき相手として、あの時と比べて。
何かが欠けていた。
何かが欠けていた。
◇
(全く、何故このようなことになったのだろうな)
とがめの心中は穏やかでこそないが、そこは奇策師。頭をひたすら回転させて如何に対応すべきかを模索していた。
七花といた時のように悠長にしている場合でもなくなったのは確かなのだから。
七花といた時のように悠長にしている場合でもなくなったのは確かなのだから。
七花に一刻も早く会いに行くべきかと思っていたが、どうやらその前にやらねばならないことができてしまった。
完全に自分というものが無くなってしまうまでにどうにかしないといけない。
完全に自分というものが無くなってしまうまでにどうにかしないといけない。
それが、とがめが当面の目的として考えていることだった。
一方で、その先を見据えたとがめの脳はまた別のことを考えていた。
体を蝕んでいるアマゾンなる病原菌のようなもの。
これの情報を得ることはとがめにとって必要であった。
その病への対処としてそれを求めることは当然であろう。
しかしその裏で、とがめが考えていることもまた。
(もしこれを詳しく調べ、私にとっての武器とできるのならば)
(いや、あるいはもっとこれらよりも異質な力が、技術が存在するのならば)
(いや、あるいはもっとこれらよりも異質な力が、技術が存在するのならば)
(―――私の復讐にも、使うことが――――――)
決して人に悟らせはしない、禁断の思考が、確かに存在した。
【C-6/1日目・黎明】
【鑢七実@刀語】
[状態]:疲労(中)、割と不機嫌、返り血
[装備]:
[道具]:基本支給品一式×2、ランダム支給品1~7(確認済み、衣類系は無し) 、チェリオ(残り3)@現実
[思考・状況]
基本方針:適当にぶらつく。細かいところをどうするかはその時々で判断。
1:七花が開花したならば殺されたい
2:とがめに同行。アマゾンについての情報を集めたい。ただしとがめが完全な手遅れになるか万一七花が死んだ場合は斬る。
3:アマゾンに不快感。さっきの少年(千翼)は殺す(ただし一応は情報優先)
4:東に留まってアマゾンを狩りつつとがめのために情報を集めるか、西に動いて七花とぶつけられそうな強者を探し七花の元に誘導するか。
[備考]
※参戦時期は死亡後ですが、体の状態は悪刀・鐚を使用する前の病弱状態です。
※自分が生きているのはアマゾン細胞によるものではないかという可能性を考えています。
また、その想像に対して強い不快感を感じています。
※見稽古によって善逸の耳の良さ・呼吸法を会得しています
※石上の声を聞いています。それにより人が集まる可能性を考えています。
[状態]:疲労(中)、割と不機嫌、返り血
[装備]:
[道具]:基本支給品一式×2、ランダム支給品1~7(確認済み、衣類系は無し) 、チェリオ(残り3)@現実
[思考・状況]
基本方針:適当にぶらつく。細かいところをどうするかはその時々で判断。
1:七花が開花したならば殺されたい
2:とがめに同行。アマゾンについての情報を集めたい。ただしとがめが完全な手遅れになるか万一七花が死んだ場合は斬る。
3:アマゾンに不快感。さっきの少年(千翼)は殺す(ただし一応は情報優先)
4:東に留まってアマゾンを狩りつつとがめのために情報を集めるか、西に動いて七花とぶつけられそうな強者を探し七花の元に誘導するか。
[備考]
※参戦時期は死亡後ですが、体の状態は悪刀・鐚を使用する前の病弱状態です。
※自分が生きているのはアマゾン細胞によるものではないかという可能性を考えています。
また、その想像に対して強い不快感を感じています。
※見稽古によって善逸の耳の良さ・呼吸法を会得しています
※石上の声を聞いています。それにより人が集まる可能性を考えています。
【とがめ@刀語】
[状態]:腹部に軽症(治癒中)、溶原性細胞感染。
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3 (確認済)
[思考・状況]
基本方針:なんとしてでも生き残る
1:アマゾンに侵された体を治す術を探す。
2:1を成すまでは七実と共に行動、利用する。
3:体の治癒が叶えば七花と合流したい。
4:できれば帰った時のためにアマゾンやその他未知の力への情報を集めておきたい
[備考]
※作品前半、とがめの髪がまだ長い頃。5話より前
※クラゲアマゾンの触手が折れた際にまき散らされた体液が傷口に付着したことで溶原性細胞に感染しました。覚醒まで時間がかかると思います。
※完全にアマゾンとなるまでは七実の見立てでは一日保たないと言われています。実際にはもっと時間は無いかもしれません。
ただし外的要因により時間が上下する可能性はあります。
※七実の実力を把握していません。
[状態]:腹部に軽症(治癒中)、溶原性細胞感染。
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3 (確認済)
[思考・状況]
基本方針:なんとしてでも生き残る
1:アマゾンに侵された体を治す術を探す。
2:1を成すまでは七実と共に行動、利用する。
3:体の治癒が叶えば七花と合流したい。
4:できれば帰った時のためにアマゾンやその他未知の力への情報を集めておきたい
[備考]
※作品前半、とがめの髪がまだ長い頃。5話より前
※クラゲアマゾンの触手が折れた際にまき散らされた体液が傷口に付着したことで溶原性細胞に感染しました。覚醒まで時間がかかると思います。
※完全にアマゾンとなるまでは七実の見立てでは一日保たないと言われています。実際にはもっと時間は無いかもしれません。
ただし外的要因により時間が上下する可能性はあります。
※七実の実力を把握していません。
チェリオ@現実
森○乳業の販売するアイス。真ん中に板チョコが入っていて、さらに周囲のバニラをチョココーティングされている。
5本セットの箱。なお袋を開封するまではアイス自身の冷温は保たれているため溶けることはないもよう。
森○乳業の販売するアイス。真ん中に板チョコが入っていて、さらに周囲のバニラをチョココーティングされている。
5本セットの箱。なお袋を開封するまではアイス自身の冷温は保たれているため溶けることはないもよう。
ちなみにイユの支給品である。
| 前話 | お名前 | 次話 |
| 姉弟 | 鑢七実 | せめて人間らしく |
| とがめ |