以下は、http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/x3/1174453388/から引用
ディアナ・ソレルのよしなに日記 in2007
- 652 :通常の名無しさんの3倍 2008/06/04(水) 13:42:07 ID:???
- 雪の降る中、僕達は山荘にやってきた
夜中に出発をしたせいで到着したころにはすっかり深夜になっていた
ロラン「ディアナ様、すぐに暖炉に火をつけますのでもうしばらくお待ちください」
暖炉に薪を入れ火をつけると、その火でお湯を沸かしたかったがやかんがない
椅子を一つ暖炉の前に置いて最低限の荷物だけを車から降ろしに行く
やかんとお茶セットの入ったダンボールをまず部屋に入れ、やかんに水を入れて火にかける
ディアナ「ロラン、まだ寒いわね」
火がついているとはいえ広い部屋にはまだ暖気が行き渡らない
ディアナ様は白い息を吐きながら震えていらっしゃった
僕はディアナ様の手を温めるように外側から包み込んで
ロラン「もう少しだけ、もう少しだけガマンしていただけますか?布団を下ろせば作業も終わります」
ディアナ様は小声であたたかいとおっしゃって僕の目を見て小さく頷いてくださった
布団を下ろし寝室のベッドの上に広げ終わると暖炉からやかんから湯気が出ている音が聞こえる
慌てて暖炉の部屋に戻りお茶を入れてディアナ様に差し出す
ディアナ「お茶も暖かいですが、ロランの方が暖かかったですよ」
ディアナ様の笑顔を見てちょっとほっとする
ロラン「残りの荷物は明日、朝が来てから運び入れますから、今夜はもうお休みください」
ディアナ様は大きく頷いてくださったがその場を動こうとしなかった
不思議な顔をしてみているとちょっと意地悪な顔をしたディアナ様が小声で囁かれた
ディアナ「ロラン、新婦を寝室に案内するのは新郎である殿方のお役目ですよ」
はっ、そうか、ぼ、僕は今日からディアナ様の旦那となったんだった
わかってはいたけど突然その現実を思いだすと顔が赤くなったのが自分でもわかった
まてよ、そうするとお風呂も沸かした方がいいな、タオルとか着替えも下ろさなきゃ
あたふたしているとディアナ様はその光景を見て笑っていらっしゃった
翌朝、暖炉の部屋には散らばったいくつかのダンボール箱とお茶を飲んでそのままのカップが2つ
ガレージにはまだ荷物が積んだままの車と荷台がある
そして目覚めた僕の隣にはすやすやと眠っていらっしゃるディアナ様が
僕は急いで荷物を運び込まなきゃと思いつつ、もうちょっとこの幸せそうな寝顔を見ていたいと思うのだった
- 654 :通常の名無しさんの3倍 2008/06/04(水) 15:33:10 ID:???
- そっとベッドから起き上がって一人で荷物を運び込もうと思ったのだがディアナ様を起してしまったようだ
これからお世話をするには別々で寝た方がディアナ様に迷惑をかけないのかもしれない
朝食の準備をする、朝食といってもまだ調理器具は車の中なのでミリシャから分けてもらったベーコン缶と
パンを焼いた、ディアナ様はマロングラッセの時に相当懲りたのか、料理には興味を示さないので一安心
ディアナ「ミリシャのベーコンは本当においしいですねえ」
あの頃はまさか二人で一緒に住むなんて想像もつかなかったなあ
車から荷物を降ろしていると、雑巾を持って窓を拭いているディアナ様
ロラン「ディ、ディアナ様、だめです、座っててください」
ディアナ「ロラン、見てこの窓、とっても雲ってますわ」
言うことを聞いてくださらないので仕方なく窓拭きと床のモップ掛けをしていただきました
その間に荷物を一通り出し終わってなんとか住める状態になった気がする、ああ新しい地球での生活が始まるんだ
昼食の準備をする、といってもまだ買出しに行っていないので玉子とベーコンでベーコンエッグを作る
ロラン「ディアナ様、すいませんベーコンばかりで」
ディアナ「ベーコンも玉子を加えるとまた味わいが変わるのね、午後は買出しに行きましょう」
ロラン「は、はい」
食後のお茶が終わったところで車を出して買出しにでかける
ノックスまで行けばなんでも買えるが時間が遅かったので近所の牧場や農家で野菜やミルクを買い込む
ディアナ「これだけあれば1年くらい食べ物には困らないですね」
ロラン「1年は無理ですよ。。。」
夕食はシチューを作ることにした、野菜を切るときにディアナ様が覗き込むのがちょっとかわいいと感じる
ディアナ「そうやって料理をなさるのね」
ロラン「はいはい、ディアナ様は完成をお待ちになってあそこで座っててくださいね」
それでも後から覗き込むディアナ様、その際にお体が背中に当たって気になって仕方ないのです
じゃがいもを剥いているとそれを見たディアナ様は面白そうとばかりにご自身でもやり始めてしまった
何を言っても止まらないのは今日散々わかったのでしばらくそっとしておいたのだが結構器用になさる
ディアナ「秋にはまたマロングラッセを作りますから楽しみにしておいてくださいね」
ロラン「秋までにはまだ時間がありますよ、あまり根詰めて料理なさるとその頃には嫌になられてしまうかも」
ディアナ「ま、まあ、ロランったら、意地悪なことをおっしゃる」
ちょっと怒ったディアナ様のお顔もステキです
食後には月から持ってきたココアを入れる、その香り、その味わい、まさに女王のココア
ディアナ様は窓から月を眺めていらっしゃる、僕も一緒に月を眺めた
ディアナ「このココアをいただきながら月を眺めることができるなんて」
その幸せそうな横顔を僕は一生忘れることはないだろう
- 655 :通常の名無しさんの3倍 2008/06/04(水) 16:17:56 ID:???
- 目が覚める、ディアナ様の寝顔を見ながらそっと抜け出そうとするのだけどやはり起してしまう
やはりお世話する身なんだから。。。と何度も思いつつついつい一緒に寝てしまう
朝、昨晩のシチューの残りと目玉焼きを用意する
寝起きのディアナ様はちょっと寝ぼけた感じに見えるけど、その寝ぼけた顔がまたかわいい
女王の頃につけていた青い口紅をしなくなり、髪の毛もクリームをつけずに自然のままでまとめていると
なんだかキエルお嬢様と一緒にいるみたいに感じるから不思議
ロラン「ディアナ様、本当にディアナ様ですよね?」
しばらく驚いた様子でこちらを見ながらクスクス笑って
ディアナ「いやですねロラン、私がディアナでなければあなたは昨晩どの姫君と床を一緒になさったというのです?」
ロラン「あっ、いやっ・・・」
つい思いを言葉にしてしまったことも恥ずかしかったけど、ディアナ様の切り替えしはもっと恥ずかしかった
食器を片付けて屋根に上り雪かきをする
屋根に上ると周囲の景色が良く見えてものすごく気分がいい
どこまでも青く晴れた空、あの空の向こうにはキエルお嬢様が行くことになっている
僕は白の宮殿でのことを思い出した、ホワイトドールをギム・ギンガナムに奪われて命からがら逃げ出せれた僕は
ディアナ様に呼ばれいることをシド爺さんから聞かされ白の宮殿へ降り立った
ディアナ「ロラン、よくいらっしゃいました」
白の宮殿の席巻室、その高い場所にディアナ様はいらっしゃった、とりあえずディアナ様にホワイトドールが
奪われたこと、グエン様とギム・ギンガナムが手を組んで地球に行ったことを報告した
ディアナ様はすべてをご存知だったのか、すぐに他の方にも召集をかけ対応策を練られた
結果、ギンガナム艦隊を征伐するとのことで地球に降りることを決意なされたのだけれども
もしあのときこういう展開にならなければ、どういうお話をされていたんだろう?
いろいろなことを考えながら雪かきをしていると、はしごを伝ってディアナ様が屋根に上がって来られた
ディアナ「ロラン、お昼にしませんか?」
気が付けば日はかなり高くなっていてもう昼飯時だった
ロラン「あっ、すいません、すぐ準備します、ってかディアナ様はしごになんか登ったら危ないですよ」
ディアナ「ふふふっ、ロランは本当に心配症ですね」
はしごを降りて暖炉の部屋に入ると、そこにはすっかり昼食の準備がされていた
ディアナ「さあ、召し上がれ」
ロラン「こ、これディアナ様が作られたんですか?このコーンスープ??」
ディアナ「一人で暇だったのでついつい料理をしてしまいました、お代わりもありますよ」
ロラン「す、すいません、一人で寂しい思いをさせてしまいました」
ディアナ様はくすくす笑いながらコーンスープを口に運んでいらっしゃる
あの時、白の宮殿でどんなお話をされようとしていたのかはわからないけど
きっと結果として、こういう生活になっていたことに間違いはないとなぜか強く思わずにはいられないんだ
- 657 :通常の名無しさんの3倍 2008/06/04(水) 16:57:24 ID:???
- 二人の生活もかなり慣れてきた朝、やはりディアナ様を起さないようにベッドを出ようとするのだけど
どうしても起してしまう、まだ眠そうなディアナ様はいつみてもかわいい
朝日が差し込み、雪も溶けて消えている、もう春なんだと思えるすばらしい朝を迎えた
朝食の準備をしているとパンの残りが少ないことに気が付いた、パンを買いに行かなければ
ノックスにキースが店を出したとの案内が来ていたのでディアナ様と一緒にノックスの町に行くことにした
久しぶりに見るノックスはまだ建物は所々壊れたままではあるものの、活気に溢れる町になっていた
案内地図を見ながらノックスをふらふら走っていると看板を先に見つけたのはディアナ様だった
ディアナ「ロラン、ほら、あそこ、ドンキーの看板がありますよ」
店に入るとさすがに繁盛店だけあって人がたくさんいたが、ベルレーヌが僕達を見つけてくれて奥に通してくれた
店の奥には事務所があり、そこに通されてお茶を出してくれた、キースはなにやら電話中のよう
すると二階からアニスばあさんが赤ん坊を抱いて降りてきた
アニス「おやおや、あの時のお嬢さんに使用人じゃないか」
ディアナ「アニスさん、お元気そうでなによりです」
ロラン「アニスばあさん、お元気ですか?」
すっかり赤ん坊を抱いて恐持ての顔がにやけた顔になっているアニスばあさん
ベルレーヌ「お、おばあちゃん、使用人は失礼よ、ロランさんよ」
ディアナ様はずっと赤ん坊を見ていらっしゃる、アニスばあさんはそれに気が付きそっとディアナ様に赤ん坊を渡した
赤ん坊を抱くディアナ様はとてもおやさしい顔をなさっていた
キースの電話が終わり、いろいろ積もる話をした
女性陣は女性陣でなにやら話し込んでいたが。。。
ディアナ「この子のお名前はなんておっしゃるんですか?」
アニス「お嬢ちゃんも若いんだからこしらえればいいじゃないか、豊作と子宝は天からの恵みだからねえ」
ベルレーヌ「努力はされていらっしゃるんでしょ?」
ディアナ「ええ、まあ」
聞くに堪えられない内容だったので敢えて無視することに決めた
キース「そういえば知ってるか?ローラ号がディアナ様を乗せて月へ飛んだそうだ」
ロラン「ローラ号?」
キース「ほら、ウィルゲムのことだよ」
ロラン「わかってるけど。。。なんでそんな名前付けるんだよ。。。」
キース「これからは月と地球を定期便で結ぶんだって、これで月と地球は一つ近くなったよな」
ロラン「ローラ号。。。」
パンをたくさん買って家に戻る途中、ディアナ様は上機嫌だった
ディアナ「赤ちゃんってかわいいですね、私達ももっと努力をしなくてはねえ、ロラン」
ロラン「ど、努力ですか。。。でも、天からの授かり物ですからねえ」
ディアナ「そうですね、たくさんの人の命を弄んだ女王である私に神様はそのような授かり物をくださるはずが。。。」
ディアナ様がせっかくうれしそうにお話されていたのに、僕はなんて気の聞かない男なんだろう
ロラン「ディアナ様、努力します!キースのところよりかわいい赤ちゃんを授かるように努力します!」
驚いたような顔でこちらを見るディアナ様
ロラン「亡くなっていったたくさんの人達を生まれ変わらせるには、生き残った我々が子孫を増やしていかないといけませんよね」
ディアナ様はちょっと涙ぐんでいたのだけれど、その涙を拭われてそっと僕の手を握ってくださった
- 658 :通常の名無しさんの3倍 2008/06/04(水) 17:22:05 ID:???
- いつものように朝起きる、そっと起き上がるがやはりディアナ様を起してしまう
いつもより眠そうなディアナ様
ロラン「まだ眠っていてください、朝食が出来たら起しますから」
朝食の準備をしてディアナ様を起して椅子に座っていただく
ロラン「今日のスープはおいしいですよ、なんせ・・・、あれ?どうされました?お口に合わないですか?」
ディアナ様の食が全然進んでいらっしゃらない
ディアナ「なんでしょう、最近暑いので熱気にやられてしまったのでしょうか?」
手をおでこに載せて上を向くディアナ様、ちょっと心配なのでお医者様に来ていただきました
医者「なるほど。。。」
ロラン「ど、どうなんですか?」
医者「おめでた、ですね」
ロラン「おめでたって、ディアナ様はこんなに苦しそうにしていらっしゃるのに」
医者「いや、ですからご主人。。。」
僕はよく事情を把握できなかった、こんなに苦しそうなディアナ様を見ておめでたいというなんて人だと思ったのだが
ディアナ「ロラン、神様がこんな私達にも幸せを授けてくださったということですよ」
僕はとても混乱した、ぐるぐる頭の中を何かが回ってフワリ体が浮くような感じがした
とにかくいつも以上にディアナ様のお世話をしなくては、近所の農家の奥様方に聞いて体にいい食事を
いろいろご用意させていただいたり、掃除、洗濯などあまり体を使わないように一人でできることを全部引き受けて
朝も起してはいけないのでディアナ様ベッドの横に椅子を置いて眠られてから自分のベッドに移動するようにした
すべてのことを僕がしてしまうのでディアナ様はなにやらお手紙をいろいろと出していらっしゃるようだ
ディアナ「電話よりもお手紙の方が気持ちが伝わりますもの、ハイムのお母様のところにもお送りしましたよ」
秋になり、かなりディアナ様も安定されてこられたのでお医者様はそれなりに運動するようにと言われたので
湖でボート遊びをしたり、魚釣りなどをしている、まだお腹はそれほど目立たないけども確実に命がこのお腹の中で
育っているんだと思うと生命というのは宇宙より不思議なことなんだと思う
こんな大切な命をなんであんなに簡単に捨てれてしまうのだろう?
ちょっと前まで戦争をしていたこの国のことをふと思い出した、もう二度とああいうことは起してはいけないんだと心に誓うんだ
- 660 :通常の名無しさんの3倍 2008/06/04(水) 17:43:39 ID:???
- また冬が来た、去年の冬は二人きりの冬だったが
今年の冬はまもなく生まれてくるだろう命と三人で向かえることができてうれしい
体が大変なディアナ様を思い、別々に寝ることで朝起してしまうことがないが
ディアナ様が朝起きられないこともしばしばある、一人で食べる朝食は寂しいものだ
最近ディアナ様は昼に寝ることも多いからなのか夜出歩かれることが多くなっている
春前には生まれる予定なのだけど、おもちゃがないことに気が付いた
この家におもちゃらしいものといえば月から買ってきたクジラのおもちゃくらいだし
僕が月から持ってきた金魚のおもちゃも持ってきたと思っていたのに荷物の中に入っていなかったし
ハイム家に置いてきたのかと思ったけど、ソシエお嬢様はないとおっしゃる
朝起きてディアナ様の姿がないので驚いて外を見てみると、散歩から帰って来られるところだった
最近ディアナ様は湖がお好きなようで、いつもご自身の姿を映してはふふふと幸せそうに笑っていらっしゃる
こういうお姿を拝見すると、本当に幸せそうでよかったと心から思うし、僕も本当に幸せな気持ちになれるんだ
ロラン「今日のスープはおいしいですよ」
ディアナ「ありがとう、ロラン」
妊娠がわかった日のスープ、ちょっと自信があっただけに飲んでいただけなくてちょっと残念な気がしていたんだ
だから今日、また作ってみた
ディアナ「おいしかったわね」
おだやかな口調でおっしゃるディアナ様、今までも一生懸命普通の生活をできるようにと尽くしていたつもりだったが
やはりどこか女王の頃を引きずっていらっしゃったように思うけど
子供を宿すことでやっと普通の女性になれたのだろうか?表情も言葉使いもどこか穏やかになられたような気がする
僕は自慢のスープを完食していただけて満足気に
ロラン「ありがとうございます」
とお礼をいうのだった
ディアナ「ロラン、ちょっと疲れたので寝ますね」
ロラン「はい、では寝室へ」
僕はいつも通り寝室へお連れして寝入るまで隣の椅子に腰掛けてずっと手を握っている
ディアナ「ロラン、この子の名前はどうしましょうね」
ロラン「お医者様のお話ですと女の子のようなので女の子の名前なんでしょうけど」
ディアナ「ローラという名前はいかがです?」
ロラン「ローラ。。。ですか。。。」
ディアナ「ふふふ、いい名前ではございませんこと?」
ロラン「ディアナ様、まだ生まれるまでには日にちがありますから、また明日考えましょう」
ディアナ「そうですね、ロラン、また明日もあるんですものね」
僕は眠りにつくディアナ様のおでこにそっとキスをして椅子を立ち上がった
音を立てないように、ちょっとした音でもディアナ様は起きてしまう
そっとドアを閉める
ロラン「ディアナ様、また明日」
※ソシエ版では電話で報告したことにしたが、ディアナ&ロラン版では手紙ということにしました