さあ、貴方のしたいようにして頂戴。私を可愛がって……ね?

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発言者:[[ニナ・オルロック]] 対象者:[[トシロー・カシマ]] ホテル・カルパチアから、“主”の求めに応じその身柄を奪い去ったトシロー。 ……やがて、『ノーマ・ジーン』で目覚めたニナは、 かつて知ることの出来なかったトシローという&ruby(サムライ){武士}の過去、 そして、迷いを振り切った彼が今一度捧げると誓う“忠義”の重みを、確りと受け止めようとしていた。 そうして、決心を固めた彼女は、12年間踏み込めなかった[[あの一夜>https://www46.atwiki.jp/vermili/pages/832.html]]の“先”へと自ら踏み込む――― &size(18){&color(#9C9C9C){「……判ったわ。主従。君臣。私たちが、そういう関係になったという事は」}} &size(20){&color(#99ccff){&bold(){「&size(18){&italic(){──────}}では、&ruby(・・・・){それ以外}は……?」}}} 少女の面影を残す躯が男に触れ合い、細い腕が背中に回される。 &bold(){見つめるその瞳の中には、逸るような、怯えるような……相反する感情の鬩ぎ合いが演じられていた。} &size(16){&color(#99ccff){「&ruby(・・・){あの事は}……私の中でずっと負い目になっていたの」}} &size(16){&color(#99ccff){「女の武器で男を繋ぎ止めようだなんて……}}  &size(16){&color(#99ccff){売女と呼ばれても仕方ない、浅はかな考えだったと思う。}}  &size(16){&color(#99ccff){貴方の顔を見るたび思い出しては、自己嫌悪に陥っていたわ………」}} &bold(){回された腕に、力が増してゆく。} &size(16){&color(#99ccff){「なのに貴方は、この12年何も言わず、私の&ruby(よわみ){傷口}に触れもせず、}}  &size(16){&color(#99ccff){ただ黙って己の務めだけを果たし……そんな貴方を憎らしく思った事さえある」}} &size(16){&color(#99ccff){「きっとこの男は、心の底で汚らわしい私を軽蔑しているに違いないと……」}} 明かされたニナの苦しみ。&bold(){そこにある誤りを、トシローは確かな言葉で以て否定する。} &size(17){&color(#040414){&bold(){「俺は古い男でな……女の&ruby(みさお){操}には命に等しい重さがあると、物心つく頃からそう信じているのだ」}}} &size(17){&color(#040414){&bold(){「そんな&ruby(もの){純潔}を差し出してまで、何かを守りたいという&ruby(おもい){決意}……}}}  &size(17){&color(#040414){&bold(){士道を&ruby(はぐ){逸}れて百数十年。月なき闇を彷徨ったこの眼には、眩しく映った」}}} &size(21){&color(#99ccff){&bold(){「月&size(18){&italic(){────}}」}}} &size(20){&color(#040414){&bold(){「ああ……それは、闇夜に射した一筋の月光のようだった」}}} &size(17){&color(#99ccff){「とんだ買い被りかもしれなかったわよ……}}  &size(17){&color(#99ccff){私が、そんな&ruby(もの){純潔}に道具程度の価値しか持っていなかったとしたら……」}} &size(16){&color(#040414){&bold(){「ならば、あの涙の説明はつくまい}」}} 安堵し、微笑む少女はしかし、再び不安に心を揺らす……… &size(17){&color(#99ccff){&bold(){「でも貴方は……私に“女”を求めないのね。それは、貴方の&ruby(せかい){忠義}には邪魔だから」}}} &size(17){&color(#99ccff){&bold(){「男の貴方には理解できないかもしれない……}}}  &size(17){&color(#99ccff){&bold(){でも、やっぱり私は女。女には女の納得の仕方があるものよ?」}}} &size(17){&color(#99ccff){&bold(){「傍に立ちこの背中を守ってくれる、}}}  &size(17){&color(#99ccff){&bold(){誰よりも勇敢な男に&ruby(・・・・・・・){求められている}……}}}  &size(17){&color(#99ccff){&bold(){そう思えることが、何にも代えがたい納得に、自信になるの」}}} 素直な心で語られる主の望みを、かつてのような戸惑いを見せることなく、確かな意思を持ってトシローは荒々しい抱擁で迎えた。 &bold(){強大な敵に、かつてない窮地に立ち向かう自信を、今彼女に与えられるのは己だけであると。} &size(23){&color(#040414){「誰が、おまえを欲しくないなどと言った……?」}} &size(22){&color(#99ccff){「トシロー………」}} ――――酒場の暗がりに、ニナは着衣をはだけて…… 12年前と変わらぬ、白雪のように肌理の細かい肌と、見る者を圧倒する淫らな果実を露にしていた。 &size(19){&color(#99ccff){「……不思議ね。あの時と違って恥ずかしくないのは、どうしてかしら……」}} &size(19){&color(#99ccff){「2度目だから……? いいえ、違うわね……きっと。}}  &size(19){&color(#99ccff){あの時の私は&ruby(・・){これ}を恥ずべき行為だと思っていた。後ろめたさを持っていた……」}} &size(19){&color(#99ccff){「けれど、今は……}}  &size(19){&color(#99ccff){心の底から貴方を求めている……貴方だけを……」}} &size(15){そして、激情を秘めたまま、一人の女としてニナは命を告げる――――}   &size(22){&color(#99ccff){&italic(){………何をしているの?}}}     &size(22){&color(#99ccff){&italic(){さあ、貴方のしたいようにして頂戴……私を可愛がって………ね?}}} ---- #comment

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