ARMOUR ZONE ◆OLR6O6xahk
拡声器によって増幅されたその声は、人間離れした聴覚を持つ円城周兎にはよく届いた。
ぞいと語尾に着ける怪人物を煽るだけ煽り立て、最後には同行者に逃げろと逃走を促す声。
その内容を理解して、周兎が想起するのは唯一人だ。
ぞいと語尾に着ける怪人物を煽るだけ煽り立て、最後には同行者に逃げろと逃走を促す声。
その内容を理解して、周兎が想起するのは唯一人だ。
「――――権三、あいつか…!」
前園甲士と並ぶ生粋の下種にして危険人物、今之川権三。
自分のようなナノロボ感染者とは違い、もし普通の人間があいつと出会ってしまったのなら余りにも危険だ。
自分のようなナノロボ感染者とは違い、もし普通の人間があいつと出会ってしまったのなら余りにも危険だ。
「ナイチンゲールさん!」
「えぇ、要救護者がいるとみて間違いはないでしょう。ではお先に」
「えぇ、要救護者がいるとみて間違いはないでしょう。ではお先に」
「なぁッ」という周兎の声も置き去りにして、ナイチンゲールはスプリンターが如き疾走を開始する。
声は既に止んでいる。今之川権三が同行者である周兎の伝聞通りの人物なら声の主が生きている可能性は限りなく低いだろう。
しかしそれでもナイチンゲールは行く。行かなくてはならない。
全ての命を救うという狂的なまでの信念が、それ以外の選択を許さない。
走るスピードは既に自動車並みの速度に到達し、このままいけば後数分もしないうちに目標の場所へと到達するだろう。
しかし―――、
声は既に止んでいる。今之川権三が同行者である周兎の伝聞通りの人物なら声の主が生きている可能性は限りなく低いだろう。
しかしそれでもナイチンゲールは行く。行かなくてはならない。
全ての命を救うという狂的なまでの信念が、それ以外の選択を許さない。
走るスピードは既に自動車並みの速度に到達し、このままいけば後数分もしないうちに目標の場所へと到達するだろう。
しかし―――、
「……女か」
そんな彼女の進軍を阻むように、前に新たな『治療対象』が現れる。
蛇柄のジャケットに身を包み、体の至る所に火傷を負った男。
火傷はまだ負って新しい物だ。だというのに、男はまるでそれを気にしていないかのように立っている。
その顔に、獰猛な殺意と闘志漲らせて。
蛇柄のジャケットに身を包み、体の至る所に火傷を負った男。
火傷はまだ負って新しい物だ。だというのに、男はまるでそれを気にしていないかのように立っている。
その顔に、獰猛な殺意と闘志漲らせて。
「……道を開けては頂けないでしょうか。私はその先に用がありますので。
その後、貴方の治療も約束しましょう」
その後、貴方の治療も約束しましょう」
患者の負傷度によって治療の優先順位を決めるトリアージ、という医療用語がある。
目の前の男とあの叫びを発した声の主、より優先すべきは後者であるとナイチンゲールは判断した。
しかし、目の前の男も決して捨て置ける存在ではない。
火傷だけではなく、恐らくもっと根幹に近いところで男は病んでいる。
それも、先程戦った童磨という男にひけをとらないレベルでだ。
目の前の男とあの叫びを発した声の主、より優先すべきは後者であるとナイチンゲールは判断した。
しかし、目の前の男も決して捨て置ける存在ではない。
火傷だけではなく、恐らくもっと根幹に近いところで男は病んでいる。
それも、先程戦った童磨という男にひけをとらないレベルでだ。
「つれないこと言うなよ。こっちはイライラしてんだ…変身!!」
男はそう言うと何かを民家の窓ガラスへ向け、その直後その姿が光に包まれる。
ナイチンゲールはその瞬間を以て、男が敵対存在であると決断した。
魔力で作成したペーパーボックスピストルを引き抜き、男へ向け発砲する。
しかし、既に変身を終えた男は――浅倉威/仮面ライダー王蛇は動じない。
紫色の装甲に着弾し奔る火花を気にもせず、バックルからカードをセットする。
ナイチンゲールはその瞬間を以て、男が敵対存在であると決断した。
魔力で作成したペーパーボックスピストルを引き抜き、男へ向け発砲する。
しかし、既に変身を終えた男は――浅倉威/仮面ライダー王蛇は動じない。
紫色の装甲に着弾し奔る火花を気にもせず、バックルからカードをセットする。
―――SWARD VENT―――
機械音が鳴り響くと同時に王蛇の手の中に大蛇の牙を模したサーベルが現れ、それによって弾丸を一発残らず叩き落す。
その光景を目にしたナイチンゲールは即座にピストルを投げ捨て、王蛇の方へと疾走を介する。
本来ならば拡声器を使った少年の救助を先に片づけたかったが最早是非もなし。
迅速に、正確に、鎧の男を制圧し適切な処置を行った後、改めて向かうほかない。
その光景を目にしたナイチンゲールは即座にピストルを投げ捨て、王蛇の方へと疾走を介する。
本来ならば拡声器を使った少年の救助を先に片づけたかったが最早是非もなし。
迅速に、正確に、鎧の男を制圧し適切な処置を行った後、改めて向かうほかない。
ピストルの弾丸は装甲に阻まれ決定打になり得ない、メスを用いた斬撃も同様だろう。
そこでナイチンゲールが選んだのは拳を用いた格闘戦だった。
蛇の鎧を纏った獣のサーベルと、鋼鉄の白衣を纏った女の拳が衝突する。
それも一度では終わらない。
二度、三度と交錯は続き、お互いの吐息を感じる距離でのインファイトへと状況は移行する。
そこでナイチンゲールが選んだのは拳を用いた格闘戦だった。
蛇の鎧を纏った獣のサーベルと、鋼鉄の白衣を纏った女の拳が衝突する。
それも一度では終わらない。
二度、三度と交錯は続き、お互いの吐息を感じる距離でのインファイトへと状況は移行する。
「ハハハハハッ!いいぜぇ、ここは面白い女が多い!!」
――迅い。そして重い攻撃だ。
太刀筋も何もあったものではない雑な連打だが、獣の如き勘の良さと怒涛の攻めがそれを補っている。
魔力反応を感じない所からサーヴァントではないようだが、鎧の男の実力はサーヴァントにも比肩しうるだろう。
太刀筋も何もあったものではない雑な連打だが、獣の如き勘の良さと怒涛の攻めがそれを補っている。
魔力反応を感じない所からサーヴァントではないようだが、鎧の男の実力はサーヴァントにも比肩しうるだろう。
「――ですが、甘い」
戦闘開始から五秒、王蛇の攻勢が鈍り始める。
嵐のような怒涛の攻めを冷静に見極めていたナイチンゲールが反撃に移ったからだ。
恐るべきは彼女のスキルである『人体理解』。
積み上げられ、スキルとして昇華されるにまで至った経験と勘は常に最も効率的な人の壊し方を彼女に伝え続ける。
―――十秒。
ここで遂に均衡が崩れ、ナイチンゲールの拳が王蛇を捉えた。
鳩尾に痛烈な一撃が突き刺さり、王蛇は堪らず吹き飛んでいく。
嵐のような怒涛の攻めを冷静に見極めていたナイチンゲールが反撃に移ったからだ。
恐るべきは彼女のスキルである『人体理解』。
積み上げられ、スキルとして昇華されるにまで至った経験と勘は常に最も効率的な人の壊し方を彼女に伝え続ける。
―――十秒。
ここで遂に均衡が崩れ、ナイチンゲールの拳が王蛇を捉えた。
鳩尾に痛烈な一撃が突き刺さり、王蛇は堪らず吹き飛んでいく。
だが、彼女はここで手を緩める愚は犯さない。
ダメ押しの一撃を叩き込み、脅威を完全に沈黙させるべく一足飛びで地を駆ける。
男は何とか立ち上がろうとしているようだが、無駄だ。数分は立ち上がれない。
その様にナイチンゲールは攻撃を加えたのだから。
それでも何とか抵抗を試みようとその手に掴んでいたサーベルを投げつけてくるが、その程度で彼女の足が止まることは、当然なく。
ダメ押しの一撃を叩き込み、脅威を完全に沈黙させるべく一足飛びで地を駆ける。
男は何とか立ち上がろうとしているようだが、無駄だ。数分は立ち上がれない。
その様にナイチンゲールは攻撃を加えたのだから。
それでも何とか抵抗を試みようとその手に掴んでいたサーベルを投げつけてくるが、その程度で彼女の足が止まることは、当然なく。
「無駄です」
到達するや否や、降下中のハヤブサも目を剥く速度でマウントを取り関節を極める。
如何に堅牢な装甲を有していようと、こうなれば抵抗は不可能。
かくして会敵から僅か三十秒足らず。
いともあっさりと、決着はついた。
再び出現させたピストルを後頭部に突きつけ、彼女は口を開く。
如何に堅牢な装甲を有していようと、こうなれば抵抗は不可能。
かくして会敵から僅か三十秒足らず。
いともあっさりと、決着はついた。
再び出現させたピストルを後頭部に突きつけ、彼女は口を開く。
「さて、手早く行きましょう。私はフローレンス・ナイチンゲール。看護婦です。
診断結果をお話する前に先ずは貴方の名前を教えていただけますでしょうか?」
診断結果をお話する前に先ずは貴方の名前を教えていただけますでしょうか?」
後頭部のピストルの存在を誇示し、有無を言わさず言葉を促す。
どう見てもその行為は看護婦のそれではなかったが、彼女はこの方法が最も効率的であると判断。
そして、その狙い通り這いつくばる鎧の男の口から浅倉威という返答を引き出した。
どう見てもその行為は看護婦のそれではなかったが、彼女はこの方法が最も効率的であると判断。
そして、その狙い通り這いつくばる鎧の男の口から浅倉威という返答を引き出した。
「ではミスター浅倉。これより貴方を拘束し、別件を終えた後にしかるべき治療を受けてもらいます」
「異常なほどの攻撃衝動…衝動性障害の症状が貴方には見受けられます。
即刻貴方は私の処置を受けるべきだ」
「大丈夫、安心なさい。貴方の命を奪ってでも、私は貴方を救いましょう」
「異常なほどの攻撃衝動…衝動性障害の症状が貴方には見受けられます。
即刻貴方は私の処置を受けるべきだ」
「大丈夫、安心なさい。貴方の命を奪ってでも、私は貴方を救いましょう」
矢継ぎ早に、しかし言い聞かせるように浅倉へナイチンゲールは言葉を紡ぐ。
返答は求めていない。
既に話した内容は彼女にとって決定事項なのだから。
言葉の結びと同時に手刀を作り振り上げる。
計算されつくした軌道で空気を裂き、一撃で以て浅倉の意識を刈り取る一撃だった。
返答は求めていない。
既に話した内容は彼女にとって決定事項なのだから。
言葉の結びと同時に手刀を作り振り上げる。
計算されつくした軌道で空気を裂き、一撃で以て浅倉の意識を刈り取る一撃だった。
「――――やってみろ。できるもんならな」
振り下ろした手刀が届く直前、ナイチンゲールの右方から凄まじい衝撃が走る。
まるで、大型トラックに猛スピードで衝突したかのような威力。
吹き飛ばされながら振り向けば紫の体表を持つ大蛇が突如として現れ、咢を開いていた。
その双眸に、主人と同じ凶暴な殺意を秘めて。
まるで、大型トラックに猛スピードで衝突したかのような威力。
吹き飛ばされながら振り向けば紫の体表を持つ大蛇が突如として現れ、咢を開いていた。
その双眸に、主人と同じ凶暴な殺意を秘めて。
浅倉の取った作戦は、依然警察に拘束された際に取った同一のものだ。
ベノサーベルを投げつけたときに、予めアドベントカードを抜いておく。
その後、密かに忍ばせておいたガラス片からモンスターを強襲させるという、
相手にカードを使いトリッキーな戦闘を行うライダーの知識がない事を利用した策だった。
ベノサーベルを投げつけたときに、予めアドベントカードを抜いておく。
その後、密かに忍ばせておいたガラス片からモンスターを強襲させるという、
相手にカードを使いトリッキーな戦闘を行うライダーの知識がない事を利用した策だった。
彼の狙い通り、完全に不意を打たれたナイチンゲールの対応に一手遅れが出る。
そんな彼女の一瞬の隙に食い込むように、既に狙いを定めていた大蛇は容赦なく――業火を吐いた。
そんな彼女の一瞬の隙に食い込むように、既に狙いを定めていた大蛇は容赦なく――業火を吐いた。
「―――――ッ!?」
サーヴァントの肌すら焼き払う青き炎。
ただの炎ではない。あらゆる物に纏わりつき溶かした後に内側から焼き尽くすナパーム弾と同じ粘性の炎だ。
それを直に受けたナイチンゲールは声なき叫びをあげた。
ただの炎ではない。あらゆる物に纏わりつき溶かした後に内側から焼き尽くすナパーム弾と同じ粘性の炎だ。
それを直に受けたナイチンゲールは声なき叫びをあげた。
「ハハハハハハハハ!!!」
狂笑を上げながら立つ事すら覚束なかったはずの王蛇が立ち上がる。
此処でもし他のライダー、城戸真司や秋山蓮がこの光景を見れば違和感を抱いたかもしれない。
まず、英霊の痛打を受けてなお立ち上がる王蛇の異常な耐久力。
人間離れしたタフネスと執念深さを誇る浅倉だが、当然ながら限界はある。
筋力Aの神話の大英雄に匹敵する膂力を有するナイチンゲールの拳はその限界に足る筈の物だ。
此処でもし他のライダー、城戸真司や秋山蓮がこの光景を見れば違和感を抱いたかもしれない。
まず、英霊の痛打を受けてなお立ち上がる王蛇の異常な耐久力。
人間離れしたタフネスと執念深さを誇る浅倉だが、当然ながら限界はある。
筋力Aの神話の大英雄に匹敵する膂力を有するナイチンゲールの拳はその限界に足る筈の物だ。
第二にベノスネーカーが吐き出した炎。
ベノスネーカーーは確かに消化液を吐き出しモンスターやライダーを攻撃するが、あくまで消化液であり、此処まで凄まじい熱線を吐くことはない。
そもそも、ベノスネーカーは先程の戦闘で二体のサーヴァントの宝具を受け半死半生のダメージを負っていたはずである。
にも拘わらず、王蛇はブランク体となることはなく健在である。これは何故か。
ベノスネーカーーは確かに消化液を吐き出しモンスターやライダーを攻撃するが、あくまで消化液であり、此処まで凄まじい熱線を吐くことはない。
そもそも、ベノスネーカーは先程の戦闘で二体のサーヴァントの宝具を受け半死半生のダメージを負っていたはずである。
にも拘わらず、王蛇はブランク体となることはなく健在である。これは何故か。
その答えは先程彼が戦ったバーサーカーのサーヴァント、清姫にあった。
浅倉が狂気に身を任せて戦い、その果てに苛立ちを募らせていた裏でベノスネーカーは文字通り朽ち果てかけていた。
しかし、生死の境目でベノスネーカーはミラーモンスター似た強大なエネルギーを感じ取る。
それこそが王蛇が倒したサーヴァント、清姫の霧散しかかった魔力だ。
ライダーでもミラーモンスターでもないそのエネルギーを口にするのはベノスネーカーにとっても賭けであった。
しかし、炎と雷に焼かれ死にかけていた怪物にそれ以外の選択肢はなく。
浅倉が狂気に身を任せて戦い、その果てに苛立ちを募らせていた裏でベノスネーカーは文字通り朽ち果てかけていた。
しかし、生死の境目でベノスネーカーはミラーモンスター似た強大なエネルギーを感じ取る。
それこそが王蛇が倒したサーヴァント、清姫の霧散しかかった魔力だ。
ライダーでもミラーモンスターでもないそのエネルギーを口にするのはベノスネーカーにとっても賭けであった。
しかし、炎と雷に焼かれ死にかけていた怪物にそれ以外の選択肢はなく。
かくして最後の力を振り絞り、天へと昇っていく清姫だった光の粒子を一つ残らず食らったのである。
そして、ベノスネーカーは賭けに勝利した。
人類史に刻まれたサーヴァントの魂は人間やミラーモンスターとは桁違いに上質であり、負った火傷を治癒するのみではなく更なる力を与えた。
これは食されたサーヴァント、清姫の竜種としての側面がベノスネーカーに近しい物だったことも起因するだろう。
そして、ベノスネーカーは賭けに勝利した。
人類史に刻まれたサーヴァントの魂は人間やミラーモンスターとは桁違いに上質であり、負った火傷を治癒するのみではなく更なる力を与えた。
これは食されたサーヴァント、清姫の竜種としての側面がベノスネーカーに近しい物だったことも起因するだろう。
「シャアアアアアッ!!」
怪気炎を上げてベノスネーカーがナイチンゲールに襲い掛かる。
直感的に怪物は理解していた、目の前の獲物が先程食らった極上のものと同一の存在であることを。
消し炭にはしない。
今度は弱らせた獲物を丸のみにして、直接柔らかそうな肢体を味わ―――、
直感的に怪物は理解していた、目の前の獲物が先程食らった極上のものと同一の存在であることを。
消し炭にはしない。
今度は弱らせた獲物を丸のみにして、直接柔らかそうな肢体を味わ―――、
「―――このような場所に動物とは、何たる不衛生……!!」
一言でいうならば、ベノスネーカーは油断していた。
目の前のフローレンス・ナイチンゲールという女傑に対して。
全身のあちこちが焼けているにも関わらず、ナイチンゲールの全力の拳は6メートルを優に超えるベノスネーカーを一撃で打ち抜いていた。
清姫の魂を喰らってパワーアップしていなければそれで決着がついてもおかしくはなかった拳を受け、遥か彼方まで吹き飛んでいく。
目の前のフローレンス・ナイチンゲールという女傑に対して。
全身のあちこちが焼けているにも関わらず、ナイチンゲールの全力の拳は6メートルを優に超えるベノスネーカーを一撃で打ち抜いていた。
清姫の魂を喰らってパワーアップしていなければそれで決着がついてもおかしくはなかった拳を受け、遥か彼方まで吹き飛んでいく。
――――FINAL VENT――――
自身のモンスターが吹き飛ばされたのにも関わらず、王蛇は動じない。
彼にとって、ベノスネーカーもカードの一枚に過ぎないのだから。
炎渦巻く戦場に機械的な電子音が響く。
彼にとって、ベノスネーカーもカードの一枚に過ぎないのだから。
炎渦巻く戦場に機械的な電子音が響く。
「看護婦だか何だか知らんが…ウザいな。戦えればそれでいいんだよ、俺は」
その言葉は短いながら圧倒的な断絶を現していて。
この世の誰もが浅倉威を必要としていないように、浅倉威も誰一人として必要としてはいないのだ。
彼に治療受けるつもりなどさらさら無かった。
この世の誰もが浅倉威を必要としていないように、浅倉威も誰一人として必要としてはいないのだ。
彼に治療受けるつもりなどさらさら無かった。
一匹の獣は新たに呼び出したエイ型のモンスター、エビルダイバー背に飛び乗り、ファイナルベントであるハイドベノンを放つ。
すかさずナイチンゲールも迎撃の体制を取るが、血の塊を吐いて体勢を崩してしまう。
全身を焼かれた時に吸い込んだ黒煙が肺にダメージを与え、童磨との戦いで負った傷が開いたのだ。
その影響は、突進してくる王蛇を前に致命的な隙を生む。
いかにサーヴァントといえど、火だるまになり内臓を損傷した状態でファイナルベントの直撃を受ければ命はない。
すかさずナイチンゲールも迎撃の体制を取るが、血の塊を吐いて体勢を崩してしまう。
全身を焼かれた時に吸い込んだ黒煙が肺にダメージを与え、童磨との戦いで負った傷が開いたのだ。
その影響は、突進してくる王蛇を前に致命的な隙を生む。
いかにサーヴァントといえど、火だるまになり内臓を損傷した状態でファイナルベントの直撃を受ければ命はない。
「ガァッ…!?何だ…」
その時だった。
王蛇の足元に高速で何かが飛来し、その衝撃を受けてエビルダイバーから勢いよく落下。
ファイナルベントも不発に終わってしまった。
ナイチンゲールが飛来物の方向を見れば、見覚えのある少年が紙の様に薄くなった人差し指を向けている。
王蛇の足元に高速で何かが飛来し、その衝撃を受けてエビルダイバーから勢いよく落下。
ファイナルベントも不発に終わってしまった。
ナイチンゲールが飛来物の方向を見れば、見覚えのある少年が紙の様に薄くなった人差し指を向けている。
「間一髪、だな…さっさと一人で行くなんて酷いぜ。ナイチンゲールさん」
円城周兎。ナイチンゲールを救ったのはこの地に来て二番目に出会ったナノロボ感染者の少年だった。
骨銃(ボーン・ガン)という彼の放ったダイヤモンドよりも硬い弾丸が、王蛇を撃ち落としたのだ。
骨銃(ボーン・ガン)という彼の放ったダイヤモンドよりも硬い弾丸が、王蛇を撃ち落としたのだ。
「今のうちに一旦引こう。幾ら何でもその傷であいつの相手をするのは危険だ」
駆け寄りながら周兎は左手の他の指で骨銃を撃ち、王蛇を牽制する。
着弾のたびに王蛇の装甲に火花が散り、行動を阻害していた。
しかし、その光景にナイチンゲールが抱いたのは安堵よりも危機感。
骨銃は確かに優秀な飛び道具だが、それは彼女の使うピストルも同じこと。
それだけで王蛇が身動きできないほど封じ込められるとは思えなかった。
そして彼女の危惧は直後に現実のものとなる。
着弾のたびに王蛇の装甲に火花が散り、行動を阻害していた。
しかし、その光景にナイチンゲールが抱いたのは安堵よりも危機感。
骨銃は確かに優秀な飛び道具だが、それは彼女の使うピストルも同じこと。
それだけで王蛇が身動きできないほど封じ込められるとは思えなかった。
そして彼女の危惧は直後に現実のものとなる。
―――FINAL VENT―――
再び無機質な機械音性が大気に木霊する。
骨銃の妨害を受けながらも王蛇が引き抜いたカードをその手のベノバイザーにセットしたのだ。
すると、今度はサイ型の怪物――メタルゲラスが王蛇の背後に姿を現す。
このモンスターとの複数契約から為るカードの豊富さこそが王蛇最大のアドバンテージだった。
サイに騎乗する王蛇の姿を目にした瞬間、周兎に肌が泡立つような悪寒が奔る。
骨銃の妨害を受けながらも王蛇が引き抜いたカードをその手のベノバイザーにセットしたのだ。
すると、今度はサイ型の怪物――メタルゲラスが王蛇の背後に姿を現す。
このモンスターとの複数契約から為るカードの豊富さこそが王蛇最大のアドバンテージだった。
サイに騎乗する王蛇の姿を目にした瞬間、周兎に肌が泡立つような悪寒が奔る。
「う、おおおおおッ!!」
ドンッドンッドンッ!!
残った右手の指を指向し息つかせぬ三連射。
隣を見ればナイチンゲールもピストルを発砲している。
だが既に加速している王蛇の勢いを止めることはできない。
周兎はどれだけ優秀なハンターでも、真正面からヒグマと相対するのは避けるという話を想起した。
時速数十キロで突進してくるヒグマはライフルのヘッドショットでも止められないのだ。
残った右手の指を指向し息つかせぬ三連射。
隣を見ればナイチンゲールもピストルを発砲している。
だが既に加速している王蛇の勢いを止めることはできない。
周兎はどれだけ優秀なハンターでも、真正面からヒグマと相対するのは避けるという話を想起した。
時速数十キロで突進してくるヒグマはライフルのヘッドショットでも止められないのだ。
(くそっ!タブレットさえあれば)
それでもタブレットで強化した自分の骨銃なら止められたかもしれない。
このままでは二人とも串刺しにされておしまいだ。
助けに入っておきながら、何と情けない結末だろう。
間合いが一瞬でゼロになるのを感じながら、周兎はナイチンゲールに詫びる様に一瞥した。
このままでは二人とも串刺しにされておしまいだ。
助けに入っておきながら、何と情けない結末だろう。
間合いが一瞬でゼロになるのを感じながら、周兎はナイチンゲールに詫びる様に一瞥した。
―――全ての毒あるもの、害あるものを断ち。
しかして彼の目に移ったフローレンス・ナイチンゲールは、
かつて小陸軍省と謳われた鉄の女には、
窮地にありながらいまだ一片さえ諦観の色はなく。
かつて小陸軍省と謳われた鉄の女には、
窮地にありながらいまだ一片さえ諦観の色はなく。
――――我が力の限り、人々の幸福を導かん…!
全身を焼かれ、肺の裂傷が開いてなお。
その両足は台地を踏みしめ、真紅の瞳は未来だけを見据える。
その両足は台地を踏みしめ、真紅の瞳は未来だけを見据える。
突っ込んでくる怪人の事も忘れ、周兎は貴婦人の背後に現れた人影に目を奪われる。
ナイチンゲールの背後に並び立つ、長大な剣を持った白衣の女神。
ナイチンゲールの背後に並び立つ、長大な剣を持った白衣の女神。
効果範囲内のあらゆる毒性と攻撃性は無視され強制的に作り出される絶対安全圏。
彼女の生涯の秘奥である宝具の開帳―――!
彼女の生涯の秘奥である宝具の開帳―――!
―――我は全ての毒あるもの、害あるものを断つ(ナイチンゲール・プレッジ)!
■
「チッ、どういうことだ…!」
自分の放ったファイナルベント、ヘビープレッシャーは確かに着弾したはずだった。
だと言うのに看護婦の女もつんつん頭のガキも傷一つない。
その不可解な現象に、王蛇は歯噛みした。
だと言うのに看護婦の女もつんつん頭のガキも傷一つない。
その不可解な現象に、王蛇は歯噛みした。
「すげぇ…これナイチンゲールさんが?」
周兎は今しがた起きた現象に驚嘆の声を漏らす。
先程確かにサイに乗った蛇男の突進を受けたはずのなのに、体には傷一つなく。
骨銃で消費した骨も全て元通りに再生している。
ナイチンゲール本人を見ればさっきまであった全身を包む火傷は消え失せ元通り瑞々しく美しい顔が戻っていた。
その表情は先程までの鉄面皮より更に厳しいものになっていたが。
先程確かにサイに乗った蛇男の突進を受けたはずのなのに、体には傷一つなく。
骨銃で消費した骨も全て元通りに再生している。
ナイチンゲール本人を見ればさっきまであった全身を包む火傷は消え失せ元通り瑞々しく美しい顔が戻っていた。
その表情は先程までの鉄面皮より更に厳しいものになっていたが。
「ミスター円城、救援感謝します。そして、早急な避難を」
「アンタを置いていけるわけないじゃないですか。あの野郎を野放しにしておけない。俺とナイチンゲールさんの二人なら」
「罹患者は彼だけではありません」
「アンタを置いていけるわけないじゃないですか。あの野郎を野放しにしておけない。俺とナイチンゲールさんの二人なら」
「罹患者は彼だけではありません」
ナイチンゲールの短い返答と同時に、周兎の異常発達した聴覚が遠来の音を捉える。
雷雲など夜空には見られないというのに―――
雷雲など夜空には見られないというのに―――
「あらあら、休息を終えて来てみれば、見た顔もいらっしゃるようですね。
まぁ、まず先に斬り捨てるべきはカルデアのサーヴァントでしょうが」
まぁ、まず先に斬り捨てるべきはカルデアのサーヴァントでしょうが」
その時、周兎の聡明な頭脳は何故ナイチンゲールが逃げろと言っていたのかを理解する。
彼女はサーヴァント言う歴史に刻まれた存在で、宝具と呼ばれる強力な切り札をそれぞれ有しているという。
きっと先程の現象もその宝具を使ったのだろう。
そしてその時発生した魔力を辿ってここへ来る者もいるはずだ。
もとより、この周辺は拡声器の音に惹かれて人が集まりやすくなっている。
あれだけ派手にやれば気が付かない方がおかしい。
彼女はサーヴァント言う歴史に刻まれた存在で、宝具と呼ばれる強力な切り札をそれぞれ有しているという。
きっと先程の現象もその宝具を使ったのだろう。
そしてその時発生した魔力を辿ってここへ来る者もいるはずだ。
もとより、この周辺は拡声器の音に惹かれて人が集まりやすくなっている。
あれだけ派手にやれば気が付かない方がおかしい。
姿を現したのはナイチンゲールに勝るとも劣らぬ美しき女性。
黒髪は流麗に背中を流れ、その胸は豊満であった。
ともすれば周兎も一瞬見惚れそうになったかもしれない。
彼女が、全身を冷酷な殺気で満たしていなければ。
たおやかな手に握られた長刀は時折雷霆を疾らせ、先程自分が聴いた音の正体を周兎は戦慄と共に理解した。
黒髪は流麗に背中を流れ、その胸は豊満であった。
ともすれば周兎も一瞬見惚れそうになったかもしれない。
彼女が、全身を冷酷な殺気で満たしていなければ。
たおやかな手に握られた長刀は時折雷霆を疾らせ、先程自分が聴いた音の正体を周兎は戦慄と共に理解した。
「我が忌み名、ライダー・黒縄地獄。
覚えるかどうかはご自由に。覚えた所で待ち受ける先には鏖殺以外にないのですから」
覚えるかどうかはご自由に。覚えた所で待ち受ける先には鏖殺以外にないのですから」
夜明けは、いまだ遠い。
【C-3/東部/1日目・黎明】
【フローレンス・ナイチンゲール@Fate/Grand Order】
[状態]:魔力消費(大)
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:救う。殺してでも。
1:目の前の病に侵された者たちを治療する。
2:傷病者を探し、救助する。今は拡声器の少年の生死を確認したい。
3:童磨は次に会ったなら必ず治療する。
4:『鬼化』を振り撒く元凶が、もし居るのなら───
[備考]
※参戦時期はカルデア召喚後です。
※宝具使用時の魔力消費量が大きく増加しています。
※円城周兎からナノロボについて簡単な説明を受けました。
※沖田総司をカルデアに召喚された沖田総司であると認識しています。
※情報交換により前園、権三の情報を得ました。
[状態]:魔力消費(大)
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:救う。殺してでも。
1:目の前の病に侵された者たちを治療する。
2:傷病者を探し、救助する。今は拡声器の少年の生死を確認したい。
3:童磨は次に会ったなら必ず治療する。
4:『鬼化』を振り撒く元凶が、もし居るのなら───
[備考]
※参戦時期はカルデア召喚後です。
※宝具使用時の魔力消費量が大きく増加しています。
※円城周兎からナノロボについて簡単な説明を受けました。
※沖田総司をカルデアに召喚された沖田総司であると認識しています。
※情報交換により前園、権三の情報を得ました。
【円城周兎@ナノハザード】
[状態]:健康、ナノタブレットを1錠服用済
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:悪党は叩き潰す
1:目の前の敵を退け、拡声器の声の主の救助を行う。
2:ナイチンゲールを手伝い、病院を目指す。
3:前園、権三に最大限警戒する。また、前園は殺す。
[備考]
※原作22話終了後、母親が死亡してピーマンの肉詰めを食べた後からの参戦
※あと数時間の内にナノタブレットを3錠以上服用すると頭が爆発して死亡する可能性があります。
※ナイチンゲールから童磨、および鬼滅の刃出典の鬼についての情報を入手しました。
※サーヴァントについて基本的な情報を得ました。
[状態]:健康、ナノタブレットを1錠服用済
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:悪党は叩き潰す
1:目の前の敵を退け、拡声器の声の主の救助を行う。
2:ナイチンゲールを手伝い、病院を目指す。
3:前園、権三に最大限警戒する。また、前園は殺す。
[備考]
※原作22話終了後、母親が死亡してピーマンの肉詰めを食べた後からの参戦
※あと数時間の内にナノタブレットを3錠以上服用すると頭が爆発して死亡する可能性があります。
※ナイチンゲールから童磨、および鬼滅の刃出典の鬼についての情報を入手しました。
※サーヴァントについて基本的な情報を得ました。
【浅倉威@仮面ライダー龍騎】
[状態]:全身に火傷、腹部にダメージ(小)、王蛇に変身中
[装備]:王蛇のカードデッキ
[道具]:基本支給品一式×2、ランダム支給品0~3
[思考・状況]
基本方針:いつも通りに闘う
1. 目の前の獲物を殺す。
[備考]
※メタルゲラス、エビルダイバーと契約後の参戦
※清姫の霊核を食べたことによりベノスネーカーが清姫の能力の一部を得ています。
※それを受けて王蛇のスペックも向上しています。
[状態]:全身に火傷、腹部にダメージ(小)、王蛇に変身中
[装備]:王蛇のカードデッキ
[道具]:基本支給品一式×2、ランダム支給品0~3
[思考・状況]
基本方針:いつも通りに闘う
1. 目の前の獲物を殺す。
[備考]
※メタルゲラス、エビルダイバーと契約後の参戦
※清姫の霊核を食べたことによりベノスネーカーが清姫の能力の一部を得ています。
※それを受けて王蛇のスペックも向上しています。
【源頼光@Fate/Grand Order】
[状態]:健康。中度の疲労。
[装備]:絶刀・鉋@刀語、弓矢@Fate/Grand Order
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0~1
[思考・状況]
基本方針: 英霊剣豪として一切合切を粛正する。
1. カルデアのサーヴァントを排除する。
2.もう一体の鬼については状況を見て判断。
[状態]:健康。中度の疲労。
[装備]:絶刀・鉋@刀語、弓矢@Fate/Grand Order
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0~1
[思考・状況]
基本方針: 英霊剣豪として一切合切を粛正する。
1. カルデアのサーヴァントを排除する。
2.もう一体の鬼については状況を見て判断。
[備考]
※源頼光ではなく、英霊剣豪七番勝負のライダー・黒縄地獄としての参戦です。
※源頼光ではなく、英霊剣豪七番勝負のライダー・黒縄地獄としての参戦です。
| 前話 | お名前 | 次話 |
| ハザード&レスキュー | 円城周兎 | ハザードは終わらない |
| フローレンス・ナイチンゲール | ||
| NEXT HUNT | 浅倉威 | |
| 獣達の夢 | 源頼光 |