妊娠論者のターンAガンダム

妄想小説、エピローグ 終戦から旅立ちの冬まで

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以下は、http://anime3.2ch.net/test/read.cgi/x3/1174453388/から引用

 

 ディアナ・ソレルのよしなに日記 in2007

666 :妊娠論者 ◆TCyVgXRnbM  2008/06/05(木) 16:53:04 ID:???  
ターンXを倒してから僕はビシニティにあるハイム家でまた運転手をして生活をしている
ホワイトドールを運転するよりも自動車を運転する方が好きだ
キエルお嬢様はずっと戦後処理でお忙しいらしく、ほとんどノックスに常駐されており
ソシエお嬢様はというと、リリ様から新しいマウンテンサイクルが見つかる度に機械人形を掘り出す仕事をいただいているらしい
もう戦争はおわったのだから機械人形はいらないと思うのだが、リリ様曰く
リリ「せっかく掘り出した機械人形が戦争なんかで壊されたらもったいないでしょ?だから殿方にはお渡しできませんの」
ということらしいが、リリ様のおっしゃることは難しくてよくわからない

この日もリリ様と商談があるとのことで、リリ様が滞在されている屋敷へソシエお嬢様をお連れしたところ
駐車場でお嬢様をお待ちしているのだけれど全然出て来る気配がない、お嬢様お話がはずんでいるのかな
しばらくすると屋敷の門辺りが騒がしくなる、衛兵らしき人と親衛隊の人達が門に集結している
すると中からソシエお嬢様と共にキエルお嬢様とディアナ様が出て来られた
キエル「ロラン、お迎えご苦労ですね」
自動車の扉を開けてディアナ様をお迎えする
ディアナ「お久しぶりですね、少々たくましくなられましたか?ロラン・セアック」
僕の運転でビシニティにあるハイム家まで移動する
後にはソシエお嬢様とキエルお嬢様、そしてディアナ様が、隣にはディアナ様の警護としてハリー大尉が乗っていらっしゃる

ハイム家に到着するとハイム夫人が玄関でディアナ様をお迎えされた、ソシエお嬢様はさっさとご自分のお部屋に入っていかれた
その後、キエルお嬢様とディアナ様で亡くなったご主人様のお墓をお参りされた
その日の夜は一同でお食事をされて、僕もその幸せそうなお食事のために一生懸命給仕をした
ハイム夫人の楽しそうなお顔はいつ以来だろうか?
お茶を出し終わって談笑の後、それぞれのお部屋に移動された、後片付けが終わったあと僕はサムとジェシカと一緒に
遅い夕食をいただいていた
ロラン「なんか幸せな一日でしたね」
ジェシカ「ロラン、あんたせっかく平和になったんだし、大学に行く気はないのかい?せっかく亡きご主人様が行かしてくれるっておっしゃってくださってたんだからさ」
ロラン「それは無理ですよ、キエルお嬢様も結局行けてないですし、ソシエお嬢様だって。。。なのに僕だけ大学なんて」
サム「でもな、おれ達と違ってお前はずっと使用人というわけにも行くまい、機械に詳しいんだし、立身出世を目指さないとな」
将来のことか、そういえば戦争が終わってすっかり落ち着いていたんで全然考えてもいなかったな

キエル「ごめんなさいねソシエ、ロランと成人式をもう一度と約束したのに。。。」
ソシエ「仕方ないじゃない、それはお姉さまのせいでもないんだし」
お屋敷にはたくさん部屋はあるのにキエルお嬢様はご自分のお部屋をディアナ様のためにと空けられてソシエお嬢様と一緒に
寝るとおっしゃって、ソシエお嬢様にしてみても久しぶりの姉妹水入らずはきっと楽しんでいらっしゃることでしょう
僕は部屋に戻って窓から外を見てぼーっとしていた、ジェシカさんやサムさんのおっしゃることもよくわかるし
でも今この状況で僕だけ大学に行かせて欲しいとお願いするのもなんだかわがままなような気がしていた
何より大学で学ぶよりもっと大切なことをミリシャで学んだような気がしていた、ふと気付くと庭に人影があるのに気が付いた
暗闇の中ではよくわからないがどうやらディアナ様のようだった

僕も庭に出てみる、月の灯りに照らされて、その月を見上げるように見ていらっしゃるディアナ様
ロラン「ディアナ様?」
ゆっくりとこっちを振り返るディアナ様
ディアナ「ロラン、私達の故郷である月を見ていたのですよ」
ロラン「故郷ですよね、も、もしかしてディアナ様は戻りたいと思われて・・・」
ディアナ「いいえ、もう私には戻ることのない故郷です、あなたはすっかり心の広い地球人になられましたね、ロラン・セアック」
そしてディアナ様はもう一度月を見上げられた
ロラン「ディアナ様も、ディアナ様も地球人になられるのですね」
ディアナ「ええ、私はずっとこの先、生まれ故郷を見上げる立場で生きて行く事ができるのです、ロラン、一緒に地球から」
ロラン「ご一緒に、地球から、ですね」
僕もディアナ様と一緒に月を見上げた

 

667 :妊娠論者 ◆TCyVgXRnbM  2008/06/05(木) 16:53:43 ID:???  
ノックスの町はすっかり賑わいを取り戻していた、出て行った人達が戻ってきたこともあるが、リリ様がムーンレイスを積極的に
受け入れてくださって、そのおかげで人口が戻っているということもあるらしい、リリ様曰く
リリ「あのような技術を持った人達に戦争の道具を作らせるのはもったないでしょ?だから他国にはお渡しできませんの」
またもうリリ様のおっしゃることは難しくてよくわからないなあ

数日をハイム家で過ごされたキエルお嬢様とディアナ様をリリ様のお屋敷までお送りした
ハリー大尉ともお別れ、そのままソシエお嬢様まで。。。
ソシエ「リリ様と新しいマウンテンサイクルの視察に行ってくるわ」
ロラン「あの、いつ頃お戻りで?いつお迎えにあがりましょうか?」
ソシエ「そんなのわかんない、また迎えが欲しければ電話するから、じゃあねロラン」
なんだかソシエお嬢様のご機嫌が悪いな、なんか悪いことしたかな?

リリ様のお屋敷にちょっと車を止めさせていただいてジェシカさんに言われたモノを購入していると
通りにブルーノさんとヤコップさんが人形劇をやっていた
どうやら僕の話らしいんだけど、ホワイトドールに乗っているのはローラって。。。
人形劇が終わるまでまって久しぶりに話しかけてみた
ブルーノ「か、艦長」
ロラン「もう艦長じゃないですってば、民間人ですよ、ハイム家の運転手です、ところで親衛隊はどうなさったんですか?」
ヤコップ「きょ、今日は非番なんだよ、な。。。」
この二人は嘘をついている時はすぐわかるんだよな、ちょっとカマをかけようと思って
ロラン「そういえばさっきまでハリー大尉と一緒だったんですけど、お二人の話はでたかな?」
ブルーノ&ヤコップ「え”」
ロラン「今からちょうどハリー大尉のいらっしゃるお屋敷まで戻る途中なんです、親衛隊に戻りたいのならお話しくらいはできますけど、どうします?」

ハリー「ああ、事情はわかった、しかしこの二人は今までどこで何をしていたんだ、まったく」
ハリー大尉に睨まれて小さくなっているブルーノとヤコップ
ロラン「今は大変な時期なんですから、ディアナ様とキエルお嬢様をちゃんとお守りしてくださいね、ブルーノさん、ヤコップさん」
ブルーノ&ヤコップ「はい、艦長!」
だから、もう艦長じゃないってに
ハリー「ロラン君、君にもお願いをしなければいけない事態が発生するかもしれない、その時は頼む」
ロラン「できることでしたら何なりと」

 

668 :妊娠論者 ◆TCyVgXRnbM  2008/06/05(木) 16:54:18 ID:???  
リリ様とマウンテンサイクル視察に行かれてから戻ってきたと思ったらすぐ他の現場に行かれてしまわれたソシエお嬢様
本業がお忙しいのはいいのだけれど、お体が心配です
あまりにも戻って来られないので宇宙船視察から戻って来られたキエルお嬢様とディアナ様をお迎えに上がった時に
リリ様に聞いてみたんですが、リリ様曰く
リリ「大切な物を人に渡さなくてはならないって時には悲しいモノよ、そんな悲しい顔は人様にお見せできませんわね、特に好意を抱く殿方の前では」
あいかわらずリリ様のおっしゃることは難しくてよくわからないなあ

秋深まったビシニティにてっきりキエルお嬢様も戻られるかと思ったのですが、乗られたのはディアナ様だけ
しかもディアナ様としてではなくキエルお嬢様として
キエル「ロラン、ディアナ様をいたわってくださいね、ディアナ様、ディアナ様」
ハリー「ロラン君、くれぐれもよろしくお頼みする、ディ、キエル嬢の身に何かあれば私が許さないからな」
車をビシニティのハイム家へと走らせた、山々が色付いてとても綺麗な景色の中をディアナ様を乗せて走った
ハイム家に到着すると、ディアナ様はキエルお嬢様として迎えられ、そのままキエルお嬢様の部屋に入られた
荷物を持ってキエルお嬢様の部屋に入ったが、この前戻られた時にすっかりキエルお嬢様の荷物は持ち出されていて
この最後の入れ替わりの為にしっかり準備をしていたのだと今更ながらにわかった

ソシエお嬢様もひょっこり戻って来られて、もうお迎えに上がるから連絡くらいくださいよ
夕食はハイム夫人とソシエお嬢様とキエルお嬢様に扮したディアナ様の家族水入らずの食卓になった、それはもう久しぶりに明るい食卓
夕食が一通り終わってお茶をお出しし終わった時にディアナ様からそれは切り出された
ディアナ「お母様、ソシエさん、大切なお話があるのです、ロラン、こちらへ」
ハイム夫人は驚いた顔で、そしてソシエお嬢様は僕とは目が合わないように視線をそらした
ディアナ「お母様、ソシエさん、私はロランと結婚をしたいと思っているのです、お許しいただけますか?」
ジェシカさんは驚いて食器を落としそうになり、サムさんはその場で固まってしまった
ハイム夫人はそのまま頷きながら「もう成人式を終えた身なんですから好きにしなさい」と小さい声でつぶやいた
ソシエお嬢様はうつむいたままで何も言葉を発することはありませんでした

お茶の時間が終わりソシエお嬢様はそのまま立ち上がり部屋へ戻ろうとされていた
僕は階段を登ろうとするソシエお嬢様を呼び止めてしまった
ロラン「あ、あの、本当はもっと前にご相談をしたかったんですが、その、お嬢様お忙しそうで、ほとんどお会いすることも。。」
ソシエ「あなたは私の使用人なのよ、別にどうってことはないわ、ディアナ様に、、、いえ、お姉さまに差し上げただけなんだから」
涙声で肩を震わせてそうおっしゃるソシエお嬢様を見て、一番悲しませたくない人を悲しませてしまったという後悔だけが残った

 

669 :妊娠論者 ◆TCyVgXRnbM  2008/06/05(木) 16:54:46 ID:???  
結婚式の準備に追われる日々が続く中、やはりソシエお嬢様は仕事がお忙しいということでなかなか戻って来られない
結婚の挨拶にお伺いした際にリリ様に相談してみたのだけど、リリ様曰く
リリ「もう前に進むしかないのだからまっすぐ前を見てなさい、脇見をすると事故を起してしまいますわよ、でもそういうのが殿方には難しいのですわよね」
本当に何をおっしゃっているのかさっぱりわからないですよ、リリ様

雪の降る中、身内だけで僕とディアナ様の結婚式は執り行われた
心配していたソシエお嬢様だけど、なんとか都合をつけてくださったのか駆けつけてくださった
お化粧をしてお洒落をして、本当に綺麗なソシエお嬢様を見ていると、僕は後悔がないといえば嘘になる、そんな心境だった
ソシエ「ほら、ロラン」
ソシエお嬢様はなにか小さい箱を僕に差し出した
ソシエ「ロランのことだから買えなかったでしょ、お姉さまへの結婚指輪。だから私が用意したのよ、ほら何しているの?お姉さまの薬指にはめて差し上げて」
小さい箱を開けるとシルバーの指輪が、そしてその指輪をディアナ様の薬指にはめた
ディアナ「まあ、なんてきれいなの?ソシエさん、ありがとう、本当にありがとう」
ロラン「あれ?でも結婚指輪って僕もするんじゃないですか??」
ソシエ「ば、馬鹿ね、ロラン。。。私があなたに結婚指輪を買ってあげられるわけ。。。ないじゃない。。。」

結婚式が終わり僕とディアナ様はそのまま新居へ向かう
玄関まで奥様とジェシカさんとサムさんが見送ってくださった
ソシエ「お姉さまを見送ってきます」
元気にソシエお嬢様は車のところまで送ってくださった
ディアナ様を助手席に乗せていただくとなにやら二人で一言二言交わしているようだった
そしてソシエお嬢様は僕に最後の挨拶をされる
ソシエ「この前は使用人だなんて言ってごめんなさい、ディアナ様と、ディア。。。お幸せに。。。」
ソシエお嬢様は僕の肩をつかんだまま泣き崩れそうだった
ソシエ「本当は。。。本当は。。。」
僕はソシエお嬢様を抱きかかえたままキスをした、今までのお礼と、そしてお別れのキスを

ロラン「もう行きますね」
それ以上の言葉をかけることができなかった

 

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